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【発明の名称】 平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置、光学的位相制御方法及び光学的位相制御プログラムを格納した記憶媒体
【発明者】 【氏名】半田 博久

【氏名】光谷 直樹

【要約】 【課題】特別な装置を利用しないで高精度な位相シフトを行うことができる平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置、光学的位相制御方法及び光学的位相制御プログラムを格納した記憶媒体を提供する。

【解決手段】位相0°における干渉縞画像(第I画像)及び第I画像の位相をずらした干渉縞画像(第IIA画像)の画素同士の明るさ強度の和の最大値と最小値の差分値が最小になる位相を求めることにより、位相0°及び180°における干渉縞画像を取得し、これらの干渉縞画像の干渉縞の重心位置の中間位置を求めることにより、位相90°における干渉縞画像を取得し、これら3枚の干渉縞画像に基づいて平面解析を行い、測定物16の平面形状を得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 干渉縞を形成する干渉計と、前記干渉縞を画像として記憶する撮像記憶手段と、前記撮像記憶手段により記憶された干渉縞の画像処理を行う画像演算処理手段と、前記干渉縞の位相をシフトする位相シフト手段とを有する平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置において、前記画像演算処理手段が前記干渉縞の位置変化情報から光学的位相シフト量を検出し、該光学的位相シフト量が所定の光学的位相シフト量になるように前記位相シフト手段を制御することを特徴とする平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置。
【請求項2】 前記画像演算処理手段は、前記干渉縞の所定の部分のみの情報から前記光学的位相シフト量を検出することを特徴とする請求項1記載の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置。
【請求項3】 前記画像演算処理手段は、前記干渉縞の第1画像及び前記第1画像の干渉縞の位相をシフトさせた第2画像の明るさ強度の和又は差の最大値と最小値との差分が、所定の許容範囲内に収まるまで前記位相シフト手段の制御を継続することを特徴とする請求項1又は2項記載の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置。
【請求項4】 前記画像演算処理手段は、前記干渉縞の位相が0°及び180°のときの前記位相シフト手段の制御量に基づいて前記干渉縞の位相が90°のときの前記位相シフト手段の制御量を算出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置。
【請求項5】 前記画像演算処理手段は、前記干渉縞の位相が0°及び180°のときの前記位相シフト手段の制御量の平均値に基づいて前記干渉縞の位相が90°になるように前記位相シフト手段の制御をすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置。
【請求項6】 平面計測用位相シフト干渉計によって形成された干渉縞を干渉縞画像として取得する干渉縞画像取得手段と、前記干渉縞画像取得手段により取得された干渉縞画像の画像処理を行う画像処理手段と、前記干渉縞の位相を基準の位相からシフトする位相シフト手段とを備え、前記干渉縞画像取得手段は前記位相シフト手段によりシフトされた前記干渉縞の位相に対応して少なくとも3つの干渉縞画像を取得する前記平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置において、前記画像処理手段が、前記干渉縞画像取得手段により取得された干渉縞画像の数に基づいて最終取得目的の位相シフト量を算出すると共に前記位相シフト手段でシフトした前記干渉縞の位相シフト量を検出し、さらに該検出された位相シフト量が前記最終取得目的の位相シフト量になるように前記位相シフト手段を制御することを特徴とする平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置。
【請求項7】 前記画像処理手段は、前記干渉縞画像取得手段が前記基準の位相で取得した第1干渉縞画像と、前記位相シフト手段が前記基準の位相からシフトした後に前記干渉縞画像取得手段が取得した第2干渉縞画像との明るさ強度の和又は差の最大値と最小値との差分が、所定の許容範囲内に収まるまで前記位相シフト手段の制御を継続することを特徴とする請求項6項記載の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置。
【請求項8】 平面計測用位相シフト干渉計によって形成された干渉縞を干渉縞画像として取得する干渉縞画像取得工程と、前記干渉縞画像取得工程で取得された干渉縞画像の画像処理を行う画像処理工程と、前記干渉縞の位相を基準の位相からシフトする位相シフト工程とを含み、前記干渉縞画像取得工程で、前記位相シフト工程によりシフトされた前記干渉縞の位相に対応して少なくとも3つの干渉縞画像を取得する前記平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御方法において、前記画像処理工程で、前記干渉縞画像取得工程で取得された干渉縞画像の数に基づいて最終取得目的の位相シフト量を算出すると共に前記位相シフト工程でシフトした前記干渉縞の位相シフト量を検出し、さらに該検出された位相シフト量が前記最終取得目的の位相シフト量になるように前記位相シフト工程を制御することを特徴とする平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御方法。
【請求項9】 平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御プログラムを格納した記憶媒体であって、前記プログラムは、平面計測用位相シフト干渉計によって形成された干渉縞を干渉縞画像として取得する干渉縞画像取得モジュールと、前記干渉縞画像取得モジュールにより取得された干渉縞画像の画像処理を行う画像処理モジュールと、前記干渉縞の位相を基準の位相からシフトする位相シフトモジュールとを備え、前記干渉縞画像取得モジュールは前記位相シフトモジュールによりシフトされた前記干渉縞の位相に対応して少なくとも3つの干渉縞画像を取得し、前記画像処理モジュールは、前記干渉縞画像取得モジュールにより取得された干渉縞画像の数に基づいて最終取得目的の位相シフト量を算出すると共に前記位相シフトモジュールでシフトした前記干渉縞の位相シフト量を検出し、さらに該検出された位相シフト量が前記最終取得目的の位相シフト量になるように前記位相シフトモジュールを制御することを特徴とする記憶媒体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置、光学的位相制御方法及び光学的位相制御プログラムを格納した記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、光学部品や鏡面加工された金属部品等の被測定物の平面形状を測定する手法の1つとして、位相シフト干渉計を使用する位相シフト法がある。この位相シフト法は、位相シフト干渉計によって位相シフトを行いながら被測定物の被検面の少なくとも3つの干渉縞画像を取得し、これらを処理することにより被測定物の平面形状を測定するものであり、具体的には、物理的に光路長を微小量変化させる光路長可変方式、及び光路長を固定した状態で光源の波長を微小量変化させる波長可変方式等がある。
【0003】例えば、光路長可変方式による干渉縞画像の位相シフト方法では、図1に示す位相シフト干渉計を使用する。図1は、従来の位相シフトフィゾー干渉計の光学系部分の構成図である。
【0004】図1において、当該干渉計は、主として、赤色半導体レーザからなる光源1と、光源1からのレーザ光を広げるためのレンズ2と、レンズ2からのレーザ光を透過させるハーフミラー3と、ハーフミラー3の透過光を平行にするコリメートレンズ4と、被測定物6に測定用波面を出射すると共に出射側面が参照波面を形成する参照板5と、被測定物6の被検面(測定面)で反射された平行光と参照板5の出射側面で反射された平行光とが重なり合うことにより形成された干渉縞画像をハーフミラー3及び結像レンズ7を透過して取得するCCDカメラ8とからなる。前に取得した干渉縞画像の明るさ情報に基づいて被測定物6の被検面の形状が算出される。参照板5は、フリンジスキャン用電歪素子9に支持され、このフリンジスキャン用電歪素子9の変位は変位制御装置10により制御される。
【0005】この干渉計を用いて被測定物6の平面形状の測定を行うときには、参照板5を支持している電歪素子9を用いて参照板5を被測定物6に対して移動させながらCCDカメラ8により、図2に示すような3枚の干渉縞画像を取得する。この際、レーザ光の波長をλとしたとき、参照板5と被測定物6との間の光路長を参照板5の移動によりλ/4づつ変化させて3枚の干渉縞画像を取得する。図2の干渉縞画像の部分の拡大図を図3に示す。
【0006】上述の3枚の干渉縞画像について、夫々の画像の画素の明るさ強度をIn(x,y)[n:画像の番号、x,y:画素のx及びy座標]とすると、被測定物6の平面形状の位相情報φ(x,y)[x,y:干渉縞画像上に対応付けられた被測定物6の被検面上の画素を単位とした座標]は、【0007】
【数1】

【0008】で算出することができる。
【0009】この位相情報φ(x,y)からさらに、位相接続処理及びレーザ光の波長λを単位とした位相値から被測定物6の被検面の寸法値に変換する変換処理を行うことにより、被測定物6の平面形状のデータを得ることができる。
【0010】ここで、電歪素子9によって被測定物6の平面形状の位相を変化させる光路長の変化量は、レーザ光の波長λの数分の一という量であるが、この干渉縞画像に対する位相変化量が正確でないと、本来平面であるはずのものを計測した場合でも、図4に示すように、各干渉縞画像の位相変化誤差に起因した形状演算誤差が発生してしまう。
【0011】そこで、位相情報φ(x,y)が正確な値となるように位相シフト量を正確に制御する必要がある。尚、この位相シフト量を正確に制御する必要がある点は、上述した波長可変方式による干渉縞画像の位相シフト方法でも同様である。但し、この場合は、変位制御装置10に代えて、光源1のレーザ光の波長λを変化させる波長制御装置が光源1に接続される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記光路長可変方式による干渉縞画像の位相シフト方法では、位相シフトを行う手段として電歪素子9を用いているため、電歪素子9の部分に更に変位制御装置10を併設することで、参照面5の移動量を調整し位相シフト誤差を低減することができるが、高精度の変位制御装置10は一般に高価となる。また、製造あるいは検査ラインで当該方法を使用する場合、繰返し複数回の測定による電歪素子9のドリフト等により、正確な平面解析が行えなくなる。
【0013】一方、上記波長可変方式による干渉縞画像の位相シフト方法は、レーザ光源により手軽に実現でき、物理的に光路長を変化させる必要が無いという利点があるが、位相シフト量を正確に制御するためには、レーザ光源の温度制御を極めて高精度に行う必要があり、装置が高価になる。また、製造あるいは検査ラインで当該方法を使用する場合、設置環境の変化(例えば、温度変化等)により、正確な平面解析が行えなくなる、等の問題を抱えている。
【0014】本発明は、上記点に着目してなされたものであり、特別な装置を利用しないで高精度な位相シフトを行うことができる平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置、光学的位相制御方法及び光学的位相制御プログラムを格納した記憶媒体を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置は、干渉縞を形成する干渉計と、前記干渉縞を画像として記憶する撮像記憶手段と、前記撮像記憶手段により記憶された干渉縞の画像処理を行う画像演算処理手段と、前記干渉縞の位相をシフトする位相シフト手段とを有する平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置において、前記画像演算処理手段が前記干渉縞の位置変化情報から光学的位相シフト量を検出し、該光学的位相シフト量が所定の光学的位相シフト量になるように前記位相シフト手段を制御することを特徴とする。
【0016】請求項2の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置は、請求項1記載の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置において、前記画像演算処理手段は、前記干渉縞の所定の部分のみの情報から前記光学的位相シフト量を検出することを特徴とする。
【0017】請求項3の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置は、請求項1又は2項記載の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置において、前記画像演算処理手段は、前記干渉縞の第1画像及び前記第1画像の干渉縞の位相をシフトさせた第2画像の明るさ強度の和又は差の最大値と最小値との差分が、所定の許容範囲内に収まるまで前記位相シフト手段の制御を継続することを特徴とする。
【0018】請求項4の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置において、前記画像演算処理手段は、前記干渉縞の位相が0°及び180°のときの前記位相シフト手段の制御量に基づいて前記干渉縞の位相が90°のときの前記位相シフト手段の制御量を算出することを特徴とする。
【0019】請求項5の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置において、前記画像演算処理手段は、前記干渉縞の位相が0°及び180°のときの前記位相シフト手段の制御量の平均値に基づいて前記干渉縞の位相が90°になるように前記位相シフト手段の制御をすることを特徴とする。
【0020】請求項6の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置は、平面計測用位相シフト干渉計によって形成された干渉縞を干渉縞画像として取得する干渉縞画像取得手段と、前記干渉縞画像取得手段により取得された干渉縞画像の画像処理を行う画像処理手段と、前記干渉縞の位相を基準の位相からシフトする位相シフト手段とを備え、前記干渉縞画像取得手段は前記位相シフト手段によりシフトされた前記干渉縞の位相に対応して少なくとも3つの干渉縞画像を取得する前記平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置において、前記画像処理手段が、前記干渉縞画像取得手段により取得された干渉縞画像の数に基づいて最終取得目的の位相シフト量を算出すると共に前記位相シフト手段でシフトした前記干渉縞の位相シフト量を検出し、さらに該検出された位相シフト量が前記最終取得目的の位相シフト量になるように前記位相シフト手段を制御することを特徴とする。
【0021】請求項7の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置は、請求項6項記載の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置において、前記画像処理手段は、前記干渉縞画像取得手段が前記基準の位相で取得した第1干渉縞画像と、前記位相シフト手段が前記基準の位相からシフトした後に前記干渉縞画像取得手段が取得した第2干渉縞画像との明るさ強度の和又は差の最大値と最小値との差分が、所定の許容範囲内に収まるまで前記位相シフト手段の制御を継続することを特徴とする。
【0022】請求項8の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御方法は、平面計測用位相シフト干渉計によって形成された干渉縞を干渉縞画像として取得する干渉縞画像取得工程と、前記干渉縞画像取得工程で取得された干渉縞画像の画像処理を行う画像処理工程と、前記干渉縞の位相を基準の位相からシフトする位相シフト工程とを含み、前記干渉縞画像取得工程で、前記位相シフト工程によりシフトされた前記干渉縞の位相に対応して少なくとも3つの干渉縞画像を取得する前記平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御方法において、前記画像処理工程で、前記干渉縞画像取得工程で取得された干渉縞画像の数に基づいて最終取得目的の位相シフト量を算出すると共に前記位相シフト工程でシフトした前記干渉縞の位相シフト量を検出し、さらに該検出された位相シフト量が前記最終取得目的の位相シフト量になるように前記位相シフト工程を制御することを特徴とする。
【0023】請求項9の記憶媒体は、平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御プログラムを格納した記憶媒体であって、前記プログラムは、平面計測用位相シフト干渉計によって形成された干渉縞を干渉縞画像として取得する干渉縞画像取得モジュールと、前記干渉縞画像取得モジュールにより取得された干渉縞画像の画像処理を行う画像処理モジュールと、前記干渉縞の位相を基準の位相からシフトする位相シフトモジュールとを備え、前記干渉縞画像取得モジュールは前記位相シフトモジュールによりシフトされた前記干渉縞の位相に対応して少なくとも3つの干渉縞画像を取得し、前記画像処理モジュールは、前記干渉縞画像取得モジュールにより取得された干渉縞画像の数に基づいて最終取得目的の位相シフト量を算出すると共に前記位相シフトモジュールでシフトした前記干渉縞の位相シフト量を検出し、さらに該検出された位相シフト量が前記最終取得目的の位相シフト量になるように前記位相シフトモジュールを制御することを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0025】図5は、本発明の実施の形態に係る位相シフト干渉計の光学部分の構成図である。
【0026】図5において、当該干渉計は、フィゾー式干渉計であり、主として、赤色半導体レーザからなる光源11と、光源11からのレーザ光を広げるためのレンズ12と、レンズ12からのレーザ光を透過させるハーフミラー13と、ハーフミラー13の透過光を平行にするコリメートレンズ14と、被測定物16に測定用波面を出射すると共に出射側面が参照波面を形成する参照板15と、参照板15を支持するフリンジスキャン用電歪素子19と、被測定物16の被検面で反射された平行光と参照板15の出射側面で反射された平行光とが重なり合うことにより形成された干渉光をハーフミラー13及び結像レンズ17を透過して取得するCCDカメラ18と、CCDカメラ18で取得された干渉光を干渉縞画像として取得し、最終的に干渉縞の位相シフト量を決めると共に被測定物16の被検面の平面形状のデータを得る画像処理装置20と、該画像処理装置20で決められた位相シフト量に基づいて電歪素子19を駆動させる電歪素子用ドライバ21とからなる。
【0027】画像処理装置20は後述するメモリ30〜37を備えている。このメモリ30〜37は別個のハードウエアとして構成する必要はなく、例えば1つのハードディスクにメモリ30〜37の役割を果たすファイルを設けてもよい。尚、図5の位相シフト干渉計では、従来技術として図1に示した変位制御装置10は使用していない。
【0028】波長可変方式による干渉縞画像の位相シフト方法の場合は、電歪素子用ドライバ21に代えて、光源1のレーザ光の波長λを変化させる光源用ドライバが光源11と画像処理装置20との間に接続される。
【0029】以下、図12及び図13を参照しながら本発明の実施の形態に係る平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御方法を用いた被測定物の平面形状の算出方法を説明する。
【0030】当該算出方法は、各々λ/4づつ位相がシフトした干渉縞画像、例えば、最初の画像を位相0°として、90°、180°の3つの位相の干渉縞画像を取得し、これらに公知の位相接続処理及び変換処理を施すことにより平面形状を算出するものである。本実施の形態においては、0°、180°、90°の順番で干渉縞画像を取得する。
【0031】図12及び図13は、位相シフト干渉法における干渉縞画像の取得処理のフローチャートである。本処理は、画像処理装置20によって実行される。
【0032】図12において、まず、位相0°で干渉縞画像(以下、「第I画像」という)を1枚取得し、メモリ30に記憶する(ステップS1)。この第I画像を図6に示す。
【0033】次に、図6に示した第I画像における明るい干渉縞に関し、その重心位置Aを算出し、この重心位置Aの画面上の画素の座標をメモリ31に記憶する(ステップS2)。
【0034】以下、第I画像の明るい干渉縞の重心位置Aの算出方法を具体的に説明する。
【0035】上記明るい干渉縞の重心位置Aは、図6の干渉縞画像中の干渉縞が現れている領域に適切にマスク処理と閾値処理とを施すことにより、図7に示すように十字マークの位置として検出することができる。
【0036】図7の例では、干渉縞を観測する観測エリアの中に4箇所の重心位置A,B,C,Dが検出されるので、この4つの重心位置を画面上の縦横の画素の情報から画面内の順番を把握した上で一旦全てメモリに記憶する。この際、観測エリアの周辺部では、一般に干渉縞が一部分のみの不完全な縞として現れるので、この部分で求めた重心位置は除外する。
【0037】そして、各重心位置の座標から、隣り合った重心間の距離を各々求め、それらのうちの最大値を求める。そして、この最大値を用いて、画像の中心から干渉縞間距離の最大値を半径とする円を描いたときに、この領域の中に入らない重心位置C,Dは無効なものとして除外し、この領域の中に入る有効な重心位置A,Bだけを抽出する。
【0038】この後の位相制御のプロセスで必要となる干渉縞の重心位置は、1つであるので、有効となる範囲の円内の重心位置A,Bのうち、任意の1点(ここでは重心位置A)についてのみ画像上の画素の座標値をメモリ31上に残し、その他を消去する。
【0039】図12に戻り、ステップS3で、位相を縞間隔の20分の1程度微小シフトする。具体的には、位相シフト量を0°から180°程度までおおよそ位相を変化させるのに必要な電歪素子用ドライバ21への指令値を予め求めておき、この指令値に適当な係数(10分の1程度)を掛けた値を実指令値としてこれを電歪素子用ドライバ21へ入力する。
【0040】次いで、第I画像よりも位相が微小シフトした干渉縞画像(以下、「第IIA画像」という)を取得し、この第IIA画像を上述した第I画像とは別のメモリ32に記憶し(ステップS4)、第IIA画像における明るい干渉縞の重心位置Bを算出し、その重心位置Bの画面上の画素の座標をメモリ33に記憶する(ステップS5)。
【0041】以下、第IIA画像における明るい干渉縞の重心位置Bの算出方法を具体的に説明する。
【0042】図8は、第IIA画像と、第I画像とにおける干渉縞の位置関係を模式的に示す。これら干渉縞の1回の移動量は、本実施の形態では縞間隔の20分の1程度と小さいので、第I画像における干渉縞の重心座標Aに対し、第IIA画像の中で最も距離の接近した干渉縞の重心位置Bを選択することで、着目している干渉縞の重心の移動を補足することができる。この新たな重心位置Bの座標は、さらに着目している干渉縞の次の移動を補足するために必要となる。
【0043】再び図12に戻り、第I画像及び第IIA画像の画像全体において、各々対応する画素同士の明るさ強度の和をとり、これらの値の最大値と最小値の差分を求め、この差分値Xnをメモリ34に記憶する(ステップS6)。
【0044】次いで、再び画像処理装置20は指令値を電歪素子用ドライバ21へ入力して位相を微小シフトし(ステップS7)、第IIA画像よりも少し縞の位置のずれた干渉縞画像(以下、「第IIIA画像」という)を取得して、この第IIIA画像を上述したメモリ32に上書きする(ステップS8)。そして、上記重心位置Bに最も接近している第IIIA画像における1つの干渉縞の重心位置Cを算出し、該重心位置Cの座標をメモリ33に上書きする(ステップS9)。
【0045】次いで、第I画像及び第IIIA画像の画像全体において、各々対応する画素同士の明るさ強度の和をとり、これらの値の最大値と最小値の差分を求め、この差分値Xn+1を上記差分値Xnとは別のメモリ35に記憶する(ステップS10)。
【0046】続くステップS11では、差分値Xn+1が予め定めた収束値Zよりも小さいか否かを判別する。ステップS11の判別の結果、差分値Xn+1が予め定めた収束値Zよりも大きい場合には、差分値Xn+1がステップS6でメモリ34に記憶された差分値Xnより小さいか否かを判別する(ステップS12)。
【0047】ステップS12の判別の結果、差分値Xn+1が差分値Xnより小さい場合には、差分値Xn+1を差分値Xnとしてメモリ34に上書きし(ステップS13)、ステップS7〜ステップS12の処理を繰り返す一方、差分値Xn+1が差分値Xnより大きい場合には、電歪素子19の移動量を減少し(即ち位相シフト量を減少し)、更に移動方向を反転させた上で(ステップS14)、ステップS7〜ステップS12の処理を繰り返す。
【0048】上記ステップS11の判別の結果、差分値Xn+1が予め定めた収束値Zよりも小さい場合には、現在メモリ32に記憶されている画像を位相を180°ずらしたときの干渉縞画像(以下「第III画像」という)としてメモリ36に記憶する(ステップS15)。
【0049】このように、上記ステップS1〜14の処理により、容易でしかも高精度に位相を180°ずらしたときの位置を求めることができる。
【0050】以下、その理由を具体的に説明する。
【0051】図8のように干渉縞が縦方向に現れている場合に、例えば、干渉縞画像の上下方向の中間位置の水平方向の画素列(図8において中央部に水平に引かれた線分上)における明るさ強度分布について着目すると、第I画像と、第IIA画像と、これらの和の夫々の明るさ強度は図9のようになる。図10(A)〜(E)は、これらの明るさ強度に関して、位相を0°から180°まで45°ずつずらしたものを示す。
【0052】図10(A)〜(E)に示すように、第I画像及び第IIA画像について、それぞれ対応する画像上の画素同士の明るさ強度の値の和を求め、この求められた値の画面全体における最大値と最小値の差が最小になる位置を探す。実際には、画像のノイズ等の影響があるので最大値と最小値の差が最小になる位置を探すのが有効である。この際、孤立点ノイズ等はフィルタリングで除去しておく必要がある。
【0053】尚、第I画像及び第IIA画像について、それぞれ対応する画像上の画素同士の明るさ強度の値の差を求め、この求められた値の画面全体における最大値と最小値の差が最大になる位置を探すことによっても、位相を180°ずらしたときの位置を求めることができる。
【0054】再び図12に戻り、ステップS1で求められた第I画像及びステップS15で求められた第III画像の干渉縞の重心位置の中間位置を求める(ステップS16)。
【0055】以下、図11を参照しながら当該中間位置を求める方法を説明する。図11は、第I画像及び第III画像について干渉縞と該干渉縞の重心位置の関係を模式的に示す。
【0056】図11に示すように、位相0°の第I画像と位相180°の第III画像より、夫々の干渉縞の重心位置が求められているから、求めるべき位相90°の第II画像における干渉縞の重心位置は、上述の2つの重心位置のちょうど中間位置になる。つまり、この中間位置は、位相0°のときの電歪素子用ドライバ21の出力と、位相180°のときの電歪素子用ドライバ21の出力との平均値を該電歪素子用ドライバ21より出力させることで、簡易的に求めることができる。
【0057】ここで、求められた中間位置に対応する画像が90°位相の干渉縞画像なので、この干渉縞画像を第II画像としてメモリ37に記憶し(ステップS17)、上記処理で得られた夫々90°ずつの位相差を持つ3枚の干渉縞画像に対して、一般的な干渉計における平面形状解析の手法に基づいて平面解析を行うことで被検面の平面形状のデータを取得する(ステップS18)。
【0058】上述したように、本実施の形態によれば、位相0°における干渉縞画像(第I画像)及び第I画像の位相をずらした干渉縞画像(第IIA画像)の画素同士の明るさ強度の和の最大値と最小値の差分値が最小になる位相を求めることにより、位相0°及び180°における干渉縞画像を取得し、これらの干渉縞画像の干渉縞の重心位置の中間位置を求めることにより、位相90°における干渉縞画像を取得し、これら3枚の干渉縞画像に基づいて平面解析を行い、測定物16の平面形状を得るので参照板15を駆動する電歪素子19に従来のように変位制御装置を付加しなくても、高精度な位相シフトを行うことができる。
【0059】また、常時、干渉縞の状態から位相シフト量を検出するため、長時間連続して測定を行っても、レーザ光源11の波長のみを安定化しておくことで、電歪素子19やシフト量検出のための変位計のドリフトの影響を受けず、高精度な位相シフトを行うことができる。
【0060】さらに、干渉縞の移動や本数のカウントに干渉縞の重心位置を用いているので、検査ライン等の自動化に非常に有利である。
【0061】尚、上述したステップS12では、差分値Xn+1が予め定めた収束値Zよりも小さい場合に、現在メモリ32に記憶されている画像を第III画像としてメモリ36に記憶したが、上述したステップS11の判別を所定回数行ったときにメモリ32に記憶されている画像を第III画像としてメモリ36に記憶してもよい。
【0062】また、本実施の形態では、180°位相差を得るために、2つの画像の和又は差を算出する場合に夫々全画素について行うように述べたが、計算時間が問題になる場合には、計算時間は画素数に比例的であるので、画素数を減らすことで、容易に計算速度を向上することができる。例えば、対角線や放射状、或いは格子状に計算に関与する画素を選択することで、干渉縞の方向に依存せず計算速度を上げることができる。
【0063】また、本実施の形態では、位相0°, 90°,180°の3枚の画像を使用したが、これは3枚に限るものではなく、3枚以上の画像を使用してもよい。
【0064】さらに、上述した一連の処理において、干渉縞の重心位置の検出は、近年の画像入力のためのハードウェアでは、ハードウェア上に組込まれている機能であるので、特に追加する機能ではなく、かつ、算出速度も殆どリアルタイムで検出することができる。また、干渉縞の重心位置の検出が可能であることから、その数をカウントすることで、おおよその干渉縞数を把握することができるので、一連の位相シフトを開始する前に、適宜、電歪素子19を制御し、計測に適した干渉縞の本数になるように参照板5の姿勢を制御することは、容易に行うことができる。
【0065】また、干渉縞の移動を干渉縞を形状として捉えるのではなく、画像全域において、画素毎の明るさ強度から検出するため、干渉縞の方向性や多少の曲率があっても干渉縞の位相シフト量を正確に検出することができる。但し、被検面が強度の球面で、干渉縞が同心円を描く場合には、予め電歪素子19を制御し、干渉縞の重心位置がほぼ直線状に並ぶように、参照板15の姿勢を変えておくことにより、本発明を適用することができる。
【0066】また、本実施の形態では、位相シフト干渉法における干渉縞画像の取得処理について説明したが、この処理をプログラムにして記憶媒体に書き込み、公知の装置で該記憶媒体から上記プログラムを読み出して実行しても、上述した処理は実行できる。また、記憶媒体は、フロッピーディスク、ハードディスク、CD−ROM、MO等の様々なものが考えられるが、特定のものに限定する必要はなく、上記プログラムを記憶できるものであればよい。
【0067】尚、本発明は、波長可変方式による干渉縞画像の位相シフト法にも適用することができる。
【0068】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、請求項1の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置によれば、画像演算処理手段が干渉縞の位置変化情報から光学的位相シフト量を検出し、該光学的位相シフト量が所定の光学的位相シフト量になるように位相シフト手段を制御するので、従来からある画像演算処理手段を使用し、特別な装置を利用しないで高精度な位相シフトを行うことができる。
【0069】請求項2の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置によれば、画像演算処理手段は、干渉縞の所定の部分のみの情報から光学的位相シフト量を検出するので、干渉縞の方向性や多少の曲率があっても干渉縞の位相シフト量を正確に検出することができる。
【0070】請求項3の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置によれば、画像演算処理手段は、干渉縞の第1画像及び第1画像の干渉縞の位相をシフトさせた第2画像の明るさ強度の和又は差の最大値と最小値との差分が、所定の許容範囲内に収まるまで位相シフト手段の制御を継続するので、第1画像の干渉縞の位相を正確に180°シフトした干渉縞の画像を得ることができる。
【0071】請求項4の光学的位相制御方式によれば、画像演算処理手段は、干渉縞の位相が0°及び180°のときの位相シフト手段の制御量に基づいて干渉縞の位相が90°のときの位相シフト手段の制御量を算出するので、容易に干渉縞の位相が90°のときの位相シフト手段の制御量を算出することができる。
【0072】請求項6の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置、請求項8の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御方法、及び請求項9の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御プログラムを格納した記憶媒体によれば、取得された干渉縞画像の数に基づいて最終取得目的の位相シフト量が算出されると共にシフトされた干渉縞の位相シフト量が検出され、さらに該検出された位相シフト量が最終取得目的の位相シフト量になるように制御されるので、特別な装置を利用しないで高精度な位相シフトを行うことができる。
【0073】請求項7の平面計測用位相シフト干渉計の光学的位相制御装置によれば、画像処理手段は、干渉縞画像取得手段が基準の位相で取得した第1干渉縞画像と、位相シフト手段が当該基準の位相からシフトした後に干渉縞画像取得手段が取得した第2干渉縞画像との明るさ強度の和又は差の最大値と最小値との差分が、所定の許容範囲内に収まるまで位相シフト手段の制御を継続するので、第1干渉縞画像の干渉縞の位相を正確に180°シフトした干渉縞画像を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
【出願日】 平成11年12月20日(1999.12.20)
【代理人】 【識別番号】100081880
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 敏彦
【公開番号】 特開2001−174213(P2001−174213A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−360733