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【発明の名称】 シリンダ位置検出装置
【発明者】 【氏名】後藤 忠敏

【氏名】坂元 和也

【氏名】坂本 宏

【氏名】山本 儀明

【氏名】永橋 伸之

【要約】 【課題】小型かつシンプルな構造を持ち、利用可能な検出可能ストローク範囲を広くとることもでき、検出対象変位が微小でも高分解能での検出が可能。

【解決手段】ピストンロッド4の表面において、少なくとも1つの磁気応答部5a,5bが、ストローク変位方向に沿って面積が漸増又は漸減する区間を有する所定のパターンで配置される。シリンダ本体の側には磁気応答部のそれぞれに対応して測定用のコイルLA,LBが設けられる。コイルを所定の交流信号で励磁し、ピストンロッドのストローク位置の変位に応じて該コイルに対する該磁気応答部の対応面積が変化し、この対応面積変化に応じて該コイルのインダクタンスが変化し、該コイルの両端間電圧が漸増又は漸減変化する。各コイルの電圧を演算することにより、ストローク位置に応じて所定の周期関数特性に従う振幅をそれぞれ示す複数の交流出力信号を生成する。2次コイルが無い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ピストンロッドの表面においてストローク変位方向に沿って面積が漸増又は漸減する区間を有する所定のパターンで配置された少なくとも1つの磁気応答部と、シリンダ本体の側に固定され、前記磁気応答部のそれぞれに対応して設けられたコイルとを具備し、前記コイルを所定の交流信号で励磁し、前記ピストンロッドの直線的ストローク位置の変位に応じて該コイルに対する該磁気応答部の対応面積が変化し、この対応面積変化に応じて該コイルのインダクタンスが変化し、前記磁気応答部が漸増又は漸減する区間に対応して該コイルの両端間電圧が漸増又は漸減するようにしたことを特徴とするシリンダ位置検出装置。
【請求項2】 前記面積の漸増又は漸減のパターン又は区間が異なる複数の前記磁気応答部を有し、該各磁気応答部に対応する前記各コイルの前記両端間電圧が前記ピストンロッドのストローク変位に対して示す漸増又は漸減のパターンは、各コイル毎に異なっており、前記各コイルの電圧をそれぞれ取り出し、それらを加算及び/又は減算することにより、前記ピストンロッドのストローク位置に応じて所定の周期関数特性に従う振幅をそれぞれ示す複数の交流出力信号を生成するアナログ演算回路であって、該複数の各交流出力信号の振幅を規定する前記周期関数特性は所定位相だけ異なる同一特性の周期関数からなるものを更に具備した請求項1に記載のシリンダ位置検出装置。
【請求項3】 前記交流信号が印加されるインピーダンス手段と、前記コイル及び前記インピーダンス手段の電圧をそれぞれ取り出し、これらに基づき前記ピストンロッドのストローク位置に応じて所定の周期関数特性に従う振幅をそれぞれ示す複数の交流出力信号を生成するアナログ演算回路であって、該複数の各交流出力信号の振幅を規定する前記周期関数特性は所定位相だけ異なる同一特性の周期関数からなるものとを更に具備した請求項1に記載のシリンダ位置検出装置。
【請求項4】 前記面積の漸増又は漸減のパターンが共通の複数の前記磁気応答部を前記ピストンロッドの円周方向に所定角度でずらして配置してなり、これにより、該各磁気応答部に対応する前記各コイルの前記両端間電圧が前記ピストンロッドのストローク変位に対して示す漸増又は漸減のパターンは各コイルで共通するものとされ、各コイルの出力電圧を加算合成することで、前記ピストンロッドの直線的ストローク変位に応じて漸増又は漸減する1つの出力電圧を生成する回路を更に具備し、この1つの出力電圧と前記インピーダンス手段の出力電圧を前記アナログ演算回路に入力するようにした請求項3に記載のシリンダ位置検出装置。
【請求項5】 前記磁気応答部は、前記ピストンロッドの表面において螺旋を描きつつストローク変位方向に沿って面積が漸増又は漸減する形状を成している請求項3に記載のシリンダ位置検出装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体圧シリンダ等のピストンストローク位置を検出するシリンダ位置検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】流体圧シリンダ等のストローク位置を検出する位置検出装置には、従来より種々の方式のものが知られている。そのうち、コイルを使用した誘導型のシリンダ位置検出装置としては、例えば、実公平2−26003号公報等に示されたものが知られている。そこにおいては、ピストンロッドの表面をねじ状に加工し、ねじの1ピッチに相当する直線変位をアブソリュートで検出する例が示されている。また、ピストンロッドの表面をリング状に凹凸加工し、凹凸リングの1ピッチに相当する直線変位をアブソリュートで検出する例が示されている。この種の従来装置における位置検出方式は、複数の1次コイルを互いに電気的位相のずれた複数相の交流信号(例えばsinωtとcosωt)でそれぞれ励磁し、各1次コイルによる2次側誘導信号を合成して1つの2次出力信号を生成し、励磁用の交流信号に対するこの2次出力信号における電気的位相ずれが検出対象ピストン位置を示すようにした位相シフトタイプからなっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来知られたシリンダストローク位置検出装置に用いられる誘導型位置センサのコイル構成は、1次コイルと2次コイルが必要であるため、部品点数が多くなり、製造コストを低廉にするのに限界があった。また、小型化するにも限界があった。励磁コイルの自己インダクタンスを測定するタイプの位置検出器も知られており、それはそれでコイル数を減らすことができるが、検出対象の変位に応じた移相量が狭い範囲でしか得られないため、実際はその移相量の測定が困難であり、また、検出分解能が悪く、実用化には不向きであった。本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、小型かつシンプルな構造を持つと共に、利用可能な検出可能ストローク範囲を広くとることもでき、また、検出対象の変位が微小でも高分解能での検出が可能なシリンダ位置検出装置を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明に係るシリンダ位置検出装置は、ピストンロッドの表面においてストローク変位方向に沿って面積が漸増又は漸減する区間を有する所定のパターンで配置された少なくとも1つの磁気応答部と、シリンダ本体の側に固定され、前記磁気応答部のそれぞれに対応して設けられたコイルとを具備し、前記コイルを所定の交流信号で励磁し、前記ピストンロッドの直線的ストローク位置の変位に応じて該コイルに対する該磁気応答部の対応面積が変化し、この対応面積変化に応じて該コイルのインダクタンスが変化し、前記磁気応答部が漸増又は漸減する区間に対応して該コイルの両端間電圧が漸増又は漸減するようにしたことを特徴とするものである。
【0005】磁気応答部は、磁性体及び導電体の少なくとも一方を含んでなるものであってよい。磁気応答部が磁性体からなる場合は、コイルに対する該磁気応答部の対応面積が増すほど該コイルの自己インダクタンスが増加し、該コイルの両端間電圧が漸増する。一方、磁気応答部として銅のような良導電体を使用した場合は、渦電流損によってコイルの自己インダクタンスが減少し、コイルに対する該磁気応答部の対応面積が増すほど該コイルの自己インダクタンスが減少し、該コイルの両端間電圧が漸減する。また、磁気応答部として、磁性体と導電体を組合わせたハイブリッドタイプのものを用いてもよい。このようなコイル端子間電圧の漸増(又は漸減)変化を、所定周期関数の部分的位相範囲での変化に見立ててこの特性を利用することにより、ピストンロッドのストローク位置を検出することができる。
【0006】一実施例として、複数の磁気応答部をピストンロッドに配置し、各磁気応答部とそれに対応するコイルとの対応面積の漸増又は漸減のパターン又は区間が異なるように配置する。これにより、各磁気応答部に対応する各コイルの両端間電圧がピストンロッドのストローク変位に対して示す漸増又は漸減のパターンを、各コイル毎に異ならせることができる。各コイルの電圧をそれぞれ取り出し、それらを加算及び/又は減算することにより、ピストンロッドのストローク位置に応じて所定の周期関数特性に従う振幅をそれぞれ示す複数の交流出力信号を生成するアナログ演算回路を更に具備し、該複数の各交流出力信号の振幅を規定する前記周期関数特性が所定位相だけ異なる同一特性の周期関数からなるようにすることができる。すなわち、各コイルの端子間電圧をそれぞれ取り出し、それらを加算及び/又は減算して組合わせることにより、ピストンロッドのストローク位置に応じて所定の周期関数特性に従う振幅をそれぞれ示す複数の交流出力信号を生成することができる。
【0007】例えば、典型的には、該コイルの両端間電圧の漸増変化カーブは、例えばサイン関数における0度から90度までの範囲の関数値変化になぞらえることができる。また、この漸増変化カーブは、その振幅を負に反転して、所定レベル(オフセットレベル)を加算する電圧シフトを行なえば、所定レベルから漸減する漸減変化カーブに変換することができる。このような漸減変化カーブは、例えばサイン関数における90度から180度までの範囲の関数値変化になぞらえることができる。かくして、コイルの両端間電圧の漸増又は漸減変化は、必要に応じて適宜の加算及び/又は減算を施すことにより、サイン関数における0度から90度までの範囲の関数値変化、90度から180度までの範囲の関数値変化、180度から270度までの範囲の関数値変化、270度から360度までの範囲の関数値変化、等にそれぞれなぞらえることができる。各範囲におけるカーブの傾斜方向や電圧シフトのオフセットレベルは、適切なアナログ演算により、適宜コントロールすることができる。しかして、ピストンロッドのストローク位置に応じてサイン関数特性に従う振幅を示す第1の交流出力信号を生成することができ、また、このサイン関数に対して90度位相ずれた同一特性の周期関数つまりコサイン関数の特性に従う振幅を示す第2の交流出力信号を生成することもできる。
【0008】このように、好ましい一実施形態として、ピストンロッドのストローク位置に応じてサイン及びコサイン関数特性に従う振幅をそれぞれ示す2つの交流出力信号を生成することができる。例えば、検出対象ストローク位置を角度θに置き換えて示すと、概ね、サイン関数特性を示す振幅を持つ交流出力信号は、sinθsinωtで示すことができるものであり、コサイン関数特性を示す振幅を持つ交流出力信号は、cosθsinωtで示すことができるものである。これは、レゾルバといわれる位置検出器の出力信号の形態と同様のものであり、極めて有用なものである。例えば、前記アナログ演算回路で生成された前記2つの交流出力信号を入力し、該2つの交流出力信号における振幅値の相関関係から該振幅値を規定する前記サイン及びコサイン関数における位相値を検出し、検出した位相値に基づき前記検出対象の位置検出データを生成する振幅位相変換部を具備するようにするとよい。
【0009】かくして、この発明によれば、1次コイルのみを設ければよく、2次コイルは不要であるため、小型かつシンプルな構造のシリンダ位置検出装置を提供することができる。また、ストローク位置の変化に応じた磁気応答部との対応面積の漸増(又は漸減)変化に応じて漸増(又は漸減)するコイルの両端間電圧を適宜加算及び/又は減算することにより、検出対象ストローク位置に応じて所定の周期関数特性に従う振幅をそれぞれ示す複数の交流出力信号(例えばサイン及びコサイン関数特性に従う振幅をそれぞれ示す2つの交流出力信号)を容易に生成することができ、利用可能な位相角範囲を広くとることができる。例えば、上記のように、0度から360度までのフルの位相角範囲で検出を行うことも可能である。勿論、フルの位相角範囲に限らず、0度から90度まで、あるいは0度から180度までのように限られた位相角範囲で検出を行うことも可能である。また、これら複数の交流出力信号における振幅値の相関関係から該振幅値を規定する所定周期関数(例えばサイン及びコサイン関数)における位相値を検出することで、検出対象の変位が微小でも高分解能での位置検出が可能である。
【0010】ストローク変位方向に沿って面積が漸増又は漸減する区間を有する所定のパターンで配置された磁気応答部を実質的に1つだけ設け、これに対応してコイルを1つだけ設けるようにしてもよい。その場合は、前記交流信号が印加されるインピーダンス手段と、前記コイル及び前記インピーダンス手段の電圧をそれぞれ取り出し、これらに基づき前記ピストンロッドのストローク位置に応じて所定の周期関数特性に従う振幅をそれぞれ示す複数の交流出力信号を生成するアナログ演算回路であって、該複数の各交流出力信号の振幅を規定する前記周期関数特性は所定位相だけ異なる同一特性の周期関数からなるものとを更に具備する。コイルが1つだけの場合、ストローク位置に応じてコイルから発生される電圧の漸増(又は漸減)変化カーブは1つだけしか発生されない。それだけでは、検出対象ストローク位置に応じて所定の周期関数特性に従う振幅をそれぞれ示す複数の交流出力信号、典型的には、検出対象位置に応じてサイン及びコサイン関数特性に従う振幅をそれぞれ示す2つの交流出力信号、を生成するのは困難である。そこで、ダミーの電圧発生手段として、前記交流信号が印加されるインピーダンス手段を設け、前記コイルの両端間電圧とこのダミーのインピーダンス手段の両端間電圧とを組合わせることで、検出対象位置に応じて所定の周期関数特性に従う振幅をそれぞれ示す複数の交流出力信号、典型的には、検出対象位置に応じてサイン及びコサイン関数特性に従う振幅をそれぞれ示す2つの交流出力信号、を生成することができるようにしている。ダミーのインピーダンス手段としては、抵抗素子でもよいし、コイルのようなインダクタンス手段でもよい。この場合、異なるパターン又は区間で配置された複数の磁気応答部とそれらの対応するコイルを設けるタイプと同様の効果を得ることができることに加えて、コイルが1個でよいため、超小型、微小変位の検出に適している。
【0011】前記面積の漸増又は漸減のパターンが共通の複数の前記磁気応答部を前記ピストンロッドの円周方向に所定角度でずらして配置してなり、これにより、該各磁気応答部に対応する前記各コイルの前記両端間電圧が前記ピストンロッドのストローク変位に対して示す漸増又は漸減のパターンは各コイルで共通するものとされ、各コイルの出力電圧を加算合成することで、前記ピストンロッドの直線的ストローク変位に応じて漸増又は漸減する1つの出力電圧を生成する回路を更に具備し、この1つの出力電圧と前記インピーダンス手段の出力電圧を前記アナログ演算回路に入力するようにしてもよい。この場合は、ピストンロッドの伸縮ストローク変化時における自重による軸心ずれが起こっても、各コイルの出力電圧が加算によって平均化されることにより、ストローク位置検出精度に悪影響を与えないものとすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照してこの発明の実施の形態を詳細に説明しよう。図1はこの発明に係るシリンダ位置検出装置を適用したシリンダ装置1の外観を略示する斜視図である。シリンダ装置1は、油圧または空気圧シリンダなど、どのようなタイプのシリンダであってもよい。このシリンダ装置1は、通常知られるように、シリンダ本体2と、このシリンダ本体2内に収納されて該シリンダ本体2に対して相対的に直線変位するピストン3と、このピストン3に一端が連結され、他端がシリンダ本体2の端部開口から外部に突出していて、ピストン3の直線変位に伴って軸方向(図示の矢印x)に直線変位するピストンロッド4とを含んでいる。なお、シリンダ本体2に関連する油圧または空気圧回路等の図示は省略してある。
【0013】シリンダ位置検出装置は、ピストンロッド4の表面においてストローク変位方向に沿って面積が漸増又は漸減する区間を有する所定のパターンで配置された磁気応答部5と、シリンダ本体2の側に固定され、磁気応答部5に対応して設けられたコイルからなるコイルセンサ部6とを具備している。磁気応答部5は、ピストンロッド4の表面の他の部分とは磁気応答特性が異なるように形成された部分であり、例えば、その部分で、他の部分よりもパーミアンスの増加若しくは減少(磁気抵抗の減少若しくは増加)を生ぜしめるようなものであり、典型的には磁性体及び導電体の少なくとも一方を含んでなるものである。磁気応答部5が磁性体からなる場合は、コイルに対する磁気応答部5の対応面積が増すほど該コイルの自己インダクタンスが増加し、該コイルの両端間電圧が漸増する。一方、磁気応答部5として銅のような良導電体を使用した場合は、渦電流損によってコイルの自己インダクタンスが減少し、コイルに対する磁気応答部5の対応面積が増すほど該コイルの自己インダクタンスが減少し、該コイルの両端間電圧が漸減する。また、磁気応答部5として、磁性体と導電体を組合わせたハイブリッドタイプのものを用いてもよい(例えば、鉄からなるロッド4の表面に所定のパターンで凹みを形成し、その凹みに銅のような良導電体を埋め込み配置する)。以下では、磁気応答部5は銅のような非磁性の良導電体からなるものとする。例えば、ピストンロッド4の表面に所定のパターンで銅メッキを施すことにより、所望の配置パターンからなる磁気応答部5を形成することができる。コイルセンサ部6は、追って説明するように、そのコイル構成をかなり小型化することができるため、既存のシリンダヘッド7(ロッド軸受)の内部に収納することができる。
【0014】図2はピストンロッド4の表面における磁気応答部5の配置パターンを示す展開図である。図でピストンロッド4の直線変位の方向を矢印xで示す。磁気応答部5は2つのパターン5a、5bからなっており、第1のパターン5aは図において、左から右に向かって漸増する三角形状を成しており、パターン5bは反対に左から右に向かって漸減する逆三角形状を成している。すなわちパターン5a、の面積が漸増する区間及びパターン5bの面積が漸減する区間はピストンロッド4軸方向の全長にわたる。
【0015】図3はコイルセンサ部6の構成例を示す概念的略図であり、シリンダ本体2の端部開口の側から見た正面図の形式で示されている。コイルセンサ部6はパターン5a、5bにそれぞれ対応して設けられた2つのコイルLa、Lbからなり、各コイルはそれぞれピストンロッド4の軸周の半面(ほぼ180度の範囲)をカバーするように配置されている。すなわち、コイルLaはパターン5aの配置領域をカバーしており、コイルLbはパターン5bの配置領域をカバーしている。コイルLa,Lbは、巻数、コイル長等の性質が同等であり、各コイルの内部磁束はロッド4表面に略垂直に(ロッドの径方向に)生じるように配置される。
【0016】図2に示すように、ピストンロッド4の表面のパターン5aは図において、左から右に向かって漸増する三角形状を成しており、パターン5bは、反対に左から右に漸減する逆三角形状を成していることから、矢印x方向へのピストンロッド4の直線的ストローク変位に応じて、コイルLaに対向するパターン5aの対応面積は小さくなる。それに応じて、導電体からなるパターン5aによる渦電流損失が減少し、相対的にコイルLaの自己インダクタンスが増加するので、コイルLaの両端間電圧は、パターン5aの面積の漸減に対応して漸増する。この時、コイルLbに対向するパターン5bの対応面積は漸増し、渦電流損失が漸増することによってコイルLbの自己インダクタンスは漸減し、コイルLbの両端間電圧は、パターン5bの面積の漸増に対応して漸減する。勿論、ピストンロッド4が矢印xの反対方向に戻る時は、各コイルLa,Lbに対する各パターン5a,5bの対応面積は上記とは逆に漸減または漸増する。このようにコイルLaとLbの自己インダクタンスはピストンロッド4の直線変位に応じて互いに逆方向に変化する。
【0017】図4(a)はコイルセンサ部6におけるコイル接続例を示す回路図であり、各コイルLa,Lbは交流電源8から発生される所定の1相の交流出力信号(仮にsinωtで示す)によって定電圧又は定電流で励磁される。各コイルLa,Lbの両端間電圧をそれぞれVa,Vbで示すと、このそれぞれの電圧V,Vbを取り出すために、端子9〜11が設けられている。前述のようにピストンロッド4の矢印x方向への直線的ストローク位置の変位に応じたコイルLa,Lbに対するパターン5a,5bの対応面積の変化に応じて、各コイルLa,Lbの自己インダクタンスが変化し、図4(b)に示すように、コイルLaの両端間の電圧Vaは漸増変化し、コイルLbの両端間の電圧Vbは漸減変化する。典型的には、コイルセンサ部6に対応する磁気応答部5のパターンの対応面積の変化に応じたコイル両端間電圧の漸増又は漸減変化カーブは、サイン関数又はコサイン関数における90度未満の適宜の範囲の関数値変化になぞらえることができる。よってピストンロッド4のストローク位置に応じたサイン及びコサイン関数特性を示す振幅をそれぞれ持つ2つの交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtを生成することができる。
【0018】すなわち、図4(b)に示すようなコイルLaの出力電圧Vaの漸増変化は、概ね、サイン関数におけるほぼ0度から90度の範囲内に納まる適宜の範囲の関数値変化になぞらえることができる。よって、コイルLaの出力電圧Vaを適当なアナログバッファ回路21を介して取り出すことにより、サイン関数特性の交流出力信号を得ることができ、これは、等価的に「sinθsinωt」と示すことができる(但し、θは0度から90度の範囲未満)。また、コイルLbの両端間の電圧Vbは漸減変化は、コサイン関数におけるほぼ0度から90度の範囲内に納まる適宜の範囲の関数値変化になぞらえることができる。よって、コイルLbの出力電圧Vbを適当なアナログバッファ回路21を介して取り出すことにより、コサイン関数特性の交流出力信号を得ることができ、これは、等価的に「cosθsinωt」と示すことができる(但し、θは0度から90度の範囲未満)。
【0019】各交流出力信号の振幅成分であるサイン及びコサイン関数における位相角θは、ピストンロッド4の直線的ストローク位置に対応している。この場合、有効検出範囲は、図4(c)に示すように、サイン関数とコサイン関数とがクロスする0度から90度までの範囲内の適宜の範囲に対応している。すなわち、この0度から90度の範囲内の適宜の範囲が、ピストンロッド4のストローク位置検出可能範囲に対応しており、この範囲における上記位相角θの値を検出することにより、ピストンロッド4のストローク位置をアブソリュートで検出することができる。
【0020】ここで、本発明の位置検出装置において得られる2相の交流出力信号(sinθsinωt及びcosθsinωt)は、従来知られたレゾルバの出力と同様の使い方をすることができる。例えば、図4(a)に示すように、センサ部6の各コイル交流出力信号を適宜の位相検出回路12に入力し、前記サイン関数sinθとコサイン関数cosθの位相値θを位相検出方式によって検出し、位相角θのディジタルデータDθを得るようにすることができる。位相検出回路12で採用する位相検出方式としては、例えば、特開平9−126809号公報に示された技術を用いて構成するとよい。例えば、第1の交流出力信号sinθsinωtを電気的に90度シフトすることで、交流出力信号sinθcosωtを生成し、これと第2の交流出力信号cosθsinωtを加減算合成することで、sin(ωt+θ)およびsin(ωt−θ)なる、θに応じて進相および遅相方向に位相シフトされた2つの交流出力信号(振幅位相成分θを交流位相ずれに変換した信号)を生成し、その位相θを測定することで、ストローク位置検出データを得ることができる。あるいは、公知のレゾルバ出力を処理するためのR−D(レゾルバ−ディジタル)コンバータを適用してもよい。検出した位相角θのディジタルデータDθは、ピストンロッド4の直線的ストローク位置に対応しているものであり、よって、ピストンロッド4のストローク位置をアブソリュートで検出することができる。なお、ディジタルデータを出力する方式に限らず、検出したストローク位置を示すアナログデータを出力するようにしてもよいのは勿論である。
【0021】なお、図4(b)に示すように、サイン及びコサイン関数特性の交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtにおける振幅特性は、角度θと検出対象位置xとの対応関係が線形性を持つものとすると、真のサイン及びコサイン関数特性を示していない。しかし、位相検出回路12では、見かけ上、この交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtをそれぞれサイン及びコサイン関数の振幅特性を持つものとして位相検出処理して差し支えない。その結果、検出した位相角θは、検出対象位置xに対して、線形性を示さないことになるかもしれない。しかし、位置検出にあたっては、そのように、検出出力データ(検出した位相角θ)と実際の検出対象位置との非直線性はあまり問題にしなくてもよい。つまり、所定の反復再現性をもって位置検出を行なうことができればよいのである。また、必要とあらば、位相検出回路12の出力データを適宜のデータ変換テーブルを用いてデータ変換することにより、検出出力データと実際の検出対象位置との間に正確な線形性を持たせることが容易に行なえる。よって、本発明でいうサイン及びコサイン関数の振幅特性を持つ交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtとは、真のサイン及びコサイン関数特性を示していなければならないものではなく、図4(b)に示されるように、実際は三角波形状のようなものであってよいものであり、要するに、そのような傾向を示していればよい。つまり、サイン等の三角関数に類似した周期関数であればよい。なお、図4(b)の例では、観点を変えて、その横軸の目盛をθと見立ててその目盛が所要の非線形目盛からなっているとすれば、横軸の目盛をストローク位置と見立てた場合には見かけ上三角波形状に見えるものであっても、θに関してはサイン関数又はコサイン関数ということができる。
【0022】かくして、この発明によれば、1次コイルのみを設ければよく、2次コイルは不要であるため、小型かつシンプルな構造のシリンダ位置検出装置を提供することができる。また、検出対象ストローク位置に応じて所定の周期関数特性に従う振幅をそれぞれ示す複数の交流出力信号(例えばサイン及びコサイン関数特性に従う振幅をそれぞれ示す2つの交流出力信号)を容易に生成することができる。また、これら複数の交流出力信号における振幅値の相関関係から該振幅値を規定する所定周期関数(例えばサイン及びコサイン関数)における位相値を検出することで、検出対象の変位が微小でも高分解能での位置検出が可能である。
【0023】上記実施例において使用するコイルの構成は上述のものに限定されないのは言うまでもない。図5にコイル変更例の一例を示す。図5(a)に斜視図を示し、同図(b)にコイルと磁気応答部パターンの展開図を示す。この場合は、コイルの中心空間内にピストンロッド4が侵入する構成になっており、コイルの内部磁束の向きはロッド4の軸方向を指向している。パターン5aに対応するコイルLA及びパターン5bに対応するコイルLBは、巻数、コイル長等の性質が同等の2つのコイルを隣接配置してなるものである。各コイルの内周の半面(ほぼ180度の範囲)には、例えば銅等の良導電体でマスキングMA,MBを施す。これによりマスキングが施されていない半面においてのみ対応している磁気応答部5a,5bの対応面積に応じた出力電圧が各コイルLA,LBから生じることになる。コイルLAにおけるマスキングMAはパターン5bに対応する半面に施されており、コイルLAはパターン5bに応答せず、パターン5aにのみ応答する。コイルLBにおけるマスキングMBはパターン5aに対応する半面に施されており、コイルLBはパターン5aに応答せず、パターン5bにのみ応答する。よって、パターン5aのコイル対応面積の漸減に対応してコイルLAからの出力電圧が漸増し、パターン5bのコイル対応面積の漸増に対応してコイルLBからの出力電圧が漸減し、前述と同様に図4のように検出動作を行うことができる。
【0024】ところで、図2または図5の例では、ピストンロッド4が回転した場合は、センサ部6の各コイルLa,Lbに対する磁気応答部5a、5bの対応位置がずれてしまい、センサ部6の出力がピストンロッド4の直線的ストローク位置を正確に反映しないものとなってしまう。この問題は、ピストンロッド4が回転しないように構成すれば解決できるし、また、ピストンロッド4が回転しないような環境で使用すればよい。一方、シリンダ装置が大型である場合等は、ピストンロッド4もまたある程度重量のあるものとなる。すると、ロッド4の伸縮ストローク変位時に、ロッド4の自重により、ロッド4にたわみが生じ易い。ロッド4がたわむと、コイルに対する軸芯がずれてしまい、それにより、センサ部6と磁気応答部5とのギャップが変化してコイルの自己インダクタンスが変化してしまい、センサ部6からの出力はピストンロッド4の直線的ストローク位置を正確に反映しないものとなってしまう。そこで、次に、ピストンロッド4の回転及び軸芯ずれによる検出誤差を除去するようにした実施例について、図6により説明する。
【0025】図6(a)は、図2と同様の、ピストンロッド4の表面の展開図である。磁気応答部5は3つの共通なパターン5a,5b,5cからなり、これらをピストンロッド4の側面を円周方向に3分割した範囲に対応して並列的に配置してなり、何れも、同図(a)において、左から右に向かって漸減する三角形状を成している。コイルセンサ部6はパターン5a,5b,5cにそれぞれ対応する3つのコイルLa、Lb、Lcからなり、ロッド4の円周方向を3分割した各120度の範囲にそれぞれ対応するように配置されており、各コイルLa,Lb,Lcは磁気応答部の各パターン5a,5b,5cにそれぞれ対応づけられる。これにより、磁気応答部パターン5a〜5cに対応する各コイルLa〜Lcの両端間電圧が、ピストンロッド4の直線的ストローク位置変位に応じて示す漸減または漸増変化のパターンは各コイルで共通するものとなる。図6(b)はコイル接続例を示す回路図である。各コイルLa,Lb,Lcからの出力電圧をVa,Vb,Vcとする。この出力電圧Va,Vb,Vcを平均化回路13で平均化または加算合成して、その平均値または合成値を1出力VAとする。
【0026】各コイルLa〜Lcからの出力電圧Va〜Vcを加算合成して1出力VAとすることにより、もしピストンロッド4が回転してしまったとしても、本発明においては、複数の各コイルLa〜Lcからの同じ特性の出力を加算合成しているので、回転による個々のコイルの出力誤差は相殺される。また、ピストンロッド4の軸芯位置が伸縮時のたわみ等によってずれた場合、或るコイルと磁気応答部5とのギャップが狭まり、該コイルの自己インダクタンスが相対的に減少して相応の出力誤差が生じたとしても、その反対側では、前記ギャップがその分だけ広がり、対応するコイルの自己インダクタンスが相対的に増大して前記出力誤差と同等の逆向きの誤差もまた生じるので、各出力Va,Vb,Vcを加算合成することにより、ピストンロッド4の軸芯のズレによって生じる出力誤差が相殺され、ピストンロッド4の軸芯ずれによる悪影響を受けない。
【0027】矢印x方向へのピストンロッド4の直線的ストローク位置変位に応じてコイルLa,Lb,Lcに対向するパターン5a,5b,5cの対応面積は漸増する。それに応じた渦電流損失の漸増により各コイルの自己インダクタンスが漸減し、各コイルLa〜Lcからの出力電圧Va〜Vcは漸減変化する。そして、各出力電圧Va〜Vcを加算合成した結果である電圧VAの漸減変化は、図6(c)に示すように、ほぼ0度から90度の範囲内に納まる適宜の範囲でのコサイン関数特性になぞらえることができる。ここで、コイルに対するパターンの対応面積がいちばん小さいときに得られる電圧、すなわち最大電圧をVNとすると、適宜の定電圧発生回路14から定電圧VNを発生し、定電圧VNから該電圧VAを減算すると、得られる電圧「VN−VA」は、図6(c)に示すようにほぼ0度から90度の範囲内に納まる適宜の範囲でのサイン関数特性になぞらえることができる。
【0028】従って、図6(b)において、コイルLa,Lb,Lcの両端間電圧Va,Vb,Vcを平均化回路13で加算合成することで、平均化し、その合成出力VAとして、コサイン関数特性の交流出力信号cosθsinωtに相当する信号を生成することができる。また、定電圧発生回路14から発生した定電圧VNから前記合成出力VAを減算回路15で減算することにより、その減算結果「VN−VA」として、サイン関数特性の交流出力信号sinθsinωtに相当する信号を生成することができる。よって、前述と同様に図4のような検出動作を行うことができる。なお、定電圧発生回路14は、コイルLa,Lb及びLcと同等の特性を持つダミーコイルを用いて構成し、同じ励磁交流出力信号によって励磁するようにすれば温度ドリフトに対する補償が行われるので都合がよい。
【0029】上記の実施例では、サイン及びコサイン関数特性の交流出力信号sinθsinωt及びcosθsinωtにおける振幅関数sinθ及びcosθの位相成分θの、シリンダ1ストロークに対応する変化範囲は0度から90度までの角度範囲未満であったが、それに限らず、より広い角度範囲がシリンダ1ストロークに対応するようにしてもよい。例えば、0度から360度までのフルの位相角範囲で検出を行うことも可能である。勿論、フルの位相角範囲に限らず、0度から180度までのように限られた位相角範囲で検出を行うことも可能である。利用可能な位相範囲は、検出目的等に応じて適宜に設定可能であり、所望の位相変化が得られるように磁気応答部、コイル、演算回路等を適宜に構成すればよい。以下、それらの変更例を示す。
【0030】図7は、0度から180度までの位相変化を生じさせることができる実施例を示す。図7(a)はピストンロッド4の表面のパターン配置例を示す展開図である。磁気応答部は6つのパターン5a,5b,5c,5d,5e,5fからなり、これらをピストンロッド4の側面を円周方向に6分割した範囲に対応して並列的に配置してなる。パターン5a,5c及び5eは互いに共通なパターンであり、パターン5b,5d及び5fも互いに共通なパターンである。パターン5a,5c及び5eは、同図(a)においてロッド4の長さ方向の左半分の区間で、左から右に向かって、磁気応答部の面積が漸減し、右半分の区間では磁気応答部を有さないパターンである。パターン5b,5d及び5fは、同図(a)においてロッド4の長さ方向の右半分の区間で、左から右に向かって、磁気応答部の面積が漸減し、左半分の区間では全面が磁気応答部からなるパターンである。コイルセンサ部6は各パターン5a,5b,5c,5d,5e,5fにそれぞれ対応するコイルL1,L2,L3,L4,L5,L6からなり、ロッド4の円周方向を6分割した各60度の範囲にそれぞれ対応するように配置されている。
【0031】矢印x方向へピストンロッド4が変位すると、そのストロークのほぼ前半の区間において、パターン5b,5d,5fとそれに対応するコイルL2,L4,L6との対応面積が漸増し、各コイルL2,L4,L6の出力電圧V2,V4,V6が漸減変化する。この前半区間では、他のパターン5a,5c,5eに対応するコイルL1,L3,L5の出力電圧V1,V3,V5は、磁気応答部(導電体)がないため、最大レベルを維持する。漸減変化パターンがそれぞれ共通である出力電圧V1,V3及びV5さらにピストンロッド4が変位すると、そのストロークのほぼ後半の区間において、パターン5a,5c,5eとそれに対応するコイルL1,L3,L5との対応面積が漸増し、各コイルL1,L3,L5の出力電圧V1,V3,V5が漸減変化する。この後半区間では、他のパターン5b,5d,5fに対応するコイルL2,L4,L6の出力電圧V2,V4,V6は、磁気応答部(導電体)が常に存在するため、最小レベルを維持する。変化パターンがそれぞれ共通である出力電圧V1,V3及びV5は図7(b)における平均化回路16で加算合成され、出力VAを得る。また出力電圧V2,V4及びV6も平均化回路16で加算合成され、出力VBを得る。各合成出力VA、VBの一例を図8(a)に示す。このように第一の共通パターン5a,5c,5eと第二の共通パターン5b,5d,5fとを交互に配置し、それぞれの出力を加算合成した理由は、前述の図6の例と同様に、ロッド4の回転、軸芯ずれの悪影響を受けないようにするためである。
【0032】コイル出力電圧の最大電圧をVNとすると、これに対応する定電圧VNを定電圧発生回路14から、図8(a)に示すように、発生させる。出力電圧VAとVBの加算値から該定電圧VNを減算すると、得られる電圧「VA+VB−VN」は、図8(b)に示すように、ほぼ0度から180度範囲内に納まる範囲のコサイン関数特性になぞらえることができる。一方、電圧VAからVBを減算すると、得られる電圧「VA−VB」は、同図(b)に示すように、ほぼ0度から180度範囲内に納まる範囲のサイン関数特性になぞらえることができる。従って、図7(b)において、出力電圧VA,VBを減算回路17で減算することにより、その減算結果を「VA−VB」として、サイン関数特性の交流出力信号sinθsinωtに相当する信号を生成することができる。また、出力電圧VA,VBを加算回路18で加算し、その加算結果から定電圧発生回路14から発生した定電圧VNを減算回路19で減算することにより、その減算結果を「VA+VB−VN]として、コサイン関数特性の交流出力信号cosθsinωtに相当する信号を生成することができる。よって、前述の図4の例と同様な検出動作を行うことができ、シリンダ1ストロークの範囲を0度から180度の範囲内の適宜の位相角範囲に換算して検出が行える。
【0033】更に別の実施例として、シリンダ1ストロークに対応して0度から360度までの位相変化を生じさせることができる例を、図9に示す。この実施例では、磁気応答部5として、磁性体と導電体を組合わせたハイブリッドタイプのものを採用する。例えば、鉄からなるロッド4の表面に所定のパターンで凹みを形成し、その凹みに銅のような良導電体を埋め込む。尚、この実施例においては、鉄の凸部箇所を磁気応答部パターンと称する。図9(a)はピストンロッド4の表面のパターン配置例を示す展開図である。磁気応答部5は4つのパターン5a,5b,5c,5dからなり、ロッド4の側面を円周方向に4分割した範囲に対応して配置してなる。説明の便宜上、同図(a)において、ロッド4を長さ方向に4分割し、4分の1の各区間をそれぞれP1,P2,P3,P4と称する。パターン5aは、図において左から右に向かって、P1区間で磁性体の面積が漸減する(導電体の面積は漸増)三角形状のパターンを成し、P4区間で磁性体の面積が漸増(導電体の面積は漸減)する三角形状のパターンを成し、P2及びP3区間では全域が導電体からなる。パターン5bは磁性体の面積がP3区間で漸増し、P4区間で漸減し、他の区間P1,P2では全域が導電体からなる。パターン5cは磁性体の面積がP2区間で漸増し、P3区間で漸減し、他の区間P1,P4では全域が導電体からなる。パターン5dは磁性体の面積がP1区間で漸増し、P2区間で漸減し、他の区間P3,P4では全域が導電体かなる。コイルルセンサ部6は各パターン5a〜5dにそれぞれ対応するコイルL1,L2,L3,L4からなり、ロッド4の円周方向を4分割した各90度の範囲にそれぞれ対応するように配置されている。
【0034】矢印x方向へピストンロッド4が変位するときのストローク位置の変化に応じた出力電圧V1〜V4の漸増及び漸減変化を、図9(b)に示す。各パターンと出力電圧変化の関係を明確に示すために、前記区切りP1,P2,P3,P4の対応位置を図9(b)にも示す。出力電圧V1からV2を減算すると、得られる電圧「V1−V3」は、図9(c)に示すように、ほぼ0度から360度範囲内に納まる範囲のコサイン関数特性になぞらえることができる。一方、電圧V2からV4を減算すると、得られる電圧「V2−V4」は、同図(c)に示すように、ほぼ0度から360度範囲内に納まる範囲のサイン関数特性になぞらえることができる。
【0035】図9の実施例における回路構成例を図10に示す。髄10に示すように、出力電圧V1,V3をアナログ演算回路20で減算し、その減算結果を「V1−V3」として、図9(c)に示すような、360度の範囲のコサイン関数特性の交流出力信号cosθsinωtに相当する信号を生成することができる。また、出力電圧V2,V4をアナログ演算回路20で減算し、その減算結果を「V2−V4」として、図9(c)に示すような、360度の範囲のサイン関数特性の交流出力信号sinθsinωtに相当する信号を生成することができる。よって、前述の図4の例と同様な検出動作を行うことができ、ほぼ0度から360度の幅の位相角範囲における検出ができる。
【0036】上述の各実施例においては、磁気応答部5が複数のパターンからなる例を説明したが、それに限らず、磁気応答部のパターンは一つであっても可能である。図11はその一例を示すもので、(a)に示すように、面積が漸減する三角形状の磁気応答部5のパターンが、ピストンロッド4の表面で螺旋を描くように配置されてなるものである。この磁気応答部5の螺旋パターンは、ロッド4のストローク変位方向に沿って面積が漸増又は漸減するもので、これは展開すると、図11(b)に示すような、左から右に向かって面積が漸減する三角形状の1つのパターンと等価であり、実質的には1パターンであるといえる。この場合、磁気応答部5が1パターンなので、コイルセンサ部6は、それに対応する1つのコイルからなり、コイルの中心空間内にピストンロッド4が侵入する構成の(コイルの内部磁束の向きがロッド4の軸方向を指向している)ものを採用する。コイルが1個であるから、出力電圧の変化カーブは1パターンしか発生されないので、図6(b)の低電圧発生回路14と同様なダミーの電圧発生手段を設け、図6(c)と同様にコイルの両端間電圧VAとダミー定電圧出力VNとを適宜に組み合わせ、検出対象位置に応じてサイン及びコサイン関数特性に従う振幅をそれぞれ示す2つの交流出力信号を生成することができ、複数の磁気応答部パターンを設ける例と同様の効果を得ることができる。磁気応答部5のパターンが螺旋状になっていること及び、コイルはロッド4の全周を覆っていることから、図6の例と同様に、ピストンロッドの回転及び軸芯ずれによる検出誤差が生じないようにすることができる。よって、1パターンだけであっても、回転及び軸芯ずれによる検出誤差のない位置検出が可能である。また、このような螺旋形状の磁気応答部パターンは、ピストンロッドに対する形成加工が非常に容易であるので、有利である。更に、センサ部6のコイルは1個でよいため、構成が簡単である。勿論、超小型、微小変位の検出にも適している。尚、図6,図7,図9の実施例においても、コイル構成を、図5に示すような、コイル内部磁束の向きがロッド4の軸方向を指向するように配置し、所定の不感領域範囲に対応してマスキング手段を設けてなる構成に変更することができるのは勿論である。
【0037】
【発明の効果】以上のとおり、この発明によれば、1次コイルのみを設ければよく、2次コイルは不要であるため、シンプルな構造のシリンダ位置検出装置を提供することができる。また、必要に応じて、小型化するにも適している。また、ストローク位置の変化に応じた磁気応答部との対応面積の漸増(又は漸減)変化に応じて漸増(又は漸減)するコイルの両端間電圧を適宜加算及び/又は減算することにより、検出対象ストローク位置に応じて所定の周期関数特性に従う振幅をそれぞれ示す複数の交流出力信号(例えばサイン及びコサイン関数特性に従う振幅をそれぞれ示す2つの交流出力信号)を容易に生成することができ、利用可能な位相角範囲を広くとることができる。これら複数の交流出力信号における振幅値の相関関係から該振幅値を規定する所定周期関数(例えばサイン及びコサイン関数)における位相値を検出することで、検出対象の変位が微小でも高分解能での位置検出が可能である。
【出願人】 【識別番号】597156971
【氏名又は名称】株式会社アミテック
【識別番号】000184632
【氏名又は名称】小松ゼノア株式会社
【出願日】 平成11年12月17日(1999.12.17)
【代理人】 【識別番号】100077539
【弁理士】
【氏名又は名称】飯塚 義仁
【公開番号】 特開2001−174206(P2001−174206A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−359448