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【発明の名称】 ピストンロッドの位置検出機構及びそれを用いたオートテンショナ
【発明者】 【氏名】岩本 憲市

【氏名】小池 孝誌

【氏名】井口 和幸

【要約】 【課題】シリンダユニットのピストンロッド突出量が経年変化などにより増減しピストンロッド位置が変化するのを連続的に又は多点状に判別し検出できるピストンロッドの位置検出機構を得る。

【解決手段】シリンダユニット10のシリンダ11内に進退自在に嵌挿されたピストン12のピストンロッド13がシリンダ端壁11bから突出する突出量を、シリンダ端に設けたボビン16に収容されている検出コイル17とピストンロッドに形成した鍔部14、コイルスプリング15とから成る位置検出機構により検出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 両端を閉じたシリンダ内に進退自在にピストンを内挿し、このピストンに接続されたシリンダから突出するピストンロッドの位置を検出するように、シリンダのロッド突出側端に設けた検出コイルと、この検出コイルの外端に対向してピストンロッドに設けられた鍔部とを備え、鍔部の位置変化で変化する検出コイルのインダクタンス変化に基づく検出信号によりピストンロッドの位置を検出するように構成して成るピストンロッドの位置検出機構。
【請求項2】 前記鍔部とシリンダ端との間にコイルスプリングを挿置したことを特徴とする請求項1に記載のピストンロッドの位置検出機構。
【請求項3】 前記鍔部を磁性材料製リングとしたことを特徴とする請求項2に記載のピストンロッドの位置検出機構。
【請求項4】 前記鍔部を非磁性材料で、かつ導電性材料リングとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のピストンロッドの位置検出機構。
【請求項5】 前記鍔部をピストンロッドに圧入した押えリングとしたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のピストンロッドの位置検出機構。
【請求項6】 両端を閉じたシリンダ内に進退自在にピストンを内挿し、このピストンに接続されたシリンダから突出するピストンロッドの位置を検出するように、シリンダのロッド突出側端に設けた検出コイルと、ピストンロッドの外周に装着され上記検出コイルと対峙するコイルスプリングとを備え、コイルスプリングをシリンダとピストンロッドとの間に挾持してピストンロッドの位置変化で変化する検出コイルのインダクタンス変化に基づく検出信号によりピストンロッドの位置を検出するように構成して成るピストンロッドの位置検出機構。
【請求項7】 前記シリンダのロッド突出側端に検出コイルと対向配置される励磁コイルを備え、それぞれのコイルの磁力線がピストンロッドの法線方向となるように同心状に巻回したことを特徴とする請求項6に記載のピストンロッドの位置検出機構。
【請求項8】 前記励磁コイルを検出コイルと一体に形成したことを特徴とする請求項7に記載のピストンロッドの位置検出機構。
【請求項9】 前記励磁コイルと検出コイルをさらにもう1組対向配置したことを特徴とする請求項7又は8に記載のピストンロッドの位置検出機構。
【請求項10】 両端を閉じたシリンダ内に進退自在にピストンを内挿し、このピストンに接続されるピストンロッドをシリンダの片端から突出させ、シリンダ内をピストンにより区画される室のそれぞれを、ピストンロッドの外端に作用する負荷を受ける側を圧力室、その反対側をリザーバ室として各室間に作動油を封入し、ピストンロッドを突出方向に付勢するロッドスプリングを設けて成るオートテンショナにおいて、ピストンロッドの突出側端に前記請求項1乃至9のいずれかに記載の位置検出機構を備えたことを特徴とするオートテンショナ。
【請求項11】 請求項2乃至9のいずれかに記載の位置検出機構を備えたオートテンショナにおいて、前記シリンダの片端を閉じるオイルシールを固定する止め輪をシリンダ内径に装着し、この止め輪に前記コイルスプリングの一端を当接させたことを特徴とする請求項10に記載のオートテンショナ。
【請求項12】 請求項2乃至9のいずれかに記載の位置検出機構を備えたオートテンショナにおいて、前記検出コイルを収容するボビンを介して検出コイルをシリンダ端壁に取付け、このボビンの側壁に前記コイルスプリングの一端を当接させたことを特徴とする請求項10に記載のオートテンショナ。
【請求項13】 両端を閉じたシリンダ内にピストンを進退自在に設け、電磁コイルの一対をピストンを挟んで設け、ピストンの少なくとも片側にピストンロッドを連結し、そのピストンロッドの端をシリンダ端より突出して設け、電磁コイルの磁気吸着力によりピストンを進退自在に駆動してピストンロッドの突出端を進退動させるように形成した電磁駆動バルブにおいて、請求項1乃至9のいずれかに記載のピストンロッドの位置検出機構を備えたことを特徴とする電磁駆動バルブ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、シリンダ内に進退自在に内挿されたピストンに接続され、シリンダから突出するピストンロッドの位置検出機構及びそれを用いたオートテンショナに関する。
【0002】
【従来の技術】ピストンを進退自在に内挿したシリンダからピストンロッドが突出する形式のシリンダユニットは、油圧力をピストンロッドを介して機械力に変換して対象機器に伝達したり、移動ストロークが長く設定できる性質を利用して移動距離を測定するなど各種の用途に用いられる。前者の例として、図12のベルト伝動装置に用いられ、オートテンショナと一般に呼ばれるシリンダユニットが公知である。このベルト伝動装置は自動車エンジンのカム軸を駆動するのに用いられる。
【0003】図示のベルト伝動装置は、クランクシャフト1に取付けたプーリP1 と、カム軸2に取付けたプーリP2 、およびオイルポンプの駆動軸3に取付けたプーリP3 間にタイミングベルト4をかけ渡し、上記クランクシャフト1の回転をカム軸2および駆動軸3に伝えるようにしている。このベルト伝動装置に対し、タイミングベルト4の弛み側に軸5を中心として揺動自在のプーリアーム6を設け、そのプーリアーム6をオートテンショナ7から突出するプッシュロッド8で押圧し、プーリアーム6の揺動側端部に支持されたテンションプーリ9をタイミングベルト4に押し付け、上記タイミングベルト4の張力変化をオートテンショナ7のプッシュロッド8の移動により吸収してベルト張力を一定に保つようにしている。
【0004】これは、内燃機関に組込まれた上記カム軸駆動用ベルト伝動装置においては、運転時の内燃機関本体の熱膨張によるプーリ芯間距離の変化や経年変化によるベルトの伸びによってタイミングベルト4の張力が変化するからであり、オートテンショナ7のシリンダユニットでベルトの伸びを吸収してベルト張力を一定に保つためである。
【0005】ここで、ベルトの張力調整用に使用されるオートテンショナ7として、特許第1891868号公報、あるいは、特公平7−117130号公報に記載されたものが知られている。
【0006】上記オートテンショナ7におけるプッシュロッド8は、タイミングベルト4の張力変化により進退してタイミングベルト4の張力を一定に保つものであるため、タイミングベルト4が経年変化によって伸びが生じると、プッシュロッド8が前進してその伸びを吸収する。
【0007】一般に、カム軸駆動用のベルト伝動装置においては、オートテンショナ7が組付けられていない場合、走行10万kmを目安としてタイミングベルト4を交換しているが、オートテンショナ7を組付けたベルト伝動装置では、タイミングベルト4の張力が安定し、運転時のベルトのバタツキも少ないため、タイミングベルト4の耐久性が向上し、10万kmを超える保証も可能となってきている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、オートテンショナにおけるプッシュロッドのストロークは有限であり、有効ストロークを超えた位置までプッシュロッドが前進すると、タイミングベルトの張力を一定に保つことができなくなり、この場合には、タイミングベルトは低張力になり、そのタイミングベルトにバタツキが生じて歯飛びが生じたり、あるいは、バタツキのためにベルトが劣化して耐久性が低下し、又、タイミングベルトが伸びてオートテンショナのプッシュロッドの突出量が次第に増大し、遂にはタイミングベルトが機能しなくなることも予想される。このような現象を事前に予知する対策として、例えばシリンダ端に検知センサ(コイル)を設け、ピストンロッドに非磁性リングを嵌合して検出手段を構成し、検知センサの中央部に非磁性リングとロッド(磁性材)の境界が達すると透磁率の変化により検出回路に検出信号が得られ、その位置を検出するという手段が考えられる。
【0009】しかし、このような検出手段ではピストンロッドの位置変化を特定の位置でしか検出することができず、連続的又は多点状にピストンロッドの位置の変化を捉えることができない。特に、オートテンショナのように自動車の走行距離の増大に伴って、いつの間にかタイミングベルトが伸び、オートテンショナのプッシュロッドの位置が変化することが知られているにも拘らず、現状ではプッシュロッドの突出量の変化を検出することは行われていない。プッシュロッドの突出量が少しずつ増大するその過程で、ベルトの伸びに応じて、例えば破損までの伸びの半分で要注意、80%の伸びで" 警告”、破損すれば" 破損”のような段階的な警報を与えるようにすれば、ベルトの交換時期に対する対策が取れるようになるが、このような対策は現在全く行われていない。又、オートテンショナのような見え難い位置に取付けられるシリンダユニットに対し同様な対策を施すのが望ましい対象機器は上記以外にも種々存在する。
【0010】この発明は、シリンダユニットのピストンロッドの突出量が対象機器の経年変化などによる劣化に伴って変化し、増大又は減少するような場合に、ピストンロッドの位置の変化を判別し連続的又は多点状に検出することができるようにしたピストンロッドの位置検出機構及びそれを用いたオートテンショナを提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題を解決する手段として、両端を閉じたシリンダ内に進退自在にピストンを内挿し、このピストンに接続されたシリンダから突出するピストンロッドの位置を検出するように、シリンダのロッド突出側端に設けた検出コイルと、この検出コイルの外端に対向してピストンロッドに設けられた鍔部とを備え、鍔部の位置変化で変化する検出コイルのインダクタンス変化に基づく検出信号によりピストンロッドの位置を検出するように構成して成るピストンロッドの位置検出機構としたのである。
【0012】上記の構成としたこの発明のピストンロッドの位置検出機構は、シリンダ側に設けた検出コイルとピストンロッドに設けた鍔部により構成され、鍔部がピストンロッドの移動により検出コイルに対して接近、離反することにより検出コイルが形成する磁気回路に影響を及ぼして検出コイルと鍔部との磁気結合状態を表すインダクタンスが変化し、このインダクタンスの変化に基づいて検出コイル中の電流又は電圧が変化する。このため検出回路において上記変化を検出することによりピストンロッドの位置変化を連続的又は多点状に検出することとなる。
【0013】上記課題を解決するもう1つの手段として、両端を閉じたシリンダ内に進退自在にピストンを内挿し、このピストンに接続されたシリンダから突出するピストンロッドの位置を検出するように、シリンダのロッド突出側端に設けた検出コイルと、ピストンロッドの外周に装着され上記検出コイルと対峙するコイルスプリングとを備え、コイルスプリングをシリンダとピストンロッドとの間に挾持してピストンロッドの位置変化で変化する検出コイルのインダクタンス変化に基づく検出信号によりピストンロッドの位置を検出するように構成して成るピストンロッドの位置検出機構を採用することもできる。
【0014】この位置検出機構によるピストンロッドの位置を検出する作用は、基本的に第一の発明と同様であり、この場合はコイルスプリングの伸縮によるインダクタンスの変化に基づいて検出コイルによりピストンロッドの位置を検出する。
【0015】又、第3の発明として上記第2の発明の位置検出機構で用いられている検出コイルに対向して励磁コイルを配置し、それぞれのコイルの磁力線がピストンロッドの法線方向となるように互いに同心状に巻回して構成することもできる。この構成では、励磁コイルに高周波信号を与え、その磁束の変化を検出コイルで検出するが、その際ピストンロッドの移動によりコイルスプリングが伸縮すると、上記磁束中の磁性体の体積が変化し検出コイルのインダクタンスが変化するため、その検出信号の変化を検出回路で検出することによりピストンロッドの位置を判定することができることとなる。励磁コイルにより磁束を発生させ検出コイルで検出信号を検出する測定方法は、検出コイルだけで検出するよりさらに感度が向上する。
【0016】上記課題を解決する上記3つの発明のいずれかの解決手段を備えたオートテンショナとして、両端を閉じたシリンダ内に進退自在にピストンを内挿し、このピストンに接続されるピストンロッドをシリンダの片端から突出させ、シリンダ内をピストンにより区画される室のそれぞれを、ピストンロッドの外端に作用する負荷を受ける側を圧力室、その反対側をリザーバ室として各室間に作動油を封入し、ピストンロッドを突出方向に付勢するロッドスプリングを設けて成るオートテンショナにおいて、ピストンロッドの突出側端に上記3つの発明のいずれかに記載の位置検出機構を備えたものとすることもできる。上記いずれかの発明の位置検出機構を備えているため、オートテンショナとして使用される際にピストンロッドの位置が検出され、経年変化などによる位置の変化が検出される。
【0017】さらに、両端を閉じたシリンダ内にピストンを進退自在に設け、電磁コイルの一対をピストンを挟んで設け、ピストンの少なくとも片側にピストンロッドを連結し、そのピストンロッドの端をシリンダ端より突出して設け、電磁コイルの磁気吸着力によりピストンを進退自在に駆動してピストンロッドの突出端を進退動させるように形成した電磁駆動バルブにおいて、ピストンロッドの突出側端に上記3つの発明のいずれかの位置検出機構を備えたものとすることもできる。この場合も、上記3つの発明のいずれかの位置検出機構を備えているため、電磁駆動バルブとして使用される際にピストンロッドの位置が検出され、経年変化などによる変化が検出される。
【0018】
【実施の形態】以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は第1実施形態のシリンダユニットの主要断面図である。シリンダユニット10は、シリンダ11の両端を端壁11a、11bで閉じられ、内部にピストン12が進退自在に内挿されて、シリンダ内部をA室とB室に区画している。ピストン12の片側端にはピストンロッド13が取付けられており、ピストンロッド13は一方の端壁11bを貫通して突出している。ピストンロッド13の突出軸部には適宜位置に磁性材製の鍔部14が設けられ、この鍔部14が対向するシリンダ端壁11bとの間にコイルスプリング15が挿置され、鍔部14はこのコイルスプリング15の押えリングの役目をする。
【0019】なお、図示のシリンダユニット10は、後で説明するオートテンショナと同様な一種の油圧ダンパとして構成されており、図示省略しているが、ピストン12にA室からB室へ又はその反対向きに流体が流通し得る径の小孔が必要個数、あるいはシリンダとの間に環状すきまが設けられている。
【0020】又、図示の例では鍔部14の押えリングはピストンロッド13に対し圧入嵌合されているが、ピストンロッド13の材料と一体に形成してもよい。さらに、鍔部14の押えリングを上記のようにピストンロッドと別体に設ける場合、磁性材に代えて非磁性で、かつ導電性材料、例えばアルミニウム又は銅製としてもよい。
【0021】上記ピストンロッド13の突出側の端壁11bにはコイルスプリング15の外周を囲むボビン16が取付けられ、このボビン16内にはピストンロッド13の位置を検出するための検出コイル17が収容されている。検出コイル17へは検出回路19から所定の電源電圧が送られており、後述するように、検出コイル17が形成する磁気回路に対しコイルスプリング15、鍔部14が移動するとそのインダクタンスが変化し、そのインダクタンスの変化に基づいて検出コイルの電圧又は電流値が変化し、その検出信号を検出回路19において検出することによりピストンロッド13の位置が検出される。従って、上記検出コイル17と鍔部14、コイルスプリング15とにより位置検出機構を構成する。
【0022】上記構成のシリンダユニットに設けられたピストンロッドの位置検出機構によりピストンロッド13の位置が次のように検出される。上記シリンダユニットが、図1に示すようにコイルスプリング15、磁性材の鍔部14を有する一種の油圧ダンパである場合、一般にはピストンロッド13の突出端には負荷が作用してコイルスプリング15の弾性力とバランスして図示の位置に停止する。何らかの原因で負荷が減少すると、コイルスプリング15の弾性力でピストンロッド13が図示の位置から前進(図中の右方向)し、コイルスプリング15が伸びるためコイルとコイルの間隔が広がる。
【0023】検出コイル17には、前述したように、所定の電源電圧が送られており、図示の検出コイル17が形成する磁気回路によりコイルスプリング15及び鍔部14へ磁気の影響、及び検出コイルとスプリング15、鍔部14間に所定のインダクタンス値で表される磁気的結合状態が生じている。しかし、ピストンロッド13が前進すると鍔部14が検出コイル17から離れ、かつコイルスプリング15のコイル間隔が広がるため、このインダクタンス値が変化し、小さくなる。反対に負荷が増大してピストンロッドが後退すると、鍔部14が検出コイル17に接近し、コイルスプリング15のコイル間隔が縮小し、インダクタンス値が大きくなる。
【0024】このようなインダクタンス値の変化を、線径0.55mm、外径10mmのコイルスプリング15、鍔部14として磁性材を用いたもので測定した結果を図3に示す。横軸のコイルスプリング長は鍔部14とシリンダ端壁11bとの間のコイルスプリング長さを表している。インダクタンス値はスプリング15と鍔部14の両者に対する合成インダクタンス値である。図示のように、コイルスプリング長が変化するとインダクタンス値が変化し、このため検出コイル17の電気回路における抵抗値が変化し、検出コイル17に供給される電流値又は電圧値が変化する。検出回路19でこの変化を検出することによりピストンロッド13の位置の変化を連続的に、あるいは多点位置で検出することができる。
【0025】一方、鍔部14の押えリングとして非磁性、導電性の材料を用いた部分変形例の場合の測定結果を図4に示す。この場合は、コイルスプリング長が短くなる方向に縮むと鍔部14のアルミニウム又は銅の押えリングが検出コイル17に近づき、検出コイル17が形成する磁気回路の磁束の流れを妨げるようにうず電流が鍔部14に生じる。
【0026】従って、コイルスプリング長が短くなるとインダクタンス値が小さくなり、コイルスプリング長が長くなるとインダクタンス値が大きくなる。このような特性は、鍔部14に磁性材を用いた基本例と逆の関係で変化することを示している。しかし、インダクタンス値の変化は基本例より大きく、従ってこの部分変形例の方が検出回路の感度がよいこととなる。
【0027】次に、図示省略しているが、コイルスプリング15は省略してもよく、これを第2実施形態とする。この場合、シリンダユニットをダンパとして構成する際は、コイルスプリング15に代えてA室内にコイルスプリングを設けてピストン12を押圧又は引寄せるようにすればよい。又、図示していないが、シリンダユニット10をピストンロッド13を介して油圧力を押圧力に変換して伝達する一般的なシリンダとして用いる場合は、シリンダ11内のA室とB室へ作動流体を供給、排出し得る外部配管系が接続される。従って、この場合はコイルスプリング15は設けなくてもよい。但し、鍔部14は非磁性で、かつ導電性材料のアルミニウム又は銅材とする。
【0028】この実施形態では、検出コイル17とピストンロッド13に設けた鍔部14の押えリング14が位置検出機構を構成する。その基本作用は第1実施形態と同様である。但し、コイルスプリング15を省略しているため検出感度は低くなるが、実用上差支えのない検出感度のものが得られる。
【0029】図2に第3の実施形態のシリンダユニットの主要断面図を示す。この例では鍔部14を省略し、コイルスプリング15の端末をピストンロッド13の適宜位置に設けた係止孔18に係止して設けるようにした点が第1の実施形態と異なっている。
【0030】この場合も、コイルスプリング15の伸縮によるインダクタンス値の変化に基づいて検出コイル17によるピストンロッド13の位置の変化を上記第1実施形態と同様に検出できるが、その検出感度は鍔部14が省略されている分だけ下がる。しかし、位置の変化を検出する際、実用上差支えのない感度のインダクタンス値の変化を得ることができる(図示省略)。
【0031】図5は第4の実施形態の主要断面図を示す。この実施形態は位置検出機構をオートテンショナに組合わせた例であり、オートテンショナも油圧ダンパの一種であるから第1〜第3の実施形態と同様に位置検出機構を適用できる。オートテンショナ20自体は従来のものと同じであるから、以下概略構造について簡単に説明する。
【0032】図示のオートテンショナ20は、一端を端壁21aで閉じ上端が開口したシリンダ21内で端壁21a側に内側シリンダ21’が固定され、このシリンダ21’にピストン22が進退自在に摺動、嵌合されている。シリンダ21又は21’内はピストン22によりA室(圧力室)とB室(リザーバ室)に仕切られ、B室の上部開口はオイルシール21bにより閉じられている。24は抜止めとしての止め輪であり、シリンダ21の内径に設けられた溝に嵌合されている。
【0033】ピストン22の片側にはロッド挿入孔が形成され、この孔に挿入されたプッシュロッド23(ピストンロッド)はオイルシール21bをスライド自在に貫通して外部へ突出している。ピストン22とプッシュロッド23はA室内に組込まれたスプリング25により一体的に接続されている。ピストン22には通孔27が形成され、ピストン22の反対側面に設けたリテーナで保持されているボール26と通孔27とによりチェック弁を形成している。
【0034】プッシュロッド23には、シリンダ21の内径に沿って摺動自在な案内フランジ22’が嵌合され、その下方に組込まれた調圧スプリング25’の弾性力により押圧されてプッシュロッド23を外方向へ突出させるようにしている。28はフランジ22’に設けた貫通孔であり、B室に封入される作動油内でフランジ22’の移動を自在とするために設けられている。作動油はその上面とオイルシール21bとの間に空気層のC室が形成されるように封入される。なお、29はセパレータであり、作動油上面の振動エアが圧力室に混入するのを抑制するために設けられている。
【0035】オイルシール21bの外側の止め輪24は、図示のように所定間隔で2つ設けられ、その間に第1〜第3実施形態と同様なボビン16内に収容された検出コイル17が設けられている。ボビン16は一端の内周径を小さくしこのボビン16の内周径とプッシュロッド23に設けた鍔部14との間にコイルスプリング15(押えリング)が挿置されている。検出コイル17には検出回路19が接続されている。
【0036】なお、図示の例ではボビン16の片側の側壁の内径をプッシュロッド23の外径に摺動する程に縮小したものとし、その側壁にコイルスプリング15(押えリング)の一端を当接させているが、ボビン内径を小さくせず止め輪24の内径を小さくしてその側壁に当接させるようにしてもよい。
【0037】上記のように構成した第4実施形態のオートテンショナ20自体のオートテンショナとしての作用は従来と同様であり、次のように作用する。オートテンショナ20を図12に示すベルト伝動装置に組込んで、タイミングベルト4の張力が増大すると、プーリアーム6を介してプッシュロッド23が押し下げられ、ピストン22が下降する。すると、A室内の作動油が圧縮されてB室内の圧力より高くなり、このためチェック弁はボール26により通孔27を閉じる。
【0038】従って、プッシュロッド23に作用するタイミングベルト4からの押圧力が受け止められ、抑制されるが、ピストン22とシリンダ21’の摺動面間に形成された微小な隙間から作動油はわずかずつB室へ流れ、これによりプッシュロッドに作用する押圧力が減衰され、オートテンショナが一種のダンパとして作用する。
【0039】一方、タイミングベルト4が弛むとプッシュロッド23は調圧スプリング25’の弾性力によりシリンダから突出する方向へ急速に移動する。このためピストン22もスプリング25により上方へ押し挙げられ、A室内の圧力はB室内の圧力より低くなりチェック弁の通孔27が開放される。すると、B室内の作動油が通孔27を通りA室へ流れ、従ってプッシュロッド23とピストン22は迅速に上方へ移動してタイミングベルト4の弛みを吸収し、タイミングベルト4の張力を一定に保持する。
【0040】以上のように、オートテンショナ20はタイミングベルト4の張力の変動を吸収して張力を一定に保つ機能を有するが、タイミングベルト4が長期間使用されると経年変化により少しずつ伸びが生じ、その伸びをプッシュロッド23が初期移動ストローク範囲より突出することにより吸収するため、使用期間が長くなるに従ってプッシュロッド23がその初期移動ストロークより大きく突出する。
【0041】従って、オートテンショナ20のプッシュロッド23の移動ストローク範囲は、これらの要因を考慮して設定されるが、使用時にはタイミングベルト4の異常な伸びが生じたり、タイミングベルト4のメンテナンスまでの走行距離が増大して、プッシュロッド23が移動ストロークの限界まで移動する可能性がある。但し、プッシュロッド23の移動ストロークの限界は案内フランジ22’がオイルシール21bに接触する位置であり、その限界位置までプッシュロッド23が移動すると、タイミングベルト4の張力を一定に保持することができなくなる。
【0042】しかし、この実施形態のオートテンショナ20ではシリンダ21の端に検出コイル17とプッシュロッド23に設けられた鍔部14、コイルスプリング15とから成る位置検出機構が設けられているため、プッシュロッド23が移動ストロークの限界に至るまでの任意の移動ストローク量を上記位置検出機構により連続的に、又は多点状に検出できる。
【0043】図示の例では、位置検出機構は鍔部14、コイルスプリング15の両者を有しているから、鍔部14の材料として磁性体を用いた場合は、第1実施形態の場合の図3のインダクタンス特性による検出を検出回路19により得ることができる。その変形例として、鍔部14にアルミニウム又は銅材を用いた場合は、図4のインダクタンス特性に基づく検出ができる。
【0044】第2実施形態の位置検出機構ではコイルスプリング15を省略し、鍔部14の材料としてアルミニウム又は銅材を用いており、前述のように図4のインダクタンス特性より検出感度は劣るが、オートテンショナ20のプッシュロッド23の移動を検出するものとして適用することができる。又、第3実施形態の位置検出機構は、鍔部14を省略しコイルスプリング15の伸縮によるインダクタンス変化の特性に基づいて位置検出できるから、この検出機構を適用することもできる。
【0045】以上のように第1〜第3実施形態のいずれかの位置検出機構を適用してプッシュロッド23の位置を連続的に変化するものとして、又は多点状に検出するようにすれば、プッシュロッド23の移動ストロークがタイミングベルトの経年変化等の要因により長期間の使用中に徐々に変化すると、移動ストロークの初期設定状態からの変化量に応じて検出回路19からの検出信号も変化する。
【0046】従って、その出力信号に基づいて移動ストロークの変化の各段階に対応する複数の基準値と比較する回路において、例えば" 要注意”、" 危険”、" 限界”などの警報信号、又は停止信号などを上記信号の比較に基づいて出力することができることとなり、メインテナンス時期を早期に捉えて対策を施すことができるという利点が得られる。
【0047】図6は第5実施形態の主要断面図を示す。この実施形態は前記第1〜第3実施形態のいずれかの位置検出機構を電磁駆動バルブに組合わせた例であり、図示の例はそのうち鍔部14と検出コイル17を備えたものであって、コイルスプリング15は設けられていない。図示の電磁駆動バルブは、一端を端壁で閉じ上端が開口したシリンダ11内に磁性材製のピストン12が進退自在に摺動、嵌合されている。ピストン12にはその両端にピストンロッド13が設けられ(貫通させるように設けてもよい)、ピストンロッド13の両端はシリンダ11の外端から突出するように設けられている。
【0048】シリンダ11内にはピストン12を挟んで2つの電磁コイル30、31が対向して設置されている。30a、31aは磁性材であり、その内径位置にコイルが巻かれており、それぞれのコイルに図示しない電源回路から電流を通電することによりピストン12を磁気吸引力で吸引して駆動するように構成されている。上記一方の電磁コイル30の外側にはボビン16に収納された検出コイル17がシリンダ内端に取付けられており、これと対向して同じ側のピストンロッド13の端に導電性材の鍔部14が設けられている。
【0049】上記鍔部14と検出コイル17とにより構成されるピストンロッドの位置検出機構で測定される信号を検出回路19で検出する点は前記他の実施形態と同様である。又、ピストン12の上記と反対側端のピストンロッド13は、シリンダ11の端壁を軸受ブッシュ32で摺動自在に案内されている。そしてピストンロッド13の突出端には図示しない電磁弁本体の弁座に嵌合される弁体13vが形成され、弁体13vの進退動により電磁駆動バルブ本体が開閉されるようになっている。
【0050】上記構成の電磁駆動バルブは、内燃機関などに燃料ガスなどの流体を送り込むバルブとして用いられるものであり、バルブの開閉量を任意に設定できるため、運転状態に合せて最適な燃焼条件が設定できるというものである。このようなバルブで、バルブの開閉操作を行う際に、経年変化等によりバルブの開閉量に少しずつ変化が生じたとき、上記位置検出機構によりバルブの開閉量の変化が他の実施形態と同様に検出される。
【0051】バルブの開閉は、電磁コイル30、31のいずれか一方に通電すると通電された側の電磁コイルを含む電磁石がピストン12を吸引してピストンロッド13が上、下いずれかの方向に移動し、これにより電磁駆動バルブ本体の開閉が行われる。バルブの開閉量は電磁コイル30、31への通電電流強度を調整することにより調整される。この実施形態においても検出コイル17による移動量の検出は、上記他の実施形態と同様であり、説明は省略するが、連続的又は多点状にその変化を検出することができることは勿論である。
【0052】なお、この実施形態では鍔部14は導電性材としたが、磁性材製とするときはコイルスプリング15を挿置する。非磁性材質の鍔部14とコイルスプリング15を組合せてもよいことは前述した通りである。又、鍔部14を省略しコイルスプリング15のみとした第3実施形態のものとしてもよいことも前述したとおりである。
【0053】図7に第6実施形態の主要断面図を示す。この実施形態は図1の第1実施形態と同様にピストンロッド13に鍔部14を有するシリンダユニット10”に位置検出機構を備えたものである。この位置検出機構は、端壁11bと鍔部14との間に設けられたコイルスプリング15と、このコイルスプリング15を挟んで対向して設けられた励磁コイル17aと検出コイル17とにより構成されている。上記位置検出機構部分を図8に斜視図で示している。鍔部14はこの例でも押えリングである。
【0054】図8に示すように、励磁コイル17aと検出コイル17は、両コイルを通る磁力線の方向がピストンロッド13の軸線方向に対し法線方向となるように互いに対向して設けられている。励磁コイル17aは、図示の例では検出コイル17と別体に設けられ、発信器17xからの高周波信号、例えば1〜50KHzの信号電流を流すことにより生じる磁束(磁力線)がピストンロッド13とその外周に巻かれているコイルスプリング15を通り検出コイル17へ達すると、その磁束による電磁誘導で誘起される微小電流が検出コイル17により検出され、その微小電流の信号を検出回路19で増幅検出するように構成されている。
【0055】上記位置検出機構では、ピストンロッド13が突出して位置が変化するとコイルスプリング15が伸びてコイルとコイルの間隔が広がり、励磁コイル17aから検出コイル17へ伝達される際の検出コイル17のインダクタンスが小さくなり、コイルスプリング15の伸縮によってコイルスプリングの磁性材の断面積が変化し、検出コイル17のインダクタンスが変化する。このため、所定の高周波信号による検出コイル17での電流又は電圧信号が変化し、その変化を検出回路19で検出することによりピストンロッド13の位置の変化を検出することができる。
【0056】図9に上記のような位置検出機構で測定した出力電圧の変化を測定した結果を示す。この測定で用いられたコイルスプリング15は線径0.6mm、コイル巻径10mmである。横軸がロッドの変位、縦軸は出力電圧である。ピストンロッド13の位置変化に対し出力電圧の変化が大きく、感度のよい特性が得られているのが分る。
【0057】なお、上記実施形態では励磁コイル17aと検出コイル17とは別体に構成したものを示しているが、両コイルは一体形に構成してもよい。その場合、第1実施形態の検出コイルと同様に検出コイル自体に励磁電流が通電され、その通電によって生じる磁束がスプリングコイル15の伸縮によって影響を受けてインダクタンスが変化し、その検出信号が検出回路19で検出されることにより位置変化が測定されることとなる。
【0058】図10は第7実施形態の主要断面図を示す。この実施形態は図7、図8の第6実施形態の位置検出機構を図5のオートテンショナに組合わせた例であり、オートテンショナとしての構成については既に簡単に説明したから、この実施形態の詳細な説明は省略する。
【0059】図11に温度補償を行なう電気回路の例を示す。この変形態様では、検出コイル17は励磁コイルと兼用形のものが用いられ、さらに温度補償のためもう1組の上記検出コイル17と同じものを温度補償コイル17’として発信器17xに対して並列に設けられている。温度補償コイル17’による検出信号を温度変化に対し影響の小さい状態に設定(抵抗r’の調整)し、これを基準として整流器17p、フィルタ17fを介して送り、測定系として同じく整流器17p、フィルタ17fを介して送られる信号を温度補償系の信号により温度変化によるずれ分だけ差動増幅器(オペアンプ)17opで補償して正確な位置検出を可能としている。
【0060】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、本願発明のピストンロッド検出機構は、シリンダユニットのピストンロッドに対しその位置を検出するように検出コイルと鍔部又はコイルスプリングとを備え、両者のインダクタンス結合の変化に基づく検出信号によりピストンロッドの位置を連続的に又は多点状に検出するものとしたから、シリンダユニット又はこれと協働する装置の経年変化などによるピストンロッドの突出量の変化を検出でき、経年変化などによるシリンダユニット又は装置の劣化に対する対策のためのタイミングを簡易な構成の検出機構により事前に知ることができるという利点が得られる。又、上記検出機構を用いたオートテンショナや電磁駆動バルブにおいても、同様な効果が得られる。なお、検出コイルに励磁コイルを組合わせて検出する検出機構とすれば、なお、検出感度が向上する。
【出願人】 【識別番号】000102692
【氏名又は名称】エヌティエヌ株式会社
【出願日】 平成12年1月28日(2000.1.28)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
【公開番号】 特開2001−174205(P2001−174205A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願2000−19947(P2000−19947)