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【発明の名称】 ボール溝の溝形状測定方法
【発明者】 【氏名】榎 浩之

【要約】 【課題】本発明は、高い精度で、ボールと点接触するボール溝の地点の加工具合を該ボール溝の全長に渡り測定できるボール溝の溝形状測定方法を提供する。

【解決手段】本発明のボール溝の溝形状測定方法は、ワーク1をボール溝4の溝幅方向両側へ交互に微小に振らしながら、ボール6に相当する外形の測定子24aをボール溝4の一端部へ押し込み、該測定子24aを微小に振れているボール溝4内を通して該ボール溝4の他端部へ移動させ、このときの測定子24aのラジアル方向、スラスト方向の変位から、ボール6が点接触するボール溝4の地点を連続的に測定することによって、ボール6が最も安定した状態にボール溝4に組み付く状態を再現して、高い精度で、かつ容易にボール6が点接触するボール溝4の円弧部分の加工具合の測定が行えるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ワークの周面に形成されたボール溝の溝形状を測定するボール溝の溝形状測定方法であって、前記ボール溝と組み合うボールに相当する外形の測定子を有し、前記ワークを前記ボール溝の溝幅方向両側へ交互に微小に振らしながら、前記測定子を前記ボール溝の一端部へ、押し込めなくなるまで押し込み、該測定子を、前記振れている前記ボール溝内を通じて該ボール溝の他端部へ移動させ、前記測定子の変位から、前記ボールが点接触する前記ボール溝の地点を連続的に測定することを特徴とするボール溝の溝形状測定方法。
【請求項2】 ワークの周面に形成されたボール溝の溝形状を測定するボール溝の溝形状測定方法であって、前記ボール溝の溝幅より小さな外形の第1測定子と、前記ボール溝と組み合うボールに相当する外形の第2測定子とを用いて、前記ボール溝の溝形状の測定を行い、前記第1測定子で測定するときは、該測定子を前記ワークの周面に押し付けながら前記ボール溝を横切るように移動させて、該測定子のボール溝内外方向の変位から前記ボール溝の平面方向の断面形状を測定し、前記第2測定子で測定するときは、前記ワークを前記ボール溝の幅方向両側へ微小に振らし、この振れている前記ボール溝の一端部へ前記第2測定子を押し込めなくなるまで押し込んでから該測定子をボール溝の他端部へ移動させて、このときの該測定子の変位から、前記ボールが点接触する前記ボール溝の地点を連続的に測定することを特徴とするボール溝の溝形状測定方法。
【請求項3】 請求項2に記載の溝形状測定方法において、前記第1測定子による測定では、さらに求めた断面形状にもとづきボール溝と組み合うボールに相当するボール中心位置を求めることが行なわれることを特徴とするボール溝の溝形状測定方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、周面にボール溝が形成されたワーク、例えばベルト式CVTを構成するシーブ部品のボール溝の形状を測定するときに用いられる溝形状測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の変速機には、プーリー径が可変可能な一対のプーリー(プライマリ側、セカンダリ側)間に環状のベルトを掛け渡して、プーリー径の変化により、無段階に変速比が変えられるようにしたベルト式CVT(無段変速機)がある。
【0003】CVTに用いられる両プーリーは、図10および図11に示されるように前面側に軸部1aをもつ固定側シーブ1と、背面側にボス部2aをもつ筒状の可動側シーブ2とをボールスプライン3を介して摺動可能に組合わせて、V溝形を構成してなる。
【0004】こうしたCVTのプーリーは、変速比の指令に追従して、スムーズにプーリー径が変化することが求められる。これには、ボールスプライン3を構成するボール溝4,5が関与する。
【0005】ところで、ボールスプライン3を構成する固定側シーブ1の軸部1aの外周面に形成されているボール溝4、同じく可動側シーブ2のボス部2aの内周面に形成されているボール溝5は、いずれも所定の仕様にしたがって楕円の円弧状に加工してある[図11(b)に図示:ボール6と点接触させるため]。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】こうしたボール溝4,5の全体は、仕様通りに加工されているかがわかりにくい。特にボール溝4,5は、ボール6と点接触しながら移動する溝なので、所定の点接触が保たれるようボール溝4,5が加工されているかを知ることはボールスプライン3の性能の点で重要であるが、ボール溝4,5の全体は楕円の連続した円弧面であるので、簡単にはボール6と点接触する部分だけの加工具合は測定できず、ボール6が転がるボール溝4,5の全長の形状を測定するのは難しい。
【0007】CVTのボール溝に関しては、特開平9−210606号公報のようなボール溝が配置されている角度間隔を測定する装置は有るものの、ボール溝の全長に渡る細かな形状を測定するようにした装置は見られない。
【0008】本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、高い精度で、ボールと点接触するボール溝の地点の加工具合を該ボール溝の全長に渡り測定できるボール溝の溝形状測定方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1に記載のボール溝の溝形状測定方法は、ワークをボール溝の溝幅方向両側へ交互に微小に振らしながら、ボールに相当する外形の測定子をボール溝の一端部へ押し込み、該測定子を微小に振れているボール溝内を通して該ボール溝の他端部へ移動させ、このときの測定子の変位から、ボールが点接触するボール溝の地点を連続的に測定するようにした。
【0010】この測定は、ボールが最も安定した状態にボール溝に組み付けられている状態、すなわちボールがボール溝の最も深い地点にある状態を再現して行なわれるので、高い精度で、かつ容易にボール溝のボールと点接触する円弧部分の加工具合の測定が行える。
【0011】請求項2に記載のボール溝の溝形状測定方法は、上記目的に加え、さらにボール溝の全体形状が把握できるよう、上記ボール溝全長における測定に加え、ボール溝の溝幅より小さな外形の第1測定子を用い、該測定子をワークの周面に押し付けながらボール溝を横切るように移動させ、測定子のボール溝内外方向の変位からボール溝の平面方向の断面形状を測定して、ボール溝の平面方向の形状と長さ方向の形状との両測定から、ボール溝の全体形状が所定の仕様通りに形成されているかがわかるようにした。
【0012】請求項3に記載のボール溝の溝形状測定方法は、上記目的に加え、さらにボール溝内を転がるボール中心位置も求められるよう、第1測定子による測定では、さらに求めた断面形状にもとづきボール溝と組み合うボールに相当するボール中心位置を求めるようとすることにある。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図1ないし図9に示す一実施形態にもとづいて説明する。
【0014】図1は、本発明方法を適用した、CVTのシーブ部品(ワーク)、例えば図10および図11中に示してある固定側シーブ1の軸部1a外周に3条(複数)形成してある直線状ボール溝4の形状を測定する溝形状測定装置を示し、図中10は同装置のベースである。該ベース10は平面方向に延びて形成してある。
【0015】このベース10の右側上面には、ワークセット部11が据え付けられている。このワークセット部11は、例えば先端を上向きにしてベース10の上面に取付けた固定側スピンドル12と、このスピンドル12の上方に先端を下向きにして配置された可動側スピンドル13とを有している。このうち可動側スピンドル13は、昇降台14aを介して、ベース10の上面に立設してあるガイドポスト14に昇降可能に支持されている。これら固定側スピンドル12と可動側スピンドル13の先端部は、いずれも円錐形状に形成されている。そして、これらスピンドル12,13の先端部間で、固定側シーブ1(溝加工済みのワーク)の全体を、例えばプーリー壁1bが下側へ、軸部1aが上側へ向く姿勢で回転可能に保持させている。また昇降台14aには、可動側スピンドル13を用いて固定側シーブ1を軸心回りに回転変位させるための回転装置、例えばモーター15が、ワークの回転変位を検出するエンコーダー16と共に据え付けてある。
【0016】一方、ベース10の左側上面には、固定側/可動側スピンドル12,13が有る部位と隣接した地点に、例えばX−Yテーブルといった電動駆動式の移動テーブル10a(溝内へ測定子を挿入する手段を兼ねる)が設けてある。この移動テーブル10a上には、ガイドポスト17が立設してある。このガイドポスト17には昇降方向に移動可能な昇降台18が取付けられている。この昇降台18は、例えばガイドポスト17に組み込まれた駆動源、例えばモーター18aによって鉛直(上下)方向に昇降駆動されるようにしてある。この昇降台18の前部には、固定側/可動側スピンドル12,13間へ突き出るよう、測定器20が据え付けてある。この測定器20の概略的な構成が図2に示されている。
【0017】測定器20は、昇降台18の前部に取付いた本体部21と、同本体部21から固定側/可動側スピンドル12,13間へ突き出るように配置された脱着部22とを有している。この脱着部22に対して、ボール溝4の溝幅より小さな第1測定子、例えばφ2のボール23aを先端に有する杆状のセンサーホルダ23と、ボール溝4と組み合うボール6に相当する外形を有する第2測定子、例えばφ6のボール24a(測定子に相当)を先端に有する杆状のセンサーホルダ24とが選択的に装着される。図1および図2はセンサーホルダ23を装着した状態が示してある。この装着により、先端のボール23aを前方、つまり固定側シーブ1の軸部1aの外周面へ向かって突き出すように位置決めている。
【0018】脱着部22は、例えば図示しない支持機構により、軸部1aのボール溝4の深さ方向となるスラスト方向(軸部1aの半径方向;図面中の左右方向)とボール溝4の溝幅方向となるラジアル方向(軸部1aの周方向;図面中の奥行方向)との2方向に変位可能に支持されている。この脱着部22には、中継部材25a,26aを介して、本体部21内のラジアル方向に沿って延びる2種類の杆状の押圧子25,26が連結してある。このうち検知面25bが上側、すなわちボール溝4の長さ方向に向く押圧子25の近くには、縦向きにラジアル方向検出器27が設置してある。そして、ラジアル方向検出器27の先端に形成されている入力部27aは、検知面25bに密接させてあり、センサーホルダ23のボール23aから入力されるラジアル方向の変位が、ラジアル方向検出器27から検出されるようにしてある。また検知面26bが横方向、すなわちボール溝4の深さ方向に向く押圧子26の近くには、横向きにスラスト方向検出器28が設置してある。そして、スラスト方向検出器28の先端に形成されている入力部28aは、検知面26bに密接させてあり、センサーホルダ23のボール23aから入力されるスラスト方向の変位が、スラスト方向検出器28から検出されるようにしてある。なお、中継部材25aには、センサーホルダ23を所定位置に保つためのスプリング29(弾性部材)が取付けられている。そして、例えばこのスプリング29の弾性力を利用し、例えば移動テーブル10aの動きを用いて、センサーホルダ23の先端、すなわちφ2のボール23aを、固定側シーブ1の軸部1aの外周面やボール溝4内へ弾性的に押し付けられるようにしてある。また中継部材25a,26aは、例えば本体部21内に収めてある例えば電動式のスライド装置20aにより、ボール溝4と直交する方向にも移動されるようにしてある。
【0019】他方、図1中、30は、例えばマイクロコンピュータを有して構成されたコントローラーである。このコントローラー30には、溝形状測定装置の各部、すなわち、スライド装置20a、ワークセット部11のモーター15、エンコーダー16、移動テーブル10a、昇降用のモーター18a、測定器20の各検出器27,28と、測定データを出力する測定結果出力部32とが接続されている。またこのコントローラー30には、例えば以下のような機能が設定されている。
【0020】a.φ2のボール23aを所定に軸部1aの外周面に当接させたまま1回転させる機能。
【0021】b.同回転中、測定器20から出力されるラジアル方向、スラスト方向の検出信号から、各ボール溝4の位置を割り出す機能。
【0022】c.割り出したボール溝4のあらかじめ指定された溝高さ位置にφ2のボール23aを位置決め、ボール溝4を横切る方向へ移動させる機能。
【0023】d.同横切り中、測定器20から出力される位置情報(ラジアル方向、スラスト方向の検出信号)からボール溝4の断面をなす円弧を測定する機能。
【0024】e.同求めた円弧の軌跡に最小二乗法の演算処理を施す機能。
【0025】f.演算処理を終えた円弧の中心位置を求めるとともに、求めた中心位置の円弧から、ボール6がボール溝4に嵌まったときに相当する該ボールのボール中心位置を求める機能。
【0026】g.軸部1aを周方向へ交互に微小に振らす機能(ボール溝4の溝幅方向両側へ交互に微小に回動させる機能)。
【0027】h.同交互に振られるボール溝4の一端部内へ、φ6のボール24aを徐々に押し込む機能。
【0028】i.同φ6のボール24aがそれ以上、押し込まれなくなると、同ボール24aをボール溝4の他端部へ向かって移動させる機能。
【0029】j.同昇降中、測定器20から出力される変位を連続して出力させる機能。
【0030】k.得られた測定データを出力する機能。
【0031】またコントローラー30には、例えば第1の自動測定ボタン30a、第2の自動測定ボタン30bを有する操作部31が接続されている。さらにコントローラー30には、自動測定ボタン30aが操作されると、測定装置の各部が上記a〜f,kの機能にしたがい制御されて、各ボール溝4における平面方向の各断面位置での断面形状の測定が行なえ、自動測定ボタン30bが操作されると、測定装置の各部が上記g〜kの機能にしたがい制御されて、各ボール溝4の全長でのボール6が点接触する地点の測定が行えるようにしてある。
【0032】これらの制御がそれぞれ図3と図7とに示すフローチャートに示されている。
【0033】同フローチャートにもとづき溝形状測定方法について説明すれば、今、スピンドル12,13間に中心部を保持させたシーブ部品、例えば固定側シーブ1のボール溝4の平面形状を測定しようとする。
【0034】このときには、まず、図1および図2に示されるようにφ2の測定子23aを脱着部22に装着してから、自動測定ボタン30aを押す。すると、図3に示すフローチャートが始まる。
【0035】すなわち、まず、ステップS1のように各ボール溝4の位置を割り出す工程が始まる。
【0036】同工程は、まず、センサーホルダ23のボール23aが、例えば移動テーブル10aにより、固定側シーブ1の軸部1aに外周、例えばあらかじめ設定されたボール溝4のある地点へ導き、同地点で、固定側シーブ1の軸心(スピンドル12,13を結ぶ延長線)と向き合うよう、ボール23aの先端を所定に押し付ける。ついで、モーター15により、固定側シーブ1を軸心回りに1回転させることで行なわれる。
【0037】このとき、ボール23aは、固定側シーブ1の1回転中、ボール溝4が有る軸部1aの外周面部分では落ち込む挙動を示し、それ以外のボール溝4が無い外周面部分ではそうした挙動が生じない。
【0038】したがって、測定器20の検出信号、さらにはエンコーダー16の信号から、軸部1aの円周上のどの地点にボール溝4があるのかが割り出される。
【0039】この工程を終えると、ステップS2へ進み、あらかじめ指定された溝高さにおいてボール溝4の平面形状を測定する工程が始まる。
【0040】同工程は、まず、図4および図5中の符号Aに示されるように軸部1aの外周面に押し付けたままボール23aを、指定された1つのボール溝4のうち、指定された地点の溝部分を挟んだ一方の縁部近くの外周面部分にボール23aを待機させる。ついで、電動式のスライド装置20aが作動して、ボール23aを図5中の符号B〜Fに示されるようにボール溝4を横切るように移動させる。
【0041】ここで、ボール23aは、φ2というように、かなり溝幅より小さな外形を有しているので、図5中のB〜Fに示されるようにボール溝4内に次第に進入する。そして、ボール23aは、ボール溝4を形成している円弧面の形状にならってボール溝内外方向へ変位しながら、ボール溝4を横切る。
【0042】このときのボール23のラジアル方向R(溝幅方向)、スラスト方向S(溝深さ方向)の変位がそれぞれラジアル方向検出器27、スラスト方向検出器28で検出され、両検出信号からボール溝4の円弧状の平面形状が得られる。
【0043】ここで、ボール23aで得たボール溝4の溝幅方向両側の各円弧軌跡は、誤差があり、このままでは円弧の中心が求まらない。
【0044】そこで、つぎのステップS3において、溝幅方向片側の円弧づつ最小二乗法の演算処理を施す。これにより、誤差のない円弧が算出され、ボール6と接触するボール溝4の両側の円弧形状がそれぞれ得られる。また同円弧から、ボール溝4の両側における円弧形状の中心位置R1,R2(図5に図示)が求まる。
【0045】これにより、ボール溝4の1地点における溝形状が測定される。
【0046】またステップS3では、この求めた各中心位置R1,R2に対し、ボール溝4と組み合うボール4(φ6のボール)が入る(嵌まる)とした際の状態を演算で実施し、図6に示されるようにボール溝4と組み合うボール6の中心位置を算出する(固定シーブ1の軸心Oとボール溝4の溝幅中心とをむすぶ線Xと、ボール溝4の左右の接触位置Y1,Y2がなす各角度の交点)。
【0047】こうした溝形状の測定が、同一のボール溝4の複数箇所で行なわれる(ステップS4)。
【0048】このボール溝4の測定が、残る2つのボール溝4でも同様に行なわれる(ステップS5)。
【0049】そして、測定後、測定結果出力部32から測定データが出力される(ステップS6)。
【0050】つぎに、ボール溝4のボール6と点接触する部分を測定しようとする。
【0051】このときには、φ2のボール23aをもつセンサーホルダ23から、φ6のボール24aをもつセンサーホルダ24に付け替えてから、自動測定ボタン30bを押す。すると、図7に示すフローチャートが始まる。
【0052】すなわち、まず、モーター15の作動して、図8に示されるようにワークである固定側シーブ1を周方向X1,X2へ、交互に所定に微小に回動させる(ステップS1)。続いて、ステップS2へ進む。
【0053】このステップS2では、例えば移動テーブル10a、昇降台18の動きにより、φ6のボール24aを、あらかじめ指定されているボール溝4の一端部、例えば軸部1aの先端側の端に位置決めてから、同ボール24aを周方向に振れているボール溝4内へ向かって徐々に押し込むことが行なわれる。これにより、φ6のボール24aは、図9に示されるように途中の内面部分に引っ掛かって止まることなく、ボール溝4の最も深い底部分へ向かって進入する。
【0054】そして、ステップS3へ進み、スラスト方向検出器28の出力により、それ以上、φ6のボール24aが押し込まれなくなったと判定されると、押し込みは停止する。これにより、φ6のボール24aは、ボール溝4の溝幅方向両側の円弧部分と点接触して、ボール溝4内の最も深い地点に位置決められる。
【0055】このとき、ボール24aはボール6と同じ外形であるから、ボール24aは、ボールスプライン3を組んだとき最も安定した有るときに相当する地点に配置されることになる。
【0056】この位置決めを終えると、ステップS4へ進み、昇降台18の下降動作が始まる。すると、測定器20は徐々に下降を始める。すると、図8中のY矢印のようにφ6のボール24aが、周方向両側に振れているボール溝4内にならって軸部1aの根元側へ移動する。
【0057】このとき、φ6のボール24aは、図9(a)に示されるようにボール溝4と組み合うボール6と同じ外形であるから、上記のようにφ6のボール24aが左右に振れるボール溝4内を押し込まれながら進むということは、ボール6がボール溝4内を最も深い地点に位置決められながら通るという、組立てを完了した最も安定した状態にあるときのボールスプライン3の動きが再現される。
【0058】ここで、ボール24aと点接触するボール溝4の左右の円弧に変化がなければ、微小角δ1あるいは微小角δ2でボール溝4が左右(周)方向に微小に振られたときのφ6ボール24aのラジアル方向Rにおける各点接触位置(ボール溝4の左右)は一定である。むろん、このときφ6ボール24におけるスラスト方向S(深さ方向:軸部1aの半径方向)についても一定である。
【0059】またボール24aと点接触する左右の円弧部分に変化あれば、同変化がφ6ボール24aの位置変化として表れ、同変化がφ6ボール24aのラジアル方向Rの変位として表れたり、φ6ボール24aのスラスト方向Sの変位として表れたりする。
【0060】このとき、φ6ボール24aのラジアル方向Rの変位は、ラジアル方向検出器27で検出され、スラスト方向Sの変位は、スラスト方向検出器28で検出されるから、φ6ボール24aがボール溝4内を一端部(先端側)から他端部(根元側)へ通るにしたがい、両検出器27,28により、図9(b)および図9(c)に示されるようにボール24aが点接触するボール溝4の地点が連続的に測定される。なお、図9(b)は、このときのラジアル方向Rにおけるボール溝4の点接触地点の変化を示し、図9(c)をスラスト方向Sにおけるボール溝4の点接触地点の変化を示している。
【0061】このボール6と点接触する部分の測定が、残る2つのボール溝4でも同様に行なわれ(ステップS6)、全ボール溝7の全長の形状測定が行なわれる。
【0062】ついで、測定結果出力部32から、これらの測定データが出力される(ステップS7)。
【0063】したがって、困難とされていたボール溝4のボール6と点接触する円弧部分の加工具合を測定することができる。
【0064】しかも、ボール6が最も安定した状態に組み付くボール溝4の状態(ボール6がボール溝4内の最も深い地点にある状態)を再現するから、高い精度を保ったままボール溝4の全長での測定ができる。
【0065】そのうえ、測定は、振れるボール溝4内にφ6ボール24aを通すだけなので、簡単な設備で容易に行える。
【0066】測定後、測定結果出力部32から測定データが出力され(ステップS7)、同ボール溝7の全長の形状測定データと、先に説明したボール溝7の平面の形状測定データとの双方を組合わせることにより、ボール溝7の全体形状が推定できる。
【0067】つまり、φ2のボール23a(ボール溝4の溝幅より小さな測定子)で行なわれるボール溝7の形状測定の併用により、容易にボール溝4の全体形状が仕様の通りに形成されているのがわかる。しかも、ボール6がボール溝4に嵌まり合うときのボール中心位置の測定により、さらにボール溝4を総合的に測定できる。
【0068】なお、本発明では、固定側シーブ1のボール溝4、すなわち軸部1aの外周面に形成されているボール溝4の溝形状を測定したが、これに限らず、図10および図11に示されるような可動側シーブ2のボール溝5、すなわちボス部2aの内周面に形成されているボール溝5の溝形状を測定するようにしてもよい。この場合、例えば測定子となるボール23a,24aを筒内に挿入可能とした形状に形成してあるセンサーホルダを用いればよい。
【0069】また上述した一実施形態では、CVTのシーブ部品に有るボール溝の形状を測定する例を挙げたが、これ以外の部品の周面に形成されているボール溝の形状を測定するようにしてもよい。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載の発明に記載の発明によれば、難しいとされていたボール溝のボールと点接触する円弧部分の加工具合を測定することができる。しかも、測定は、ボールが最も安定した状態にボール溝に組み付けられている状態、すなわちボールがボール溝の最も深い地点にある状態を再現するから、高い精度でボール溝の全長方向における測定ができる。そのうえ、ボール溝と組み合うボールに相当する外形を有する測定子をボール溝内に通すだけなので、測定は容易である。
【0071】請求項2に記載の発明によれば、上記効果に加え、ボール溝の平面方向の形状と長さ方向の形状との両測定から、ボール溝の全体形状が所定の仕様通りに形成されているかがわかるといった効果を奏する。
【0072】請求項3に記載の発明によれば、上記効果に加え、ボール溝内を転がるボール中心位置も求めることができ、さらにボール溝を総合的に測定できるといった効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
【出願日】 平成11年12月20日(1999.12.20)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外3名)
【公開番号】 特開2001−174204(P2001−174204A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−361196