| 【発明の名称】 |
走査型プローブ顕微鏡 |
| 【発明者】 |
【氏名】安武 正敏
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| 【要約】 |
【課題】ボイスコイル部の発熱によるSPM装置筐体の熱膨張を抑制し、SPMの測定画像の精度の低下を防止する。
【解決手段】カンチレバー上にある探針を試料面に沿って走査を行う磁気ドライブスキャナを有する走査形プローブ顕微鏡において、前記磁気ドライブスキャナのボイスコイル部を筺体より断熱的あるいは熱的な統合をできるだけ低くなるように取付けるため、ボイスコル部に放熱機構を設け、また筺体への熱の流入を抑制するため、前記ボイスコル部と筺体との間に、熱伝導率が低く、両者間の接触面積を小さくしたスペーサを介して前記ボイスコイル部を前記筺体に固体する構造とした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 カンチレバー上にある探針を試料面に沿ってメカ的に走査を行なう磁気ドライブスキャナーを有する走査型プローブ顕微鏡において、前記磁気ドライブスキャナーのボイスコイル部(図2:21、23、25、28、29)を筐体より断熱的あるいは熱的な結合をできるだけ低くなるように取りつけ、前記ボイスコイル部より放熱させる機構を設けたことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。 【請求項2】 前記ボイスコイル部よりの放熱機構として、ボイスコイル部に冷却フィンを取りつけ、自然空冷、あるいは筐体から直接支持されていない固定点で支持されたファンによる強制空冷機構を有することを特徴とする請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡。 【請求項3】 前記ボイスコイル部の放熱機構としてボイスコイル部にペルチエ素子を取りつけ、該ペルチエ素子放熱側を自然空冷、あるいは筐体から直接支持されていない固定点で支持されたファンによる強制空冷機構を有することを特徴とする請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡。 【請求項4】前記ボイスコイル部の放熱機構として、ボイスコイル部にヒートパイプを取りつけ、該ヒートパイプの放熱側を自然空冷、あるいは筐体から直接支持されていない固定点で支持されたファンによる強制空冷機構を有することを特徴とする請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡。 【請求項5】前記ボイスコイル部の放熱機構として、ボイスコイル部に冷媒循環用パイプを取りつけ、前記冷媒循環用パイプに冷媒温度制御装置を取り付け、ボイスコイル部を冷媒と熱交換することにより一定の温度に制御することを特徴とする請求項1記載の走査型プローブ顕微鏡。 【請求項6】カンチレバー上にある探針を試料面に沿ってメカ的に走査を行なう磁気ドライブスキャナーを有する走査型プローブ顕微鏡において、発熱部であるボイスコイル部を筐体より断熱的あるいは熱的な結合をできるだけ低く押さえる目的で前記ボイスコイル部と筐体の間に、熱伝導率が低く、前記ボイスコイル部と筐体の接触面積を小さくしたスペーサーを介して、前記ボイスコイル部を前記筐体に固定することを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。 【請求項7】スペーサーの材料として、両面研磨したワッシャ状のステアタイト、マコール、ルビー等を使用し、固定ねじとしてSUS304などの熱伝導率の悪い材質を使用することを特徴とする請求項7記載の走査型プローブ顕微鏡。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、走査型プローブ顕微鏡(SPM)の測定精度向上に関するものである。特にスキャナーに磁気ドライブを用いたタイプのSPMで、力の駆動源であるボイスコイル部分の発熱を押さえ、筐体の熱ドリフトによる画像の歪みを押さえたことによる測定精度向上に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来の磁気ドライブのスキャナーを持つプローブ走査装置として、本出願人が先に出願した特願平8−118015号がある。これを図7に示す。図7で、1は筐体、2は磁石、3は磁石の心棒部、4は可動子、5はメンブレン、6はコイル、7は細線、8はスピンドル、9は変位検出器、10はカンチレバー、11は第1のばね、12は第2のばね、13は中筒、14は細管部、15は太管部、16はヒーター用コイル、17は粘性体、21は磁石、22は心棒部、23は可動子、24はメンブレン、25はコイル、26は細線、27はスピンドル(X,Y)、31は試料台、32は試料、33は試料ステージである。このプローブ走査装置は、図7に示されているように、筐体1に、z方向の粗動に使用されるz方向ボイスコイルモータと、x、y方向の走査に使用されるx、y方向ボイスコイルモータが装着されている。 【0003】z方向ボイスコイルモータは筐体1に第1の磁石2が固着され、磁石2の心棒部3に可動子4が遊嵌されている。可動子4はメンブレン5によって弾性的に筐体1に支持されており、またその周囲にコイル6が巻回されている。磁石2、心棒部3、可動子4、メンブレン5およびコイル6は、スピーカ等で使用されているボイスコイルモータを形成している。 可動子4には、細線7の一方の端部が固着されており、細線7の他方の端部はz方向に延びるスピンドル8の一端に固着されている。スピンドル8の他端には、変位検出器9が装着されており、変位検出器9にカンチレバー等の探針10が装着されている。また、スピンドル8はその中央部で第1のばね11により、またその下端部で第2のばね12により中筒13に支持されている。中筒13に設けられた十字型の板ばね又は通常の板ばねから構成されている。 【0004】筐体1は試料室に突出する細管部14とこれに連なる太管部15とを有し、太管部15の一部にヒータ用コイル16が巻回されている。また、太管部15と中筒13との間には、例えばグリコールフタレート等のポリマ類からなる粘性体17が挿入されている。粘性体17は室温では固体と同様の性質を示すが、ヒータ用コイル16に通電することにより加熱されると粘性を示すようになる。 【0005】一方、x方向ボイスコイルモータは、筐体1に磁石21が装着されており、その心棒部22に可動子23が遊嵌されている。可動子23はメンブレン24により筐体1に弾性的に支持されており、また可動子23の周囲にコイル25が巻回されている。可動子23には細線26の一端が固着され、その他端はx方向のスピンドル27に固着されている。スピンドル27の他端は前記太管部15の側部に固着されている。第2の磁石21、心棒部22、可動子23、メンブレン24およびコイル25は前記と同様のボイスコイルモータを形成している。ボイスコイルモータはx方向のスピンドル27に作用するが、y方向ボイスコイルモータは図示されていないが、x方向ボイスコイルモータと同一の構成をしており、x方向ボイスコイルモータと90度離れた位置に設置されている。 【0006】探針10と対向する位置には試料台31が設けられ、試料台31上に検査すべき試料32が載置されている。また、試料台31は粗動x,y,zステージ33上に設置されている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】特願平8−118015号に示す磁気ドライブスキャナーは、ボイスコイルを駆動源とし、片持ち梁構造のスキャナー(ばね要素)を、押すため、片持ち梁構造のスキャナーの変位と駆動力の関係は、フックの法則に従って線形的な関係になる。従ってピエゾスキャナーを用いた走査型プローブ顕微鏡に比較して、変位はボイスコイルの力すなわち印加した電流に線形に応答し、ピエゾ素子のようなクリープやヒステリシスもない。しかし、変位量が大きくなると、ボイスコイルに印加された電流が増し、ボイスコイル部での発熱は、P=R(T)x I2(P:ボイスコイル部での発熱、R(T):ある温度Tでのボイスコイルの抵抗、I:ボイスコイルに流れる電流)変位量の2乗に比例して発生する。この発熱がSPM装置筐体の熱膨張を発生させ、画像測定中に、試料固有の形状以外の画像歪みを発生させ、形状測定の精度を低下させている。そこで、この発明の目的は、このようなボイスコイルの発熱問題を解決するために、ボイスコイル部に放熱機構を設けまた筐体への熱の流入を抑制し、SPMの測定画像の精度を向上する方法を考案したことにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、この発明は、ボイスコイル部に放熱機構を設け、また筐体への熱の流入を抑制する機構を設けた。 【0009】 【作用】前記の放熱機構において、ボイスコイル部より発生する熱は、放熱部に熱伝導され、放熱部を低温の空気と接触させることにより、周囲の空気中に拡散させている。一方筐体に流入させる熱量を抑制する目的で、ボイスコイルと筐体の接触面積を減少させ、また熱伝導率の悪い材質で作成したワッシャ状の断熱スペーサーと固定ねじを用いた。 【0010】 【発明の実施の形態】以下図1、2に、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本装置全体模式図である。図2は発熱部であるボイスコイル部の模式図である。 図3、4、5は放熱機構の別実施形態である。図6は、ボイスコイルと筐体の取り付け部の模式図である。以下図面を用いて説明する。図1は、前記磁気ドライブSPM(図7)のボイスコイル部に放熱機構としてヒートパイプを取り付けたものである。図1で、40はヒートパイプ、41は熱流入部、44は熱放出部が接続されるヒートシンク、43は熱放出フィン、50は空冷ファンである。図1ではZ軸とX軸の2個所が示されていくるが、90度背面方向にX軸と同様のY軸用放熱機構がある。図2には、ヒートパイプの熱流入部と放熱部の摸式図を示す。いまボイスコイルから10Nの推力を得るために2Aの電流を抵抗3オームのコイル25に流すと6Wの発熱となる。このコイル25で発生した熱Pは、可動子23を通して、一方は、細線26とスピンドル27方向に流れ、もう一方は、可動子23、磁性流体29を通して、磁石21と磁芯28に流れ込み、最終的に筐体1に流れ込む。この熱の影響で筐体が歪むことにより、試料32と探針10の相対位置がずれることにより、画像に歪みが生じる。(熱ドリフト)この影響を軽減する目的でボイスコイル部の温度を一定にするために放熱機構を設けた。図2のボイスコイル部の背面にヒートパイプの熱流入部を取り付ける。熱接触をよくするために、直接ヒートパイプを溶接するか、あるいは、シリコン等の充填材を介して固定する。一方ヒートパイプの放熱部は、XYZ3軸まとめて(あるいは、3ヶのヒートシンク別々でも良い)ヒートシンク44に接続し、ヒートシンク44に取り付けた熱放出フィンで自然空冷あるいは、空冷ファン50による強制空冷を行なう。またヒートシンク44が低温になりすぎた場合、ボイスコイルの温度が40℃以下にならないように、加熱ヒーター45と熱電対46を用いてヒートシンク44の温度制御を行なう。またボイスコイルの温度が40℃以上の場合は、いまボイスコイル部の温度をTbとし、ヒートシンクの温度をThとするとヒートパイプを通して放熱される熱量PhはΔT=Tb−Thに相関する。ボイスコイル部の発熱量が増加してTbが上昇すると、Phも増加するため、放熱部の熱放出量がPhより大きい場合は、ヒートシンクを温度制御することなしに、ボイスコイル部の温度を一定にできる。あるいは、ボイスコイルの温度を一定にする目的で、熱電対46´をボイスコイル部に接続し、その温度信号により加熱ヒーター45を制御してもよい。 【0011】ヒートパイプを放熱機構として用いると、放熱部をボイスコイル部より離した位置に配置でき、たとえば放熱部を防音用の密閉ケースの外側に配置することが可能になる。またヒートパイプを粘性の大きい除振材で固定すれば、ヒートパイプを通して伝わる振動を軽減できる。 【0012】図3には、直接空冷フィン43をボイスコイル部に固定し、空冷ファン50により、強制空冷した実施例を示す。構造は簡単であるが、空冷ファンよりの空気振動が直接ボイスコイルに伝達するのが欠点となる。 【0013】図4には、放熱機構として、ペルチエ素子60と強制空冷機構(熱放出フィン43と空冷ファン50)を組み合わせた実施例の別形態を示す。熱電対62とペルチエ素子の電源61を制御することにより、ボイスコイル部の温度を一定にすることが可能になる。またこの構成にすると室温より低い温度でボイスコイル部を制御できる。 【0014】図5には、放熱機構として、ボイスコイル部に接触した冷媒導入パイプ70中に冷媒を循環させる実施例の別形態を示す。冷媒として、たとえば温度制御された水を用い、熱電対72と冷媒温度調節装置71により、冷水の温度を制御することにより、ボイスコイル部の温度を一定にすることが可能になる。 【0015】次に筐体に流入する熱量を抑制する目的で図6に示すボイスコイル部と筐体の取り付け部の構造を説明をする。筐体1とボイスコイル部の固定は、接触面積が小さく、また熱伝導率の悪い材質で作成したワッシャ状の断熱スペーサー80を介して、熱伝導率の悪い材質の固定ねじ81を用いて固定した。具体的な材質としてスペーサーの材料は、両面研磨したワッシャ状のステアタイト、マコール、ルビー等を使用し、固定ねじとしてSUS304を使用できる。 【0016】 【発明の効果】この発明は、以上説明したようにボイスコイル部の発熱を抑制することにより画像の熱ドリフトを軽減でき、測定精度の向上が達成された。ボイスコイル部の温度が一定になり、コイルの抵抗値も一定に保たれ、温度上昇によるコイルの抵抗の増加による発熱も軽減された。さらにボイスコイル部の温度が一定のため、磁界の強度も一定に保たれ、ボイスコイルで発生する力も一定になり、結果として測定精度が向上した。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002325 【氏名又は名称】セイコーインスツルメンツ株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年11月18日(1999.11.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100096286 【弁理士】 【氏名又は名称】林 敬之助
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| 【公開番号】 |
特開2001−141446(P2001−141446A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月25日(2001.5.25) |
| 【出願番号】 |
特願平11−328372 |
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