| 【発明の名称】 |
V溝形状測定方法及び装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】野田 孝
【氏名】出口 博美
【氏名】小倉 勝行
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| 【要約】 |
【課題】回転テーブル上に立てて固定した雄ねじや回転テーブル上に置かれた被測定物上のねじ穴のピッチ偏差や半径偏差等の特性値の正確な測定を可能とする。
【解決手段】測定子方向一定制御と、回転テーブル半径一定倣い制御と、2面接触倣い制御とを組合せ、被測定物のV溝を構成する2面に、常に倣いプローブ22の測定子24を接触させるV溝回転テーブル倣い制御を行う。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】V溝が螺旋状に形成された被測定物を回転テーブルに固定して、該回転テーブルにより被測定物を回転させながら、位置測定用の倣いプローブを用いて被測定物のV溝を倣い測定する際に、マシン座標系から見て、被測定物の原点から倣いプローブの測定子までの方向ベクトルを回転テーブルのテーブル面に投影したベクトルを一定に保つことを目標とする測定子方向一定制御と、拘束面を円筒面とする回転テーブル半径一定倣い制御と、被測定物のV溝を構成する2面に、倣いプローブの測定子を接触させる2面接触倣い制御とを組み合わせることにより、被測定物のV溝を構成する2面に、常に倣いプローブの測定子を接触させるV溝回転テーブル倣い制御を行うことを特徴とするV溝形状測定方法。 【請求項2】請求項1において、前記V溝回転テーブル倣い制御を、前記倣いプローブの位置ベクトルX、その変位量ΔX及び回転テーブルの回転角θをサンプリングし、該回転テーブルの回転角θより、被測定物の軸心に垂直な方向のアプローチ逆方向ベクトルQuを算出し、回転テーブルが回転角θで静止している時のプローブの速度ベクトルVを算出し、被測定物の軸心から見た、プローブの速度ベクトルVによる回転テーブルの角速度ωwを算出し、テーブル回転角θとプローブ位置Xの位置関係から、制御誤差によるテーブル回転角θの目標値からの進みや遅れを調整して、補正角速度Δωを決定し、このΔωにより角速度ωwを補正し、プローブ位置X及びテーブル回転角θで、補正角速度Δωの動きに追従する速度ベクトルVtを算出し、該追従速度ベクトルVtと前記プローブ速度ベクトルVのベクトル和Vf(=V+Vt)をプローブの速度指令とし、前記角速度ωwを補正角速度Δωで補正した値ωt(=−ωw+Δω)を回転テーブルの速度指令とすることにより行うことを特徴とするV溝形状測定方法。 【請求項3】請求項2において、前記プローブの速度ベクトルVを、少なくとも、倣いプローブの基本的な進行方向を示す基本速度ベクトルVoと、倣いプローブの変位を一定に保つための変位補正ベクトルVeと、測定子をV溝の2面に接触させるための2面接触用ベクトルVhの和とすることを特徴とするV溝形状測定方法。 【請求項4】請求項3において、前記和に、更に、半径を一定に保つための半径補正ベクトルVrを加えたものを、前記プローブの速度ベクトルVとすることを特徴とするV溝形状測定方法。 【請求項5】請求項1乃至4のいずれか一項において、前記2面接触倣い制御中に、2面接触が維持されなくなった時は、エラー発生として処理することを特徴とするV溝形状測定方法。 【請求項6】請求項5において、前記倣いプローブの被測定物に対するアプローチ方向と逆方向のアプローチ逆方向ベクトルQuと被測定物の軸心に対応するベクトルgθで作られる平面に、プローブ法線ベクトルEuを投影したベクトルEsと、前記アプローチ逆方向ベクトルQuとのなす角度αが、所定値以上となった時に、2面接触が維持されなくなったと判定することを特徴とするV溝形状測定方法。 【請求項7】請求項1乃至6のいずれか一項において、前記V溝回転テーブル倣い制御を開始する前に、被測定物のV溝を構成する2面に、倣いプローブの測定子を接触させるためのアプローチ処理を行うことを特徴とするV溝形状測定方法。 【請求項8】請求項7において、前記アプローチ処理を、前記倣いプローブの変位を一定に保つための変位補正ベクトルVeと、測定子をV溝の2面に接触させるための2面接触ベクトルVhの和により求めた相対速度ベクトルVにより、被測定物と倣いプローブを相対移動させ、前記倣いプローブの被測定物に対するアプローチ方向と逆方向のアプローチ逆方向ベクトルQuと被測定物の軸心に対応するベクトルgθで作られる平面に、プローブ法線ベクトルEuを投影したベクトルEsと、前記アプローチ逆方向ベクトルQuとのなす角度αが、所定値以内となった時に、2面が接触したと判定してプローブを停止することにより、行うようにしたことを特徴とするV溝形状測定方法。 【請求項9】請求項8におけるアプローチ処理時における倣いプローブのアプローチ方向の処理と、請求項2におけるV溝回転テーブル倣い制御時における倣いプローブのアプローチ方向の処理を、共通としたことを特徴とするV溝形状測定方法。 【請求項10】請求項2乃至9のいずれか一項において、マシン座標系の、ある軸の方向からアプローチする時は、他の軸をクランプして、他の方向には動かさないようにすることを特徴とするV溝形状測定方法。 【請求項11】V溝が螺旋状に形成された被測定物が固定される回転テーブルと、被測定物の表面と係合する測定子を有する倣いプローブと、該倣いプローブを被測定物の表面に沿って移動するための駆動機構と、前記倣いプローブの位置を検出するための位置検出手段と、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法により、前記倣いプローブの移動速度、及び、回転テーブルの回転状態を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とするV溝形状測定装置。 【請求項12】請求項11において、前記倣いプローブに、径の異なる複数の測定子が並設され、V溝の大きさに合わせて選択可能とされていることを特徴とするV溝形状測定装置。 【請求項13】請求項11又は12において、前記回転テーブルが、三次元座標測定機に組み込まれ、その座標測定用プローブが、前記倣いプローブとされていることを特徴とするV溝形状測定装置。 【請求項14】請求項11乃至13のいずれか一項において、前記回転テーブルの回転中心や、その直下の三次元座標測定機の定盤に、長尺の被測定物の下端を受け入れるための穴が開けられていることを特徴とするV溝形状測定装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、V溝形状測定方法及び装置に係り、特に、三次元座標測定機を用いて、ウォームギヤや雄ねじ、ねじ穴等の、V溝が螺旋状に形成された被測定物のV溝のピッチ偏差や半径偏差等の特性値を測定する際に用いるのに好適な、V溝形状測定方法及び装置に関する。 【0002】 【従来の技術】ワーク等の被測定物の立体的形状を高精度に測定する装置として、図1に示す三次元座標測定機(単に三次元測定機とも称する)10が知られている。これは、表面が平滑な平面となるように研磨された、例えば花こう岩等からなる定盤12と、該定盤12の前後方向(例えばY軸方向)へ移動自在に設けられた門形フレーム14と、この門形フレーム14の水平ビーム15に沿って左右方向(例えばX軸方向)へ移動自在に設けられたスライダ16と、このスライダ16に上下方向(例えばZ軸方向)へ昇降自在に設けられた昇降軸18と、この昇降軸18の下端にプローブホルダ20を介して取り付けられた、先端に測定子24が形成された座標測定用のプローブ22とから構成されている。 【0003】従って、定盤12上に被測定物であるワークWを載置した後、プローブ22を三次元方向(X、Y、Z軸方向)へ移動させながら、ワークWの測定部位に測定子24を順次当接させ、各当接点において、プローブ22の各軸方向の座標値を、図示しないスケールから読み取り、これらの座標値を演算することにより、ワークWの寸法や角度等を高精度に測定することができる。 【0004】このような三次元測定機を用いてねじの形状を測定する方法として、出願人は、例えば特開平6−341826で、ねじ穴の中心座標を求める方法を提案している。 【0005】又、このような三次元測定機を用いて、ワークの形状を測定する際には、座標測定用のプローブ22を移動させながら、ワークの座標を、順次、倣い測定する必要がある。この倣い制御を、コンピュータを用いて自動的に行う方法として、回転テーブルを使用しない場合については、任意平面を基準面として、該基準面からの高さを一定に保ちつつ、ワークの輪郭に沿って倣う制御方法(以下、高さ一定倣い制御と称する)と、図3に回転テーブル30を使用した場合で例示する如く、任意の直線と該直線からの距離(即ち半径)の指定で決定される円筒面内をワークWの輪郭に沿って倣う制御方法(以下、半径一定倣い制御と称する)が開発され、実用化されている。 【0006】又、図2に示す如く、回転テーブル30を使用した場合についても、出願人は特許第2066305号で、回転テーブルを使用しない場合のプローブの3軸制御倣いに、回転テーブルによる1軸を追加して、図4に示す如く、ワークの測定基準線に対するプローブの方向を一定に保ちつつ(測定子方向一定倣い制御と称する)、4軸同時制御による倣いを行うことを提案している。 【0007】この方法によれば、図3に示す円筒カムのような、回転テーブルを使用しない場合に、ワークとプローブが干渉するため、一度で測定できないような場合でも、プローブの姿勢(方向)を変更せずに、一度で全周の測定が可能となる。又、一度で測定することが不可能なインペラやプロペラの羽根のような場合にも、プローブの姿勢変更回数を減らすことができる。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】一方近年、測定対象の拡大と共に、図5に示す如く、V溝が螺旋状に形成されたウォームギヤや、一般的な雄ねじや、ワークに形成されたねじ穴等のねじのピッチPの偏差(例えば最大偏差)や、図6に示す如く、軸方向に重畳したねじ山の平面軌跡の半径R方向の偏差(例えば最大偏差ΔR)の測定を行う要請が出てきているが、従来の方法では、これらを的確に測定することはできなかった。 【0009】本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、ウォームギヤや、一般的な雄ねじや、ねじ穴等のV溝形状の特性値を的確に測定することを課題とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は、V溝が螺旋状に形成された被測定物を回転テーブルに固定して、該回転テーブルにより被測定物を回転させながら、位置測定用の倣いプローブを用いて被測定物のV溝を倣い測定する際に、マシン座標系から見て、被測定物の原点から倣いプローブの測定子までの方向ベクトルを回転テーブルのテーブル面に投影したベクトルを一定に保つことを目標とする測定子方向一定制御と、拘束面を円筒面とする回転テーブル半径一定倣い制御と、被測定物のV溝を構成する2面に、倣いプローブの測定子を接触させる2面接触倣い制御とを組み合わせることにより、被測定物のV溝を構成する2面に、常に倣いプローブの測定子を接触させるV溝回転テーブル倣い制御を行うようにして、前記課題を解決したものである。 【0011】又、前記V溝回転テーブル倣い制御を、前記倣いプローブの位置ベクトルX(以下、明細書が繁雑になるのを避けるため、本文中では全てのベクトル記号を省略)、その変位量ΔX及び回転テーブルの回転角θをサンプリングし、該回転テーブルの回転角θより、被測定物の軸心に垂直な方向のアプローチ逆方向ベクトルQuを算出し、回転テーブルが回転角θで静止している時のプローブの速度ベクトルVを算出し、被測定物の軸心から見た、プローブの速度ベクトルVによる回転テーブルの角速度ωwを算出し、テーブル回転角θとプローブ位置Xの位置関係から、制御誤差によるテーブル回転角θの目標値からの進みや遅れを調整して、補正角速度Δωを決定し、このΔωにより角速度ωwを補正し、プローブ位置X及びテーブル回転角θで、補正角速度Δωの動きに追従する速度ベクトルVtを算出し、該追従速度ベクトルVtと前記プローブ速度ベクトルVのベクトル和Vf(=V+Vt)をプローブの速度指令とし、前記角速度ωwを補正角速度Δωで補正した値ωt(=−ωw+Δω)を回転テーブルの速度指令とすることにより行うようにしたものである。 【0012】又、前記プローブの速度ベクトルVを、少なくとも、倣いプローブの基本的な進行方向を示す基本速度ベクトルVoと、倣いプローブの変位を一定に保つための変位補正ベクトルVeと、測定子をV溝の2面に接触させるための2面接触用ベクトルVhの和とするようにしたものである。 【0013】又、前記和に、更に、半径を一定に保つための半径補正ベクトルVrを加えたものを、前記プローブの速度ベクトルVとするようにしたものである。 【0014】又、前記2面接触倣い制御中に、2面接触が維持されなくなった時は、エラー発生として処理することにより、誤まった測定が、そのまま継続されないようにしたものである。 【0015】又、前記倣いプローブの被測定物に対するアプローチ方向と逆方向のアプローチ逆方向ベクトルQuと被測定物の軸心に対応するベクトルgθで作られる平面に、プローブ法線ベクトルEuを投影したベクトルEsと、前記アプローチ逆方向ベクトルQuとのなす角度αが、所定値以上となった時に、2面接触が維持されなくなったと判定するようにしたものである。 【0016】又、前記V溝回転テーブル倣い制御を開始する前に、被測定物のV溝を構成する2面に、倣いプローブの測定子を接触させるためのアプローチ処理を行うようにして、測定開始前に、確実に2面接触するようにしたものである。 【0017】又、前記アプローチ処理を、前記倣いプローブの変位を一定に保つための変位補正ベクトルVeと、測定子をV溝の2面に接触させるための2面接触ベクトルVhの和により求めた相対速度ベクトルVにより、被測定物と倣いプローブを相対移動させ、前記倣いプローブの被測定物に対するアプローチ方向と逆方向のアプローチ逆方向ベクトルQuと被測定物の軸心に対応するベクトルgθで作られる平面に、プローブ法線ベクトルEuを投影したベクトルEsと、前記アプローチ逆方向ベクトルQuとのなす角度αが、所定値以内となった時に、2面が接触したと判定してプローブを停止することにより、行うようにしたものである。 【0018】又、前記アプローチ処理時における倣いプローブのアプローチ方向の処理と、前記V溝回転テーブル倣い制御時における倣いプローブのアプローチ方向の処理を、共通として、ロータリテーブルの回転角θが基準値=0°以外からスタートできるようにしたものである。 【0019】又、マシン座標系の、ある軸の方向からアプローチする時は、他の軸をクランプして、摩擦の影響を除いたものである。 【0020】本発明は、又、V溝形状測定装置において、V溝が螺旋状に形成された被測定物が固定される回転テーブルと、被測定物の表面と係合する測定子を有する倣いプローブと、該倣いプローブを被測定物の表面に沿って移動するための駆動機構と、前記倣いプローブの位置を検出するための位置検出手段と、前記のいずれかの方法により、前記倣いプローブの移動速度、及び、回転テーブルの回転状態を制御する制御手段とを備えることにより、前記課題を解決したものである。 【0021】又、前記倣いプローブに、径の異なる複数の測定子を並設し、V溝の大きさに合わせて選択可能として、ねじ形状の変化に容易に対応できるようにしたものである。 【0022】又、前記回転テーブルを、三次元測定機に組み込み、その座標測定用プローブを、前記倣いプローブとして、三次元測定機によりV溝の形状が測定できるようにしたものである。 【0023】又、前記回転テーブルの回転中心や、その直下の三次元測定機の定盤に、穴を開けることにより、長尺の被測定物の下端を受け入れるようにして、回転テーブルや被測定物下方の測定不要部により、三次元測定機等の測定範囲が制限されないようにしたものである。 【0024】 【発明の実施の形態】以下図面を参照して、ウォームギヤのピッチ偏差及び半径偏差の測定に適用した本発明の実施形態を詳細に説明する。 【0025】本実施形態は、図7(正面図)、図8(平面図)、図9(図8のIX−IX線に沿う要部断面図)に示す如く、座標測定用のプローブ22を備えた三次元測定機10の定盤12に凹部12Aを形成して、その中に回転テーブル30を設置し、該回転テーブル30のチャック32にワーク(ウォームギヤ)Wを固定して、該回転テーブル30によりワークWを回転させながら、前記プローブ22を用いてワークWのV溝を倣い測定する際に適用される。 【0026】図において、Mは、測定子24の直径の違いを校正するための、定盤12の隅に植立されたポールP上に固定された、正確な直径が既知の真球からなるマスターボールであり、40(図7)は、本発明に係るV溝回転テーブル(以下、RTと略する)倣い制御を行うと共に、これによって得られるねじのV溝の軌跡のデータ(三次元)を測定値として取込み、該データの解析処理を行うことにより、ねじのピッチ偏差や半径偏差等の特性値を求める制御/データ処理装置である。 【0027】前記制御/データ処理装置40は、例えば図7に示す如く、中央処理ユニット40A、記憶装置40B、ジョイスティック40C、モニタ40D及びプリンタ40Eからなり、本実施形態に係る処理を行うためのプログラムは、前記記憶装置40Bに格納されている。 【0028】前記回転テーブル30の回転中心、及び、必要に応じて、その直下の定盤12には、図9に詳細に示す如く、穴30Aが開けられ、長尺のワークWの下端を受け入れることによって、例えば図10に示す如く、ワークWの上方にのみねじが切られているようなワークWのねじ山の有効測定範囲Lを三次元測定機10のプローブ22の可動範囲内に確保することができる。これに対して、回転テーブル30に穴を開けることなく、その上にワークWを固定した場合には、測定範囲がワークWの上半分であるような被測定物であっても、プローブ22の上下移動範囲の半分しか使うことができず、三次元測定機10の定盤12の上の寸法によっては、ねじ山を完全に測定し切れない場合がある。 【0029】前記プローブ22は、図11に詳細形状を示す如く、例えば略H状のホルダ20の片側側面に例えば3個並設され、例えば測定子の直径を、0.3mm、0.6mm、1mmのように変えることによって、測定対象のV溝の大きさに合わせて、適切なサイズの測定子を選択できるようにされている。 【0030】測定に使用する座標系の関係を図12に示す。図において、(Xs,Ys,Zs)は、三次元測定機10に設けられたスケールの絶対原点Osを原点とする三次元測定機10の座標系(スケール座標系と称する)、(Xm,Ym,Zm)は、該スケール座標系を、マスタボールMの中心に平行移動した座標系(マシン座標系と称する)、(Xt,Yt,Zt)は、回転テーブル30の回転角θが0のときの回転テーブル30の座標系(T座標系と称する)、(Xtθ,Ytθ,Ztθ)は、該T座標系を回転テーブル30の回転角θだけ回転させた座標系(テーブル座標系と称する)、(Xw,Yw,Zw)は、ワークWの座標系(ワーク座標系と称する)である。ここで、スケール座標系とマシン座標系は厳密には異なるが、平行移動しただけであるので、以下の説明では、両者を共にマシン座標系と呼んでいる。本実施形態では、基本的にT座標系で速度データを算出し、マシン座標系に戻して制御を行なっている。 【0031】以下、図13を参照して、本実施形態における測定手順を詳細に説明する。 【0032】測定に際しては、まずステップ100で、ワークWを回転テーブル30に乗せ、チャック32で固定する。 【0033】次いで、ステップ102で、ジョイスティック40Cを操作することによりプローブ22を移動して、測定に使用する測定子24でマスタボールMを両側から測定することにより、測定子24の直径を求め、複数の測定子間の差を調整する。 【0034】次いでステップ104に進み、ジョイスティック40Cでプローブ22を移動して、図14に示す如く、チャック32に固定されたワークWの例えば上下3点ずつ、合計6点の座標を測定して、仮のワーク座標系Zw1を設定する。ここで、X軸Xw1とY軸Yw1は任意方向とすることができる。この仮の座標系は、本発明による制御を実施する際に、予めプローブ22の測定子24をワークWの表面近傍にもっていくためのものであり、誤差を含んでいてもよい。 【0035】次いでステップ105に進み、仮のワーク座標系Zw1に対して、V溝ポイント測定機能で、図15乃至17に示す如く、測定子24をアプローチさせて、ワークWのV溝の上下2面に正確に接触させ(アプローチ処理と称する)、V溝を上下6点測定して円筒処理演算を行い、正確なワーク座標系Zwを確立する。このアプローチ処理は、アプローチした時に、測定子24がV溝の上下2面に接するとは限らないため、行うもので、このアプローチ処理に際して、回転テーブル30は回転しない。なお、例えばマシン座標系の一軸(例えばX軸)方向にアプローチする場合は、プローブ22の他の軸(例えばY軸)方向をクランプすることで、摩擦の影響を排除でき、半径方向成分の測定精度を高めることができる。 【0036】次いで、ステップ106に進み、正確なワーク座標系Zwに対して、ステップ105と同様に、図15乃至17に示した如く、測定子24をアプローチさせて、ワークWのV溝の上下2面に正確に接触させる。 【0037】前記アプローチ処理終了後、ステップ108に進み、図18に示す如く、V溝RT倣い制御を行いつつ測定を行う。 【0038】図19に示す如く、測定終了位置(図では高さZ=Zh)に到達した時点で、ステップ110に進み、プローブ22を後退させる。 【0039】次いで、ステップ112に進み、測定したV溝の軌跡データ(三次元)を測定値として取込み、該データの解析処理を行うことによって、ピッチ偏差や半径偏差等の特性値を求める。 【0040】前出ステップ106におけるアプローチ処理は、具体的には、図20に示すような手順に従って行われる。 【0041】即ち、まず、ステップ200で、回転テーブル30の現在の回転角θを読み込む。 【0042】次いでステップ202に進み、ワーク座標系で与えられたアプローチ方向ベクトルQ1を、T座標系値に変換し(θ≠0でも可)、更に、ワーク座標系のワーク軸心(第3軸と称する)に垂直となるアプローチ逆ベクトルQuを求める。ここで、回転テーブル30の回転軸とワーク座標系の第3軸が傾いていてもよい。 【0043】具体的には、まず次式により、ワーク座標系で与えられたアプローチ方向ベクトルQ1に、テーブル回転角がθの時に、テーブル座標系をT座標系に変換するための座標変換マトリックスMを乗ずることによって、ベクトルQ2を求める。 【0044】 【数1】
【0045】次いで、次式により、このベクトルQ2とT座標系でのワーク第3軸ベクトルgθとの外積であるベクトルQ3を求める。 【0046】 【数2】
【0047】次いで、次の(3)式に示す如く、このベクトルQ3からワーク第3軸ベクトルgθと直角なベクトルQを求め、(4)式によりベクトルQを単位ベクトル化して、アプローチ逆方向ベクトルQuとする。 【0048】 【数3】
【0049】このベクトルQuをアプローチ逆方向とすることにより、ワーク軸と回転テーブルの回転軸が傾いていても、又、回転テーブルが、基準値(例えばθ=0°)以外の角度から回転を開始しても、ワークへのアプローチ処理とV溝RT倣い処理が可能となる。なお、アプローチ処理に際しては、ステップ202の(1)〜(3)式の処理を省略して、Q=Q2とし、ベクトルQuを求めても良い。 【0050】次いでステップ204に進み、図15に示したように、プローブを現在位置からアプローチ方向Qa(=−Qu)へ移動する。 【0051】次いでステップ206に進み、図16に示した如く、測定子24がワークWに接触した後に、その変位量が基準値(例えば1mm)を超えた時点で、プローブ22を停止する。 【0052】次いでステップ208に進み、プローブ先端の測定子の位置ベクトルX、及び、その変位量ΔXをサンプリングする。 【0053】次いでステップ210に進み、図16及び図17に矢印で示したように、測定子がV溝の斜面に沿って倣うように、次式によりプローブの速度ベクトルVを算出し、速度出力を行う。 【0054】 【数4】
【0055】ここで、プローブ変位を一定に保つための変位補正ベクトルVe(T座標系)は、次のようにして計算する。 【0056】まず、定常状態における摩擦等のオフセットを打ち消すための値Iを、次式により求める。 【0057】 【数5】
【0058】この値Iを用いて、変位補正ベクトルVeは、次式により求まる。 【0059】 【数6】
【0060】又、(5)式のVhは、V溝の2面に接触するためのT座標系のベクトル(2面接触ベクトルと称する)で、次のようにして求める。 【0061】即ち、まず、プローブ法線ベクトルEuとアプローチ逆方向ベクトルQuのズレを補正するためのベクトル(ズレ補正ベクトルと称する)hを次式により求める。 【0062】 【数7】
【0063】このズレ補正ベクトルhを用いて、次式によりワーク第3軸方向ベクトルhsを求める。 【0064】 【数8】
【0065】この(9)式により求められるワーク第3軸方向ベクトルhsを用いて、2面接触ベクトルVhを次式により求める。 【0066】 【数9】
【0067】前出ステップ210において、プローブの速度ベクトルVを算出すると同時に、アプローチ逆方向ベクトルQuとワーク第3軸で作る平面内で、ベクトルQuとプローブ法線ベクトルEuのなす角度αを算出する。 【0068】次いでステップ212に進み、前記角度αが所定値、例えば0.5°以内となったか否かを判定する。判定結果が否である場合には、ステップ208に戻り、プローブの移動を続ける。 【0069】一方、ステップ212の判定結果が正であり、図21に示す如く、一面接触時は、ねじ山の角度と同じ60°である角度αが、2面接触により0.5°以内になったと判断される時には、2面接触と判定して、ステップ214でプローブを停止し、V溝ポイント出力を発生して、アプローチ処理を終了する。 【0070】又、このアプローチ処理に続く、図13のステップ108のV溝RT倣い処理は、図22に示すような手順に従って行われる。 【0071】即ち、まずステップ300で、プローブ(測定子)の位置ベクトルX、その変位量ΔX、及び、回転テーブル30の回転角θをサンプリングする。 【0072】次いでステップ302に進み、図20のステップ202で説明したと同様な方法で、テーブル回転角θより、ワーク第3軸Zwに垂直なアプローチ逆方向ベクトルQuを算出する。 【0073】次いでステップ304に進み、次式により、回転テーブル30が回転角θで静止しているときのプローブの速度ベクトルVを算出する。 【0074】 【数10】
【0075】前記基本速度ベクトルV0(T座標系)は、次のようにして計算する。 【0076】図23に示すような関係より、まず、次の(12)式に示されるT座標系でのワーク第3軸Zwに平行なベクトルgθと、(13)式で示される、T座標系の原点Otからワーク座標系の原点Owに向う原点ベクトルOwθと、(14)式で示される、該原点ベクトルOwθより測定子中心へ向かうベクトルAを求める。 【0077】 【数11】
【0078】次いで、測定子中心からワーク第3軸へ垂直に下ろしたベクトルCrを次の(15)式により求め、(16)式により、その単位ベクトルCruを求める。 【0079】 【数12】
【0080】次いで、次の(17)式に示す如く、ワーク第3軸ベクトルgθと単位ベクトルCruの外積より、プローブ進行方向ベクトルPを求め、(18)式により、その単位ベクトルPuを求める。 【0081】 【数13】
【0082】なお、進行方向にギヤのリード角を加味する考え方もあるが、本実施形態では、制御サンプリング時間が2ミリ秒と短く、その間の移動距離が微小であるため、リード角は無視している。 【0083】(18)式で求められた進行方向単位ベクトルPuを用いて、基本速度ベクトルV0を次式により求めることができる。 【0084】 【数14】
【0085】前記スピードファクタSpは、倣い速度が速すぎて測定子がV溝の表面から離れてしまう恐れがあるときに、移動速度を下げてサンプリング時間毎の変位量が確保されるようにするためのもので、通常は1に近い値とされる。 【0086】又、(11)式で用いられている変位補正ベクトルVe(T座標系)及び2面接触ベクトルVh(T座標系)は、図20のステップ210で説明したものと同じ方法で計算される。なお、変位補正ベクトルVeの計算に際して、値I=0として、(7)式を簡略化することもできる。 【0087】又、(11)式で用いられている半径補正ベクトルVr(T座標系)は、次のようにして計算する。 【0088】まず、2面接触終了までの処理は、アプローチ処理と同じである。 【0089】次いで、プローブ法線とアプローチ逆方向の角度αが0.5°以下となったときの位置Ptを取り込み、同時にPtとZ軸の距離であるV溝RT倣い時の半径rを次式により求め、T座標系値へ変換する。 【0090】 【数15】
【0091】このV溝RT倣い半径rを用いて、半径補正ベクトルVrを次式により求める。 【0092】 【数16】
【0093】なお、従来のRT半径一定倣い制御では、半径修正方向を、ベクトルPuとベクトルEuの外積により求めているが、本実施形態に係るV溝RT倣いでは、半径修正方向を前記Cru方向としている。 【0094】本実施形態においては、(11)式で示したように、プローブ速度ベクトルVを求める際に半径補正ベクトルVrを加えているので、半径偏差が減少し、高精度な測定が可能である。なお、(11)式において半径補正ベクトルVrを省略し、プローブ速度ベクトルVを、基本速度ベクトルV0と変位補正ベクトルVeと2面接触ベクトルVhの三者の和により求めることも可能である。 【0095】図22のステップ304でプローブ速度ベクトルVを算出した後、ステップ306に進み、ワーク軸心から見た、プローブ速度ベクトルVによる回転テーブルの角速度(ワーク角速度と称する)ωwを算出し、θとXによる位置関係からθの進みや遅れを調整して、補正角速度Δωを決定する。 【0096】具体的には、アプローチ処理で2面接触したときのプローブ中心ベクトル(T座標系)Ptを使用して、RT倣い開始前に、図24に示す接線方向ベクトルCを決定しておく。 【0097】即ち、まず、T座標系でのワーク第3軸ベクトルgθと、原点ベクトルOwθと、該原点ベクトルOwθよりプローブ中心Ptへ向かうベクトルAを、次の(22)〜(24)式により求める。 【0098】 【数17】
【0099】次いで、測定子中心よりワーク第3軸へ垂直に下ろしたベクトルCrを次式により求める。 【0100】 【数18】
【0101】次いで、このベクトルCrをXt−Yt面に投影して、次の(26)式に示すベクトルCtを求め、更にπ/2回転させて、(27)式に示すベクトルCを求め、その単位ベクトルCuを(28)式により求める。 【0102】 【数19】
【0103】次いで、V=rωの関係より、次式を用いて、ワークとプローブの相対速度Vによるワークの角速度ωwを求める。 【0104】 【数20】
【0105】次いで、図25のような関係から、ワークとプローブの位置関係を保つための補正角速度Δωを算出する。図25において、ベクトルCrt=0は、アプローチ後に求めたプローブ中心からワーク第3軸に下ろした垂線ベクトル、ベクトルCは、ベクトルCrt=0をπ/2進ませたベクトル、ベクトルCrは、サンプリング毎に求まるプローブ中心からワーク第3軸に下ろした垂線ベクトルで、これらは、いずれもXt−Yt面内のベクトルである。又、aは、プローブ中心からワーク第3軸に下ろした垂線と第3軸の交点である。 【0106】補正角速度Δωの計算に際しては、まず、基準方向Cに対してプローブ方向Crが常に90°になるように制御する。このため、CrとCrt=0の差(Δθ)分の角度を回転して補正する。 【0107】具体的には、図25の関係から、次式により、Δθを計算する。 【0108】 【数21】
【0109】このΔθがほぼ0であるときに、(30)式は次式で近似できる。 【0110】 【数22】
【0111】従って、ベクトルCuとベクトルCruから、次のようにしてcosψを求めることができる。 【0112】 【数23】
【0113】ω=dθ(t)/dtであるので、このΔθから、次式により補正角速度Δωを求めることができる。 【0114】Δω=SΔθ …(34) ここで、S:RT角速度補償係数【0115】図22のステップ306終了後、ステップ308に進み、回転テーブルが角速度ωtで回転したときに追従する速度ベクトル(追従速度ベクトルと称する)Vωを計算する。 【0116】まず、回転テーブルに与える角速度ωtは、前出(29)式と(34)式から、次式により求まる。 【0117】 ωt=−ωw+Δω …(35) 【0118】この角速度ωtによる点Xでの線速度である追従速度ベクトルVωは、図26に示すような関係から、次のようにして求まる。 【0119】 【数24】
【0120】次いでステップ310に進み、ワークとプローブの相対速度ベクトルVで、回転テーブルに角速度ωtを与えたときに、プローブに与える速度Vtを計算する。 まず、前記プローブ速度ベクトルVtを、次式で求める。 【0121】 【数25】
【0122】次いでステップ312に進み、アプローチ処理のステップ210と同様にしてベクトルQuとEuのなす角度αを算出し、このαが例えば10°以下に維持されていることから2面接触中であると判定する。 【0123】判定結果が正である場合には、ステップ314に進み、倣い終了条件、例えばねじの下から上に向けて測定を開始した場合には、図19に示した如く、所定高さZhまで到達したか否かを判定し、判定結果が否である場合にはステップ300に戻る。 【0124】一方、ステップ312の判定結果が否であり、2面接触が維持されなくなったと判断される場合には、ステップ316に進み、エラー信号を発生する。 【0125】前出ステップ314の判定結果が正であり、倣い終了条件を満足したと判断されたとき、あるいは、ステップ316でエラー信号が発生したときには、ステップ318に進み、プローブをワークから指定距離だけ離脱して、停止し、測定を中断(エラー信号発生時)又は、終了(倣い終了条件満足時)する。 【0126】本実施形態においては、三次元測定機に回転テーブルを埋め込み、その座標測定用プローブを用いてV溝形状を測定するようにしているので、例えば既にある三次元測定機を利用して、測定範囲を有効利用しつつ、ねじ測定を行うことができる。なお、定盤を削ることなく回転テーブルを定盤上に載置したり、あるいは、三次元測定機を利用することなく、専用のねじ測定装置を構成することも可能である。三次元測定機も、門型フレームを持つものに限定されず、O型フレームやC型フレームを持つものでも良い。 【0127】又、本実施形態においては、図11に示した如く、直径の異なる複数の測定子を単一のプローブホルダに装着していたので、V溝の大きさに合う測定子を簡単に選択して使用することができる。なお、測定子を一つのみとすることも可能である。 【0128】更に、本実施形態においては、ウォームギヤのピッチ偏差及び半径偏差の測定に本発明が適用されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、回転テーブル上に立てて固定した一般的な雄ねじや、図27に示す如く、小さなプローブを用いて、回転テーブル上に置かれた被測定物上のねじ穴の特定値の測定も可能である。又、ねじやねじ穴の方向も鉛直方向に限定されず、回転軸の方向を変えることにより、水平方向等、他の方向でも良い。更に、ねじ面の形状にもよるが、ボールねじの測定も可能である。 【0129】又、前記実施形態では、制御回路とデータの処理回路が一体化されており、構成が簡略である。なお、両者を別体化しても良い。 【0130】 【発明の効果】本発明によれば、螺旋状に形成された被測定物のV溝のピッチや半径の偏差等を正確に測定することが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000137694 【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
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| 【出願日】 |
平成11年11月18日(1999.11.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080458 【弁理士】 【氏名又は名称】高矢 諭 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−141444(P2001−141444A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月25日(2001.5.25) |
| 【出願番号】 |
特願平11−328365 |
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