| 【発明の名称】 |
形状測定方法およびその装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】半田 宏治
【氏名】竹内 博之
【氏名】久保 圭司
【氏名】吉住 恵一
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| 【要約】 |
【課題】比較的大径の測定物の測定データにピッチング誤差に起因して含まれる座標ずれを正確に補正して、高精度測定を行うことのできる形状測定方法およびその装置を提供する。
【解決手段】X,Yステージ11,12のピッチング特性に基づくピッチング補正テーブル18を作成する処理工程と、測定用プローブ2を測定面1aに対し走査して相対座標系の形状測定データを取得する処理工程と相対座標系の形状測定データを絶対座標系に変換する処理工程と、絶対座標系の形状測定データの座標値を前記ピッチング補正テーブルに基づき補正する処理工程と、補正した形状測定データから測定面の設計データを差し引いた形状誤差データを算出する手段とを備えている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 X,Yステージのピッチング特性を測定して、そのピッチング特性に基づきピッチング補正テーブルを作成する処理工程と、測定用プローブを測定物の測定面に対し走査することにより、測定面形状から求められる測定基準位置を測定原点とした相対座標系の形状測定データを取得する処理工程と、前記相対座標系の形状測定データを、前記X,Yステージの機械原点からのオフセット値に基づき前記機械原点を基準とする絶対座標系に変換する処理工程と、前記絶対座標系の形状測定データの座標値を、前記ピッチング補正テーブルに基づき補正する処理工程と、補正した前記形状測定データから前記測定面の設計データを差し引いた形状誤差データを算出する手段とを備えていることを特徴とする形状測定方法。 【請求項2】 ピッチング補正テーブルに基づき補正した形状測定データを再び相対座標系に変換したのち、その形状測定データを、座標軸が設計データの座標軸とほぼ一致するよう座標変換するようにした請求項1に記載の形状測定方法。 【請求項3】 測定物の面形状に追従して形状測定データを習得する測定用プローブと、前記測定物に対して前記測定用プローブを相対的に並進移動させる並進移動手段と、前記測定プローブの位置情報をある基準点からの位置として検出するプローブ位置検出手段と、前記並進移動手段のピッチングデータの傾きに係数を乗算して前記測定用プローブの位置情報を補正するプローブ位置情報補正手段とを備えていることを特徴とする形状測定装置。 【請求項4】 測定物の面形状に追従して形状測定データを習得する測定用プローブと、前記測定物に対して前記測定用プローブを相対的に並進移動させる並進移動手段と、前記測定プローブの位置情報をある基準点からの位置として検出するプローブ位置検出手段と、並進移動させたときの前記測定用プローブの傾きを直接的に測定する角度測定装置と、前記角度測定装置により得られた前記測定用プローブの傾きに係数を乗算して前記測定用プローブの位置情報を補正するプローブ位置情報補正手段とを備えていることを特徴とする形状測定装置。 【請求項5】 並進移動手段は、測定物に対し測定用プローブを互いに直交するX,Y,Zの3方向にそれぞれ相対的に移動させる3種の移動制御部からなるとともに、少なくとも2つの前記移動制御部にこれらの原点位置を検出するセンサを備えている請求項3または4に記載の形状測定装置。 【請求項6】 プローブ位置検出手段は、レーザ測長光学系および基準ミラーを備えて構成されている請求項3〜5の何れかに記載の形状測定装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、測定物の測定面上で測定用プローブをX,Y軸方向に走査することにより、測定用プローブのXY座標位置でのZ座標データの列を求め、このZ座標データの列に基づいて測定面の三次元形状を測定する方法およびその装置に関し、特に、半導体露光用ステッパーレンズなどのように比較的大径の測定物の面形状を数10nm以下の高い測定精度で測定する場合などに好適なものである。 【0002】 【従来の技術】本件出願人が先に提案した高精度三次元測定装置(特開平4-299206号公報参照)は、測定面上を50mg以下の弱い測定圧のプローブをX,Y軸方向に走査することにより、プローブのXY座標位置でのZ座標データの列を求め、測定面の形状が設計式からどれだけずれているかを、このZ座標データの列から直接的に測定するものである。具体的には、測定対象であるレンズやミラーの表面形状は、一般式でZ=f(X,Y)という設計式で表され、測定点のXY座標における測定値からこの設計式の値を差し引いた形状誤差データを算出して、その形状誤差データに基づいて測定物の良否を評価している。ここで、測定圧を50mg以下としたのは、10nm程度の超高精度測定が必要であり、測定面に傷をつけてはいけないからである。 【0003】非球面レンズなどの三次元形状を50nm以下の超高精度で測定できる超高精度三次元測定装置は、例えば、図2に示すような構造を備えている。すなわち、この超高精度三次元測定装置は、測定用プローブ2が、測定物1の測定面1a上に沿って走査されることにより、50mg以下の測定圧で測定面1aに追従しながら測定面1aの表面形状に応じてZ軸方向に駆動される。レーザ測長光学系3は、測定用プローブ2などと共に移動体4上に固定的に設けられて、周知の光干渉法によりZ参照ミラー7を基準とした測定用プローブ2のZ座標を測長する。同様に、レーザ測長光学系3は、X参照ミラー8およびY参照ミラー9をそれぞれ基準とした測定用プローブ2のX座標およびY座標を測長する。 【0004】上記のX参照ミラー8、Y参照ミラー9およびZ参照ミラー7は、支持部を介して石定盤10上に固定されている。Xステージ11およびYステージ12は、移動体4をX軸方向およびY軸方向にそれぞれ移動させる。以上の構成により、測定用プローブ2は測定物1の測定面1aの表面形状に追従しながらX,Y軸方向に走査されて、測定用プローブ2のXY座標位置でのZ座標データの列を求め、このZ座標データの列に基づいて測定面1aの形状測定を行う。 【0005】上記の高精度三次元測定装置を用いてレンズなどの測定物1の測定面1aの表面形状を測定する場合には、一般に以下のような手順で行われる。すなわち、図5(a)に示すように、予め測定用プローブ2を測定面1a上の形状に沿ってZ軸方向に追従させながら、X軸走査13およびY軸走査14を行って、測定面1aの中心座標を、例えば特開平2-254307号公報に記載されている方法で求め、その求めた中心座標が測定原点となるようにX,YおよびZの各座標値をゼロリセットする。そののちに、測定用プローブ2を測定物1の測定面1aの表面形状に追従させながら、図5(b)に示すような面走査17を実行して、測定面1aの三次元形状の測定を行う。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】ところで、上記超高精度三次元測定装置では、Xステージ11およびYステージ12の上部に、移動体4やレーザ測長光学系3などの合計重量が100 kg程度にもなる重量物が、Xステージ11およびYステージ12から側方にはみ出した状態で搭載されているため、Xステージ11およびYステージ12は、X軸方向およびY軸方向に移動する際に、移動方向に向かって波状に揺れながら移動する、いわゆるピッチングが生じる。このXステージ11およびYステージ12のピッチング特性は、これら単体においてピッチング誤差(理想直進特性に対する誤差)が±1μm/200 mm以下の機械特性上の限界に近い値にまで抑制されている。 【0007】しかしながら、Xステージ11およびYステージ12を超高精度三次元測定装置に組み込んで測定用プローブ2をX,Y軸方向に移動制御する際には、特にYステージ12のピッチング特性が、図6のY軸ピッチング特性曲線CY に示すように、そのY軸ピッチング誤差EY が±3μm/200 mm程度となるまで悪化してしまう。これは、図2に示すように、移動体4がYステージ12に対しY軸方向の両側方に大きくはみ出しているためである。これに対し、Xステージ11のピッチング特性は、移動体4がXステージ11に対しX軸方向にさほどはみ出していないので、図6のX軸ピッチング特性曲線CX に示すように、そのX軸ピッチング誤差EX が±1μm/200 mm程度に抑えられている。なお、図6は、測定用プローブ2をZ軸方向に対し固定状態としてXステージ11およびYステージ12により移動体4を移動させた場合のピッチング特性を示すものであって、横軸は測定原点からの距離を示し、縦軸は測定データの設計式による設計値に対する差を示している。 【0008】上述のように、Xステージ11およびYステージ12が移動体4などの重量物を移動させる際のX軸ピッチング特性およびY軸ピッチング特性は、比較的大きなピッチング誤差EX ,EY を含んだものとなるので、特に比較的大径の測定物1を測定する場合には、その測定データにピッチング誤差EX ,EY に起因する座標ずれが生じてしまい、高精度な測定を行うことができないという課題がある。 【0009】また、図6に示すように、X軸ピッチング特性とY軸ピッチング特性との間には、各々のピッチング誤差EX ,EY 間にピッチング誤差ずれEXYが存在するので、測定物1が中心軸回りに回転対称形状である場合には、本発明との比較のために示した図3(b)のように、X軸形状測定データDX とY軸形状測定データDY とが一致しなくなり、これは、特に高精度測定を要求される場合において、それを阻害する大きな要因になっている。なお、後述する図3(a)および同(b)の横軸は、測定物1の中心からの測定距離を示し、縦軸は、図5(a)に示したX軸走査13とY軸走査14との測定データから測定面1aの設計データを差し引いた形状誤差Zdを示す。 【0010】そこで、本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、比較的大径の測定物の測定データにピッチング誤差に起因して含まれる座標ずれを正確に補正して、高精度測定を行うことのできる形状測定方法およびその装置を提供することを目的とするものである。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の形状測定方法は、X,Yステージのピッチング特性を測定して、そのピッチング特性に基づきピッチング補正テーブルを作成する処理工程と、測定用プローブを測定物の測定面に対し走査することにより、測定面形状から求められる測定基準位置を測定原点とした相対座標系の形状測定データを取得する処理工程と、前記相対座標系の形状測定データを、前記X,Yステージの機械原点からのオフセット値に基づき前記機械原点を基準とする絶対座標系に変換する処理工程と、前記絶対座標系の形状測定データの座標値を、前記ピッチング補正テーブルに基づき補正する処理工程と、補正した前記形状測定データから前記測定面の設計データを差し引いた形状誤差データを算出する手段とを備えていることを特徴としている。 【0012】この形状測定方法では、相対座標系において習得した測定面の形状測定データを絶対座標系に変換することにより、形状変換データを、絶対座標系において得られたピッチング補正テーブルに基づき座標値を補正することができるので、形状変換データにおけるX,Y軸上での座標の一致度が大きく向上する結果、比較的大径(φ100mm以上)の測定物であっても、高精度な測定を行うことが可能となる。 【0013】上記形状測定方法において、ピッチング補正テーブルに基づき補正した形状測定データを再び相対座標系に変換したのち、その形状測定データを、座標軸が設計データの座標軸とほぼ一致するよう座標変換することが好ましい。 【0014】これにより、形状測定データの座標軸が設計データの座標軸とほぼ一致するようになり、測定面の形状測定時の設計式に対する設置ずれの影響を受けない評価が可能となる。 【0015】また、一発明に係る形状測定装置は、測定物の面形状に追従して形状測定データを習得する測定用プローブと、前記測定物に対して前記測定用プローブを相対的に並進移動させる並進移動手段と、前記測定プローブの位置情報をある基準点からの位置として検出するプローブ位置検出手段と、前記並進移動手段のピッチングデータの傾きに係数を乗算して前記測定用プローブの位置情報を補正するプローブ位置情報補正手段とを備えていることを特徴としている。 【0016】この形状測定装置では、並進移動手段のピッチングデータの傾きに係数を乗算して測定用プローブの位置情報を補正するので、本発明の形状測定方法を忠実に具現化して、形状測定方法と同様の効果を得ることができる。 【0017】また、他の発明に係る形状測定装置は、測定物の面形状に追従して形状測定データを習得する測定用プローブと、前記測定物に対して前記測定用プローブを相対的に並進移動させる並進移動手段と、前記測定プローブの位置情報をある基準点からの位置として検出するプローブ位置検出手段と、並進移動させたときの前記測定用プローブの傾きを直接的に測定する角度測定装置と、前記角度測定装置により得られた前記測定用プローブの傾きに係数を乗算して前記測定用プローブの位置情報を補正するプローブ位置情報補正手段とを備えていることを特徴としている。 【0018】この形状測定装置では、本発明の形状測定方法を忠実に具現化して、形状測定方法と同様の効果を得ることができるのに加えて、並進移動手段自体はピッチングを有するにも拘わらず傾かないで移動し、測定用プローブのみが傾く形状測定装置に適用して、有効にピッチング補正することができる効果を得ることができる。 【0019】上記各発明の形状測定装置において、並進移動手段は、測定物に対し測定用プローブを互いに直交するX,Y,Zの3方向にそれぞれ相対的に移動させる3種の移動制御部からなるとともに、少なくとも2つの前記移動制御部にこれらの原点位置を検出するセンサを備えている構成とすることができる。これにより、並進移動手段を正確に機械的原点に復帰させて、基準位置を機械原点に一致させた固定的な絶対座標系に基づき測定面の測定を行うことができる。 【0020】上記各発明の形状測定装置において、プローブ位置検出手段は、レーザ測長光学系および基準ミラーを備えて構成することができる。これにより、既存の形状測定装置にそのまま適用して安価に具現化することが可能となる。 【0021】 【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の第1の実施の形態では、図1のフローチャートに示す処理を行うことにより、X,Yステージ11,12のピッチング特性を用いて測定用プローブ2の座標値を補正して正確な形状測定データを得ようとするものである。その手段は、例えば、図2に示した超高精度三次元形状測定装置に適用して実施されるので、以下の説明では、図2をも参照することにする。この第1の実施の形態の理解を容易にするために、具体的な手段の説明に先立って、X,Yステージ11,12のピッチング誤差EX ,EY が実際の形状測定データに及ぼす影響について説明する。 【0022】測定用プローブ2は、Xステージ11(またはYステージ12)よってX(またはY)軸方向へ移動される時に、このXステージ11(またはYステージ12)のピッチング特性のピッチング誤差EX (またはEY )に起因して、その先端が図7に1点鎖線で示すような軌跡で移動されるとともに、Xステージ11(またはYステージ12)がピッチングしながら移動することから、各移動位置P1,P2,P4においてそれぞれ図示のように傾きながら移動される。なお、同図の横方向の実線は、レーザ測長光学系3の光軸上に位置する測定用プローブ2の先端によるX(またはY)軸方向における実際の測長位置、Z軸との交点は測定原点Zorgをそれぞれ示す。 【0023】測定用プローブ2は上述のように傾きながら移動されるので、例えば、移動位置P4において測定用プローブ2が実際に測長した測長位置の座標はXa(またはYa)となる。このXa(またはYa)の座標の実際の測長位置は、本来ならば測定用プローブ2が移動位置P3において測長する測長位置であり、測定用プローブ2の実際の移動位置P4における先端が測定すべき測長位置の座標Xb(またはYb)に対しΔX(またはΔY)の測長誤差が生じている。このときのX軸形状測定データDX およびY軸形状測定データDY と設計値Zdとの差との関係は、図8に示すようになる。 【0024】また、移動位置P4における測定用プローブ2のX(またはY)軸方向の傾きをθx(またはθy)とし、測長位置から測定用プローブ2までの高さをZhとすると、X(またはY)軸方向の測長誤差ΔX(またはΔY)は、つぎの(1)式で表される。 【0025】(数1) ΔX=Zh×θx、 ΔY=Zh×θy ……(1) ここで、実際には、測定用プローブ2のX(またはY)軸方向の傾きθx(またはθy)とXステージ11(またはYステージ12)のピッチング特性のデータ上での傾きとの間に相関があるが、双方の傾きが一致するとは限らない。そこで、Xステージ11(またはYステージ12)のピッチング誤差EX (またはEY )に基づき実際の形状測定データを補正するための補正式としては、測定用プローブ2が実際に測定しているX(またはY)軸上の測長位置の座標を(X,Y,Z)とすると、形状測定データをピッチング誤差EX (またはEY )に基づき補正した後の座標(Xc,Yc,Z)は、つぎの(2)式で表される。 【0026】(数2) Xc=X+Px×(Z−Zorg)×(dZ/dX)(0≦Px≦1) Yc=Y+Py×(Z−Zorg)×(dZ/dY)(0≦Py≦1)…(2) 上記(2)式におけるPx,Py,Zorgは測定装置に固有のパラメータ(以後、ピッチング補正パラメータという)である。このピッチング補正パラメータPx,Py,Zorgは、形状精度が保証されている周知の基準原器などの測定物を測定することにより、予め最適値を求めて設定しておく。レーザ測長光学系3による測定データを上記(2)式によって補正するためには、Xステージ11の傾きθx(=dZ/dX)およびYステージ12の傾きθy(dZ/dY)を予め算出して、ピッチング補正テーブルを作成しておく必要がある。 【0027】図1は、X,Yステージ11,12のピッチング特性を用いて測定用プローブ2の座標値を補正して正確な測定値を得るためのアルゴリズムを示すフローチャートであり、この測定方法は、図2に示すような形状測定装置に適用することにより具現化される。つぎに、本発明の形状測定方法について、図1に基づき説明する。 【0028】図1において、ステップS1〜S3は、測定物1の実際の測定に先立って、上述したピッチング補正テーブルを作成する処理を行っている。すなわち、先ず、測定作業者は、形状測定装置を操作して、測定用プローブ2を機械原点に復帰させる(ステップS1)。この場合、X,Yステージ11,12は、図2に示すX軸原点センサ15およびY軸原点センサ16が機械的原点に復帰したのを検出した時点で停止され、正確に機械原点に復帰される。レーザ測長光学系3は、上記の測定用プローブ2の機械原点の復帰によってゼロリセットされ、以後の測定における基準位置が機械原点に一致して、固定的な絶対座標系に基づき測定していく。 【0029】つぎに、Xステージ11およびYステージ12を、測定用プローブ2をZ軸方向に対し固定した状態で移動させることにより、例えば、X軸方向およびY軸方向の各ピッチングデータをそれぞれ200 mmの範囲で取り込んだのちに、そのピッチングデータに基づいてX軸方向およびY軸方向にそれぞれ10mmピッチ毎の傾きを算出して、X,Yステージ11,12における図6に示したようなピッチング特性曲線CX ,CY を有するピッチング特性を求める(ステップS2)。このピッチング特性は形状測定装置に固有のものとして保存される。 【0030】続いて、上述したピッチング特性に基づいて図4に示すようなピッチング補正テーブル18を作成して、保存する(ステップS3)。具体的には、上記ピッチング特性における求めたい測定ポイントの前後のピッチングデータ(各区間毎に約100 点)を2次曲線の関数に近似し、その1階微分値にX座標またはY座標の値を代入して求める。これにより、図4に示すように、X方向またはY方向における測定基準位置(この場合は機械原点)から10mmピッチの各位置18bをそれぞれ測定ポイント18aとして、その各測定ポイント18aにおけるXステージ11の傾きθx(=dZ/dX)データ18cとYステージ12の傾きθy(=dZ/dY)データ18dとを有するピッチング補正テーブル18を得ることができる。任意のX,Y座標値の傾きは、ピッチング補正テーブル18の前後の傾きから補間して求める。 【0031】上記のようにして求めたピッチング補正テーブル18は、電源を切った状態でも情報を消失しないように、HDD(ハードディスクドライバ)や不揮発性メモリなどの記憶装置に設定情報として保存され、次回以降のプログラム起動時にその保存した設定情報が読み出される。したがって、ステップS1〜S3により作成されたピッチング補正テーブル18の作成処理は、最初に一度設定されるだけであり、2回目以降の測定時からは不要である。 【0032】測定物1の実際の測定に際しては、測定物1を石定盤10の所定位置に載置し、その測定物1の測定面1aに測定用プローブ2を追従させて、測定物の中心出しを行う(ステップS4)。この中心出しは、例えば、特開平2-254307号公報に記載されているような既存の方法を用いて容易に行うことができる。ここで、上記の中心出しによって求めた中心座標を測定原点とするようにレーザ測長光学系3の測長値(Xm,Ym,Zm)をゼロリセットし、測定原点の機械原点からのずれ量を算出して、このずれ量を機械原点からのオフセット座標値として記憶しておく(ステップS5)。 【0033】続いて、図5(a)または(b)に示したように、測定用プローブ2を測定物1の測定面1aの表面形状に沿って追従させるようにX,Y軸方向に走査して、測定面1aの形状測定を行う(ステップS6)。1回の形状測定によって得られた総データ数をn個とすると、そのn個の形状測定データにステップS5で保存した機械原点からのオフセット座標値をそれぞれ加算する(ステップS7)。これは、ピッチング補正テーブル18のX,Y座標位置が機械原点を基準とした固定的な絶対座標系におけるものであるのに対し、ステップS6で得られた形状測定によって得られたn個の形状測定データはレーザ測長光学系3のゼロリセット値を基準とした相対座標系におけるものであるから、上記形状測定データを、絶対座標系において上記(2)式により補正するために、機械原点からのオフセット座標値を加算することによって絶対座標系に変換しておく必要があるからである。 【0034】そののちに、ステップS3で作成したピッチング補正テーブル18の傾きθXθY と、係数であるピッチング補正パラメータPx,Py,Zorgと、上記の絶対座標系に変換した形状測定データとを、ピッチングの補正式である(2)式に代入して、形状測定データの座標値を補正する(ステップS8)。さらに、補正されたn個の形状測定データに対し上記の機械原点からのオフセット座標値を減算して、形状測定データを再び相対座標系に変換する(ステップS9)。これは、後の処理において形状測定データを、測定原点を基準とした設計式との差を算出する必要があるためである。 【0035】続いて、相対座標系に変換した形状測定データを、測定用プローブ2の先端Rの半径による影響を受けないように、測定物1の設計式に基づいてプローブR補正を行う(ステップS10)。つぎに、形状測定データのZ座標Zkと、設計データのZ座標Zk´とを比較して、次の(3)式で示すような二乗平均値RMS(Root Mean Square)を算出する。 【0036】(数3)
さらに、周知の最小二乗法を用いて、形状測定データを、上記RMSが最小となるようにX,Y,Zの各軸の方向への平行移動とX,Y,Zの各軸を中心に回転する方向に座標変換する(ステップS11)。この座標変換により、形状測定データの座標軸が設計データの座標軸とほぼ一致するようになり、測定面1aの形状測定時の設計式に対する設置ずれの影響を受けない評価が可能となる。上述のステップS7〜S11の処理はアライメントと呼ばれる。 【0037】上記のアライメント処理された測定面1aのn個の形状測定データは測定面1aの設計データを差し引かれて、設計式からの形状誤差データが算出され(ステップS12)、この形状誤差データに基づき測定面の形状の良否が評価される。上記の各ステップS1〜S12を実行する各手段は、例えば、図2の形状測定装置に搭載された制御用コンピュータ(図示せず)のメモリに構築された実行形式のプログラムにより具体化される。 【0038】図3(a)は、図1による処理によりX,Y軸上の座標値がピッチング補正されたのちの形状誤差データを示し、図3(b)は、上記形状誤差データとの比較のために示したピッチング補正されていない形状誤差データである。これらの図において、横軸は測定物1の中心位置からの距離を示し、縦軸は測定データから設計データを差し引いた差Zdを示しており、このときの測定物1はφ100 mmのステッパーレンズである。 【0039】図3(b)のピッチング補正されていない形状誤差データでは、X,Y軸形状測定データDX ,DY が最大で0.3 μmもの座標ずれが生じているのに対し、図3(a)のピッチング補正されたのちの形状誤差データでは、0.05μm程度の座標ずれに修正され、X,Y軸上での座標の一致度が大きく向上しており、比較大径の測定物1であっても、高精度な測定を行うことが可能となる。 【0040】なお、図3(a)は、図5(a)に示すX軸走査13およびY軸走査14によるX,Y軸上での測定データのピッチング補正を行った場合について例示しているが、図3(a)の処理は図5(b)に示す面走査17により得られた測定データについても適用できるのは言うまでもない。また、上記の第1の実施の形態では、形状測定データを、(2)式の補正式に基づきピッチング補正する場合について説明しているが、ピッチング補正するための補正式は、(1)式または(2)式以外のものであってもよい。 【0041】さらに、上記第1の実施の形態では、X,Yステージ11,12の傾きθX ,θY を算出するに際して、X,Yステージ11,12の原点を通る軸に対するX,Yステージ11,12の傾きからX,Yステージ11,12全体の傾きを補間する方法であるが、X,Yステージ11,12全体の傾きを測定して、その測定データからX,Yステージ11,12全体のピッチング補正テーブルを作成することも可能である。 【0042】また、200 mm角の範囲での測定において、10mm毎の傾きのデータを算出してピッチング補正テーブル18を作成する場合、21×21ポイントの傾きデータを必要とするが、この場合、X,Yステージ11,12全体の傾き特性がX,Yステージ11,12の機械原点を通るX軸またはY軸の傾きと相関が少ない場合に特に有効である。 【0043】また、X,Yステージ11,12全体の傾きを定義するに際して、上述した傾きのポイントデータから補間する方法とは別に、ポイントデータから予めX,Yステージ11,12全体のピッチング特性の面データを周知のスプライン曲線などで作成し、その曲線形状データを使用することもできる。 【0044】図9は、本発明の第2の実施の形態に係る形状測定方法を具現化した形状測定装置を示す概略斜視図であり、同図において、図2と同一若しくは同等のものには同一の符号を付して、その説明を省略する。この実施の形態では、測定用プローブ2の傾きを直接測定して、その傾きの測定値に基づき測定用プローブ2のX,Y座標値を補正しようとするものである。 【0045】すなわち、図9において、図2の移動体4に取り付けられていた測定用プローブ2に代えて、角度干渉計19を取り付け、この角度干渉計19にレーザ光源20と反射鏡21とを組み合わせて、角度干渉形19と同一位置に取り付けられる測定用プローブ2の傾きを直接的に測定するための角度測定装置22が構成されている。このような角度測定装置22は、例えば、既によく知られているオートコリメータにより容易に実現することができる。 【0046】図9において、角度干渉計19は、Xステージ11が移動体4をX軸方向に移動させるときに、移動体4と一体的にX軸方向に移動し、且つYステージ12が移動体4をY軸方向に移動させるときに、移動体4と一体的にY軸方向に移動する。角度測定装置22は、上記のXまたはY軸方向に移動する角度干渉計19の傾き角度を直接的に測定するが、これは、測定時において角度干渉計19に代えて取り付けられる測定用プローブ2の傾き角度を測定しているのと同等である。このように測定用プローブ2の傾きを直接的に測定できるので、その測定した傾きを上記(1)式に代入して演算すれば、測定用プローブ2の座標ずれを補正することができる。この方法は、X,Yステージ11,12自体はピッチングを有するにも拘わらず傾かないで移動し、測定用プローブ2のみが傾く形状測定装置に適用して、有効にピッチング補正することができる。 【0047】 【発明の効果】以上のように、本発明の形状測定方法によれば、相対座標系において習得した測定面の形状測定データを絶対座標系に変換するようにしたので、形状変換データを、絶対座標系において得られたピッチング補正テーブルに基づき座標値を補正することができ、形状変換データにおけるX,Y軸上での座標の一致度が大きく向上する結果、比較大径の測定物であっても、高精度な測定を行うことが可能となる。 【0048】また、一発明の形状測定装置によれば、並進移動手段のピッチングデータの傾きに係数を乗算して測定用プローブの位置情報を補正する手段を備えているので、本発明の形状測定方法を忠実に具現化して、形状測定方法と同様の効果を得ることができる。さらに、他の発明の形状測定装置によれば、並進移動させたときの測定用プローブの傾きを直接的に測定する角度測定装置を設けるようにしたので、並進移動手段自体はピッチングを有するにも拘わらず傾かないで移動し、測定用プローブのみが傾く形状測定装置に適用して、有効にピッチング補正することができる効果を得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005821 【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年11月12日(1999.11.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100080827 【弁理士】 【氏名又は名称】石原 勝
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| 【公開番号】 |
特開2001−141443(P2001−141443A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月25日(2001.5.25) |
| 【出願番号】 |
特願平11−322515 |
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