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【発明の名称】 光学式回転位置情報検出装置
【発明者】 【氏名】高宮 誠

【氏名】川又 直樹

【要約】 【課題】信号が欠落するドロップアウト状態が生じても、高精度に回転位置を特定する。

【解決手段】磁気ヘッド23aのトラック方向は、ロータリポジショナによって各トラックに対応して順次に位置制御され、LDV光学ヘッド24からのドップラ信号を処理する信号処理ロジック回路から得られた磁気ディスク22の回転位置情報を基に、各トラック毎のサーボトラック信号を磁気ディスク22上に書き込んでゆく。ここで、LDV光学ヘッド24からのドップラ信号により得られる回転位置信号を生成する際に、事前に回転位置に対応したドロップアウト個所を調べて、ドロップアウト部分での信号処理のタイミングを最適化させる。これにより、ドロップアウト状態が生じても回転位置情報を高精度に検出する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 光源手段からの光束を回転物体に投射し該回転物体からの散乱光の回転移動に応じた周波数信号を出力する光検出器を有し、前記周波数信号を信号処理して回転位置情報を検出する光学式回転位置情報検出装置において、前記回転位置情報を特定する前に前記回転物体を事前に回転することを特徴とする光学式回転位置情報検出装置。
【請求項2】 前記光検出器で検出した周波数信号のドロップアウト部の状態を回転位置に対応して特定する特定手段を設けた請求項1に記載の光学式回転位置情報検出装置。
【請求項3】 前記特定手段として前記ドロップアウト部にパルス信号を補完するドロップアウト処理手段を設け、前記回転位置に設けた原点を基点として前記周波数信号及び前記補完したパルス信号を計数する請求項2に記載の光学式回転位置情報検出装置。
【請求項4】 前記ドロップアウト処理手段は前記周波数信号を基にその複数倍のパルスによりPLL発振して前記回転物体の回転位置情報とし、前記特定したドロップアウト部に前記PLL発振動作状態をドロップアウト検出直前状態で保持することにより前記補完パルス信号とした請求項3に記載の光学式回転位置情報検出装置。
【請求項5】 前記回転位置情報を特定する前に前記回転物体を事前に回転する時点では外部回転位置原点信号を使用し、前記回転位置情報を特定した時点で回転位置原点信号を生成して前記外部回転位置原点信号と切換えるようにした請求項1又は3に記載の光学式回転位置情報検出装置。
【請求項6】 前記生成する回転位置原点信号を前記検出される回転移動に応じた周波数信号に同期させる請求項5に記載の光学式回転位置情報検出装置。
【請求項7】 前記外部回転位置原点信号をドロップアウト信号がドロップアウトしていない位置に設定する請求項5に記載の光学式回転位置情報検出装置。
【請求項8】 光源手段からの光束を情報記録媒体である回転物体に投射し該回転物体からの散乱光の回転移動に応じた周波数信号を出力する光検出器と、前記周波数信号を信号処理して回転位置情報を検出する回転位置情報検出手段とを有し、該回転位置情報検出手段の検出方向が前記回転物体の中心と情報記録ヘッドとを結ぶ直線に対して垂直方向近傍にあり、前記回転位置情報検出手段の検出位置が前記回転物体の中心に対して前記情報記録ヘッド側にあることを特徴とする光学式回転位置情報検出装置。
【請求項9】 請求項1〜8の何れかに記載の光学式回転位置情報検出装置を用いて回転位置を検出し、回転物体としての情報記録媒体に情報を記録することを特徴とする情報記録装置。
【請求項10】 請求項1〜8の何れかに記載の光学式回転位置情報検出装置を用いて回転位置を検出し、回転物体としての情報記録媒体に情報を記録することを特徴とする情報記録媒体の製造方法。
【請求項11】 請求項1〜8の何れかに記載の光学式回転位置情報検出装置を用いて回転位置を検出し、該検出に基づいた情報が記録されていることを特徴とする情報記録媒体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主にハードディスクドライブのクロック信号として必要な回転位置信号出力装置や複写機などの感光ドラム回転位置信号出力装置等に用いる光学式回転位置情報検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図15はコンピュータ等の情報処理装置に使用される従来例の記録再生装置の平面図を示す。記録再生装置としてのHDD(ハードディスクドライブ)1には、例えば磁性体を円板に塗布した磁気ディスク2が載置されており、この磁気ディスク2に情報信号の書込みを行う磁気ヘッドスライダ3を先端に取り付けた磁気ヘッドアーム4が搭載されており、その後端部にはボイスコイルモータ5が付設されている。
【0003】図16は磁気ディスク2の平面図、図17はサーボパターンの説明図を示し、磁気ディスク2にはディスクハブ2aの外側に、サーボパターン領域とデータ領域とを1セクタとして、トラック方向に複数のセクタが設けられている。
【0004】このような構成により、HDD1上に磁気ディスク2をセットし、磁気ヘッドアーム4の回転位置を、図示しないロータリポジショナによって強制的に所望のトラックに対応する位置に設定し、磁気ヘッドアーム4をトラック方向に駆動して、その先端の磁気ヘッドスライダ3によりデータトラックの1/2の分解能で情報信号のサーボパターンの書込みを行う。
【0005】円状板の磁気ディスク2に磁気ヘッドスライダ3により情報信号を書き込む際には、予め磁気ディスク2に磁気ヘッドスライダ3の位置決めのための情報であるサーボトラック信号を高精度に書き込んでおく必要がある。このためには、磁気ディスク2の半径方向であるトラック方向の磁気ヘッドスライダ3の位置情報だけでなく、磁気ディスク2の回転方向の位置情報も併せて高精度に検出して、磁気ディスク2上の所望の位置に磁気信号を書き込む必要がある。
【0006】図18は磁気ディスク2の回転方向を高精度に位置検出するために、本来の情報書き込み用磁気ヘッド6とは別に使用する磁気式クロックヘッド7を有するHDD1の斜視図を示している。この方式では、最初に磁気式クロックヘッド7がHDD1内に開口8から進入し、磁気ディスク2の最外周部分に回転方向のクロック信号を書き込む。次に、そのクロック信号を再び磁気式クロックヘッド7で読み取りながら磁気ディスク2の回転位置を検出して、情報書込み用磁気ヘッド6により各トラックに対応するサーボトラック信号を書き込んでゆく。
【0007】この磁気式クロックヘッド7は短期間に数万台ものHDD1でクロック信号書き込みを行うために短命であり、磁気式クロックヘッド7自体が消耗品となり、交換などのためのメインテナンスが必要となってコストアップの原因となる。
【0008】また、磁気ディスク2と磁気式クロックヘッド7との隙間を非常に小さく保特する必要があるために、何らかの原因で両者が接触するなどの異常事態を招く虞れがあり、HDD1の大量生産を効率良くかつ経済的に行う上で構造上好ましくない。
【0009】この問題を解決する手段としては、光拡散物体にレーザー光を照射して、回転物体の回転位置情報を検出するレーザードップラ方式が特開平7−29229号公報に開示されている。このレーザードップラ方式によれば、磁気ディスク2のハブディスク2aにレーザー光を照射すればよいので、磁気ディスク2にスケールなどの特別なものを貼り付ける必要がなく、また非接触であるために検出部が消耗することもない。
【0010】図19はレーザードップラ速度計の構成図を示し、移動する物体にレーザー光を照射し、この移動物体による散乱光の周波数が、移動する速度に比例して偏移(シフト)するドップラ効果を利用して、移動物体の移動速度を測定する装置である。この装置には、レーザー光源11、コリメータレンズ12、ビームスプリッタ13、ミラ−14a、14bが配列されており、この2枚のミラー14a、14bの反射方向に速度Vで矢印方向に移動する被測定物Kが配置され、被測定物Kの反射光の光路上に集光レンズ15、光検出器16が配列されている。
【0011】このような構成により、レーザー光源11から出射したレーザー光は、コリメ−タレンズ12により平行光束L1となってビームスプリッタ13に照射され、2つの光束L2及びL3に分割されてミラー14a、14bで反射された後に、速度Vの被測定物Kに入射角θで2光束が照射される。そして、被測定物体Kからの散乱光は、集光レンズ15を介して光検出器16により検出される。
【0012】このときの2光束による散乱光の周波数は、移動速度Vに比例してそれぞれ+Δf、−Δfのドップラシフトを受ける。ここで、レーザー光の波長をλとすると、Δfは次式(1) で表すことができる。
Δf=(Vsin θ)/λ …(1)【0013】+Δf、−Δfのドップラシフトを受けた散乱光は、互いに干渉し合って光検出器16の受光面で明暗の変化が発生する。そのときの周波数Fは次式(2)で与えられる。
F=2Δf=(2Vsin θ)/λ …(2)【0014】この式(2)から光検出器16のドップラ周波数Fを測定すれば、被測定物Kの速度Vを求めることができる。
【0015】被測定物Kが回転物体の場合の速度Vは、照射半径をr、回転速度をW(rpm)とすると次式(3)のようになる。
V=2πrW/60 …(3)【0016】従って、式(2)は最終的に次式(4)のようになる。
F=(πrWsin θ)/15λ …(4)【0017】この式(4)を1回転当りのパルス数Nに換算すると、次式(5)のようになる。
N=(4πrsin θ)/λ …(5)【0018】このパルス信号を検出することによって、回転位置情報を検出することができる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】(1)しかしながら上述の従来例のドップラ信号により回転位置情報を検出する光学式回転位置情報検出手段は、統計的に信号が欠落する部分であるドロップアウト状態が生ずることが知られており、高精度に回転位置を特定することは難しいという問題点がある。
【0020】(2)また、上述の従来例においては、HDD1の磁気ディスク2が回転する際に、再現性のない軸振れNRRO(Non-Repeatable Run 0ut)が0.1μm程度発生しており、この軸振れNRROの影響を最大限抑えてクロック信号を形成することは、安定したサーボトラック信号を書き込む上で非常に重要な要因となる。
【0021】本発明の目的は、上述の問題点(1)を解消し、連続回転する回転物体上の円周方向の回転位置情報を高精度に検出する光学式回転位置情報検出装置を提供することにある。
【0022】本発明の他の目的は、上述の問題点(2)を解消し、回転物体の軸振れの影響を最大限に小さくして、高精度の位置検出を可能とした光学式回転位置情報検出装置を提供することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するための本発明に係る光学式回転位置情報検出装置は、光源手段からの光束を回転物体に投射し該回転物体からの散乱光の回転移動に応じた周波数信号を出力する光検出器を有し、前記周波数信号を信号処理して回転位置情報を検出する光学式回転位置情報検出装置において、前記回転位置情報を特定する前に前記回転物体を事前に回転することを特徴とする。
【0024】また、本発明に係る光学式回転位置情報検出装置は、光源手段からの光束を情報記録媒体である回転物体に投射し該回転物体からの散乱光の回転移動に応じた周波数信号を出力する光検出器と、前記周波数信号を信号処理して回転位置情報を検出する回転位置情報検出手段とを有し、該回転位置情報検出手段の検出方向が前記回転物体の中心と情報記録ヘッドとを結ぶ直線に対して垂直方向近傍にあり、前記回転位置情報検出手段の検出位置が前記回転物体の中心に対して前記情報記録ヘッド側にあることを特徴とする。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明を図1〜図14に図示の実施例に基づいて詳細に説明する。図1は第1の実施例のサーボトラックライタに適用されるHDDの斜視図を示し、HDD21上には磁気ディスク22が載置され、HDD21に付設して、磁気ヘッドアーム23の先端に磁気ディスク22に情報信号を書込む磁気記録ヘッドであるスライダを有する磁気ヘッド23aが設けられている。また、HDD21の上方には、磁気ディスク22のディスクハブ22aにレーザー光を照射して磁気ディスク22の回転速度を検出するLDV(Laser Doppler Velocimetor)光学ヘッド24が配置されている。
【0026】LDV光学ヘッド24の出力は、信号処理ロジック回路25、回転位置検出回路26、セクタサーボパターン書込回路27、磁気ヘッド23aに順次に接続されており、トラック方向位置制御回路28の出力が、セクタサーボパターン書込回路27と、図示しないロータリポジショナに接続されている。
【0027】このような構成により、磁気ヘッド23aのトラック方向は、図示しないロータリポジショナによって各トラックに対応して順次に位置制御され、LDV光学ヘッド24からのドップラ信号を処理する信号処理ロジック回路25から得られた磁気ディスク22の回転位置情報を基に、各トラック毎のサーボトラック信号を磁気ディスク22上に書き込んでゆく。
【0028】図2(a) は回転位置に対応するLDV光学ヘッド24からのドップラ信号の信号振幅を示しており、この信号振幅はディスクハブ22aのレーザー光照射領域が同じであれば、回転位置に対して再現性がある。また、図2(b) はドップラ信号A、ドップラ信号Aを変換した波形整形信号B、回転位置原点信号Cを示している。ドップラ信号Aの周波数は、レーザー光照射位置のディスクハブ22a上の半径が常に同じであれば回転速度に比例する。
【0029】図3は第1の実施例のドップラ信号のドロップアウト部分の信号処理方法のグラフ図を示し、図3(a)において信号■はドップラ信号のエンベロープ(再現性)を示し、信号■はそのコンパレート信号である。このコンパレート信号■は閾値にヒステリシスを持たせることによって、ドップラ信号■のノイズ成分を取り除いており、ドロップアウト部ではコンパレート信号■がドップラ信号■に追従できなくなることを利用して、ドロップアウトを検出することができる。しかし、ドロップアウトの位置では信号振幅が小さく、微妙な振動によってもドップラ信号■の位相が変動したり振幅が変化したりするために、波形整形しても信号の再現性を確保することができないという問題がある。
【0030】図3(b)はドロップアウト個所を特定するための信号処理のグラフ図を示す。先ず、ドロップアウト個所でない回転位置原点信号から最初のドロップアウト個所までの間で、PLL発振信号■の4分周信号■をドップラコンパレート信号に同期(位相ロック)させる。次に、図3(a)で示すようなドロップアウト不安定部分を網羅したドロップアウト特定信号■を、回転位置原点信号からのPLL発振信号■を計数することによりメモリする。
【0031】ドロップアウト部では、PLL発振信号■に使用する図示しないVCOの電圧値を固定して、ドロップアウト直前の発振周波数にて発振させている。ドロップアウトの個所は距離換算で数10μm程度なので、ドロップアウト前後の回転速度はほぼ同一と見なせる。従って、ドロップアウト中にPLL発振信号■を計数することによって、ドロップアウト開始と回避のタイミングの再現性が良いドロップアウト特定信号■を生成することができる。
【0032】ここで、図3(b)の信号■、■からドロップアウトの前後では、ドップラ信号の位相が一致しないことが多い。信号処理でこの位相ずれ分を出さないためにはドロップアウト回避を検出する信号としてドロップラコンパレート信号の複数逓倍(4逓倍)のPLL発振信号■を使用している。
【0033】この方法により得られたPLLの基準信号は、信号■と信号■のORをとった信号■とする。その位相比較信号■はPLL発振信号■を基に信号■のドロップアウト回避後の立ち上がりとほぼ同期するようにして、ドロップアウト特定信号■の切換わりのPLL発振信号■のパルス数をメモリしてゆく。位相比較信号■はドロップアウトではない部分では、PLL発振信号■の4分周信号■をドップラコンパレート信号■に同期(位相ロック)させる。
【0034】1回転中のドロップアウト個所は数10個所あるために、回転位置原点を基準としてドロップアウトでない領域とドロップアウト領域のそれぞれのPLL発振信号パルス数を、ドロップアウト不確定領域が存在しないように順次にメモリしながら、1回転分のドロップアウト個所を特定してゆき、最終的なドロップアウト特定信号■を確定する。
【0035】図4はドロップアウトを順次にメモリしてゆく流れを示す。最初のドロップアウトD.O.1のPLL発振信号■のインデックスからのカウント値を先ず1回転目でメモリする。それにより、D.O.1の不安定をなくしたPLL発振信号を得ることができる。次のドロップアウトD.O.2のPLL発振信号■のインデックスからのカウント値は、2回転目でドロップアウト特定信号■により前述した処理を行い、インデックスからD.O.2までのPLL発振信号を安定させた上でメモリする。それにより、ドロップアウトD.O.1及びD.O.2の不安定をなくしたPLL発振信号■を得ることができる。
【0036】同様に、D.O.3、D.O.4、…、D.O.nまで、3回転、4回転目、…、n回転で1回転に存在するD.O.個所n個分を順次にメモリしてゆき、1回転分の最終的なドロップアウト特定信号を確定する。
【0037】このように、ドロップアウト個所を特定することができれば、ドロップアウト前後のランダムな信号の位相変化の不安定性をなくすことができる。回転位置原点からのドロップアウト特定信号■が確定できると、リアルタイムに検出されるドップラコンパレート信号■と信号■とのORにより、1周に渡り安定したPLLの基準信号■が生成され、かつPLL発振信号■と信号■により、1周に渡り安定したPLLの位相比較信号■が生成される。
【0038】従って、PLLの基準信号■と位相比較信号■とによってPLL発振させることにより、1回転に渡り安定したPLL発振信号■が生成でき、エンコーダ信号と同等の安定した信号を得ることができる。
【0039】また、1回転当たりのPLL発振パルスは数回転位置原点をトリガとして計数することにより、特定することができる。それ以降はPLL発振パルス数を計数することによって回転位置原点を検出生成することができ、外部原点信号が不要となる。また、このときに同一回転の位置では常に同じ信号処理を行うことになるので、1回転で閉じた処理(クローズドループ)となってPLL発振の信号処理がより安定化して信号再現性が良好となる。
【0040】図5は信号処理ロジックR3のフローチャート図を示し、外部原点信号としては、サーボトラック信号を書き込む前に磁気ヘッド23aにより磁気ディスク22に原点信号を書き込んで、磁気ヘッド23aで原点信号を読み出している。この場合には、事前に磁気ディスク22を回転して1回転分のドロップアウト個所の特定信号を確定した後に、LDV光学ヘッド24の信号処理ロジックR3による原点信号を生成することができるので、サーボトラック信号を書き込む際に外部原点信号は不要となる。また、外部原点信号を設定する際に、ドロップアウト領域でない個所を選択することによって、信号処理ロジックR3による原点信号への安定した切換えを可能としている。この方法では、外部原点検出センサを別に設ける必要がないので、サーボトラックライタとして簡略化した構成を実現でき、実用的なシステムを提供することができる。
【0041】図6は第2の実施例の信号処理方法のグラフ図を示し、ドップラ信号にドロップアウト状態が生じても高精度に回転位置検出を行うための信号処理方法である。
【0042】図6(a)において、信号■はドップラ信号を示し、信号■はそのコンパレート信号である。このコンパレート信号■は、信号■のゼロ立ち下がりでHIに、ヒステリシスを持った閾値立ち上がりでLOになるよう設定され、ドップラ信号■のノイズ成分を取り除いている。信号■はドップラ信号■を3/16位相だけ先行させて、かつ閾値をコンパレート信号■と比べて小さくしたものである。
【0043】図6(b) はドロップアウト個所を検出して信号処理を行うグラフ図を示し、ドロップアウト検出としては、信号■がHレベルになったままであるときをドロップアウト開始とし、信号■がLレベルになったときをドロップアウト終了とする。また、信号■の立ち上がり時に信号■がLレベルになっているときをドロップアウト開始とし、信号■がLレベルになっているときをドロップアウト終了とすると、常に信号■の立ち上がりの3/16位相を先行してドロップアウト検出を行うことができる。なお、信号■はドロップアウト検出信号である。
【0044】先ず、ドロップアウト個所でない回転位置原点信号から最初のドロップアウト個所までの間で、PLL発振信号■の8分周信号■をドップラコンパレート信号に同期(位相ロック)させる。次に、ドロップアウト検出信号■がHレベルのドロップアウト部では、PLL発振信号■に使用する図示しないVCO(VoltageControl Oscillator)の電圧値を固定して、ドロップアウト直前の発振周波数で発振させる。具体的には、PLLの位相比較信号として、PLL発振信号■の8分周信号にドロップアウト検出信号■により、リセット掛けることにより生成した信号■を使用することにより、ドロップアウト時ではPLL基準信号とする信号■に信号立ち上がりがなく、また位相比較信号■にも信号立ち上がりがないために、PLL発振信号■は周波数調整が行われることなく、発振し続ける。
【0045】ドロップアウトの個所は距離換算で数10μm程度なので、ドロップアウト前後の回転速度はほぼ同一と見倣せる。ここで、図6の信号■、■を比較すると、ドロップアウトの前後ではドップラ信号■の位相が一致していない。本実施例では、信号処理でこの位相ずれ分を事前に検出するために、ドロップアウト回避後にコンパレート信号■の立ち上がりに対して3/16位相を先行検出している。そして、検出信号■の立ち下がり後の8逓倍PLL発振信号■の3パルス目で、コンパレート信号■に同期させる信号■を生成して、次のドロップアウトまでPLL発振信号■を8分周して位相ロックしている。
【0046】この方法により得られたPLLの位相比較信号■は、PLLの基準信号■に対してドロップアウト回避後の立ち上がりの量子化誤差(±1/16位相)分だけずれる可能性があるが、PLLの逓倍数を上げてゆけばその誤差は無視できる。
【0047】また、先行検出せずにPLLの位相比較信号■を生成すると、量子化誤差はプラス1/8位相となり、量子化誤差累積は必ず増える方向となる。一方、本実施例のようにドロップアウトを先行して検出すると、量子化誤差をプラスとマイナスに割り振ることが可能となり、量子化誤差累積が一方向に加算することなく、累積の平均をゼロに持ってゆくことが可能となる。
【0048】通常、1回転当たりのドロップアウトの個数は100個以下であるために、例えばPLLの逓倍数を128とすれば、1回転当たりのPLL発振パルス数の振れ(回転検出誤差)は、ドップラ信号■のパルス換算では最大でも±1/2パルス以上の誤差が生ずることはない。従って、PLL発振パルス数により同一回転位置でのドップラ信号■の立ち上がり場所のゲートを設定することができ、ゲートを通過したドップラ信号■の立ち上がりにより回転位置原点信号を生成することができる。この回転位置原点信号に一致するようにPLL発振信号■のパルス数をリセットすれば、PLL発振パルス数を読み取ることによって回転位置を検出することが可能となり、非接触でスケールを必要としない回転位置検出系を実現することができる。
【0049】図7は信号処理ロジックR1のフローチャート図を示し、外部原点信号としては、サーボトラック信号を書き込む前に磁気ヘッド23aにより磁気ディスク22に原点信号を書き込んで、磁気ヘッド23aで原点信号を読み出している。この場合は、事前に磁気ディスク22を回転して1回転分のPLL発振信号パルス数を調べ、同一回転位置でのドップラ信号■の立ち上がり場所のゲートを設定する。これによって、LDV光学ヘッド24の信号処理ロジックR1による原点信号を生成することができるので、サーボトラック信号を書き込む際には、外部原点信号は不要となる。そして、このようにPLL発振パルス数を読み取ることにより回転位置を検出する。
【0050】図8は第3の実施例の信号処理ロジックR2のフローチャート図を示し、外部原点信号としては第2の実施例と同様に、サーボトラック信号を書き込む前に磁気ヘッド23aにより磁気ディスク22に原点信号を書き込んで、磁気ヘッド23aで原点信号を読み出している。ここでは、事前に磁気ディスク22を回転して1回転分のPLL発振パルス数を調べると同時に、回転位置に対するドロップアウト個所をチェックし、PLL発振パルス数によってこのドロップアウト個所を概略メモリする。
【0051】次に、外部原点信号とは別に、通常50個程度のセクタ毎の頭出し信号をドップラ信号■の立ち上がりに設定する。ここで、頭出し位置がメモリしたドロップアウト個所と一致した場合には、その直前のドロップアウトでない部分に頭出し信号を設定する。この頭出し信号に合わせて、PLL発振パルス数をリセットすると、リセットされたPLL発振信号■はドロップアウトによる信号処理の不安定性を含まずに、PLLの位相比較信号■の量子化誤差(±1/16位相)分のみとなる。この頭出し回転信号のパルス数とPLL発振パルス数の両方の計数値を読み取ることによって、回転位置を高精度に検出することができる。
【0052】第2の実施例では、1回転分の量子化誤差の累積が回転位置検出誤差となり得るが、本実施例では量子化誤差の累積をセクタ数(50程度)分の1に分散するので、厳しい回転位置検出精度が必要な場合に特に有効となる。このような方法によって、ドロップアウトが存在するドップラ信号■においても、PLL発振信号■の周波数を極端に上げることなく、非常に再現性の良い回転位置検出を可能とする。なお、本実施例においてはセクタ頭出し信号を特定した時点で、外部原点信号は不要となる。
【0053】図9は第4の実施例の要部の斜視図を示し、感光ドラム31の外周移動距離を検出するシステムに適用した例である。LDV光学ヘッド32の出力が、信号処理ロジック回路33、外周回転位置検出回路34、回転駆動制御回路35を介して感光ドラム31に接続されている。
【0054】従来はロータリエンコーダによって感光ドラム31の外周移動量を検出する方法をとっているが、感光ドラム31の外周が回転軸に対し偏心していると、ロータリエンコーダからの移動検出量と実際の感光ドラム31の外周移動量とに、半径の誤差分に比例してずれが生ずるために、偏心のない機械的構成をとる必要がある。このために、本実施例ではLDV光学ヘッド32を使用してその信号を信号処理ロジック回路33を介して外周回転位置検出回路34で検出し、回転駆動制御回路35で感光ドラム31の回転を制御している。このように、外周の移動量をLDV光学ヘッド32からの光束で検出しているので、偏心を除去した回転位置情報を直ちに検出することができる。
【0055】本実施例では、感光ドラム31の回転駆動を制御する方法を提示したが、例えば他の搬送系の駆動制御にフィ−ドバックしたり、感光プロセスの制御にフィードバックすることによって、最終的な転写性の高精度化を図ることもできる。ここでは図12の信号処理ロジックR3と同様に行うことができ、また外部信号としては、図示しない低分解能のロータリエンコーダを使用して、厳密な外周回転移動量の検出を行っている。
【0056】次に第5の実施例について説明する。装置は図1の第1の実施例と同じ構成である。磁気ディスク22には、再現性を有する振れRROと再現性のない振れNRROが存在し、再現性のある振れRROは同一回転位置では同じようにずれる。従って、その振れRROが検出誤差として存在しても、各トラック上に同じ検出誤差として重畳されるために、サーボトラック信号を書き込むときの書込み誤差にはならない。一方、再現性のない振れNRROは検出誤差が各トラック毎にランダムに重畳してくるために、その振れNRROの検出誤差を極力抑えることが、サーボトラック信号の書き込みの高精度化に重要なポイントとなる。
【0057】図10は磁気ディスク22、磁気ヘッド23aに対するLDV光学ヘッド24の検出方向の位置関係の平面図を示している。磁気ディスク22の中心に対する磁気ヘッド23aの方向をx軸として、振れNRROの振動幅Eに対するx軸方向の振動成分をEx、y軸方向の振動成分をEyとし、x軸に対するLDV検出方向Fの垂線の角度をα、LDV検出位置Dの磁気ディスク22の中心からの半径をrとすると、振れNRROがLDV検出方向Fに影響を与える検出誤差成分Sは、次式(6) となる。
S=−Ex・sin α+Ey・cos α …(6)【0058】また、振れNRがLDV検出の垂直方向に影響を与える半径誤差成分Vは、次式(7) となる。
V=Ex・cos α+Ey・sin α …(7)【0059】従って、磁気ディスク22の回転中心と磁気ヘッド23aとの距離をRとすると、磁気ヘッド23aでの振れNRROによるLDV検出誤差Eは、次式(8) に示すようになる。
E=(R/r)S・(r+V)/r …(8)【0060】ここで、V≦E≪rであることから、次式(9) のように近似することができる。
E≒(R/r)S=(R/r)(−Ex・sin α+Ey・cos α) …(9)【0061】この書込み位置ずれを書込み角度ずれωに換算すると、次式(10)のようになる。
ω=W/R=(1 /r)(−Ex・sin α+Ey・cos α)−Ey/R…(10)【0062】一般に、振れNRROは方向に依存しない振動幅Eを持っており、その角度βはランダムな値0≦β<2πをとる。即ち、図11に示すようにハッチング部分の範囲内で、磁気ディスク22の中心がランダムにずれることを意味する。
【0063】このとき、振れNRのx軸方向の振動成分Exとy軸方向の振動成分Eyを、E、βを用いて記述すると、次式(11)のようになる。
Ex=E・cos β、Ey=E・sin β …(11)【0064】式(11)を式(10)に代入すると、次式(12)となる。
ω=(E/r){−cos β・sin α+sin β(cos α−r/R)} …(12)【0065】ここで、角度βは0≦β<2πの範囲内でランダムな値をとり得るので、LDV光学ヘッド24の設置角度αのときの振れNRROによる書込み角度ずれ|ω|のとり得る値は、次式(13)の角度βにおける最大値と等しくなる。
|ω|=|(E/r){−cos β・sin α+sin β(cos α−r/R)}|…(13)【0066】式(13)の角度βにおける最大値をとる必要条件は、次式(14)のようにおくとdA/dβ=0である。
A=−cos β・sin α+sin β(cos α−r/R) …(14)【0067】従って、dA/dβを求めると、次式(15)のように変形することができる。
dA/dβ=sin β・sin α+cos β(cos α−r/R)
=cos(β−α)−(r/R)cos β =sin(β+π/2−α)−(r/R)cos β【0068】ここで、次式(15)のようにおくと、式(16)のようになる。
c=sin(π/2−α)−r/R=cos α−r/Rd=cos(π/2−α)=sin αsin Φ=c/(c2 +d2)1/2cos Φ=d/(c2 +d2)1/2 …(15)dA/dβ=(c2 +d2)1/2 ・sin(β+Φ) …(16)dA/dβ=0とすると、式(16)よりβ=−Φとなる。
【0069】従って、式(13)の角度βにおける最大値をとるための必要条件は、式(15)から次式(17)のようになる。
sin β=−c/(c2 +d2)1/2cos β=d/(c2 +d2)1/2 …(17)【0070】式(17)を式(14)に代入すると、次式(18)のようになる。
A={−d・sin α−c(cos α−r/R)}/(c2 +d2)1/2 =−{sin2α+(cosα−r/R)2}/{sin2α+(cosα−r/R)2}1/2 ={sin2α+(cos α−r/R)2}1/2 …(18)【0071】これによって、振れNRROによる書込み角度ずれ|ω|の最大値ωmax は、次式(19)のようになる。
ωmax =|−(E/r){sin2α+(cosα−r/R)2}1/2| =(E/r){1+(r/R)2−2(r/R)cos α}1/2 …(19)【0072】この式(19)からRが定数であれば、α=0rad のときにωmax が最小になることが分かる。
【0073】ここで、6.3cm(2.5インチ)のHDD21として具体的な数値を考える。即ち、r=10mm、E=0.1μmとし、14mm≦R≦30mm(a=R/rとすると1.4≦a≦3)として、書込み角度ずれωmax を求めると図12〜図14に示すようになる。Rが範囲を持っているのは、磁気ヘッド23aのディスクトラック半径方向への移動を意味している。
【0074】図12はLDV角度α、磁気ヘッド23aの位置aにおける書込み角度ずれωmax を三次元的に示したものであり、図13はa=1.4、2.2、3におけるLDV角度αと書込み角度ずれωmax との関係を示し、図14はα=0、π/6、π/3、π/2、2π/3、5π/6、πradにおける磁気ヘッド23aの位置aと書込み角度ずれωmax との関係を示している。
【0075】これらの結果から、磁気ヘッド23aの位置aが1.4〜3の範囲で移動した場合においても、書込み角度ずれωmax が最小となるのはα=0rad であり、最大となるのはα=πradである。また、書込み角度ずれωmax の値は、LDV角度αの絶対値が同じであればαの符号に依存することはない。
【0076】以上のことから、LDV光学ヘッド24の検出方向が、回転物体の中心と磁気ヘッド23aとを結ぶ直線に対して垂直近傍にあり、検出位置が回転物体中心に対して磁気ヘッド23a側にあるときに、回転物体の振れによる検出誤差に対して、最も影響を受けないLDV光学ヘッド24によるクロック信号を形成することができる。
【0077】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る光学式回転位置情報検出装置は、回転位置情報検出手段が回転位置情報を特定する前に、回転物体を事前に回転することによって、回転位置情報を特定するための情報を検出することができるので、ドロップアウトが生ずる周波数信号においても、高精度で安定した回転位置を検出することが可能となる。
【0078】また、本発明に係る光学式回転位置情報検出装置は、回転検出位置情報検出手段の検出方向を回転物体の中心と情報記録ヘッドとを結ぶ直線に対し垂直近傍とし、その検出位置を回転物体中心に対し情報記録ヘッド側とすることにより、回転物体の軸振れの影響を最大限小さくして高精度の位置検出が可能となり、レ−ザ−ドップラ方式において安定したサーボトラック信号の書込みが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
【出願日】 平成11年11月10日(1999.11.10)
【代理人】 【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
【公開番号】 特開2001−141432(P2001−141432A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−320309