| 【発明の名称】 |
パターン検査装置およびパターン検査のためのマスタデータの作成方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】山口 優
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| 【要約】 |
【課題】多ピース品である対象物について,現実の検査によく適合した精度を有するマスタデータを効率よく作成して検査に供することができるパターン検査装置およびそのマスタデータの作成方法を提供すること。
【解決手段】プリント配線板の実物を撮像して得た仮マスタデータをピースに分割し,各ピースにおける同一のピース内位置のセルについて多数決をとり,多数派となったセル種を集成して基準ピースデータを作成する。そして,基準ピースデータと仮マスタデータの各ピースとを対比し,不一致セルを1つも有しない修正対象外ピースはそのまま確定マスタデータとする。不一致セルについては,不一致の種類が「過剰」であれば,その隣接範囲内における基準ピースデータを参照し,「マスタデータあり」のセルが1つも存在しない場合に限り,当該不一致セルのマスタデータを削除する(#707)。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 マスタデータとの対比により対象物の表面パターンを検査するパターン検査装置において,対象物の表面パターンを読み取って仮マスタデータを作成する仮マスタデータ作成手段と,前記仮マスタデータをピースに分割するピース分割手段と,前記ピース分割手段により分割された前記仮マスタデータについて,各ピースにおける同一のピース内位置のセルをセル種ごとに計数して当該ピース内位置の最頻セル種を決定する処理を各ピース内位置ごとに行い,各ピース内位置について決定された最頻セル種を当該ピース内位置に配置して基準ピースデータを作成する基準ピースデータ作成手段と,前記仮マスタデータの各ピースを前記基準ピースデータと対比して,すべてのセルのセル種が前記基準ピースデータにおける対応するセルのセル種と一致しているピースについてはそのピースのデータをそのままマスタデータとし,前記基準ピースデータにおける対応するセルのセル種と一致しないセル種のセル(以下,「修正候補セル」という)を含むピース(以下,「修正候補ピース」という)についてはそのピースのデータに修正処理を施してマスタデータとするマスタデータ修正手段とを有し,前記修正処理では,修正候補セルに隣接する所定の範囲のピース内位置における前記基準ピースデータを参照し,前記修正候補セルのセル種と同一のセル種のセルが発見された場合には修正を行わず,前記修正候補セルのセル種と同一のセル種のセルが発見されない場合には,前記修正候補セルのセル種を,前記基準ピースデータにおける対応するセルのセル種に変更する修正を行うことを特徴とするパターン検査装置。 【請求項2】 請求項1に記載するパターン検査装置において,セル種が「あり」と「なし」との2種類であり,前記修正処理は,セル種が「あり」である修正候補セルを対象とし,前記マスタデータ修正手段は,セル種が「なし」である修正候補セル(以下,「追加候補セル」という)については,追加候補セルに隣接する所定の範囲のピース内位置における当該修正候補ピースを参照し,セル種が「あり」であるセルが発見された場合には修正を行わず,セル種が「あり」であるセルが発見されない場合には,当該追加候補セルのセル種を「あり」に変更する第2修正処理を行うことを特徴とするパターン検査装置。 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載するパターン検査装置において,前記ピース分割手段により前記仮マスタデータがピースに分割されたときに,ピース数および各ピースのサイズをチェックするピースチェック手段と,前記ピースチェック手段によりピース数の異常もしくは所定の許容範囲を超えるサイズの異常が発見された場合にエラー出力をするとともに前記基準ピースデータ作成手段による処理およびその後の処理を中止させるエラー出力手段とを有することを特徴とするパターン検査装置。 【請求項4】 請求項3に記載するパターン検査装置において,前記ピースチェック手段により所定の許容範囲内のサイズの異常が発見された場合に当該ピースについてサイズ補正を行うサイズ補正手段を有し,前記サイズ補正手段によりサイズ補正がなされた場合には,前記基準ピースデータ作成手段は,サイズ補正後の仮マスタデータに基づいて基準ピースデータを作成することを特徴とするパターン検査装置。 【請求項5】 請求項1から請求項4までのいずれか1つに記載するパターン検査装置において,対象物の設計データを取得する設計データ取得手段を有し,前記基準ピースデータ作成手段は,設計データおよび各ピースにおける同一のピース内位置のセルをセル種ごとに計数して当該ピース内位置の最頻セル種を決定することを特徴とするパターン検査装置。 【請求項6】 多ピース構成の対象物の表面パターンを検査するパターン検査のためのマスタデータの作成方法において,対象物の表面パターンを読み取って仮マスタデータを作成し,前記仮マスタデータをピースに分割し,各ピースにおける同一のピース内位置のセルをセル種ごとに計数して当該ピース内位置の最頻セル種を決定する処理を各ピース内位置ごとに行い(1),各ピース内位置について決定された最頻セル種を当該ピース内位置に配置して基準ピースデータを作成し,前記仮マスタデータの各ピースを前記基準ピースデータと対比し,すべてのセルのセル種が前記基準ピースデータにおける対応するセルのセル種と一致しているピースについてはそのピースのデータをそのままマスタデータとし,前記基準ピースデータにおける対応するセルのセル種と一致しないセル種のセル(以下,「修正候補セル」という)を含むピースについてはそのピースのデータに修正処理を施してマスタデータとし,前記修正処理では,修正候補セルに隣接する所定の範囲のピース内位置における前記基準ピースデータを参照し,前記修正候補セルのセル種と同一のセル種のセルが発見された場合には修正を行わず,前記修正候補セルのセル種と同一のセル種のセルが発見されない場合には,前記修正候補セルのセル種を,前記基準ピースデータにおける対応するセルのセル種に変更する修正を行うことを特徴とするパターン検査のためのマスタデータの作成方法。 【請求項7】 請求項6に記載するパターン検査のためのマスタデータの作成方法において,セル種が「あり」と「なし」との2種類であり,前記修正処理は,セル種が「あり」である修正候補セルを対象とし,セル種が「なし」である修正候補セル(以下,「追加候補セル」という)については,追加候補セルに隣接する所定の範囲のピース内位置における当該修正候補ピースを参照し,セル種が「あり」であるセルが発見された場合には修正を行わず,セル種が「あり」であるセルが発見されない場合には,当該追加候補セルのセル種を「あり」に変更する第2修正処理を行うことを特徴とするパターン検査のためのマスタデータの作成方法。 【請求項8】 請求項6または請求項7に記載するパターン検査のためのマスタデータの作成方法において,前記仮マスタデータがピースに分割されたときに,ピース数および各ピースのサイズのチェックを行い,チェックによりピース数の異常もしくは所定の許容範囲を超えるサイズの異常が発見された場合にエラー出力をするとともに前記(1)以後の処理を中止することを特徴とするパターン検査のためのマスタデータの作成方法。 【請求項9】 請求項8に記載するパターン検査のためのマスタデータの作成方法において,チェックにより所定の許容範囲内のサイズの異常が発見された場合に当該ピースについてサイズ補正を行い,サイズ補正後の仮マスタデータについて前記(1)以後の処理を行うことを特徴とするパターン検査のためのマスタデータの作成方法。 【請求項10】 請求項6から請求項9までのいずれか1つに記載するパターン検査のためのマスタデータの作成方法において,前記(1)の際,設計データをも計数の対象とすることを特徴とするパターン検査のためのマスタデータの作成方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は,たとえばプリント配線板などの検査対象物であってその表面に繰り返しパターンのような多ピース構成のパターンを有するものについて,そのパターンの良否を検査するパターン検査に関する。さらに詳細には,検査の基準となるマスタデータを対象物の1つから良好に作成することができるパターン検査装置およびそのマスタデータの作成方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】プリント配線板においては,その表面のパターンにある特定の図形が含まれることがある。例えば,レーザ加工によるバイアホール形成のための窓として上層配線層に開けられる穴がその例である。この穴は,位置,形状,径が仕様どおりに正しく形成されていないと,層間接続の失敗など不良を引き起こすことになる。このため,穴開け後レーザ加工の前に,穴が正しく形成されているか否かを検査する必要がある。 【0003】検査は一般的に,基準となるマスタデータを用意しておいて,検査対象物たるプリント配線板の表面パターンをマスタデータと対比することにより行われる。このマスタデータを作成する方法には大別して,検査対象物の実物の表面パターンを実測してこれに基づいて作成する方法と,検査対象物の設計データから作成する方法との2通りがある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら,従来のパターン検査におけるマスタデータの作成には,実物を用いる方法にしろ設計データに基づく方法にしろ,問題点があった。 【0005】実物を用いる方法の問題点を説明する。通常の量産レベルの加工精度で製造された実物の表面パターンの撮像結果をそのままマスタデータとすると,検査時に虚報が著しく多く発生して現実的な検査にはならない。このため従来は,マスタデータの作成専用に,量産レベルよりかなり厳しい加工精度の実物を作成し,それでマスタデータを作成したりしていた。あるいは,通常品でマスタデータを作成する場合には手作業で修正したりしていた。 【0006】ところが,近年のようにパターンの微細化,複雑化が進行してくると,マスタデータ作成のための専用品の製造が著しく困難である。また,通常品から修正作業を経てマスタデータを作成するにしても,作業量が著しく膨大である。また,通常品から作る場合には,修正者の経験レベルによる差異によりマスタデータの信頼性が低下する。 【0007】設計データに基づく方法の問題点を説明する。この方法の問題点は,データ変換と多ピース品対応との2点である。まずデータ変換の問題点は,設計用のCAD機と検査装置とで使用するデータ構造が異なるために,設計データに何らかの変換を施さないと検査装置でマスタデータとして使えないということである。このデータ変換のための専用装置を作成するとなると,CAD機の機種ごとに高価なデータ変換専用機を要し非現実的である。汎用のWS等でソフト的にデータ変換することも考えられるが,膨大な処理時間を要してしまう。 【0008】次に,多ピース品対応の問題点は,多ピース品であってもその設計データは1ピース分しかないということに起因する問題である。このため実際には,1ピース分の設計データを殖版処理,すなわちコピーする必要がある。ところが,設計データのデータ単位と検査装置における撮像データのデータ単位とでは異なり,さらに撮像カメラの分解能の問題も絡んでくる。このため,殖版処理で作成したマスタデータで実物を検査すると,ピースによってはおびただしい数の虚報が出て現実的な検査にならないのである。 【0009】本発明は,前記した従来のパターン検査におけるマスタデータの作成が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,多ピース品である対象物について,現実の検査によく適合した精度を有するマスタデータを効率よく作成して検査に供することができるパターン検査装置およびそのマスタデータの作成方法を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】この課題の解決を目的としてなされた本発明のパターン検査装置は,マスタデータとの対比により対象物の表面パターンを検査するものであって,対象物の表面パターンを読み取って仮マスタデータを作成する仮マスタデータ作成手段と,仮マスタデータをピースに分割するピース分割手段と,ピース分割手段により分割された前記仮マスタデータについて,各ピースにおける同一のピース内位置のセルをセル種ごとに計数して当該ピース内位置の最頻セル種を決定する処理を各ピース内位置ごとに行い,各ピース内位置について決定された最頻セル種を当該ピース内位置に配置して基準ピースデータを作成する基準ピースデータ作成手段と,仮マスタデータの各ピースを基準ピースデータと対比して,修正候補セルを含まないピースについてはそのピースのデータをそのままマスタデータとし,修正候補セルを含むピースについてはそのピースのデータに修正処理を施してマスタデータとするマスタデータ修正手段とを有している。ここで,ピースとは,対象物の表面パターンに含まれている繰り返しパターンのことである。また,セルとは,マスタデータを構成するマスタデータ単位のことである。 【0011】また,本発明のマスタデータの作成方法は,多ピース構成の対象物の表面パターンを検査するパターン検査のためのマスタデータの作成方法であって,対象物の表面パターンを読み取って仮マスタデータを作成し,仮マスタデータをピースに分割し,各ピースにおける同一のピース内位置のセルをセル種ごとに計数して当該ピース内位置の最頻セル種を決定する処理を各ピース内位置ごとに行い(1),各ピース内位置について決定された最頻セル種を当該ピース内位置に配置して基準ピースデータを作成し,仮マスタデータの各ピースを基準ピースデータと対比し,修正候補セルを含まないピースについてはそのピースのデータをそのままマスタデータとし,修正候補セルを含むピースについてはそのピースのデータに修正処理を施してマスタデータとする方法である。 【0012】これらにおいて修正処理では,修正候補セルに隣接する所定の範囲のピース内位置における基準ピースデータを参照し,修正候補セルのセル種と同一のセル種のセルが発見された場合には修正を行わず,修正候補セルのセル種と同一のセル種のセルが発見されない場合には,修正候補セルのセル種を,基準ピースデータにおける対応するセルのセル種に変更する修正を行う。 【0013】すなわち本発明においては,現実の対象物から取得したパターンに基づいてマスタデータを作成する。そのための対象物は,量産品のなかで良品と思われるものを用いればよく,マスタデータ作成のための特別品を用意する必要はない。本発明では,対象物の表面パターンが読み取られ,これにより仮マスタデータが作成される。そして仮マスタデータは,ピースに分割される。分割とは,仮マスタデータに含まれる各ピースの位置を認識することである。その際のピースのサイズや個数,標準的な位置の情報は,対象物の仕様により既知である。仮マスタデータがピースに分割されると,各ピースごとにピース内位置を考えることができる。 【0014】そこで,各ピースにおける同一のピース内位置の各セルについて,セル種ごとの計数が行われ,当該ピース内位置の最頻セル種が決定される。最頻セル種は,各ピース内位置について決定される。各ピース内位置について決定された最頻セル種を集成したものが,基準ピースデータである。言い換えると,仮マスタデータの各ピースについて,ピース内位置ごとの多数決をとったものが基準ピースデータである。なお,量産品の対象物は偶発的な欠陥をある程度含んでいるが,そのような欠陥が多くのピースにおいて同一のピース内位置に存在するとは考えにくい。よって,最頻セル種をとることにより偶発的な欠陥の影響はほとんど排除されてしまう。このため,量産品の対象物からでも良好なマスタデータの作成が可能なのである。 【0015】基準ピースデータが用意されたら,これと仮マスタデータの各ピースとが対比される。そして,必要に応じて仮マスタデータに修正処理が施される。その内容は以下の通りである。まず,仮マスタデータの各ピースについて,基準ピースデータと完全に一致しているか否かがまず判定される。基準ピースデータと完全に一致しているピースについては,修正の必要がなくそのままマスタデータとされる。基準ピースデータと一致しないセル,すなわち修正候補セルを含むピースは,修正処理を経てマスタデータとされる。ただし,修正処理とはいっても,当該ピースを必ず修正するわけではなく,次のようにして処理される。 【0016】まず,修正候補セルに隣接する所定の範囲のピース内位置における基準ピースデータが参照される。そして,参照した範囲内に,修正候補セルのセル種と同一のセル種のセルが発見された場合には,修正はしない。これに対し,参照した範囲内に,修正候補セルのセル種と同一のセル種のセルが発見されない場合には,修正候補セルのセル種を,基準ピースデータにおける対応するセルのセル種に変更する修正が行われる。すなわち,基準ピースデータと一致しない修正候補セルが存在しても,周囲の所定の範囲内の基準ピースデータに一致するセルがあればその不一致を残したままマスタデータとするのである。 【0017】かくして作成されたマスタデータは,基準ピースデータと一致しないピースを含んでいることがある。これは,対象物の実物において,表面パターンがピースごとに異なることを意味するわけではない。ただ,設計時や殖版処理時の分解能と,撮像時の分解能などとの相違により,実物を撮像した結果にはピースごとの相違が含まれうることに対応するためのものである。そして,同一の仕様の対象物であれば,撮像結果におけるピースごとの相違も,同じ傾向で現れる。よって,本発明で作成されたマスタデータを用いることにより,同一の仕様の対象物について,過度な虚報を発生させることなく良好なパターン検査を行うことができる。また,最頻セル種の決定の際に,あるピースに存在する偶発的な欠陥が他のピースにより修正されることとなるので,マスタデータの作成に供した対象物それ自体を検査することもできる。 【0018】この種のパターン検査では,対象物の表面パターンは2値化された状態で取り扱われるのが一般的である。その場合には,マスタデータのセル種は「あり」と「なし」との2種類である。この場合の本発明では,前述の修正処理は,修正候補セルのうち,セル種が「あり」である削除候補セル(基準ピースデータにおける対応するセルのセル種は「なし」である)のみを対象とすることが望ましい。すなわち修正処理では,削除候補セルに隣接する所定の範囲のピース内位置における基準ピースデータを参照し,セル種が「あり」であるセルが発見された場合には修正を行わず,セル種が「あり」であるセルが発見されない場合には,当該削除候補セルのセル種を「なし」に変更するのである。 【0019】そしてこの場合の本発明に係るパターン検査装置においては,マスタデータ修正手段は,修正候補セルのうちセル種が「なし」である追加候補セルについては,追加候補セルに隣接する所定の範囲のピース内位置における当該修正候補ピースを参照し,セル種が「あり」であるセルが発見された場合には修正を行わず,セル種が「あり」であるセルが発見されない場合には,当該追加候補セルのセル種を「あり」に変更する第2修正処理を行うことが望ましい。すなわち,修正候補セルのうち追加候補セルについては,基準ピースデータでなく当該修正候補ピースにおける隣接範囲を参照して,追加の実行如何を決定するのである。本発明に係るパターン検査のためのマスタデータの作成方法においても同様である。 【0020】本発明のパターン検査装置においてはさらに,ピース分割手段により仮マスタデータがピースに分割されたときに,ピース数および各ピースのサイズをチェックするピースチェック手段と,ピースチェック手段によりピース数の異常もしくは所定の許容範囲を超えるサイズの異常が発見された場合にエラー出力をするとともに基準ピースデータ作成手段による処理およびその後の処理を中止させるエラー出力手段とを有することが望ましい。 【0021】同様に本発明のマスタデータの作成方法においては,仮マスタデータがピースに分割されたときに,ピース数および各ピースのサイズのチェックを行い,チェックによりピース数の異常もしくは所定の許容範囲を超えるサイズの異常が発見された場合にエラー出力をするとともに前述の(1)以後の処理を中止することが望ましい。 【0022】このようなことを行うのが有用である理由は,本発明ではマスタデータ作成のための特別品でなく量産品そのものを用いてマスタデータを作成することを念頭に置いていることにある。量産品では,中にはパターン形成のよくないものが含まれていることもありうるので,そのようなものでマスタデータを作成してしまうのを防ぐためである。 【0023】この場合さらに,本発明のパターン検査装置において,ピースチェック手段により所定の許容範囲内のサイズの異常が発見された場合に当該ピースについてサイズ補正を行うサイズ補正手段を有することとし,サイズ補正手段によりサイズ補正がなされた場合には,基準ピースデータ作成手段は,サイズ補正後の仮マスタデータに基づいて基準ピースデータを作成することが望ましい。 【0024】同様に本発明のマスタデータの作成方法においても,チェックにより所定の許容範囲内のサイズの異常が発見された場合に当該ピースについてサイズ補正を行い,サイズ補正後の仮マスタデータについて前述の(1)以後の処理を行うことが望ましい。 【0025】量産品における良否とは,設計データと厳密に一致するか否かをいうのではなく,実装上支障がない許容範囲内であれば差異があっても良品として扱われる。よって,このようなものをいちいち異常品としてハネてしまうのは,検査効率上かえって好ましくない。ただ,ピースサイズについては揃えておかないと,ピース位置ごとの計数による最頻セル種の決定に支障が出る。これを防ぐために,サイズ補正をし,サイズ補正後の仮マスタデータで以後の処理を行うのである。 【0026】本発明のパターン検査装置においてはまた,対象物の設計データを取得する設計データ取得手段を有することとし,基準ピースデータ作成手段は,設計データおよび各ピースにおける同一のピース内位置のセルをセル種ごとに計数して当該ピース内位置の最頻セル種を決定することも望ましい。同様に本発明のマスタデータの作成方法においても,前述の(1)の際,設計データをも計数の対象とすることが望ましい。 【0027】このようにすることで,ピース内位置ごとの最頻セル種の決定,すなわち多数決の際に,設計データが加味される。これにより,設計データにより忠実な検査ができるマスタデータが作成される。 【0028】 【発明の実施の形態】以下,本発明を具体化した実施の形態について,図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施の形態は,多ピース構成のプリント配線板の表面パターンを検査するパターン検査装置,およびその装置において実行されるマスタデータの作成方法として本発明を具体化したものである。特には,プリント配線板の製造途上で,レーザ加工によるバイアホール形成のための窓として上層銅箔に開けられる穴などの特徴的な図形(以下,「特徴図形」という)についての過剰などの異常の検査のための装置および方法である。 【0029】本実施の形態に係るパターン検査装置は,図1のブロック構成図に示すように,撮像系20と検査部30とを有している。さらに,全体の統括制御を行うとともにオペレータによる操作や検査結果の表示等を行うコンピュータ端末41が設けられている。コンピュータ端末41には,それ自身の表示画面の他に像モニタ42が付設されている。 【0030】まず,撮像系20について説明する。撮像系20は,プリント配線板10上に銅箔などで形成された配線パターン11を読み取ってパターン画像を取得する機能を有している。このため,配線パターン11を撮像するCCDカメラ21と,そのアナログ画像をデジタルに変換するA/D変換部22と,そのデジタル信号を2値化する2値化回路23とを有している。すなわち,2値化回路23から出力されるパターン画像は,暗画素と明画素とからなる2値画像である。このパターン画像は,おおむね,配線パターン11のある場所の画素が明画素であり,それ以外の場所の画素が暗画素である。それ以外の場所とは,パターン間の隙間部分や,ビアホールの中の部分,ピンホール等の欠陥などである。また,レーザ加工によるバイアホール形成のための窓として配線パターン11に開けられた穴の中の画素も暗画素である。なお,本実施の形態では,1画素のサイズを15μm四方としている。 【0031】次に,検査部30について説明する。検査部30は,撮像系20からパターン画像を受け取り,穴の形成の良否を検査する機能を有している。この機能のため検査部30は,以下の各ブロックを有している。すなわち,撮像系20の2値化回路23からパターン画像の入力を受けてその中に含まれる特徴図形を抽出する特徴抽出部31,検査のためのマスタデータを記憶するマスタデータメモリ部32,マスタデータメモリ部32に記憶されたマスタデータを自動的に修正するマスタデータ自動修正部35,特徴抽出部31での抽出結果とマスタデータとを照合して欠陥を検出する欠陥照合部33,欠陥照合部33の検出結果について集計や統計処理を行う検出結果処理部34,の各ブロックである。 【0032】検査部30の各ブロックについて簡単に説明する。まず特徴抽出部31は,前述のようにパターン画像に含まれる特徴図形を抽出するブロックである。特徴図形の抽出は,公知の特徴抽出用検査アルゴリズムを,2値化回路23から得たパターン画像に適用することにより行われる。これにより,丸形の穴などのあらかじめ登録した特徴図形が,パターン画像から抽出される。特徴図形が抽出されるとその位置が,欠陥候補としてマスタデータメモリ部32または欠陥照合部33に入力される。なお,抽出しようとする特徴図形の登録は,コンピュータ端末41を用いて設定することができる。 【0033】次にマスタデータメモリ部32は,前述のように検査のためのマスタデータを記憶するブロックである。マスタデータとは,検査対象であるプリント配線板10において特徴図形が存在するはずの位置を示すデータである。マスタデータを用意する方法としては,実際のプリント配線板10のパターン画像から作成する方法を採用している。本実施の形態では,プリント配線板10が多ピース品である場合には,マスタデータの作成専用に特別のプリント配線板10を用意するようなことはせず,通常の量産ベースで製造されたプリント配線板10を使用することとしている。以下,マスタデータの作成に使用したプリント配線板10を「マスタ板」という。また,それ以外のプリント配線板10を「検査対象板」という。 【0034】マスタデータメモリ部32では,マスタデータの記憶を,120μm四方のセルごとに行うこととしている。すなわち1セルには64(82 )個の画素が含まれる。そして,64個のうち,マスタ板のパターン画像において欠陥候補であると認識された画素が1つでも含まれていれば,そのセルは「マスタデータあり」として扱われる。一方,64個のうち,マスタ板のパターン画像において欠陥候補であると認識された画素が1つも含まれていなければ,そのセルは,「マスタデータなし」として扱われる。また,マスタデータと検査対象板の特徴抽出結果のデータとの対比も,セル単位に行われる。なお,セルのサイズは,コンピュータ端末41を用いて変更することができる。 【0035】次にマスタデータ自動修正部35は,プリント配線板10が多ピース品である場合に,前述のようにマスタデータメモリ部32に記憶されたマスタデータを自動的に修正するブロックである。マスタデータ自動修正部35は,マスタデータに対し,ピース分割,ピース内位置ごとの多数決による最頻セル種の決定,最頻セル種の集成による基準ピースデータの作成,基準ピースデータとの対比による修正処理,の各プロセスを経てマスタデータの自動的な修正を行う。その詳細は後述する。 【0036】次に欠陥照合部33は,前述のように特徴抽出部31での抽出結果とマスタデータとをセル単位で照合して特徴図形の異常を検出するブロックである。このブロックは具体的には,マスタデータのない位置に欠陥候補があると,欠陥情報として検出結果処理部34へ出力する。このブロックの構成は,ハードウェア構成とソフトウェア構成とのいずれでもよく,あるいは双方を併用して構成してもよい。 【0037】次に検出結果処理部34は,前述のように欠陥照合部33の検出結果について集計や統計処理等を行うブロックである。このブロックはまた,欠陥照合部33からの欠陥情報を集計し,座標情報とともにコンピュータ端末41へ提供する。これによりコンピュータ端末41では,欠陥データを記憶したり,確認表示をしたりすることができる。また,像モニタ42に表示することもできる。 【0038】続いて,図1のパターン検査装置において実行されるマスタデータの作成方法を説明する。このマスタデータの作成方法は基本的に,多ピース構成のプリント配線板10の実物を撮像して得たパターンデータに必要な修正を施すことによる。ここで使用するプリント配線板10は,通常の量産レベルのものを用いればよく,特別品を準備する必要はない。 【0039】マスタデータの作成は,次のようにして行われる。まず,撮像系20において,CCDカメラ21の撮影位置にプリント配線板10を載置する。そして,その配線パターン11をCCDカメラ21で撮像する。CCDカメラ21からの出力画像撮像はアナログであるが,A/D変換部22でデジタルデータ化され,さらに2値化回路23で2値化される。2値化された状態のパターン画像が,検査部30の特徴抽出部31に入力される。 【0040】特徴抽出部31では,受け取ったパターン画像について,所定の特徴抽出用検査アルゴリズムを適用し,欠陥候補たる特徴的な図形の抽出が行われる。欠陥候補として抽出しようとする図形が例えば円形の穴である場合には,図2に示すような小臨界円51および大臨界円52による検査アルゴリズムを用いることができる。この場合には,小臨界円51の内部の画素がすべて「暗」でありかつ大臨界円52の外部に沿った領域の画素がすべて「明」であるときに,小臨界円51の内部の画素およびそれらに続く暗画素が,欠陥候補に該当する画素とされる。小臨界円51や大臨界円52のサイズや形状は,検出しようとする欠陥の種類により種々異なる。 【0041】あるいは,図3に示すような計測子による検査アルゴリズムを用いることもできる。この場合には,中心画素から暗画素が続いている数の範囲があらかじめ定められており,すべての計測子で中心から連続する暗画素数が当該範囲内にあるときに,中心およびそれに連続する暗画素群が,欠陥候補に該当する画素とされる。計測子ごとの連続する暗画素数の範囲は,検出しようとする欠陥の種類により種々異なる。 【0042】また,図2,図3以外のアルゴリズムが用意されている場合にはそのアルゴリズムを用いて欠陥候補の抽出をしてもよい。どのアルゴリズムを用いるかは,コンピュータ端末41で選択することができる。また,図2のアルゴリズムを用いる場合の小臨界円51や大臨界円52のサイズや形状,図3のアルゴリズムを用いる場合の計測子の数や連続する暗画素数の範囲なども,コンピュータ端末41で設定できる。 【0043】特徴抽出部31での抽出結果はマスタデータメモリ部32に送られ,前述のようにセルごとにマスタデータとして記憶される。ただし,この状態でのマスタデータは,プリント配線板10の撮像結果のままの生データといってよく,これをそのまま実際の検査に用いることはできない。そこで,マスタデータ自動修正部35により自動的に修正が施される。すなわち,修正前のマスタデータは仮マスタデータというべきものであり,修正後のマスタデータが真のマスタデータである。以下,特に区別する場合には,修正前のマスタデータを仮マスタデータとよび,修正後のマスタデータを確定マスタデータとよぶ。そこでマスタデータ自動修正部35では,図4のフローチャートに示す手順により,仮マスタデータを自動的に修正して確定マスタデータを作成する。 【0044】(#1)まず,仮マスタデータに含まれる全ピースについて,座標が検出される。すなわち,仮マスタデータがピースに分割される。そのためにはピースの標準的な位置やサイズの情報が必要であるが,プリント配線板10の仕様により定まる既知の値として,コンピュータ端末41によりあらかじめ登録されている。仮マスタデータがピースに分割された状態を図5に示す。ここに示すのは,4行×4列の計16個のピースを有するプリント配線板10の場合の例であり,図5中の数字は,ピース番号である。 【0045】(#2)仮マスタデータのピース分割がなされたら,ピース数が標準値と一致しているか否かが確認される。本実施の形態では前述のように,通常の量産レベルのプリント配線板10を用いてマスタデータを作成するのであるが,そうはいってもあまりにパターンのよくないものはやはりマスタデータの作成に不向きだからである。ピース数が一致している場合には#3へ進む。一致していない場合には,#3以下の処理をしないで#4へ進む。ピース数さえ標準値と一致していないようなものは,異なる仕様の製品を間違えて使っている等のおそれもあり,マスタデータの作成に適さないからである。 【0046】(#3)ピース数が一致していた場合には,仮マスタデータの各ピースのサイズの誤差がチェックされる。標準値とあまりに異なるピースサイズのものを含むようなものは,やはりマスタデータの作成に不向きだからである。いずれのピースでも誤差が許容範囲内に収まっている場合にはそのプリント配線板10は一応良品と考えられるので#5へ進み,以後の処理がなされる。許容範囲を超える誤差のあるピースが存在する場合には#4へ進み,#5以下の処理はしない。このようなものは,異なる仕様の製品を間違えて使っていたり,あるいはパターン加工の明らかな不良など,マスタデータの作成に適さないからである。なお,許容範囲は,撮像系20におけるCCDカメラ21の分解能やデジタル化の際の量子化誤差に相当する範囲としておくのがよい。許容範囲をこのように設定すれば,許容範囲を超える誤差はプリント配線板10に実在する誤差であると見なせるからである。 【0047】(#4)#4では,エラー出力して処理を終了する。撮像に供したプリント配線板10がマスタデータの作成に適さないものであったため,その旨を警告するとともに,プリント配線板10を取り替えて操作をやり直すようオペレータに促すためである。 【0048】(#5)撮像に供したプリント配線板10が十分良好なものであった場合には,ピースサイズの補正が行われる。すなわち,標準サイズより大きいピースは縮小され,標準サイズより小さいピースは拡大される。許容範囲内の誤差とはいえ,そのままにしておくと,後のステップでのピース間の対比に支障があるからである。この補正により,全ピースの縦横のセル数が一致することとなる。サイズ補正後のピースサイズが12×9の計108セルである場合におけるピースの例を図6に示す。 【0049】(#6)次に,サイズ補正された各ピースデータに基づいて,基準ピースデータが作成される。基準ピースデータは,各ピースデータを代表する最も確からしいデータである。その作成の詳細は後述する。 【0050】(#7)基準ピースデータが作成されたら,それを利用してマスタデータの修正処理を行う。その内容の詳細は後述する。これにより,仮マスタデータから確定マスタデータが作成される。 【0051】次に,前述の#6の基準ピースデータの作成について,図7のフローチャートを参照して説明する。 【0052】(#61)まず,仮マスタデータの各ピースについて,同一のピース内位置のセルを着目セルとする。例えば,各ピースが12×9の計108セルからなる場合において第1番セルを着目セルとした状態を図8に示す。 【0053】(#62)次に,各ピースの着目セルについて,多数決をとる。すなわち,各ピースにおける着目セル番号のセルについて,「マスタデータあり」のものと「マスタデータなし」のものとをそれぞれ計数する。 【0054】この#62において,プリント配線板10の設計データを多数決の対象に加えてもよい。あるいは設計データそのものを基準ピースデータとしてもよい。それらの場合には,設計部門から入手した設計データを,あらかじめ仮マスタデータのセル単位と同じセル単位に変換しておき,コンピュータ端末41を通じてマスタデータメモリ部32に入力しておく。さらに,多数決に際して設計データの重み付けは,仮マスタデータの各ピースと同じでもよいし何らかの重み付けをしてもよい。このように設計データを多数決の対象に入れたり,あるいは設計データそのものを基準ピースデータとすると,偶発的な異常が確定マスタデータに反映されてしまう可能性をその分低くできる。 【0055】(#63)そして,計数の結果多数派となった方を,その着目セル番号の最頻セル種とする。よって最頻セル種は,「マスタデータあり」か「マスタデータなし」かのいずれか一方である。このとき,少数派となった方のピースは修正候補ピースとされる。また,修正候補ピースにおける着目セル番号のセルは,不一致セルとされる。 【0056】(#64,#65)次いで,すべてのセル番号について最頻セル種の決定が終了したか否かを判断する(#64)。未だ最頻セル種が決定されていないセル番号が残っている場合には(#64:No),着目セル番号を次の番号に移して(#65),#62へ戻る。すべてのセル番号について最頻セル種の決定が終了している場合には(#64:Yes),メインフローへ戻る。このとき,各セル番号について決定された最頻セル種を集成したものが基準ピースデータである。基準ピースデータも,図5のように表すことができる。なお,不一致セルとされたセルを1つも有しないピースは,修正対象外ピースとされる。 【0057】続いて,図4中#7のマスタデータ修正処理について,図9のフローチャートを参照して説明する。 【0058】(#701)まず,仮マスタデータの第1番ピースを着目ピースとする。 【0059】(#702)そして,着目ピースが,前出の#63で修正候補ピースとされたピースであるか否かが判断される。着目ピースが修正候補ピースでなかった場合,すなわち修正対象外ピースであった場合には(#702:No),続く#703から#712までの処理をしないで後述する#713へ直接進む。したがってこの場合には,当該着目ピースは修正されることなくそのまま確定マスタデータとされる。着目ピースが修正候補ピースであった場合には(#702:Yes),#703へ進む。 【0060】(#703)そして,着目ピースの第1番セルを着目セルとする。 【0061】(#704)次に,着目セルが,前出の#63で不一致セルとされたセルであるか否かが判断される。着目セルが不一致セルでなかった場合には(#704:No),続く#705から#709までの処理をしないで後述する#710へ直接進む。したがってこの場合には,当該着目セルは修正の対象とはならない。着目セルが不一致セルであった場合には(#704:Yes),#705へ進む。 【0062】(#705)不一致セルが発見されたら,その不一致の種類が,過剰と不足とのいずれであるかが判断される。過剰とは,図10に示すように,着目ピースの着目セルは「マスタデータあり」であるが,基準ピースデータにおける同じセル番号のセルは「マスタデータなし」である場合である。一方,不足とは,図11に示すように,着目ピースの着目セルは「マスタデータなし」であるが,基準ピースデータにおける同じセル番号のセルは「マスタデータあり」である場合である。これらを区別する理由は,過剰と不足とでその後の処理に相違があるからである。不一致の種類が「過剰」であった場合には,#706へ進む。一方,不一致の種類が「不足」であった場合には,#708へ進む。 【0063】(#706,#707)不一致の種類が「過剰」であった場合には,基準ピースデータにおける着目セルと同じ番号のセルの隣接範囲のセルが参照される。そして,隣接範囲内に「マスタデータあり」のセルが含まれているか否かが判断される。基準ピースデータにおける隣接範囲内に「マスタデータあり」のセルが1つも含まれていなかった場合には(#706:No,図12参照),着目している修正候補ピースにおける着目セルを削除すべきセルとして設定する(#707)。過剰なマスタデータを削除するためである。そして#710へ進む。これに対し,基準ピースデータにおける隣接範囲内に「マスタデータあり」のセルが1つでも含まれていた場合には(#706:Yes,図13参照),#707をバイパスして直接#710へ進む。このような場合には,当該着目ピースにおいてはマスタデータの位置または大きさが撮像上ずれたために過剰が現れたにすぎず,実際のプリント配線板10に余計なパターンがあるわけではないと考えられるからである。 【0064】(#708,#709)#705で不一致の種類が「不足」であった場合には,着目している修正候補ピースにおける着目セルの隣接範囲のセルが参照される。そして,隣接範囲内に「マスタデータあり」のセルが含まれているか否かが判断される。着目している修正候補ピースにおける隣接範囲内に「マスタデータあり」のセルが1つも含まれていなかった場合には(#708:No,図14参照),着目している修正候補ピースにおける着目セルを追加すべきセルとして設定する(#709)。不足しているマスタデータを補充するためである。そして#710へ進む。これに対し,着目している修正候補ピースにおける隣接範囲内に「マスタデータあり」のセルが1つでも含まれていた場合には(#708:Yes,図15参照),#709バイパスして直接#710へ進む。このような場合には,当該着目ピースにおいてはマスタデータの位置または大きさが撮像上ずれたために不足が現れたにすぎず,実際のプリント配線板10にパターンの欠落があるわけではないと考えられるからである。 【0065】なお,#708および#709の追加処理は,キャンセルできることが望ましい。追加処理を行うと,マスタデータが過剰となって欠陥の見逃しにつながる場合があるからである。 【0066】(#710,#711)そして,現在の着目セルが,現在の着目ピースにおける最終番のセルであるか否かが判断される(#710)。着目セルが最終番のセルでなかった場合には(#710:No),着目セルを次のセル番号のセルに移して(#711),#704へ戻る。このため,次のセル番号のセルが新たに着目セルとなり,不一致セルか否かの判定およびその後の処理に供される。着目セルが最終番のセルであった場合には(#710:Yes),#712へ進む。 【0067】(#712)現在の着目ピースにおけるすべてのセルについて判定および設定がすんだら,削除および追加を実行する。すなわち,#707で削除すべきとして設定されたセルについて,「マスタデータあり」を「マスタデータなし」に変更する。また,#709で追加すべきとして設定されたセルについて,「マスタデータなし」を「マスタデータあり」に変更する。このように修正候補ピースのデータは修正されて確定マスタデータとなる。なお上記のように,修正候補ピースに含まれる不一致セルのすべてが修正されるとは限らない。場合によっては,修正候補ピースであっても全く修正されずに確定マスタデータとなることもありうる。なお,#707や#709で直ちに削除または追加してしまうのでなく,1ピース分の判定がすんでからまとめて実行することとしている。その理由は,早いセル番号についての修正(特に追加)が,遅いセル番号のセルについての#706や#708での判断に影響してしまうのを防ぐことにある。修正がなされたら,#713へ進む。 【0068】(#713,#714)着目ピースである修正候補ピースについて修正処理がすんだら,また着目ピースが修正候補ピースでなかった場合(#702:No)には,現在の着目ピースが最終番のピースであるか否かが判断される(#713)。着目ピースが最終番のピースでなかった場合には(#713:No),着目ピースを次のピース番号のピースに移して(#714),#702へ戻る。このため,次のピース番号のピースが新たに着目ピースとなり,修正候補ピースか否かの判定およびその後の処理に供される。着目ピースが最終番のピースであった場合には(#713:Yes),図4のメインフローへ戻る。かくして,仮マスタデータの修正による確定マスタデータの作成が終了する。 【0069】上記のようにして確定マスタデータが作成されたら,図1のパターン検査装置において検査対象品のパターン検査が可能となる。検査を実行する場合には,撮像系20において,CCDカメラ21の撮影位置にプリント配線板10を載置する。そして,その配線パターン11をCCDカメラ21で撮像する。CCDカメラ21からの出力画像撮像はアナログであるが,A/D変換部22でデジタルデータ化され,さらに2値化回路23で2値化される。2値化された状態のパターン画像が,検査部30の特徴抽出部31に入力される。そしてそのパターンから,特徴図形の抽出がなされる。ここまでは,マスタデータの作成の際の手順と同じである。 【0070】ここからの手順はマスタデータの作成の際とは異なる。すなわち,特徴抽出部31での抽出結果はマスタデータメモリ部32でなく欠陥照合部33に,セルごとのパターンデータとして送られる。また,マスタデータメモリ部32から確定マスタデータが欠陥照合部33に送られる。そして欠陥照合部33では,両者が比較される。その結果,確定マスタデータにおいて「マスタデータなし」であるセル番号について,検査品のパターンデータでは「欠陥あり」であった場合には,検出結果処理部34へ欠陥情報が出力される。 【0071】検出結果処理部34では,欠陥情報が欠陥の種類ごとに集計される。さらに欠陥情報は,座標情報とともにコンピュータ端末41へ送られる。コンピュータ端末41では,欠陥データの記憶や確認表示がなされる。また,像モニタ42での表示も可能である。 【0072】以上詳細に説明したように本実施の形態では,プリント配線板10の実物を撮像系20で撮像して得た仮マスタデータをピースに分割し,各ピースにおける同一のピース内位置のセルについて多数決をとり,多数派となったセル種を集成して基準ピースデータを作成することとしている。そして,基準ピースデータと仮マスタデータの各ピースとを対比し,不一致セルを1つも有しない修正対象外ピースはそのまま確定マスタデータとすることとしている。また,不一致セルについては,不一致の種類が「過剰」である場合には,その隣接範囲内における基準ピースデータを参照し,「マスタデータあり」のセルが1つも存在しない場合に限り,当該不一致セルのマスタデータを削除することとしている。また,不一致の種類が「不足」である場合には,その隣接範囲内における当該修正候補ピースを参照し,「マスタデータあり」のセルが1つも存在しない場合に限り,当該不一致セルにマスタデータを追加することとしている。「過剰」と「不足」とのいずれの場合でも,隣接範囲内に「マスタデータあり」のセルが1つでも存在する場合には,不一致を残したままとすることとしている。 【0073】これにより,各ピースごとの撮像上の個性が適切に反映され検査時に虚報の出にくいマスタデータを,通常の量産レベルのプリント配線板10から自動的に作成できるパターン検査装置およびそのマスタデータの作成方法が実現されている。このため,仮マスタデータを手作業で修正する場合の膨大な作業量や修正者の経験レベルの影響が排除されている。また,設計データをそのままマスタデータとする場合の難点も排除されている。また,マスタデータ作成のためにプリント配線板10の特別品を用意する必要もない。 【0074】また,仮マスタデータをピースに分割した際に,ピース数やピースサイズのチェックを行うこととしている。これにより,明らかに加工のよくないプリント配線板10によりマスタデータの作成が行われてしまうおそれが排除されている。また,ピースサイズの許容範囲内の誤差についてはサイズ補正してからその後の処理に供されるので,同一のピース内位置のセルについての多数決に支障はない。 【0075】なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,検査手法については,あらかじめ用意したマスタデータを用いて検査する手法であればすべての検査手法に適用可能である。また,検査対象たる特徴図形については,円形に限らず任意の形状に適用可能である。また,画素やセルのサイズは,異なっていてもよい。また,#706や#708で参照する範囲は,着目セルに隣接する1セル幅分の計8セルとしたが,例えば2セル幅分の計24セルなど,異なる範囲でもよい。また,この範囲を,コンピュータ端末41を用いて設定できるようにしてもよい。 【0076】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明によれば,,多ピース品である対象物について,現実の検査によく適合した精度を有するマスタデータを,対象物の実物から効率よく作成して検査に供することができるパターン検査装置およびそのマスタデータの作成方法が提供されている。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000158 【氏名又は名称】イビデン株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年11月18日(1999.11.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100105751 【弁理士】 【氏名又は名称】岡戸 昭佳 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−141420(P2001−141420A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月25日(2001.5.25) |
| 【出願番号】 |
特願平11−327815 |
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