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【発明の名称】 変位検知装置
【発明者】 【氏名】城 和彦

【氏名】蜂須賀 義文

【氏名】長山 喜則

【要約】 【課題】被測定物の変位の絶対値を検知することができる変位検知装置を得る。

【解決手段】被測定物1の変位に拘わりなく、基準となる光ビームを出射する光源2と、被測定物1に取り付けられ、光ビームを受光して信号を出力する検知部4と、検知部4の出力信号を処理し、光ビームの受光位置の変化から被測定物1の変位を求める信号処理部40とを有してなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被測定物の変位に拘わりなく、基準となる光ビームを出射する光源と、上記被測定物に取り付けられ、上記光ビームを受光して信号を出力する検知部と、上記検知部の出力信号を処理し、上記光ビームの受光位置の変化から被測定物の変位を求める信号処理部とを有してなることを特徴とする変位検知装置。
【請求項2】 上記信号処理部は、上記光ビームの受光位置の変化から被測定物の垂直方向の変位と水平方向の変位とを求めることを特徴とする請求項1記載の変位検知装置。
【請求項3】 上記光ビームは被測定物の長さ方向に平行に出射され、上記検知部は上記光ビームの通路上に複数配置され、上記光ビームの一部を透過させるビームスプリッタを有していることを特徴とする請求項1記載の変位検知装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基準となる光ビームに対する被測定物の変位を検出するようにした変位検知装置に関するもので、例えば、建物、構造物の水平方向あるいは垂直方向の変位、鉄道用レールの水平方向あるいは垂直方向の変位などを検知することができるものである。
【0002】
【従来の技術】従来では、例えば、鉄道用レールの変位を検知する場合には、工事の影響範囲外に2点の不動点を設け、鉄道用レールに沿って枕木上にワイヤーを張りおのおのの測定点(枕木又はレール)に光波距離計を水平及び鉛直の2方向に設置し、不動梁となるワイヤーの標点との距離を検知している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の検知方法は、不動となる工事影響範囲外の2点の基準点間の距離が35m以下に限られる。35m以上にすると緊張のためワイヤーが切断されるからである。また、枕木と枕木との間に不動点となるベース(400×400mm)が必要となるため、枕木をささえているバラスを緩め列車の安全走行にやや問題がある。さらに、枕木上にレールと並行してワイヤーを保護するためのダクトを敷設するため、工事を行うための必須条件となる軌道整備作業が困難である。
【0004】つまり、工事の影響範囲が35m以上の工事となる場合は、鉄道用レールの変位検知は行えない。また、列車の安全走行を確保するため、軌道整備作業を確実に行えるようにしなければならない、かつ、車両接触限界を侵すことはできない。
【0005】本発明は以上のような従来技術の問題点を解消するためになされたもので、被測定物の変位の絶対値を検知することができる変位検知装置を提供することを目的とする。また、本発明は、被測定物の水平方向の変位と垂直方向の変位とを検知することができ、被測定物の変位をより詳細に検知することができる変位検知装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、被測定物の変位に拘わりなく、基準となる光ビームを出射する光源と、上記被測定物に取り付けられ、上記光ビームを受光して信号を出力する検知部と、上記検知部の出力信号を処理し、上記光ビームの受光位置の変化から被測定物の変位を求める信号処理部とを有してなることを特徴とする。
【0007】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記信号処理部は、上記光ビームの受光位置の変化から被測定物の垂直方向の変位と水平方向の変位とを求めることを特徴とする。
【0008】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記光ビームは被測定物の長さ方向に平行に出射され、上記検知部は上記光ビームの通路上に複数配置され、上記光ビームの一部を透過させるビームスプリッタを有していることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明にかかる変位検知装置の実施の形態について説明する。図1において、符号1は、被測定物としての鉄道用レールを示している。この鉄道用レール1の近傍には、光源2が設けられている。この光源2は、鉄道用レール1の変位と拘わりがないように、すなわち鉄道用レール1が変位しても、この変位と伴って変位しないように設けられていて、鉄道用レール1の変位を検知する際に基準となる光ビームを出射するものである。
【0010】上記光ビームは、図示のように、鉄道用レール1の長さ方向に平行に出射されるようになっていて、後述する複数の検知部4を介して光ビーム終端板3に入射されるようになっている。この光ビーム終端板3は、上記光源1と同様に、鉄道用レール1の変位と拘わりがないように設けられていて、上記光ビームが鉄道用レール1の長さ方向に平行に出射されるように光ビームの位置決めをするためのものである。
【0011】光ビームの位置決めは、光源2の出射窓の中心位置と鉄道用レール1との距離αと、光ビーム終端板3の入射窓の中心位置と鉄道用レール1との距離βとが同じ距離になるように、また、光源2と光ビーム終端板3の高さも同じになるように、光源2と光ビーム終端板3をそれぞれ設定しておき、この設定状態で光ビームが光ビーム終端板3の入射窓の中心位置に入射するように、例えば、光ビーム終端板3に記された十字線の交差点に光ビームが入射するように調整すれば、光ビームを鉄道用レール1の長さ方向に平行に出射させることができる。
【0012】上述のように、光源2から出射された光ビームは、光源2と光ビーム終端板3との間に設けられた複数の検知部4を介して光ビーム終端板3に入射される。図1では、光源2と光ビーム終端板3との距離が短縮されて検知部4が3個しか示されていないが、例えば16個程度は設定可能である。この各検知部4は、図示のように光ビームの通路上にそれぞれ配置されていると共に、被測定物である鉄道用レール1の長さ方向に沿って一定間隔をおいて鉄道用レール1にそれぞれ取り付けられていて、光源2から出射された光ビームをそれぞれ受光し、後述する信号処理部40に受光信号を出力するものである。
【0013】この検知部4を鉄道用レール1に取り付ける際、後述するように、光源2から出射された光ビームが図6に示す光ビーム50eのように、有効受光範囲50の中心になるように検知部4を取り付ける。検知部4は鉄道用レール1に取り付けられているため、鉄道用レール1の変位に伴って検知部4は変位することになり、この変位によって光ビームを受光する位置が変わり、この光ビームの受光位置の変化を検知することにより、被測定物である鉄道用レール1の変位を検知することができる。具体的な説明は後述する。
【0014】次に、上記検知部4について具体的に説明する。図2には検知部4の断面図、図3には図2においてA方向からみた検知部4の外観図、図4には図2においてB方向からみた検知部4の外観図をそれぞれ示している。図2ないし図4に示すように、検知部4の母体は、外観が直方体の筺体21であり、この筺体21の側面のうち、光ビームの光軸と垂直な二側面には、円孔22がそれぞれ形成されている。
【0015】この各円孔22には、上記光源2から出射された光ビームが通過する円筒部23、24がそれぞれ取り付けられている。円筒部23は光ビームの出射側に取り付けられ、円筒部24は光ビームの入射側に取り付けられている。この円筒部23、24の外端には、光ビームが透過することができる保護ガラス23a、24aがそれぞれ取り付けられている。この保護ガラス23a、24aによって各円筒部内に粉塵等が侵入するのを防止することができる。
【0016】上記筺体21内であって、円筒部24を通過した光ビームと交わる位置にはビームスプリッタ25が光ビームの光軸に対して略45度になるように取り付けられている。従って、円筒部24を通過した光ビームの一部は、ビームスプリッタ25によって略90度に反射され、光ビームの残りの一部は、ビームスプリッタ25を透過して円筒部23を通過するようになっている。
【0017】図1に示すように、検知部4を複数設ける場合、各検知部4のビームスプリッタ25の透過率と反射率との比を同じに調整しておくと、光源2から遠ざかるにつれて光ビームの光量が減少してしまい、光ビーム終端板3に一番近い位置に設けられている検知部4においては、鉄道用レール1の変位を検知するのに十分な光ビームの光量を得ることができなくなってしまう場合がある。
【0018】そこで、検知部4を複数設ける場合には、光源2に一番近い位置に設けられている検知部4のビームスプリッタ25の透過率を反射率よりも大きくしておき、光源2から遠ざかるにつれてビームスプリッタ25の透過率をわずかずつ小さくし、反射率をわずかずつ大きくして、各検知部4における光ビームの光量ができるだけ等しくなるように工夫し、各検知部4において鉄道用レール1の変位を検知するのに十分な光量を得ることができるようにするとよい。
【0019】図2および図3に示すように、上記筺体21内であって、ビームスプリッタ25によって反射された光ビームの通路には、スクリーン26、集光レンズ27、受光素子としてのCCD28がそれぞれ順に設けられている。CCD28としては、エリアセンサとして機能するものが用いられている。スクリーン26は、ビームスプリッタ25によって反射された光ビームのうち、一定範囲内におさまった光ビームだけをスクリーン上に写し、そのパターン像をCCD28で受光するものです。
【0020】上記一定範囲とは、図6に示すように、有効受光範囲50のことである。この有効受光範囲50内に光ビームの断面の中心があれば、後述するように集光レンズ27によって集光され、CCD28によって受光される。図6に示す光ビーム50a、50b、50c、50d、50eは、その断面の中心がそれぞれ有効受光範囲内にあるので、集光レンズ27によって集光され、CCD28によって受光される。
【0021】前述のように、検知部4は、光ビームの通路上に配置されていると共に、鉄道用レール1に取り付けられているが、この取り付けの際、光源2から出射された光ビームが図6に示す光ビーム50eのように有効受光範囲50の中心に位置するように検知部4を鉄道用レール1に取り付ける。従って、受光された光ビームが有効受光範囲50内の中心からどれだけ変化したかを検知することにより、被測定物である鉄道用レール1の変位を検知することができる。鉄道用レール1の変位は、後述する信号処理部40によって垂直方向の変位と水平方向の変位とに分けて求めることができる。
【0022】図6に示す有効受光範囲50は、左右方向の幅よりも上下方向の幅の方が長く設定されているが、これは、被測定物の変位に合わせているためである。すなわち、図1に示す被測定物は鉄道用レール1であり、鉄道用レール1は上下方向に大きく変位し、左右方向にはあまり変位しないため、この鉄道用レール1の変位に合わせて有効受光範囲の上下方向の幅を左右方向の幅よりも長く設定しているのである。従って、被測定物が左右方向に大きく変位するものである場合には、有効受光範囲50の左右方向の幅を大きく設定すればよい。要は、被測定物の変位を確実に検知することができるように有効受光範囲50を設定すればよい。
【0023】上記集光レンズ27は、図5に示すように、有効受光範囲50を透過した光ビームを集光するものであり、この集光された光ビームはCCD28に受光されるようになっている。集光レンズ27によって集光された光ビームを受光したCCD28は、後述する信号処理部40に受光信号を出力するようになっている。
【0024】上記信号処理部40は、各検知部4ごとに設けられ、上記検知部4のCCD28からの出力信号、すなわち受光信号を処理し、光ビームの受光位置の変化から鉄道用レール1の変位を求めるためのものであり、図7に示すように、信号処理回路41、信号送信回路42、信号受信回路43、およびAD変換部44で主に構成されている。信号処理回路41と信号送信回路42は、図示のように検知部4内に配置することができ、信号受信回路43とAD変換部44は、データ集積部45内に配置されている。
【0025】信号処理回路41は、CCD28から送信された受光信号を処理するものである。前述のように、検知部4は鉄道用レール1に取り付けられているため、鉄道用レール1の変位に伴って検知部4は変位し、この変位によって光ビームの受光位置が変わる。つまり、有効受光範囲50の中心に位置していた光ビームが、上記変位に伴ってこの中心の位置から変化するが、この光ビームの受光位置の変化は、例えば、エリアセンサとしてのCCD28上における座標位置の変化として信号処理回路41によって読み取られ、読み取られた受光信号は信号送信回路42に送信される。
【0026】信号送信回路42は、この受光信号をデータ集積部45内に配置されている信号受信回路43に送信し、信号受信回路43は、信号送信回路42から送信された受光信号をAD変換部44に送信する。AD変換部44は、この受光信号をデジタル信号に変換して制御部46に送信する。
【0027】上記データ集積部45は、図7に示すように、各検知部4から送信された受光信号を集積するためのものであり、このデータ集積部45に集積された受光データは、制御部46にそれぞれ送信される。制御部46は、データ集積部45から送信された各検知部4の受光信号を処理し、鉄道用レール1上であって検知部4が取り付けられた各位置の変位をモニターに表示する。これにより、検知者は検知された鉄道用レール1の変位を知ることができる。この制御部46によって処理された鉄道用レール1の変位データは、フロッピーディスク(FD)等に保存することができる。
【0028】上述のように、信号処理回路41が受光された光ビームが有効受光範囲50内の中心からどれだけ変化したかを読み取るようになっているため、鉄道用レール1の変位を垂直方向の変位と水平方向の変位とに分けて求めることができる。従って、鉄道用レール1の変位をより詳細かつ具体的に検知することができる。
【0029】次に、上記実施の形態の動作について説明する。まず、図1に示すように、鉄道用レール1の変位を検知したい部分の一端側に光源2を鉄道用レール1の変位と拘わりがないように配置し、他端側に光ビーム終端板3を鉄道用レール1の変位と拘わりがないように配置する。この配置の際、光ビームを出射させ、前述のように光ビームの位置決めを行う。その後、光源2と光ビーム終端板3との間であって、鉄道用レール1の変位を検知したい部分に一つまたは複数の検知部4をそれぞれ取り付ける。取り付けの際には、光ビームが有効受光範囲50の中心に位置するようにする。
【0030】この状態にした後、例えば、鉄道用レール1上に列車を走行させて、この走行の際の鉄道用レール1の変位を検知する。鉄道用レール1上を列車を走行させると、この走行の際に生じる振動等によって鉄道用レール1が変位する。この変位に伴って鉄道用レール1に取り付けられた各検知部4はそれぞれ変位し、有効受光範囲50の中心に位置していた光ビームはこの中心の位置から変化する。
【0031】この変位が各々の検知部4の設定位置によって異なる場合は、光ビームの受光位置の変化も各々の検知部4によって異なる。各検知部4のCCD28によって受光された光ビームは、受光信号として信号処理部40に送信され、信号処理回路41、信号送信回路42、信号受信回路43、およびAD変換部44を介して制御部46にそれぞれ送信され、モニターに表示される。
【0032】従って、検知者は、このモニターを見ることにより、鉄道用レール1上であって検知部4が取り付けられた各位置の変位を知ることができる。また、信号処理回路41が受光された光ビームが有効受光範囲50内の中心からどれだけ変化したかを読み取るようになっているため、鉄道用レール1の変位を垂直方向の変位と水平方向の変位とに分けて知ることができる。
【0033】従来では、被測定物の変位がある設定値に対して大きいか否かということしか検知することができなかったが、上記実施の形態では、被測定物としての鉄道用レールが実際にどれだけ変位したかを検知することができるため、被測定物の変位の絶対値を検知することができる。また、被測定物の変位を垂直方向の変位と水平方向の変位とに分けて知ることができるため、被測定物の変位をより詳細かつ具体的に検知することができる。
【0034】いままで説明したものは、受光素子としてCCD28を用いているが、CCDに限らず、PSD(位置検知形検出器)等を用いることができる。また、図1に示す検知部4は、一定間隔をおいて鉄道用レール1に取り付けられているものを示しているが、検知部4は一定間隔ごとに取り付けなくてもよく、要は、被測定物である鉄道用レール1の変位を検知したい位置に取り付ければよい。
【0035】また、光源2、光ビーム終端板3、および検知部4は、適宜の手段によって防塵、耐水、耐熱、耐冷に施すことができ、これによってあらゆる環境条件の中で被測定物の変位を検知することができる。被測定物の変位検知時間は、予め制御部46に記憶されているタイマー時間に基づいて行ってもよいし、検知者が検知したい時間に検知するようにしてもよい。例えば、鉄道用レールの変位を測定する場合は、車両が所定位置まで接近したときこれをセンサで検知して本発明にかかる変位検知装置を起動させ、測定を開始し、車両が通過した後は動作を停止させるようにするとよい。また、動作中は一定時間ごとに変位を測定して時間軸上の変位の様子がわかるようにしてもよい。
【0036】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、被測定物の変位に拘わりなく、基準となる光ビームを出射する光源と、上記被測定物に取り付けられ、上記光ビームを受光して信号を出力する検知部と、上記検知部の出力信号を処理し、上記光ビームの受光位置の変化から被測定物の変位を求める信号処理部とを有してなるため、被測定物の変位の絶対値を検知することができる。
【0037】請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明において、上記信号処理部は、上記光ビームの受光位置の変化から被測定物の垂直方向の変位と水平方向の変位とを求めるようにしたため、被測定物の変位をより詳細かつ具体的に検知することができる。
【0038】請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明において、上記光ビームは被測定物の長さ方向に平行に出射され、上記検知部は上記光ビームの通路上に複数配置され、上記光ビームの一部を透過させるビームスプリッタを有しているため、一つの光ビームでもって被測定物の各位置ごとの変位を同時に検知することができる。
【出願人】 【識別番号】595132359
【氏名又は名称】日本科学エンジニアリング株式会社
【識別番号】593122321
【氏名又は名称】綜合計測株式会社
【識別番号】592105620
【氏名又は名称】ジェイアール西日本コンサルタンツ株式会社
【出願日】 平成11年9月14日(1999.9.14)
【代理人】 【識別番号】100088856
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 佳之夫
【公開番号】 特開2001−141415(P2001−141415A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−260370