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【発明の名称】 格子干渉型変位測定装置
【発明者】 【氏名】大崎 基弘

【氏名】富谷 雅樹

【要約】 【課題】格子干渉型変位測定装置において、部品点数を低減する。

【解決手段】可干渉光源10と受光素子44との間の光路上に固定格子40と変位格子42を配置し、固定格子40の格子ピッチP1と変位格子42の格子ピッチP2とを異にする。可干渉光源10からの光は固定格子40で回折光と透過光に分割される。回折光は変位格子42で回折し、さらに固定格子40を透過して受光素子44に入射する。透過光は、変位格子42で回折し、さらに固定格子40で回折して受光素子44に入射する。固定格子40と変位格子42の格子ピッチが異なるため受光素子44に入射する2つの光束はある角度をなして重なり合い、干渉縞を生じる。干渉縞を受光素子44で検出し、変位を測定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 可干渉光源と受光素子との光路上に互いに平行に配置された固定格子と変位格子を有し、変位格子の変位により生じる光の干渉を前記受光素子で検出する格子干渉型変位測定装置であって、前記固定格子と前記変位格子の配列方向は平行でそのピッチが互いに異なり、前記固定格子と前記変位格子でそれぞれ回折した2つの光束の重なり部分に生じる干渉縞の異なる強度の位相部分を前記受光素子で検出することを特徴とする格子干渉型変位測定装置。
【請求項2】 請求項1記載の装置において、前記可干渉光源及び受光素子は、前記固定格子と前記変位格子の配列方向に垂直な面から所定角度傾いた位置に配置されることを特徴とする格子干渉型変位測定装置。
【請求項3】 請求項1、2のいずれかに記載の装置において、前記可干渉光源からの光を透過光と回折光に分割する透過型の固定格子と、前記固定格子からの前記透過光と前記回折光をそれぞれ回折させる反射型の変位格子と、を含み、前記固定格子は、前記変位格子からの2つの回折光を回折及び透過することで合成し、前記受光素子は前記固定格子で合成された2つの光束の重なり部分に生じる干渉縞の異なる強度の位相部分を検出することを特徴とする格子干渉型変位測定装置。
【請求項4】 請求項1、2のいずれかに記載の装置において、前記可干渉光源からの光を透過光と回折光に分割する透過型固定格子である第1格子と、前記第1格子からの前記透過光と前記回折光をそれぞれ回折させる反射型変位格子である第2格子と、前記第2格子からの2つの回折光を回折及び透過することで合成する透過型固定格子である第3格子と、を含み、前記受光素子は前記第3固定格子で合成された2つの光束の重なり部分に生じる干渉縞の異なる強度の位相部分を検出することを特徴とする格子干渉型変位測定装置。
【請求項5】 請求項4記載の装置において、前記第1格子あるいは第3格子と前記第2格子のピッチは互いに異なることを特徴とする格子干渉型変位測定装置。
【請求項6】 請求項4、5のいずれかに記載の装置において、前記第1格子と前記第2格子との間隔、及び前記第3格子と前記第2格子との間隔は互いに異なることを特徴とする格子干渉型変位測定装置。
【請求項7】 請求項1、2のいずれかに記載の装置において、前記可干渉光源からの光を反射光と回折光に分割する反射型の変位格子と、前記変位格子からの前記反射光と前記回折光をそれぞれ回折させる反射型の固定格子と、を含み、前記変位格子は、前記固定格子からの2つの回折光を回折及び反射することで合成し、前記受光素子は前記変位格子で合成された2つの光束の重なり部分に生じる干渉縞の異なる強度の位相部分を検出することを特徴とする格子干渉型変位測定装置。
【請求項8】 請求項1、2のいずれかに記載の装置において、前記可干渉光源からの光を透過光と回折光に分割する透過型の変位格子と、前記変位格子からの前記透過光と前記回折光をそれぞれ回折させる反射型の固定格子と、を含み、前記変位格子は、前記固定格子からの2つの回折光を回折及び透過することで合成し、前記受光素子は前記変位格子で合成された2つの光束の重なり部分に生じる干渉縞の異なる強度の位相部分を検出することを特徴とする格子干渉型変位測定装置。
【請求項9】 請求項1〜8のいずれかに記載の装置において、前記固定格子あるいは前記変位格子のうちの前記可干渉光源側に位置する格子への前記可干渉光源からの光の入射角と回折角はほぼ等しいことを特徴とする格子干渉型変位測定装置。
【請求項10】 可干渉光源と受光素子との光路上に配置された固定格子と変位格子を有し、前記変位格子の変位により生じる光の干渉を前記受光素子で検出する格子干渉型変位測定装置であって、前記固定格子と前記変位格子は一定の角度で傾いて配置され、前記固定格子と前記変位格子のピッチは互いに異なり、前記固定格子と前記変位格子でそれぞれ回折した2つの光束の重なり部分に生じる干渉縞の異なる強度の位相部分を前記受光素子で検出することを特徴とする格子干渉型変位測定装置。
【請求項11】 請求項10記載の装置において、前記可干渉光源からの光を反射光と回折光に分割する反射型の変位格子と、前記変位格子に対して一定の角度で傾いて配置され、前記変位格子からの前記反射光と前記回折光をそれぞれ回折させる反射型の固定格子と、を含み、前記変位格子は、前記固定格子からの2つの回折光を回折及び反射することで合成し、前記受光素子は前記変位格子で合成された2つの光束の重なり部分に生じる干渉縞の異なる強度の位相部分を検出することを特徴とする格子干渉型変位測定装置。
【請求項12】 請求項10記載の装置において、前記可干渉光源からの光を反射光と回折光に分割する反射型固定格子である第1格子と、前記第1格子からの前記反射光と前記回折光をそれぞれ回折させる反射型変位格子である第2格子と、前記第2格子からの2つの回折光を回折及び反射することで合成する反射型固定格子である第3格子と、を含み、前記第1格子及び第3格子は前記第2格子に対してそれぞれ一定の角度で傾いて対向配置され、前記受光素子は前記第3格子で合成された2つの光束の重なり部分に生じる干渉縞の異なる強度の位相部分を検出することを特徴とする格子干渉型変位測定装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は格子干渉型変位測定装置、特に互いに平行に配置された固定格子と変位格子による光の干渉現象を用いた変位検出装置の小型化に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、互いに平行に配置された2つの格子(固定格子と変位格子)を用い、格子の変位を回折光の位相変化として検出する格子干渉型変位検出装置が知られており、リニアスケールやリニアゲージなどに適用され、ステージ変位測定またはステージ駆動制御などに用いられている。
【0003】図15には、従来の格子干渉型変位検出装置の一例が示されている。レーザ光源などの可干渉光源10から射出した光はコリメータレンズ12で平行光とされた後、透過型格子14に入射する。透過型格子14はその位置が固定されている。透過型格子14で回折した光(光束A)と透過した光(光束B)はそれぞれ偏光板18、20を透過して反射型格子16に入射する。反射型格子16は透過型格子14に対して平行に配置されており、平行を維持したまま図中矢印方向に変位する。反射型格子16のピッチは透過型格子のピッチと同一であり、反射型格子16で回折した光束Aと光束Bは再び偏光板18、20を透過し、偏光方向が互いに90度ずれて透過型格子14に入射する。透過型格子14に入射した光束Aは透過型格子を透過し、透過型格子14に入射した光束Bは透過型格子14で回折して同一光路上の単一の光束となる。単一の回折光束はビームスプリッタ22で2分割され、一方は1/4波長板24及び偏光板26を介して受光素子30に入射し、他方は偏光板28を介して受光素子32に入射する。1/4波長板24で位相を90度ずらし、偏光板26、28で偏光方向を選択して干渉光を検出することで、90度位相がずれた2つの干渉正弦波信号を得ることができる。変位量自体は1つの干渉信号のみで検出可能であるが、変位の方向を検出するために位相の異なる(好適には90度ずれた)2つ以上の干渉信号が必要となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来技術では透過型格子14と反射型格子16の格子ピッチが同一であるため反射型格子16で回折した光の光路は入射光と同一となり、干渉を防ぐための偏光板18、20、26、28や1/4波長板24、ビームスプリッタ22が必要となるので、構成要素が多くなるため小型化には限界があり、組立の際に偏光板の光軸調整など煩雑な作業が要求される問題があった。
【0005】本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みなされたものであり、その目的は、装置の構成要素が少なく装置の小型化を図ることができ、また組み立て調整の手間も低減して、コストを低減させるとともに、小型化によりステージ等への組み付けを容易化することができる干渉格子型変位測定装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、可干渉光源と受光素子との光路上に互いに平行に配置された固定格子と変位格子を有し、変位格子の変位により生じる光の干渉を前記受光素子で検出する格子干渉型変位測定装置であって、前記固定格子と前記変位格子の配列方向は平行でそのピッチが互いに異なり、前記固定格子と前記変位格子でそれぞれ回折した2つの光束の重なり部分に生じる干渉縞の異なる強度の位相部分を前記受光素子で検出することを特徴とする。
【0007】また、前記可干渉光源及び受光素子は、前記固定格子と前記変位格子の配列方向に垂直な面から所定角度傾いた位置に配置されることを特徴とする。
【0008】また、前記可干渉光源からの光を透過光と回折光に分割する透過型の固定格子と、前記固定格子からの前記透過光と前記回折光をそれぞれ回折させる反射型の変位格子とを含み、前記固定格子は、前記変位格子からの2つの回折光を回折及び透過することで合成し、前記受光素子は前記固定格子で合成された2つの光束の重なり部分に生じる干渉縞の異なる強度の位相部分を検出することを特徴とする。
【0009】また、前記可干渉光源からの光を透過光と回折光に分割する透過型固定格子である第1格子と、前記第1格子からの前記透過光と前記回折光をそれぞれ回折させる反射型変位格子である第2格子と、前記第2格子からの2つの回折光を回折及び透過することで合成する透過型固定格子である第3格子とを含み、前記受光素子は前記第3固定格子で合成された2つの光束の重なり部分に生じる干渉縞の異なる強度の位相部分を検出することを特徴とする。
【0010】また、前記第1格子あるいは第3格子と前記第2格子のピッチは互いに異なることを特徴とする。
【0011】また、前記第1格子と前記第2格子との間隔、及び前記第3格子と前記第2格子との間隔は互いに異なることを特徴とする。
【0012】また、前記可干渉光源からの光を反射光と回折光に分割する反射型の変位格子と、前記変位格子からの前記反射光と前記回折光をそれぞれ回折させる反射型の固定格子とを含み、前記変位格子は、前記固定格子からの2つの回折光を回折及び反射することで合成し、前記受光素子は前記変位格子で合成された2つの光束の重なり部分に生じる干渉縞の異なる強度の位相部分を検出することを特徴とする。
【0013】また、前記可干渉光源からの光を透過光と回折光に分割する透過型の変位格子と、前記変位格子からの前記透過光と前記回折光をそれぞれ回折させる反射型の固定格子とを含み、前記変位格子は、前記固定格子からの2つの回折光を回折及び透過することで合成し、前記受光素子は前記変位格子で合成された2つの光束の重なり部分に生じる干渉縞の異なる強度の位相部分を検出することを特徴とする。
【0014】また、前記固定格子あるいは前記変位格子のうちの前記可干渉光源側に位置する格子への前記可干渉光源からの光の入射角と回折角はほぼ等しいことを特徴とする。
【0015】また、本発明は、可干渉光源と受光素子との光路上に配置された固定格子と変位格子を有し、前記変位格子の変位により生じる光の干渉を前記受光素子で検出する格子干渉型変位測定装置であって、前記固定格子と前記変位格子は一定の角度で傾いて配置され、前記固定格子と前記変位格子のピッチは互いに異なり、前記固定格子と前記変位格子でそれぞれ回折した2つの光束の重なり部分に生じる干渉縞の異なる強度の位相部分を前記受光素子で検出することを特徴とする。
【0016】また、前記可干渉光源からの光を反射光と回折光に分割する反射型の変位格子と、前記変位格子に対して一定の角度で傾いて配置され、前記変位格子からの前記反射光と前記回折光をそれぞれ回折させる反射型の固定格子とを含み、前記変位格子は、前記固定格子からの2つの回折光を回折及び反射することで合成し、前記受光素子は前記変位格子で合成された2つの光束の重なり部分に生じる干渉縞の異なる強度の位相部分を検出することを特徴とする。
【0017】また、前記可干渉光源からの光を反射光と回折光に分割する反射型固定格子である第1格子と、前記第1格子からの前記反射光と前記回折光をそれぞれ回折させる反射型変位格子である第2格子と、前記第2格子からの2つの回折光を回折及び反射することで合成する反射型固定格子である第3格子とを含み、前記第1格子及び第3格子は前記第2格子に対してそれぞれ一定の角度で傾いて対向配置され、前記受光素子は前記第3格子で合成された2つの光束の重なり部分に生じる干渉縞の異なる強度の位相部分を検出することを特徴とする。
【0018】本発明においては、2つの光束は2つの格子でそれぞれ1回回折し、合計2回回折して合成されるが、2つの格子の格子ピッチが互いに異なることにより、格子から射出する2つの光束は平行ではなく、格子ピッチの差に起因する角度をなして重なり合う。2つの光束は平行ではないので従来のようにビーム分割手段や偏光手段は不要となる。
【0019】可干渉光源からの光を格子に入射させて回折させる場合、格子配列方向(格子が形成されている方向)に垂直な面内に可干渉光源や受光素子が位置すると、格子からの戻り光が可干渉光源に入射したり、あるいは不要な反射光が受光素子に入射するなどにより検出精度が低下する。そこで、可干渉光源と受光素子の光軸を、前記垂直な面から傾けることでノイズを防止することができる。
【0020】2つの格子を透過型の固定格子と反射型の変位格子とし、固定格子で回折光と透過光に分割し、変位格子で2つの光束を反射回折させて受光素子で受光することで、可干渉光源と受光素子を格子に対して同一側に配置することができ、可干渉光源、受光素子及び固定格子を同一部材にコンパクトに設置することができる。
【0021】固定格子は単一の格子から構成することもでき、あるいは2つの格子から構成することもできる。2つの格子から固定格子を構成した場合、それぞれの格子ピッチを変化させることで、2つの光束のなす角度を多様に調整することができる。2つの格子から固定格子を構成した場合、それぞれの格子と変位格子との間隔を調整することができる。
【0022】2つの格子を反射型の固定格子と反射型の変位格子で構成した場合、可干渉光源からの光は固定格子と変位格子との間で反射を繰り返し、最終的に受光素子に入射する。可干渉光源からの光は変位格子に入射して2つの光束に分かれ、固定格子の離間した2点で回折して再び変位格子に戻る。2つの光束が離間した2点で回折するのは固定格子側となり、変位格子の離間した2点で回折する場合と比較して変位時のうねりの影響を少なくすることができる。
【0023】2つの格子を透過型の変位格子と反射型の固定格子で構成した場合、変位格子を挟むように測定系を配置する、すなわち変位格子の一方の側に可干渉光源と受光素子を配置し、他方に固定格子を配置することが可能となり、変位格子と同軸上に駆動部を設置する場合、よりコンパクトに設置できる。
【0024】本発明では、可干渉光源からの光を格子で回折させて2つの光束を得ている。可干渉光源からの光の入射角と回折角をほぼ同一とすることで、光路設定が簡易化され、各格子や受光素子の配置が容易化される。
【0025】なお、本発明では、固定格子と変位格子でそれぞれ回折(合計2回回折)した2つの光束を合成させて干渉を起こさせており、この条件を満足する限り固定格子と変位格子が互いに平行ではなく一定の角度で傾いて配置していてもよい。固定格子と変位格子を傾けて配置することで、光路の自由度が増し、装置のサイズを容易に変更することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
【0027】図1には、本実施形態の構成を示す斜視図が示されており、図2には、図1の平面図(A)、正面図(B)、側面図(C)が示されている。レーザ光源などの可干渉光源10からの光はコリメータレンズ12で平行光とされ、2つの格子に入射する。2つの格子は、互いに平行に配置された透過型の固定格子40と反射型の変位格子42から構成されており、固定格子40はその位置が固定され、変位格子42に対して光源側に配置される。変位格子42は固定格子40との間隔を維持したまま図中矢印方向に変位する。変位格子42は、変位を測定すべき駆動部に取り付けることができる。固定格子40と変位格子42の格子配列方向は平行(図中x方向)であり、また固定格子40の表面に形成された格子ピッチP1と変位格子42の表面に形成された格子ピッチP2は同一ではなく、P1>P2、あるいはP1<P2に設定される。2つの格子から射出された2つの回折光束は後述するように角度βをなして重なり合い、この重なり部分に生じる干渉縞を受光素子44で検出する。また、図2(C)に示されるように、可干渉光源10の光軸及び受光素子44に入射する光軸は、固定格子40及び変位格子42の格子配列方向(x方向)に垂直な面に対して所定角αをなすように配置されており、可干渉光源10への戻り光及び受光素子へのノイズ光入射を防止している。
【0028】以下、可干渉光源10からの光の光路について説明する。可干渉光源10から射出した光は、まず透過型の固定格子40に入射する。固定格子40に入射した光は、点a1(図2(A)参照)において回折光(光束A)と透過光(光束B)に分かれ、それぞれ変位格子42に向かう。可干渉光源10からの光の入射角θinと回折光の回折角θoutとの間には、λを波長として【数1】
sinθin+sinθNout=N・λ/2P1 (N=0、±1、±2、・・・) …(1)
の関係がある(実施形態ではN=0、±1を使用)ので、製造を容易とする観点からはθinとθoutがほぼ同一となるようにθinを調整することが好ましい。但し、必ずしもθinとθoutは同一でなくてもよい。光束Aは反射型の変位格子42のa3点で回折し、+1次回折光(変位格子の変位方向に対して垂直な方向からみて右方向を+、左方向を−とする)として再び固定格子40に向かう。一方、光束Bは変位格子のa2点で回折し、−1次回折光として再び固定格子40に向かう。+1次回折光(光束A)は固定格子40のa4点で固定格子40を透過して受光素子44に向かい、−1次回折光(光束B)は固定格子40のa4点近傍で固定格子40で回折され、受光素子44に向かう。固定格子40のピッチP1と変位格子42のピッチP2が互いに異なるため、固定格子40から受光素子44に向かう光束Aと光束Bは平行ではなく角度βをなしてその一部が重なり、重なった部分で干渉が起こり、干渉縞が生じる。光束Aと光束Bはそれぞれ変位格子42で回折するため、変位格子42が変位すると光束Aと光束Bに位相変化が生じ、干渉縞の強度分布の位相が変化する。変位格子42の変位に応じて光束A(+1次光)と光束B(−1次光)はそれぞれ逆方向に位相変化するため、干渉縞は変位格子42の格子ピッチP2の変位量の2倍の周期で移動する。いま、説明の都合上、可干渉光源10の光軸の傾きαを無視すると、光束Aと光束Bのなす角βは、【数2】
β=|sin-1(a−sin(θin))+sin-1(a+sin(θin))| …(2)
で与えられる。ここで、θinは可干渉光源10から固定格子40への入射角である。また、aは固定格子40のピッチP1と変位格子42のピッチP2、及び光の波長λから【数3】
a=(P2−P1)λ/(P1・P2) …(3)
で定義される。(2)、(3)式より、格子ピッチP1とP2の相違に起因してβが生じることが理解される。また、干渉縞ピッチPDと角度βとの関係は、【数4】
PD=λ/2・sin(β/2) …(4)
で与えられる。
【0029】図3には、βの角度をなして互いに重なる光束A及び光束Bと、重なり部分に生じる干渉縞50が模式的に示されている。この干渉縞50が形成される位置に受光素子44を配置して干渉縞の移動を検出することで、変位格子42の変位量及び変位方向を検出することができる。なお、干渉縞50を検出するためには、干渉縞のピッチPDに対してPD/4程度の間隔で受光素子を配置することが好適である。受光素子44の受光面がピッチPD以上の長さを有すると干渉縞を効率良く検出することができず(光の強弱がキャンセルされてしまう)、また、変位の方向を検出するためには干渉縞の位相が90度ずれた点を検出することが望ましいからである。
【0030】図4には、受光素子44の配置方法が示されている。干渉縞50のピッチPDに対して、PD/4の間隔で受光素子44a、44b、44c、44dを配置し受光素子アレイとする。各受光素子44a〜44dはPD/4の間隔で配置しているため90度位相がずれた干渉縞正弦信号を得ることができる。これらの正弦信号を処理することで、PDの変位量及び変位方向を検出し、これに基づいて変位格子42の変位量を検出する。なお、受光素子44a〜44dの4個は必ずしも必要ではなく、例えば受光素子44aと44bの2個のみでもよい。また、光強度を平均化するため、干渉縞ピッチPDで繰り返し配置するのがよい。
【0031】このように、本実施形態では、固定格子40と変位格子42の格子ピッチを互いに異ならせることで2つの光束A、Bに角度βを与えて干渉させることで干渉縞を形成しているので、従来のようにビームスプリッタや偏光手段が不要となり、構成要素を減らすことが可能となる。また、偏光手段の調整もなくなるので組み付けも容易となる。
【0032】なお、本実施形態において固定格子40と変位格子42の格子配列方向は平行で、干渉縞50は光束Aと光束Bの光路差により生じるもので、格子配列方向が平行でない2つの格子により生じるいわゆるモアレ縞とは異なる。
【0033】また、本実施形態において、光束A及び光束Bとも固定格子40で2回回折しているので、固定格子40と変位格子42の平行がずれたときの影響がキャンセルされ、角度βに与える影響が抑制される。
【0034】図5には、他の実施形態の構成を示す斜視図が示されている。図1と異なる点は、固定格子40が格子配列方向とは垂直な方向に2分割されて固定格子41と固定格子43から構成され、固定格子41のピッチP1と固定格子43のピッチP3が互いに異なる点である。すなわち、本実施形態では、P1≠P2、またはP3≠P2であり、かつ、P1≠P3である。固定格子41と固定格子43の格子配列方向は平行で、変位格子42の格子配列方向にも平行である。固定格子41と固定格子43は同一平面内に存在する。
【0035】このような構成において、可干渉光源10から射出した光はまず透過型の固定格子41に入射し、回折光(光束A)と透過光(光束B)に分かれて変位格子42に向かう。光束Aは変位格子42で回折し、固定格子43に向かう。また、光束Bも変位格子42で回折して固定格子43に向かう。反射型の変位格子42で回折した光束Aは透過型の固定格子43を透過し、光束Bは固定格子43で回折してともに受光素子44に向かう。本実施形態においても、固定格子と変位格子の格子ピッチが異なるので、固定格子43から射出した光束Aと光束Bは角度γを有して重なり合い、干渉縞を生じる。角度γはP1、P2、P3で規定され、(P1、P2、P3)の組み合わせを変化させることで、角度γを細かく調整することができる。例えば、P1=P2に設定すると、固定格子43に入射する点は2光束で同一となり、固定格子43で回折、透過することで初めて角度γが発生するため、受光素子に近い位置で角度γを生成しているため、有効な光束の重なる部分の面積を大きくとることができる。干渉縞を複数の受光素子44a〜44dで検出することで、固定格子41、43に対する変位格子42の変位量及び変位方向を検出することができる。
【0036】図6には、他の実施形態の構成を示す斜視図が示されている。図1及び図5の例では可干渉光源10から見て2つの格子が固定格子、変位格子の順に配置されているが、本実施形態では変位格子、固定格子の順に配置されている。すなわち、2つの格子が透過型の変位格子52と反射型の固定格子53から構成され、可干渉光源10からの光はまず透過型の変位格子52に入射する。ここで、変位格子52と固定格子54との関係は上述の例と同様である。すなわち、変位格子52の格子ピッチP1と固定格子54の格子ピッチP2はP1≠P2の関係を満たし、変位格子52と固定格子54は平行に配置され、格子の配列方向も平行である。
【0037】図7には、図6の平面図が示されている。可干渉光源10からの光は透過型の変位格子52に入射し、a1点において回折光(+1次光)と透過光に分割される。回折光(+1次光:光束A)及び透過光(光束B)はともに固定格子54に向かい、光束Aは反射型の固定格子54のa3点で回折し、変位格子52に向かう。また、光束Bは固定格子54のa2点で回折し、変位格子52に向かう。光束Aは変位格子52をa4点で透過して受光素子44に向かい、光束Bは変位格子52のa4点近傍で回折(−1次光)して受光素子44に向かう。変位格子52と固定格子54の格子ピッチが異なるため、光束Aと光束Bには格子ピッチの差に起因する角度δの傾きが生じ、重なり合って干渉を生じる。受光素子44で干渉により形成される干渉縞を検出することで、変位格子52の変位量及び変位方向を検出することができる。可干渉光源10と変位格子との間の距離が確保できない場合などに本実施形態は有効である。
【0038】図8には、他の実施形態の構成を示す斜視図が示されている。図6の構成においては、可干渉光源10から射出した光は順次、変位格子→固定格子→変位格子に入射しているが、本実施形態においても、基本的にこの順序で光が入射する。本実施形態では、2つの格子は反射型の固定格子56と反射型の変位格子42から構成され、固定格子56には可干渉光源10側ではなく裏面側に格子が形成されている。可干渉光源10からの光はまず変位格子42に入射し、反射、回折して固定格子56に向かう。固定格子56では、変位格子42からの反射、回折光を再び変位格子42に向けて反射する。固定格子の格子ピッチP1と変位格子42の格子ピッチP2が互いに異なる点は既述の実施形態と同様である。本実施形態の構成は、光束の入射順序の観点からは図6において変位格子52が反射型に置き換わったものとして理解することができる。
【0039】図9には、図8の平面図(A)及び側面図(B)が示されている。固定格子56は変位格子42よりサイズが小さく、図9(B)に示されるように変位格子42の中心軸上に配置されている。可干渉光源10の光軸は変位格子42の格子配列方向に垂直な面に対してαだけ傾いているから、可干渉光源10からの光は固定格子56に入射せず、まず反射型の変位格子42に入射する。変位格子42に入射した光は変位格子42のa1点(図9(A)参照)で回折光(光束A)と反射光(光束B)に分割されて固定格子56に向かう。光束Aは反射型の固定格子56のa3点で回折し、再び変位格子42に向かう。一方、光束Bは反射型の固定格子56のa2点で回折し、再び変位格子42に向かう。変位格子42に向かった光束Aは変位格子42のa4点で反射し、受光素子44に向かう。また、変位格子42に向かった光束Bは変位格子42のa4点近傍で回折し、受光素子44に向かう。受光素子44に向かう光束Aと光束Bは格子ピッチP1とP2の差に起因する角度εをなして重なり合い、干渉を起こす。この干渉により生じた干渉縞を受光素子44で検出することで、変位格子42の変位量及び変位方向を検出することができる。本実施形態では、変位格子42での反射点がa1点とa4であり、光束Aと光束Bがそれぞれ回折する比較的離間したa2点とa3点は固定格子56側にあるので、変位格子42の長さ(変位方向の長さ)を短くすることができる利点がある。
【0040】また、変位格子42の離れた2点ではなくほぼ近傍の点で回折するため、変位格子42の変位に伴う格子面のうねりの影響を抑制して検出精度を上げることもできる。
【0041】また、光軸の傾きαを大きくとることで、可干渉光源10、固定格子、受光素子44を変位格子からほぼ同程度の距離に並べて配置することも可能であり、装置全体の高さを抑制することもできる。
【0042】図10には、他の実施形態の構成を示す斜視図が示されている。本実施形態の構成は図5の構成と同様に固定格子が2つの固定格子58、60から構成されている。但し、図11の側面図に示されるように、本実施形態における2つの固定格子58、60は同一平面上にはなく、変位格子42との間隔がそれぞれ異なっている。図では、固定格子60と変位格子42との間隔が固定格子58と変位格子42との間隔よりも大きくなっており、固定格子60はより受光素子44に近い位置に配置されている。なお、固定格子58の格子ピッチP1と固定格子60の格子ピッチP3は同一でもよく、また異なっていてもよい。但し、固定格子58,60と変位格子42の格子ピッチは異なり、P1≠P2、またはP3≠P2である。一例として、P1=P3<P2とする。
【0043】このような構成において、光の光路は図5と同様であり、可干渉光源10からの光は固定格子58に入射し、回折光(光束A)と透過光(光束B)に分割される。そして、光束Aは変位格子42で回折し、さらに固定格子60を透過して受光素子44に向かう。一方、光束Bは変位格子42で回折し、さらに固定格子60で回折して受光素子44に向かう。ここで、固定格子60の位置が変位格子42に対して固定格子58の位置よりも遠い位置にあるため、固定格子60で回折する光束Bの回折位置が図5の場合よりも遠い位置となる。
【0044】図12には、図5の場合(固定格子41、43が同一平面上にあり変位格子42との間隔が同一である場合)と図10の場合の光束A、Bの固定格子43、60における光路の様子が示されている。光束Aは、固定格子43においても固定格子60においても透過するが、光束Bは固定格子43と固定格子60の位置が異なるため回折位置が異なり、固定格子60の場合には光束Bが回折した後に光束Aと交わるようになる。すると、図13に示されるように、受光素子44が配置された位置において重なり合う部分が増大し、干渉縞50の生じる面積も増大することになる。受光素子44で検出するのは、あくまで光束Aと光束Bが重なり合って干渉縞が生じている部分であるから、このように干渉縞の面積が増大することにより、受光素子44の受光面積(受光素子アレイの総数)を増大させることが可能となり、可干渉光源10の出力に対して受光素子44で検出できる光強度が増大して検出効率を上げることができる。このことは、逆に可干渉光源10の光出力を低減できることを意味し、電流消費や発熱量の低減を図ることができる。
【0045】以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術思想の範囲内で他の変形例も可能である。
【0046】例えば、実施形態では図1などにおいて反射型の変位格子42を用いているが、変位格子42も透過型とし、受光素子44を2つの格子を挟んで可干渉光源10とは反対側に配置し、変位格子で回折し透過した2つの光束の重なりにより生じる干渉縞を検出するように構成することも可能である。この場合も、2つの格子は可干渉光源と変位格子との間の光路上に位置していることに変わりなく、干渉縞の移動を検出することで変位格子の変位量を検出することができる。
【0047】また、図10においては、固定格子の格子ピッチP1(あるいはP3)と変位格子42の格子ピッチP2とがP1<P2であることに鑑みて固定格子60と変位格子42との間隔を固定格子58と変位格子42との間隔に比べて増大させているが、格子ピッチの関係がP1>P2である場合には逆に固定格子60と変位格子42との間隔を固定格子58と変位格子42との間隔に比べて減少させることが好適である。
【0048】また、実施形態では干渉縞50の90度位相の異なる信号を得るために受光素子アレイ44a〜44dを用いているが、図14に示されるように受光素子44の前に干渉縞ピッチPDの1/4間隔の窓62aを備えるフィルタ62を配置し、各窓62aを透過した光を受光素子44で受光するように構成することもできる。これにより、受光素子アレイに要求されるサイズ上の制約を緩和することができる。
【0049】また、上述した各実施形態においては、固定格子と変位格子が互いに平行に配置された場合について説明したが、固定格子と変位格子が互いに平行ではなく、一定の傾きを有して配置することも可能である。
【0050】例えば図8の構成においては、反射型の変位格子42と反射型の固定格子56は互いに平行に配置されているが、図16及び図17に示されるように、反射型の固定格子56を変位格子42に対して一定の角α2だけ傾けて配置することもできる。図16の斜視図及び図17の側面図から分かるように、可干渉光源10からの光は所定の光軸角αをもって反射型の変位格子42に入射する。変位格子42で反射、回折した2つの光束は反射型の固定格子56に向かう。固定格子56は、変位格子42に対して一定の角α2だけ傾けて配置されており、変位格子42からの2つの光束を回折し、変位格子42に戻す。一定の角α2だけ傾いているため、光束は図6の場合と異なり中心軸に対して可干渉光源10が存在する側に戻され、変位格子42で反射、回折して合成され、受光素子44に入射する。
【0051】固定格子56を傾けて配置することで、可干渉光源10、受光素子44を変位格子42、固定格子56に対して同じ側(図6の場合には可干渉光源10と受光素子44は異なる側にある)に設置することが可能となり、他方のサイズを小さくすることができる。
【0052】また、図10の構成においては、2つの固定格子58、60と変位格子42は互いに平行に配置されているが、図18及び図19に示されるように、2つの固定格子を反射型とし、かつ、2つの固定格子と変位格子42を互いに平行ではなく一定の角だけ傾けて配置することも可能である。図18の斜視図及び図19の側面図において、固定格子58、60の代わりに反射型の固定格子70、72が配置され、かつ、固定格子70、72はそれぞれ変位格子42に対して一定の角を有し、格子が互いに向き合うように「ハ」の字型に対向配置されている。可干渉光源10からの光は変位格子42とほぼ平行に進行して固定格子70に入射し、反射、回折して2つの光束に分割される。2つの光束は変位格子42に入射し、反射、回折して固定格子72に向かう。固定格子72では、変位格子42からの2つの光束を反射、回折して合成する。合成された光は受光素子44に入射する。固定格子70と固定格子72の位置が異なるため、図10の場合と同様に受光素子44において2つの光束が重なるように調整することができる。また、図19から分かるように、変位格子42とほぼ平行な面内に可干渉光源及び受光素子44を配置することができるので、装置の上下方向のサイズを縮小して全体をコンパクトなものとすることができる。また、可干渉光源10等の固定部材の設計も容易化される。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、装置の構成要素が少なく装置の小型化を図ることができ、また組み立て調整の手間も低減してステージ等への組み付けを容易化することができる。
【出願人】 【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
【出願日】 平成11年9月17日(1999.9.17)
【代理人】 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
【公開番号】 特開2001−91215(P2001−91215A)
【公開日】 平成13年4月6日(2001.4.6)
【出願番号】 特願平11−264673