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【発明の名称】 変位測定装置
【発明者】 【氏名】大森 浩二

【氏名】辻村 映治

【氏名】永塚 一毅

【氏名】田沼 敦郎

【要約】 【課題】1点測定型および走査型のいずれの利点も有して使用形態に応じて任意に切り替えることができる変位測定装置を提供することを目的としている。また、走査型の構成でありながら各測定点における高さ方向の誤差を補正でき、補正データの容量が増大することなく変位量を正確に得ることができること。

【解決手段】変位演算手段21は、受光素子6の出力に基づき測定対象面の変位量を演算出力する。モード設定手段25は、光源2及び偏向手段を制御して測定対象面に対する光ビームの照射が1点となるよう、あるいは走査するよう切替制御する。補正データ作成手段26は、校正モード時に変位検出方向の誤差を検出すべく補正機40から出力される移動量と、そのときの変位量に基づき補正データを生成し補正データ記憶手段28に格納する。通常モード時、変位補正手段27は、変位量を補正データに基づき補正して出力する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 測定対象面に走査した光を照射させ、受光素子の受光面上に形成された結像点の検出位置に基づき、前記測定対象面の変位量を非接触で測定する変位測定装置において、前記測定対象面に照射するための光を出射する光源と、前記光源から出射された光を前記測定対象面上で所定方向に走査自在な偏向手段と、前記受光素子から出力された前記結像点の検出位置に対応する検出信号に基づき、前記測定対象面の変位量を演算出力する変位演算手段と、前記偏向手段により走査された光の測定対象面上での照射点の位置を検出する走査検出手段と、前記光源及び偏向手段を制御して前記測定対象面に照射する光を走査する状態、あるいは1点のみ照射する状態に切り替えるものであり、前記走査検出手段で検出された光の照射点の位置に基づき前記測定対象面上の1点に前記光が照射されるよう制御する処理手段と、を備えたことを特徴とする変位測定装置。
【請求項2】 光軸周りに均等な結像特性を有する複数の集光レンズが前記照射点の走査方向に沿って配置され、前記照射点からの測定光を収束させる集光レンズアレイと、光軸周りに均等な結像特性を有する結像レンズが前記照射点の走査方向に沿って所定数の前記集光レンズごとに構成され、前記収束された測定光を前記受光素子の受光面に出射し、該受光面上に結像点を形成させる結像レンズアレイと、前記受光素子を前記結像レンズごとに有する受光素子群と、を備えた請求項1記載の変位測定装置。
【請求項3】 前記変位量の検出方向に沿って前記装置と基準用の測定対象面とを相対的に移動制御し、該移動時の移動量を検出する補正機を備え、前記処理手段は、前記補正機から出力される移動量と、前記変位演算手段から出力される変位量の差分に基づき補正データを生成する校正モードを有し、通常測定時には前記変位演算手段から出力された変位量の検出方向の誤差を該変位量に対応する前記補正データを用いて補正する構成とされた請求項1記載の変位測定装置。
【請求項4】 光軸周りに均等な結像特性を有する複数の集光レンズが前記照射点の走査方向に沿って配置され、前記照射点からの測定光を収束させる集光レンズアレイと、光軸周りに均等な結像特性を有する結像レンズが前記照射点の走査方向に沿って所定数の前記集光レンズごとに構成され、前記収束された測定光を前記受光素子の受光面に出射し、該受光面上に結像点を形成させる結像レンズアレイと、前記受光素子を前記結像レンズごとに有する受光素子群とを備え、前記処理手段は、前記校正モード時に前記集光レンズアレイの各集光レンズを単位として補正データを生成し、通常測定時には、前記集光レンズ別の補正データを用いて補正する構成とされた請求項3記載の変位測定装置。
【請求項5】 光軸周りに均等な結像特性を有する複数の集光レンズが前記照射点の走査方向に沿って配置され、前記照射点からの測定光を収束させる集光レンズアレイと、光軸周りに均等な結像特性を有する結像レンズが前記照射点の走査方向に沿って所定数の前記集光レンズごとに構成され、前記収束された測定光を前記受光素子の受光面に出射し、該受光面上に結像点を形成させる結像レンズアレイと、前記受光素子を前記結像レンズごとに有する受光素子群とを備え、前記処理手段は、前記校正モード時に前記結像レンズアレイの各結像レンズを単位として補正データを生成し、通常測定時には、前記結像レンズ別の補正データを用いて補正する構成とされた請求項3記載の変位測定装置。
【請求項6】 測定対象面に走査した光を照射させ、受光素子の受光面上に形成された結像点の検出位置に基づき、前記測定対象面の変位量を非接触で測定する変位測定装置において、光源から出射された光を前記測定対象面上で所定方向に走査する偏向手段と、前記偏向手段により走査された光の測定対象面上での照射点の位置を検出する走査検出手段と、前記受光素子から出力された前記結像点の検出位置に対応する検出信号に基づき、前記測定対象面の変位量を演算出力する変位演算手段と、前記変位量の検出方向に沿って前記装置と基準用の測定対象面とを相対的に移動制御し、該移動時の移動量を検出する補正機と、前記変位演算手段から出力された変位量の検出方向の誤差を該変位量に対応する補正データを用いて補正する処理を実行するものであり、前記走査検出手段で検出された光の照射点の位置に基づき前記測定対象面上の所望の1点を走査する時期を検出し、該1点を走査する時期における前記補正機から出力される移動量と、前記変位演算手段から出力される変位量の差分に基づき補正データを生成する校正モードを有する処理手段と、を備えたことを特徴とする変位測定装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、測定対象の測定面の変位量を非接触で測定する変位測定装置に係り、特に、測定光の走査状態を可変して多様な測定が行える変位測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図8は、従来の1点型の変位測定装置を示す側面図である。装置50は、光源51からのレーザビームを測定対象物10の測定対象面10aに照射し、その照射点Pの像を結像レンズ53によって受光素子54の受光面54aに結像させる構成である。これにより、測定対象物10が高さ(Z方向)に移動すると(対象面10aに変位があると)、照射点PがP’あるいはP”に移動し、対応して受光素子54の受光面54aの結像点Kの位置がK’あるいはK”に移動する。受光素子54は、この結像点Kの位置に対応した検出信号を出力し、この信号の変化量に基づき測定対象物10の対象面10aの変位量を演算出力できる。
【0003】一方、図9に示すのは、走査型変位測定装置を示す斜視図である。この走査型変位測定装置60は、光源61から出力されるレーザビームを偏向装置62によって一定角度内の範囲で偏向させる構成である。偏向されたレーザビームは、レンズ63によってその光軸が平行に移動する光として測定台11上の測定対象物10の対象面10aに照射される。照射点Pのレーザビームは、X方向に所定幅を有して直線状に往復あるいは片道走査され、照射点Pの像は第1の円筒面のレンズ(シリンドリカルレンズ)64及び第2の円筒面レンズ65によって受光素子66の受光面66aに結像される。上記構成によれば、受光素子66からは測定対象物10の対象面10aの走査に対応した検出信号が出力され、同X方向の変位量を連続して測定できる。
【0004】このような走査型の装置60によれば、装置60あるいは測定対象物10を移動させずとも、X方向の変位量を高速に測定することができる利点を有する。例えば、1点測定型の装置50を用いて測定対象物10をX方向に相対移動させる為に用いられるモータは偏向装置62の走査速度に比して極めて低速であるため、測定対象物10の対象面10a全体の測定に時間がかかった。また、モータの移動精度に影響されやすく細かいピッチで測定することができない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、走査型の装置60では、偏向装置62におけるレーザビームの走査が高速であるため、人間の目には測定光が線状に見えるようになる。そして、実際の走査幅は、有効走査幅(測定可能なX方向の範囲)より広く設定して余裕を持たせているため、この有効走査幅を目視確認することができなかった。これにより、測定対象物10を測定するために装置60と測定対象物10の相対的な位置決めに手間がかかった。
【0006】また、走査型の装置60は、例えば2000回/秒という非常に高速な走査を行うため、1点型の装置50で使用した測定処理系はこの速度に対応できず、走査型の装置60用の特別な測定処理系が必要であった。例えば、アナログの時間送りレコーダや、X−Yレコーダなど汎用の測定処理系が使用できない。このように、高速な測定を可能とした走査型の装置60であるが、一方、1点型の利点である簡便な変位量測定は行えない。
【0007】ところで、走査型の装置60においては、走査方向Xに直線状の複数の測定点Pを有するが、この各測定点Pにおける変位測定量の直線性を補正する必要が生じる。即ち、基準となる平面の変位量を測定したとき、走査した各複数点の変位量はこの高さ方向(Z方向)で一様とはならず誤差が生じる。これは三角測量方式が有する誤差、及び装置の光学系が有する焦点精度や組み立て誤差を要因とする。この誤差を補正するためには、各測定点P別に高さ方向(Z方向)の分解能に合わせた数だけの補正値を記憶させておく必要が生じる。例えば、X方向の走査範囲30mmに100個の測定点Pを有し、各測定点Pが変位方向(Z方向)に12Bit(4096)の測定分解能を有しているとすると、これらを乗算した合計値40960個もの補正値のデータが必要となり、この補正値のデータを格納するために記憶手段の容量が増大することとなる。
【0008】本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、1点測定型および走査型のいずれの利点も有して使用形態に応じて任意に切り替えることができる変位測定装置を提供することを目的としている。また、走査型の構成でありながら各測定点における高さ方向の誤差を補正でき、補正データの容量が増大することなく変位量を正確に得ることができる変位測定装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の変位測定装置は、測定対象面に走査した光を照射させ、受光素子の受光面上に形成された結像点の検出位置に基づき、前記測定対象面の変位量を非接触で測定する変位測定装置において、前記測定対象面に照射するための光を出射する光源と、前記光源から出射された光を前記測定対象面上で所定方向に走査自在な偏向手段と、前記受光素子から出力された前記結像点の検出位置に対応する検出信号に基づき、前記測定対象面の変位量を演算出力する変位演算手段と、前記偏向手段により走査された光の測定対象面上での照射点の位置を検出する走査検出手段と、前記光源及び偏向手段を制御して前記測定対象面に照射する光を走査する状態、あるいは1点のみ照射する状態に切り替えるものであり、前記走査検出手段で検出された光の照射点の位置に基づき前記測定対象面上の1点に前記光が照射されるよう制御する処理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】また、光軸周りに均等な結像特性を有する複数の集光レンズが前記照射点の走査方向に沿って配置され、前記照射点からの測定光を収束させる集光レンズアレイと、光軸周りに均等な結像特性を有する結像レンズが前記照射点の走査方向に沿って所定数の前記集光レンズごとに構成され、前記収束された測定光を前記受光素子の受光面に出射し、該受光面上に結像点を形成させる結像レンズアレイと、前記受光素子を前記結像レンズごとに有する受光素子群と、を備えた構成としてもよい。
【0011】また、前記変位量の検出方向に沿って前記装置と基準用の測定対象面とを相対的に移動制御し、該移動時の移動量を検出する補正機を備え、前記処理手段は、前記補正機から出力される移動量と、前記変位演算手段から出力される変位量の差分に基づき補正データを生成する校正モードを有し、通常測定時には前記変位演算手段から出力された変位量の検出方向の誤差を該変位量に対応する前記補正データを用いて補正する構成としてもよい。
【0012】また、光軸周りに均等な結像特性を有する複数の集光レンズが前記照射点の走査方向に沿って配置され、前記照射点からの測定光を収束させる集光レンズアレイと、光軸周りに均等な結像特性を有する結像レンズが前記照射点の走査方向に沿って所定数の前記集光レンズごとに構成され、前記収束された測定光を前記受光素子の受光面に出射し、該受光面上に結像点を形成させる結像レンズアレイと、前記受光素子を前記結像レンズごとに有する受光素子群とを備え、前記処理手段は、前記校正モード時に前記集光レンズアレイの各集光レンズを単位として補正データを生成し、通常測定時には、前記集光レンズ別の補正データを用いて補正する構成にすることもできる。
【0013】また、光軸周りに均等な結像特性を有する複数の集光レンズが前記照射点の走査方向に沿って配置され、前記照射点からの測定光を収束させる集光レンズアレイと、光軸周りに均等な結像特性を有する結像レンズが前記照射点の走査方向に沿って所定数の前記集光レンズごとに構成され、前記収束された測定光を前記受光素子の受光面に出射し、該受光面上に結像点を形成させる結像レンズアレイと、前記受光素子を前記結像レンズごとに有する受光素子群とを備え、前記処理手段は、前記校正モード時に前記結像レンズアレイの各結像レンズを単位として補正データを生成し、通常測定時には、前記結像レンズ別の補正データを用いて補正する構成にしてもよい。
【0014】また、測定対象面に走査した光を照射させ、受光素子の受光面上に形成された結像点の検出位置に基づき、前記測定対象面の変位量を非接触で測定する変位測定装置において、光源から出射された光を前記測定対象面上で所定方向に走査する偏向手段と、前記偏向手段により走査された光の測定対象面上での照射点の位置を検出する走査検出手段と、前記受光素子から出力された前記結像点の検出位置に対応する検出信号に基づき、前記測定対象面の変位量を演算出力する変位演算手段と、前記変位量の検出方向に沿って前記装置と基準用の測定対象面とを相対的に移動制御し、該移動時の移動量を検出する補正機と、前記変位演算手段から出力された変位量の検出方向の誤差を該変位量に対応する補正データを用いて補正する処理を実行するものであり、前記走査検出手段で検出された光の照射点の位置に基づき前記測定対象面上の所望の1点を走査する時期を検出し、該1点を走査する時期における前記補正機から出力される移動量と、前記変位演算手段から出力される変位量の差分に基づき補正データを生成する校正モードを有する処理手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】上記構成によれば、測定時の切り替えで、測定対象面10aに対し1点の光ビームを照射する1点型と、走査する走査型を選択できるようになる。このように、使用形態に合わせて装置側の走査を切替ることができるため、1点型では位置決めが容易で変位量記録用の装置に安価なものが使用できる。また、走査型では測定対象面の変位量を走査方向に渡り高速に測定できるようになる。また、装置が有する変位量検出方向の誤差は、校正モードにより補正データを算出し測定時に補正データで補正することにより解消することができる。この補正データは、測定対象面の1点の照射点における補正データを用いて補正することができる。例え装置を走査型で使用する場合であってもこの補正データを用いて簡単に補正処理できるようになる。
【0016】
【発明の実施の形態】〔第1実施形態〕本発明の変位測定装置及び方法の実施の形態を説明する。図1は、変位測定装置の概略斜視図、図2は同側面図である。図示のように、この変位測定装置1は、三角測量の原理に基づき、測定台11に載置された測定対象物10の測定対象面10aの変位を測定する。
【0017】この変位測定装置1の投光系は、レーザダイオード等の光源2と、振動ミラー等で構成される偏向手段3と、レンズ4で概略構成されている。光源2は、偏向手段3に対し所定波長(例えば680nm)のレーザ光を出射する。偏向手段3は、入射されたレーザ光を偏向させ、一定のストロークでレーザ光を図中X方向に走査する。この偏向手段3は、例えば回転式のガルバノミラーで構成され、回転によってミラーの角度を連続的に可変させることによりレーザ光を往復あるいは片道走査する。この他、偏向手段3としては、音叉の先端にミラーを取り付けた音叉ミラーや、ポリゴンミラーを用いる構成にもできる。レンズ4は、偏向手段3により走査されるレーザ光を、互いに平行になるように集束させ、測定台11上の測定対象物10の測定対象面10aに照射させる。
【0018】レンズアレイ5は、互いに等しい焦点距離f(例えば20mm)を有する複数(図1では6個)の集光レンズ部5a〜5fが一列に並ぶように合成樹脂あるいはガラスで形成されている。
【0019】各集光レンズ5a〜5fは、走査光学系から放射される投光ビームの走査幅寸法(30mm)内に複数個並ぶように、少なくともその並列方向に沿った幅が走査幅より短い(例えば6mm)略矩形状の外形を有する。また、各集光レンズ5a〜5fは、その光軸に直交する一方又は両方の面が球面状に形成された球面集束型のレンズとなっている。球面集束型のレンズとは、光をその光軸の周りに均等に絞り込むことができるレンズである。各光軸はそれぞれ平行で且つその光軸に直交する線上に連続して一列に並ぶように側面同士を密着させた状態で一体化されている。レンズ5a〜5fは、光でその光軸の周りに均等に絞り込むことができるレンズであれば、光軸と直交する面が非球面のレンズでもよい。
【0020】レンズアレイ5は、各集光レンズ5a〜5fの光軸が測定対象物10の表面10a上に走査される照射点P(移動軌跡PL)と交わるように配置されている。また、図2に示すように、レンズアレイ5は、その長手方向が照射点Pの移動軌跡PLと平行になるように配置されている。照射点Pからレンズアレイ5までの距離は焦点距離fとほぼ等しくなる位置に配置されている。
【0021】結像レンズ7は、照射点Pの走査幅より大きい径を有する球面集束型レンズである。結像レンズ7は、レンズアレイ5からのビームを集束して、受光素子6の受光面6a上に結像させる。
【0022】受光素子(PSD)6は、図1に示すように、照射点Pから反射される光が結像される縦長の受光面6aを有する。この受光素子6の縦方向(走査方向PLと直交する方向)の両端には、それぞれ電極が設けられている。これらの電極からは、前述したようにそれぞれ結像点Kの位置に応じた電流が出力される。即ち、受光面6aの中央に結像点Kが位置すると、受光素子6の両端から同じ値の電流が出力される。結像点Kが縦方向に移動すると、近づいた方の電極からより多くの電流が出力され、遠ざかった電極からはより少ない電流が出力されるようになっている。このように、受光面6aは縦方向が変位量(高さ方向Z)に対応している。また、前記走査方向Xは受光面6aの横方向に相当する。なお、両電極から出力される電流の合計値は、結像点Kの位置にかかわらず同じである。
【0023】上記のように、各集光レンズ5a〜5fが互いに平行な光軸を有し、それぞれ照射点から焦点距離離れた位置において各光軸と直交する一直線上に並列配置されて、レンズアレイ5を構成することにより、受光素子6の受光面6aの幅を小さくでき、応答速度の早い小型の受光素子6を用いることができるようになる。また、これにより、走査速度を上げて受光素子6の信号出力に対する処理速度の向上及び測定時間の短縮も図れるようになる。
【0024】図3は、変位測定装置の電気的構成を示すブロック図である。変位演算手段21は、受光素子6の出力に基づき測定対象物10の変位量の信号を出力する。この変位演算手段21における変位演算処理は、受光素子6の両電極から出力される電流信号を電圧信号に変換した後、各電圧信号を加算及び減算する。減算された信号値を加算された信号値で除算し、変位量を示す信号を処理手段24に出力する。
【0025】走査開始検出手段22は、偏向手段3内部あるは外部に設けられる。この走査開始検出手段22は、光源2から入射されるレーザ光を毎回走査開始する都度、単パルスの走査開始信号を計数手段23に出力する。計数手段23は、カウンタで構成され、クロック信号と走査開始信号が入力される。計数手段23は走査開始信号が入力される都度、クロック信号の計数値を出力する。これら走査開始検出手段22および計数手段23は、レーザ光の走査状態を検出する走査検出手段を構成している。
【0026】補正機40は、移動量検出器41と、制御手段42と移動ステージで構成される。補正機40は、前記変位測定装置1と、測定対象面10aとの距離を連続的に所定の分解能(例えば12Bit:4096個のデータ)を有して測定する。この補正機40は、校正モード時に動作する。移動量検出器41は、測長器などで構成され、変位測定装置1の前記高さ方向(Z方向)の位置を検出し出力する。制御手段42は、変位測定装置1の高さ方向(Z方向)の位置を可変させる制御を行う。そして、制御手段42は、この移動制御時に移動量検出器41から検出出力された高さ方向の移動量を補正データ作成手段26に出力する。
【0027】処理手段24にはモード設定手段25、補正データ作成手段26、変位補正手段27、補正値記憶手段28が設けられる。モード設定手段25は、図示せぬ操作手段の操作により装置の動作状態を大別して校正モードと測定モードに切り替える。また、測定モード時には、レーザ光の走査を1点型と走査型とに切り替える。そして、これらの切り替えに対応して各部を制御する。補正データ作成手段26は、校正モード時に測定対象物10上のある1点の照射点における変位方向(Z方向)の補正データを作成する。この作成時には、前記補正機40から出力される高さ方向(Z方向)の移動量と、変位演算手段21から出力された変位量の各信号入力に基づき補正データを作成し、得られた補正データを補正データ記憶手段28に格納記憶させる。
【0028】補正値記憶手段28は、ROM,RAM等を用いて構成されている。例えば、書き換え可能なROMで構成され、校正モード時に複数の各高さ位置(Z方向位置)に対応するアドレス別にテーブル形式で各補正データを格納保持する。また、測定モード時には、このROMに格納された内容をRAMに転送させて読み出しの高速化を図る構成とすることができる。
【0029】変位補正手段27は、測定モード時に動作して校正された変位量の信号を出力する。この変位補正手段26は、変位演算手段21から出力された変位量に対応付けされたアドレスに格納されている補正データを読み出す。そして、変位演算手段21から入力される変位量を補正データに基づき補正演算処理し変位量を補正した信号を出力する。
【0030】前記モード設定手段25は、校正モード時、及び測定モードで1点型が設定された際に前記光ビームが1点のみ照射するよう(走査しないよう)この光ビームの照射を制御する。即ち、これらの設定時には、走査方向(X方向)の1点(例えば走査方向の長さの中間位置)でのみ光ビームを照射させるよう制御する。具体的には、計数手段23からの計数値が上記1点の照射点に到達した際にのみ光ビームを出射するよう光源2を発光駆動する。
【0031】上記構成による測定モード時の光ビームの走査切り替え制御について説明する。測定モード時には、操作スイッチ等によって光ビームの走査を1点型あるいは走査型に切り替えることができる。走査型が選択された際には、光源2からの光が偏向手段3によって所定範囲で走査されて測定対象面10aに照射される。この走査型として装置が機能している際には、光ビームの走査によって測定対象面10aの走査方向(X方向)の変位量を連続的に測定していくことができる。
【0032】1点型が選択された際には、光源2は、所定周期で間欠的に発光駆動される。この際、偏向手段3は、走査型のときと同様に所定範囲で光ビームを走査する動作を行う。即ち、走査開始手段22から出力される走査開始信号に基づき、計数手段23がクロックを計数し、上記した1点の照射点に到達した際にのみ光ビームを出射するよう光源2を発光駆動する。これにより、毎回の走査に対応した所定周期毎に、測定対象面10aの同一の照射点Pに光ビームが照射され、この照射点Pの変位量を測定することができる。
【0033】このような1点測定型として装置が機能することにより、変位信号を汎用のアナログ式時間送りレコーダや、X−Yレコーダに出力することができるようになり、これら簡易な記録計で変位量を測定記録できるようになる。また、常に同一である1か所の照射点Pのみ光ビームが照射されるため、測定対象物10に対する光ビームの照射位置を目視で判断できるようになる。
【0034】なお、上記構成の説明では、装置が1点型として機能する際において、偏向手段3が連続動作する例を説明したが、これに限らない。例えば、偏向手段3による偏向動作を停止させ、途中位置で固定保持させることにより、光源2からの光ビームを連続して測定対象面10a上の1点に照射できるようになる。この際、照射点が任意の角度となるよう、偏向手段3による偏向の角度を調整できるよう構成することが望ましい。
【0035】次に、上記装置の校正モードについて説明する。図4は、この校正モード時の処理内容を示すフローチャートである。校正時には、測定台11上に基準となる測定対象物10を載置する。例えば測定対象面10aが所定の精度を有するブロックゲージを用いる。
【0036】そして、変位測定装置1は光ビームを測定対象面10a上の1点の照射点Pに照射する(SP1)。即ち、モード設定手段25は、装置を1点型の測定時と同様に光源2を制御して測定対象面10a上の1点に光ビームを照射させる。次に、補正機40によって変位測定装置1と測定対象面10aとの間の距離を可変させる。具体的には変位測定装置1あるいは測定台11のいずれかを高さ方向Zに相対的に連続的に移動させる(SP2)。これにより、移動量検出器41は高さ方向の移動量を検出出力する。同時に変位演算手段21は、この移動に対応して所定の変位量を出力する。
【0037】補正データ作成手段26は、これら移動量と変位量の各信号を取得する(SP3)。そして、得られた移動量から変位量を減算することにより、両者の差分を求め、これを補正データとする(SP4)。図5は、変位量の検出方向で生じる誤差を説明するための図である。図示のように、補正機40から出力される移動量は、真の変位量に対し比例する精度を有しているものとする。これに対し、実際に変位測定装置1から出力される変位量は移動量に比して高さ方向Zに偏位する値が出力される。この偏位分は、前述したように装置が有する誤差成分に相当する。
【0038】したがって、補正データ作成手段26は、移動量を基準として、所定の移動量毎に、そのときの変位量との差分を補正データとして算出する。ここで、補正機40は、高さ方向Zに対し変位測定装置1を連続的、あるいは複数の各測定高さ位置で停止させることを繰り返す構成とする。補正データ作成手段26は、補正機40の移動制御に連動して連続的、あるいは複数の各測定高さ位置での停止毎に補正データ作成処理を実行する。そして、補正機40の移動精度、および変位測定装置1の高さ方向Zの検出精度に起因するが、この高さ方向Zに対する補正データの分解能精度は前述したように12Bit(4096個)を有している。
【0039】このようにして得られた補正データは、補正データ記憶手段28に格納記憶される(SP5)。ROMなどで構成されるアドレス空間はテーブル形式とされ、各測定高さ位置別のアドレスに各補正データ(補正前の変位量及び補正値)が格納保持される。ここで、上記12Bitの分解能精度を有した場合、補正データ記憶手段28の記憶容量は、4096ワードに対応して8192Byteとなる。なお、補正データ作成手段26の分解能を低くすれば8ビット演算処理で256個のデータで済み容量を節約できる。なお、この場合でも測定モード時には補間演算により12Bitの分解能を有する補正値を作成可能である。
【0040】また、上記校正時において、変位測定装置1は測定対象面10aの1点に光ビームを照射する構成としたが、これに限らない。即ち、光ビームを走査させたままの状態であってもよい。この場合、補正データ作成手段26は、計数手段23のカウントにより光ビームが1点の照射点に到達した時期の移動量及び変位量を取得する構成とする。
【0041】次に、上記測定モード時における補正データを用いた変位量補正の処理について説明する。測定モード時における測定対象面10aに対する光ビームの照射は、上述したように1点型あるいは走査型に切り替えられる。まず、1点型における変位量補正処理について説明する。光ビームは上述したように測定対象物10aに1点の照射点Pを形成し、測定対象面10aの変位量に対応して受光素子6の受光面6aの結像点の位置が変わり、変位演算手段21によって変位量の信号が出力される。
【0042】この変位量は変位補正手段27によって補正される。変位補正手段27は、補正データ記憶手段28のテーブルから補正データを読み出す。即ち、この変位量に対応付けされた補正値を得る。そして、測定した変位量から補正値を減算処理した補正後の変位量の信号を出力する。この補正により、図5に示すように変位量は移動量(高さ方向Z)と比例関係となる直線上に位置するよう補正される。
【0043】次に、変位測定装置1を走査型として用いた際における変位量補正処理については、基本的に上記1点型のときと同様の処理内容で変位量が補正される。ここで、光ビームがX方向に走査される場合であっても、高さ方向Zの誤差を発生させるものではない。即ち、受光素子6は、この受光面6aにおいて前記走査方向Xに対する感度は有していない。即ち、受光面6a上で結像点が走査方向に移動しても移動前後で変位量の検出が変動しない特性を有している。
【0044】したがって、走査型として用いる場合には、走査方向Xのどの測定点においても、前記補正データを使用して補正できるようになる。この際、前述した補正処理同様に、変位補正手段27は、入力された変位量に対応した補正データに基づき補正演算を実行すればよい。
【0045】なお、上記実施形態では、受光系にレンズアレイ5を用いた構成を例に説明したが、これに限らない。例えば、図7に示す従来のシリンドリカルレンズ64を用いた構成においても、同様に高さ方向のZに関する変位量の誤差を補正できるようになる。
【0046】上記実施形態では、補正データを変位測定装置1の処理手段24作成する構成としたが、補正機40の制御手段42側で補正データを作成し、補正データ記憶手段28に記憶する構成とすることもできる。
【0047】〔第2実施形態〕次に、本発明の第2実施の形態について説明する。本実施の形態においては、図10及び図11に示すような受光系を有する変位測定装置30を用いる。なお、電気的構成は第1実施形態と同一である。この変位測定装置30の受光系は、第1実施の形態で用いた結像レンズ7をアレイ状に構成した結像レンズアレイFAを有する。
【0048】受光系は、集光レンズアレイCAと結像レンズアレイFAと受光素子群Pで構成されている。集光レンズアレイCAは、第1実施の形態で示したレンズアレイ5と同一の構成であり、互いに等しい焦点距離f1(例えば20mm)を有する複数(n個)の集光レンズ部CA1〜CAnが一列に並ぶように合成樹脂あるいはガラスで形成されている。
【0049】各集光レンズCA1〜CAnは、投光系から照射される照射光の走査幅寸法(例えば30mm)内にn数個並ぶように、少なくともその並列方向(走査方向)に沿ったレンズの幅dが照射光の走査幅寸法(例えば30mm)より短い(例えば5mm)略矩形状の外形を有する。また、各集光レンズCA1〜CAnは、その光軸に直交する面が球面状に形成されたレンズとなっている。すなわち、各集光レンズ部CA1〜CAnは、光をその光軸の周りに均等に絞り込むことができるレンズである。各光軸はそれぞれ平行で且つその光軸に直交する線上に連続して一列に並ぶように側面同士を密着させた状態で一体化されている。
【0050】集光レンズアレイCAは、各集光レンズCA1〜CAnの光軸が測定対象物10の表面10a上に走査される照射点P(移動軌跡PL)と交わるように配置されている。集光レンズアレイCAは照射点P(移動軌跡PL)から焦点距離f1離れた位置に配置されている。
【0051】結像レンズアレイFAは、複数(m個)の結像レンズFA1〜FAmを集光レンズアレイCAと同様、走査方向にアレイ状に連続させたレンズアレイである。なお、図面の制約上、図10では2個となっている。各結像レンズ部FA1〜FAmは入射光をその光軸の周りに均等に絞り込むことができるレンズである。各結像レンズFA1〜FAmは、その各光軸がそれぞれ平行で且つその光軸に直交する線上に連続して一列に並ぶように側面同士を密着させた状態で一体化されている。各結像レンズFA1〜FAmは、所定数の集光レンズ(図11では6個)CA1〜CA6の個数単位で対向配置される。結像レンズアレイFAは、集光レンズアレイCAからの測定光を収束して、受光素子群PAへ出射する。
【0052】受光素子群PAは、結像レンズFA1〜FAmと同数(m個)の受光素子PA1〜PAmで構成されている。各受光素子PA1〜PAmはそれぞれ各結像レンズFA1〜FAmに対応しており、それぞれ焦点距離f2離れた位置に配置されている。
【0053】各受光素子PA1〜PAmは、図10,図11に示すように、照射点Pからの測定光が結像される受光面PAaを有する。各受光素子PA1〜PAmの縦方向の両端縁には、それぞれ電極が設けられている。これらの電極からは、それぞれ結像点Kの位置に応じた電流が出力される。
【0054】上記構成によれば、各結像レンズFA1〜FAm及び集光レンズCA1〜CAnのF数を一定にでき、受光量及び両焦点距離を変えることなく、より広領域の変位測定を行えるようになる。即ち、測定対象面の走査幅を拡げることができるようになる。
【0055】上記構成の光学系においても、測定モード時における光ビームの走査は、1点型と走査型で任意に切り替えることができる。また、処理手段24は、校正モード時における補正データの作成処理についても、図4記載の処理を実行して補正データを作成することができる。
【0056】この補正データ作成は、SP1における1点の照射点を集光レンズアレイCAを構成する各集光レンズCA1〜CAnそれぞれに設定することができる。これによりSP2〜SP5の実行で各集光レンズCA1〜CAn別の補正データが作成できる。この際の照射点位置は、走査開始手段22から出力される走査開始信号を計数手段23で計数することにより、集光レンズCA1〜CAn上での走査位置を検出することができる。
【0057】そして、処理手段24は、測定モード時にも同様に計数手段23の計数によって集光レンズCA1〜CAn上での走査位置を検出し、対応してこの走査位置にある集光レンズCA1〜CAn別の補正データを読み出して、変位量を補正処理する。このように集光レンズCA1〜CAn別に補正データを作成する構成の他、結像レンズFA1〜FAn別に補正データを作成することもできる。
【0058】上記のようにレンズアレイの単位別に補正データを作成し、補正する構成は、下記の点で作用効果を有する。集光レンズCA1〜CAn別の焦点距離f1、及び結像レンズFA1〜FAn別の焦点距離f2のばらつきによる直線性の傾きが異なる。したがって、アレイを構成するレンズ単位で補正データを作成し補正することによりこれを改善できるようになる。
【0059】また、結像レンズFA1〜FAnのレンズ単位として受光系を調整する際のばらつきも直線性のばらつきが生じる。加えて、受光素子PAそのものも直線性にばらつきがある。したがって、レンズ単位で補正データを作成し、補正する構成とすることにより、これらの影響により変位量測定の精度をより向上できるようになる。なお、補正データは、最大でも集光レンズCAの個数CAnであり、補正データのデータ量の増大を招かない。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、測定対象面に照射する光を走査する状態と、1点に照射する状態を選択的に切り替えることができる。これにより、単一の装置で多様な使用形態に適合させることができるようになる。1点型として使用する際には、測定対象面の1点に光ビームが照射されるため、装置と測定対象物の位置決めを容易に行える。また、アナログの時間送りレコーダなど従来から用いられている簡単な記録計などに変位量を出力することができ、簡便な測定が行えるようになる。一方、走査型として使用する際には、測定対象面の変位量を走査方向に沿って高速に測定することができるようになる。
【0061】前記1点型として用いる際における測定対象面に対する光ビームの照射点を1点とするためには、偏向手段による走査を継続させながら、光源を1点に照射する時期にのみ発光駆動させる構成としたり、光源を継続的に発光駆動させ、偏向手段による走査を1点に照射するよう停止制御する構成となっており、いずれも走査型の基本構成で1点型として機能させることができ、単一の装置で両機能を簡単に達成できるようになる。
【0062】また、集光レンズ及び結像レンズが複数個のアレイで構成されたものにおいては、上記効果に加えて受光素子に小型で応答性の良いものを用いて測定時間を短縮できるとともに、走査幅を拡大して測定することができるようになる。さらに、各集光レンズ及び結像レンズのF数を一定にして焦点距離を変えることなく広領域の変位測定ができるようになる。
【0063】また、装置が有する変位量の検出方向の誤差は、校正モードを実行して補正することができる。校正モード時には、補正機を用いて変位量の検出方向に沿って装置と基準用の測定対象面とを相対的に移動制御した際の移動量と、変位演算手段から出力される変位量の差分に基づき補正データが作成される。これにより、通常測定時において変位演算手段から出力された変位量の検出方向の誤差を、この補正データを用いて簡単かつ正確に補正できるようになる。また、装置が1点型及び走査型として機能するいずれの場合においても同一の補正データを用いて変位量を補正することができるようになる。
【0064】さらに、補正データを集光レンズあるいは結像レンズのレンズ単位で作成し補正する構成とすれば、個々のレンズアレイの焦点距離のばらつき、複数設けられる受光素子の直線性のばらつき、結像レンズを単位とする受光系毎の調整のばらつきを補正でき、上記測定時間の短縮や広領域の変位測定をより高精度に行えるようになる。
【出願人】 【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
【出願日】 平成11年9月22日(1999.9.22)
【代理人】 【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光 (外1名)
【公開番号】 特開2001−91212(P2001−91212A)
【公開日】 平成13年4月6日(2001.4.6)
【出願番号】 特願平11−268855