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【発明の名称】 工作機械精度計測装置
【発明者】 【氏名】牛尾 雅樹

【氏名】神谷 昌秀

【氏名】松田 弘道

【氏名】山口 由彦

【要約】 【課題】簡単な構造で重量が小さく携帯性を有する工作機械精度計測装置を提供する。

【解決手段】それぞれ第1、第2のスライド軸11、12、第1、第2のスライド軸11、12が摺動可能に装着された第1、第2のスライドブッシュ13、14、及び第1、第2のスライドブッシュ13、14に対する第1、第2のスライド軸11、12の相対移動距離を測定する第1、第2の距離センサ15、16を備えた第1、第2の直線移動距離測定手段17、18を、その距離測定方向を交叉させて連結し、第1の直線移動距離測定手段17に測定しようとする工作機械の動力軸を固定し、第2の直線移動距離測定手段18は基台22に固定配置して、動力軸のXY方向の移動軌跡を測定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 それぞれ第1、第2のスライド軸、該第1、第2のスライド軸が摺動可能に装着された第1、第2のスライドブッシュ、及び前記第1、第2のスライドブッシュに対する前記第1、第2のスライド軸の相対移動距離を測定する第1、第2の距離センサを備えた第1、第2の直線移動距離測定手段を、その距離測定方向を交叉させて連結し、前記第1の直線移動距離測定手段に測定しようとする工作機械の動力軸を固定し、前記第2の直線移動距離測定手段は基台に固定配置して、前記動力軸のXY方向の移動軌跡を測定することを特徴とする工作機械精度計測装置。
【請求項2】 請求項1記載の工作機械精度計測装置において、前記動力軸が前記第1の直線移動距離測定手段に対して、前記第1の直線移動距離測定手段が前記第2の直線移動距離測定手段に対して、又は前記第2の直線移動距離測定手段が前記基台に対して、相対的に上下方向に摺動可能に取付けられていることを特徴とする工作機械精度計測装置。
【請求項3】 請求項1記載の工作機械精度計測装置において、前記第1の直線移動距離測定手段が前記第2の直線移動距離測定手段に対して相対的に上下方向に摺動可能に取付けられ、しかもその上下方向の移動距離を測定する第3の距離センサが設けられ、前記動力軸のZ方向の移動軌跡も合わせて測定可能なことを特徴とする工作機械精度計測装置。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の工作機械精度計測装置において、前記第1、第2の直線移動距離測定手段の第1、第2のスライド軸及びこれと対となる第1、第2のスライドブッシュは、それぞれ摺動部分に圧縮気体が流れる気体軸受からなることを特徴とする工作機械精度計測装置。
【請求項5】 請求項3記載の工作機械精度計測装置において、前記第3の距離センサは、第3のスライド軸、該第3のスライド軸が摺動可能に装着された第3のスライドブッシュを有する第3の直線移動距離測定手段に、前記第3のスライドブッシュに対する前記第3のスライド軸の相対移動距離を測定可能に備えられ、前記第3の直線移動距離測定手段は、前記第1、第2の直線移動距離測定手段にその距離測定方向を交叉させて連結され、前記第1〜第3の直線移動距離測定手段の第1〜第3のスライド軸及びこれと対となる第1〜第3のスライドブッシュは、それぞれ摺動部分に圧縮気体が流れる気体軸受からなることを特徴とする工作機械精度計測装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、工作機械の加工精度を測定、評価するための工作機械精度計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の精密加工技術には、NC工作機械の高い加工精度が必要とされている。NC工作機械には、誤差を補間する動作補間機能が備えられているが、これの評価方法として、例えば、実切削加工法と円弧軌跡測定法がある。実切削加工法は、工作物をNC工作機械の動力軸に取付けたエンドミルによって実際に切削加工し、その後、工作物を取外し、精密測定器で工作物の加工形状を計測、評価する方法である。一方、円弧軌跡測定法は、まず、NC工作機械のテーブル上に球面受を、その上に磁着物である球体を設置し、動力軸には球面座を取付け、作動トランス等の測長器を内蔵する半径方向伸延棒を磁石によって球体及び球面座に支承させておく。そして、テーブル上の球面受の中心を回転中心としてNC工作機械の動力軸を円運動させ、その軌跡を測定し、評価するものである。しかしながら、前記実切削加工法は、エンドミル等の切削工具に起因する切削加工の誤差等が計測結果に混在するため、動力軸の位置を正確に計測することができなかった。
【0003】また、円弧軌跡測定法では、円弧形状以外の形状には対応できず、例えば、直線補間や、自由曲線等を表現する関数式を用いたNURBUS補間で指定される軌跡には対応することができなかった。これらの問題点を解決するための計測装置として、特開平11−58182号公報に開示されているものがある。図10に示すように、計測装置100のベースプレート110上には、上下方向に段違い状態で、かつ、直交状態に、X方向可動リニアガイドレール111とY方向可動リニアガイドレール112とが配設されている。X方向可動リニアガイドレール111の両端は、それぞれ、ベースプレート110の左右縁に沿って配設された左、右固定リニアガイドレール113、114上をY方向に移動自在なサポート用リニアガイドブロック115、116上に載置されている。一方、Y方向可動リニアガイドレール112の両端は、それぞれ、ベースプレート110の前後縁部に沿って配設された前、後固定リニアガイドレール117、118上をX方向に移動自在なサポート用リニアガイドブロック119、120上に載置されている。従って、X、Y方向可動リニアガイドレール111、112はY、X方向にそれぞれ平行移動することができる。
【0004】X方向可動リニアガイドレール111と、Y方向可動リニアガイドレール112の直交部には矩形箱体からなる主ブロック121がX、Yのそれぞれの方向に移動可能に配設されている。そして、主ブロック121は、連結軸124を介して工作機械の動力軸125に連結されている。動力軸125を移動すると主ブロック121も移動し、これに連動してX方向可動リニアガイドレール111とY方向可動リニアガイドレール112もそれぞれY、X方向に平行移動する。また、X方向可動リニアガイドレール111の上面とY方向可動リニアガイドレール112の下面には、それぞれ、略全長にわたってリニアスケール126、127が取付けられており、図示しない位置検出ヘッドによって位置データを検出することができる。このように構成することによって、動力軸125の円弧軌跡以外の移動軌跡を測定することができた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従来の計測装置100は、動力軸125を移動するときに摺動する部分がX、Y方向にそれぞれ3箇所ずつ、計6箇所あり、これを支持するレール部材を6本必要としていた。このため、計測装置100の構造が複雑になり、また、重量が大きくなっていた。また、NC工作機械を測定しようとする場合には、計測装置100の構造が複雑であるため分解、組立てに時間がかかり、重量が大きいため移動が困難で、さらに部材の数が多いため組み立て後の調整に時間がかかっていた。本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、簡単な構造で重量が小さく携帯性を有する工作機械精度計測装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う本発明に係る工作機械精度計測装置は、それぞれ第1、第2のスライド軸、該第1、第2のスライド軸が摺動可能に装着された第1、第2のスライドブッシュ、及び前記第1、第2のスライドブッシュに対する前記第1、第2のスライド軸の相対移動距離を測定する第1、第2の距離センサを備えた第1、第2の直線移動距離測定手段を、その距離測定方向を交叉させて連結し、前記第1の直線移動距離測定手段に測定しようとする工作機械の動力軸を固定し、前記第2の直線移動距離測定手段は基台に固定配置して、前記動力軸のXY方向の移動軌跡を測定する。工作機械の動力軸は、第1の直線移動距離測定手段の第1のスライド軸、又は第1のスライドブッシュのいずれか一方に固定する。そして、第1のスライド軸、又は第1のスライドブッシュのうち動力軸に固定しない他方の部材は、第2の直線移動距離測定手段の第2のスライド軸、又は第2のスライドブッシュのいずれか一方に交叉させて連結する。そして、第2のスライド軸、又は第2のスライドブッシュのうち、第1の直線移動距離測定手段に連結されない他方の部材は基台に固定配置される。このように構成することによって、2本のスライド軸だけで、平面移動する動力軸の移動軌跡を測定することができる。
【0007】ここで、前記動力軸を前記第1の直線移動距離測定手段に対して、前記第1の直線移動距離測定手段を前記第2の直線移動距離測定手段に対して、又は前記第2の直線移動距離測定手段を前記基台に対して、相対的に上下方向に摺動可能に取付けることも可能である。このように構成することによって、動力軸の基台に対する上下動を摺動部分で吸収して、測定誤差を小さくすることができる。また、前記第1の直線移動距離測定手段を前記第2の直線移動距離測定手段に対して相対的に上下方向に摺動可能に取付け、しかもその上下方向の移動距離を測定する第3の距離センサを設け、前記動力軸のZ方向の移動軌跡も合わせて測定可能にしてもよい。第3の距離センサを設けて上下方向の移動距離も合わせて測定しているので、空間移動する動力軸の移動軌跡を測定することができる。さらに、前記第1、第2の直線移動距離測定手段の第1、第2のスライド軸及びこれと対となる第1、第2のスライドブッシュを、それぞれ摺動部分に圧縮気体が流れる気体軸受にすることも可能である。気体軸受を使用することによって非接触で摺動するので、摩擦による発熱がなくなり、また、振動の影響も小さくすることができて、高い位置精度を得ることができる。また、前記第3の距離センサを、第3のスライド軸、該第3のスライド軸が摺動可能に装着された第3のスライドブッシュを有する第3の直線移動距離測定手段に、前記第3のスライドブッシュに対する前記第3のスライド軸の相対移動距離を測定可能に備え、前記第3の直線移動距離測定手段を、前記第1、第2の直線移動距離測定手段にその距離測定方向を交叉させて連結し、前記第1〜第3の直線移動距離測定手段の第1〜第3のスライド軸及びこれと対となる第1〜第3のスライドブッシュを、それぞれ摺動部分に圧縮気体が流れる気体軸受からなる構成とすることも可能である。3軸をそれぞれ気体軸受とするので、二次元測定、又は三次元測定のときの測定誤差を小さくすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る工作機械精度計測装置10は、それぞれスライド軸11、12(第1、第2のスライド軸)と、スライド軸11、12がY、X方向に摺動可能に装着されたスライドブッシュ13、14(第1、第2のスライドブッシュ)と、スライドブッシュ13、14に対するスライド軸11、12の相対移動距離を測定する距離センサ15、16(第1、第2の距離センサ)を備えた直線移動距離測定手段17、18(第1、第2の直線移動距離測定手段)を有している。以下、詳しく説明する。
【0009】図2に示すように、スライド軸11、12、及びこれと対となるスライドブッシュ13、14は、アルミナ等のセラミックスからなってそれぞれ摺動部分に圧縮気体の一例である空気が流れる気体軸受によって構成されている。可撓性管19からスライドブッシュ13、14に供給された空気は、図示しない絞りを介して約4kgf/cm2 程度の加圧空気をスライド軸11、12に噴出し、発生した静圧によってスライドブッシュ13、14を浮上させている。材質がセラミックスであるので、部材変形が小さく高精度の加工ができ、比重が小さいので重量を軽くすることができる。また、部材の経年変化が少なく、耐摩耗性に優れ、接触した場合にも傷がつきにくくなっている。さらに、熱膨張係数が小さいので温度変化による誤差が生じにくく、さびにくく、水を吸収しないので膨潤変形がないという利点がある。
【0010】また、非接触の気体軸受を使用するので、スティックスリップ(すべり面の運動が間欠的になる現象)を起こさずに再現性に優れている。また、摺動抵抗が極めて小さいので、高い位置精度での測定が可能となり、さらに、摩擦による発熱が無いため、高速移動が可能となっている。セラミックス製のスライド軸11、12とスライドブッシュ13、14に気体軸受を使用してこのように高精度の測定を行うことができるが、安価にするためにSUS製のスライド軸とスライドブッシュに転がり軸受を組み合わせて使用することも可能である。
【0011】図1に示すように、スライドブッシュ14に側方から挿入したスライド軸12は、台座20、21によって両端部24、25の下側を固定支持され、台座20、21は基台22に固定配置されている。このとき、スライドブッシュ14は、基台22との間に隙間を有して、スライド軸12に沿って摺動移動可能となっている。また、図1、図3に示すように、スライド軸12の両端部24、25の上側には、平面視してコ字状のブラケット23の両端部がそれぞれボルト26によって取付けられ、このとき、ブラケット23の中央部は、スライドブッシュ14の側部との間に隙間を有し、且つ、スライド軸12と平行に設けられている。ブラケット23の内側(スライドブッシュ14側)には、スケール27がスライド軸12と平行に取付けられている。また、スライドブッシュ14の側部には、スケール27に対向し少しの隙間を有してスケールの目盛を読み取り可能な読み取りヘッド28が取付けられている。そして、スケール27、及び読み取りヘッド28によって距離センサ16を構成している。この距離センサ16には、磁気、光、電波等を利用したものを使用することができる。
【0012】図1、図4に示すように、スライドブッシュ14の上部には固定板29が取付けられ、固定板29には軸芯を上下方向に向けた直動軸受30が3箇所に均等配置されている。一方、スライド軸11の両端部31a、32aの上側には、ブラケット23と同形状のブラケット33の両端部がそれぞれ取付けられている。さらに、ブラケット33の内側(スライドブッシュ13側)には、スケール34がスライド軸11と平行に取付けられ、また、スライドブッシュ13の側部には、スケール34に対向し少しの隙間を有して読み取りヘッド35が取付けられている。そして、スケール34、及び読み取りヘッド35によって距離センサ15を構成している。スライド軸11を側方から挿入したスライドブッシュ13の下部には、昇降板31が取付けられ、昇降板31には下方に伸延して直動軸受30に挿入される昇降軸32が3本設けられている。昇降軸32を直動軸受30に挿入することによって、直線移動距離測定手段17は直線移動距離測定手段18に対して、その距離測定方向が交叉するように平面視したとき実質的に直交するように連結され、また、相対的に上下方向に摺動可能に取付けられている。このように構成することによって、工作機械の動力軸の上下動を昇降軸32及び直動軸受30で吸収して精度良く測定を行うことができる。
【0013】直線移動距離測定手段17のブラケット33の両端部31a、32aの上側には、中央に取付け長孔36が形成された取付け部材37の両端部がブラケット33を介してそれぞれボルト26によって取付けられている。そして、取付け長孔36には、工作機械の図示しない動力軸を固定する取付け軸38が、その取付け位置を取付け長孔36の長手方向に沿って変更可能に取付けられている。取付け長孔36が形成されているので、スライド軸11の一側がスライドブッシュ13から突出して下方に傾くときには取付け軸38の取付け位置をスライド軸11が突出した方に移動して、動力軸でスライド軸11を上方から支持してその傾きを抑えることができる。このように、直線移動距離測定手段17に測定しようとする工作機械の動力軸を取付け軸38及び取付け部材37を介して固定することによって、動力軸のXY方向の移動軌跡を測定することができる。
【0014】次に、使用方法について説明する。工作機械精度計測装置10を基台22に設置し、取付け軸38を工作機械の動力軸に固定する。そして、工作機械にNC制御装置から命令を与えて任意の軌跡動作を行わせると、動力軸は、取付け軸38を任意軌跡で平面移動させる。取付け軸38に取付け部材37を介して取付けられたスライド軸11は、スライドブッシュ13に対してY方向に直線的に移動し、スライド軸11にブラケット33を介して取付けられたスケール34もこれに追随して移動する。スライド軸11のスライドブッシュ13に対するY方向の相対位置は、読み取りヘッド35で検出され、電気信号として出力される。なお、このときの動力軸のZ方向の移動位置誤差は、昇降軸32及び昇降軸受30によって吸収される。
【0015】スライドブッシュ13の下方に昇降軸32及び昇降軸受30を介して取付けられたスライドブッシュ14は、スライド軸12に対してX方向に直線的に移動し、スライドブッシュ14に取付けられた読み取りヘッド28もこれに追随して移動する。スライドブッシュ14のスライド軸12に対するX方向の位置は、読み取りヘッド28がスケール27を検出することによって行われ、電気信号として出力される。それぞれ出力されたX方向、Y方向の相対位置データは、図示しない計測制御装置内で合成されて位置座標データとなり、一定時間おきに測定した位置座標データを集計して、軌跡座標データとすることができる。この軌跡座標データは、ディスプレイに表示、又は印刷して比較評価することができ、また、電磁気的方法によって保存することも可能である。
【0016】次に、第3の距離センサを追加した変形例を示す。図4に二点鎖線で示すように、スライドブッシュ14の側部に読み取りヘッド39を取付け、読み取りヘッド39に対向させ、且つ、少しの隙間を有してスケール40を垂直方向に設け、スケール40を裏側から支持するブラケットの上端部を昇降板31に取付けることができる。読み取りヘッド39及びスケール40を有する距離センサ41(第3の距離センサ)によって直線移動距離測定手段18に対する直線移動距離測定手段17の上下方向の移動距離を測定して、動力軸のZ方向の移動軌跡も合わせて測定することが可能となり、ロボットのアーム等の3次元動作を行う対象物も測定することができる。続いて、第3の距離センサを追加した他の変形例について説明する。図5(A)、(B)に示すように、距離センサ67(第3の距離センサ)は、スライド軸68(第3のスライド軸)、スライド軸68が摺動可能に装着されたスライドブッシュ69(第3のスライドブッシュ)を有する直線移動距離測定手段70(第3の直線移動距離測定手段)に、スライドブッシュ69に対するスライド軸68の相対移動距離を測定可能に備えられ、直線移動距離測定手段70は、直線移動距離測定手段17、18にその距離測定方向を交叉させて連結され、直線移動距離測定手段17、18、70のスライド軸11、12、68及びこれと対となるスライドブッシュ13、14、69は、それぞれ摺動部分に圧縮気体が流れる気体軸受から構成されている。スライドブッシュ13、14には、ボルト71によって固定板73、74がそれぞれ固着され、スライドブッシュ69は、固定板74にボルト72によって固定されている。一方、スライド軸68は、固定板73にボルト72によって固定されている。また、二点鎖線で示すように、スライドブッシュ69の側部に読み取りヘッド75を取付け、読み取りヘッド75に対向させ、且つ、少しの隙間を有してスケール76を鉛直方向に設け、スケール76を裏側から支持するブラケット77の上端部を固定板73に取付けている。3軸をそれぞれ気体軸受とするので、二次元測定、又は三次元測定のときの上下方向の誤差を小さくすることができる。
【0017】次いで、測定精度を向上させた距離センサの取付け位置の変形例を示す。図6に示すように、スライド軸(第2のスライド軸)42の長さ方向の半分より少し左側の上部には、読み取りヘッド43が読み取り方向をスライド軸42の中心軸(図中の一点鎖線)に向けて設けられている。また、読み取りヘッド43に対向するスケール44が、スライドブッシュ(第2のスライドブッシュ)45の側部に固定された状態で、その表面をスライド軸42の中心軸に一致させて設けられている。スライドブッシュ45が左右に移動すると、スケール44もこれに追従して移動し、このときの移動距離を読み取りヘッド43で読みとることができる。ここで、アッベ(E.Abbe)の原理によると、図3に示すように、前記実施の形態においては、スライドブッシュ14の中心からスケール27までの距離がhだけ離れているときに、スライドブッシュ14が微小角度Δθ傾くと、読み取りヘッド28の先端はスケール27の長手方向に移動するので、このときの測定誤差δL1は、δL1=hΔθとなる。
【0018】一方、本変形例において、図6に示すようにスライドブッシュ45の中心からスケール44の被測定点までの距離がHだけ離れているときに、スライドブッシュ45が微小角度Δθ傾くと、スケール44の読み取り点は、読み取りヘッド43の向きと同じ方向に移動するので、測定誤差δL2は、δL2=HΔθ2 /2となる。同じΔθの傾きがあっても、変形例のように構成しておくと、測定誤差は、微小角度Δθの二次の微小量にすることができる。このように、アッベの原理を守ると、スライド軸42とスケール44を一直線上に配置することになるので、測定範囲はスライド軸42の長さの半分になる。測定範囲を広くしたいときは、前記実施の形態に示すようにスケール27を設置し、測定精度を重視する場合には、本変形例に示すようにスケール44を設置するとよい。
【0019】続いて、第1、第2の直線移動距離測定手段の連結手段についての変形例を示す。ここで、図7(A)〜(C)においては、直線移動距離測定手段46〜51を、それぞれ昇降軸52〜54を介して上下に設けているが、各図中の直線移動距離手段46〜51のそれぞれの移動方向は、下段に設けている直線移動距離測定手段47、49、51はX方向に、上段に設けている直線移動距離測定手段46、48、50はY方向に移動可能に連結されている。図7(A)に示すように、工作機械精度計測装置55は、直線移動距離測定手段46、47(第1、第2の直線移動距離測定手段)を有している。なお、直線移動距離測定手段47は、直線移動距離測定手段18と実質的に同じ構成としているので、説明は省略する。直線移動距離測定手段46は、ブラケット56を下側に向け、ブラケット56に取付けた昇降軸52を介して直線移動距離測定手段47に連結し、図示しない距離センサは、ブラケット56とスライドブッシュ57に設けられている。また、スライドブッシュ57の上部には、取付け軸58が取付けられている。取付け軸58を介して直線移動距離測定手段46に工作機械の動力軸を固定して、動力軸を移動させると直線移動距離測定手段46、47はこれに追従して移動し、動力軸のXY方向の移動軌跡を測定することができる。
【0020】図7(B)に示すように、工作機械精度計測装置59は、直線移動距離測定手段48、49(第1、第2の直線移動距離測定手段)を有している。直線移動距離測定手段49は、スライドブッシュ60を基台に固定配置している。直線移動距離測定手段49は、ブラケット61を上側に向け、これに昇降軸53を介して直線移動距離測定手段48を連結している。直線移動距離測定手段48のブラケット62も上側に向けて設けられ、ブラケット62の上部には、取付け軸64が設けられている。図示しない距離センサは、ブラケット61、62及びこれに対向して設けられたスライドブッシュ60、63に取付けられている。取付け軸64を介して直線移動距離測定手段48に工作機械の動力軸を固定して、動力軸を移動させると直線移動距離測定手段48、49はこれに追従して移動し、動力軸のXY方向の移動軌跡を測定することができる。
【0021】図7(C)に示すように、工作機械精度計測装置65は、直線移動距離測定手段50、51(第1、第2の直線移動距離測定手段)を有している。直線移動距離測定手段50、51は、それぞれ直線移動距離測定手段46、49と実質的に同じ構成としているので説明は省略する。直線移動距離測定手段50に設けられた取付け軸66を介して直線移動距離測定手段50に工作機械の動力軸を固定して、動力軸を移動させると直線移動距離測定手段50、51はこれに追従して移動し、動力軸のXY方向の移動軌跡を測定することができる。
【0022】以上、本発明に係る実施の形態について説明してきたが、本発明は、前記実施の形態に限定されるものではなく、例えば、第1の直線移動距離測定手段を上側、第2の直線移動距離測定手段を下側に配置して連結するようにして説明してきたが逆でもよい。また、第1、第2の直線移動距離測定手段が移動するXY方向は直交するものとして説明してきたが、方向が異なっていて、交叉していればよい。さらに、昇降軸及び直動軸受による昇降機構は、第1、第2の直線移動距離測定手段の間に設けた状態について説明したが、相対的に上下方向に摺動可能となるように動力軸と第1の直線移動距離測定手段の間に設けてもよく、また、第2の直線移動距離測定手段と基台の間に設けてもよい。
【0023】
【実施例】図8に比較例を示し、図9に実施例を示す。使用した比較例は、従来例に係る計測装置(特開平11−58182号公報に開示されている6軸タイプ)の各摺動部分を空気の流れる気体軸受に置き換えて精度を高めたものである。また、実施例は、前記実施の形態で説明した2軸タイプのものである。図8、図9の縦軸及び横軸は、それぞれ原点からX方向、Y方向の移動距離を示している。また、図中に2点鎖線で示す移動基準線からの誤差は1000倍にして表示している。比較例では、図8に示すように、円弧補間の誤差を測定し、振幅約2μmの振動を観測することができた。一方、実施例でも、図9に示すように、円弧補間の誤差を測定した。従来例と同様に振幅約2μmの振動を観測することができた。このように、構成を簡単にしても6軸タイプと同様の高い精度を得ることができることが確認できた。
【0024】
【発明の効果】請求項1〜5記載の工作機械精度計測装置においては、第1、第2の直線移動手段を交叉させて連結するので、2本のスライド軸だけで、平面移動する動力軸の移動軌跡を測定することができ、構造を簡単にし、重量を軽くして、簡単に携帯することができる。特に、請求項2記載の工作機械精度計測装置においては、動力軸を基台に対して、相対的に上下方向に摺動可能に取付けることもできるので、動力軸の基台に対する上下動を摺動部分で吸収して、測定誤差を小さくすることができる。請求項3記載の工作機械精度計測装置においては、第3の距離センサを設けて上下方向の移動距離も合わせて測定しているので、空間移動する動力軸の移動軌跡を測定することができる。請求項4記載の工作機械精度計測装置においては、気体軸受を使用するので、非接触で摺動し、摩擦による発熱がなくなり、また、振動の影響も小さくすることができ、高い位置精度を得ることができる。そして、請求項5記載の工作機械精度計測装置においては、3軸をそれぞれ気体軸受とするので、二次元測定、又は三次元測定のときの上下方向の誤差を小さくすることができ、また、摺動抵抗が小さくなるので、さらに正確な測定を行うことができる。
【出願人】 【識別番号】597168228
【氏名又は名称】折尾精密株式会社
【識別番号】591065549
【氏名又は名称】福岡県
【識別番号】396020800
【氏名又は名称】科学技術振興事業団
【出願日】 平成11年9月20日(1999.9.20)
【代理人】 【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
【公開番号】 特開2001−91203(P2001−91203A)
【公開日】 平成13年4月6日(2001.4.6)
【出願番号】 特願平11−264956