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【発明の名称】 巻尺ケース
【発明者】 【氏名】原 毅

【要約】 【課題】従来の巻尺ケースは、テープ幅に合わせた専用ケースとなっていたが、幅の異なる各ケースに共通して使用することができると共に、金型の製作費をも低減させることができる巻尺ケースを提供することを目的とする。

【解決手段】巻尺ケース1を、少なくとも前壁21と後壁と底壁23の部分を有する周回形状の周回壁2と、周回壁2の左側の周縁側部25に係合する左側壁3と、右側の周縁部25に係合する右側壁4とで構成し、これにより、左側壁3と右側壁4は幅の異なる各ケースに共通して使用することができ、また、金型の構造も簡素化することができるため、金型を安価に製作することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】テープを巻回する回転ドラムを収容するケースであって、少なくとも前壁と後壁と底壁の部分を有する周回形状の周回壁と、周回壁の幅方向の左周縁部に係合する左側壁と、右周縁部に係合する右側壁から構成されている3ピース構造のケースであることを特徴とする巻尺ケース【請求項2】前記左側壁と右側壁の周縁部が突条となっており、その突条が前記周回壁の方向に形成されていることを特徴とする請求項1の巻尺ケース【請求項3】前記周回壁の幅方向左右の周縁側部に、前記突条の先端を嵌入することができる溝が形成されていることを特徴とする請求項1の巻尺ケース【請求項4】前記周回壁の前壁下方に、テープが出入りする開口が設けられていることを特徴とする請求項1の巻尺ケース【請求項5】テープを巻回する回転ドラムを収容するケースであって、少なくとも前壁と後壁と底壁の部分を有する周回形状の周回壁と、周回壁の幅方向の左周縁部に係合する左側壁と、右周縁部に係合する右側壁から構成されている3ピース構造のケースにおいて、前記左側壁と右側壁の周縁部が前記周回壁の方向に立ち上がる立ち上がりを形成しており、その立ち上がりの、前記周回壁の前壁下方のテープ出入口部分となる位置に、テープ出入口と続く切り欠きが設けられていることを特徴とする巻尺ケース【請求項6】前記周回壁の幅方向左右の周縁側部に、前記立ち上がりの先端を嵌入することができる溝が形成されていることを特徴とする請求項5の巻尺ケース【請求項7】前記周回壁を樹脂素材で成形し、前記左側壁と右側壁を金属素材で成形していることを特徴とする請求項1または請求項5の巻尺ケース
【発明の詳細な説明】【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、巻尺ケースに関するもので、特に幅の異なるケースに共通して使用することができる一部の部品を共通化した巻尺ケースに関するものである。
【0002】
【従来技術と問題点】今日、巻尺ケースの素材には樹脂素材が多く用いられており、各種成型機械により成型され、その内部に測定メモリが印刷されたテープを付勢状態に巻回する回転ドラムが収容されて、自動巻き取り式巻尺として出荷されている。この巻尺ケースは、ケースのほぼ中央から左右に分けた形状のハーフケース形状であり、左右それぞれのケースが成型機械により成型され、内部に回転ドラム等の各部材が収容されて、最終的に左右のケースを合わせ一つの巻尺ケースにしている。
【0003】しかし、巻尺はテープ全長とテープ幅が異なることによって、一機種の中にも数種類のタイプが存在するため、特に、テープ幅が異なることにより、そのテープを巻回している回転ドラムを収容するケースの幅も必然的にその回転ドラムの幅に合わせて変化するのである。このため、巻尺一機種に付いて幅の異なるケースを数種類用意しなければならなかった。
【0004】それには、ケースを成型するための金型も、幅を変えたケースの数だけ揃えなくてはならず、しかし、巻尺ケースは左ハーフケースと右ハーフケースを合わせて一つのケースとしているため、ケースを成型する金型は、左ハーフケース用と右ハーフケース用を用意しなければならなかった。これにより、巻尺製造に際してケース部品の管理が大変であり、また、ケースを成型するための金型も精密性を要求されると共に、複雑な形状となることが多く、よって金型の製作費が高額となっていた。
【0005】
【目的】本発明は上述した問題点に鑑みてなされたもので、組み立て効率を低下させることなく、ケース部品の共通化を図ると共に、金型の製作費をも低減させることができる巻尺ケースを提供することを目的とするものである。
【0006】
【問題を解決するための手段】本発明の要旨とするところは、テープを巻回する回転ドラムを収容するケースであって、少なくとも前壁と後壁と底壁の部分を有する周回形状の周回壁と、周回壁の幅方向の左周縁部に係合する左側壁と、右周縁部に係合する右側壁から構成されている3ピース構造のケースであることを特徴とする巻尺ケースである。周回形状とは、前壁と後壁と底壁を巡って前壁に至る形状を指すものであるが、ここでは、前壁・後壁・底壁すべての壁が連続しているものと、底壁と前壁との間に適当な空間が開いているものを指すものである。前壁から上に赴き後壁にかけての天壁は、前壁または後壁の一部を構成するものと考え、特に明示しない。
【0007】本発明の巻尺ケースをさらに詳しく説明すると、ケース中央に位置する前壁と後壁と底壁の部分を備える周回壁のその幅方向に位置する左右の周縁部に、ケースの左側壁と右側壁になる壁部材が、周回壁を挟むように取り付けられている構造のケースである。すなわち、少なくとも左側壁・周回壁・右側壁の3つの主な部材からなる3ピース構造のケースであるが、テープ出入口を有する部材を加えてもよい。
【0008】左側壁・周回壁・右側壁の各部材を取り付ける方法として、具体的に、左側壁と右側壁をネジ等で締めつけることにより、中央の周回壁が挟持されて3部材が固定されるようにしたり、左側壁と右側壁を周回壁に直接ネジ等により取り付けてもよい。また、左側壁と右側壁の周縁部を周回壁の方向に適当な突条を設け、その突条の先端を周回壁の周縁側部に形成した溝に嵌入させ、左側壁と右側壁をネジ等で締めつけるようにしてもよい。この周縁部とは、周縁の付近も含む。
【0009】さらには、左側壁と右側壁の周縁部を周回壁の方向に適当な高さに立ち上げて立ち上がり(突条より長い壁様のもの)を形成する共に、その立ち上がりの、周回壁の前壁下方のテープ出入口部分となる所に、テープ出入口と続く切り欠きを設けるようにして、立ち上がりの先端を周回壁の周縁側部に形成した溝に嵌入させ、左側壁と右側壁をネジ等で締めつけるようにしてもよい。この周縁部とは、周縁の付近も含む。そして、左右側壁と周回壁との固定方法として、突条または立ち上がりの先端付近に凸部を設け、また、溝の側壁に凹部を設けて、それらの係着により左右側壁と周回壁とを固定するようにしてもよい。
【0010】周回壁は、少なくとも前壁と後壁と底壁の部分を有する周回形状の壁体であり、左側壁・周回壁・右側壁の各部材が取り付けられることによって、テープが出入りするテープ出入口が形成されるようになっているが、周回壁の前壁下方に適宜開口を設けてテープ出入口としてもよい。また、前壁と後壁と底壁に上壁を加えてケースの形状を四角形にしてもよく、さらには、底壁以外の壁を円周形状にしてもよく、そのとき、頂点より前側が前壁となり頂点より後ろ側が後壁となる。多角形の場合もこれと同様である。
【0011】本ケースに用いる素材として、周回壁には樹脂素材を左側壁と右側壁には金属素材を用いるのが望ましい。例えば、左右側壁の金属素材として、鉄やステンレスまたチタン等を用いて形成し、周回壁の樹脂素材として、プラスチックやポリカーボネートまた硬質ゴム等を用いて形成してもよい。しかし、この用い方に限定するものではなく、左側壁・右側壁・周回壁すべてを樹脂素材または金属素材で形成したりしてもよく、適宜好適素材によって形成すればよい。
【0012】
【作用】本発明の巻尺ケースは以上のように構成されているので、巻尺の製造に際しては、周回壁の片側に左側壁または右側壁をセットし、部品を中に入れてから、他の壁を周回壁に嵌めればよく、異なる幅の周回壁を数種取り揃えて、ケースの左側壁と右側壁を共通部品として、周回壁のみを取り替えて幅の異なる巻尺ケースを製造する。ケース金型の製作にあたっても、左側壁と右側壁の金型は一種類づつで済み、中央の周回壁のみ取り揃えるケースの種類数だけ製作すればよい。
【0013】また、周回壁を共通部品として、ケースの左側壁と右側壁を取り揃えるケースの種類数だけ用意すればよい。ケース金型の製作にあたっても、周回壁の金型は一種類で済み、ケースの左側壁と右側壁を取り揃えるケースの種類数だけ製作すればよい。
【0014】そして、共通部品化により、その部品は取り揃えるケース数種すべてに用いることができる。また、左側壁・周回壁・右側壁の金型を個別に製作することができるため、金型の構造を簡素化することができる。
【0015】ケースの組み立てにおいても、左側壁と右側壁の突条または立ち上がりの先端を周回壁の周縁側部の溝に嵌入させることで、各部材の位置を即座に決めることができる。
【0016】
【実施例】本発明の巻尺ケースを以下図面に従って説明すると、図1は、本発明に係わる巻尺ケースの分解正面図であり、1は巻尺ケース、2は巻尺ケース1の中央部材となる周回壁で、前壁21と後壁22(図3参照)と底壁23を有しており、また、前壁21の下方にメモリが印刷されたテープ83(図5参照)が出入りするテープ出入口24が設けられている。3は巻尺ケース1の左側の壁となる左側壁、4は右側の壁となる右側壁で、周回壁2の周縁側部25に係合する。
【0017】前壁21や底壁23また左側壁3や右側壁4に、テープ83を停止させるテープの制動装置を設けてもよく、その制動装置も、停止ロックすることができる制動装置または操作している時に停止させておくことができる簡易制動装置を適宜設ければよい。
【0018】図2は、巻尺ケースの一部分解縦断面図であり、周回壁2の左右の周縁部25の溝26に、左側壁3と右側壁4の突条31と41の先端32と42が嵌入される。33また43は左側壁3と右側壁4を締めつけるネジのネジ孔であり、34また44は回転ドラム81(図5参照)を支持する軸8(図5参照)を取り付ける軸ネジ孔である。
【0019】図3は、周回壁の側面図であり、2はケースの中央部分となる周回壁で、21は前壁、22は後壁、23は底壁である。24はテープ83が出入りするテープ出入口(破線の部 25は周縁側部であり溝26が設けられている。この溝26も、左側壁3と右側壁4に設けた突条31また41に合わせて、全周に渡り設けるようにしたり、適当な位置に部分的に設けるようにしてもよい。
【0020】図4は、左側壁の側面図であり、3は巻尺ケース1の左側の壁となる左側壁で、31は周縁に設けている突条、33は左側壁3と右側壁4を締めつけるネジのネジ孔、34は回転ドラム81(図5参照)を支持する軸8(図5参照)を取り付ける軸ネジ孔である。また、右側壁4の側面図は、本左側壁3の側面図と対象形状であるため、省略している。
【0021】図5は、回転ドラムを収容した状態の巻尺ケースの縦断面図であり、8は回転ドラム81を支持する軸で、回転ドラム81にはテープ83が巻回され、内部にはテープ83を巻き取る巻き取りバネ82が備えられている。
【0022】図6は、突条の位置を少し内にした巻尺ケースの一部分解縦断面図であり、左側壁3と右側壁4に設けた突条31また41を周縁より少し内側に設けることによって、周回壁2の外周面と左側壁3また右側壁4の外周面を面一にすることができ、周回壁2・左側壁3・右側壁4の段差がなくなる。
【0023】図7は、左側壁の先端と周回壁の溝との一係着例を示す部分拡大図であり、左側壁3または右側壁4と周回壁2の固定に際し、左側壁3と右側壁4の突条31また41の先端付近に凸部35また45を設けて、また、周回壁2の溝26の側壁27に凹部28を設けて、凸部35また45と凹部28の係着により左側壁3または右側壁4と周回壁2を固定するようにしてもよい。
【0024】図8は、他の一例の巻尺ケースの一部分解正面図であり、(a)は、左右側壁を共通部品としたものを示す。これは、各ケースに共通に使用する部品を左側壁3と右側壁4として、周回壁5の幅を変えることにより各異なる幅のテープ83を収容するようにしたものである。周回壁5の左右の周側縁に左側壁3と右側壁4が係合することによって、テープ83(図5参照)が出入りする開口53が形成される。
【0025】(b)は、周回壁を共通部品としたものを示す。これは、各ケースに共通に使用する部品を周回壁5aとして、左側壁6と右側壁7の立ち上がり61と71の幅、および、切り欠き62と切り欠き73の幅を変えたてることにより各異なる幅のテープ83を収容するようにしたものである。周回壁5aの左右の周側縁に左側壁6と右側壁7が係合することによって、テープ83(図5参照)が出入りする開口53aが形成される。
【0026】
【効果】本発明の巻尺ケースは以上のように、左側壁・周回壁・右側壁の3ピース構造としていることから、幅の異なる各ケースにも一部の部品を共通に使用することができるため、同一機種におけるケース部品の種類また総数を少なくすることができ、これによって経済的にも有利になると共に、部品管理をも容易にすることができる。
【0027】また、ケース金型の製作に際して、左側壁・周回壁・右側壁の各部分の金型を個別に製作することにより、各金型の構造を簡素化することができ、これによって金型製作時の不具合を低減することができると共に、金型の製作期間をも短縮することができる。
【0028】ケースの組み立ても、左側壁と右側壁の突条または立ち上がりの先端を周回壁の周縁側部の溝に嵌入させることにより、即座に各部材の位置が決まるため組み立て易く、ケース組み立て時の不具合を低減することができる。さらに、金型の製作費を低減することができることから製造経費の節約につながり、よって、巻尺の売価をも低減することができ市場競争力が向上する。
【出願人】 【識別番号】000165882
【氏名又は名称】原度器株式会社
【出願日】 平成11年9月24日(1999.9.24)
【代理人】 【識別番号】100071238
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 恒久
【公開番号】 特開2001−91201(P2001−91201A)
【公開日】 平成13年4月6日(2001.4.6)
【出願番号】 特願平11−271217