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【発明の名称】 空洞深さ計測方法およびそれに用いる削孔装置
【発明者】 【氏名】鶴田 桂一郎

【氏名】水野 昇

【氏名】広村 純一

【要約】 【課題】工数短縮,工期短縮,工費削減が可能な空洞深さ計測方法を提供する。

【解決手段】既設トンネルの覆工背面に生じた空洞22の深さを計測する方法であって、削孔時における削孔用ロッド2の回転トルクおよび前進距離を監視し、削孔用ロッド2で覆工面20を削孔したのち空洞22内を前進して空洞22の壁面22aに達したことを削孔用ロッド2の回転トルクの変動により検出し、削孔後から壁面22a到達時までの削孔用ロッド2の前進距離を計測することにより上記空洞22の深さを割り出すようにしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 既設トンネルの覆工背面に生じた空洞の深さを計測する方法であって、削孔時における削孔ロッドの回転トルクおよび前進距離を監視し、削孔ロッドで覆工面を削孔したのち空洞内を前進して空洞の壁面に達したことを削孔ロッドの回転トルクの変動により検出し、削孔後から壁面到達時までの削孔ロッドの前進距離を計測することにより上記空洞の深さを割り出すようにしたことを特徴とする空洞深さ計測工法。
【請求項2】 削孔ロッドを備えた削孔手段と、上記削孔ロッドの回転トルクを検出する手段と、上記削孔手段の移動距離を検出する手段と、上記両手段の検出結果から空洞の深さを算出する算出手段とを備えたことを特徴とする削孔装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、老朽化した既設トンネルを修繕するために行われるトンネル覆工背面の空洞充填工事に使用される空洞深さ計測方法およびそれに用いる削孔装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、老朽化した既設トンネルにおいて、その覆工背面に空洞が存在している場合には、覆工面(覆工コンクリート)に穴をあけ、この穴から空洞内にウレタンもしくはモルタル等を充填して埋める工事(トンネル空洞充填工事)が行われている。このトンネル空洞充填工事では、ウレタンもしくはモルタル等の充填量を決めるための空洞寸法の計測,覆工状態の把握および削孔費用算出のための覆工厚みの計測が必要となる。
【0003】そこで、従来は、覆工面に穴をあける前に、覆工表面から電磁波を照射し、その反射波により覆工背面の地質を判断する電磁波探査を実施して大きな空洞の有無を把握し、覆工背面に空洞が存在している場合には、覆工面に穴をあけたのちに、この削孔作業とは別に、図7に示すように、高所作業台車31に乗った作業員により穴30内に直尺32を入れ、覆工厚みや空洞寸法を実測している。図において、20は覆工面で、21は地山で、22は覆工背面に存在する空洞である。
【0004】一方、トンネル空洞充填工事に用いる装置については、空洞充填用の専用削孔機がなく、市販の汎用携帯レッグドリル(エアー)や据付型小型レッグドリル(エアーもしくは油圧)が通常使用されている。なお、一般にジャンボと呼ばれている大型の削孔機は、サイズが大きいうえ、高価・過剰性能であるため、殆ど使われていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のトンネル空洞充填工事では、計測専用の作業者が必要であり、工数が増える。また、削孔工程と注入工程の間に、両工程とは別に計測工程が必要であるため、工期が長くなる。また、覆工面にあける穴が直径40mm程度の小径穴であるため、奥の方が見にくく、覆工背面と空洞、空洞と地山の境界部が正確に把握できない。また、計測専用の高所作業台車31が必要で、工費が増える。一方、上記のトンネル空洞充填工事に市販の汎用携帯レッグドリル等を使用する場合には、人力の要素が大きくて人手がかかるうえ、無駄が多くて工期もかかる。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、工数短縮,工期短縮,工費削減が可能な空洞深さ計測方法およびそれに用いる削孔装置の提供をその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するため、本発明は、既設トンネルの覆工背面に生じた空洞の深さを計測する方法であって、削孔時における削孔ロッドの回転トルクおよび前進距離を監視し、削孔ロッドで覆工面を削孔したのち空洞内を前進して空洞の壁面に達したことを削孔ロッドの回転トルクの変動により検出し、削孔後から壁面到達時までの削孔ロッドの前進距離を計測することにより上記空洞の深さを割り出すようにした空洞深さ計測工法を第1の要旨とし、削孔ロッドを備えた削孔手段と、上記削孔ロッドの回転トルクを検出する手段と、上記削孔手段の移動距離を検出する手段と、上記両手段の検出結果から空洞の深さを算出する算出手段とを備えた削孔装置を第2の要旨とする。
【0008】すなわち、本発明の空洞深さ計測工法は、削孔時における削孔ロッドの回転トルクを監視し、削孔ロッドで覆工面を削孔したのち空洞内を前進して空洞の壁面に達したことを削孔ロッドの回転トルクの変動により検出し、極端な変動点を境界点(覆工面を削孔し終えて空洞内に突入した時点、および、空洞内を前進する途中で空洞の壁面に衝突した時点)と確認する。また、削孔時における削孔ロッドの前進距離を監視し、上記回転トルクの変動により検出した覆工面削孔終了時点と空洞壁面衝突時点との間で削孔ロッドが前進した距離を計測して上記空洞の深さを割り出すようにしている。このように、本発明の空洞深さ計測工法では、計測工程を削孔工程に取り込んでいるため、本来計測に要していた工数,工期を短縮し、工事費用を削減することができる。また、計測専用の作業者が不要であり、工数を低減することができる。また、人手により行っていた計測を機械化することにより、計測値の信頼性向上,品質向上を図ることができる。また、計測専用の高所作業台車が不要であり、工費を削減することができる。
【0009】一方、本発明の削孔装置は、削孔ロッドを備えた削孔手段と、上記削孔ロッドの回転トルクを検出する手段と、上記削孔手段の移動距離を検出する手段と、上記両手段の検出結果から空洞の深さを算出する算出手段とを備えており、これをトンネル空洞充填工事の専用削孔機として用いることにより、計測工程を削孔工程に取り込むことができ、人手を低減し、工数,工期を短縮し、工事費用を削減することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて説明する。
【0011】図1は本発明の削孔装置の一実施の形態を示している。図において、1は油圧式のドリフター(HD150型)であり、その一側面(図面では、上側面)から削孔用ロッド2が突出している。3は削孔用ロッド2をスピンドル(図示せず)に固定するチャックである。4は回転用油圧モーターであり、上記スピンドルを回転させることにより上記削孔用ロッド2を回転させる作用をする。5は上記回転用油圧モーター4および後述する送り用油圧モーター9に作動油を圧送する油圧源である。6はフレームであり、一対のローラー7,7と、両ローラー7,7に架設された送り用チェーン8と、この送り用チェーン8を進退移動させる送り用油圧モーター9(正転時にドリフター1を前進させ、逆転時にドリフター1を後退させる)とを備えている。10は上記ドリフター1を載置固定するガイドであり、上記送り用チェーン8に固定されている。また、上記ガイド10は上記フレーム6の上面に形成されたガイド面(図示せず)に摺動自在に載置されており、送り用チェーン8の移動に伴いフレーム6のガイド面を摺動するようになっている。なお、上記ドリフター1は、回転のみのボーリングマシンでもよい。
【0012】11はストローク検出センサーとして用いられるワイヤー式リニアエンコーダーであり、上記ガイド10に連結,固定したワイヤー12と、上記フレーム6に固定した計測部13とからなり、この計測部13により、繰り出されたワイヤー12の移動距離(ストローク)、すなわち、ドリフター1の移動距離を検出する作用をする。14は回転用油圧モーター4と油圧源5とを接続する接続パイプ5a中に設けた回転圧力センサーであり、油圧源5から回転用油圧モーター4に圧送される作動油の圧力を検出する作用をする。この実施の形態では、回転圧力センサー14で検出する圧力を削孔用ロッド2の回転トルクとして検出するものである。15はCPU(中央処理装置)であり、シーケンサー(図示せず)により、回転圧力センサー14の検出値とストローク検出センサー11の検出値とから覆工厚みおよび空洞深さを自動計測し、この計測値をパネル16に表示し、記録計17に記録する。図において、18はコントローラである。
【0013】上記の削孔装置を駆動させて、両モーター4,9、両センサー11,14、CPU15等を作動させると、回転機構を含んだ削孔機がフレーム6のガイド面に沿って前進もしくは後進する。また、両センサー11,14による検出が常時行われ、その検出結果がCPU15に送られ、覆工厚みおよび空洞深さが自動計測される。
【0014】このような削孔装置を用い、つぎのようにして、トンネル空洞充填工事を行うことができる。すなわち、まず、覆工表面から電磁波を照射し、その反射波により覆工背面の地質を測定し、覆工背面に存在する空洞22のマップを作る。ついで、上記の削孔装置を駆動させる。そして、上記マップにもとづき、空洞22の多い覆工面20の部分の、例えばアーチ天端と2測線とにピッチ1500〜2000mmで穴をあけ、覆工厚みおよび空洞深さを自動計測する。
【0015】より詳しく説明すると、上記駆動により、削孔用ロッド2が回転(この回転は空回りである)しながら上記削孔機が前進し始め、削孔用ロッド2の先端が覆工面20に当たる(図2参照)。この衝突で、削孔用ロッド2の回転トルク(すなわち、回転圧力センサー14で検出される圧力値)が急激に変動して大きな値になる(図6の矢印A参照)。ついで、削孔用ロッド2が覆工面20を削孔しながら前進し、覆工面20を貫通して覆工面20の削孔が終わる(図3参照)。この覆工面20の削孔時には、上記回転トルクが大きく変動しない(図6のB領域参照)が、削孔の終了時には、削孔用ロッド2の先端が空洞22内に突入して削孔用ロッド2の回転が空回りになり、上記回転トルクが急激に変動して小さな値になる(図6の矢印C参照)。つぎに、空洞22内を削孔用ロッド2が回転しながら前進する(図4参照)。この前進時の削孔用ロッド2の回転は空回りであるため、削孔用ロッド2の回転トルクは小さい値のままである(図6のD領域参照)。この前進の途中で、削孔用ロッド2の先端が空洞22の壁面22aに当たる(図5参照)。この衝突で、削孔用ロッド2の回転トルクが急激に変動して大きな値になる(図6の矢印E参照)。ただし、このときの回転トルクは、覆工面20より柔らかい地山21を削孔する際に生ずる回転トルクであるため、覆工面20の削孔時の回転トルクより小さい値になる。上記衝突後、削孔用ロッド2は壁面22aを削孔しながら少し前進する。この前進時には、上記回転トルクが大きく変動しない(図6のF領域参照)。そして、この低負荷の前進により削孔用ロッド2が空洞22の壁面22aに到達したことを確認したのち、送り用油圧モーター9を逆転させ、上記削孔機を後退させて元の位置に戻す。
【0016】この削孔装置では、図6において、回転圧力センサー14で検出される圧力値がアンチジャーミングレベルを越えると、一度後退し、再度同じ速度で前進する。再びアンチジャーミングレベルを越えた場合には、一度後退し、速度を下げて再度前進する。これを1回行い、もしくは複数回繰り返し、それでもアンチジャーミングレベルを越えたら、さらに速度を落してもう1回もしくは複数回前進する。それでもアンチジャーミングレベルを越えると、掘れない(削孔用ロッド2の先端が鉄筋等に当たっている)と判断して削孔を中止し、元の位置に後退する。このように最初の2回は同じ速度で掘り、つぎに速度を下げて掘り、さらに速度を下げて掘り、それでもアンチジャーミングレベルを越える場合には、掘る場所を変えるというふうに、段階的に削孔条件を変えることにより、自動削孔が可能になる。このような自動削孔は、削孔対象が均質な覆工コンクリートであり、削孔条件が限定できるため、実現可能となる。
【0017】このトンネル空洞充填工事では、削孔時の削孔用ロッド2の回転トルクの変動を常時監視し、極端な変動点を検出した場合に、境界点と認識している。また、削孔時の削孔用ロッド2の前進距離を常時監視し、上記各境界点での前進距離を演算することにより、覆工厚みおよび空洞深さを自動計測している。
【0018】このように、上記実施の形態では、覆工厚みおよび空洞深さを自動計測することができ、工数,工期の短縮、工事費用の削減を図ることができる。また、計測値の信頼性向上,品質向上を図ることができる。また、計測専用の作業者や高所作業台車が不要であり、工数,工費を低減することができる。しかも、自動削孔が行え、扱いやすく、削孔作業の効率化を図ることができる。
【0019】なお、上記実施の形態では、削孔用ロッド2の回転トルクを検出するため、回転用油圧モーター4と油圧源5とを接続する接続パイプ5a中に回転圧力センサー14を設けているが、これに限定するものではなく、上記回転トルクを測定できるものであれば、どのようなセンサーを用いてもよい。また、回転用油圧モーター4に代えて、電磁モーター,エアーモーター等を用いてもよい。
【0020】また、上記実施の形態では、ドリフター1を送り用チェーン8によりスライドさせる構造であるため、ストローク検出センサー11としてワイヤー式リニアエンコーダーを用いているが、ドリフター1のフィード(送り)方式がシリンダ式であれば、リニアエンコーダー付きシリンダにすることもできるし、スクリュー式であれば、ギア部にエンコーダーを付けることもできるし、ラックピニオン式であれば、どちらにもすることができる。また、ドリフター1の移動速度を可変にしてもよい。
【0021】
【発明の効果】以上のように、本発明の空洞深さ計測工法によれば、計測工程を削孔工程に取り込んでいるため、本来計測に要していた工数,工期を短縮し、工事費用を削減することができる。また、計測専用の作業者が不要であり、工数を低減することができる。また、人手により行っていた計測を機械化することにより、計測値の信頼性向上,品質向上を図ることができる。また、計測専用の高所作業台車が不要であり、工費を削減することができる。
【0022】一方、本発明の削孔装置は、削孔ロッドを備えた削孔手段と、上記削孔ロッドの回転トルクを検出する手段と、上記削孔手段の移動距離を検出する手段と、上記両手段の検出結果から空洞の深さを算出する算出手段とを備えており、これをトンネル空洞充填工事の専用削孔機として用いることにより、計測工程を削孔工程に取り込むことができ、人手を低減し、工数,工期を短縮し、工事費用を削減することができる。
【出願人】 【識別番号】000219602
【氏名又は名称】東海ゴム工業株式会社
【出願日】 平成11年9月9日(1999.9.9)
【代理人】 【識別番号】100079382
【弁理士】
【氏名又は名称】西藤 征彦
【公開番号】 特開2001−82905(P2001−82905A)
【公開日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【出願番号】 特願平11−255902