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【発明の名称】 内側測定用基準器、その内側測定用基準器の製造方法、および、その内側測定用基準器を保持する保持装置
【発明者】 【氏名】猿木 義雄

【氏名】大塚 行治

【氏名】鈴木 浩二

【氏名】川辺 隆夫

【氏名】小須田 哲夫

【要約】 【課題】内側測定機の原点設定や校正時に使用する2内側面間の距離を光波干渉計で直接測定できる構成とすることにより、高精度で信頼性の高い内側測定用基準器、その製造方法および保持装置を提供する。

【解決手段】基準ゲージブロック10と、基準ゲージブロックの一端面にリンギングされ内面に第1内側基準面11Aを有する第1ジョウブロック11と、基準ゲージブロックの他端面にリンギングされ内面に第2内側基準面12Aを有する第2ジョウブロック12と、この第2内側基準面12Aにリンギングされ測定用ゲージブロック13とを備える。基準ゲージブロックの他端面方向から見たとき、第1内側基準面11Aおよび測定用ゲージブロック13の外側基準面13Aを視認可能に構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内側測定機の校正または原点設定を行うために利用される内側測定用基準器であって、互いに平行でかつ所定間隔離れて対向する第1内側基準面および第2内側基準面と、前記第2内側基準面と同一面内に形成された外側基準面とを有し、前記第1および第2内側基準面と直交する方向からかつ前記外側基準面側から見たとき、前記第1内側基準面および外側基準面が視認可能に構成されていることを特徴とする内側測定用基準器。
【請求項2】 請求項1に記載の内側測定用基準器において、所定間隔離れた両端面が互いに平行に仕上げられた基準ゲージブロックと、前記基準ゲージブロックの一端面にリンギングされそのリンギングされた面に前記第1内側基準面を有する第1ジョウブロックと、前記基準ゲージブロックの他端面にリンギングされそのリンギングされた面に前記第2内側基準面を有する第2ジョウブロックと、この第2ジョウブロックの第2内側基準面にリンギングされそのリンギングされた面に前記外側基準面を有する測定用ゲージブロックとを備え、前記基準ゲージブロックの他端面方向から見たとき、前記第1ジョウブロックの第1内側基準面および測定用ゲージブロックの外側基準面が視認可能に構成されていることを特徴とする内側測定用基準器。
【請求項3】 請求項1に記載の内側測定用基準器において、所定間隔離れた両端面が互いに平行に仕上げられた基準ゲージブロックと、前記基準ゲージブロックに一端面にリンギングされそのリンギングされた面に前記第1内側基準面を有する第1ジョウブロックと、前記基準ゲージブロックの他端面にリンギングされそのリンギングされた面に前記第2内側基準面を有する第2ジョウブロックとを備え、前記第2ジョウブロックの中央部には、前記基準ゲージブロックの他端面を露出させる開口が形成されていることを特徴とする内側測定用基準器。
【請求項4】 請求項1に記載の内側測定用基準器において、所定間隔離れた両端面が互いに平行に仕上げられた基準ゲージブロックと、前記基準ゲージブロックの一端面にリンギングされそのリンギングされた面に前記第1内側基準面を有する第1ジョウブロックと、前記基準ゲージブロックの他端面にリンギングされそのリンギングされた面に前記第2内側基準面を有する第2ジョウブロックとを備え、前記第2ジョウブロックの周縁には、前記基準ゲージブロックの他端面を露出させる切欠部が形成されていることを特徴とする内側測定用基準器。
【請求項5】 請求項1に記載の内側測定用基準器の製造方法であって、本体に、互いに平行でかつ所定間隔離れて対向する第1内側基準面および第2内側基準面を形成する工程と、本体に、前記第2内側基準面と同一面内に外側基準面を形成する工程とを備えていることを特徴とする内側測定用基準器の製造方法。
【請求項6】 請求項2に記載の内側測定用基準器の製造方法であって、所定間隔離れた両端面が互いに平行に仕上げられた基準ゲージブロックと、第1内側基準面を有する第1ジョウブロックと、第2内側基準面を有する第2ジョウブロックと、外側基準面を有する測定用ゲージブロックとを用意しておき、前記基準ゲージブロックの一端面に第1ジョウブロックをリンギングするとともに、他端面に第2ジョウブロックをリンギングしたのち、第2ジョウブロックの第2内側基準面に測定用ゲージブロックをリンギングして内側測定用基準器を製造することを特徴とする内側測定用基準器の製造方法。
【請求項7】 請求項3に記載の内側測定用基準器の製造方法であって、所定間隔離れた両端面が互いに平行に仕上げられた基準ゲージブロックと、第1内側基準面を有する第1ジョウブロックと、第2内側基準面および開口を有する第2ジョウブロックとを用意しておき、前記基準ゲージブロックの一端面に第1ジョウブロックをリンギングするとともに、他端面に第2ジョウブロックをリンギングして内側測定用基準器を製造することを特徴とする内側測定用基準器の製造方法。
【請求項8】 請求項4に記載の内側測定用基準器の製造方法であって、所定間隔離れた両端面が互いに平行に仕上げられた基準ゲージブロックと、第1内側基準面を有する第1ジョウブロックと、第2内側基準面および切欠部を有する第2ジョウブロックとを用意しておき、前記基準ゲージブロックの一端面に第1ジョウブロックをリンギングするとともに、他端面に第2ジョウブロックをリンギングして内側測定用基準器を製造することを特徴とする内側測定用基準器の製造方法。
【請求項9】 請求項2〜請求項4のいずれかに記載の内側測定用基準器を保持するための保持装置であって、上面に前記内側測定用基準器を収納するための収納凹部を備え、かつ、収納凹部の底面に前記内側測定用基準器を3点で支持する支持部を有する基台と、この基台の上面に前記収納凹部に跨って設けられた固定部材と、この固定部材と前記内側測定用基準器の上面との間に介在され前記支持部と上下で対応する位置で前記内側測定用基準器の上面を押圧するばね部材とを備え、前記3つの支持部は、前記内側測定用基準器の基準ゲージブロックの長さ寸法をLとしたとき、基準ゲージブロックの両端から0.2113L内側の位置で内側測定用基準器を支持していることを特徴とする保持装置。
【請求項10】 請求項9に記載の保持装置において、前記基台には、高さ調整可能な脚が3本設けられていることを特徴とする保持装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内側測定機、たとえば、内径測定機、内側マイクロメータ、内側ジョウ付きノギス、シリンダゲージなどの内側測定機の校正または原点設定を行うために利用される内側測定用基準器、その内側測定用基準器の製造方法およびその内側測定用基準器の保持装置に関する。
【0002】
【背景技術】互いに平行でかつ接近、離間する一対の測定子を被測定物の内側面間に当接させ、そのときの一対の測定子間の寸法を変位検出器で検出し、この検出値から被測定物の内側面間の寸法を求める内側測定機、たとえば、内径測定機では、測定に先立って、変位検出器の原点設定、校正作業が行われている。
【0003】従来、内側測定機の原点設定、校正方法として、次の3つの方法が知られている。
■リングゲージを用いて校正する方法これは、内径が既知のリングゲージの内径を内側測定機によって測定し、その測定値とリングゲージの既知の値との差を求め、この差を基に原点設定、校正作業を行う方法である。
■ゲージブロックを用いて校正する方法これは、両端面間の寸法が既知のゲージブロックの両端面間を内側測定機によって測定し、その測定値とゲージブロックの両端面間の既知の値との差を求め、この差を基に原点設定、校正作業を行う方法である。
■リンギングしたゲージブロックを用いて校正する方法これは、両端面間の寸法が既知のゲージブロックの両端面にそれぞれジョウブロックをリンギングし、その両側のジョウブロックの内面間の寸法を内側測定機によって測定し、その測定値と中央のゲージブロックの両端面間の既知の値との差を求め、この差を基に原点設定、校正作業を行う方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述したいずれの方法においても、リングゲージの内径、ゲージブロックの両端面間、ジョウブロックの内側面間の実際の寸法は不明であるから、測定精度の信頼性については十分とはいえない。そこで、これを解決するためには、ゲージブロックの両端面間やジョウブロックの内側面間の実際の寸法を高精度に測定し、それを基に内側測定機の原点設定、校正作業を行えばよい。
【0005】しかし、上述した方法では、次のような不具合が考えられる。■の方法では、リングゲージの内径を別の高精度な測定機で測定しなければならないから、つまり、別の高精度な測定機が必要となるから、経済的負担が大きい。■の方法では、ゲージブロックの両端面間の寸法を干渉計などで測定することができるから、高精度な基準が得られる。しかし、実際の測定と原点設定の方向が異なるため、測定系の応力歪みによる撓みの影響がでる。つまり、ゲージブロックの両端面を基準とする場合、原点設定時には、図10(A)に示すように、測定子1A,1Bが外側に撓んだ状態で測定が行われるが、実際の測定時には、図10(B)に示すように、測定子1A,1Bが内側に撓んだ状態で測定が行われるので、実際の測定と原点設定の方向が異なり、測定系の応力歪みによる撓みの影響がでる。
【0006】■の方法では、測定現場でリンギングにより基準器を作る場合、図11に示すように、中央のゲージブロック2を両端からジョウブロック3,4で挟む形になるので、リンギングの不確かさが最低2回含まれ(つまり、ゲージブロック2とジョウブロック3との間、ゲージブロック2とジョウブロック4との間)、誤差成分が大きくなる欠点がある。また、ジョウブロック3,4をねじなどによりゲージブロック2に固定して干渉計で値付けする場合、両側にリンギングするジョウブロック3,4の形状が同一のため、原点設定に使用する内側面の測定でなく、両端面の干渉測定による値L1から両ジョウブロック3,4を単独に干渉測定した値L2,L3を引いた値(L0=L1−L2−L3)で代用するため、干渉測定時の不確かさが2回、ジョウブロック3,4のリンギングまたは固定による不確かさが2回余計に含まれるため、誤差成分がさらに大きくなる欠点がある。
【0007】本発明の目的は、このような従来の課題を解消し、内側測定機の原点設定や校正時に使用する2内側面間の距離を光波干渉計で直接測定できる構成とすることにより、高精度で信頼性の高い内側測定用基準器、その内側測定用基準器の製造方法およびその内側測定用基準器の保持装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の内側測定用基準器、その内側測定用基準器の製造方法およびその内側測定用基準器の保持装置は、上記目的を達成するため、次の構成を採用する。
【0009】請求項1に記載の発明(内側測定用基準器)は、内側測定機の校正を行うために利用される内側測定用基準器であって、互いに平行でかつ所定間隔離れて対向する第1内側基準面および第2内側基準面と、前記第2内側基準面と同一面内に形成された外側基準面とを有し、前記第1および第2内側基準面と直交する方向からかつ前記外側基準面側から見たとき、前記第1内側基準面および外側基準面が視認可能に構成されていることを特徴とする。この発明によれば、第1内側基準面と対向する第2基準面の同一面内に外側基準面が形成され、その外側基準面および第1内側基準面が、同一方向から視認可能に構成されているから、光波干渉計からの光を直接、第1内側基準面および外側基準面に照射して、第1内側基準面および外側基準面の間隔、つまり、第1および第2内側基準面間の距離を測定できる。従って、高精度で信頼性の高い内側測定用基準器を得ることができる。そのため、実際に測定した基準値を用いて原点設定、校正作業を行うことができるから、より高精度で信頼性の高い原点設定、校正作業を行うことができる。
【0010】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内側測定用基準器において、所定間隔離れた両端面が互いに平行に仕上げられた基準ゲージブロックと、前記基準ゲージブロックの一端面にリンギングされそのリンギングされた面に前記第1内側基準面を有する第1ジョウブロックと、前記基準ゲージブロックの他端面にリンギングされそのリンギングされた面に前記第2内側基準面を有する第2ジョウブロックと、この第2ジョウブロックの第2内側基準面にリンギングされそのリンギングされた面に前記外側基準面を有する測定用ゲージブロックとを備え、前記基準ゲージブロックの他端面方向から見たとき、前記第1ジョウブロックの第1内側基準面および測定用ゲージブロックの外側基準面が視認可能に構成されていることを特徴とする。この発明によれば、基準ゲージブロックと、第1、第2ジョウブロックと、測定用ゲージブロックとの4つのブロックの組み合わせによって、第1および第2内側基準面、外側基準面を有する内側測定用基準器を構成することができるから、市販のゲージブロックを少なくとも一部組み合わせて構成することもできる。
【0011】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の内側測定用基準器において、所定間隔離れた両端面が互いに平行に仕上げられた基準ゲージブロックと、前記基準ゲージブロックに一端面にリンギングされそのリンギングされた面に前記第1内側基準面を有する第1ジョウブロックと、前記基準ゲージブロックの他端面にリンギングされそのリンギングされた面に前記第2内側基準面を有する第2ジョウブロックとを備え、前記第2ジョウブロックの中央部には、前記基準ゲージブロックの他端面を露出させる開口が形成されていることを特徴とする。この発明によれば、3つのブロック(つまり、基準ゲージブロック、第1および第2ジョウブロック)の組み合わせによって、第1および第2内側基準面、外側基準面を有する内側測定用基準器を構成することができるから、請求項2に記載のものより構成部品の数を少なくできる。
【0012】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の内側測定用基準器において、所定間隔離れた両端面が互いに平行に仕上げられた基準ゲージブロックと、前記基準ゲージブロックの一端面にリンギングされそのリンギングされた面に前記第1内側基準面を有する第1ジョウブロックと、前記基準ゲージブロックの他端面にリンギングされそのリンギングされた面に前記第2内側基準面を有する第2ジョウブロックとを備え、前記第2ジョウブロックの周縁には、前記基準ゲージブロックの他端面を露出させる切欠部が形成されていることを特徴とする。この発明によっても、3つのブロック(つまり、基準ゲージブロック、第1および第2ジョウブロック)の組み合わせによって、第1および第2内側基準面、外側基準面を有する内側測定用基準器を構成することができるから、請求項2に記載のものより構成部品の数を少なくできる。この場合には、第2ジョウブロックの周縁に切欠部が形成されているから、請求項3に記載の第2ジョウブロックの加工(中央部に開口を加工)より簡単に加工できる。
【0013】請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の内側測定用基準器の製造方法であって、本体に、互いに平行でかつ所定間隔離れて対向する第1内側基準面および第2内側基準面を形成する工程と、本体に、前記第2内側基準面と同一面内に外側基準面を形成する工程とを備えていることを特徴とする。この発明によれば、本体に、第1内側基準面、第2内側基準面および外側基準面を一体形成するようにしたから、リンギングによる誤差を解消できる。
【0014】請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の内側測定用基準器の製造方法であって、所定間隔離れた両端面が互いに平行に仕上げられた基準ゲージブロックと、第1内側基準面を有する第1ジョウブロックと、第2内側基準面を有する第2ジョウブロックと、外側基準面を有する測定用ゲージブロックとを用意しておき、前記基準ゲージブロックの一端面に第1ジョウブロックをリンギングするとともに、他端面に第2ジョウブロックをリンギングしたのち、第2ジョウブロックの第2内側基準面に測定用ゲージブロックをリンギングして内側測定用基準器を製造することを特徴とする。この発明によれば、4つのブロック(つまり、基準ゲージブロック、第1および第2ジョウブロック、測定用ゲージブロック)を用意しておけば、これらをリンギングによって組み合わせるだけで内側測定用基準器を構成することができる。
【0015】請求項7に記載の発明は、請求項3に記載の内側測定用基準器の製造方法であって、所定間隔離れた両端面が互いに平行に仕上げられた基準ゲージブロックと、第1内側基準面を有する第1ジョウブロックと、第2内側基準面および開口を有する第2ジョウブロックとを用意しておき、前記基準ゲージブロックの一端面に第1ジョウブロックをリンギングするとともに、他端面に第2ジョウブロックをリンギングして内側測定用基準器を製造することを特徴とする。この発明によれば、3つのブロック(つまり、基準ゲージブロック、第1および第2ジョウブロック)を用意しておけば、これらをリンギングによって組み合わせるだけで内側測定用基準器を構成することができる。
【0016】請求項8に記載の発明は、請求項4に記載の内側測定用基準器の製造方法であって、所定間隔離れた両端面が互いに平行に仕上げられた基準ゲージブロックと、第1内側基準面を有する第1ジョウブロックと、第2内側基準面および切欠部を有する第2ジョウブロックとを用意しておき、前記基準ゲージブロックの一端面に第1ジョウブロックをリンギングするとともに、他端面に第2ジョウブロックをリンギングして内側測定用基準器を製造することを特徴とする。この発明によれば、3つのブロック(つまり、基準ゲージブロック、第1および第2ジョウブロック)を用意しておけば、これらをリンギングによって組み合わせるだけで内側測定用基準器を構成することができる。
【0017】請求項9に記載の発明は、請求項2〜請求項4のいずれかに記載の内側測定用基準器を保持するための保持装置であって、上面に前記内側測定用基準器を収納するための収納凹部を備え、かつ、収納凹部の底面に前記内側測定用基準器を3点で支持する支持部を有する基台と、この基台の上面に前記収納凹部に跨って設けられた固定部材と、この固定部材と前記内側測定用基準器の上面との間に介在され前記支持部と上下で対応する位置で前記内側測定用基準器の上面を押圧するばね部材とを備え、前記3つの支持部は、前記内側測定用基準器の基準ゲージブロックの長さ寸法をLとしたとき、基準ゲージブロックの両端から0.2113L内側の位置で内側測定用基準器を支持していることを特徴とする。この発明によれば、内側測定用基準器を基台の収納凹部内に収納した状態で使用できるから、この状態で内径測定機などに安定してセットできる。また、内側測定用基準器を基台の収納凹部内に収納した状態では、上下でそれぞれ対応する3点の位置で内側測定用基準器が基台に保持されているから、ずれることがない。しかも、3つの支持部は、いわゆる、アーリ点で内側測定用基準器を支持しているから、基準ゲージブロックの両端面を常に平行に維持でき、そのため、内側測定用基準器の第1および第2内側基準面を平行に維持できる。
【0018】請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の保持装置において、前記基台には、高さ調整可能な脚が3本設けられていることを特徴とする。この発明によれば、3本の脚を高さ調整すれば、基台の傾きを調整することができるから、第1および第2内側測定用基準面を正しい姿勢に容易にセットすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の内側測定用基準器の一実施形態を示す斜視図、図2はその分解斜視図、図3はその組立状態の断面図である。これらの図に示すように、本実施形態の内側測定用基準器は、内側測定機(内径測定機など)の校正、原点設定を行うために利用される内側測定用基準器Aと、この内側測定用基準器Aを収納保持するための保持装置Bとから構成されている。
【0020】前記内側測定用基準器Aは、基準ゲージブロック10と、この基準ゲージブロック10の一端面にリンギングされそのリンギングされた面に第1内側基準面11Aを有する第1ジョウブロック11と、前記基準ゲージブロック10の他端面にリンギングされそのリンギングされた面に第2内側基準面12Aを有する第2ジョウブロック12と、この第2ジョウブロック12の第2内側基準面12Aにリンギングされそのリンギングされた面に外側基準面13Aを有する測定用ゲージブロック13とを備えている。
【0021】前記基準ゲージブロック10は、断面が正方形状の直方体状に形成され、所定間隔離れた両端面が互いに平行に仕上げられている。前記第1ジョウブロック11は、幅寸法が基準ゲージブロック10の幅寸法と同じで、高さ寸法が基準ゲージブロック10より高い長方形板状に形成されている。つまり、基準ゲージブロック10の上面から第1内側基準面11Aが起立した状態で組み合わされている。前記第2ジョウブロック12は、基準ゲージブロック10の他端面にリンギングされるリンギング部12Bと、このリンギング部12Bの上面中央から起立した起立片部12Cとを備えた逆T字形状に形成されている。起立片部12Cは、高さ寸法が前記第1ジョウブロック11の高さ寸法と同じで、幅寸法がリンギング部12Bより幅狭に形成され、かつ、内面に前記第2内側基準面12Aを有する。つまり、第1内側基準面11Aおよび第2内側基準面12Aは、互いに平行でかつ所定間隔離れて対向配置されている。前記測定用ゲージブロック13は、長さが基準ゲージブロック10の幅寸法と同じで、高さ寸法が起立片部12Cの高さ寸法より低い直方体状に形成され、リンギングされた面、つまり、第2内側基準面12Aと同一面内に外側基準面13Aを有する。これにより、基準ゲージブロック10の他端面方向から見たとき、前記第1ジョウブロック11の第1内側基準面11Aおよび測定用ゲージブロック13の外側基準面13Aが視認可能に構成されている。
【0022】前記保持装置Bは、前記内側測定用基準器Aを収納保持する基台21と、この基台21の上面に設けられた固定部材としての固定プレート31A,31Bと、この固定プレート31A,31Bと前記内側測定用基準器Aの上面との間に介在され前記内側測定用基準器Aの上面を押圧するばね部材41A,41Bとを備えている。
【0023】前記基台21は、上面から下面に貫通して形成され前記内側測定用基準器Aを収納するための収納凹部22を有する枠体23と、この枠体23の下面に固定され前記内側測定用基準器Aを3点で支持する支持部24A〜24Cを有する裏面プレート25とから構成されている。枠体23の下面には、高さ調整可能な3つの脚26A〜26Cが直角三角形を描く各角部位置にそれぞれ螺合配置されている。つまり、脚26Aが直角部位置に、残りの脚26B,26Cが他の角部位置に配置されている。前記固定プレート31A,31Bは、前記基台21の収納凹部22に跨って配置され、かつ、ボルト32によって基台21の上面に固定される。下面には前記ばね部材41A,41Bが保持されている。前記ばね部材41A,41Bのうちの一方のばね部材41Aは、図4に示すように、前記内側測定用基準器Aを挟んで前記支持部24A、24Bと上下で対応する位置で前記内側測定用基準器Aを押圧するように、W字状に屈曲されている。他方のばね部材41Bは、図5に示すように、前記内側測定用基準器Aを挟んで前記支持部24Cと上下で対応する位置で前記内側測定用基準器Aを押圧するように、M字状に屈曲されている。なお、これら3つの支持部24A〜24Cおよびばね部材41A,41Bの押圧点は、図3に示すように、前記内側測定用基準器Aの基準ゲージブロック10の長さ寸法をLとしたとき、基準ゲージブロック10の両端から0.2113L内側の位置、つまり、アーリ点の位置で内側測定用基準器Aを支持するように構成されている。
【0024】次に、本実施形態の使用方法を説明する。まず、内側測定用基準器Aを組み立てる。これには、基準ゲージブロック10の一端面に第1ジョウブロック11をリンギングするとともに、他端面に第2ジョウブロック12をリンギングしたのち、第2ジョウブロック12の第2内側基準面12Aに測定用ゲージブロック13をリンギングして内側測定用基準器Aを組み立てる。
【0025】このようにして組み立てた内側測定用基準器Aの第1および第2内側基準面11A,12A間の寸法を光波干渉計で測定する。これには、図6および図7に示すように、テーブル51上に内側測定用基準器Aをセットしたのち、その上方から光波干渉計からの光を、第1ジョウブロック11の第1内側基準面11Aおよび測定用ゲージブロック13の外側基準面13Aに照射して、第1内側基準面11Aおよび外側基準面13Aの間の距離を測定する。つまり、第1内側基準面11Aと第2内側基準面12Aの間の距離Lを測定し、これを基準値として求める。
【0026】次に、この内側測定用基準器Aを保持装置Bにセットしたのち、この保持装置Bを内側測定機、たとえば、内径測定機(図示省略)にセットする。このとき、基台21の下面に配置された脚26A〜26Cの高さ調整によって、内側測定用基準器Aの第1および第2内側基準面11A,12Bの姿勢を調整する。具体的には、脚26Cを高さ調整すると、脚26A,26Bを結ぶ線を支点として基台21が傾き(基台21の長手方向の傾きが調整され)、脚26Bを高さ調整すると、脚26A,26Cを結ぶ線を支点として基台21が傾く(基台21の幅方向の傾きが調整される)。この状態において、内径測定機の一対の測定子を第1内側基準面11Aおよび第2内側基準面12Aに当接させたのち、そのときの変位検出器の値を読み取る。読み取った測定値と前記基準値との差を求め、この差を基に内径測定機の原点設定、校正作業を行う。
【0027】従って、本実施形態によれば、基準ゲージブロック10と、この基準ゲージブロック10の両端面にリンギングされた第1ジョウブロック11および第2ジョウブロック12と、この第2ジョウブロック12の第2内側基準面12Aにリンギングされた測定用ゲージブロック13とを備え、基準ゲージブロック10の他端面方向から見たとき、前記第1ジョウブロック11の第1内側基準面11Aおよび測定用ゲージブロック13の外側基準面13Aが視認可能に構成されているから、光波干渉計からの光を直接、第1内側基準面11Aおよび外側基準面13Aに照射して、第1内側基準面11Aおよび外側基準面13Aの間隔、つまり、第1および第2内側基準面11A,12A間の距離を測定できる。従って、高精度で信頼性の高い内側測定用基準器Aを得ることができる。そのため、実際に測定した基準値を用いて原点設定、校正作業を行うことができるから、より高精度で信頼性の高い原点設定、校正作業を行うことができる。
【0028】とくに、本実施形態においては、直方体状の基準ゲージブロック10と、長方形板状の第1ジョウブロック11と、逆T字形板状の第2ジョウブロック12と、直方体状の測定用ゲージブロック13との4つのブロックに組み合わせによって、第1および第2内側基準面11A,12A、外側基準面13Aを有する内側測定用基準器Aを構成することができるから、市販のゲージブロックを用いて構成できる。
【0029】また、内側測定用基準器Aを組み立てるには、これら4つのブロック10,11,12,13とを用意しておき、基準ゲージブロック10の一端面に第1ジョウブロック11をリンギングするとともに、他端面に第2ジョウブロック12をリンギングしたのち、第2ジョウブロック12の第2内側基準面12Aに測定用ゲージブロック13をリンギングして内側測定用基準器Aを組み立てることができる。従って、4つのブロック(つまり、基準ゲージブロック10、第1および第2ジョウブロック11,12、測定用ゲージブロック13)を用意しておけば、これらをリンギングによって組み合わせることができる。
【0030】また、内側測定機の原点設定、校正作業にあたっては、内側測定用基準器Aを保持装置Bに収納保持し、この状態で内径測定機などにセットできるから、安定した状態で使用できる。また、内側測定用基準器Aを保持装置Bの基台21に収納した状態では、上下でそれぞれ対応する3点の位置(支持部24A〜24Cとばね部材41A,41Bの押圧点)で内側測定用基準器Aが基台21に保持されているから、ずれることがない。しかも、3つの支持部24A〜24Cは、いわゆる、アーリ点(内側測定用基準器Aの基準ゲージブロック10の長さ寸法をLとしたとき、基準ゲージブロック10の両端から0.2113L内側の位置)で内側測定用基準器Aを支持しているから、基準ゲージブロック10の両端面を常に平行に維持でき、そのため、内側測定用基準器Aの第1および第2内側基準面11A,12Aを平行に維持できる。
【0031】また、基台21には、高さ調整可能な3本の脚26A〜26Cが設けられているから、これらの脚26A〜26Cの高さ調整によって、基台21の傾きを調整することができる。この場合、脚26A〜26Cが直角三角形を描く各角部位置にそれぞれ螺合配置されているから、脚26Cを高さ調整すると、脚26A,26Bを結ぶ線を支点として基台21の長手方向の傾きを調整することができ、また、脚26Bを高さ調整すると、脚26A,26Cを結ぶ線を支点として基台21の幅方向の傾きを調整することができる。
【0032】なお、内側測定用基準器Aとしては、前記実施形態で説明した構成に限らず、他の構成でもよい。たとえば、図8に示す構成、あるいは、図9に示す構成でもよい。図8に示すものは、所定間隔離れた両端面が互いに平行に仕上げられた基準ゲージブロック10と、この基準ゲージブロック10に一端面にリンギングされそのリンギングされた面に前記第1内側基準面11Aを有する第1ジョウブロック11と、前記基準ゲージブロック10の他端面にリンギングされそのリンギングされた面に前記第2内側基準面12Aを有する長方形板状の第2ジョウブロック14とを備え、第2ジョウブロック14の中央部に基準ゲージブロック10の他端面を露出させる開口14Aを形成した構成である。
【0033】この場合、基準ゲージブロック10と、第1内側基準面11Aを有する第1ジョウブロック11と、第2内側基準面12Aおよび開口14Aを有する第2ジョウブロック14とを用意しておき、基準ゲージブロック10の一端面に第1ジョウブロック11をリンギングするとともに、他端面に第2ジョウブロック14をリンギングすれば、内側測定用基準器Aを組み立てることができる。これによれば、3つのブロック(つまり、基準ゲージブロック10、第1および第2ジョウブロック11,14)を用意しておけば、これらをリンギングするだけで組み立てることができる。
【0034】図9に示すものは、所定間隔離れた両端面が互いに平行に仕上げられた基準ゲージブロック10と、この基準ゲージブロック10に一端面にリンギングされそのリンギングされた面に前記第1内側基準面11Aを有する第1ジョウブロック11と、前記基準ゲージブロック10の他端面にリンギングされそのリンギングされた面に前記第2内側基準面12Aを有する第2ジョウブロック15とを備え、第2ジョウブロック15の周縁に基準ゲージブロック10の他端面を露出させる切欠部15Aを形成した構成である。
【0035】この場合、基準ゲージブロック10と、第1内側基準面11Aを有する第1ジョウブロック11と、第2内側基準面12Aおよび切欠部15Aを有する第2ジョウブロック15とを用意しておき、基準ゲージブロック10の一端面に第1ジョウブロック11をリンギングするとともに、他端面に第2ジョウブロック15をリンギングすれば、内側測定用基準器Aを組み立てることができる。これによっても、3つのブロック(つまり、基準ゲージブロック10、第1および第2ジョウブロック11,15)を用意しておけば、これらをリンギングするだけで組み立てることができる。なお、図9に示す内側測定用基準器Aにおいて、切欠部15Aを片側のみ、つまり、第2ジョウブロック15をL字状の形状としてもよい。
【0036】また、内側測定用基準器Aの製造方法にあたって、前記実施形態で述べた方法に限らず、本体を機械加工して一体的に形成してもよい。つまり、本体に、互いに平行でかつ所定間隔離れて対向する第1内側基準面11Aおよび第2内側基準面12Aを形成するとともに、第2内側基準面12Aと同一面内に外側基準面13Aを形成するようにしてもよい。このようによれば、第1内側基準面11A、第2内側基準面12Aおよび外側基準面13Aが一体形成されているから、リンギングによる誤差を解消できる。
【0037】なお、本発明の内側測定用基準器は、内径測定機に限らず、内側マイクロメータ、内側ジョウ付きノギス、シリンダゲージなどの内側測定機全般に適用できる。
【0038】
【発明の効果】本発明の内側測定用基準器によれば、内側測定機の原点設定や校正時に使用する2内側面間の距離を光波干渉計で直接測定できる構成とすることにより、高精度で信頼性の高い内側測定用基準器を得ることができる。本発明の内側測定用基準器の製造方法によれば、簡単な構成で高精度で信頼性の高い内側測定用基準器を得ることができる。本発明の内側測定用基準器の保持装置によれば、高精度で信頼性の高い内側測定用基準器を安定して内側測定機にセットして使用することができる。
【出願人】 【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
【出願日】 平成11年7月1日(1999.7.1)
【代理人】 【識別番号】100079083
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 實三 (外2名)
【公開番号】 特開2001−12940(P2001−12940A)
【公開日】 平成13年1月19日(2001.1.19)
【出願番号】 特願平11−187506