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【発明の名称】 計測装置
【発明者】 【氏名】岸 隆文

【氏名】高石 明

【要約】 【課題】面倒な計算をすることなく、簡単なスケーリングデータの設定によってワーク11の高さlが計測値として直読できるようにする。

【解決手段】マニュアル等に記載されている変位センサ13の特性を示す検出距離と出力値との組の二組の値を入力するとともに、変位センサ13から基準面10aまでの実測距離Kを入力するだけで、計測装置1では、変位センサ13の出力からワーク11の高さを算出して表示出力する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 センサの出力に基づいて、基準面に存在する計測対象物の長さを計測する計測装置であって、予め入力される前記センサの特性値および該センサから基準面までの距離に基づいて、前記センサの出力から計測対象物の長さを算出することを特徴とする計測装置。
【請求項2】 前記特性値は、前記センサの検出距離と対応する出力値とからなる組の二組の値であり、これら二組の値に基づいて、前記センサの出力から計測対象物までの距離を算出するとともに、算出した計測対象物までの距離を、前記センサから基準面までの距離から減算して計測対象物の高さを算出する算出手段を備える請求項1記載の計測装置。
【請求項3】 計測期間においてホールドされた計測値を、判定のための比較値として取り込む手段を備える請求項1または2記載の計測装置。
【請求項4】 計測期間における計測値の最大値および最小値の両者をホールドするホールド手段を備える請求項1ないし3のいずれかに記載の計測装置。
【請求項5】 前記最大値および最小値を、個別的に対応する少なくとも二つの比較値とそれぞれ比較する比較手段を備える請求項4記載の計測装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、計測装置に関し、さらに詳しくは、例えば、距離(長さ)を検出する変位センサの出力に基づいて、ワークなどの計測対象物の寸法などを計測するのに好適な計測装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の計測装置では、図6の概略構成図に示されるように、レーザや超音波などを利用して距離などを検出する変位センサ13の出力に基づいて、計測位置に搬送されてくる計測対象物、例えばワーク11の高さlを計測してその値を計測装置10の表示部に表示するとともに、予め設定されている比較値(公差)と比較して良否の判定などを行う場合がある。
【0003】かかる計測においては、変位センサ13の出力は、計測位置にワーク11がある場合には、変位センサ13からワーク11までの距離A、ワークがない場合には、変位センサ13から基準面10aまでの距離Kに対応したものとなっている。
【0004】これに対して、計測したいのは、前記距離Kから前記距離Aを差し引いたワーク11の高さl(=K−A)であり、この高さlを直読できるように、従来の計測装置10においては、変位センサ13からの実入力を、ワーク11の高さlに換算表示するためのスケーリングを行う機能を備えている。
【0005】かかるスケーリングを行うためには、予めスケーリングモードを設定して換算のためのスケーリングデータをユーザが設定入力する必要があり、例えば、次のようにして行われる。
【0006】ここで、変位センサ13の特性が、例えば図7に示されるように、下限の検出距離60mmのときに出力が4mA、上限の検出距離100mmのときに出力が20mAであるとし、ノギス等によって実際に計測された変位センサ13から基準面10aまでの距離Kが80mmであったとする。
【0007】今、例えば、ワーク11の高さlが0mmであるとすると、変位センサ13で検出される距離は80mmとなるから、図7の変位センサ13の上下限値から変位センサ13からの実入力は12mAと算出されることになり、また、例えば、ワークの高さlが、20mmであるとすると、変位センサ13で検出される距離は60(=80−20)mmとなるから、図7の変位センサ13の特性から変位センサ13の実入力は4mAとなることが分かる。
【0008】つまり、変位センサ13からの実入力とワーク11の高さlとを換算算出し、その二組の値、上述の例では、ワーク11の高さlが0mmのときに、変位センサ13からの実入力が12mA、ワーク11の高さlが20mmのときに、変位センサ13からの実入力が4mAという値を、スケーリングデータとして計測装置1に予め設定するものである。
【0009】計測装置10は、入力されたスケーリングデータに基づいて、変位センサ13からの実入力をワーク11の高さlに換算する換算式を求め、実際の計測においては、変位センサ13からの実入力からワーク11の高さlを算出して表示するものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このようなスケーリングデータの設定は、ユーザ自身が、変位センサ13の特性および変位センサ13から基準面10aまでの距離Kに基づいて、上述のようにして変位センサ13からの実入力とワーク11の高さlとを換算算出して設定入力しなければならず、この計算が面倒で時間がかかるとともに、計算間違いによって誤計測を生じる場合があるという難点がある。
【0011】本発明は、上述の点に鑑みて為されたものであって、面倒な計算をすることなく、スケーリングデータの簡単な設定によって所望の計測対象の計測値が得られるようにすることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明では、上述の目的を達成するために、次のように構成している。
【0013】すなわち、請求項1の計測装置は、センサの出力に基づいて、基準面に存在する計測対象物の長さを計測する計測装置であって、予め入力される前記センサの特性値および該センサから基準面までの距離に基づいて、前記センサの出力から計測対象物の長さを算出するものである。
【0014】請求項2の計測装置は、請求項1記載の発明において、前記特性値は、前記センサの検出距離と対応する出力値とからなる組の二組の値であり、これら二組の値に基づいて、前記センサの出力から計測対象物までの距離を算出するとともに、算出した計測対象物までの距離を、前記センサから基準面までの距離から減算して計測対象物の高さを算出する算出手段を備えている。
【0015】請求項3の計測装置は、請求項1または2記載の発明において、計測期間においてホールドされた計測値を、判定のための比較値として取り込む手段を備えている。
【0016】請求項4の計測装置は、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明において、計測期間における計測値の最大値および最小値の両者をホールドするホールド手段を備えている。
【0017】請求項5の計測装置は、請求項4記載の発明において、前記最大値および最小値を、個別的に対応する少なくとも二つの比較値とそれぞれ比較する比較手段を備えている。
【0018】(作用)請求項1の計測装置によれば、予め入力されるセンサの特性値およびセンサから基準面までの距離に基づいて、センサの出力から計測対象物の長さを算出するので、従来のように、センサからの実入力と計測対象物の長さとを換算算出して入力するといった必要がなく、面倒な計算が不要となる。
【0019】請求項2の計測装置によれば、前記特性値として、センサの検出距離と対応する出力値とからなる組の二組、例えば、上限と下限の二組の値を入力すればよく、かかる値は、一般にセンサの特性としてマニュアル等に記載されており、したがって、従来のように面倒な計算をすることなく、マニュアル等に記載されている値を単に入力すればよい。
【0020】請求項3の計測装置によれば、ホールドされた計測値を、判定のための比較値として取り込むことができるので、例えば、良否判定の限界寸法を有する限界ワークを実際に計測してその最大値や最小値をホールドし、そのホールド値を比較値(公差)として設定できることになり、いわゆる、現物合わせによる正確な比較値が設定できる。
【0021】請求項4の計測装置によれば、計測期間における計測値の最大値および最小値の両者をホールドできるので、いずれか一方しかホールドできなかった従来例のように、両者をホールドするために2台の計測装置を必要としない。
【0022】請求項5の計測装置によれば、最大値および最小値を、個別的に対応する少なくとも二つの比較値とそれぞれ比較する比較手段を備えているので、例えば、基準値を中心に二つの比較値を設定して一方の比較値を上回る不良および他方の比較値を下回る不良を判定することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、図面によって本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0024】図1は、本発明の一つの実施の形態に係る計測装置の正面図であり、図2は、その内部のブロック図である。
【0025】この実施の形態の計測装置1は、正面に液晶表示部2を備えており、この液晶表示部2は、計測モードにおいて、良否判定の結果を表示する判定出力表示部2a、現在値などを表示する現在値表示部2b、設定されている公差(比較値)を表示する公差表示部2c、液晶表示部2の下方の複数のファンクションキー3に割り当てられている機能名を表示するキー機能名表示部2dなどを構成し、また、セットモードにおいては、設定メニューや設定パラメータなどを表示するメニュー表示部を構成する。なお、4はキー機能名表示部2dの表示内容の切り替えなどを行うためのシフトキーである。この計測装置1の背面側には、センサやパーソナルコンピユータと接続したり、判定出力などのための端子部が設けられている。
【0026】この実施の形態の計測装置1は、図2に示されるように変位センサの出力が与えられる入力回路5と、この入力回路5の出力をA/D変換するA/D変換回路6と、タイミングセンサからのトリガ信号などが与えられる制御入力回路17と、この制御入力回路17の出力をフォトカプラを介して取り込んで波形整形する波形整形回路7と、上述の判定出力を出力する出力回路8と、上述のキー3,4および液晶表示部2と、計測および後述の処理を行うとともに、各部を制御するマイコン9とを備えている。
【0027】図3は、この実施の形態の計測装置1を用いた計測システムの概略構成を示す図であり、図6の従来例に対応する部分には、同一の参照符号を付す。
【0028】この計測システムは、コンベア10上を矢符方向に搬送される計測対象物としてのワーク11の高さlを計測して良否を判定するものであり、本発明に係る計測装置1と、近接センサなどのタイミングセンサ12と、距離(長さ)を検出するレーザや超音波などを利用した変位センサ(リニアセンサ)13とを備えている。
【0029】この実施の形態の計測装置1は、タイミングセンサ12からのトリガ信号が入力されている期間に亘って変位センサ13の出力に基づいてワーク11の高さlを計測するものである。
【0030】このワーク11の高さlの計測に先立って予めスケーリングを行うのであるが、この実施の形態では、上述の従来例に比べて簡単にスケーリングデータを設定できるものである。
【0031】すなわち、この実施の形態では、スケーリングモードを設定し、変位センサ13の例えば、上述の図7に示される特性において、出力値(計測装置1への実入力値)と検出距離との組の二組の値を入力する、例えば、上下限の4mAで60mm、20mAで100mmを入力する。これらの値は、一般に変位センサ13の特性としてマニュアル等に記載されているものであって、それを単に入力すればよい。さらに、ノギス等で実測した変位センサ13から基準面10aまでの距離K、例えば80mmを入力する。
【0032】これによって、計測装置1の算出手段を構成するマイコン9は、これら二組の値から変位センサ13の検出距離と出力値(実入力値)との関係を示す換算式を求め、実際の計測モードにおいては、先ず、変位センサ13からの実入力値からワーク11までの距離Aを算出し、さらに、入力された変位センサ13から基準面10aまでの距離Kから前記距離Aを減算してワークの高さlを算出するものである。
【0033】このように、変位センサ13の特性である検出距離と出力値との二組の値と、変位センサ13から基準面10aまでの距離Kとを入力すれば、ワーク11の高さlが算出されることになり、上述の従来例のように、ユーザ自身がK−Aに対応する換算を行ってスケーリングデータを求める必要がなく、したがって、面倒な計算が不要になるとともに、計算間違いによって誤計測を生じるといったこともない。
【0034】また、この実施の形態の計測装置1は、トリガ信号が入力されている計測期間における計測値の最大値および最小値を共にホールドしてそれらを二つの比較値とそれぞれ比較して判定することができる。
【0035】図4は、この最大値および最小値ホールドを説明するためのタイムチャートであり、同図(a)は計測値、同図(b)はタイミングセンサ12からの計測タイミングを示すトリガ信号、同図(c)はH出力、同図(d)はPASS出力、同図(e)はL出力を示しており、比較動作は、計測終了のタイミングで行われ、最大値が公差H(H比較値)を上回ったときに、H出力がONし、最大値が公差L(L比較値)を下回ったときに、L出力がONし、H出力およびL出力がOFFのときに、PASS出力がONするものである。
【0036】この図4に示されるように、トリガ信号がONしている期間で計測が行われてその計測期間における最大値および最小値が、太線で示されるようにそれぞれホールドされるとともに、ホールドされた最大値および最小値が、公差Hおよび公差Lとそれぞれ比較されてその結果に応じた判定出力(H出力、PASS出力、L出力)を与えるものである。
【0037】図5は、この最大値および最小値ホールドの動作説明に供するフローチャートである。
【0038】先ず、ホールド手段を構成するマイコン9に内蔵された最大値用および最小値用メモリの値を、それぞれ初期値に設定し(ステップn1)、タイミングセンサ12からのトリガ信号の入力があったか否か、すなわち、トリガ信号がONしたか否かを判断し(ステップn2)、ONしたときには、変位センサ13の出力をサンプリングして計測し(ステップn3)、計測値が最大値用メモリの初期値よりも大きいか否かを判断し(ステップn4)、大きいときには、最大値用メモリの値を、その計測値に書き換えて(ステップn5)ステップn6に移り、大きくないときには、書き換えることなくステップn6に移る。
【0039】ステップn6では、計測値が最小値用メモリの初期値よりも小さいか否かを判断し、小さいときには、最小値用メモリの値を、その計測値に書き換えて(ステップn7)ステップn8に移り、小さくないときには、書き換えることなく、ステップn8に移る。
【0040】ステップn8では、トリガ信号の入力が終了したか否か、すなわち、トリガ信号がOFFしたか否かを判断し、OFFしていないときには、ステップn3に戻って計測を継続し、OFFしたときには、最大値用メモリおよび最小値用メモリの最大値および最小値を出力して次回の計測に備える(ステップn9)。
【0041】従来の計測装置では、最大値または最小値のいずれか一方しかホールドできず、あるいは、最大値と最小値との差しかホールドできなかったために、例えば、上述の図4に示されるように、基準値よりも大きな公差Hを上回った場合および基準値よりも小さな公差Lを下回ったときに異常の判定を行いたいような場合、例えば、基準値を中心に上下に振動するような計測値を管理したいような場合には、最大値用と最小値用との二台の計測装置が必要であったけれども、この実施の形態によれば、単一の計測装置によって対応できることになる。
【0042】さらに、この実施の形態の計測装置1は、計測期間において、ホールドした計測値、例えば、最大値、最小値、極大値、極小値、あるいは、最大値と最小値との差(ピークtoピーク)などのホールド値を、ティーチングしてそのまま比較値(公差)の設定値として取り込むことができるようにしている。
【0043】例えば、ワークの高さ計測において説明すると、上限の高さを有する限界ワークを用いて現物合わせによって公差Hを設定する場合には、この実施の形態では、この限界ワークを、計測モードで計測してその最大値をホールドし、ティーチング操作を行うことにより、取り込み手段としてのマイコン9は、ホールドした最大値を、公差Hとして自動的に設定するものである。
【0044】従来は、限界ワークを用いて公差Hを設定する場合には、ティーチングモードにして限界ワークの任意のポンイトの高さを計測してその計測値を公差Hとして設定するものである。したがって、限界ワークの高さを計測しているポイントが最大の高さのポイントからずれている場合には、実際には最大の高さでない値が公差Hとして設定されることになる。
【0045】これに対して、この実施の形態では、限界ワークなどを実際に計測モードで計測して最大値などをホールドし、そのホールド値を比較値(公差)として設定できるので、限界ワークの最大値などが確実に比較値として設定されることになり、精度の高い判定が行えることになる。
【0046】上述の実施の形態では、ワークの高さの計測に適用したけれども、計測対象物の厚さであってもよく、あるいは、ワークの幅を計測する場合に適用してもよく、この場合は、基準面を立設して側方から変位センサで距離を検出すればよい。
【0047】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、以下のような効果が奏される。
【0048】すなわち、請求項1の本発明によれば、変位センサの特性値および変位センサから基準面までの距離を入力すれば、計測対象物の長さを算出できるので、従来のように、変位センサからの実入力と計測対象物の長さとを換算算出して入力するといった必要がなく、面倒な計算が不要になるとともに、計算を誤って誤計測してしまうといったこともない。
【0049】請求項2の本発明によれば、前記特性値として、変位センサの検出距離と対応する出力値とからなる組の二組、例えば、上限と下限の二組の値を入力すればよく、かかる値は、一般に変位センサの特性としてマニュアル等に記載されており、したがって、従来のように面倒な計算をすることなく、マニュアル等に記載されている値を単に入力するだけでよい。
【0050】請求項3の計測装置によれば、ホールドされた計測値を、判定のための比較値として取り込むことができるので、例えば、良否判定の限界寸法を有する限界ワークを実際に計測してその最大値や最小値をホールドし、そのホールド値を比較値(公差)として設定できることになり、いわゆる、現物合わせによる正確な比較値が設定できることになり、精度の高い判定が行える。
【0051】請求項4の計測装置によれば、計測期間における計測値の最大値および最小値の両者をホールドできるので、いずれか一方しかホールドできなかった従来例のように、両者をホールドするために2台の計測装置を必要とせず、従来例に比べて安価にシステムを構成できる。
【0052】請求項5の計測装置によれば、最大値および最小値を、個別的に対応する少なくとも二つの比較値とそれぞれ比較する比較手段を備えているので、例えば、基準値を中心に二つの比較値を設定して一方の比較値を上回る不良および他方の比較値を下回る不良を判定することができる。
【出願人】 【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
【出願日】 平成11年6月30日(1999.6.30)
【代理人】 【識別番号】100086737
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 和秀
【公開番号】 特開2001−12937(P2001−12937A)
【公開日】 平成13年1月19日(2001.1.19)
【出願番号】 特願平11−185630