| 【発明の名称】 |
接合部の検査方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】山田 龍三
【氏名】冷水 孝夫
【氏名】堀尾 浩次
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| 【要約】 |
【課題】拡散接合法により接合された金属管の接合部に発生した段差の大きさを高い精度で、かつ効率的に検出することが可能な接合部の検査方法を提供すること。
【解決手段】拡散接合された2つの金属管12、14の外側に超音波探触子22を配置し、各金属管12、14の外周面に対して垂直に、かつ同一方向から超音波を入射させ、各金属管12、14の外周面で反射された外側反射エコーの往復時間tS1、tS2及び内周面で反射された内側反射エコーの往復時間tB1、tB2を計測する。次に、計測された外側反射エコーの往復時間tS1、tS2及び内側反射エコーの往復時間tB1、tB2を用いて、接合部16の外周面側に発生した外側段差16aの大きさLS及び内周面側に発生した内側段差16bの大きさLB、並びに接合厚さLAを算出する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 拡散接合された一方の金属管の外側に超音波探触子を配置し、前記一方の金属管の外周面に対して超音波を垂直に入射させ、前記一方の金属管の外周面で反射された外側反射エコーの往復時間を計測する工程と、拡散接合された他方の金属管の外側に超音波探触子を配置し、前記一方の金属管への超音波の入射方向と同一方向に超音波を入射させ、前記他方の金属管の外周面で反射された外側反射エコーの往復時間を計測する工程と、前記各外側反射エコーの往復時間から、接合部の外周面側に発生した段差の大きさを算出する工程とを備えていることを特徴とする接合部の検査方法。 【請求項2】 拡散接合された一方の金属管の外側に超音波探触子を配置し、前記一方の金属管の外周面に対して超音波を垂直に入射させ、前記一方の金属管の外周面で反射された外側反射エコーの往復時間及び内周面で反射された内側反射エコーの往復時間を計測する工程と、拡散接合された他方の金属管の外側に超音波探触子を配置し、前記一方の金属管への超音波の入射方向と同一方向に超音波を入射させ、前記他方の金属管の外周面で反射された外側反射エコーの往復時間及び内周面で反射された内側反射エコーの往復時間を計測する工程と、前記各外側反射エコーの往復時間及び前記各内側反射エコーの往復時間から、接合部の内周面側に発生した段差の大きさを算出する工程とを備えていることを特徴とする接合部の検査方法。 【請求項3】 前記各外側反射エコーの往復時間及び前記各内側反射エコーの往復時間を、前記接合部近傍において計測することを特徴とする請求項2に記載の接合部の検査方法。 【請求項4】 前記各外側反射エコーの到達時間を前記接合部近傍で計測し、前記各内側反射エコーの到達時間を熱影響を受けていない位置で計測することを特徴とする請求項2に記載の接合部の検査方法。 【請求項5】 前記各外側反射エコーの往復時間及び前記各内側反射エコーの往復時間から、前記接合部の厚さを算出する工程をさらに備えていることを特徴とする請求項2、3又は4に記載の接合部の検査方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、接合部の検査方法に関し、さらに詳しくは、プラント用配管、ラインパイプ、油井管等、接合された金属管の接合部に発生した段差、接合部の厚さ等を非破壊で検査する方法として好適な接合部の検査方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来から、化学工業、石油化学工業等の分野においては、腐食性の流体を長距離に亘って輸送するために、長尺の金属管が使用されている。例えば、パイプラインは、油田から得られた原油等を精油所等に輸送するためのものであり、その長さは数十kmに及ぶ。 【0003】また、油井を掘削するに際しては、地中に掘削された坑道の保護や原油の漏出防止等のために、坑道の中にケーシングと呼ばれる鋼管が埋設される。油田は、通常、地下数千mの位置にあるので、ケーシングも数千mの長さを有するものが必要とされる。 【0004】一方、腐食環境に曝される金属管には、耐食性に優れた継目無鋼管が一般に用いられるが、工業的に量産されている継目無鋼管の長さは、10〜15mであり、製造可能な長さの上限は100m程度である。従って、ラインパイプや油井管等、長尺の金属管には、長さ10〜15mの継目無鋼管を複数個接続した接合体が用いられている。 【0005】このような用途に用いられる金属管の接合方法としては、ねじ接続法(メカニカルカップリング法)、溶接法(オービタルウェルディング法)、摩擦圧接法、拡散接合法などが知られている。 【0006】特に、拡散接合法は、ねじ接続法に比較して強度及び気密性に優れた高品質の継手が得られ、しかも、溶接法に比較して作業効率が高いという利点がある。そのため、拡散接合法は、油井管やラインパイプ等、金属管の接合方法として広く用いられているものである。 【0007】ところで、拡散接合法を用いて金属管を接合する際に、不可抗力により、各金属管の軸がずれた状態で接合が行われる場合がある。その場合には、接合部の外周面側及び/又は内周面側に段差が発生する。 【0008】また、工業的に量産されている金属管には所定の寸法公差があり、各金属管の外径及び肉厚は、寸法公差の範囲内でばらついている。そのため、各金属管の軸を一致させた状態で接合した場合であっても、各金属管の外径及び/又は肉厚によっては、接合部の外周面側及び/又は内周面側に段差が発生する。 【0009】接合部の外周面側及び/又は内周面側に発生した段差は、応力集中の起点となり、接合強度及び疲労特性を低下させる原因となる。また、接合部の内周面側に段差が発生した場合には、段差部分に腐食性物質が滞留しやすくなるために、耐食性及び機械的特性に悪影響を及ぼすおそれがある。 【00010】また、例えば、油井管の分野においては、油井掘削コストの低減と生産能率の増大を両立させるために、内径の小さな金属管が接合された接合体を掘削された坑道内に埋設した後、マンドレル等を用いて接合体の内径を拡大する試みがなされている。しかしながら、接合部の内周面側に段差があると、マンドレル等で内径を拡大する際に、段差部分に応力が集中し、接合部に亀裂を発生させるおそれがある。 【0011】従って、接合された金属管の信頼性を確保するためには、接合後に接合部に発生した段差の大きさを定量的に把握することが重要である。従来は、このような接合部の段差の管理は、ノギスを用いて接合部の外側に発生した段差のみを測定することにより行われていた。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ノギスを用いた段差の計測は、例えば、継目無鋼管のように寸法精度や表面の平坦度が悪い場合には誤差が大きいという問題がある。また、接合部の段差の変化が多く、測定精度を向上させるには、測定点数を増やす必要があり、膨大な測定時間を要するという問題がある。さらに、接合部の内周面側に発生した段差については、ノギスを用いて計測することは困難であり、内周面側に発生した段差を正確、かつ効率的に計測する手段がないという問題がある。 【0013】本発明が解決しようとする課題は、拡散接合法により接合された金属管の接合部に発生した段差の大きさを高い精度で、かつ効率的に検出することが可能な接合部の検査方法を提供することにある。 【0014】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明に係る接合部の検査方法は、拡散接合された一方の金属管の外側に超音波探触子を配置し、前記一方の金属管の外周面に対して超音波を垂直に入射させ、前記一方の金属管の外周面で反射された外側反射エコーの往復時間を計測する工程と、拡散接合された他方の金属管の外側に超音波探触子を配置し、前記一方の金属管への超音波の入射方向と同一方向に超音波を入射させ、前記他方の金属管の外周面で反射された外側反射エコーの往復時間を計測する工程と、前記各外側反射エコーの往復時間から、接合部の外周面側に発生した段差の大きさを算出する工程とを備えていることを要旨とするものである。 【0015】また、本発明の2番目は、拡散接合された一方の金属管の外側に超音波探触子を配置し、前記一方の金属管の外周面に対して超音波を垂直に入射させ、前記一方の金属管の外周面で反射された外側反射エコーの往復時間及び内周面で反射された内側反射エコーの往復時間を計測する工程と、拡散接合された他方の金属管の外側に超音波探触子を配置し、前記一方の金属管への超音波の入射方向と同一方向に超音波を入射させ、前記他方の金属管の外周面で反射された外側反射エコーの往復時間及び内周面で反射された内側反射エコーの往復時間を計測する工程と、前記各外側反射エコーの往復時間及び前記各内側反射エコーの往復時間から、接合部の内周面側に発生した段差の大きさを算出する工程とを備えていることを要旨とするものである。 【0016】この場合、前記各外側反射エコーの往復時間及び前記各内側反射エコーの往復時間は、前記接合部近傍において計測してもよく、あるいは、前記各外側反射エコーの到達時間を前記接合部近傍で計測し、前記各内側反射エコーの到達時間を熱影響を受けていない位置で計測してもよい。また、前記各外側反射エコーの往復時間及び前記各内側反射エコーの往復時間から、前記接合部の厚さを算出する工程をさらに備えていてもよい。 【0017】上記構成を有する本発明に係る接合部の検査方法によれば、拡散接合された金属管の外側に配置された超音波探触子から、各金属管に対して垂直に、かつ同一方向から超音波を入射させているので、外側反射エコーの往復時間から、各金属管の外周面と超音波探触子との間の距離を算出することができる。また、各金属管について測定された外側反射エコーの往復時間と内側反射エコーの往復時間の差から、各金属管の肉厚を算出することができる。 【0018】そのため、超音波探触子と金属管の位置関係を所定の関係に保った状態で、接合部を介して隣接する2つの金属管について、それぞれ、外側反射エコーの往復時間と内側反射エコーの往復時間を計測すれば、金属管の寸法精度や表面の平坦度が悪い場合であっても、接合部の外周面及び/又は内周面に発生した段差の大きさ、さらには、接合厚さを正確かつ効率的に算出することができる。 【0019】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る接合部の検査方法に用いられる検査装置及び検査に供される接合体の一例を示す概略構成図である。 【0020】図1において、接合体10は、金属管12及び金属管14が端面において拡散接合されたものである。図1に示す接合体10においては、接合部16の外周面側及び内周面側にそれぞれ外側段差16a及び内側段差16bが発生した状態を示している。 【0021】なお、接合体10を構成する金属管12、14の材質や寸法は、特に限定されるものではない。また、金属管12、14は、電縫管であっても良く、あるいは、継目無鋼管であっても良い。 【0022】また、拡散接合法には、2本の金属管を直接突き合わせ、固相状態を維持しながら元素の拡散を行わせる固相拡散接合法と、接合界面にインサート材を介挿し、インサート材を溶融させると共に、その成分の一部を金属管側に拡散させる液相拡散接合法があるが、本発明においては、接合体10の接合方法として、固相拡散接合法及び液相拡散接合法のいずれも適用できる。 【0023】検査装置20は、超音波探触子22とタンク24とを備えている。超音波探触子22は、接合体10の外周面から所定の距離をおいて配置され、接合体10の外周面に対して垂直に超音波を入射できるようになっている。また、超音波探触子22は、図示しない駆動手段により、接合体10の軸方向及び円周方向に沿って移動できるようになっている。なお、超音波探触子22を接合体10の軸方向に移動させる場合、超音波探触子22の移動方向と接合体10の軸方向は、平行であることが望ましいが、若干の傾きがあってもよい。 【0024】また、タンク24は、接合体10の接合部16近傍を密閉し、超音波探触子22と接合体10の外表面との間に介在させる接触媒質26の漏洩を防止するために用いられる。接触媒質26は、超音波の送受信を効率化させるために用いられるものであり、具体的には、水、油、グリセリン等を用いると良い。なお、接合体10が比較的小さい場合には、タンク24を用いる代わりに、接触媒質26を満たした水槽等に接合体10全体を入れるようにしてもよい。 【0025】次に、図1に示す検査装置20を用いた接合部の検査方法について説明する。まず、接合部16を介して隣接する一方の金属管12の外側に超音波探触子22を配置する。この場合、超音波探触子22は、接合部16近傍に配置すると良い。 【0026】次いで、超音波探触子22から金属管12の外周面に対して垂直に超音波を入射させ、金属管12の外周面で反射された外側反射エコーが超音波探触子22に到達するまでの往復時間tS1を計測する。また、金属管12に入射させた超音波の一部は、金属管12内部に伝搬し、金属管12の内周面においても反射されるので、この時、内側反射エコーの往復時間tB1も同時に計測することができる。 【0027】次に、超音波探触子22を接合体10の軸方向に沿って移動させ、接合部16の近傍であって、金属管14の外側に配置する。次いで、超音波探触子22から金属管14の外周面に対して垂直に超音波を入射させ、金属管14の外周面で反射された外側反射エコーの往復時間tS2、及び金属管14の内周面で反射された内側反射エコーの往復時間tB2を計測する。 【0028】なお、外側段差16aの大きさのみを算出する場合には、後述するように、外側反射エコーの往復時間tS1、tS2のみを計測すれば足り、内側反射エコーの往復時間tB1、tB2の計測は不要である。 【0029】次に、各金属管12、14について計測された外側反射エコーの往復時間tS1、tS2及び内側反射エコーの往復時間tB1、tB2から、外側段差16aの大きさ及び内側段差16bの大きさ、並びに接合部16の厚さを算出する。 【0030】まず、外側段差16aの大きさを算出する方法について説明する。図3(a)に示すように、超音波探触子22から金属管12及び金属管14までの距離を、それぞれ、DS1及びDS2とし、超音波探触子22の移動方向と、接合体10の軸方向が平行である場合を考える。この場合、外側段差16aの大きさLSは、次の数1の式により表される。 【0031】 【数1】LS=DS2−DS1【0032】一方、接触媒質26中の音速をCWとすると、DS1及びDS2は、金属管12の外側反射エコーの往復時間tS1及び金属管14の外側反射エコーの往復時間tS2を用いて、それぞれ、次の数2の式及び数3の式により表される。 【0033】 【数2】DS1=CW×tS1/2【0034】 【数3】DS2=CW×tS2/2【0035】数2の式及び数3の式を数1の式に代入すれば、次の数4の式が得られる。 【0036】 【数4】LS=CW×(tS2−tS1)/2【0037】従って、外側反射エコーの往復時間tS1及びtS2を計測すれば、外側段差16aの大きさLSを算出できることがわかる。なお、図3(b)に示すように、超音波探触子22の移動方向と接合体10の軸方向に傾きがある場合、超音波探触子22の移動距離l、及び傾き角θを別途計測し、数4の式を補正すればよい。 【0038】移動距離l及び傾き角θの計測方法には、種々の方法があり、特に限定されるものではない。例えば、移動距離lについては、超音波探触子22の駆動手段に変位センサを設け、変位センサの指示値から容易に求めることができる。また、傾き角θについては、例えば、超音波探触子22を接合体10の軸方向に移動させる際に外側反射エコーの往復時間を連続的に計測し、その変化量によって求めることができる。 【0039】次に、内側段差16bの大きさを算出する方法について説明する。図3(a)に示すように、金属管12及び金属管14の肉厚を、それぞれ、TB1及びTB2とし、超音波探触子22を、接合体10の軸方向に対して平行に移動させる場合を考える。この場合、内側段差16bの大きLBは、次の数5の式により表される。 【0040】 【数5】 LB=(DS2+TB2)−(DS1+TB1) 【0041】一方、金属管12、14中の音速をCMとすると、TB1及びTB2は、金属管12の外側及び内側反射エコーの往復時間tS1及びtB1、並びに金属管14の外側及び内側反射エコーの往復時間tS2及びtB2を用いて、それぞれ、次の数6の式及び数7の式により表される。 【0042】 【数6】TB1=CM×(tB1−tS1)/2【0043】 【数7】TB2=CM×(tB2−tS2)/2【0044】数2の式、数3の式、数6の式及び数7の式を数5の式に代入すれば、次の数8の式が得られる。 【0045】 【数8】LB=(CW−CM)×(tS2−tS1)/2+CM×(tB2−tB1)/2【0046】従って、外側反射エコーの往復時間tS1及びtS2、並びに内側反射エコーの往復時間tB1及びtB2を計測すれば、内側段差16bの大きさLBを算出できることがわかる。なお、超音波探触子22の移動方向と接合体10の軸方向に傾きがある場合、超音波探触子22の移動距離l、及び傾き角θを別途計測し、数8の式を補正すればよい点は、数4の式と同様である。 【0047】次に、接合部16の厚さを算出する方法について説明する。接合厚さLAは、数2の式で求めたDS1及び数3の式で求めたDS2、並びに数6の式で求めたTB1及び数7の式で求めたTB2を用いて、容易に算出することができる。すなわち、超音波探触子22を接合体10の軸方向に対して平行に移動させる場合、図3(a)から明らかなように、DS1とDS2の大きい方をD1、(DS1+TB1)と(DS2+TB2)の小さい方をD2とすると、接合厚さLAは、次の数9の式により表される。 【0048】 【数9】LA=D2−D1【0049】従って、外側反射エコーの往復時間tS1及びtS2、並びに内側反射エコーの往復時間tB1及びtB2を計測すれば、接合厚さLAを算出できることがわかる。また、LAは、ある一点における接合部16の厚さを表しているので、超音波探触子22を円周方向に順次移動させ、逐次DS1、DS2、TB1及びTB2を算出すれば、接合部16の総面積を算出することもできる。なお、超音波探触子22の移動方向と接合体10の軸方向に傾きがある場合、移動距離l及び傾き角θを別途計測し、数9の式を補正すればよい点は、数4の式及び数8の式と同様である。 【0050】以上のように、本実施の形態に係る接合部の検査方法によれば、接合部16を挟んだ両側において、外側反射エコーの往復時間及び内側反射エコーの往復時間を計測することにより、容易に外側段差16aの大きさLS及び内側段差16bの大きさLB、並びに接合厚さLAを算出することができる。 【0051】しかも、ノギスを用いて段差の大きさを計測する従来の方法と異なり、計測器具を直接、接合体10に接触させる必要はないので、継目無鋼管のように、寸法精度や表面の平坦度が低い場合であっても、段差の大きさ等を正確、かつ効率的に計測することが可能となる。 【0052】次に、本発明の第2の実施の形態に係る接合部の検査方法について説明する。本実施の形態に係る接合部の検査方法は、金属管12及び金属管14について、それぞれ、外側反射エコーの往復時間tS1、tS2及び内側反射エコーの往復時間tB1、tB2を計測し、計測された往復時間から外側段差16aの大きさLS及び内側段差16bの大きさLB、並びに接合厚さLAを算出する点は、第1の実施の形態に係る接合部の検査方法と同様であるが、外側反射エコーの往復時間tS1、tS2と内側反射エコーの往復時間tB1、tB2を同時に計測することなく、異なる場所において計測する点が異なっている。 【0053】すなわち、本実施の形態では、図2に示すように、まず、接合時の熱履歴の影響を受けた金属管12の熱影響部12aの外側に超音波探触子22を配置し、内側反射エコーの往復時間tB1を計測する。次いで、超音波探触子22を金属管12の軸方向に移動させ、接合部16の近傍であって金属管12の外側に配置し、外側反射エコーの往復時間tS1を計測する。 【0054】次に、超音波探触子22を金属管12、14の軸方向に移動させ、接合部16の近傍であって金属管14の外側に配置し、外側反射エコーの往復時間tS2を計測する。さらに、超音波探触子22を金属管14の軸方向に移動させ、金属管14の熱影響部14aの外側に配置し、内側反射エコーの往復時間tB2を計測する。 【0055】なお、外側段差16aの大きさLS、内側段差16bの大きさLB及び接合厚さLAは、上述した数1〜数9の式により算出すればよい点、並びに、超音波探触子22の移動方向と接合体10の軸方向が傾いている場合には、移動距離l及び傾き角θを別途計測し、これらを用いてLS、LB及びLAを補正すればよい点は、第1の実施の形態と同様である。 【0056】本実施の形態に係る接合部の検査方法によれば、外側反射エコーの往復時間tS1、tS2が接合部16近傍で計測されるので、接合部16近傍が接合時の加熱によって変形している場合であっても、外側段差16aの大きさLSを正確に算出することができる。 【0057】また、熱影響部12a、14aは、接合時の加熱によって結晶粒が粗大化しているために、超音波の散乱が大きくなったり、あるいは、弾性率が変化している場合がある。そのため、熱影響部12a、14a内で内側反射エコーの往復時間tB1及びtB2を計測すると、内側反射エコーが得られなかったり、あるいは、測定誤差が大きくなる場合がある。これに対し、本実施の形態のように、内側反射エコーの往復時間tB1及びtB2を熱影響部12a、14aの外側で計測すれば、加熱による影響を回避でき、内側反射エコーを高感度、かつ高精度に検出することができる。 【0058】なお、外側反射エコーの往復時間tS1、tS2と、内側反射エコーの往復時間tB1、tB2の測定位置が離れていても、数6の式及び数7の式における肉厚TB1及びTB2に生ずる誤差は小さく、高い精度で段差の大きさLS、LB及び接合厚さLAを計測することができる。 【0059】これは、拡散接合によって接合部近傍が変形する場合、一般に管壁が外側あるいは内側に変形するのみであり、肉厚は、接合の前後においてほぼ一定に保たれるという傾向があるためである。また、金属管12、14として、寸法精度の悪い継目無鋼管を用いる場合であっても、継目無鋼管の肉厚は、一般に円周方向のばらつきは大きいが、軸方向のばらつきは小さいためである。 【0060】 【実施例】継目無鋼管を液相拡散接合した接合体10について、図1に示す検査装置20を用いて外側段差LS、内側段差LB及び接合厚さLAを測定した。なお、接触媒質26には水を用い、測定は、接合体10の接合部16の全周に渡って行った。結果を図4に示す。 【0061】図4(a)に、数6の式を用いて算出した、一方の金属管12の肉厚TB1を示す。図4(a)より、本実施例で用いた継目無鋼管の肉厚TB1は、6〜7mmの範囲で変動していることがわかる。 【0062】また、図4(b)に、数4の式を用いて算出した外側段差16aの大きさLS及び数8の式より算出した内側段差16bの大きさLBを示す。図4(b)より、外側段差16aの大きさLSは、場所によらず0.2mm程度であるのに対し、内側段差16bの大きさLBは、周方向位置に応じて±0.5mmの範囲で変動していることがわかる。これは、接合の際に、外側段差16aが最小となるように金属管12、14の軸合わせを行っているためである。 【0063】さらに、図4(c)に、数9の式を用いて算出した接合厚さLAを示す。図4(c)より、接合厚さLAは、周方向位置に応じて6〜7mmの範囲で変動していることがわかる。これらの結果は、得られた接合体を切断して実測された、各部の肉厚TB1、外側段差16aの大きさLS及び内側段差16bの大きさLB、並びに接合厚さLAと良く一致した。 【0064】以上、本発明の実施の形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。 【0065】例えば、上記第1の実施の形態では、1つの超音波探触子22を接合体10の軸方向に移動させ、これによって接合部16を介して隣接する2つの金属管12及び14の外側反射エコーの往復時間及び内側反射エコーの往復時間を計測しているが、2個の超音波探触子22を接合部16を挟んで接合体10の軸方向に配置し、超音波探触子22を移動させることなく、各金属管12、14に対して垂直に、かつ同一方向から超音波を入射させ、これによって反射エコーの往復時間を計測しても良い。 【0066】同様に、第2の実施の形態において、1つの超音波探触子22を接合体10の軸方向に移動させる代わりに、隣接する2つの金属管12及び14の外側に、それぞれ2個の超音波探触子22を接合体10の軸方向に配置し、これらの超音波探触子22を移動させることなく反射エコーの往復時間を計測しても良い。 【0067】また、上記第1及び第2の実施の形態においては、いずれも超音波探触子22を移動させているが、超音波探触子22を固定させ、超音波探触子22に対して接合体10を移動させることにより、各金属管12、14に対して垂直に、かつ同一方向から超音波を入射させ、これによって外側反射エコーの往復時間及び内側反射エコーの往復時間を計測しても良い。 【0068】また、接合体10の軸方向及び周方向に2以上の超音波探触子22を配置し、これらを用いて往復時間を計測してもよい。このように複数の超音波探触子22を用いて同時に外側反射エコーの往復時間及び内側反射エコーの往復時間を計測すれば、超音波探触子22を移動させることなく段差の大きさ、接合厚さ等、及びこれらの周方向変化を同時に計測できるという利点がある。また、超音波探触子22を周方向に移動させることにより、段差の大きさ、接合厚さの周方向変化を計測することも可能である。 【0069】さらに、本発明に係る接合部の検査方法は、プラント用配管、ラインパイプ、油井管等、金属管の接合部の端部に発生した段差及び欠陥を検査する方法として特に好適なものであるが、本発明は、金属管以外の接合部、例えば、板材を突き合わせ接合した接合部に対しても適用でき、これにより上記実施の形態と同様の効果を得ることができる。 【0070】 【発明の効果】本発明に係る接合部の検査方法は、拡散接合された一方の金属管の外側に超音波探触子を配置し、前記一方の金属管の外周面に対して超音波を垂直に入射させ、前記一方の金属管の外周面で反射された外側反射エコーの往復時間を計測する工程と、拡散接合された他方の金属管の外側に超音波探触子を配置し、前記一方の金属管への超音波の入射方向と同一方向に超音波を入射させ、前記他方の金属管の外周面で反射された外側反射エコーの往復時間を計測する工程と、前記各外側反射エコーの往復時間から、接合部の外周面側に発生した段差の大きさを算出する工程とを備えているので、金属管の寸法精度や平坦度が低い場合であっても、外側段差の大きさを正確、かつ効率的に計測できるという効果がある。 【0071】また、本発明の2番目は、拡散接合された一方の金属管の外側に超音波探触子を配置し、前記一方の金属管の外周面に対して超音波を垂直に入射させ、前記一方の金属管の外周面で反射された外側反射エコーの往復時間及び内周面で反射された内側反射エコーの往復時間を計測する工程と、拡散接合された他方の金属管の外側に超音波探触子を配置し、前記一方の金属管への超音波の入射方向と同一方向に超音波を入射させ、前記他方の金属管の外周面で反射された外側反射エコーの往復時間及び内周面で反射された内側反射エコーの往復時間を計測する工程と、前記各外側反射エコーの往復時間及び前記各内側反射エコーの往復時間から、接合部の内周面側に発生した段差の大きさを算出する工程とを備えているので、従来の方法では困難であった内側段差の大きさを容易に計測できるという効果がある。また、金属管の寸法精度や平坦度が低い場合であっても、内側段差の大きさを正確、かつ効率的に計測できるという効果がある。 【0072】また、前記各外側反射エコーの往復時間及び前記各内側反射エコーの往復時間を、前記接合部近傍において計測する場合には、少ない計測回数で外側段差及び内側段差の大きさ、並びに接合厚さを算出するに要するデータが得られ、検査方法が効率化されるという効果がある。 【0073】また、前記各外側反射エコーの到達時間を前記接合部近傍で計測し、前記各内側反射エコーの到達時間を熱影響を受けていない位置で計測する場合には、接合時の加熱によって生ずる組織変化あるいは弾性率変化に起因する内側反射エコーの往復時間の測定誤差が抑制され、段差の大きさ及び接合厚さの計測精度が向上するという効果がある。 【0074】さらに、前記各外側反射エコーの往復時間及び前記各内側反射エコーの往復時間から、前記接合部の厚さを算出する工程をさらに備えている場合には、接合部の面積を推定することができるという効果がある。また、これによって、接合体の強度を非破壊で推定できるという効果がある。 【0075】以上のように、本発明に係る接合部の検査方法によれば、従来、多大な労力を要していた外側段差の大きさ、あるいは、測定することが困難であった内側段差の大きさを高精度、かつ効率的に計測できるので、これを例えば、油井管や化学プラントの配管等の品質検査に応用すれば、接合工程の信頼性を飛躍的に向上させることが可能となるものであり、産業上その効果の極めて大きい発明である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003713 【氏名又は名称】大同特殊鋼株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年6月28日(1999.6.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100095669 【弁理士】 【氏名又は名称】上野 登 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−12935(P2001−12935A) |
| 【公開日】 |
平成13年1月19日(2001.1.19) |
| 【出願番号】 |
特願平11−181639 |
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