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【発明の名称】 レーザ溶接機の溶接部観察装置
【発明者】 【氏名】猪股 雅一

【氏名】杉浦 寛幸

【氏名】上杉 満昭

【氏名】高橋 雅伸

【氏名】岩崎 謙一

【要約】 【課題】大出力のレーザが使用される場合においても、溶接される鋼板の表面部分と、シーム部、レーザ照射部(溶接池)を区別して観察することが可能なレーザ溶接機の溶接部観察装置を提供する。

【解決手段】溶接部ではレーザ光4が照射される部分でシーム部2が溶融すると共に、強いブラズマ光が連続的に発光している。溶接部の監視に当たっては、プラズマ光の波長帯域と溶接用レーザの波長帯域を避けて監視するために、これらと波長帯域の異なる光を発光する紫外光ストロボ5でレーザ照射部及びシーム部2を照明する。シャッタ付カメラ6のシャッターは、撮像周期より短い間だけ開となり、シャッタが開となっている間に、紫外線ストロボ5が発光するようになっている。よって、シャッターを開とする時間を調整することにより、撮像されたプラズマ光の明るさと、鋼板面の明るさの相対値を変化させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 鋼板をパイプ形状に曲げ、その突合せ部をレーザ光を熱源として溶接し、溶接鋼管を製造するレーザ溶接機における溶接部を観察する装置であって、溶接部にストロボ光を照射する照明手段と、溶接部を撮像するシャッタ付撮像手段と、照明手段のストロボの発光タイミングと発光時間、シャッタ付撮像手段のシャッタが開となるタイミングと開となる時間を、同期をとって制御する制御手段とを有してなることを特徴とするレーザ溶接機の溶接部観察装置。
【請求項2】 鋼板をパイプ形状に曲げ、その突合せ部をレーザ光を熱源として溶接し、溶接鋼管を製造するレーザ溶接機における溶接部を観察する装置であって、溶接部に、レーザによって発生するプラズマとは異なる波長の照明光を照射する照明手段と、溶接部を撮像する光学フィルタ付撮像手段とを有してなり、前記光学フィルタは、前記照明手段の照明光の波長に対して高い透過率を有し、レーザによって発生する前記プラズマの波長に対して低い透過率を持つものであることを特徴とするレーザ溶接機の溶接部観察装置。
【請求項3】 鋼板をパイプ形状に曲げ、その突合せ部をレーザ光を熱源として溶接し、溶接鋼管を製造するレーザ溶接機における溶接部を観察する装置であって、溶接部に、レーザによって発生するプラズマとは異なる波長のストロボ光を照射する照明手段と、溶接部を撮像するシャッタ、光学フィルタ付撮像手段と、照明手段のストロボの発光タイミングと発光時間、シャッタ付撮像手段のシャッタが開となるタイミングと開となる時間を、同期をとって制御する制御手段とを有してなり、前記光学フィルタは、前記照明手段の照明光の波長に対して高い透過率を有し、レーザによって発生する前記プラズマの波長に対して低い透過率を持つものであることを特徴とするレーザ溶接機の溶接部観察装置。
【請求項4】 請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載のレーザ溶接溶接機の溶接部観察装置であって、光学フィルタの透過率、照明手段のストロボの発光タイミング、照明手段の発光時間、シャッタ付撮像手段のシャッタが開となるタイミング、シャッタが開となる時間の少なくとも一つが、観察される画像のうち、溶接対象鋼板表面に比べてシーム部が暗く、レーザ照射部が明るく映るように調整されていることを特徴とするレーザ溶接機の溶接部観察装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼板をパイプ形状に曲げ、その突合せ部を、レーザ光を熱源として溶接し、溶接鋼管を製造するレーザ溶接機における溶接部、すなわち、レーザ照射位置、溶融池、シーム部等を観察する溶接部観察装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、溶接鋼管の製造方法の一つとして、熱延鋼板などをパイプ形状に曲げ、その突き合わせ部(以下シーム部という)をレーザ光を熱源として溶接するレーザ溶接法が用いられている。このような溶接方法では、レーザの照射位置が正確にシーム部に当たるよう、常に正確な位置合わせが必要となる。しかもシーム位置とレーザ照射位置は、溶接途中においても製造ラインの条件や入熱の条件等により変動する。そのため、レーザ溶接部におけるレーザの照射位置とシーム部の位置を監視し、両者が一致するように位置制御を行うことが行われてきた。
【0003】レーザ溶接部の監視方法としては、既に特公昭55−18439号公報(電子ピームまたはレーザビーム溶接方法及びその装置)に示されるように、レーザ溶接部をテレビカメラで直接観察し、溶接線(シーム位置)、溶融池中心位置を検出する方法が知られている。この方式においては、溶接部を外部照明で照明し、観察した場合、シーム部は暗く、溶融池は明るく観察されることを前提として、シーム部及び溶融池の位置を検出している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、大口径のレーザ溶接管製造ラインにおいては、溶接に必要なレーザ光による入熱量が非常に大きく、大出力レーザが用いられている。一方、レーザ溶接時には、溶接部においてブラズマ光が発生するが、このような大口径溶接管の製造に使用する溶接用レーザでは、溶接部を直接監視した場合、プラズマ光の強度が強いため、視野全体に亘って撮像素子が飽和してしまい、レーザ照射位置を識別することができないという問題点がある。この問題点を解決するために、光学フィルタ等を用いて入射光量を減光して観察することが考えられるが、この場合には、レーザ照射部は高輝度部として観察されるものの、シーム部を含む他の部分の輝度レベルが低すぎてシーム部を観察することができないという新たな問題点が生じる。
【0005】本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、大出力のレーザが使用される場合においても、溶接される鋼板の表面部分と、シーム部、レーザ照射部(溶接池)を区別して観察することが可能なレーザ溶接機の溶接部観察装置を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するための第1の手段は、鋼板をパイプ形状に曲げ、その突合せ部をレーザ光を熱源として溶接し、溶接鋼管を製造するレーザ溶接機における溶接部を観察する装置であって、溶接部にストロボ光を照射する照明手段と、溶接部を撮像するシャッタ付撮像手段と、照明手段のストロボの発光タイミングと発光時間、シャッタ付撮像手段のシャッタが開となるタイミングと開となる時間を、同期をとって制御する制御手段とを有してなることを特徴とするレーザ溶接機の溶接部観察装置(請求項1)である。
【0007】本手段においては、照明手段により溶接部にストロボ光を照射し、ストロボ光が照射されている時間を含む極短時間だけ、撮像手段のシャッタを開とする。そして、この間に撮像された画像を、画像メモリー等に保存して連続表示したり、画像処理を行ってシーム部位置、レーザ照射部位置等の検出を行うようにする。プラズマの光は強くても連続的であり、ストロボ光の発光時間帯に限れば、ストロボ光の方の強度を強くすることができる。また、ストロボ光の強さと発光時間を調節し、その反射光によって撮像装置が飽和することなく、かつ、シャッタが開となっている時間のプラズマの光によっても撮像装置が飽和しないようにすることができる。また、シャッタが開となっている時間を調整することにより、プラズマの光を放射するレーザ照射部分が撮像される明るさを調整することができる。これに対し、鋼板表面の輝度レベルはストロボ照明光の光量で決まるので、シャッタ時間を変えても変化しない。よって、シャッタが開となっている時間を調整することにより、ストロボ光を反射する鋼板表面の明るさと、プラズマの光を放射するレーザ照射部分の明るさの比率を調整することができる。
【0008】よって、撮像される画像においては、ストロボ光を反射した鋼板の表面、ストロボ光を反射しないシーム部が異なる明るさとなると共に、プラズマの光が、これらと異なる明るさとなる。従って、溶接される鋼板の表面部分と、シーム部、レーザ照射部(溶接池)を区別して観察することができる。
【0009】前記課題を解決するための第2の手段は、鋼板をパイプ形状に曲げ、その突合せ部をレーザ光を熱源として溶接し、溶接鋼管を製造するレーザ溶接機における溶接部を観察する装置であって、溶接部に、レーザによって発生するプラズマとは異なる波長の照明光を照射する照明手段と、溶接部を撮像する光学フィルタ付撮像手段とを有してなり、前記光学フィルタは、前記照明手段の照明光の波長に対して高い透過率を有し、レーザによって発生する前記プラズマの波長に対して低い透過率を持つものであることを特徴とするレーザ溶接機の溶接部観察装置(請求項2)である。
【0010】本手段においては、照明装置から照射され、溶接される鋼板の表面で反射された光は、光学フィルタを透過し、撮像装置によって撮像される。これに対し、プラズマからの光は、光学フィルタによって弱められて撮像装置によって撮像される。よって、撮像される画像においては、ストロボ光を反射した鋼板の表面、ストロボ光を反射しないシーム部が異なる明るさとなると共に、プラズマの光が、これらと異なる明るさとなる。従って、溶接される鋼板の表面部分と、シーム部、レーザ照射部(溶接池)を区別して観察することができる。
【0011】前記課題を解決するための第3の手段は、鋼板をパイプ形状に曲げ、その突合せ部をレーザ光を熱源として溶接し、溶接鋼管を製造するレーザ溶接機における溶接部を観察する装置であって、溶接部に、レーザによって発生するプラズマとは異なる波長のストロボ光を照射する照明手段と、溶接部を撮像するシャッタ、光学フィルタ付撮像手段と、照明手段のストロボの発光タイミングと発光時間、シャッタ付撮像手段のシャッタが開となるタイミングと開となる時間を、同期をとって制御する制御手段とを有してなり、前記光学フィルタは、前記照明手段の照明光の波長に対して高い透過率を有し、レーザによって発生する前記プラズマの波長に対して低い透過率を持つものであることを特徴とするレーザ溶接機の溶接部観察装置(請求項3)である。
【0012】本手段は、前記第1の手段と第2の手段を組合せたものであり、よりフレキシビリティに富んだ制御が可能となり、溶接される鋼板の表面部分と、シーム部、レーザ照射部(溶接池)を区別して観察することが、より容易に可能となる。
【0013】前記課題を解決するための第4の手段は、前記第1の手段から第3の手段のいずれかであって、光学フィルタの透過率、照明手段のストロボの発光タイミング、照明手段の発光時間、シャッタ付撮像手段のシャッタが開となるタイミング、シャッタが開となる時間の少なくとも一つが、観察される画像のうち、溶接対象鋼板表面に比べてシーム部が暗く、レーザ照射部が明るく映るように調整されていることを特徴とするもの(請求項4)である。
【0014】光学フィルタの透過率、照明手段のストロボの発光タイミング、照明手段の発光時間、シャッタ付撮像手段のシャッタが開となるタイミング、シャッタが開となる時間の少なくとも一つを調整することにより、観察される画像のうち、溶接対象鋼板表面に比べてシーム部が暗く、レーザ照射部が明るく映るように調整することができる。これにより、シーム部とレーザ照射部の位置を判別することができ、これらを一致するように制御することが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態の例を図を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態の1例を示す構成図である。図1において、1はパイプ状に曲げられた鋼板、2はシーム部、3は集光レンズ、4はレーザ光、5は紫外線ストロボ、6はシャッタ付カメラ、7は光学フィルタ、8はシャッタ付カメラ6の視野である。
【0016】鋼板1を多段のロール(不図示)により、パイプ状に曲げ、鋼板の突き合わせ部(シーム部)2に、集光レンズ3を介して上部からCO2レーザ光4を照射し、鋼板を溶融させて溶接する。溶接されたパイプは製造ラインで下流側に流れおり、この溶接が連続して行われる。溶接部ではレーザ光4が照射される部分でシーム部2が溶融すると共に、強いブラズマ光が連続的に発光している。溶接部の監視に当たっては、プラズマ光の波長帯域と溶接用レーザの波長帯域を避けて監視するために、これらと波長帯域の異なる光を発光する紫外光ストロボ5でレーザ照射部及びシーム部2を照明する。
【0017】シャッタ付カメラ6の前面には、前記照明用紫外光の波長に対して透過率が高く、プラズマ光と溶接用レーザ光の波長に対して透過率の低い光学フィルタ7を設け、プラズマ光、レーザ光の入射光量を低減している。
【0018】図2に、ストロボの発光タイミングとシャッタタイミングの関係を示す。溶接部よりのプラズマ光は連続光である。カメラ同期信号は、たとえばシャッタ付カメラ6がCCDカメラである場合には、CCDをチャージする時間に相当し、画像の撮像周期毎に1パルス出力されている。プラズマ光による撮像素子の飽和を避けるために、シャッタは、撮像周期より短い間だけ開となり、シャッタが開となっている間に、紫外線ストロボ5が発光するようになっている。すなわち、シャッタ開となるタイミングと、ストロボ発光タイミングは、図示しない同期制御装置により、シャッタ付カメラ6の同期信号に同期している。
【0019】よって、紫外線ストロボ5により照射された鋼板1面からの反射光は、その全量がシャッタ付カメラ6で受光されるが、プラズマ光は、その光量の、(シャッタ開時間)/(撮像周期)分だけが受光されることになる。よって、シャッタを開とする時間を調整することにより、撮像されたプラズマ光の明るさと、鋼板面の明るさの相対値を変化させることができる。
【0020】従って、紫外線ストロボ5の発光時間と、シャッタ付カメラ6のシャッタが開となる時間を調整することにより、鋼板1面からのストロボ反射光によっても、プラズマ光によっても撮像素子が飽和せず、かつ、撮像された鋼板1の面がある程度の明るさを持ち、プラズマ光がさらにそれ以上の明るさを有するように調整を行うことができる。このようにすると、シーム部2からのストロボ反射光は無いので、シーム部は黒く撮像され、シーム部2、鋼板1面、プラズマ光を、異なった明るさで撮像することができる。このような撮像画面の例を図3に示す。
【0021】なお、溶融池も自然発光しているが、この光は弱いので観察することができない。しかし、プラズマの発生位置と溶融池の位置は一致しているので、プラズマの発生位置を検出することにより、溶融池の位置を検出することができる。
【0022】シャッタ付カメラ6によって撮像された画像は、画像メモリーに撮像周期の間保存され、画像表示装置に表示されると共に、画像処理装置によって、シーム2の位置とプラズマ光の位置が検出されて、制御装置により両者の位置が一致するように制御される。
【0023】なお、シャッタを開とする時間の調整のみで、シーム部2、鋼板1面、プラズマ光を、異なった明るさで撮像することができる場合には、光学フィルタ7は不要である。また、必ずしも照明光の波長をプラズマやレーザ光の波長と異なったものとする必要は無い。逆に、光学フィルタの特性のみで、撮像素子を飽和させることなく、シーム部2、鋼板1面、プラズマ光を、異なった明るさで撮像することができる場合には、撮像手段にシャッタを設けて前記のようなストロボとの同期制御を行う必要が無い。また、照明光をストロボのようなパルス光とせず、連続光としてもよい。しかし、照明光をストロボとし、光学フィルタ7とシャッタの両者を設けた場合にはよりフレキシビリティに富んだなコントラストの制御が可能である。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、強力なプラズマ光が発生するレーザ溶接装置においても、撮像素子を飽和させること無く、シーム位置とレーザ照射位置の観察が可能となり、レーザ溶接時のシーム位置倣いを容易に行うことが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000004123
【氏名又は名称】日本鋼管株式会社
【出願日】 平成11年7月1日(1999.7.1)
【代理人】 【識別番号】100094846
【弁理士】
【氏名又は名称】細江 利昭
【公開番号】 特開2001−12924(P2001−12924A)
【公開日】 平成13年1月19日(2001.1.19)
【出願番号】 特願平11−187111