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【発明の名称】 物体の三次元位置形状速度の計測方法
【発明者】 【氏名】川末 紀功仁

【要約】 【課題】一つの計測点で且つ簡単で安価な装置で物体の位置・形状・表面凹凸・移動速度等を容易に計測する。

【解決手段】CCDカメラ1の前に筒体3を回転自在に設け、同筒体にガラス製の光屈折体2をCCDカメラ1の光軸に対し傾いた状態に取付け、CCDカメラ1の撮像素子1aの画像上の観察点の円又はらせん状軌跡の曲率半径と曲率中心位置をパソコンのCPU7bによるコンピュータソフト処理で求め、曲率中心位置を光軸と直交する面での位置とし、又曲率半径の逆数値から光軸方向の距離を求め、観察点の三次元位置を計測する。又その観察点の移動速度をコンピュータで求めて観察点の位置・表面形状・表面凹凸・移動速度を求める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 撮像カメラの前に光屈折体を撮像カメラの光軸に対して傾けて配置するとともに、同光屈折体を光軸に対して回転させ、撮像カメラの撮像素子によって撮像される物体の一点の画像上の円運動又は螺旋運動の円又は螺旋の半径rとその中心位置を計算し、その中心位置に定数を乗じた値を光軸に直交する面の光軸を原点とする面における物体の一点の座標X,Yとし、円又は螺旋の半径rの反比例値に所定の定数を乗じた値を光軸に対する遠近距離Zとして物体の一点の三次元位置(X,Y,Z)を計測する三次元位置計測方法。
【請求項2】 請求項1において、撮像素子の画像上の螺旋運動の螺旋曲率中心位置の移動速度に定数を乗じた値を光軸に対する直角方向への点状物体の移動速度とする物体の移動速度の計測方法。
【請求項3】 撮像カメラの前に光屈折体を撮像カメラの光軸に対して傾けて配置するとともに、同光屈折体を光軸に対して回転させ、撮像カメラの撮像素子によって撮像される物体の一点の画像上の円運動又は螺旋運動の円又は螺旋の半径rを計算し、螺旋曲率半径の値の自乗の反比例値に,半径の時間変化速度と,定数とを乗じた値を、光軸方向への物体の移動速度とする物体の移動速度の計測方法。
【請求項4】 請求項1によって座標Zを計算し、次にその座標Zの時間的変化を計算して光軸方向の物体の移動速度とする物体の移動速度の計測方法。
【請求項5】 物体の表面に光のスポットを複数投光し、各スポットの三次元の位置座標を請求項1の三次元位置計測方法で計測し、複数のスポットの座標から物体の表面の位置・形状・傾きを求めることを特徴とする物体の三次元位置形状計測方法。
【請求項6】 物体の表面に撮像画像上で識別できる点状マークを複数設け、同マークの三次元の位置座標を請求項1の三次元位置計測方法で計測し、同複数のマークの座標から物体の表面の位置・形状・傾きを求めることを特徴とする物体の三次元位置形状計測方法。
【請求項7】 流体中にトレーサー粒子を混入し、同トレーサー粒子を物体の一点としてその速度を請求項2〜4いずれかの物体の移動速度の計測方法で求め、トレーサーの粒子の速度を流体の流れの速度とすることを特徴とする流体速度の計測方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物体の位置・表面形状・傾き・移動速度及び流体の流れの速度を三角法計測法に基づかないで一つの位置での撮像装置でもって計測する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、点状又は表面をもつ物体の位置・形状・傾き・表面の凹凸・それらの移動速度・回転運動等は、二定点以上の計測点から物体を計測し、その計測角度及び定点計測距離等から三角法に基づいて計測するものである。しかしながら、この計測方法は遠方の静止物体の位置の計測方法で有効であるが移動する物体の位置・表面形状・運動を計測するには移動する物体に視準を合わせることが技術的に難しく、又フィードバック技術を用いても高速追従は難しく、且つ精度が低いものとなりがちである。又近い物体の位置・形状を計測する方法としては不適当であった。又2箇所以上で精度のよい計測装置を用意しなければならないので高価であった。又図12に示すように2台のTVカメラを所定の間隔離して同一計測点を撮像して、各TVカメラの画像の計測位置の違いからその計測点の位置を計算する方法があるが、これも2台のTVカメラとパソコンを必要とするので高価となり、一点の計測点から計測できるものでなく、又その精度も低いものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、一つの計測点で且つ簡単で安価な装置で物体の位置・形状・表面凹凸・移動速度等が容易に計測できる三次元計測方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】かかる課題を解決した本発明の構成は、1) 撮像カメラの前に光屈折体を撮像カメラの光軸に対して傾けて配置するとともに、同光屈折体を光軸に対して回転させ、撮像カメラの撮像素子によって撮像される物体の一点の画像上の円運動又は螺旋運動の円又は螺旋の半径rとその中心位置を計算し、その中心位置に定数を乗じた値を光軸に直交する面の光軸を原点とする面における物体の一点の座標X,Yとし、円又は螺旋の半径rの反比例値に所定の定数を乗じた値を光軸に対する遠近距離Zとして物体の一点の三次元位置(X,Y,Z)を計測する三次元位置計測方法2) 前記1)において、撮像素子の画像上の螺旋運動の螺旋曲率中心位置の移動速度に定数を乗じた値を光軸に対する直角方向への点状物体の移動速度とする物体の移動速度の計測方法3) 撮像カメラの前に光屈折体を撮像カメラの光軸に対して傾けて配置するとともに、同光屈折体を光軸に対して回転させ、撮像カメラの撮像素子によって撮像される物体の一点の画像上の円運動又は螺旋運動の円又は螺旋の半径rを計算し、螺旋曲率半径の値の自乗の反比例値に,半径の時間変化速度と,定数とを乗じた値を、光軸方向への物体の移動速度とする物体の移動速度の計測方法4) 前記1)によって座標Zを計算し、次にその座標Zの時間的変化を計算して光軸方向の物体の移動速度とする物体の移動速度の計測方法5) 物体の表面に光のスポットを複数投光し、各スポットの三次元の位置座標を前記1)の三次元位置計測方法で計測し、複数のスポットの座標から物体の表面の位置・形状・傾きを求めることを特徴とする物体の三次元位置形状計測方法6) 物体の表面に撮像画像上で識別できる点状マークを複数設け、同マークの三次元の位置座標を前記1)の三次元位置計測方法で計測し、同複数のマークの座標から物体の表面の位置・形状・傾きを求めることを特徴とする物体の三次元位置形状計測方法7) 流体中にトレーサー粒子を混入し、同トレーサー粒子を物体の一点としてその速度を前記2)〜4)いずれかの物体の移動速度の計測方法で求め、トレーサーの粒子の速度を流体の流れの速度とすることを特徴とする流体速度の計測方法にある。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の物体の三次元的な位置の計測方法は、撮像カメラの光軸に対して光屈折体を傾けて回転させる。光軸線上の点物体は撮像素子によって光屈折体の回転にかかわらず光軸上の円として受光される。次に光軸線上から離れた点物体は、光屈折体で屈折されて入射点より離れた位置を通過して受光するが、光屈折体が傾いて光軸まわりに回転するため、通過光は入射光を中心として回転する光となって通過して撮像素子で光軸から離れた中心の円として受光される。即ち、光軸から離れた点物体からの光は、その離れた位置(X,Y)を中心に、円運動するスポットとして円として撮像素子で計測される。そのときの撮像素子で受光される円の半径rと、撮像カメラのレンズから点物体までの距離Zとは略次の関係式となる。
r=k/ZZ:撮像カメラの焦点から点物体までの距離r:撮像素子上の点物体の円軌跡の半径k:撮像カメラで定まる定数従って、 Z=k/rによって計算される。尚、撮像カメラの光学的特性撮像素子の配置・光屈折体のバラツキ等はコンピュータ処理によって上式は適宜補正される。従って、光軸方向に遠方のものは、半径rは小さく、近いものの半径rは大きく、光軸方向の距離Zは撮像素子の円の半径と反比例する。この撮像素子上の点物体の円軌跡の半径rを計算することで光軸方向の距離Z(D)が分る。kの値は、基準点BでのZとrの実測値のキャリブレート計測値D00からkを求めることができる。
k=D00次に、この点物体の光軸に直交する面での光軸を原点とする位置(X,Y)は撮像素子上の円運動の中心位置(その光軸からの距離(x,y))とは比例関係にある。即ちX=h1xY=h2yh1,h2 :比例定数この比例定数h1,h2も、点物体の基準点Bでの実測値(X0,Y0)と撮像素子上の位置(X0,Y0)から最適なものを求める。通常、h1=h2 である。
1 = X0 / x02 = Y0 / y0点物体が光軸方向に移動する場合、撮像素子上の円運動の円半径が小さくなっていく。この円半径rは光軸上の位置(Z)座標と一対一に対応しているのでこの円半径rの時間変化から点物体の光軸方向(Z方向)への移動速度VZ=dZ/dtが計算される。又はZ=k/rの式からその微分をとって、 光軸方向移動速度=dZ/dt =−1/r2*dr/dtとして求めることもできる。又物体が光軸と直交する方向への移動の場合、円の半径rを変えないで円の中心が移動するように動くので曲率が変らない螺旋状となり、螺旋状の軌跡からその螺旋状の中心(x,y)の決定して、その中心の動きを計算する。又は上限点、下限点の移動速度でも速度計算できる。又物体が光軸に沿って近付きながら光軸に対して直角方向にも移動するときは、画像は螺旋半径を漸次大きくなる螺旋状になる。遠ざかりながら直角方向にも移動するときは、螺旋半径を漸次小さくする螺旋状となる。螺旋の中心及び螺旋半径は、数学的手法で求めることができる。光軸方向のみ移動し、これと直交する面では定点となるときは、同芯円の画像となる。これらの種々の画像上の軌跡を図9に示す。撮像素子としてはCCD撮像素子が好ましく、又、光屈折板は所定の厚みのガラスが一般的であり、その回転数は速い方が円の近くになって移動物体を精度よく捕えることができる。光屈折板は撮像素子の中心まわりを回転する円筒の先端に傾けて取付け、同円筒をモータでギア伝動で回転させるのが簡単な構造であって好ましい形態である。撮像素子の画像から、円又は螺旋の半径・中心・その変化から座標、速度の計算はコンピュータを用いて計算するのを一般とする。移動物体の撮像のとき、光屈折体を高速的回転させ、一定時間ピッチで画像を取り込めば、螺旋状が円の群となって計測し易くなる。
【0006】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。図1は、実施例の3次元計測装置を示す説明図である。図2は、実施例の距離計測を示す説明図である。図3は、実施例の撮像素子に撮像された画像図である。図4は、実施例のZとrの関係式の説明図である。図5は、遠近差のある二つの物体に多数のマークを付した状態を示す説明図である。図6は、図5の二つの物体のマークの撮像素子に撮像された画像図である。図7は、実施例の3次元計測装置の計算処理部のフローチャートである。図8は、画像上円軌跡から円の中心位置を求める説明図である。図9は、画像上の種々の軌跡例を示す説明図である。図10は、本発明の物体に光のスポットを複数投射しての3次物体の表面計測の実施例を示す説明図である。図11は、トレーサー粒子を用いて流体の流れの速度を求める方法の説明図である。図12は、従来の2台のTVカメラを用いて位置を求める装置の説明図である。図13は、本実施例の誤差と図12に示す従来装置による誤差の比較図である。図中、1はCCDカメラ、1aは同CCDカメラの撮像素子、1bは撮像処理部、2はガラス製の光軸に対して30度傾いた光屈折体、3は同光屈折体を保持する光軸を中心として回転する筒体、4は同筒体の外周に固設したリングギア、5は同リングギアと噛合したギア、6はギア5を回転させるモータ、6aはモーターコントローラ、7はCCDカメラの画像信号をコンピュータ処理するパソコン、7aはインターフェース、7bはCPU、7cはソフト及びデータを記憶したROM、7dはRAM、7eはFDD、7fはCRT、7gはHDD、7hはキーボード、8は水槽、9はトレーサー粒子Tを照す照明器である。cは光軸、AはCCDカメラ1の焦点位置、Bは基準点、Pは計測点、M1,M2は表面が広い物体、Sはレーザーパターン発生器Rで投光された物体Mの表面の光スポット、Eは表面にインクで付したマーク、Tはトレーサー粒子、rは撮像素子1a上の円又は螺旋の半径、Z,Dは焦点位置Aから計測点P又は光スポットS、トレーサー粒子Tまでの距離(光軸C方向の距離)、kは計測する装置の機械定数、h1 ,h2 は定数である。この実施例の3次元計測装置を用いて、CCDカメラ1の撮像素子1aの各画素の信号をパソコン7へ取り込んで作成された画像(メモリー上の画像)における点物体の円の半径r、とその光軸中心を原点とする画像上の面の座標(x,y)と、実際の光軸方向の実距離Zと、その光軸と直交する面での実寸の実座標(X,Y)と関係は、前記したようにZ=k/rX=h1xY=h2yとなる。この定数k,h1,h2を決めるには、モータ6を作動させて光屈折体2を回転させながら、距離Z,X,Yが正確に測定されたキャリブレーションの基準点Bの点物体をCCDカメラ1で撮像してパソコン7にその信号を入力し、ROM7cに記憶した円の曲率半径・その中心を求める計算ソフトをCPU7bで作動させ、キャリブレーションの基準点Bの画像上の座標(x,y,z)における値半径r0,中心(x0,y0,z0)を求める。次に上式に代入して、k =Z001=X0/x02=Y0/y0としてk,h1,h2のこの装置、コンピュータ上の系の定数k,h1,h2を決定する。このk,h1,h2はRAM7d又はROM7c,FDD7e,HDD7gに記憶される。その後、計測対象となっている点物体P、又は物体の表面の光のスポットS、又はマークEを撮像する。そして撮像素子1aの信号のパソコン7処理の画像上の点物体の円又は螺旋の曲率中心(x,y)と、その曲率半径rをソフトでもって求める。その後、下式によってソフト計算でその点物体(計測点)の位置座標(X,Y,Z)を求める。
X=h1xY=h2yZ=k/rこれから分かるように、画像をCRT7fで見たとき、円の半径が小さいものは遠方のものであり、又半径が大きいものは近いものであることを意味し、又その位置はその円の中心をもって分かるようにできる。次に、計測点Pが運動するときの計測について説明する。計測点Pが光軸Cに対して直交する面内で移動するときは、半径rは一定であり、その中心(x,y)が移動するのみとなるので画像は、曲率が同じ螺旋状となる。図9の(b)の様になる。このときの計測点Pの移動速度(VX,VY)は、座標中心(x,y)の画像上の移動速度vx,vyを計算して、これに定数h1,h2を乗じたものとなる。
X=dX/dt=h1dx/dt=h1x又計測点Pの光軸方向に位置Zの移動速度Vzは、VY=dY/dt=h2dy/dt=h2yz=dZ/dt又はVZ=d(k/r)/dt=k/r2*dr/dt=−k/r2*vrr=dr/dtによって計算される。これから分かるように、光軸方向の速度VZ は円・螺旋の曲率半径rの時間変化dr/dt=vr に比例し、又同じ光軸方向の速度では、遠方程半径の変化が小さく、近い程半径変化は大きく表示される。本実施例における半径r,中心(x,y)の求め方は、画像上の円・螺旋状軌跡を数学的手法・統計的手法でもって解析して、ソフト的に求めることができる。例えば、円の中心の求め方としては図8に示すように、画像上の円軌跡に沿って法線を複数作ってその交点が最も多い所又は交点の平均値を中心(x,y)とするコンピュータ計算方法は一例である。又は光屈折板を高速で回転させて間欠的に撮像すれば画像は円の群となり、静止物体の計測点の円・中心の求め方と同様な計算で求めることができる。次に表面をもつ物体の位置・形状は、図10に示すように物体表面にレーザーパターン発生器Rでレーザー光のスポットSを投光し、そのスポットSを計測点として上記の方法で計測すればその位置が分かり、そのスポットの位置から物体の表面形状、外形状を分かる。動いている物体のときは、前記の実施例のようにレーザー光のスポットSでなく物体表面に付着したインク・染料・塗料等でマークEを付し、それを時間的に撮像して上記の方法で各マーク位置・移動速度を計算して、物体の移動・回転を調べる。流体の流れを計測する場合、流体とともに動くトレーサー粒子Tを流体内に流して、各トレーサー粒子Tを照明器9で鮮明にして各トレーサー粒子Tを計測点として、その位置・移動速度を上記の方法で計測すればトレーサー粒子Tの移動軌跡から流体の流れの方向・速度が3次元的に計測できる。又前記の通り、光屈折体を高速で回転させ、間欠的に撮像して円群にして計算する方法を採用してもよい。
【0007】
【発明の効果】以上の様に、本発明によれば一個所の撮像によって、その物体の位置・形状及び移動・回転の運動を簡単な構造で安価に計測できる。しかも単純な処理の為高速に移動しているものも容易に計測できる。又流体の流れ方向・流速も、トレーサー粒子を混入することで本発明で容易に計測できる。
【出願人】 【識別番号】594174851
【氏名又は名称】川末 紀功仁
【識別番号】590005874
【氏名又は名称】株式会社西日本流体技研
【出願日】 平成11年6月29日(1999.6.29)
【代理人】 【識別番号】100081824
【弁理士】
【氏名又は名称】戸島 省四郎
【公開番号】 特開2001−12911(P2001−12911A)
【公開日】 平成13年1月19日(2001.1.19)
【出願番号】 特願平11−183834