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【発明の名称】 車輌車輪磨耗計測装置
【発明者】 【氏名】神原 忠彦

【氏名】半沢 忠▲吉▼

【要約】 【課題】軌道用車輌車輪の踏面部の磨耗量保守作業向上に繋がる車輌車輪磨耗計測装置を提供する。

【解決手段】車輌車輪磨耗計測装置は、車輪を計測する為のレール2と、車輪フランジ部の高さ位置を計測する変位センサ4を内蔵したセンサボックス3と、車輪とレール2の接触位置を計測する変位センサ5と、変位センサ4および変位センサ5の変位量を変換するアンプ6と、変位量データを蓄積するデータ収集部7と、データ演算解析および初期値データ設定用摩耗量演算手段部8と、解析データを出力する為のプリンター9とから構成される。計測すべき車輌車輪が走行中に、計測用レール2の上を通過すると、車輌車輪の踏面とレール2の接触位置およびフランジ部の高さ位置を自動計測し、通過する車輌の車輪踏面の磨耗量を自動的に計測する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 軌道用車輌が走行する軌道レールとの接触部である車輪踏面の摩耗量を測定する車輌車輪摩耗計測装置において、前記車輌車輪摩耗計測装置は、車輌走行中に計測する為の一体形レールと、車輪フランジ面のギャップ値を計測する変位センサを内蔵するセンサボックスと、車輪踏面とレールの接触位置を前記ギャップ値と同時に計測する第2の変位センサで、車輌車輪円周方向にわたって複数点同時計測し、その計測データを蓄積するデータ収集部を有する制御盤と、入力した車輪の摩耗前初期値データと制御盤のデータ収集部で蓄積した計測データを比較演算し、車輪踏面の摩耗量を計測する摩耗量演算手段部とから構成したことを特徴とする車輌車輪摩耗計測装置。
【発明の詳細な説明】【発明の属する技術分野】本発明は、軌道用車輌の車輪部計測装置に係わり、車輪部保全保守点検のためのツールとしての車輌車輪磨耗計測装置に関する。
【従来の技術】従来、車輌走行する軌道レールとの接触部である車輪踏面の摩耗量を測定する為、車輌停車中に人手による目視計測、治具による計測が有るがいずれも車輌走行中の計測ができない為に、計測点検に多くの時間を要していた。また、車輌走行中に車輪踏面を非接触で自動計測する方法は、車輌床下を照明するランプとTVカメラやCCDカメラにより、走行中の車輪踏面の画像を録画し、その記録画像を画像処理装置にかけて計測する方法があるが、画像処理方法では解析演算に時間がかかり、また装置としても複雑となる欠点があった(特開平5−52536号公報および特開平10−19523号公報)。
【発明が解決しようとする課題】本発明は、車輌営業運行後の保守点検のために車庫入りする車輌が低速走行中に、車輪踏面の磨耗量を高精度でしかも短時間に自動計測するための車輌車輪踏面磨耗計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明による車輌車輪踏面磨耗計測装置は、剛性を持った左右一体形計測レールに、車輪フランジ部の位置を計測するラム付変位センサ内臓ボックスと、車輪とレール当たり面の位置を計測する変位センサからなる計測機本体と、変位センサよりの変位量データを読み取るアンプおよびデータ収集部からなる制御装置盤、およびデータ解析演算の為の摩耗量演算手段部からなる装置に、変位データを車輪、レールの実形状補正アルゴリズムを備えたソフト解析手段と、を備えるものである。
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明による一実施例の車輌車輪踏面磨耗計測装置の全体構成図を示す。図1において、車輌車輪踏面磨耗計測装置(以下、計測装置と略す)は、車輪1を支える剛性をもった左右一体形レール2と、車輪のフランジ部1aの高さ位置を計測する変位量検出変位センサ4を内蔵したセンサボックス3と、車輪1とレール2の接触位置を計測する変位量検出変位センサ5と、変位センサ4および変位センサ5の変位量を変換するアンプ6と、変位量データを蓄積するデータ収集部7と、データ解析および初期値のデータを設定、変位量データと設定初期値との比較演算をする摩耗量演算手段部8と、解析データ結果を出力するためのプリンター9とから構成される。図2は、図1全体構成図のA−A’視図を示す図である。車輪1の踏面の外形を計測するにあたっては、車輪のフランジ部円周面に対向するようにセンサボックス3を複数個配置し、車輌が走行中に車輪フランジ部の高さ位置をセンサボックス3が、その時の車輪1とレール2の接触位置を複数個配置した変位センサ5によって同時に検出する。車輪踏面円周上の検出点数および分解能精度は、センサボックス3と変位センサ5の配置数で決まる。図1の全体構成図および、図2(図1のA−A’視図)にて構成機器を示したが、車輌走行中にレール2に接触する車輪1は可動部であり、地上へ固定しているレール2およびレールに付属するセンサボックス3、変位センサ5も固定部となる。したがって、車輪1の摩耗量を計測するにあたっては、車輪1の踏面円周に相当する長さにセンサボックス3および変位センサ5を複数個配置する必要がある。このセンサボックス3および変位センサ5の設置個数で踏面円周方向の検出点数、すなわち分解能が決まる。また、車輪1の周速、すなわち車輌の走行速度とセンサボックス3に内蔵された変位センサ4と、変位センサ5の計測データはアンプ6を介しデータ収集部7に蓄積されるが、変位センサ4と変位センサ5の読み取り時間、データ収集部の変位センサ1個あたりのデータ読み込み時間で装置の能力が規定される。変位センサ4および変位センサ5の読み取り時間は、測定対象物との距離5〜8mm程度においては約1万分の1秒程度であり、複数個の変位センサ4および変位センサ5の計測データ量を蓄積するデータ収集部7は千分の1秒程度の読み取り周期で可能である為に、車輪1すなわち車輌の走行速度は時速5Km程度での走行中計測が可能となる。車輪1の円周面に対向するセンサボックス3、変位センサ5の配置個数は、その個数分が計測ピッチとなり、センサボックス3の大きさにより計測ピッチは制限されるが、計測ピッチとしては50mmピッチ程度で計測が可能である。センサボックス3に内蔵された変位センサ4、および車輪1の内側面に対向するように同一水平面に配置する変位センサ5は、渦電流式変位センサを使用すれば、計測精度は±10μm程度の誤差で高精度に検出できる。したがって、摩耗演算手段部8に摩耗前の車輪1の初期値を入力しておき、車輪1を計測時に変位センサ4および変位センサ5により入力された計測データが、アンプ6を介してデータ収集部7に蓄積され、その計測データと初期値データを摩耗量演算手段部8にて演算比較することによって、摩耗後の車輪1踏面の摩耗量が高速に、かつ高精度に測定することができる。図3は、センサボックス3の内部構成を示す断面図である。車輌車輪およびレールは、走行中の脱輪を防ぐ為に丸みを帯びた勾配を付けており、このために、車輌走行中は左右の振れ(ローリング)が発生する。車輪フランジ部が、振れによる位置が若干変化しても、確実に車輪フランジ部の高さ方向の位置を捉えるために、センサボックス3の上部には車輪フランジ部に確実に接触するラム3aと、ラム3aを下より押し上げておくスプリング3bと、ラム3aを介して、車輪フランジ部の高さ位置すなわち、ラムの押し込み位置を検出する変位センサ4から構成される。図4は、本発明に使用される変位センサ4および5の渦電流式変位センサの原理図を示す。変位量をとらえるには、接触式、非接触式があり、接触式には差動トランスを応用したセンサ、非接触式には光計測を応用した物など多数市販されているが、耐環境性、構造上堅牢な非接触式である渦電流式センサが最も実用的である。図(A)に渦電流式変位センサの基本原理と構成を示す。渦電流式変位センサは高周波磁界を利用したものであり、センサヘッド内部のコイルに高周波発振回路により高周波電流を流して高周波磁界を発生させる。この磁界内に測定対象物の金属があると、電磁誘導作用により測定対象物表面に、磁束の通過と垂直方向の渦電流が流れ、センサコイルのインピーダンスが変化する。この変化量により、距離を測定することが可能なセンサである。図(B),(C),(D)は、検出物体と渦電流式変位センサ(以下、変位センサと略す)の距離、およびセンサコイルのインピーダンスの変化が測定距離とどの様な関係となるかを示す図である。図(B)は検出物体と変位センサの距離が遠い場合を示し、インピーダンス変化特性が破線の基準波形に対し、位相ズレは小さいが振幅が大きくなる。図(C)は、図(B)に対し距離を近づけた場合を示し、図(D)は、さらに図(C)よりも距離を近づけた場合を示す。図(D)は、検出物体と変位センサの距離を最も近づけると、インピーダンスの変化特性が破線の基準波形に対し、位相のズレが大きくなり振幅が小さくなる。図(C)は、図(B)図(D)との中間距離を示し、位相のズレ、振幅ともに中程度となる。このように、センサコイルのインピーダンスの変化量特性によって、非接触にて測定対象物の金属との距離を測定できるのが渦電流式変位センサである。図5は、本発明による車輌車輪踏面磨耗計測装置の計測の基本原理図を示す図である。レール2の上面に車輪1の踏面が当たり、車輌が軌道を走行する構造である。実際の車輪1およびレール2の形状は丸みを帯びた勾配を持っているが、計測の基本原理を考察するに当たって、丸みおよび勾配のない水平垂直の角形車輪1とレール2として計測の基本原理を述べる。車輪1の磨耗前車輪踏面外形をdφ、車輪フランジ部1aの外形をDφとする。車輪フランジ部1aの地上よりの高さ位置を計測するために、変位センサ4を配置する。車輪1の踏面が磨耗前の車輪フランジ部1aのフランジ下部端面と変位センサ4との距離をLGとし固定ギャップ値とする。また、レール2上面と変位センサ4間のギャップ値をLLとする。これら、車輪磨耗前の車輪1の踏面外径dφ、車輪フランジ部1aの外径Dφ、変位センサ4を設置することによっての車輪フランジ部1aの下部端面との距離LGおよびレール2上面と変位センサ4間のギャップLLは初期値となる。車輌が営業運行し、車輪1の踏面が磨耗により△tだけ変化すると、車輪1のフランジ部1aの下部端面はレール2に非接触であるから磨耗しないために、車輪フランジ部1aと変位センサ4間ギャップ値をLG、磨耗量計測時のギャップ値をLG’とすると、磨耗量である△tは(LG−LG’)の変化量を計測すればよいことになる。このように、磨耗量△t=LG−LG’であり、【数1】

であることが計測により判明できる。以上、図5において計測の基本原理を述べたが、実際の車輪1およびレール2の形状は丸みおよび勾配を持った形状となっている。図6は、実応用における計測図を示す図である。車輪1の踏面部は1bの様な丸みおよび勾配を持った形状であり、車輪1のフランジ部1aの端面も、1cの様な丸みを帯びた形状となっている。また、レール2も2aの様な丸みを帯びた形状である。この為、車両がレール2の軌道上を走行する場合においては、車輪1とレール2の接触点2bが、必ずしもレール2のセンター2cであるとは限らない。したがって、図5の計測基本原理図に示した車輪フランジ部1aと変位センサ4のギャップ値LGを計測しただけでは図6の車輪1とレール2の接触点2bの位置により誤差を生じる。このために、車輪1の踏面1bとレール2の接触点2bを検出する変位センサ5を車輪1の側面に設置し、車輪1と設置した変位センサ5間のギャップ値LSを測定することによって、接触点2b位置を検出し計測することが可能となる。図7は、図6の実応用における計測図の中の、変位センサ4によるギャップ値LGおよび変位センサ5によるギャップ値LSの計測データを変数として計測演算する磨耗計測演算フローを示す図である。磨耗量計測演算フローは、大きく分けて5つのブロックフローからなる。初期値入力部工程71、計測データ入力部工程72、水平、垂直方向変化量演算部工程73、水平、垂直方向変化量による計測演算補正部工程74、および、磨耗量演算部工程75からなる。初期値入力部工程71は、車輪磨耗後の計測した変位量データが、何に対してどれだけ変化したかを認識するに当たって、比較する基本データとなる。したがって、車輪磨耗前の初期値データとして、車輪部においては、フランジ部外径値Dφ、踏面部外径値dφ、車輪厚み方向値Ww,Wpが必要であり、計測用変位センサ4部は、上記車輪フランジ部外径Dφによるギャップ値LG、レール2のセンター2C上面との距離LLを、計測用変位センサ5部は、車輪1との距離LSを前もって初期値して与えておく。上記初期値に対し、計測すべき車輌が走行して来て計測レール部2にかかると、計測データ部工程72に、車輪フランジ部との距離が変位センサ4による車輪磨耗後のギャップ値LG’として自動的に入力されると同時に、車輪とレールとの接触点を認識する変位センサ5のギャップ値データLS’が自動的に入力される。これらの計測データと、当初入力されている初期値データを元に、水平、垂直方向変化量を演算認識するのが、水平、垂直方向変化量演算部工程73であり、実計測車輪フランジ部ギャップ値がLGからLG’に変化した分および、車輪1の左右の振れによるレール2との接触点2bを計測の為の車輪1とのギャップ値がLSからLS’に変化した分を演算認識させる。次に、これらの実計測データと初期値データにより演算補正かけるのが水平方向変化量による計測演算補正部工程74である。実計測データである車輪厚み方向の端面位置検出データLS’の値によって、車輪踏面の丸みを帯びた勾配を持った実形状値と、計測用レール上面の丸みを帯びた実形状値により誤差を含んだデータを補正アルゴリズム特性74−1により、車輪踏面と計測レール部の接触点2bの違いによる補正値を、計測ギャップ値LG'データに補正を掛けることによって、実際の丸みを帯びた勾配を持った実形状による補正後の車輪フランジ部の高さ方向のギャップ値がLG”として演算補正される。最後に、計測すべく車輪の踏面磨耗量を演算するのが磨耗量演算部工程75である。磨耗後の車輪踏面変化量を△tとすると、△t=LG−LG”にて演算され、車輪踏面磨耗後の外径をd’φとすると、【数2】d’φ=dφ−2×△tで求めることができる。図8は、本発明の応用例を示す図である。図1において示した全体構成図において、車輪1の厚み方向の端面位置を検出する変位センサ5は、左右の車輪1が現実は車軸により連結された一体物であるために、レール車軌幅CREおよび左右車輪1の内部端面間距離CWHは固定値であり、レール軌道幅CREのセンターが車輪1の踏面センターとし、左右車輪1の内側端面からの距離を各々WL,WRとすると、【数3】CRE=CWH+WL+WRも固定値となる。したがって、変位センサ5は片側の車輪のみ配置すれば良く、その一例を示したに過ぎない。図8は図1と同様の考え方にて、車輪左右外側に各々変位センサ5を配置した例、片側の車輪内側に変位センサ5を配置した例、左右車輪内側に各々変位センサ5を配置した応用例を示す。図(A)は、変位センサ5を左右車輪1の外側に各々配置し、車輪1とレール2の接触位置を左右各々に計測する例を示す。図(B)は、変位センサ5を左側車輪1の内側に配置し、左側車輪1とレール2接触位置を計測すると同時にレール軌道幅CRE、車輪幅CWHを固定値とし、右側車輪1の接触位置を演算により求めて計測する例を示す。図(C)は、変位センサ5を左右車輪1の内側に各々配置し、車輪1とレール2の接触位置を左右各々に計測する例を示す。いずれも、車輪磨耗量を計測するにあたっては本発明と同様の車輌車輪磨耗計測装置を提供する事ができる。
【発明の効果】本発明によれば、車輌を停止することなしに車輌走行中のまま車輪踏面の磨耗量を高精度、早い応答で自動計測することが可能となり、軌道用車輌車輪部の磨耗量保守点検の為の作業効率の向上が図られる。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【識別番号】390023928
【氏名又は名称】日立エンジニアリング株式会社
【出願日】 平成11年6月24日(1999.6.24)
【代理人】 【識別番号】100075096
【弁理士】
【氏名又は名称】作田 康夫
【公開番号】 特開2001−4364(P2001−4364A)
【公開日】 平成13年1月12日(2001.1.12)
【出願番号】 特願平11−177788