| 【発明の名称】 |
静電気放電から保護されたホトエッチングフィラメントを有する点火起爆剤 |
| 【発明者】 |
【氏名】ジャン−ルネ デュゲ
|
| 【要約】 |
【課題】厚膜多層回路を有する静電気放電に対して保護されたホトエッチングフィラメント点火起爆剤。
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 成形品(6)によって閉じられ且つ支持された破断可能な容器(2)の内部に中実な本体(3)によって形成される高さがhの密封壁で構成される起爆ヘッドを有し、本体(3)は平らな上側表面(9)を有し、その高さh全体に2本のガラス質構造体(10、11)が挿入され、各ガラス質構造体(10、11)にはピンの形をした電極(12、13)が挿入され、各電極の一端は上側表面(9)から突出し、上側表面(9)上には絶縁基板(16)が支持され、この絶縁基板(16)の上側平面上には厚膜多層電子回路(18)が支持され、電極は絶縁基板を貫通し、突出した電極は厚膜多層電子回路(18)と接続され、厚膜多層電子回路(18)は絶縁基板上に位置した2つの導電性金属領域(28、29)を介して各電極に接続された平板抵抗加熱要素(17)を有し、各導電性金属領域(28、29)は2本の電極の一方と接触し、平板抵抗加熱要素(17)および導電性金属領域(28、29)は点火用起爆組成物(19)で被われている、静電気放電に対して保護された電子発火起爆剤(1)において、厚膜多層回路が抵抗金属合金で作られた第1フィルム(24)からなる厚さが2×10-6m〜7×10-6mの第1層を含み、この第1層は絶縁基板に接着され、電極(12、13)は第1層を貫通し、第1フィルム(24)は2つの電極の間に平板抵抗要素(17)を形成する中心部を有し、第1フィルムの外側輪郭(25)はこの中心部を除いて7×10-4mm以上の曲率半径を有する曲線で構成され、第1フィルムは中心部を除いて第2の導電性金属層(27)で被われ、この第2の導電性金属層は導電性領域(28、29)を形成し、電極(12、13)はこの導電性領域を貫通し、導電性領域の形状および厚さは導電性領域が被う第1フィルムの部分とほぼ同じであることを特徴とする起爆剤。 【請求項2】 絶縁基板の端縁(26)と厚膜多層回路の外側輪郭(25)との間の最小距離が少なくとも35×10-5mである請求項1に記載の起爆剤。 【請求項3】 上記の中心部が一定の幅を有する請求項2に記載の起爆剤。 【請求項4】 2本の電極を接続する面が絶縁基板の高さで導電領域と絶縁領域とを交互に通る請求項1〜3のいずれか一項に記載の起爆剤。 【請求項5】 第1フィルムがニッケル−クロム合金からなる請求項4に記載の起爆剤。 【請求項6】 第2の導電性金属層が銅箔である請求項5に記載の起爆剤。 【請求項7】 第2の導電性金属層それとほぼ同じ形状および厚さを有する錫めっき被膜である第3の層で被われている請求項1〜3のいずれか一項に記載の起爆剤。 【請求項8】 厚膜多層電子回路(18)の全体形状が「S」字型である請求項3に記載の起爆剤。
|
【発明の詳細な説明】【0001】本発明は自動車の乗客を保護するエアバッグのガス発生器の発火燃料を点火するための電子発火起爆剤(initiateurs electro-pyrotechniques)に関するものである。本発明は特に、静電気放電から確実に保護された厚膜の金属多層回路からなる起爆ヘッドを有する起爆剤に関するものである。 【0002】 【従来の技術】自動車の安全のために用いられる電子発火起爆剤は絶縁本体を有し、この絶縁本体の延長上に破断可能な金属キャップがあり、2本の電極は絶縁本体を貫通している。この2本の電極は抵抗加熱要素を介して互いに接続され、抵抗加熱要素は爆発性起爆組成物、例えば鉛トリレゾルシネートをベースにした組成物で取り囲まれている。このような起爆剤は例えば米国特許第4,517,895号または第4,959,011号に記載されている。 【0003】しかし、この点火器は抵抗フィラメントと電極との間の溶接部が自動車の振動に弱いという問題点があった。この溶接部は自動車の振動による繰返し応力を受けた時に破壊され、点火器が作動しなくなることがあった。この問題を解決するために開発された起爆剤では絶縁本体の表面上に形成された別々の導電性金属領域に2つの電極がそれぞれ接触し、絶縁本体は金属キャップの内部にあり、2つの導電性金属領域は絶縁本体の表面上に形成された巾の細い平らな抵抗ストリップを介して互いに接続され、導電性金属領域および抵抗ストリップを爆発性起爆組成物で被う。 【0004】この起爆剤は大きく2つのグループに分けられる。第1のグループは導電性金属領域がプリント回路で構成される起爆剤(例えば欧州特許第0,802,092号に記載の起爆剤)であり、第2のグループは導電性金属領域および抵抗ストリップがホトエッチングされた複数の金属フィルムで構成される起爆剤(例えば米国特許第5,544,585号に記載の起爆剤)である。後者のグループに対応する起爆剤は「厚膜多層起爆剤(initiateurs a feuille en couchesepaisses)」とよばれ、各金属フィルムの厚さは一般に2×10-6m〜7×10-6mすなわち2〜7μmである。 【0005】導電性金属領域がプリント回路からなる起爆剤はバリスタやコンデンサ等の電子部品を表面実装技術で容易に溶接でき、静電気に対する保護性に優れた高い起爆剤が得られるる。これに対して厚膜多層起爆剤は簡単で安価であるが、溶接が容易でなく、これまでは静電気放電に対する保護が良くされていなかった。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は組立時に電子部品を溶接する必要がなく、静電気放電に対する保護に優れた厚膜多層起爆剤を提供することにある。 【0007】 【課題を解決する手段】本発明は、成形品によって閉じられ且つ支持された破断可能な容器の内部に中実な本体によって形成される高さがhの密封壁で構成される起爆ヘッドを有し、この本体は平らな上側表面を有し、その高さh全体に2本のガラス質構造体が挿入され、各ガラス質構造体にはピンの形をした電極が挿入され、各電極の一端は上側表面から突出し、上側表面上には絶縁基板が支持され、この絶縁基板の上側平面上には厚膜多層電子回路が支持され、電極は絶縁基板を貫通し、突出した電極は厚膜多層電子回路と接続され、厚膜多層電子回路は絶縁基板上に位置した2つの導電性金属領域を介して各電極に接続された平板抵抗加熱要素を有し、各導電性金属領域は2本の電極の一方と接触し、平板抵抗加熱要素および導電性金属領域は点火用起爆組成物で被われている、静電気放電に対して保護された電子発火起爆剤において、厚膜多層回路が抵抗金属合金で作られた第1フィルムからなる厚さが2×10-6m〜7×10-6mの第1層を含み、この第1層は絶縁基板に接着され、電極は第1層を貫通し、第1フィルムは2つの電極の間に平板抵抗要素を形成する中心部を有し、第1フィルムの外側輪郭はこの中心部を除いて7×10-4mm以上の曲率半径を有する曲線で構成され、第1フィルムは中心部を除いて第2の導電性金属層で被われ、この第2の導電性金属層は導電性領域を形成し、電極はこの導電性領域を貫通し、導電性領域の形状および厚さは導電性領域が被う第1フィルムの部分とほぼ同じであることを特徴とする起爆剤を提供する。 【0008】 【実施の形態】本発明の好ましい第1変形例では、絶縁基板の端縁と厚膜多層回路の外側輪郭との間の最小距離は少なくとも35×10-5mである。本発明の好ましい第2変形例では上記の中心部は一定の幅を有する。本発明の起爆剤は極めて単純で、丈夫であり、溶接によって固定される追加の部品を含まず、厚膜多層回路を例えば米国特許第5,544,585号に記載のホトエッチングで作ることによって本発明起爆剤を容易に製造することができる。以下で詳しく説明するように、本発明起爆剤では厚膜多層回路を2本の電極を接続する面が基板の高さで導電性領域と絶縁領域とを交互に通るような形にした場合に静電気放電に対する抵抗性が著しく高くなることがわかっている。 【0009】第1フィルムはニッケルとクロムをベースとする抵抗合金で作られ、第2の層は銅箔で作るのが有利である。第2の層はそれとほぼ同じ形および厚さを有する錫めっき被膜の第3の層で被覆するのが有利である。厚膜多層電子回路の全体形状は「S」字型にするのが有利である。本発明起爆剤は低コストで容易に大量生産でき、自動車のエアバッグを作動させるガス発生器で好ましく使用することができる。以下、図1〜図5の添付図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。 【0010】 【実施例】図1は本発明の電子発火起爆剤1を示している。この起爆剤1は一端が開口した破断可能な円筒形の容器2を有し、容器2の開口端は中実な円筒形の本体3によって閉じられている。本体3の側壁4は外側に肩部5を有し、この肩部5には容器2の開口端が当接している。容器2および本体3は成形品6の内部に挿入され、これらは互いに一体化される。容器2は側壁7と平らな密閉端8とを有する円筒形キャップの形をしている。この容器2はアルミニウム等の軽合金で作るのが有利であり、容器の平らな面は容器内の圧力の上昇によって容易に開くことができるようにするために、脆弱化するのが有利である。成形品6はポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂で作るのが好ましい。 【0011】本体3は爆発および爆発で生じる燃焼ガスに対して密封する密封壁の役目をしなければならない。この本体3は鋼のような高密度の金属で作るのが好ましい。本体3は上側平面9および下側平面15を有し、その高さh全体を貫通して2本の中空ガラス管10、11が埋め込まれている。各中空ガラス管の中にはピンの形をした電極12、13が挿入されている。各電極12、13の一端は本体3の上側平面9から突出し、他端は成形品6の下側面14から突出している。本体3の上側平面9には絶縁基板16が例えば接着によって固定されている。この絶縁基板16はガラス/樹脂混合物からなる板で構成され、樹脂は例えばポリエポキシ樹脂にすることができる。電極12、13は絶縁基板16を貫通して突出している。 【0012】絶縁基板16は平板抵抗加熱要素17を有する厚膜多層回路18を支持し、電極12、13はこの回路18(以下で詳しく説明する)を貫通し、回路18はこれらの電極に電気的に接続される。抵抗要素17を有する回路18は点火用起爆組成物19、例えば鉛トリニトロレゾルシネートをベースにした組成物で被われている。容器2は側壁7を強化する金属管20をさらに備え、この金属管20の内部には点火粉末(例えばニトロセルロースをベースにした粉末または硝酸カリウムとホウ素との混合物)21が収容されている。 【0013】次に図2、図3、図4を参照して回路18を説明する。この回路18は絶縁基板16に支持されている。絶縁基板16は2つの円形通路22、23を有する板の形をしており、円形通路22、23の内部に電極12、13が挿入されている。 【0014】回路18は基本的に抵抗金属合金(例えばニッケルとクロムをベースにした合金で)作られた第1フィルム24で構成される。このフィルム24は厚さが2×7ミクロンすなわち2×10-6m〜7×10-6mであり、通路22、23を被わず、通路22と23との間に平板抵抗要素17を形成する一定幅の中心部を有している。電極12、13は通路22、23の内部を貫通している。このフィルム24の外側輪郭25は、上記中心部を除いて0.7mmすなわち7×10-4mm以上の曲率半径を有する曲線からなる。さらに、絶縁基板16の端縁26とフィルム24の外側輪郭25との間の最小距離は少なくとも0.35mmすなわち35×10-5mにしなければならない。第1フィルム24は、平板抵抗要素17を形成する中心部を除いて、第2の導電性金属層27で被われる。この第2の導電性金属層27は銅等で作られ、2つの導電性金属領域28、29を形成し、電極12、13はこの導電性金属領域28、29を貫通し、導電性金属領域28、29は各電極に電気的に接続される。この導電性金属領域28、29はそれが被っているフィルム24の各部と同じ形をしている。第2の導電性金属層27の厚さはフィルム24の厚さとほぼ同じである。 【0015】図4に示すように、第2の導電性金属層27は錫めっき被膜からなる第3の層30で被覆するのが有利である。この第3の層の形および厚さは第2の層27とほぼ同じであり、第1フィルム24の平板抵抗要素17は露出している。図3、図4の層24、27、30の厚さは絶縁基板16の厚さに比例しない点を指摘しておく。 【0016】厚膜多層回路の基板16への溶着は当業者に周知のホトエッチング法で容易に行うことができる。本発明の回路18を有する起爆剤は従来の厚膜多層回路を有する起爆剤(導電性領域の角度が鋭角であったり、絶縁基板の周縁部まで被覆されている起爆剤)よりはるかに優れた静電気放電に対する抵抗性を示すことがわかっている。このことは回路18の全体形状を図2、図3、図4に示す「S」字型にした場合に特に当てはまる。この形状にすることによって、2本の電極を接続する面の基板16の高さで導電領域と絶縁領域とが交互に配置され、起爆剤の静電気放電抵抗性が高くなる。 【0017】さらに、本発明の起爆剤は単純で安価であるので大量生産ができる。先ず最初にホトエッチングで回路18を絶縁基板16上に形成し、次いで、この回路を有する基板を本体3上に乗せ、電極12、13を挿入、固定して起爆ヘッドにする。この起爆ヘッド上を起爆組成物19で被い、得られた被覆済みヘッドを補強管20と点火粉末21とを入れたキャップ2中に挿入する。後は、成形品6で上記の組立体を閉じ、一体化するだげでよい。厚膜多層起爆剤は振動に強いので、本発明の起爆剤は点火装置で自動車の乗客を保護する用途で好ましく用いられる。 【0018】厚膜多層電子回路を有する2つの起爆剤のロットを製造した。 ロットA: 米国特許第5,544,585号に記載の従来の回路ロットB: 本発明の回路【0019】これらの起爆剤のロットの静電気放電抵抗を図5に示す実験装置でテストした。この装置は互いに直列に接続された抵抗器34とコンデンサ35にスイッチ33を介して接続された2本の導電プローブ31、32で構成される。抵抗器34は抵抗値Rを有し、コンデンサ35はキャパシタンスCを有し、電圧Uで充電される。プローブ31はテストすべき起爆剤39の電極37に固定し、プローブ32は電極36または起爆剤39のキャップ38に固定する。スイッチ33を閉じることによって「ピン/ピン」または「ピン/ケース」として知られる通常のテスト形態で起爆剤の静電気放電抵抗性を測定することができる。 【0020】〔表1〕はコンデンサ35を25,000ボルトで充電したときに起爆剤の点火が起こらないようにするための抵抗RおよびキャパシタンスCの最小値を起爆剤の各ロットについて示したものである。 【0021】 【表1】
|
| 【出願人】 |
【識別番号】500511109 【氏名又は名称】リヴバグ ソシエテ オン ノーム コレクティフ
|
| 【出願日】 |
平成12年11月6日(2000.11.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100092277 【弁理士】 【氏名又は名称】越場 隆
|
| 【公開番号】 |
特開2001−194094(P2001−194094A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月17日(2001.7.17) |
| 【出願番号】 |
特願2000−337405(P2000−337405) |
|