| 【発明の名称】 |
誘導飛しょう体 |
| 【発明者】 |
【氏名】橋本 健雄
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| 【要約】 |
【課題】前翼操舵方式の誘導飛しょう体では、操舵翼で発生したロールモーメントと安定翼で発生したロールモーメントが互いに打ち消しあい、外乱により発生したロールレートを操舵により減衰させることができなくなるという問題があった。
【解決手段】前翼操舵翼として格子翼を用い、操舵翼の吹き降ろしの影響範囲を広げることで吹き降ろしの大きさを低減し、安定翼において吹き降ろしにより発生するロールモーメントを抑えロール制御を可能とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 誘導飛しょう体の機体前部に配設され、機体のロール制御を行うために操舵可能な格子翼と、前記機体の後部に配設された安定翼とを備えた誘導飛しょう体。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、前翼操舵方式の誘導飛しょう体における安定翼の技術に関するものである。 【0002】 【従来の技術】図3はランチャから所定の目標体に向けて発射される従来の誘導飛しょう体の概念図である。図において1は誘導飛しょう体、2はランチャ、3は脅威となる航空機、誘導弾などの目標体、4は発射管制装置である。誘導飛しょう体1、ランチャ2、発射管制装置4は航空機、艦船,車両等に搭載あるいは地上に固定される。目標体3が接近すると、誘導飛しょう体1は発射管制装置4から発射指令が与えられ、ランチャ2から分離されて目標体3へ向けて飛しょうする。 【0003】図4は従来の前翼操舵方式の誘導飛しょう体の構成要素を示す図であり、図において、5は誘導飛しょう体1の前部に配置され、その前部に電波センサ、光波センサなどのシーカ部6を有する誘導装置、7は誘導飛しょう体1の前部に装着されたドーム、8は誘導飛しょう体1の後部に固定された安定翼、9は誘導飛しょう体1に回動可能に支持された操舵翼、10は誘導飛しょう体1に推進力を発生する推進装置を示す。 【0004】このような誘導飛しょう体1の各構成要素は、次のように作用する。安定翼8、操舵翼9は、それぞれ誘導飛しょう体1の胴体外周を機軸方向から見て4等分する各位置に1枚づつ計4枚が各一組となって装着され、安定翼8および操舵翼9により誘導飛しょう体1の姿勢安定が確保される。ドーム7は、電波や光波を透過する素材で形成され、誘導装置5のシーカ部6を保護するとともに、誘導飛しょう体1の空気抵抗を低減する作用を持つ。 【0005】図5は従来の誘導飛しょう体1を目標体へ誘導するとともに、機体の姿勢を安定させる制御系の構成を示す図である。図において、11は慣性装置、12は航法計算回路、13はゲイン計算回路、14は舵角指令計算回路、15は操舵翼9を回動させる操舵翼駆動装置である。 【0006】次に、この制御系の動作について説明する。誘導飛しょう体1は、発射時に発射管制装置4から目標体3の位置、速度などを示す目標情報が与えられる。発射後は、その目標情報に基づいて誘導装置5が目標体3の捜索を行い、シーカ部6が目標体3を補足してその追尾が行われる。また誘導装置5は、誘導飛しょう体1と目標体3との間に成される目視線角度の変化率を推定し、誘導飛しょう体1の目標体3への誘導方向や目標速度を示す目標誘導信号を発生する。慣性装置11では、その内部に有する慣性センサ部で誘導飛しょう体1の角速度と加速度が計測され、その計測結果が慣性情報信号として航法計算回路12と、舵角指令計算回路14に出力される。航法計算回路12では、誘導装置5からの目標誘導信号と慣性装置11からの慣性情報信号に基づいて、誘導に必要な加速度指令および角速度指令が計算される。また、誘導飛しょう体1がランチャ2から発射される時に、慣性装置11は、発射管制装置4から誘導飛しょう体1の初期位置と初期速度が与えられる。慣性装置11では、この初期位置および速度と、発射後に内部の慣性センサ部で計測される誘導飛しょう体1の角速度および加速度に基づいて内部に有する計算部で誘導飛しょう体1の位置と速度が計算される。さらにゲイン計算回路13では、慣性装置11で計算された位置と速度に応じてオートパイロット系ゲインが計算される。舵角指令計算回路14では、航法計算回路12から与えられる加速度指令と慣性装置11から与えられる加速度の計測データとから加速度偏差を算出し、この偏差にゲイン計算回路13で計算されたオートパイロット系ゲインの乗数を掛け合わせ、またこの掛け合わせた結果と慣性装置11から与えられる角速度に基づいて、誘導飛しょう体1が目標体3に会合するまでの所定の航法を実現する舵角指令を計算する。この舵角指令は操舵翼駆動装置15に出力され、操舵翼9が操舵されて誘導飛しょう体1において所要の舵角が取られる。 【0007】次に、従来の前翼操舵方式の誘導飛しょう体1のロール制御について説明する。図6は、従来の前翼操舵方式の誘導飛しょう体1がロール舵をとったときの挙動を説明する図で(a)が側方視、(b)が後方視である。操舵翼9を例えば機体外側から見て時計回り(矢印アの方向)に舵角をとるとすると、操舵翼9には揚力L1が発生する。ロール舵は胴体を挟んで相対する2枚もしくは4枚全ての操舵翼を同一方向へ同一角度舵角をとるので、胴体を挟んで相対する2枚の操舵翼に発生する揚力は、大きさが同じで方向が逆すなわち偶力をなし、この例では図6(b)の矢印イに示すごとく機体後方から見て時計回りのロールモーメントを発生する。 【0008】この時、操舵翼9が揚力を発生することによりその後方では図6(a)に示すごとく矢印ウに示す方向に吹き降ろしが生じ、矢印エで示す一様流は角度εだけ曲げられて矢印オで示す方向となる。これにより操舵翼9の後方に配置された安定翼8はこの吹き降ろし角εだけ迎え角をとったことになり、揚力L2(破線の矢印)を発生し、安定翼8は図6(b)の破線の矢印カに示すように機体後方から見て反時計回りのロールモーメントを発生する。 【0009】誘導飛しょう体に使われるごときアスペクト比の小さな翼においては、操舵翼9の舵角と前記吹き降ろし角εは同程度の大きさとなり、操舵翼9で発生したロールモーメントと安定翼8で発生したロールモーメントは互いに打ち消しあい、ロール操舵を行っても誘導飛しょう体1を回転させるロールモーメントはほとんど発生しない。 【0010】誘導飛しょう体は機軸まわりの慣性能率が小さいため、飛しょう中に受ける小さな外乱トルクによっても大きなロールレートが生じる。慣性装置に使用されるレートセンサはある一定値以上のロールレートでは飽和する性質があり、ひとたびこのような状態が発生すると誘導飛しょう体は制御不能に陥る。このような状態を避けるため、誘導飛しょう体ではロールレートを減衰させるための何らかの手段が必要となる。これはオートパイロットによりロール操舵をして実現できるが、前述のように前翼操舵方式の誘導飛しょう体においてはロール舵により機体を回転させるモーメントがほとんど発生しないため、他の手段が必要となる。 【0011】図7は前翼操舵方式の誘導飛しょう体においてロールレートを減衰させるための手段の一例である。図において16は胴体外筒、17はベアリングである。操舵翼9は、胴体外筒16に取り付けられたベアリング17を介して機軸回りに回動可能に誘導飛しょう体1の機体に取り付けられる。図6で説明したように、操舵翼9でロール舵をとると操舵翼9には矢印キに示す時計回りのロールモーメント、安定翼8には破線の矢印クに示す反時計回りのロールモーメントが生じる。しかし安定翼8はベアリング17を介して誘導飛しょう体に取り付けられているため、安定翼8は破線の矢印クの方向に回転するのみで安定翼8のロールモーメントは誘導飛しょう体1には伝わらない。したがって誘導飛しょう体1は操舵翼9のロールモーメントにより機体のロールレートを減衰させることができる。 【0012】図8は前翼操舵方式の誘導飛しょう体においてロールレートを減衰させるための他の手段の例であり、図8(a)は誘導飛しょう体を横から見た図、(b)は後方から見た図、(c)は補助翼部分を拡大した概略図である。図において18は補助翼であり、ヒンジ19を介して回動可能に安定翼9に取り付けられており、ばね20により中立位置に保たれている。また21は風車であり、補助翼18の翼面に垂直な軸回りに回動可能に取り付けられている。 【0013】誘導飛しょう体1が飛しょう中は気流の作用により風車21は矢印ケの方向に高速回転している。この時矢印コに示す後方から見て時計周りのロールレートが発生すると風車21には矢印サで示す方向のジャイロモーメントが発生する。このジャイロモーメントにより補助翼18はヒンジ19の回りに矢印サで示す方向にロールレート比例した角度δだけ回転し、安定翼8には回転角度δに比例した付加空気力L3が発生する。この付加空気力により誘導飛しょう体1には矢印シで示すロールモーメントが発生し、これはロールレートを減衰させるモーメントである。したがって誘導飛しょう体1はロール操舵をすることなくこの減衰モーメントにより機体のロールレートを減衰させることができる。 【0014】 【発明が解決しようとする課題】前翼操舵方式の誘導飛しょう体においては、次のような問題があった。 【0015】前翼操舵翼でロール操舵を行った場合、操舵翼に生じるロールモーメントとほぼ同等の逆向きロールモーメントが安定翼に発生して互いに打ち消しあうため、操舵によりロールレートを減衰させることができないという問題があった。 【0016】また、図7に示す第1の従来例のような手段を用いた飛しょう体においては、可動部を含むため構造が複雑になると共に、操舵翼と安定翼のロール位置が一定ではないため操舵翼と安定翼の複雑な空力干渉が生じるという問題があった。 【0017】また、図8に示す第2の従来例のような手段を用いた飛しょう体においては、風車を設ける必要から安定翼の翼厚が厚くなり空気抵抗が増えるという問題があった。また、これにより発生する減衰モーメントはそれほど大きくないためロールレートを完全に減衰させるには十分でないという問題があった【0018】この発明は係る課題を解決するためになされたものであり、前翼操舵方式の誘導飛しょう体において何らの追加機構を必要とすることなくロール制御可能な誘導飛しょう体を得ることを目的とする。 【0019】 【課題を解決するための手段】この発明による誘導飛しょう体は、誘導飛しょう体の機体前部に配設された操舵翼と、前記機体の後部に配設さた安定翼を備え、前記操舵翼は格子翼より成り、これにより機体のロール制御を行うものである。 【0020】 【発明の実施の形態】実施の形態1.図1はこの実施の形態における誘導飛しょう体22の構成要素を示す図であり、図1(a)は誘導飛しょう体22を横方向から見た図、(b)は後方から見た図である。図において、23は機体の後部に設けられた安定翼、24は機軸に垂直な操舵軸回りに回動可能に支持された操舵翼であり、この操舵翼は複数の平面翼が交差して形成された格子翼により構成する。安定翼23、操舵翼24はそれぞれ機体の胴体外周を機軸方向から見て4等分する各位置に1枚づつ計4枚が一組となって装着される。 【0021】図2は翼の吹き降ろしの大きさを説明する図であり、(a)が格子翼の場合、(b)が平板翼の場合を示す。図2(a)に示すように、格子翼において揚力L4が生ずるように舵角をとると吹き降ろしε1が生ずるが、この吹き降ろしの影響する範囲は図中斜線で示した範囲(タ)に及ぶ。同様に平板翼においても揚力L4が生ずるように舵角をとると吹き降ろしε2が生じ、この吹き降ろしの影響する範囲は図中斜線で示した範囲(チ)に及ぶ。この時範囲(タ)の面積S1は範囲(チ)の面積S2に比べ十分大きい。 【0022】翼に発生する揚力は、翼によって生ずる気流の運動量変化の反作用として発生するものであり、その大きさは吹き降ろしの大きさおよび影響範囲の面積に比例する。したがって図2で示したような、格子翼と平板翼で同じ揚力L4を発生する場合、吹き降ろしの大きさと影響範囲の面積の間には数1に示す関係が成り立ち、格子翼による吹き降ろしε1は平板翼による吹き降ろしε2と比較し十分小さな値となる。 【0023】 【数1】
【0024】図6で説明した場合と同様に、図1において操舵翼24がロール舵角δをとると、操舵翼24には揚力L4が発生し、一様流は吹き降ろしにより操舵翼24の後方で矢印スの方向からε1だけ曲げられ矢印セの方向となる。安定翼23にはε1だけ迎え角が発生し、揚力L5が操舵翼24とは逆の方向に発生する。しかし前述のとおり、格子翼での吹き降ろしε1は平板翼の場合の吹き降ろしε2より十分小さいため、L5はL4に比べ十分小さく、誘導飛しょう体22には矢印ソの方向にロールモーメントが発生する。このロールモーメントにより誘導飛しょう体22はロール制御を行うことができる。 【0025】 【発明の効果】この発明に係る誘導飛しょう体は上記のように構成されているので、前翼操舵方式の誘導飛しょう体において、何らの特別の機構を用いることなく操舵翼によりロール制御が可能である。また追加的な可動部が不要のため構造が簡単であり小型軽量化できるという効果がある。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006013 【氏名又は名称】三菱電機株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年12月21日(1999.12.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100102439 【弁理士】 【氏名又は名称】宮田 金雄 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−174199(P2001−174199A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月29日(2001.6.29) |
| 【出願番号】 |
特願平11−362760 |
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