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【発明の名称】 信号筒の製造方法
【発明者】 【氏名】松平 重勝

【氏名】藤井 昭彦

【氏名】福田 光寿

【要約】 【課題】通常の発炎また発煙用薬剤を充填した信号筒よりも全長の長い信号筒の製造方法。

【解決手段】成型した発炎または発煙用薬剤もしくは内筒に発炎または発煙用薬剤を充填した内筒体および外筒からなる信号筒であり、複数の成型薬剤もしくは内筒体を外筒内部に挿入することを特徴とする信号筒の製造方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 あらかじめ成型した発炎または発煙用薬剤と外筒から構成され、かつ成型した発炎または発煙用薬剤を少なくとも2個以上外筒内部に挿入することを特徴とする信号筒の製造方法。
【請求項2】 成型した発炎または発煙用薬剤が、流動性のある薬剤を硬化処理して成型したことを特徴とする請求項1に記載の信号筒の製造方法。
【請求項3】 成型した発炎または発煙用薬剤が、粉状の薬剤に圧力をかけて成型したことを特徴とする請求項1に記載の信号筒の製造方法。
【請求項4】 内筒内部に発炎または発煙用薬剤が充填された内筒体を、少なくとも2個以上外筒内部に挿入することを特徴とする信号筒の製造方法。
【請求項5】 内筒内部に流動性のある発炎または発煙用薬剤が充填され、硬化処理された事を特徴とする、請求項4に記載の信号筒の製造方法。
【請求項6】 発炎または発煙用薬剤が粉状である請求項4に記載の信号筒の製造方法。
【請求項7】 内筒内部に発炎または発煙用薬剤を充填した内筒体と、外筒から構成され、かつ内筒体と燃焼伝播用薬剤を交互に外筒内部に挿入することを特徴とする信号筒の製造方法。
【請求項8】 内筒内部に流動性のある発炎または発煙用薬剤が充填され、硬化処理された事を特徴とする請求項7に記載の信号筒の製造方法。
【請求項9】 発炎または発煙用薬剤が粉状である請求項7に記載の信号筒の製造方法
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、信号筒の製造方法に関し、更に詳しくは発炎または発煙時間の長い信号筒の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】信号筒は、高速道路等において車両事故等が発生した場合、火薬の燃焼により発する煙または高光度の赤色等の炎によって、周囲の人や運転手等に事故等が発生していることを知らせ、二次災害を防ぐ緊急信号として用いられ、燃焼時間は通常約5〜15分間であり、全長は通常約100〜300mm、筒内径は通常10〜30mmの信号筒が多く用いられている。
【0003】発炎または発煙用薬剤を充填した信号筒において、その発炎または発煙時間は、一般に充填されている発炎または発煙用薬剤と筒体の全長によって決まる。このため、より長い発炎または発煙時間を望む場合には、筒体の全長をより長くしなければならない。即ち、発炎または発煙時間を通常の信号筒の2倍とするためには筒体の全長も2倍としなければならない。
【0004】従来は、より長い発炎または発煙時間を望むためには、信号筒を複数本接続する手段が考案されており、実公昭46−7622号公報、実開昭63−171889号公報にて開示されている。しかし、従来の方法では接続本数が多くなると信号筒最下部の信号筒を手に持った時に、信号筒の重さに接続具が耐え切れず信号筒が脱落してしまう。また信号筒は点火した後路面に放り投げることが多く、従来の方法では路面に放り投げた時の衝撃によって信号筒が接続具からはずれてしまう不具合が起きていた。
【0005】流動性のある薬剤を硬化処理し、固形の薬剤となる発炎または発煙用薬剤(以後、硬化性薬剤と称する)を筒内に充填するには、硬化前の硬化性薬剤をシリンダー内からピストン等で押し出すことによって筒内に充填する充填機(以後、押し出し型充填機と称する)が一般的であり、充填後硬化処理が行われている。
【0006】粉状の発炎または発煙用薬剤(以後、粉状薬剤と称する)を充填するには、工業火薬ハンドブック(共立出版株式会社,昭和41年11月1日発行,225ヘ゜ーシ゛)記載の、シリンダー内部にスパイラルが装着された装置でありスパイラルの回転により粉状薬剤を筒内に充填する充填機(以後、フリッツキリアン型充填機と称する)、または工業火薬ハンドブック(共立出版株式会社,昭和41年11月1日発行,226ヘ゜ーシ゛)記載の、シリンダー内を上下にロッドが移動することにより粉状薬剤を充填する充填機(以後、ビアッチ型充填機と称する)が一般に知られている。
【0007】押し出し型充填機を用いて筒内に硬化性薬剤を充填する際に注意しなければならないことは気泡の混入である。気泡が混入する量が少ないと問題ないが、多くなると所定量の硬化性薬剤を充填できないばかりか、燃焼速度が早くなり、最悪の場合爆発する危険もある。
【0008】押し出し型充填機を用いて筒内に硬化性薬剤を充填する場合、気泡の混入が無いように作業するには筒の長さに限界がある。筒が長くなると充填時に気泡が逃げにくくなるためである。通常の発炎または発煙用薬剤を充填した信号筒は、全長を筒内径で除した値(以後、筒径比と称する)が約5〜10である。限界の長さは筒径比が関係しており、充填時に気泡の混入が問題とならない限界筒径比は10前後である。たとえば、筒内径10mmの筒を用いると、気泡の混入が問題とならないで充填できる筒の長さは約100mmが限界であり、それ以上の長さに充填すると気泡の混入が多くなる。気泡の混入を完全に防ぐには真空脱泡して、真空の内筒に充填すればよいが、製品価格が安くかつ大量生産が必要な信号等には使用できなかった。
【0009】フリッツキリアン型充填機を用いて筒内に粉状薬剤を充填する際に注意しなければならないことは、シリンダーとスパイラルの間隔を制御することである。なぜならば、シリンダーとスパイラルの間隔が広すぎると粉状薬剤がシリンダーとスパイラルの間に滞留し、滞留した粉状薬剤がスパイラルの回転により長時間摩擦されることにより、発火する危険がある。また、シリンダーとスパイラルの間隔が狭すぎると、作業中の振動等によりスパイラルがシリンダーに接触してしまい、その摩擦力により発火する危険がある。
【0010】フリッツキリアン型充填機を用いて筒内に粉状薬剤を充填するには、シリンダーおよびスパイラルの長さは粉状薬剤を充填する筒の全長以上としなければならない。筒の全長が長くなるとシリンダーとスパイラルも長くなり、スパイラルを偏心しないように取付けるのが非常に困難となる。さらに、スパイラルが偏心すると、シリンダーに接触する可能性が高くなるため発火の危険が増大するという問題点がある。フリッツキリアン型充填機を使用して筒内径30mmの筒に充填可能な筒の全長は最大約300mmである。
【0011】ビアッチ型充填機を用いて筒内に粉状薬剤を充填する際に注意しなければならないことは、ロッドがシリンダー内面と接触しないようシリンダーの上部から下部までの間を通過することが重要である。なぜならば、ロッドとシリンダーの接触により発火する危険があるためである。
【0012】ビアッチ型充填機を用いて筒内に粉状薬剤を充填するには、シリンダーおよびロッドの長さは粉状薬剤を充填する筒の全長以上としなければならない。しかしながら、シリンダーおよびロッドが長くなると、ロッドがシリンダー内面と接触しないように充填することが非常に困難となる。また、ロッドがシリンダー内を往復する回数および距離の増加により、ロッドがシリンダーに接触する可能性および摩擦による発熱温度が高くなるため発火の危険が増大するという問題点がある。ビアッチ型充填機を使用して筒内径30mmの筒に充填可能な筒の全長は最大約200mmである。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は真空脱泡等のコストのかかる方法を使用することなしに上記の問題点を解決し、従来よりも燃焼時間の長い信号筒を製造する場合にこれらの問題点を解決する事が可能となる信号筒の製造方法である。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意検討した結果、成型した発炎または発煙用薬剤(以後、成型薬剤と称する)もしくは、内筒に発炎または発煙用薬剤を充填した複数の内筒体を外筒に挿入することにより、任意の燃焼時間を有する信号筒が得られることを見いだした。すなわち、本発明は成型薬剤もしくは内筒体および外筒から構成され、かつ複数の成型薬剤もしくは内筒体を外筒内部に挿入することを特徴とする信号筒の製造方法である。
【0015】本発明に用いられる成型薬剤としては硬化性薬剤または粉状の薬剤に圧力をかけて成型した薬剤(以後、プレス薬剤と称する)が使用可能である。また、内筒内部に充填する発炎または発煙用薬剤には硬化性薬剤または粉状薬剤が使用可能である。硬化性薬剤は酸素供給剤、可燃剤、結合剤を含有する。酸素供給剤としては過塩素酸カリウム、過塩素酸アンモニウム、硝酸ストロンチウム、等があげられ、可燃剤兼結合材としては不飽和ポリエステル、液状ゴム、エポキシ等の液状樹脂および硬化剤等があげられる。
【0016】粉状薬剤は酸素供給剤、可燃剤を含有する。酸素供給剤としては過塩素酸カリウム、過塩素酸アンモニウム、硝酸ストロンチウム等があげられ、可燃剤としては木粉、硫黄、動植物油、鉱油等があげられる。
【0017】プレス薬剤は、酸素供給剤、可燃剤、必要ならば結合材を含有する。酸素供給剤としては過ハロゲン酸塩、ハロゲン酸塩、一酸化鉛等の金属酸化物、硝酸塩等が、可燃剤として硫黄、金属等が、結合材としてワックス類、油類、セルロイド、デキストリン、合成樹脂等があげられる。これらの酸素供給剤、可燃剤および結合材を適当な組成で混合し、金型に入れて圧力をかけ成型する。
【0018】内筒体の材質やその厚みによっては、内筒体から隣の内筒体への燃焼が伝達されないことがまれに発生することがある。それを防止するために燃焼伝播用薬剤が有効であることを発見した。本発明に用いられる燃焼伝播用薬剤は、内筒体から内筒体への燃焼が完全となるよう使用するため、容易に着火するものが望ましい。たとえば上記プレス薬剤、または無煙火薬、黒色火薬、セルロイド等があげられ、金属粉やテルミットも使用可能である。
【0019】本発明に用いられる内筒および外筒は、円柱形が望ましいが、三角柱、四角柱等の多角柱でも良い。材質は紙、合成樹脂、アルミ等の金属でも良いが、発炎または発煙用薬剤の燃焼により燃える材質が望ましい。成型薬剤の形状は外筒と同形状が望ましいが、同じでなくても良い。
【0020】以下、本発明による信号筒とその製造方法を、図1〜図4を参照して説明する。
【0021】図1および図2は、本発明の製造方法による信号筒に使用する内筒体である。図1は、内筒1の上部より発煙または発炎用薬剤2を充填し、充填後、穴あき蓋5、伝火薬3および発火薬4を取付けることにより得られる。伝火薬3、発火薬4および穴あき蓋5は取付けても取付けなくても内筒体として使用可能である。
【0022】図2は、穴あき内筒6の下部より発煙または発炎用薬剤2を充填し、充填後、内筒用蓋7、伝火薬3および発火薬4を取付けることにより得られる。伝火薬3、発火薬4および内筒用蓋7は取付けても取付けなくても内筒体として使用可能である。
【0023】図3および図4の信号筒は、本発明の製造方法による信号筒である。図3の信号筒は、成型薬剤または内筒体8を外筒12に複数挿入し、外筒用蓋9をはめ込むことにより得られる。外筒12の頭部には発火薬のための穴があいており、最上部の成型薬剤または内筒体8には伝火薬3および発火薬4を取付けるが、伝火薬3および発火薬4が取付けてある成型薬剤または内筒体を最上部に使用した場合にはこの必要はない。
【0024】図4の信号筒は、複数の内筒体11と燃焼伝播用薬剤10を交互に外筒12に挿入し、外筒用蓋9をはめ込むことにより得られる。外筒12の頭部には発火薬のための穴があいており、最上部の内筒体には伝火薬3および発火薬4を取付けるが、伝火薬3および発火薬4が取付けてある内筒体を使用した場合にはこの必要はない。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を説明する。なお本発明は、以下の実施例に何ら限定されない。
【0026】実施例1直径24.5mm、長さ150mmの硬化性薬剤からなる成型薬剤を作成した。
【0027】外筒として内径25mm、外径26mm、長さ770mmであり、頭頂部に直径10mmの穴のあいた紙筒を作成した。
【0028】成型薬剤を外筒である紙筒に5本挿入し、底部に外筒用蓋をはめ込んだ後成型薬剤に直径10mmの穴をあけ伝火薬を詰め、発火薬を取付けて信号筒を得た。
【0029】得られた信号筒について重量および燃焼時間を測定したところ、重量911g、燃焼時間53分47秒であった。
【0030】実施例2直径19.5mm、長さ40mmのプレス薬剤からなる成型薬剤を作成した。
【0031】外筒として内径20mm、外径21mm、長さ820mmであり、頭頂部に直径10mmの穴のあいた紙筒を作成した。
【0032】プレス薬剤を外筒である紙筒に20個挿入し、底部に外筒用蓋をはめ込んだ後プレス薬剤に直径10mmの穴をあけ伝火薬を詰め、発火薬を取付けて信号筒を得た。
【0033】得られた信号筒について重量および燃焼時間を測定したところ、重量1025g、燃焼時間41分28秒であった。
【0034】実施例3図1のような内筒として内径20mm、外径20.5mm、長さ110mmの紙筒を、外筒として内径21mm、外径22mm、長さ680mmであり、頭頂部に直径10mmの穴のあいた紙筒を作成した。
【0035】硬化性のある発炎用薬剤を、押し出し型充填機によって内筒である紙筒内に充填し、硬化処理したものを内筒体とした。
【0036】内筒体を外筒である紙筒に6本挿入し、底部に外筒用蓋をはめ込んだ後内筒体に直径10mmの穴をあけ伝火薬を詰め、発火薬を取付けて信号筒を得た。
【0037】得られた信号筒について重量および燃焼時間を測定したところ、重量507g、燃焼時間40分26秒であった。
【0038】実施例4図2のような内筒として内径30mm、外径30.5mm、長さ250mmの紙筒を、外筒として内径31mm、外径33mm、長さ1030mmであり、頭頂部に直径10mmの穴のあいた紙筒を作成した。
【0039】粉状の発炎用薬剤を、フリッツキリアン型充填機によって内筒である紙筒内に充填し、内筒体とした。
【0040】内筒体を外筒である紙筒に4本挿入し、底部に外筒用蓋をはめ込んだ後内筒体に直径10mmの穴をあけ伝火薬を詰め、発火薬を取付けて信号筒を得た。
【0041】得られた信号筒について重量および燃焼時間を測定したところ、重量1411g、燃焼時間61分12秒であった。
【0042】実施例5酸素供給剤として過塩素酸カリウム30%、過塩素酸アンモニウム15%、炭酸ストロンチウム10%および一酸化鉛20%を、可燃剤として硫黄15%を、結合剤として10%セルロイドアセトン溶液10%を混合した後、所定の金型にいれ、圧力500kg/cm2で成形し、50℃で5時間乾燥して燃焼伝播用薬剤(直径20.5mm×長さ5mm)を作成した。
【0043】図1のような内筒として内径20mm、外径20.5mm、長さ110mmの紙筒を、外筒として内径21mm、外径22mm、長さ705mmであり、頭頂部に直径10mmの穴のあいた紙筒を作成した。
【0044】硬化性のある発炎用薬剤を、押し出し型充填機によって内筒である紙筒内に充填し、硬化処理したものを内筒体とした。
【0045】内筒体6本、燃焼伝播用薬剤5個を外筒である紙筒に交互に挿入し、底部に外筒用蓋をはめ込んだ後内筒体に直径10mmの穴をあけ伝火薬を詰め、発火薬を取付けて信号筒を得た。
【0046】得られた信号筒について重量および燃焼時間を測定したところ、重量540g、燃焼時間41分57秒であった。
【0047】実施例6アルミニウム粉末35%と酸化第二鉄65%を混合し、燃焼伝播用薬剤としてのテルミットを作成した。
【0048】図2のような内筒として内径30mm、外径30.5mm、長さ250mmの紙筒を、外筒として内径31mm、外径32.5mm、長さ1045mmであり、頭頂部に直径10mmの穴のあいた紙筒を作成した。
【0049】粉状の発炎用薬剤を、フリッツキリアン型充填機によって内筒である紙筒内に充填し、内筒体とした。
【0050】内筒体4本と燃焼伝播用薬剤を外筒である紙筒に交互に挿入し、底部に外筒用蓋をはめ込んだ後内筒体に直径10mmの穴をあけ伝火薬を詰め、発火薬を取付けて信号筒を得た。
【0051】得られた信号筒について重量および燃焼時間を測定したところ、重量1466g、燃焼時間62分48秒であった。
【0052】比較例1内径21mm、外径22mm、長さ680mmの紙筒を作成した。
【0053】硬化性のある発炎用薬剤を、押し出し型充填機によって紙筒内に充填した。
【0054】伝火薬を詰め発火薬を取付けて硬化処理を行い、信号筒を得た。
【0055】得られた信号筒について重量および燃焼時間を測定したところ、重量438g、燃焼時間31分02秒であった。
【0056】比較例2内径31mm、外径33mm、長さ1030mmの紙筒を作成した。
【0057】粉状の発炎用薬剤を、フリッツキリアン型充填機によって紙筒内に充填するため、長さ1100mmのシリンダーとスパイラルを取付けて空運転したところ、シリンダーとスパイラルが接触してしまった。シリンダーとスパイラルが接触した状態で充填を行うのは発火の危険があるため充填作業を行うことができなかった。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、発炎または発煙時間の長い信号筒を安全に、かつ容易に製造することが可能となった。
【出願人】 【識別番号】000228349
【氏名又は名称】日本カーリット株式会社
【出願日】 平成11年6月23日(1999.6.23)
【代理人】
【公開番号】 特開2001−4300(P2001−4300A)
【公開日】 平成13年1月12日(2001.1.12)
【出願番号】 特願平11−176259