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【発明の名称】 耐刃防護板
【発明者】 【氏名】岡田 隆平

【氏名】坂井 通夫

【氏名】井上 学

【要約】 【課題】本発明は耐刃防護板に関し、防刃機能と着用性の両方を満足し、且つ重量の軽い耐刃防護板を実現することを目的とする。

【解決手段】それぞれ複数の連結用リベット孔16を有する複数枚の金属板小片11が、互いの周辺を重ね合わされて所定の形状に配置され、リベット12によりリベット孔16を挿通して緩くカシメられ、各金属板小片11同士の連結部が可動性を保持するように連結されて成るように構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 それぞれ複数の連結用リベット孔(16)を有する複数枚の金属板小片(11)が、互いの周辺を重ね合わされて所定の形状に配置され、リベット(12)によりリベット孔(16)を挿通して緩くカシメられ、各金属板小片(11)同士の連結部が可動性を保持するように連結されて成ることを特徴とする耐刃防護板。
【請求項2】 前記金属板小片(11)は重ね合わせ部に段差部(17)が設けられていることを特徴とする請求項1記載の耐刃防護板。
【請求項3】 前記金属板小片(11)は全面が凸状または凹状の曲面に形成されていることを特徴とする請求項1記載の耐刃防護板。
【請求項4】 前記金属板小片(11)には刃物に対する滑り止め用のリブ(13)が形成されていることを特徴とする請求項1記載の耐刃防護板。
【請求項5】 前記金属板小片(11)のうち、前記所定の形状の外周に位置する金属板小片(11)には、所定形状の外周に接する辺に刃物に対する滑り止め用の折り曲げ部(15)が形成されていることを特徴とする請求項1記載の耐刃防護板。
【請求項6】 前記金属板小片(11)には通気用の小孔(14)が穿設されていることを特徴とする請求項1記載の耐刃防護板。
【請求項7】 前記金属板小片(11)は熱処理が施されたジュラルミンで形成されていることを特徴とする請求項1記載の耐刃防護板。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐刃防護板に関する。詳しくは、身体の危険にさらされる業務に就労する警察官、ガードマン等が着衣の下に着用し、刃物、アイスピック等による攻撃に対して防護を行うことができる耐刃防護板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、警察官等が刃物による攻撃の危険から身体を防護するため、平常衣の下に装着することができる耐刃防護板が開発されている。例えば、特開昭58−19700号公報で開示された防弾刃下着の提案がある。この発明は防刃板状対として防刃子相互を1層に展開し、相互の防刃子を2種類の形状の連結子によって連結する構成になっており、防刃子が一部では連結子と2層構造であるが、防刃機能は防刃子の1層構造としてしか働かないものである。この防弾刃下着においては、防弾機能はかなり満足するものであるが、刃物に対する防刃機能の面で十分な機能を達成しょうとすると極端に着用性が低下するか、あるいは着用性を下げないために人体へのフィット性に留意した物は分割小片で構成する必要があるので各小片の隙間が細刃に対して無力であった。
【0003】そこで、防刃機能と着用性の両方を満足するものとして特公平6−50240号に開示された耐刃防護板が開発されている。この耐刃防護板1は、図9(b)の一部拡大図及び同図(c)の断面図に示されるように、樹脂板(例えば厚さ2mm程度のポリカーボネート)で形成され、複数の連結孔2及び複数の通気孔(図示省略)が形成された六角形状の複数の防刃用小片3を、それぞれ周辺を突き合わせて隙間のない状態に敷きつめて表層4とし、同様な形状の樹脂板(例えば厚さ1.5mm程度のガラスフアイバ入り66ナイロン)の小片5((b)図では点線で示す)群から成る裏側層6とを、表層及び裏側層のそれぞれの突き合わせ部が重ならないように重ね、リベット7により表層4及び裏側層6を接続し図9(a)の如く所定の形状に組み立てたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の耐刃防護板は防刃機能と着用性の両方を満足するものであるが、樹脂板に耐防刃性に必要な厚さを持たせるため重量が重くなるという問題がある。
【0005】本発明は上記従来の問題点に鑑み、防刃機能と着用性の両方を満足し、且つ重量の軽い耐刃防護板を実現することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1の耐刃防護板は、それぞれ複数の連結用リベット孔16を有する複数枚の金属板小片11が、互いの周辺を重ね合わされて所定の形状に配置され、リベット12によりリベット孔16を挿通して緩くカシメられ、各金属板小片11同士の連結部が可動性を保持するように連結されて成ることを特徴とする。この構成を採ることにより、軽く、且つ耐刃性及び良好な着用性を有する耐刃防護板が得られる。
【0007】また、請求項2は、前記金属板小片11は重ね合わせ部に段差部17が設けられていることを特徴とする。また、請求項3は、前記金属板小片11は全面が凸状または凹状の曲面に形成されていることを特徴とする。この構成を採ることにより、裏面に段差がなくなり、また全体に曲面を形成することができるため、着用性が良好となる。
【0008】また、請求項4は、前記金属板小片11には刃物に対する滑り止め用のリブ13が形成されていることを特徴とする。また請求項5は、前記金属板小片11のうち、前記所定の形状の外周に位置する金属板小片11には、所定形状の外周に接する辺に刃物に対する滑り止め用の折り曲げ部15が形成されていることを特徴とする。この構成を採ることにより刃物に対する安全性が向上する。
【0009】また、請求項6は、前記金属板小片11には通気用の小孔14が穿設されていることを特徴とする。この構成を採ることにより、着用時のむれを防止することができる。
【0010】また、請求項7は、前記金属板小片11は熱処理が施されたジュラルミンで形成されていることを特徴とする。この構成を採ることにより、軽量で安全性の高い耐刃防護板が得られる。
【0011】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態の耐刃防護板を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)図のb−b線における断面図、(c)は(a)図のc−c線における断面図である。本実施の形態の耐刃防護板10は同図に示すように、複数枚の金属板小片11がその一部重ね合わされリベット12により接続されて胸部を覆うことができるように所定の形状に組み立てられている。
【0012】前記金属板小片11は軽く且つ強度が有りプレス加工が可能な金属板、例えばジュラルミン板,チタン板等で形成される。特に熱処理を施した厚さ1.5mm程度のジュラルミン板が軽く且つ強度も有り好適である。そして金属板小片11の平面形状は場所により異なるため複数種類あり、図1の実施の形態では、同図(a)に符号A〜Wで示した23種類(同一符号は同一形状)で、総計45枚を使用している。
【0013】また、大部分の金属板小片11には刃物の滑り止め及び補強を兼ねた複数のリブ13と、着用性向上のための通気用の小孔14が形成されている。また、外周に配置される金属板小片11には組み立てられたときに外周となる辺に刃物の滑り止め用となる折り曲げ部15が形成されている。
【0014】図2乃至図8は金属板小片11の代表例として符号A、B、C、F、G、H、Kの各金属板小片11を示した。各図において(a)は平面図、(b)は(a)図のb−b線における断面図、(c)は下面図である。
【0015】図2に示すのは図1(a)において符号Aで示した金属板小片11であり、左上部の斜辺部に使用されるものである。そのため、その平面形状は略直角三角形状をなしている。そして斜辺部には刃物に対する滑り止め用の折り曲げ部15が形成され、直角を挟む2辺のそれぞれ近傍にはリベット孔16が穿設され、さらに(c)図に示すように平面部は横方向に曲率Rの緩い凸曲面に形成されている。なお図1(a)において符号Eで示した金属板小片11は、この金属板小片Aとは対称形である。
【0016】また、図3に示すのは図1(a)において符号Bで示した金属板小片11であり、前記金属板小片Aの右に連結されるものである。そして、その平面形状は左上部にR部が形成された略四角形をなし、その表面には2本のリブ13が横方向に平行して形成されている。また2つのリブ13,13の間には5個の通気用小孔14が穿設され、左右の辺及び下部の辺にはリベット孔16が穿設され、上辺には刃物滑り止め用の折り曲げ部15が形成され、左辺には隣接する金属板小片Aと連結する重ね合わせ部に段差部17が形成されている。また平面部が曲面となっていることは前記Aと同様である。
【0017】また、図4に示すのは図1(a)において符号Cで示した金属板小片11であり、前記金属板小片Bの右に連結されるもので、その平面形状は略四角形状をなしている。そして、その表面には2本のリブ13が横方向に平行して形成されている。また2つのリブ13,13の間には5個の通気用小孔14が設けられ、左右の辺及び下部の辺にはリベット孔16が穿設され、上辺には刃物滑り止め用の折り曲げ部15が形成され、左辺及び右辺には隣接する金属板小片11との連結用の重ね合わせ部に段差部17が形成されている。また平面部が曲面となっていることは前記A、Bと同様である。
【0018】また、図5に示すのは図1(a)において符号Fで示した金属板小片11であり、前記金属板小片Aの下に連結されるもので、その平面形状は略台形状をなしている。そして、その表面には1本のリブ13が横方向に形成されている。またリブ13の上方には3個の通気用小孔14が穿設され、上下の辺及び右辺にはリベット孔16が穿設され、斜辺には刃物滑り止め用の折り曲げ部15が形成されている。また平面部が曲面となっていることは前記A、Bと同様である。なお、図1(a)において符号Jで示された金属板小片は上記金属板小片Fと対称形である。
【0019】また、図6に示すのは図1(a)において符号Gで示した金属板小片11であり、前記金属板小片Fの横で且つ金属板小片Bの下に連結されるもので、その平面形状は略四角形状をなしている。そして、その表面には2本のリブ13が横方向に平行して形成されている。また2つのリブ13,13の間には11個の通気用小孔14が設けられ、左右及び上下の辺にはリベット孔16が穿設され、左辺には隣接する金属板小片11と連結する重ね合わせ部に段差部17が形成されている。また平面部が曲面となっていることは前記A、Bと同様である。なお、この金属板小片Gは図1では5枚使用されている。また図1(a)において符号Iで示される7枚の金属板小片11は、この金属板小片Gと対称形であるが通気用の小孔の数のみが異なる。
【0020】また、図7に示すのは図1(a)において符号Hで示した金属板小片11であり、前記金属板小片GとIとの間で且つ金属板小片Cの下に連結されるもので、その平面形状は略四角形状をなしている。そして、その表面には2本のリブ13が横方向に平行して形成されている。また2つのリブ13,13の間には5個の通気用小孔14が設けられ、左右及び上下の辺にはリベット孔16が穿設され、左辺及及び右辺には隣接する金属板小片11と接続する重ね合わせ部に段差部17が形成されている。また平面部が曲面となっていることは前記A、Bと同様である。なお、この符号Hの金属板小片は図1(a)においては4枚使用されている。
【0021】また、図8に示すのは図1(a)において符号Kで示した金属板小片11であり、前記金属板小片Gの左横に接続されるもので、その平面形状は略直角三角形状をなしている。そしてその斜辺には刃物滑り止め用の折り曲げ部15が形成され、直角を挟む2辺の近傍にはリベット孔16が、中央部には1個の通気用小孔14がそれぞれ穿設されている。なお、この金属板小片Kは図1(a)においては右下にも使用されている。また図1(a)において符号Lで示される金属板小片は金属板小片Kと対称形である。
【0022】このように形成されたA〜Wの各金属板小片11は図1の如く配置され、その上下、左右を重ね合わせて孔あきリベット12により連結される。なおリベット12の材質はアルミ、ステンレス、ジュラルミン等が好ましく、カシメは隣同士の金属板小片11が互いに動くことができるように緩くカシメられる。
【0023】このように組み立てられた後、各金属板小片11の表面には各片がこすれ合っても金属音が発生しないように、塗装される。塗料としてはアクリル系塗料または二液性ウレタン系焼き付け塗料が好ましい。
【0024】このように構成された本実施の形態は、ジュラルミン等の軽量な金属で形成したことにより重量が軽く、且つ強度が大で刃物に対する抵抗力が強い。また、リブ及び外周部の折り曲げ部により刃物の滑りを防止でき安全性を高めている。さらに全面に塗装を施したことにより金属音を防止でき、また通気孔を設けたことにより発汗に対して対応することができる。さらに金属板小片に曲率もたせ、且つリベットのカシメを緩くしたことにより該部に柔軟性が生じ、人体への装着性を良好なものとしている。
【0025】なお、上述の説明では、図1(a)において符号M〜Wで示した金属板小片11の説明は省略したが、形状は図に示す通りである。また、これらの金属板小片11は前述したように横方向に所定の曲率で曲げられていると説明したが、横方向のみではなく、縦方向又は縦横両方向に曲げても良く、また凸曲面のみでなく、必要に応じて凹曲面としても良い。また、通気用の小孔14の数は組み立てたときの配置位置により異なっており、心臓、肝臓等の重要臓器を覆う部分は他の部分に比して少ない方が安全上好ましい。
【0026】
【発明の効果】本発明の耐刃防護板に依れば、ジュラルミン等の軽量な金属で形成したことにより従来の耐刃防護板に比して重量が軽く、且つ強度が大で刃物に対する抵抗力が強く、且つ刃物に対する滑り止め用のリブにより刃物の滑りを防止し安全性を向上可能としている。また塗装を施したことにより金属音を防止でき、また通気用の小孔を多数設けたことにより発汗に対して対応することができる。さらに金属板小片に曲率もたせ、且つリベットのカシメを緩くしたことにより該部に柔軟性が生じ、人体へのフィット性が良好となる等により、着用性が向上する。
【出願人】 【識別番号】000000147
【氏名又は名称】伊藤忠商事株式会社
【出願日】 平成11年6月30日(1999.6.30)
【代理人】 【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬 (外3名)
【公開番号】 特開2001−12899(P2001−12899A)
【公開日】 平成13年1月19日(2001.1.19)
【出願番号】 特願平11−185690