| 【発明の名称】 |
弓用弦 |
| 【発明者】 |
【氏名】喜多 俊文
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| 【要約】 |
【課題】張力、強度、耐摩耗性を有する弓用弦を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、乳酸系ポリマー組成物、すなわち、乳酸ホモポリマー、乳酸コポリマー、ブレンドポリマーを弓用弦として使用するので、弾性、摩耗性に優れ、かつ廃棄後は自然分解により環境保護につながる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】乳酸系ポリマー組成物からなる弓用弦。 【請求項2】乳酸系ポリマー組成物が、乳酸ホモポリマー、乳酸コポリマー、ブレンドポリマーである請求項1記載の弓用弦【請求項3】乳酸系ポリマー組成物からなる弦を備えてなる弓。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は自然環境の中で分解し、かつ弾性率、耐摩耗性、熱安定性などに優れた弓用弦およびそれを用いた弓に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、洋弓用弦を形成する合成樹脂繊維素材としては、ポリエステル樹脂やポリパラベンゾアミド系樹脂などの単繊維糸が用いられており、和弓用弦としては、例えばアラミド繊維を樹脂接着剤で固めたものが用いられている。また、近年、自然環境保護の見地から、自然環境中で分解する生分解性ポリマー及びその加工品が求められ、脂肪族ポリエステルなどの自然分解性樹脂の研究が活発に行われている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】従来用いられている弓用の弦は、いずれも引張強度は大であるが、摩耗性や熱安定性が劣る。特に熱安定性の問題は、洋弓の場合は炎天下での競技もあり、重大な欠点である。また、アラミド繊維は、高いバネ定数を得るのに最適な素材であるが、耐久性においては他の素材より劣るため、消耗が早く、競技中に、弦切れによるトラブルの発生頻度が高い。切れた弦は廃棄処分にされるが、それは不燃物であり廃棄処分にも困る。そこで、本発明は、上記課題に鑑み、自然環境の中で分解し、かつ弾性率、耐摩耗性、熱安定性などに優れた弓用弦を提供することを目的とする。 【0004】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解決するため、乳酸系ポリマー組成物からなる弓用弦を提供する。ここで、乳酸系ポリマー組成物とは、乳酸ホモポリマー、乳酸コポリマー、ブレンドポリマーを含む意味である。 【0005】本発明において、乳酸ホモポリマーとは、実質的にL−乳酸及び/又はD−乳酸由来のモノマー単位のみで構成されるポリマーである。ここで「実質的に」とは、本発明の効果を損なわない範囲で、L−乳酸又はD−乳酸に由来しない、他のモノマー単位を含んでいても良いと言う意味である。 【0006】乳酸コポリマーは、乳酸モノマー又はラクチドと共重合可能な他の成分とが共重合されたものである。このような他の成分としては、2個以上のエステル結合形成性の官能基を持つジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等、及びこれら種々の構成成分より成る各種ポリエステル、各種ポリエーテル、各種ポリカーボネート等が挙げられる。 【0007】ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。多価アルコールとしては、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させたものなどの芳香族多価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、へキサンジオール、オクタンジオール、グリセリン、ソルビタン、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのエーテルグリコール等が挙げられる。ヒドロキシカルボン酸としては、グリコール酸、ヒドロキシブチルカルボン酸等が挙げられる。ラクトンとしては、グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。 【0008】乳酸ポリマーの製造方法としては、既知の任意の重合方法を採用することができる。最も代表的に知られているのは、乳酸の無水環状ニ量体であるラクチドを開環重合する方法(ラクチド法)であるが、乳酸を直接縮合重合しても構わない。乳酸ポリマーが、L−乳酸及び/又はD−乳酸に由来するモノマー単位からだけなる場合(乳酸ホモポリマー)には、重合体は結晶性で高融点を有する。さらには、L−乳酸、D−乳酸由来のモノマー単位の比率(L/D比と略称する)を変化させることにより、結晶性・融点を自在に調節する事ができるので、洋弓か和弓かの用途に応じ、実用特性を制御することが可能である。また、分子量増大を目的として、少量の鎖延長剤、例えばジイソシアネート化合物、エボキシ化合物、酸無水物等を使用できる。重合体の重量平均分子量としては、50,000〜1,000,000の範囲が好ましい。かかる範囲を下回ると物性等が十分発現されず、上回る場合は加工性に劣る。但し、重量平均分子量は、洋弓か和弓かにより上記範囲内でも異なった範囲となり、和弓用弦の方が洋弓用弦より高分子量のものが好ましい。例えば、和弓用弦では、特に重量平均分子量300,000以上が好ましい。また、乳酸ポリマーに柔軟性を付与するために可塑剤を添加しても良い。可塑剤としては、安息香酸エチルや、フタル酸ジオクチル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジオクチル等のジエステル化合物、数平均分子量が500〜2000のポリエステル可塑剤を用いることができる。 【0009】ブレンドポリマーは、乳酸ポリマー以外の脂肪族ポリエステル、例えば脂肪族カルボン酸成分と脂肪族アルコール成分からなるポリマー及び脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分からなるポリマーをブレンドしたものである。ブレンドされる脂肪族ポリエステルの製造方法としては、これらを直接重合して高分子量物を得る方法と、オリゴマー程度に重合した後、鎖延長剤等で高分子量物を得る間接的な方法がある。 【0010】本発明でブレンドされる脂肪族ポリエステルは、例えばジカルボン酸とジオールからなる脂肪族ポリエステルである。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン酸などの化合物、又はこれらの無水物や誘導体が挙げられる。一方、脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどのグリコール系化合物、及びこれらの誘導体が一般的である。いずれも炭素数2〜10のアルキレン基、シクロ環基又はシクロアルキレン基をもつ化合物で、縮重合により製造される。カルボン酸成分或いはアルコール成分のいずれにおいても、2種以上用いても構わない。 【0011】又、溶融粘度の向上の為ポリマー中に分岐を設ける目的で3官能以上の多価カルボン酸、多価アルコール或いはヒドロキシカルボン酸を用いても構わない。これらの成分は、多量に用いると得られるポリマーが架橋構造を持ち、熱可塑性でなくなったり、熱可塑性であっても部分的に高度に架橋構造をもったミクロゲルを生じる場合がある。従って、これら3官能以上の成分は、ポリマー中に含まれる割合はごくわずかで、ポリマーの化学的性質、物理的性質を大きく左右するものではない程度に含まれる。多官能成分としては、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸或いはペンタエリスリットやトリメチロールプロパンなどを用いることができる。 【0012】製造方法のうち、直接重合法は、上記の化合物を選択して化合物中に含まれる、あるいは重合中に発生する水分を除去しながら高分子量物を得る方法である。又、間接重合法としては、上記化合物を選択してオリゴマー程度に重合した後、分子量増大を目的として、少量の鎖延長剤、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなどのジイソシアネート化合物を使用して高分子量化する方法、カーボネート化合物を用いて脂肪族ポリエステルカーボネートを得る方法がある。 【0013】ブレンド方法は、特に限定されないが、連続的に処理できるものが工業的には有利で好ましい。例えば、2種類以上のペレットを所定比率で混合し、そのまま押出成形機のホッパー内に投入し、溶融させ、直ちに弦に成形しても良い。また、両成分を溶融混合した後、一旦ペレット化し、その後で必要に応じて弦に溶融成形してもよい。同じく、ポリマーをそれぞれ別に押出機などで溶融し、これらを所定比率で静止混合機及び/又は機械的攪拌装置で混合し、直ちに弦に成形しても良く、一旦ペレット化しても良い。押出機などの機械的攪拌による混合と、静止混合機とを組み合わせても良い。均一に混合させるには、一旦ペレット化する方法がより好ましいが、溶融混合法の場合は、ポリマーの劣化、変質、エステル交換反応による共重合体化反応を実質的に防ぐことが必要で、出来るだけ低温で短時間内に混合する事が好ましい。溶融押出温度としては、使用する樹脂の融点及び混合比率を考慮して、適宜選択するが、通常100〜250℃の範囲である。 【0014】本発明に係わる弦は、乳酸系ポリマー組成物を押出成形して作製できる。押出成形は、押出成形機のホッパー内に投入し、溶融させ、直ちに弦に成形でき、溶融温度は、通常100〜250℃の範囲である。尚、押出成形後、延伸してもよい。延伸は、速度の異なるローラー間に湿式延伸槽、遠赤外線ヒーター、電気ヒーター等を熱源とする乾熱延伸槽を配置し、あるいは供給側の熱ロールによる伝熱などにより、未延伸のものを加熱し、ローラー間の速度比を所定にすることにより行なわれ、ローラー間の速度比すなわち延伸倍率は、本発明では概ね4〜10倍程度である。成形したポリマーは、必要に応じて改質剤、炭酸カルシウム等の充填剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤、顔料、着色剤、各種フィラー、静電気防止剤、離型剤、可塑剤、香料、抗菌剤等の各種添加剤の他に、エステル交換触媒、各種モノマー、カップリング剤、末端処理剤、その他の樹脂、木粉、でんぷん等を加えて変成することができる。又、生分解性にこだわらなければ、他の汎用ポリマー等を加えても構わない。 【0015】本発明の弓用弦は、公知の張設機により洋弓又は和弓に張設される。張設強度は、弓の種類により当然異なるが、本発明ではポリマーの分子量調節によりいかなる張力にも対応できる。 【0016】 【実施例】以下、本発明について実施例により詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものでない。なお、以下の実施例において、重合体の重量平均分子量(Mw)は、GPC分析によるポリスチレン換算値で測定した値である。 【0017】(実施例1:和弓用弦)脂肪族ポリエステル(コハク酸成分40モル%、アジピン酸成分10モル%、1,4−ブタンジオール成分50%、Mw=138,000)1kgにL−ラクチド4kgを加え、窒素ガス雰囲気下で溶融混練し、重合触媒としてオクチル酸錫12gを添加し、2軸混練機で攪拌しながら190℃で20分間重合した後、ペレット化してブロック共重合体チップを得た。そのチップを窒素中で12時間処理し、未反応のラクチドを除去した後、75℃で真空乾燥して絶乾状態にした後、射出成形により和弓用弦を作製した。得られた弦は、光沢剤を付与し、これを、電動式の張設機を使用して、和弓に張設した。 【0018】(実施例2:洋弓用弦)ポリ乳酸(島津製作所製ラクティ#5000、Mw=200,000)(A1)とポリカプロラクトン Mw=250,000(A2)とを各々真空乾燥により絶乾状態にした後、混合比(A1)/(A2)=80/20でV型ブレンダーで混合し、これを210℃に設定された30mm同方向2軸押出混練機に連続的に供給して溶融押出し、主原料を準備した。 【0019】この主原料を真空乾燥により絶乾状態にした後、潤滑剤を400cc添加しV型ブレンダーで混合し、温度210℃に設定した単軸溶融押出機に供給し、直径3mmの円形ノズルから押出して第1ローラーで引取りながら、ノズル直下で50℃に設定された冷却水槽に導いて冷却した。 【0020】これに連続して、100℃に温度設定された湿式延伸槽に導いて、さらに第2ローラーにて引取速度比を5.0倍として延伸した。これを100℃に温度設定された第2延伸槽に導いて、さらに第3ローラーにて引取速度比1.7倍として延伸し(最終延伸倍率8.5倍)し、巻取機により巻き取った。 【0021】得られた弦にシリコンオイルをごく少量塗布して、3mの長さにカットして、弓用弦に仕上げた。これを、電動式の張設機を使用して、洋弓に張設した。 【0022】上記2種類の弦を使用したが、いずれも強度、張力、摩耗性とも問題はなかった。 【0023】 【発明の効果】本発明の弦は、実用上十分な、張力、強度、耐摩耗性を持ち合わせるとともに、乳酸系ポリマー組成物なので廃棄後は自然分解する。また、ポリマーの分子量を調節することにより、簡単に和弓用、洋弓用に応じた弦を製造することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001993 【氏名又は名称】株式会社島津製作所
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| 【出願日】 |
平成11年6月30日(1999.6.30) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100097892 【弁理士】 【氏名又は名称】西岡 義明
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| 【公開番号】 |
特開2001−12898(P2001−12898A) |
| 【公開日】 |
平成13年1月19日(2001.1.19) |
| 【出願番号】 |
特願平11−185276 |
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