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【発明の名称】 熱交換器
【発明者】 【氏名】加藤 宗一

【氏名】桜田 宗夫

【氏名】栗原 慎

【氏名】秋山 勝司

【要約】 【課題】入口パイプがタンクに接続される位置に影響されることなく、熱交換媒体の分配の均等化を図ることができる熱交換器を提供することを目的とする。

【解決手段】通風方向に並設された入口側タンク10と出口側タンク11とについて、当該入口側タンク10及び出口側タンク11を、第1の画室18、20と第2の画室19、22とに隔壁16、17により各々分割し、隔壁16の積層方向端部側に前記第1の画室18と第2の画室29とを連通する貫通孔22を設けると共に、隔壁17の前記貫通孔22とは反対側の積層方向端部側に前記第1の画室20と第2の画室21とを連通する貫通孔23を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 通風方向に並列された入口側タンク及び出口側タンクと、この入口側タンクと出口側タンクとに接続される出入口パイプと、少なくとも一方が開口した2つの通路を有して、前記入口側タンクと出口側タンクとを連通するチューブと、このチューブと交互に配置されたフィンとを備えた熱交換器において、前記入口側タンク及び出口側タンクを、出入口パイプ側に位置する第1の画室とチューブの通路側に位置する第2の画室とに隔壁により各々分割し、前記入口側タンクを分割する隔壁の積層方向端部側に、前記第1の画室と第2の画室とを連通する貫通孔を設けると共に、前記出口側タンクを分割する隔壁の、前記入口側タンクに設けられている貫通孔とは反対側の積層方向端部側に、前記第1の画室と第2の画室とを連通する貫通孔を設けたことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】 前記隔壁の貫通孔は、出入口パイプの軸方向の投影する位置にないことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】 前記隔壁は、前記入口側タンク又は出口側タンクと一体に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】 前記隔壁は、前記入口側タンク又は出口側タンクと別部材により構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば車両用空調装置において加熱手段として用いられるヒータコア等の熱交換器であって、片側のタンクが入口側タンクと出口側タンクとで構成され、出入口パイプが前記入口側タンクと出口側タンクとに接続された所謂カウンターフロータイプの構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種のタンクが仕切壁によりチューブの積層方向に仕切られたカウンターフロータイプの熱交換器としては、例えば実開昭63−154962号公報に開示された熱交換器が既に公知となっている。
【0003】この実用新案公開公報で示される熱交換器を概説すると、タンクは、底部側が開口した細長い箱状の入口側タンクプレート及び出口側タンクプレートと、前記入口側タンクプレート、出口側タンクプレートの開口部を閉塞すると共に複数段に積層されたチューブの開口部側挿入するエンドプレートとを備えたものである。そして、この熱交換器においては、入口パイプは、入口側タンクプレートの上面において積層方向の一方側に寄った位置に設けられていると共に、出口パイプは、出口側タンクプレートの上面において入口パイプとは積層方向の反対側に寄った位置に設けられた構成となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この公報例をもとに作図した図5に示されるように、熱交換器100の出入口パイプ101、102は、当該熱交換器100の空調ダクト内への設置場所、その他の状況に応じてタンク103の長手方向中央寄りとなるように当該タンク103に接続せざるを得ない場合がある。
【0005】この構成の熱交換器では、入口パイプ101からタンクの入口部104に熱交換媒体が流入する際に、慣性によって入口パイプ101の直下に位置するブロックX(複数のチューブからなる、以下ブロックYZも同じ))に熱交換媒体が集中し、かつ、そのブロックXのU字状通路を通ってタンクの出口部105に移行した熱交換媒体は、そのまま出口パイプ102から流出するという偏流を生じやすい。
【0006】このため、この入口パイプ101及び出口パイプ102から離れた位置にあるブロックY、Zでは、熱交換媒体の流量がブロックXよりも少なくなり、熱交換器の温度分布にも偏りが生ずるという不具合を有していた。
【0007】そこで、この発明は、出入口パイプがタンクに接続される位置に影響されることなく、熱交換媒体の偏流を防止し、熱交換媒体の分配の均等化を図ることができる熱交換器を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】しかして、この発明に係る熱交換器は、通風方向に並列された入口側タンク及び出口側タンクと、この入口側タンクと出口側タンクとに出入口パイプが接続されると共に、少なくとも一方が開口した2つの通路を有し、この通路は前記入口側タンクと出口側タンクとを連通するチューブと、このチューブと交互に配置されたフィンとを備えた熱交換器において、前記入口側タンク及び出口側タンクを、出入口パイプ側に位置する第1の画室とチューブの通路側に位置する第2の画室とに隔壁により各々分割し、前記入口側タンクを分割する隔壁の積層方向端部側に、前記第1の画室と第2の画室とを連通する貫通孔を設けると共に、前記出口側タンクを分割する隔壁の、前記入口側タンクに設けられている貫通孔とは反対側の積層方向端部側に、前記第1の画室と第2の画室とを連通する貫通孔を設けたことを特徴とする(請求項1)。そして、慣性により入口パイプから流入した熱交換媒体が貫通孔を介してチューブに入口パイプの軸方向に真っ直ぐに移行することで、当該出入口パイプ直下のチューブに熱交換媒体が集中するのを防止するために、前記隔壁の貫通孔は、出入口パイプの軸方向の投影する位置にないことが望ましい(請求項2)。尚、入口側タンクと出口側タンクとは、一のタンクの内部を通風方向に延びる仕切板により仕切ることで構成されるものとしても、また独立の2つのタンクを通風方向に連接させることで構成されるものとしても良い。
【0009】このような熱交換器の構成とすることにより、入口パイプから入口側タンクのうち第1の画室に流入した熱交換媒体の流れは、積層方向端部側に移行して、当該端部に形成された貫通孔より入口側タンクの第2の画室に流入する一方で、チューブの熱交換媒体通路から出口側タンクのうち第2の画室に流入した熱交換媒体は、前記入口側タンクの積層方向端部とは反対側の端部に移行して、当該端部に形成された貫通孔より出口側タンクの第1の画室に流出し、更に出口パイプから外部に流出するものである。
【0010】このため、入口側タンクの隔壁に設けられた貫通孔から各チューブの熱交換媒体通路を通って出口側タンクの隔壁に設けられた貫通孔にまで至る距離は、積層方向端部側と積層方向の中央側とでほぼ同様となり、熱交換媒体の通路抵抗もどの部位でも略等しくなるので、熱交換媒体の分布の均等化を図ることが可能となる。
【0011】尚、前記隔壁は、前記入口側タンク又は出口側タンクと一体に形成されているものとしても(請求項3)又、反対に、前記隔壁は、前記入口側タンク又は出口側タンクと出口部と別部材により構成されているものとしても良い(請求項4)。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図面により説明する。
【0013】図1乃至図3において熱交換器の一例が示されており、この熱交換器1は、例えば車両用空調装置において熱交換媒体としてエンジンの冷却水が循環するヒータコアとして用いられるもので、U字状の熱交換媒体通路3を有するチューブ2とコルゲート状のフィン4とを交互に複数段に積層すると共に、積層されたチューブ2の一端側と入口パイプ5、出口パイプ6が接続されるタンク7とで構成されたものである。
【0014】このうち、タンク7は、タンク本体8と該タンク本体8の両側の開口部を塞ぐ閉塞部材9とにより構成されているもので、タンク本体8は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金から成り、その長手方向内部中央にタンク7内部を入口側タンク10と出口側タンク11とに仕切る仕切壁12が設けられていると共に、この実施形態では、上面の長手方向中央寄りの2箇所に出入口パイプ5、6を挿入固定するためのパイプ挿入孔13、14が穿設されている。また、下面には、チューブ2を接続するためのチューブ挿入孔15が複数積層方向に沿って複数並設されている。
【0015】このように、上記タンク本体8の両側の開口部を閉塞部材9で塞ぐことで、入口側タンク10と出口側タンク11とが通風方向に並列されたタンク7が構成され、かかるタンク7のパイプ挿入孔13、14に出入口パイプ5、6を挿入固定することにより、出入口パイプ5、6が積層方向中央で近接した状態で、入口側タンク10と入口パイプ5及び出口側タンク11と出口パイプ6とが連通することとなる。
【0016】以上のようなタンク7の構成において、入口側タンク10内と出口側タンク11内とに、タンク7の長手方向に沿うと共に仕切壁12と交差する方向に延びる隔壁16、17が配されており、入口側タンク10は、この隔壁16によって入口パイプ5側に位置する第1の画室18とチューブ挿入孔15側に位置する第2の画室19とに分割され、また、出口側タンク11は、前記隔壁17によって出口パイプ6側に位置する第1の画室20とチューブ挿入孔15側に位置する第2の画室21とに分割されたものとなっている。
【0017】そして、隔壁16、17は、この実施形態ではタンク本体8と別部材となっているが必ずしもこれに限定されず、タンク本体8と押出成形等により一体に形成されるようにしても良いものである。また、隔壁16には、図2で特に示されるように、積層方向の一方側端部近傍に当該隔壁16を貫通する貫通孔22が形成され、これにより第1の画室18と第2の画室19とが連通していると共に、隔壁17には、同じく図2で特に示されるように、積層方向であって前記貫通孔22が形成された側と反対側の端部近傍に当該隔壁17を貫通する貫通孔23が形成され、これにより第1の画室20と第2の画室21とが連通したものとなっている。
【0018】尚、タンク7の構成は上記した構造のものに特に限定されず、図示しないが、例えば深絞りタンク部材の開口部側を平プレートで閉塞すると共に、その内部に仕切壁を取り付ける構成としても良い。また、タンク7は、入口側タンク10と出口側タンク11とを別ブロックとして構成し、ブロック同士を通風方向に接合することにより構成されたものとしても良い。そして、このようにタンク7を複数のブロックで構成する場合には、後述するチューブ2の熱交換媒体通路もU字状ではなく直線状の2つの通路とし、代わりにタンク7の反対側端にもタンクを配すると共に、このタンクを複数のブロックから構成して、各ブロックにチューブ2の熱交換媒体通路が連通すると共に、ブロック相互も連通したものとしても良い。
【0019】これに対し、チューブ2は、略矩形状の公知のもので、ろう材がクラッドされたアルミニウムを主原料とするアルミニウム合金で形成された2枚の成形プレート24、24を対面接合することにより構成されている。そして、各チューブ2の熱交換媒体通路3は、図3に示されるように、熱交換媒体が流入する往路を構成する通路25と、熱交換媒体が流出する復路を構成する通路26と、この通路25と通路26とを一部を残して仕切る突条27とで成るもので、チューブ2の下端には図1に示されるように、チューブ2、2間を閉塞する下板28が積層方向に断面がT字状となるように延出している。
【0020】また、チューブ2の前記下板28と反対側では、タンク7と接続するタンク接続口部29とタンク接続口部30とが二股に分岐し、チューブ2のタンク接続口部29、30をタンク7のチューブ接続孔15に挿嵌され、チューブ2の通路25がタンクの入口部10に、チューブ2の通路26がタンクの出口部11に連通する。
【0021】このような構成となる熱交換器1は、出入口パイプ5、6が積層方向の中央部位に近接してタンク7に接続されたものとしても、熱交換媒体が流れる代表的なルートを3つ選択して見た場合には、図4に示されるような流れをなす。
【0022】すなわち、まず入口パイプ5から入口側タンク10に流入した熱交換媒体は、隔壁16に遮られているため、チューブ2の通路25に個々別々に流入することなく、第1の画室18内を積層方向端部近傍の貫通孔22側に向かう流れ(図上■)を形成し、当該貫通孔22から第2の画室19に移行する。
【0023】次に、第2の画室19に移行することで、熱交換媒体は、個々別々のチューブ2の通路25に流れる。この時に、例えば、貫通孔22からそのまま直下に位置するチューブ2の通路25に流入する流れ(図上■)、第2の画室19内を積層方向中央まで移行した後、チューブ2の通路25に流入する流れ(図上■)及び、第2の画室19内を積層方向反対側端部まで移行した後、チューブ2の通路25に流入する流れ(図上■)が形成される。
【0024】そして、各チューブ2の通路25に流入した熱交換媒体は、Uターンして通路26を出口側タンク11に向かって上昇して、第2の画室21内で合流する。この場合に、例えば、流れ■は、チューブ2の通路25からそのまま直上の貫通孔23に向かう流れを形成し、流れ■は、積層方向中央から貫通孔23側の積層方向端まで移行する流れを形成し、流れ■は、貫通孔23とは反対側の積層方向端から貫通孔23側の積層方向端まで移行する流れを形成する。そして、合流した流れ(図上■)は、貫通孔23から第1の画室20に移行し、更に出口パイプ6から外部に流出する。
【0025】しかるに、前述した流れ■でその距離を比較してみると、各チューブ2の通路25積層方向の中央部位の流れ■を基準とした場合に、貫通孔22が形成された側の積層方向端部位の流れ■は、貫通孔22から通路25の接続口部までの距離が最も短い一方で、通路26の接続口部から貫通孔23までの距離が最も長くなっており、また、貫通孔23が形成された側の積層方向端部位の流れ■は、貫通孔22から通路25の接続口部までの距離が最も長い一方で、通路26の接続口部から貫通孔23までの距離が最も短くなっており、貫通孔22から貫通孔23までの距離として見た場合には流れ■はいずれも略同じである。すなわち、流れ■でチューブ2の通路25に熱交換媒体が流れるときに生ずる通路抵抗は、いずれもほぼ近似した値となる。更には、隔壁16によって入口パイプ5から慣性によりその軸方向に位置するチューブ2に熱交換媒体が多量に流入することも防止できる。このため、熱交換器1内を流れる熱交換媒体量の均等化が図られ、温度分布もほぼ均一化されるので、熱交換器の熱交換性能を向上させることができる。
【0026】しかも、入口パイプ5から貫通孔22までの距離及び貫通孔23から出口パイプ6までの距離は、この熱交換器1の熱交換媒体量の均等化において何ら影響を与えるものではない。これにより、タンク本体8に形成するパイプ挿入孔15の位置を変えるだけで、出入口パイプ5、6のレイアウトも容易に変えられるものであり、入口パイプ5と出口パイプ6との位置は積層方向中央部からの距離が違っても良いので、出入口パイプ5、6の軸方向の投影する位置に貫通孔22、23が存しない限り、熱交換器1の空調ダクト内への設置場所、その他の状況に応じて、自由に出入口パイプ5、6のレイアウトを決定することができる。
【0027】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、熱交換媒体が、入口側タンク内に配された隔壁の貫通孔からチューブまでの第2の画室内を移行する距離及びチューブから出口側タンク内に配された隔壁の貫通孔までの第2の画室内を移行する距離は、積層方向の全ての部位で略同様であり、通路抵抗も略等しくなるので、熱交換器1の熱交換媒体量の均等化を確実に図ることができる。
【0028】しかも、出入口パイプから隔壁の貫通孔までの距離は、出入口パイプの軸方向の投影する位置に貫通孔がない限り、熱交換媒体の分配に影響を与えることがないので、出入口パイプのレイアウトを熱交換器の配置などのあらゆる状況に応じて自由に決定することができる。
【出願人】 【識別番号】500309126
【氏名又は名称】株式会社ゼクセルヴァレオクライメートコントロール
【出願日】 平成12年1月13日(2000.1.13)
【代理人】 【識別番号】100069073
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 和保
【公開番号】 特開2001−194087(P2001−194087A)
【公開日】 平成13年7月17日(2001.7.17)
【出願番号】 特願2000−4400(P2000−4400)