| 【発明の名称】 |
内面溝付伝熱管 |
| 【発明者】 |
【氏名】鈴木 喜夫
【氏名】児玉 健二
【氏名】高安 英樹
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| 【要約】 |
【課題】傾斜溝とフィンの形状の最適化に基づく優れた蒸発および凝縮特性を備え、さらに、製造時のロール圧延作業性にも優れた内面溝付伝熱管を提供する。【解決手段】金属管の軸方向Aと所定の角度β1 を有する複数のフィン1より構成された第1の領域と、所定の角度β2 を有する複数のフィン2より構成された第2の領域を金属管の内面の円周方向に交互に配置し、これらの第1および第2の領域間でフィン1、2をV字結合させた内面溝付伝熱管において、フィン1、2の高さ寸法Hfを0.15mm未満に設定するとともに、フィン1、1および2、2の間の底部幅の寸法Wを0.11〜0.28mmに設定する。
【解決手段】金属管の軸方向Aと所定の角度β1 を有する複数のフィン1より構成された第1の領域と、所定の角度β2 を有する複数のフィン2より構成された第2の領域を金属管の内面の円周方向に交互に配置し、これらの第1および第2の領域間でフィン1、2をV字結合させた内面溝付伝熱管において、フィン1、2の高さ寸法Hfを0.15mm未満に設定するとともに、フィン1、1および2、2の間の底部幅の寸法Wを0.11〜0.28mmに設定する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】金属管の内面の円周方向において、前記金属管の軸方向と所定の角度を有して形成された複数のフィンから構成される第1の領域と、前記軸方向と所定の角度を有して形成され、前記第1の領域の前記フィンとの間で前記軸方向に対してV字を形成した複数のフィンから構成される第2の領域とを有した内面溝付伝熱管において、前記第1および第2の領域における前記フィンの高さ寸法を0.15mm未満に設定するとともに、前記第1および第2の領域の前記軸方向と直角方向における前記フィンの間の底部の幅寸法を0.11〜0.28mmに設定することを特徴とする内面溝付伝熱管。 【請求項2】前記円周方向における前記第1および第2の領域は、合計で4〜8個形成されることを特徴とする請求項1項記載の内面溝付伝熱管。 【請求項3】前記円周方向における前記第1および第2の領域は、合計数を奇数に設定されることを特徴とする請求項2項記載の内面溝付伝熱管。 【請求項4】円周方向における前記第1および第2の領域は、前記フィンによる前記V字の結合部分に前記軸方向に沿って形成された溝を境に有することを特徴とする請求項1項記載の内面溝付伝熱管。 【請求項5】前記第1および第2の領域における前記フィンの前記軸方向との角度は、15〜40°に設定されることを特徴とする請求項1項記載の内面溝付伝熱管。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、内面溝付伝熱管に関し、特に、冷媒の蒸発特性および凝縮特性に優れ、製造時のロール圧延性が良好な内面溝付伝熱管に関する。 【0002】 【従来の技術】空気調和機、冷凍機等の熱交換器には、相変化する冷媒を管内に流通させて冷媒の蒸発あるいは凝縮を生じさせる伝熱管が使用される。この伝熱管としては、たとえば、ルームエアコンの熱交換器等においては、管内での冷媒の蒸発と凝縮による熱伝導効率を高めるために、内面に溝を形成した内面溝付伝熱管が使用される。 【0003】一方、これらに使用される冷媒に関しては、地球温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨、あるいは海洋汚染などの地球環境上からの制約が強まっており、たとえば、これまでエアコンの冷媒として多用されてきたフロンR22(HCFC−22)は、2020年には99.5%が削減され、事実上廃止されることが決定している。 【0004】このため、パッケージエアコンにはR407C、ルームエアコンにはR410Aが代替冷媒として使われている。これらの冷媒は、いずれも2種類あるいは3種類の冷媒を混合することによって作られており、R407Cは、R32R、R125およびR134aより作られ、R410Aは、R32とR125の半々ずつの混合体より作られている。 【0005】R407Cは、R22とほゞ同じ物性値を有し、混合された各成分が異なった温度で蒸発、凝縮する非共沸性を示すことによって特徴づけられ、一方、R410Aは、ほぼ共沸性であるために伝熱性能の低下はないが、圧力がR22の1.6倍となる高圧性によって特徴づけられる。従って、これらの冷媒の蒸発と凝縮のために使用される伝熱管としては、従来のR22型におけるような螺旋状の連続溝付伝熱管では不充分であり、新しい構成の溝付伝熱管が必要となる。 【0006】新しい構成の内面溝付伝熱管として、伝熱管の軸方向にV字型に互いに向き合う複数のフィンを形成し、これらのV字のフィン群を伝熱管の円周方向に1〜3組配列した伝熱管が提案されている(特開平9−42880号、特開平8−318312号等)。 【0007】このタイプの伝熱管は、フィンにより形成されるV字の傾斜溝に冷媒を流し、傾斜溝に流れた冷媒をV字結合部で衝突させて撹拌を起こし、これにより生ずる冷媒流の乱れを利用して伝熱性を高めるもので、換言すれば、伝熱管の円周方向に冷媒液の偏りを発生させ、この偏りによって円周方向に冷媒の薄液膜を作り、これによってこの部分での冷媒の蒸発あるいは凝縮を促進させるところに特徴がある(第34回日本伝熱シンポジウム講演論文集1997−5、「対象形状内面溝付管による3成分非共沸混合冷媒の伝熱促進」より)。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のこのタイプの内面溝付伝熱管によると、V字型の傾斜溝に基づく冷媒液の偏りによる伝熱性能への影響が著しく大きく、従って、従来の螺旋溝とは全く異なる伝熱メカニズムを有しているにも拘わらず、最適な溝形状の解析がいまだに行われていない。傾斜溝とこれを形成するフィンの形状は、最良の伝熱性能を得るうえにおいて極めて重要であり、さらに、フィンの形状は、これを形成するためのロールによる圧延作業性に影響を与えるため、伝熱管の生産性を左右する重要な要素となる。 【0009】従って、本発明の目的は、傾斜溝とフィンの形状の最適化に基づく優れた蒸発および凝縮特性を備え、さらに、製造時のロール圧延作業性にも優れた内面溝付伝熱管を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を達成するため、金属管の内面の円周方向において、前記金属管の軸方向と所定の角度を有して形成された複数のフィンから構成される第1の領域と、前記軸方向と所定の角度を有して形成され、前記第1の領域の前記フインとの間で前記軸方向に対してV字を形成した複数のフィンから構成される第2の領域とを有した内面溝付伝熱管において、前記第1の領域と前記第2の領域における前記フィンの高さ寸法を0.15mm未満に設定するとともに、前記第1および第2の領域の前記軸方向と直角方向における前記フィンの間の底部の幅寸法を0.11〜0.28mmに設定することを特徴とする内面溝付伝熱管を提供するものである。 【0011】第1の領域と第2の領域は、円周方向に合計4〜8個形成することが好ましい。 形成数が4個に満たない場合には、フィンが形成する傾斜溝に沿って流れる冷媒の衝突に基づく撹拌効果に充分なものが得られず、逆に、8個を超えて形成すると、圧力損失が大きくなるので好ましくない。 【0012】第1および第2の領域の合計数を奇数に設定する場合には、冷媒の流し方を正、逆いずれにしても伝熱特性に差が現れない。従って、伝熱管に無方向性を持たせたいときは、領域の合計数を奇数に設定すればよく、これにより配管ミス等の発生を未然に防止することが可能となる。 【0013】第1および第2の領域のV字の結合部分に金属管の軸方向に沿う溝を形成し、この溝において傾斜溝に流れる冷媒の衝突を起こさせる構成が考えられる。このように構成するときには、冷媒が溝を通じて管軸方向へ流れやすくなるため、蒸発圧力損失を低減できる効果が生ずるようになる。蒸発圧力損失が低下すれば、システムとしてのエアコンの総合性能の向上に繋がることになる。 【0014】金属管の軸方向に対するフィンの角度は、第1の領域および第2の領域とも15〜40°とすることが好ましい。15°未満の角度設定は、蒸発圧力損失を小さくする効果があるものの、フィンのV字結合部での冷媒衝突を小さくするため、実用的な伝熱性能の確保を難しくする。また、角度が40°を超えると、V字結合部での冷媒衝突による撹拌効果が大になり、高い伝熱効率を確保できるが、蒸発圧力損失が増加するので好ましくない。 【0015】 【発明の実施の形態】次に、本発明による内面溝付伝熱管の実施の形態を説明する。図1の(a)は、銅合金のシームパイプより構成された溝付伝熱管の内面の一部を円周方向に展開したものであり、1は第1の領域を構成する複数のフィン、2は第2の領域を構成する複数のフィンを示し、第1の領域と第2の領域は、交互に計4組配置されている。a、bは、伝熱管として円形に丸めたときに互いに溶接される位置を示す。フィン1、2は、金属管の軸方向Aに対して所定の角度β1 、β2 を有することによって軸方向Aに対してV字を形成し、それぞれ、所定のピッチP1 、P2 のもとに配列されている。 【0016】図1の(b)は、図1の(a)の軸方向Aと直角方向B−Bにおける断面を示したもので、厚さTwの底肉部3の上に、フィン1、2が所定の高さHfと所定の頂角αを有するように設けられている。図1の(a)の4は、フィン1、2により形成された傾斜溝を示し、図1の(b)に示されるように、フィン1、1および2、2によって形成される底部幅を所定の寸法Wに設定されている。 【0017】以上の構成を有する内面溝付伝熱管は、溝付圧延ロールを使用する方法によって製造される。フィンを形成するための溝部を有するロールを一方のロールとして備えた対の圧延ロールに所定の幅の銅条等の金属条を通過させて圧延し、これによって金属条にフィン1、2と傾斜溝4を形成した後、フィン面が内側になるようして円形に丸め、合わせ目a、bを溶接することによって製造される。 【0018】表1に、以上の構成と方法により製造された本発明の実施例による内面溝付伝熱管と従来例および比較例の内面溝付伝熱管の構成を示し、表2に、これらの各例を対象として実施した性能試験の試験条件を示す。 【0019】 【表1】
【0020】 【表2】
【0021】図2は、性能試験に使用した試験装置の系統図を示したもので、12〜17は、それぞれ凝縮性能と蒸発性能を測定するときの回路切り替えのためのバルブを示し、凝縮性能測定が行われる場合には、13、15および17が開けられ、12、14および16が閉じられる。 【0022】圧縮機11より送り出される冷媒は、凝縮器30に流れるものと、バルブ13を経て性能測定領域20に流れるものとに分れる。この分流は、圧縮機11が一定回転であり、冷媒流量の制御が効かないために行われるもので、性能測定領域20に送られて液化した冷媒は、バルブ15、流量計26、膨張弁28およびバルブ17を通り、蒸発器29に送られて気体にされた後、圧縮機11に戻る。 【0023】蒸発の場合、圧縮機11を出た気体の冷媒は、凝縮器30においてそのすべてが液体となり、受液器24およびドライヤ25を通過してからバルブ16の手前で分流し、バルブ16、流量計26、膨張弁28およびバルブ14を経て性能測定領域20に送られ、ここにおいて蒸発して気体となり、バルブ12を経て圧縮機11に戻される。バルブ16の手前で分流した一方の冷媒は、膨張弁27を通過して蒸発器29に入り、気体にされて圧縮機11に戻る。ここでの分流において性能測定領域20に流れる冷媒の量は、膨張弁27および28によって調整される。 【0024】性能測定領域20は、二重管構造にされており、試験対象となる実施例、比較例および従来例の伝熱管に相当する伝熱管21の管内には、冷媒が流される一方、その管外には、冷温水器23より送られる冷温水が出入口22を経て供給される。 表2の条件のもとで、冷温水出入口における温度と流量、冷媒流量、冷媒出入口における温度と圧力等を測定し、これらに基づいて内面溝付伝熱管としての伝熱特性を評価した。表3に性能試験の実施結果を示す。 【0025】 【表3】
【0026】従来例を1としたときの性能比を示したこの表3によれば、フィンの高さを0.15mm未満に設定し、フィン1、1および2、2によって形成される傾斜溝4の底部幅Wを0.11〜0.28mmの範囲内に設定した実施例が、底部幅Wを0.10mmに設定した比較例1、底部幅Wを0.30〜0.37mmに設定した比較例3〜5、および螺旋溝を形成した従来例に比べて総じて高い性能を示しており、本発明の効果が明確に現れている。 【0027】図3は、本発明における溝底部幅Wと、凝縮性能、蒸発性能および蒸発圧力損失の相互関係を従来例との対比(従来例を1とした性能比)において示したグラフであり、このグラフによれば、底部幅Wが0.11〜0.33mmのとき、従来例よりも高い性能を示していることが認められる。 【0028】本発明において、底部幅Wの上限を良好な性能を示す0.33mmよりも小さな0.28mmに設定する理由は、フィン1、2を良好に形成するためであり、フィンの高さが0.28mmを超えると、圧延方向の延びとの関係からフィンが倒れやすくなることによる。品質と圧延作業性を確保するため、特に底部幅Wの上限値を0.28mmに設定するものである。 【0029】また、ロール圧延性に関しては、フィン1、2の高さを0.15mm未満に設定したことによる恩恵もある。即ち、フィン1、2が高くなると、圧延ロールの負担が大きくなり、このため、ロールの耐久性が損なわれるが、0.15mm未満のフィンの高さの設定は、この問題を解決し、圧延ロールの耐久性を向上させ、伝熱管の生産性を高めるように作用する。因に、フィンの高さを従来例と同じレベルに設定した場合と実施例1、2を比べると、両者の間には、20〜30%もの圧下力の差が現れ、実施例1、2のフィンが低い圧下力での圧延を可能にすることが確認されている。 【0030】図4は、本発明の他の実施の形態を示し、フィン1、2の高さと、管軸直角断面での傾斜溝4の底部幅を本発明における所定の値に設定し、さらに、第1の領域と第2の領域の合計数を5個に設定した伝熱管を示す。この内面溝付伝熱管は、冷媒の流れに方向性を生じさせない特質を有する。たとえば、図1のように、第1の領域と第2の領域の合計数を偶数に設定する場合には、溶接部a、bの位置には、流れが正逆いずれかのときに、冷媒流を衝突させて撹拌を起こすV字結合が存在し、反対のときには存在しない構成となる。 【0031】このような状態で正逆異なる方向に冷媒が流れると、正逆いずれも撹拌方向のV字結合は同数であるが、一方に流れるときには、溶接ビードの影響を受ける撹拌性のV字結合が存在し、他方に流れるときには、そのような撹拌性のV字結合が存在しない状態となり、従って、両方向の伝熱性能には差が生ずるようになる。 【0032】これに対して、図4の場合には、第1および第2の領域の合計が奇数であるので、a、bの溶接位置にV字結合が形成されず、しかも、溶接ビードによる分断がa、bを境にして直線的に伸びる傾斜溝4に対してのものとなるため、溶接ビードによる影響は正逆同じとなり、従って、いずれの方向に冷媒が流れても同じ冷媒流となり、同じ伝熱性能となる。 【0033】この構成の伝熱管を使用する場合には、伝熱管の設計と製造、あるいは熱交換器を組み立てるときに伝熱管の方向性に注意を払う必要がなく、従って、配管ミスが生ずることがない。図4における各部分の構成を表1の実施例1と同じに設定した内面溝付伝熱管を対象として図2と表2に基づく性能試験を実施したところ、冷媒の流れをCおよびD方向のいずれに設定しても伝熱性能の差が発生せず、無方向性の特質が確認された。 【0034】図5は、フィン1、2の高さと、管軸直角断面での傾斜溝4の底部幅を本発明の所定の寸法に設定し、さらに、傾斜溝4のV字の結合部分に管軸方向Aに沿う溝5を形成した例である。伝熱管をこのように構成する場合には、傾斜溝4を流れる冷媒が溝5を通じて管軸方向に流れやすくなるため、蒸発圧力損失が低減するようになる。図5の(a)は、第1および第2の領域が合計4組の例を示し、図5の(b)は、合計5組の例を示す。後者の場合に、領域の合計数を奇数とすることによる前述したような冷媒流の無方向性の効果が得られることはいうまでもない。 【0035】 【発明の効果】以上説明したように、本発明による内面溝付伝熱管によれば、伝熱管の軸方向に対してそれぞれ所定の角度で配列され、伝熱管の軸方向に向かって互いにV字を形成する複数のフィンより構成される第1および第2の領域を伝熱管の円周方向に配置した内面溝付伝熱管において、フィンの高さを0.15mm未満に設定するとともに、第1および第2の領域の管軸方向と直角方向におけるフィンの間の底部の幅寸法を0.11〜0.28mmに設定することにより、従来よりも蒸発および凝縮特性に優れ、しかも、ロール圧延作業性に優れた内面溝付伝熱管を提供するものであり、その有用性は大である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005120 【氏名又は名称】日立電線株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年1月11日(2000.1.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100071526 【弁理士】 【氏名又は名称】平田 忠雄
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| 【公開番号】 |
特開2001−194085(P2001−194085A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月17日(2001.7.17) |
| 【出願番号】 |
特願2000−3038(P2000−3038) |
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