| 【発明の名称】 |
耐食性に優れたアルミニウム含有金属製熱交換器および製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】大迫 友弘
【氏名】本澤 正博
【氏名】小嶋 弘樹
【氏名】小林 健吾
【氏名】菅原 博好
【氏名】野々垣 昌之
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| 【要約】 |
【課題】6価クロムを含まず、長期間にわたり高い親水性、耐食性、臭気防止性を持続し得るアルミニウム含有金属製熱交換器の提供。
【解決手段】熱交換器の、アルミニウム含有金属製基材の表面に6価クロムを含まない化成皮膜からなる第1保護層を形成し、その上に、第1,2、又は3アミノ基、第4アンモニウム基、アミド基、カルボキシル基、スルホン基、エチレンオキシド基、ホスホン基、及びヒドロキシル基から選ばれた1種以上の親水性基と、アミド基、カルボキシル基及びヒドロキシル基から選ばれ、前記選ばれた親水性基とは異種の架橋反応性基とを有する水溶性重合体を含む樹脂成分(a)と、樹脂成分の架橋当量をこえる合計量の、(i)3価クロム化合物及び(ii)フルオロ錯塩化合物を含む架橋剤成分(b)との反応生成物を含む親水性・水難溶性樹脂皮膜からなる第2保護層を形成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)アルミニウム含有金属から成形加工されたチューブ及びフィンを含む熱交換器基材と、(B)前記アルミニウム含有金属製基材の表面に形成され、かつ6価のクロムを含まない化成皮膜からなる第1保護層と、(C)この第1保護層上に形成された第2保護層とを有し、前記第2保護層が、(a)(i)第1アミノ基、第2アミノ基、第3アミノ基、第4アンモニウム基、アミド基、カルボキシル基、スルホン酸基、エチレンオキサイド基、ホスホン酸基、及びヒドロキシル基から選ばれた少なくとも1種の親水性官能基と、アミド基、カルボキシル基、及びヒドロキシル基から選ばれ、かつ前記選ばれた親水性官能基とは異種の反応性官能基とを有する少なくとも1種の水溶性重合体からなる樹脂成分と、(b)前記反応性官能基と反応するが、前記親水性官能基とは反応しない(i)3価のクロム化合物及び(ii)フルオロ錯塩化合物からなり、前記樹脂成分(a)の反応性官能基含有量に対しその架橋当量を超える量の架橋剤成分と、の架橋反応生成物を含む親水性・水難溶性架橋樹脂皮膜からなるものである、ことを特徴とする、耐食性に優れたアルミニウム含有金属製熱交換器。 【請求項2】 前記第2保護層において、架橋剤成分(a)の配合量が、前記樹脂成分(a)に含まれる反応性官能基の架橋当量を超え、その10倍以下である、請求項1に記載のアルミニウム含有金属製熱交換器。 【請求項3】 前記第2保護層中に含まれる架橋剤成分(a)において、前記3価のクロム化合物(i)の含有量が金属クロム量に換算して3〜200mg/m2 であり、かつ前記フルオロ錯塩化合物(ii)の含有量が1〜100mg/m2である、請求項1に記載のアルミニウム含有金属製熱交換器。 【請求項4】 前記第1保護層が、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、リン酸亜鉛から選ばれた少なくとも1種から形成された化成皮膜からなる、請求項1に記載のアルミニウム含有金属製熱交換器。 【請求項5】 (A)アルミニウム含有金属を成形加工してチューブおよびフィンを含む基材を熱交換器に一体に組み立てる工程と、(B)前記アルミニウム含有金属基材の表面に6価のクロムを含まない化成皮膜から成る第1保護層を形成する工程と、(C)この第1保護層上に、(a)第1アミノ基、第2アミノ基、第3アミノ基、第4アンモニウム基、アミド基、カルボキシル基、スルホン酸基、エチレンオキサイド基、ホスホン酸基、及び水酸基から選ばれた少なくとも1種の親水性官能基と、これとは異種の反応性官能基とを有する少なくとも1種の水溶性重合体からなる樹脂成分と、(b)前記反応性官能基とは反応するが、前記親水性官能基とは反応しない、(i)3価のクロム化合物及び(ii)フルオロ錯塩化合物を含む架橋剤成分とを、前記架橋剤成分(b)を、前記樹脂成分の反応性官能基に対する架橋当量を超える配合量で、前記樹脂成分(a)に混合して調製した塗布液を塗布し、この塗布液層を加熱乾燥し、かつ架橋反応させて、親水性・難水溶性架橋樹脂からなる第2保護層を形成することを特徴とする、耐食性に優れたアルミニウム含有金属製熱交換器の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、耐食性に優れたアルミニウム含有金属(以下、単にアルミニウムと総称する)製熱交換器、及びその製造方法に関するものである。本発明により得られるアルミニウム製熱交換器は、カーエアコン用熱交換器として特に有用なものである。 【0002】 【従来の技術】従来、アルミニウム製熱交換器の多くは、その放熱効果あるいは冷却効果を向上させるために放熱部及び冷却部の面積をできる限り大きくとるように設計されており、このため、フィンの間隔がきわめて狭くなっている。また通風抵抗をできるだけ小さくするため、フィン間にルーバーと呼ばれる切り目を入れているものもある。このため、冷却器として用いる場合、大気中の水分が熱交換器表面、特にフィン間に凝集し、凝集した水はフィン表面が疎水性であるほど水滴になりやすく、且つフィン間隙で目詰まりを起こして通風抵抗が増加し、熱交換率を低下させるという問題を生ずる。 【0003】また、フィン間に凝集した水滴はフィンを形成しているアルミニウムの腐食を誘発し、フィン表面に白色粉末状の酸化アルミニウムを付着させたり、熱交換器の表面が湿ったままの状態に長時間放置された場合に、その表面に細菌などが繁殖しやすくなる。これらフィン上に付着したアルミニウム酸化物の白色粉末や、フィン間隙に溜まった水滴は熱交換器の送風機によって自動車室内に飛散し、このとき細菌臭などを発生して乗員に不快感を与える。 【0004】アルミニウム製熱交換器の防食を目的とする表面処理法として、一般にアルミニウム表面にクロム酸クロメートやリン酸クロメート等のクロメート系の化成処理が施されている。また、水滴がフィン間隙に残り、この水滴による目詰まりの発生を防止するために、フィン表面に親水性を付与し、水濡れ性を向上させる処理方法が開発されている。このような処理方法としては、上記リン酸クロメート皮膜やクロム酸クロメート皮膜等の防食皮膜上に、水ガラス、シリカゲル等の親水性無機化合物、並びに界面活性剤、及び水溶性樹脂などの有機化合物を単独又は組み合わせて使用して親水性皮膜を形成する方法が知られている。 【0005】例えば、特開平7−323500公報には、水不溶性三次元ネットワーク構造を有する樹脂層を形成させ、その構造中に水溶性樹脂を保持し親水性を維持する方法が開示されている。 【0006】また、特開平7−102189公報には、ポリオキシアルキレン鎖を特定量含有する親水性処理剤が開示されている。 【0007】しかしながら、上記従来技術は親水性は満足できるものであるが、耐食性の耐久性が不十分であるため、第1保護層として耐食性に優れたクロム酸クロメート皮膜又はリン酸クロメート化成処理を行う必要がある。この化成処理方法では、作業に伴って6価クロム含有廃液が処理系から外部に排出される。すなわち、前記クロメートタイプの表面処理液には有害な6価クロムを含有しているという問題があるので、環境汚染の防止のために、6価クロムを含有しない処理液の使用が望まれている。また、これらの廃液はそのまま排出することができないため、排水処理用の設備及び薬剤などを含む処理費用を要するという問題を抱えている。 【0008】また、特開平7−48682公報には、アルミニウム製熱交換器の表面に、6価クロムを含まない表面処理層を形成する工程と、更に必要に応じて、上記表面処理層の表面に防菌剤を含有する親水性皮膜を形成する工程とを有する表面処理方法が開示されている。しかしながら、一般にノンクロメート皮膜はクロメート皮膜に比べて耐食性が不十分であり、アルミニウム酸化物に起因する臭気や白色粉末の飛散により乗員に不快感を与えるという問題が依然残っている。 【0009】従って、現在までのところ、アルミニウム製熱交換器の表面が長期にわたって良好な親水性、耐食性、防臭性を維持し、かつ廃水処理費用の低減を図り得るようなノンクロメート系の表面処理方法は得られていないのである。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術の抱える上記問題点を解決しようとするものであり、すなわちアルミニウム製熱交換器の表面処理を行う工程において、6価クロム(Cr6+)を含有する排水の発生を無くすことにより、廃水処理費用の低減を図り、かつ、有害な6価クロムを含まない保護層を形成することを可能とし、更に、長期に渡って良好な親水性、耐食性、臭気防止性が持続できるアルミニウム製熱交換器、及びその製造方法を提供しようとするものである。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を解決するための手段について鋭意検討した結果、アルミニウムを成形加工したチューブ及びフィンを含む基材の表面に、6価のクロムを含まない第1保護層を形成し、さらにその上に保護層を形成するとき、この第2保護層を、特定の親水性官能基およびそれとは異種の反応性官能基を有する架橋性重合体を含む水溶性樹脂成分と前記樹脂成分の反応性官能基と選択的に反応する3価のクロム化合物と、フルオロ錯塩化合物の2種を含む架橋剤成分とを特定の配合割合で含む塗布層を加熱架橋させて得られた親水性・水難溶性樹脂皮膜により形成することによって、上記課題を解決し得ることを見いだし、本発明を完成するに至ったのである。 【0012】すなわち、本発明の耐食性に優れるアルミニウム製熱交換器は、(A)アルミニウム含有金属から成形加工されたチューブ及びフィンを含む熱交換器基材と、(B)前記アルミニウム含有金属製基材の表面に形成され、かつ6価のクロムを含まない化成皮膜からなる第1保護層と、(C)この第1保護層上に形成された第2保護層とを有し、前記第2保護層が、(a)第1アミノ基、第2アミノ基、第3アミノ基、第4アンモニウム基、アミド基、カルボキシル基、スルホン酸基、エチレンオキサイド基、ホスホン酸基、及び水酸基から選ばれた少なくとも1種の親水性官能基と、アミド基、カルボキシル基及びヒドロキシル基から選ばれ、かつ前記選ばれた親水性官能基とは異種の反応性官能基とを有する少なくとも1種の水溶性重合体からなる樹脂成分と、(b)前記反応性官能基と反応するが、前記親水性官能基とは反応しない(i)3価のクロム化合物及び(ii)フルオロ錯塩化合物からなり、前記樹脂成分(a)の反応性官能基含有量に対しその架橋当量を超える量の架橋剤成分と、の架橋反応生成物を含む親水性・水難溶性架橋樹脂皮膜からなるものであることを特徴とするものである。本発明のアルミニウム含有金属製熱交換器において、前記第2保護層において、架橋剤成分(a)の配合量が、前記樹脂成分(a)に含まれる反応性官能基の架橋当量を超え、その10倍以下であることが好ましい。本発明のアルミニウム含有金属製熱交換器において、前記第2保護層中に含まれる架橋剤成分(a)において、前記3価のクロム化合物(i)の含有量が金属クロム量に換算して3〜200mg/m2 であり、かつ前記フルオロ錯塩化合物(ii)の含有量が1〜100mg/m2 であることが好ましい。本発明のアルミニウム含有金属製熱交換器において前記第1保護層が、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、リン酸亜鉛から選ばれた少なくとも1種から形成された化成皮膜からなることが好ましい。本発明の耐食性に優れたアルミニウム含有金属製熱交換器の製造方法は、(A)アルミニウム含有金属を成形加工してチューブおよびフィンを含む基材を熱交換器に一体に組み立てる工程と、(B)前記アルミニウム含有金属基材の表面に6価のクロムを含まない化成皮膜から成る第1保護層を形成する工程と、(C)この第1保護層上に、(a)第1アミノ基、第2アミノ基、第3アミノ基、第4アンモニウム基、アミド基、カルボキシル基、スルホン酸基、エチレンオキサイド基、ホスホン酸基、及び水酸基から選ばれた少なくとも1種の親水性官能基と、これとは異種の反応性官能基とを有する少なくとも1種の水溶性重合体からなる樹脂成分と、(b)前記反応性官能基とは反応するが、前記親水性官能基とは反応しない、(i)3価のクロム化合物及び(ii)フルオロ錯塩化合物を含む架橋剤成分とを、前記架橋剤成分(b)を、前記樹脂成分の反応性官能基に対する架橋当量を超える配合量で、前記樹脂成分(a)に混合して調製した塗布液を塗布し、この塗布液層を加熱乾燥し、かつ架橋反応させて、親水性・難水溶性架橋樹脂からなる第2保護層を形成することを特徴とするものである。 【0013】 【発明の実施の形態】(基体の説明)本発明の熱交換器の基体の形成に使用されるアルミニウム含有金属は、アルミニウム、及びアルミニウム合金、例えば、アルミニウム−マグネシウム合金、アルミニウム−シリコン合金、及びアルミニウム−マンガン合金などから選ばれ、これは例えばエアコンディショナーのような熱交換器においてチューブ、フィン、及び中空プレートなどに成型されたものも含む。 【0014】(第1保護層の説明)前記基体の表面は、6価のクロム化合物を含まない第1保護層により被覆される。この第1保護層は、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、及びリン酸亜鉛から選ばれた少なくとも1種から形成された化成皮膜からなるものであることが好ましい。尚、上記化成皮膜を形成する方法(温度、時間、処理方法)、は特に限定はない。本発明の熱交換器基体の第1保護層は、各種のアルミニウム製熱交換器に適用できるが、一般にポストコートで皮膜が形成される自動車搭載用の熱交換器に適用すると、より効果的である。第1保護層は5〜1000mg/m2 、より好ましくは10〜500mg/m2 の付着量とするのが好ましい。上記のような第1保護層は、アルミニウム表面に対する第2保護層の密着性を向上させ、かつ得られる熱交換器の耐食性を向上させるのに有効なものである。 【0015】(第2保護層の説明)アルミニウム表面上の第1保護層は第2保護層により被覆される。この第2保護層は(a)第1アミノ基、第2アミノ基、第3アミノ基、第4アンモニウム基、アミド基、カルボキシル基、スルホン酸基、エチレンオキサイド基、ホスホン酸基、及びヒドロキシル基から選ばれた少なくとも1種の親水性官能基を含み、かつアミド基、カルボキシル基、及びヒドロキシル基から選ばれ、前記選ばれた親水性官能基とは異種の少なくとも1種の架橋反応性官能基を有する水溶性重合体を含む樹脂成分と、(b)前記反応官能性基とは反応(架橋)するが、前記親水性官能基とは反応しない(i)3価のクロム化合物と(ii)フルオロ錯塩化合物、の2種の架橋剤と、を前記樹脂成分(a)の反応性官能基の含有量に対し、その架橋当量を超える量で含有する架橋剤成分との架橋反応生成物を含む親水性・水難溶性架橋樹脂皮膜からなるものである。 【0016】本発明にて用いられる水溶性樹脂成分(a)は、第1アミノ基、第2アミノ基、第3アミノ基、第4アンモニウム基、アミド基、カルボキシル基、スルホン酸基、エチレンオキサイド基、ホスホン酸基、及び水酸基から選ばれた少なくとも1種の親水性官能基を含み、更に、アミド基、カルボキシル基、及び水酸基から選ばれ前記選ばれた親水性官能基とは異種の、少なくとも1種の反応性官能基を含む水溶性、架橋反応性重合体の少なくとも1種を含むものである。このような、水溶性樹脂成分(a)用重合体は、(P−1):ヒドロキシル基、アミド基、及びエチレンオキサイド基から選ばれた少なくとも1員を有するイオン性基を有していない重合体、例えばポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、及びポリエチレングリコールなど、(P−2):スルホン酸基、スルホン酸塩基、カルボン酸基、及びカルボン酸塩基などのアニオン性基から選ばれた少なくとも1員を有し、カチオン性基を有していない重合体、例えばポリアクリル酸、ポリビニルスルホン酸、メタクリル酸とスルホエチルアクリレートとの共重合体など、(P−3):1〜3級アミノ基、及び4級アンモニウム基から選ばれた少なくとも1員を有し、アニオン性基を有していない重合体、例えばポリアミノエチルアクリレート、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピリジンなど、の3つに大きく分けられる。 【0017】(P−1)を形成するモノマー(p−1)は、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アクリルアミド、ビニルピロリドン、アクロイルモルホリン、ポリエチレングリコールアクリレート、及びポリエチレングリコールアクリレートアルキルフェニルエーテルから成る群から選ぶことができる。(P−2)を形成するモノマー(p−2)は、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチルアクリレート、スルホエチルメタクリレート、N−メチレンスルホン酸アクリルアミドから成る群から選ぶことができる。(P−3)を形成するモノマー(p−3)は、アミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−ヒドロキシプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチルアミノエチルメタクリレート等から成る群から選ぶことができる。これらモノマー(p−1),(p−2)および(p−3)の各々は上記水溶性のホモポリマーを形成しても良く、共重合して水溶性樹脂を形成しても良い。ただし、樹脂成分(a)の水溶性重合体は、反応性官能基としてアミド基、ヒドロキシル基およびカルボキシル基から選ばれた少なくとも1種を含む必要がある。上記反応性官能基は親水性官能基としても作用できるので、この場合は単独で使用することも可能である。 【0018】上記樹脂成分(a)の水溶性重合体の分子量は、ポリアクリル酸エステルを標準物質として用いるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値が、5000以上であることが皮膜の耐久性確保の上で好ましい。この分子量は好ましくは5000〜300000でありさらに好ましくは10000〜100000である。 【0019】また、本発明に用いられる無機架橋剤である3価のクロム化合物(b)−(i)の種類については特に制限はなく、硫酸クロム、硝酸クロム、フッ化クロム、酢酸クロム、塩化クロム、重リン酸クロム等が挙げられる。水溶性のフルオロ錯塩化合物(b)−(ii)の種類についても特に制限はなく、例えばフルオロコバルト錯塩、フルオロジルコニウム錯塩、フルオロ亜鉛錯塩、フルオロチタン錯塩、フルオロマンガン錯塩などのフルオロ金属錯塩等があげられる。 【0020】本発明のアルミニウム製熱交換器において、前記第2保護層には(b)−(i)と(b)−(ii)の2種類の架橋剤を併用する必要がある。その理由は下記の通りである。すなわち、3価のクロム化合物単独でも樹脂成分(a)と架橋しバリアー性がある保護層を形成する。しかし、これだけでは十分でなく、活性の高いフルオロ錯塩化合物を添加することにより、3価のクロム化合物単独では架橋できなかった樹脂成分(a)の反応性官能基を架橋し、非常にバリアー性が高く耐食性に優れた保護層を形成することが可能となるためである。 【0021】更に本発明では、前記第2保護層に含まれる架橋剤成分{(b−i)+(b−ii)}が樹脂成分(a)の反応性官能基に対する架橋当量を超え、更に過剰の架橋剤を有することが必要である。架橋当量は、本発明では、水に対するゲル分率(水溶性樹脂成分(a)が架橋してゲル化し、不溶性となった状態)が飽和し、一定の溶解度を示すときの架橋剤成分量を架橋当量とする。架橋剤成分の量と樹脂成分のゲル化分率との関係の一例を図1に示す。過剰の架橋剤成分(b)は、処理液を塗布した後、加熱乾燥されると、脱水等により水難溶性の化合物を形成し、腐食環境において徐々に溶出することによって長期にわたる耐食性を示すことができるのである。架橋剤成分(b)の含有量が、樹脂成分(a)の反応性官能基に対する架橋当量を超えることが必要であるが、10倍以下の含有量であることが好ましい。より好ましくは、1.2倍以上、5倍以下である。架橋剤成分(b)の量が樹脂成分(a)の架橋当量以下では架橋が不十分となり得られる第2保護層の耐食性・臭気防止性が不十分になる。しかし、それが10倍を超えると皮膜が硬くなってクラックが発生し、膜飛び・無機臭を生じてくることがある。 【0022】また本発明では、前記第2保護層に含まれる(b−i)3価のクロム化合物の含有量がクロムとして3〜200mg/m2 、(b−ii)フルオロ錯塩化合物の含有量が1〜100mg/m2 であることが好ましく、より好ましくは(b−i)クロム化合物がクロムとして5〜100mg/m2 、(b−ii)フルオロ錯塩化合物が3〜50mg/m2 の付着量である。過剰量の架橋成分は、耐食性を向上させるインヒビターとして寄与するため、樹脂成分(a)の反応性官能基に対する架橋当量を超える相対量だけでなく、耐食性の目標値を確保するためには、絶対付着量を確保する必要がある。クロム及びフルオロ錯塩化合物の付着量が前記数値を下回ると得られる第2保護層の耐食性が不足する。しかし過剰の場合、無機臭を生じてくることがある。 【0023】さらに、前記第2保護層中に、100℃までの温度において分解しない防菌剤を併用することによりフィン間隙に繁殖する微生物の代謝物によって発生する腐敗臭の発生を抑制することができる。また、この他に防錆剤、レベリング剤、充填剤、着色剤、界面活性剤、消泡剤などが本願の主旨や皮膜性能を損なわない範囲で第2保護層中に添加することができる。 【0024】第2保護層形成用塗布液の濃度や粘度については、使用する塗装方法、所望膜厚等により適当なものを選択できる。乾燥後に形成された皮膜の膜厚は、0.05〜20μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜5μmである。皮膜厚が、0.05μm未満では得られる第2保護層に十分な親水性を付与することが困難であり、またそれが20μmを超えると、得られる第2保護層の熱伝導性を低下させることがあるため好ましくない。 【0025】 【作用】本発明により提供されるアルミニウム製熱交換器は、臭気抑制性に優れ、かつ親水性を長期にわたり高い水準に維持することができる。さらに、第2保護層に耐食性を付与することにより、これまで第1保護層として一般的に使用されていたクロム酸クロメート皮膜やリン酸クロメート化成処理を行わずに、ノンクロメート皮膜でも良好な耐食性を得ることが可能となった。本発明で用いる親水性皮膜の腐食抑制効果の機構は、以下のように考えられる。配位数の異なる2つの架橋剤(b−i)3価のクロム化合物と(b−ii)フルオロ錯塩化合物が、水溶性樹脂成分(a)と架橋し、第2保護層を形成する。第1保護層は第2保護層の密着性を高め、両者で耐食性に非常に優れた皮膜を形成する。更に、皮膜中に欠陥部を生じたとしても、架橋当量を超えた過剰のクロム、及びフルオロ錯塩の水難溶性成分はアルミニウム製熱交換器の使用時に徐々に溶出して保護層の欠陥部で析出し、欠陥部を補修し、それによって、第2保護層の耐食性を高い水準に維持すると考えられる。 【0026】 【実施例】本発明を下記実施例によってさらに説明するが、これらの実施例はそれぞれ単なる一例にすぎず、本発明の範囲を何ら限定するものではない。 【0027】実施例1.アルミニウム製熱交換器を、60℃に保たれたアルカリ脱脂剤(日本パーカライジング(株)製)の20g/l水溶液に50秒浸漬して、油分などの表面の汚染物を除去した後、水道水で30秒間水洗した。この熱交換器を、リン酸チタン系処理液(日本パーカライジング(株)製)に浸漬し水道水で30秒間水洗して50mg/m2 の化成皮膜からなる第1保護層を形成させた。この第1保護層を形成させたアルミニウム製熱交換器を、アクリル酸(80mol %)とビニルスルホン酸ナトリウム(20mol %)との共重合体(分子量約5万)100重量部と重リン酸クロムの10重量部(クロムとして)とヘキサフルオロジルコニウム酸5重量部(ジルコニウムとして)からなる処理液に25℃で30秒間浸漬後、エアーブローにより液切りを行い150℃に調整した熱風循環式オーブン内で30分間加熱乾燥し第2保護層を形成した。(尚、以下、無機架橋剤の重量部は3価のクロム化合物はクロムとして、ジルコニウム化合物はジルコニウムとして記載する。) 【0028】実施例2.実施例1のリン酸チタン系処理液の代わりにリン酸ジルコニウム系処理液(日本パーカライジング(株)製)を用い、50mg/m2 の化成皮膜からなる第1保護層を形成させ、第2保護層の重リン酸クロムの重量部を30重量部とした以外は実施例1と同様にして保護層を形成した。 【0029】実施例3.実施例1のリン酸チタン系処理液の代わりにリン酸亜鉛系処理液(日本パーカライジング(株)製)を用い、第2保護層のヘキサフルオロジルコニウム酸の代わりにヘキサフルオロチタン酸を用いた以外は実施例1と同様にして保護層を形成した。 【0030】実施例4.実施例1のポリマーの代わりにポリアクリルアミド(50mol %)とアクリル酸(50mol %)との共重合体(分子量約10万)を用い、重リン酸クロムの代わりにフッ化クロムを用いた以外は実施例1と同様にして保護層を形成した。 【0031】実施例5.実施例1のポリマーとポリアクリルアミド(分子量約3万)を10:90の割合で併用し、重リン酸クロムの代わりにフッ化クロムを用いた以外は実施例1と同様にして保護層を形成した。 【0032】実施例6.実施例1のポリマーの代わりにポリアクリルアミドと水溶性ナイロン(東レ製)を60:40の割合で併用し、ヘキサフルオロジルコニウム酸の代わりにヘキサフルオロマンガン酸を用いた以外は実施例1と同様にして保護層を形成した。 【0033】比較例1.実施例1において、第1保護層形成用処理を省略したことを除き、実施例1と同様の条件および方法で熱処理液層を製造した。 【0034】比較例2.実施例1で用いた第2保護層形成用処理液において、前記ポリアクリル酸とビニルスルホン酸ナトリウムとの共重合体の添加を省略したことを除き、実施例1と同様の条件および方法により熱交換器を形成した。 【0035】比較例3.実施例1で用いた第2保護層形成用処理液において、重リン酸クロムの添加を省略したことを除き、実施例2と同様の条件および方法により熱交換器を形成した。 【0036】比較例4.実施例1で用いた第2保護層形成用処理液において、ヘキサフルオロジルコニウム酸の添加を省略し、重リン酸クロムの添加量を20重量部に変更したこと以外は、実施例1と同様の条件および方法により熱交換器を製造した。 【0037】実施例7.実施例1と同様の方法及び条件により熱交換器を製造した。但し、第2保護層形成用処理液において、ヘキサフルオロジルコニウム酸の添加量を120重量部に変更した。 【0038】比較例5.実施例1において、第2保護層形成用処理を省略したことを除き、実施例1と同様の条件および方法で熱交換器を製造した。 【0039】テスト及び評価実施例1〜6、および比較例1〜6において作製された熱交換器について、下記の方法によるテスト及び評価を行った。 【0040】<試験法>(1)初期親水性熱交換器フィン部の対水接触角を、FACE接触角型CA−P型(協和界面科学製)を用いて測定した。 【0041】(2)耐久後の親水性室温で流水中に72時間浸漬されたフィン部の対水接触角を上記接触角計を用いて測定した。 【0042】(3)耐食性塩水噴霧試験法JIS Z−2371に基づく、耐食性試験に72時間暴露後のフィン部の錆面積を目視観察により評価した。評価基準は下記の通りである。
◎ 変色なし○ 錆発生面積 10%未満△ 錆発生面積 10%以上30%未満× 錆発生面積 30%以上【0043】(4)臭気防止性流水(脱イオン水:0.5L/分)中に72時間浸漬後のフィン部が発する臭気を下記4段階に評価した。評価基準は下記の通りである。
◎ 無臭○ わずかに臭う△ 明らかに臭う× 強烈に臭う【0044】実施例1〜6および比較例1〜6の組成の第1及び2保護層を有するアルミニウム製熱交換器について、保護層の明細と上記評価方法による評価結果を表1にまとめて示す。 【0045】 【表1】
【0046】表1に示された結果から明らかなように、本発明の第1,2保護層を有する実施例1〜6のアルミニウム製熱交換器は、耐久試験状況下でも優れた親水性、耐食性、臭気防止性を有していた。これに対して、本発明の要件の少なくとも1つの要件を欠く比較例1〜4,6では、保護層の耐食性、親水性、臭気防止性が不十分であった。また、ヘキサフルオロジルコニウム酸を200重量部という過剰量に配合した比較例5では、臭気防止性が不十分であった。 【0047】 【発明の効果】上記説明から明らかなように、本発明に係るアルミニウム製熱交換器は、耐久試験状況下でも優れた親水性、耐食性、臭気防止性を保持することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000229597 【氏名又は名称】日本パーカライジング株式会社 【識別番号】000004260 【氏名又は名称】株式会社デンソー
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| 【出願日】 |
平成11年12月21日(1999.12.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077517 【弁理士】 【氏名又は名称】石田 敬 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−174192(P2001−174192A) |
| 【公開日】 |
平成13年6月29日(2001.6.29) |
| 【出願番号】 |
特願平11−362847 |
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