トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F28 熱交換一般




【発明の名称】 排気熱交換装置
【発明者】 【氏名】内村 克則

【氏名】大河内 隆樹

【氏名】前田 明宏

【氏名】柴垣 和弘

【要約】 【課題】コアタンク及びコアキャップの製造原価上昇を抑制しつつ、ろう付け不良の発生を防止する。

【解決手段】コアタンク140及びコアキャップ141のうち両者140、141が互いに接触する嵌合部140a、141aを嵌合方向Dに対して互いに同方向に傾ける。これにより、コアキャップ141を嵌合方向D(コアタンク140の内方側)に押し付ける(移動させる)ことで、確実にコアタンク140及びコアキャップ141とを接触(嵌合)させることができる。したがって、コアタンク140及びコアキャップ141の製造公差を厳しく管理することなく、両者140、141をろう付けすることができるので、コアタンク140及びコアキャップ141の製造原価上昇を抑制しつつ、ろう付け不良の発生を防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内燃機関から排出される排気と冷却流体との間で熱交換を行う熱交換コア(130)を備える排気熱交換装置であって、少なくとも1つの開口部(142)を有し、前記熱交換コア(130)が収納されたコアタンク(140)と、前記開口部(142)を閉塞するように前記コアタンク(140)と嵌合した状態でろう付け接合されたコアキャップ(141)とを具備し、前記コアタンク(140)及び前記コアキャップ(141)のうち両者(140、141)が互いに接触する嵌合部(140a、141a)は、前記コアタンク(140)と前記コアキャップ(141)との嵌合方向(D)に対して互いに同方向に傾いていることを特徴とする排気熱交換器。
【請求項2】 前記コアキャップ(141)は、前記コアタンク(140)内に挿入されるように前記コアタンク(140)と嵌合しており、さらに、前記コアタンク(140)の嵌合部(140a、141a)は、先端側に向かうほど前記開口部(142)の開口面積が増大するように前記嵌合方向(D)に対して傾いていることを特徴とする請求項1に記載の排気熱交換器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関から排出される排気と冷却流体との間で熱交換を行う排気熱交換装置に関するもので、EGR(排気再循環装置)用の排気を冷却するEGRガス熱交換装置(EGRガスクーラ)に適用して有効である。
【0002】
【従来の技術】図12は発明者等が試作検討中のEGRガスクーラ(以下、ガスクーラと略す。)の断面図を示しており、このガスクーラは、排気と冷却流体(冷却水)との間で熱交換を行う熱交換コア130と、この熱交換コアを収納する箱状のコアタンク140と、コアタンク140の開口部142を閉塞するコアキャップ(コアプレート)141等の部品をろう付け接合することにより構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、コアキャップ141は、コアタンク140の開口部142に嵌合した(填め込まれた)状態でろう付けされるが、コアタンク140及びコアキャップ141の製造バラツキによっては、図13に示すように、コアタンク140及びコアキャップ141の嵌合部Aに隙間が発生してしまうので、ろう付け不良が発生するおそれがある。
【0004】この問題に対しては、コアタンク及びコアキャップの製造公差を厳しく管理すれば解決することができるものの、製造公差を厳しくすると、コアタンク及びコアキャップの製造原価上昇を招いてしまう。
【0005】本発明は、上記点に鑑み、コアタンク及びコアキャップの製造原価上昇を抑制しつつ、ろう付け不良の発生を防止することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、内燃機関から排出される排気と冷却流体との間で熱交換を行う熱交換コア(130)を備える排気熱交換装置であって、少なくとも1つの開口部(142)を有し、熱交換コア(130)が収納されたコアタンク(140)と、開口部(142)を閉塞するようにコアタンク(140)と嵌合した状態でろう付け接合されたコアキャップ(141)とを具備し、コアタンク(140)及びコアキャップ(141)のうち両者(140、141)が互いに接触する嵌合部(140a、141a)は、コアタンク(140)とコアキャップ(141)との嵌合方向(D)に対して互いに同方向に傾いていることを特徴とする。
【0007】これにより、コアキャップ(141)を嵌合方向(D)に移動させれば(押し付ければ)、確実にコアタンク(140)及びコアキャップ(141)とを接触(嵌合)させることができる。
【0008】したがって、コアタンク(140)及びコアキャップ(141)の製造公差を厳しく管理することなく、両者(140、141)を確実にろう付けすることができるので、コアタンク(140)及びコアキャップ(141)の製造原価上昇を抑制しつつ、ろう付け不良の発生を防止することができる。
【0009】なお、請求項2に記載の発明のごとく、コアキャップ(141)をコアタンク(140)内に挿入されるようにコアタンク(140)に嵌合し、さらに、コアタンク(140)の嵌合部(140a、141a)を、先端側に向かうほど開口部(142)の開口面積が増大するように嵌合方向(D)に対して傾けることが望ましい。
【0010】因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0011】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)本実施形態は、本発明に係る排気熱交換装置をディーゼルエンジン(内燃機関)用のEGRガス冷却装置に適用したものであり、図1は本実施形態に係るEGRガス冷却装置(以下、ガスクーラと呼ぶ。)100を用いたEGR(排気再循環装置)の模式図である。
【0012】図1中、200はディーゼルエンジン(以下、エンジンと略す。)であり、210はエンジン200から排出される排気の一部をエンジン200の吸気側に還流させる排気再循環管である。
【0013】220は排気再循環管210の排気流れ途中に配設されて、エンジン200の稼働状態に応じてEGRガス量を調節する周知のEGRバルブであり、ガスクーラ100は、エンジン200の排気側とEGRバルブ220との間に配設されてEGRガスとエンジン冷却水(以下、冷却水と略す。)との間で熱交換を行いEGRガスを冷却する。
【0014】次に、ガスクーラ100の構造について述べる。
【0015】図2はガスクーラ100の外形図であり、図3は図2のA−A断面図であり、図4は図2のB−B断面図であり、図5は図2のC−C断面図である。そして、図3〜5中、110はEGRガスが流通する排気通路であり、120は冷却水(流体)が流通する冷却水通路(流体)通路である。
【0016】そして、排気通路110内には、例えば図3に示すように、EGRガスとの接触面積を拡大してEGRガスと冷却水との熱交換を促進するステンレス製のインナーフィン111が配設されており、このインナーフィン111は、排気通路110内においてEGRガスの温度境界層が成長することを抑制すべく、EGRガス流れに対して直交する方向に互いにずれた部位を有する、いわゆるオフセット型のフィンである。
【0017】また、冷却水通路120は、所定形状にプレス成形された積層プレート131、132を2枚一組としてその厚み方向(紙面上下方向)に積層することによって形成されており、この組をなす積層プレート131、132とインナーフィン111とを交互に積層することによってEGRガスと冷却水とを熱交換する熱交換コア130が構成されている。
【0018】また、140は熱交換コア130を収納する箱状のコアタンクであり、141は、コアタンク140に形成された熱交換コア130(積層プレート131、132)を組み込むための開口部142を閉塞するコアキャップ(コアプレート)である。そして、コアキャップ141は、コアタンク140の内壁に接触するようにコアタンク140に嵌合した(填め込まれた)状態で接合されている。
【0019】なお、本実施形態では、積層プレート131、132、コアタンク140及びコアキャップ141は耐食性に優れたステンレス製であり、これら131、132、140、141は、銅をろう材としてろう付け接合されている。
【0020】そして、コアタンク140及びコアキャップ141のうち両者140、141が互いに接触する嵌合部141a、141aは、図6に示すように、コアタンク140とコアキャップ141との嵌合方向(開口部142の開口面と直交する方向)Dに対して互いに同方向に傾くように所定の曲率半径を有してテーパ状になっている。
【0021】ところで、図2〜4中、151は冷却水を熱交換コア130に導く冷却水導入パイプ部であり、152は熱交換を終えた冷却水を排出する冷却水排出パイプ部である。また、153は排気をコアタンク140(排気通路110)に導入する排気導入ジョイント部であり、154は熱交換を終えた排気を排出する排気排出ジョイント部である。
【0022】次に、ガスクーラ100の製造方法について述べる。
【0023】図3〜5に示すように、コアキャップ141の上に積層プレート131、132及びインナーフィン111を順次上方側に向けて積層して、コアキャップ141上に熱交換コア130を仮組みする(コア組工程)。
【0024】次に、熱交換コア130の上方側から熱交換コア130を覆うようにコアタンク140を被せるとともに、治具にて上方側からコアタンク140を圧縮してコアキャップ141、熱交換コア130及びコアタンク140を仮固定する仮固定工程)。
【0025】このとき、積層プレート131、132、コアタンク140及びコアキャップ141の表面にろう材及び耐食性を向上させるメッキ処理等がなされているため、仮固定工程では、図7に示すように、ろう材及びメッキの厚みに相当する寸法δ分だけ、コアキャップ141がコアタンク140に対して紙面下方側(コアタンク140の外方側)にずれるように組み付け高さ寸法H1が増大する。
【0026】そして、この状態で炉内で加熱ろう付けすると、ろう材流れ出して組み付け高さ寸法H1がコアタンク高さH2相当まで小さくなるとともに、治具による圧縮力によりコアキャップ141がコアタンク140内に組み込まれていき、図8に示すように、両者140、141が勘合した状態でろう付け接合される。
【0027】次に、本実施形態の特徴を述べる。
【0028】本実施形態によれば、コアタンク140及びコアキャップ141のうち両者140、141が互いに接触する嵌合部141a、141aが嵌合方向Dに対して互いに同方向に傾いているので、コアキャップ141を嵌合方向D(コアタンク140の内方側)に押し付ける(移動させる)ことで、図9に示すように、確実にコアタンク140及びコアキャップ141とを接触(嵌合)させることができる。
【0029】したがって、コアタンク140及びコアキャップ141の製造公差を厳しく管理することなく、両者140、141を確実にろう付けすることができるので、コアタンク140及びコアキャップ141の製造原価上昇を抑制しつつ、ろう付け不良の発生を防止することができる。
【0030】また、両嵌合部140a、141aが嵌合方向Dに対して互いに同方向に傾いているので、図6のA部に示すように、両嵌合部140a、141aのなす角が鋭角状となり、ろう付け時に溶けて流れ出したろう材が溜まり易くなる。したがって、両嵌合部140a、141aにろう材の固まり(フィレット)Fが形成されるので、両嵌合部140a、141aをより強固にろう付け接合することができる。
【0031】ところで、本実施形態では、コアタンク140をプレス加工(絞り加工)にて形成しているので、仮に、コアタンク140の嵌合部140aが、先端側に向かうほど開口部142の開口面積が縮小するように嵌合方向Dに対して傾いたとすると、単純な方法ではプレス金型を抜くことができない。このため、コアタンク140を形成するために複数個のプレス金型を必要とするので、コアタンク140を製造するための設備投資が増大してしまう。
【0032】これに対して、本実施形態では、コアタンク140の嵌合部140aが、先端側に向かうほど開口部142の開口面積が拡大するように嵌合方向Dに対して傾いているので、容易にプレス金型を抜くことができ、コアタンク140を製造するための設備投資を抑制することができる。
【0033】(第2実施形態)第1実施形態では、コアキャップ141の嵌合部141aは、コアタンク140の外方側(コアキャップ141を挟んで熱交換コア130の反対側)に向けて屈曲するように形成されていたが、本実施形態は、図10に示すように、コアキャップ141の嵌合部141aを、コアタンク140の内方側(熱交換コア130の反対側)に向けて屈曲させて形成したっものである。
【0034】(第3実施形態)第1、2実施形態では、板状の部材を屈曲させて(折り曲げて)コアキャップ141の嵌合部141aを形成したが、本実施形態は、図11に示すように、板厚の厚い板にてコアキャップ141を形成するとともに、コアキャップ141の端面をコアタンク140の嵌合部140aと略平行となるようにテーパ状とすることにより嵌合部141aを形成したものである。ここで、コアキャップ141の端面とは、板厚方向と直交する方向の端面を言うものである。
【0035】(その他の実施形態)上述の実施形態では、ガスクーラ100に本発明に係る排気熱交換装置を適用したが、マフラー内に配設されて排気の熱エネルギを回収する熱交換器等のその他の熱交換器にも適用してもよい。
【0036】また、上述の実施形態では、コアタンク140の嵌合部140aが、先端側に向かうほど開口部142の開口面積が拡大するように嵌合方向Dに対して傾いたが、本発明はこれに限定されるものではなく、先端側に向かうほど開口部142の開口面積が縮小するように嵌合部140aを嵌合方向Dに対して傾けてもよい。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成11年12月15日(1999.12.15)
【代理人】 【識別番号】100100022
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 洋二 (外2名)
【公開番号】 特開2001−174185(P2001−174185A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−356457