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【発明の名称】 新形状伝熱管
【発明者】 【氏名】相場 眞也

【要約】 【課題】容易に製作可能である上、円管より秀れた特性を発揮する新形状伝熱管を提供すること。

【解決手段】円管ではなく平面と曲面で構成された伝熱管とし、円管よりなる伝熱管と比較して流動抵抗が少なく、且つ流れにより引き起こされる管の振動が抑制され、また熱伝達率が大きく、且つこの伝熱管のまわりの局所熱伝達率の変化が極めて少ないように構成した新形状伝熱管。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 円管ではなく平面と曲面で構成された伝熱管とし、円管よりなる伝熱管と比較して流動抵抗が少なく、且つ流れにより引き起こされる管の振動が抑制され、また熱伝達率が大きく、且つこの伝熱管のまわりの局所熱伝達率の変化が極めて少ないように構成したことを特徴とする新形状伝熱管。
【請求項2】 断面形状を円形とせず一対の平坦縁と一対の湾曲縁とから成る形状としたことを特徴とする請求項1記載の新形状伝熱管。
【請求項3】 断面形状を一対の平坦縁と一対の円弧状湾曲縁とから成る形状として一対の平面と一対の円弧曲面とで伝熱管を形成し、この平面の中心角を106度程度に設定したことを特徴とする請求項2記載の新形状伝熱管。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱交換器の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】これまで、熱交換器の大多数を占める管形熱交換器を構成する円管まわりの局所熱伝達率が最大と最小ではかなりの差異があり、熱流束が大きい場合には円管に熱応力が働き円管の寿命を短くしている。
【0003】また、円管に直交する流体からすれば円管は流動抵抗が大きい。これは熱交換を強制的に行う場合にはその流体を駆動するための動力が大きいことを意味する。
【0004】また、円管の場合は、振動が生じる場合がある。更に、円管表面と流体との間の熱伝達率もあまり大きくないため様々の工夫がなされているが、そのためにコストが増加するほか管表面に汚れが堆積するなど工夫によるマイナス面がある。
【0005】本発明は、以上のような課題を解決したものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】円管ではなく平面と曲面で構成された伝熱管とし、円管よりなる伝熱管と比較して流動抵抗が少なく、且つ流れにより引き起こされる管の振動が抑制され、また熱伝達率が大きく、且つこの伝熱管のまわりの局所熱伝達率の変化が極めて少ないように構成したことを特徴とする新形状伝熱管に係るものである。
【0008】また、断面形状を円形とせず一対の平坦縁と一対の湾曲縁とから成る形状としたことを特徴とする請求項1記載の新形状伝熱管に係るものである。
【0009】また、断面形状を一対の平坦縁と一対の円弧状湾曲縁とから成る形状として一対の平面と一対の円弧曲面とで伝熱管を形成し、この平面の中心角を106度程度に設定したことを特徴とする請求項2記載の新形状伝熱管に係るものである。
【0010】
【発明の実施の形態】好適と考える本発明の実施の形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいてその作用効果を示して簡単に説明する。
【0011】添付した図1のように平面と曲面とで構成された伝熱管で、既存の円管よりなる伝熱管と比較して、流動抵抗が少なく、且つ振動が抑制され熱伝達率が大きく、伝熱管のまわりの局所熱伝達率の変化が極めて少ない伝熱管が実現できる。
【0012】添付した図1で流れと直交する平面ABの中心角を具体的に106度とすることによって前記作用・効果が良好に発揮されることが確認され、この点も本発明の重要なポイントでもある。即ち、流れがAB点で剥離し、その剥離流が円弧AC,BDの曲面にそって流れ前方淀み点から±98度付近で剥離する。ちなみに、円管の場合の剥離点は±80度近傍であり、この差が円管より抗力を減少させる一因である。また、実測によればAB近傍の圧力が極めて低くなっていて、このことも円管より抗力を低下させるように働く。熱伝達率が円管と比較して向上する理由は、円管の場合剥離点近傍で熱伝達率が低下するが、この形状の場合は、A,Bの各コーナー以降層流境界層から乱流境界層を形成するため剥離点(±98度)近傍の熱伝達率はさほど低下しない。
【0013】また、CD面の熱伝達率も円管背面のそれより大きい。そのため、平均熱伝達率は円管より33%程度増加する。更に、円管と比較して局所熱伝達率の変化が極めて少なく(平均熱伝達率との偏差が±15%程度で、円管の場合は最小値と最大値では2倍以上の差がある。)、高熱流束下においては熱応力による歪みの心配が不要となる。また、乱流剥離となるため、背面に対する剥離渦の巻き込みが弱められ、振動が抑えられるという利点もある。
【0014】ただし、以上述べた事柄は研究室で得られた結果で実際面では流れに乱れが存在するため、適用されるレイノズル数Reの範囲は日本機械学会論文集(平成11年10月号B編第65巻第638号)に記されている結果より小さい。
【0015】
【実施例】本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0016】円柱を削りだして平面と曲面で構成される二次元柱の流動抵抗の測定を行っている。その結果、図2に示してあるような断面形状で抑え角θ=90°の場合、流速にもよるが削りだされる角度θc=53°近傍において、背圧係数(−Сpb)と抗力係数СDが最小(円柱の60%程度)となり、しかも、はく離渦の放出に伴う振動が抑制されることを示した。
【0017】このような二次元柱は角柱やだ円柱と比較して工作が容易でしかもСDが小さくかつ熱伝達特性が優れていれば新たな伝熱管となりうるものと考えられる。
【0018】以上のような背景のもとに、これまで研究されていない平面と曲面で構成される新たな二次元柱(θc=53°)のまわりの熱伝達特性を明らかにしようとするものである。実際面を考慮して、これまで公表した流れに対する迎え角θ=90°以外の抑え角も重要なパラメータとし、主流U∞を変化させて伝熱特性を明白にした。
【0019】流れに対して直交しておかれた平面と曲面で構成された二次元柱(平面の切断角θc=53°の場合)の熱伝達特性について実験的研究を行った。
【0020】実験範囲で得られたおもな結果を以下に要約する。
【0021】(1) 抑え角θによって局所熱伝達率αの分布は四つのパターンに大別される。
【0022】(2) θ=10,15,90°の場合は、主流速度U∞によって局所熱伝達特性が著しく変化する。
【0023】(3) θ=90°の場合、二次元柱まわりの熱伝達率の位置による変化が、流速によらず極めて少なく、平均値からの偏差は最大±15%である。
【0024】(4) 平均熱伝達流速αmはU∞<20m/sでは、θ=45°近傍において最大値をとるが、U∞≧20m/sではθ=15°近傍にもθ=45°付近の最大値と同程度の極大値が存在する。
【0025】(5) 抗力係数СDが最も小さいθ=90°,U∞≧20m/sでは、平均熱伝達率αmはθ=15,45°の場合と同程度となり、θ=0°の場合よりは20%程度,円柱の場合より最大33%程度大きい。
【0026】(6) θによるСDの変化は、U∞によらずθ=45〜60°近傍に最大値が存在し、θ>45°ではU∞の依存性があることを示した。
【0027】実験データの詳細は上記論文(日本機械学会論文集平成11年10月号B編第65巻第638号)に記載されているが、図3,4,5に、局所熱伝達率分布,平均熱伝達率の変化及び抗力係数の結果を示してある。
【0028】
【発明の効果】熱交換器における管形熱交換器は殆ど円管群で構成されている。円管が使用される理由は製作が容易であることである。しかし、本発明は、容易に製作可能である上、前述のように円管より秀れた特性を発揮する。
【0029】即ち、■ 抗力抵抗が少ないので、流体を駆動する動力を小さくでき(円管の約60%程度)、動力費が約40%軽減できる。
【0030】■ 流れによりもたらされる管の振動が抑制される。
【0031】■ 平均熱伝達率が円管より33%大きく、伝熱量においても25%大きい。円管の場合の75%の材料で同一の効果が得られる。
【0032】■ 例えば、ボイラーの過熱器の上流側の列のように高温下にさらされるような場合、局所熱伝達率に差がないことから熱応力が生じず、伝熱管としては極めて秀れた特性を有する。尚、局所熱伝達率に差がないという特徴は図2のように流速によらず、円管やその他の管では得難いものである。
【0033】しかも、図1に示した形状で平面と曲面の中心角を106度に設定することで前記作用・効果を極めて良好に発揮される。
【出願人】 【識別番号】500002238
【氏名又は名称】相場 眞也
【出願日】 平成11年12月17日(1999.12.17)
【代理人】 【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛 (外1名)
【公開番号】 特開2001−174178(P2001−174178A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−359222