トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F28 熱交換一般




【発明の名称】 多管式熱交換器
【発明者】 【氏名】滝川 一儀

【氏名】杉山 元治

【氏名】宮内 祐治

【氏名】後藤 忠弘

【要約】 【課題】胴管内に設ける伝熱管支持板を重合構造とすることによって、流体圧に対する剛性を十分に確保でき、かつ胴管内への組付けも容易に行うことができる多管式熱交換器の提供。

【解決手段】胴管と、チューブシートと、複数の伝熱管と、支持板と、端部キャップとにより構成されるとともに、胴管には第1熱交換流体入口および出口が設けられ、端部キャップには第2熱交換流体入口と出口が設けられた多管式熱交換器において、前記支持板を、バーリング壁を有する貫通孔を設けた薄肉で剛性の低いバーリングプレートと、該バーリングプレートより厚肉で剛性の高い平板に前記バーリング壁を有する貫通孔と対応する位置に貫通孔を設けた背面板を一体化して構成したことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 端部附近に第1熱交換流体入口および出口が設けられた胴管の内壁の両端部附近に固定されたチューブシートに複数の伝熱管が固着配列され、かつ前記伝熱管は胴管内部の複数箇所で外周部が前記胴管内壁に固着された少なくとも1枚の支持板の貫通孔に貫着支持され、前記胴管の両端部の外側には端部キャップが固着され、該端部キャップには第2熱交換流体入口および出口が設けられた多管式熱交換器において、前記支持板を、バーリング壁を有する貫通孔を設けた薄肉で剛性の低いバーリングプレートと、該バーリングプレートより厚肉で剛性の高い平板に前記バーリング壁を有する貫通孔と対応する位置に貫通孔を設けた背面板を一体化して構成したことを特徴とする多管式熱交換器。
【請求項2】 前記バーリングプレートと背面板を溶接にて一体化して支持板を構成することを特徴とする請求項1記載の多管式熱交換器。
【請求項3】 前記バーリングプレートと背面板をろう付けにて一体化して支持板を構成することを特徴とする請求項1記載の多管式熱交換器。
【請求項4】 前記バーリングプレートと背面板の少なくとも一方にに予めろう材をめっきしておくことを特徴とする請求項3記載の多管式熱交換器。
【請求項5】 前記バーリングプレートと背面板は、多管式熱交換器組立時に同時に一体化して支持板を構成することを特徴とする請求項1記載の多管式熱交換器。
【請求項6】 前記支持板には大きな切欠部を設けたことを特徴とする請求項1記載の多管式熱交換器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般産業用、自動車などに用いられる多管式熱交換器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】EGRガスの冷却などに用いられる多管式熱交換器としては、例えば左右の一方もしくは両側にEGRガスの流入口または流出口を備えた端部キャップに仕切り壁を介して区画され、かつ別途冷却媒体流入口を有するヘッド部材(ハブ)には胴管が連接固定され、その胴管内部には多数の伝熱管が前記両側の仕切り壁に設けた組付け孔部において固着配列され、該伝熱管は胴管内壁の長手方向の複数箇所に配設された大きな切欠部を有するバッフルプレートにて支持され、ヘッド部材に設けられた冷却媒体流入口、冷却媒体流出口に螺着されたニップルにはゴムホースなどの枝管が接続されており、この枝管より導入され、若しくは排出されるエンジン冷却液などにより、伝熱管内部を流れるEGRガスが冷却される構造となっているもの(実公昭57−309号公報など参照)や、胴管両端部において、胴管の両端部内壁に固着されたチューブシートに複数の伝熱管が固着配列され、該伝熱管は胴管内壁の長手方向の複数箇所に配設された大きな切欠部を有するバッフルプレートあるいは支持板にて支持され、前記胴管の端部キャップにEGRガス流入口およびEGRガス流出口を備え、外方へ向けてのバーリング成形によって胴管自体に冷却媒体流入口および冷却媒体流出口を設け、このバーリング成形によって設けた冷却媒体流入口及び冷却媒体流出口に、枝管を直接ろう付け若しくは溶接により接合した構造のEGRガス冷却装置(特願平7−267691号)、さらには前記伝熱管支持板にバーリング成形によって形成されたバーリング壁を有する貫通孔を穿設し、この貫通孔に伝熱管を挿入して支持する方式の多管式熱交換器などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、これらの多管式熱交換器は、エンジンや走行中に生じる振動やEGRガス自体の圧力変動に伴う脈動などによる振動環境下に置かれるため、伝熱管とチューブシートとの接合箇所に応力集中し易く、また伝熱管自体にも上記振動に対する強度を一層配慮する必要性が生じた。さらにバーリング成形によって形成されたバーリング壁を有する貫通孔を穿設した伝熱管支持板を用いた多管式熱交換器の場合は、伝熱管支持板には流体圧に対する剛性を考慮して所望の肉厚材を用いる必要があり、プレスによるバーリング加工は可能であるも、バーリング壁先端にクラックを生じ易く、またバーリング壁の剛性が高いため、胴管内部に伝熱管と大きな切欠部を有するバッフルプレートあるいは支持板を組付ける際、胴管内部への支持板の挿入およびバーリング孔への伝熱管の挿入に多大な労力を必要とし、装置の組立て、製造に多くの時間を要するといった問題があった。
【0004】本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、前記多管式のEGRガス冷却装置において、支持板を重合構造とすることによって、バーリング孔を形成する部材を薄肉材とすることが可能となるとともに、流体圧に対する剛性も十分に確保することができる多管式熱交換器を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係るEGRガス冷却装置は、端部附近に第1熱交換流体入口および出口が設けられた胴管の内壁の両端部附近に固定されたチューブシートに複数の伝熱管が固着配列され、かつ前記伝熱管は胴管内部の複数箇所で外周部が前記胴管内壁に固着された少なくとも1枚の支持板の貫通孔に貫着支持され、前記胴管の両端部の外側には端部キャップが固着され、該端部キャップには第2熱交換流体入口および出口が設けられた多管式熱交換器において、前記支持板を、バーリング壁を有する貫通孔を設けた薄肉で剛性の低いバーリングプレートと、該バーリングプレートより厚肉で剛性の高い平板に前記バーリング壁を有する貫通孔と対応する位置に貫通孔を設けた背面板を一体化して構成したことを特徴とするものである。また、前記支持板を構成するバーリングプレートと背面板を一体化する手段としては、溶接による方法やろう付けによる方法を用いることができる。ろう付けにより一体化する場合は、バーリングプレートと背面板の少なくとも一方に予めろう材をめっきしておいてもよい。さらにバーリングプレートと背面板は、多管式熱交換器組立時に同時に一体化するようにしてもよい。さらにまた前記支持板には胴管内部断面積の4分の1程度の開口面積の切欠部を設けたバッフルプレートとしてもよい。
【0006】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施例装置を示す一部破断平面図、図2は図1に示す装置の支持板部の一部を拡大して示す断面図、図3、図4は本発明に係る支持板の他の実施例を示す要部拡大断面図、図5は本発明に係る支持板の別の実施例を示す一部斜視図、図6は本発明に係る支持板のさらに別の実施例を示す一部斜視図である。
【0007】本発明に係る多管式熱交換器は、図1、図2に示すごとく、両端部に第1熱交換流体の入口9および出口10が設けられた胴管1の内壁2の両端部に固定された板金製のチューブシート3に複数の伝熱管4が固着配列され、これら伝熱管4は胴管1の複数箇所にて、外周部が胴管1の内壁2に固着された支持板6の貫通孔7に嵌着支持され、前記胴管1の両端部の外側には端部キャップ8、8′が固着され、該端部キャップ8、8′には第2熱交換流体の入口11および出口12が設けられ、前記第1熱交換流体の入口9および出口10には枝管13が接続されている。
【0008】本発明における前記支持板6は伝熱管4を胴管1に支持する働きをするものであって、その構造は図2に拡大して示すごとく薄肉で剛性の低い円形もしくは欠円状の金属板に伝熱管4の外径より僅かに小径またはほぼ同径の貫通孔7−1を穿設し、該貫通孔7−1の周縁部をバーリング成形してバーリング壁7−1aを形成し、さらに円形金属板の外周部にバーリング成形により胴管1の内径とほぼ同径のバーリング壁6aを形成したバーリングプレート6−1と、前記バーリングプレート6−1より厚肉で剛性の高い円形もしくは欠円状の金属板に伝熱管4の外径より僅かに大径の貫通孔7−2を前記バーリングプレート6−1の貫通孔7−1と対応する位置に穿設した背面板6−2とを一体化して構成したもので、前記バーリングプレート6−1は外周に形成したバーリング壁6aが胴管1の内壁2に摺動可能に当接する径を有し、背面板6−2は該バーリングプレート6−1より小径となしている。この支持板6を構成するバーリングプレート6−1と背面板6−2とを一体化する手段としては、溶接(スポット溶接、シーム溶接、レーザー溶接など)、ろう付けが一般的である。なお、ろう付けによる場合は、バーリングプレート6−1と背面板6−2の両方もしくは一方に予めろう材をめっきしておいたり、ろう材を使用することにより単独または全体組立時に、炉中ろう付けすることができる。
【0009】この支持板6は胴管1内を摺動させて所定位置に配置するが、その際バーリングプレート6−1の外周に形成したバーリング壁6aと胴管1の内壁2との摩擦抵抗によって固定されるが、好ましくはバーリング壁6aと胴管1の内壁2との接触部をさらにろう付けまたは溶接することにより胴管1の内壁2に固着するものである。ろう付けの場合は胴管1に対して支持板6を前記バーリング壁6aの摩擦抵抗により所定位置に仮固定でき、さらに炉中ろう付けなどのろう付け作業により極めて容易になる。また支持板6のバーリングプレート6−1と背面板6−2に予めろう材をめっきしておくと、本体組立てと同時に炉中ろう付けすることができる。
【0010】以上のようにして構成された多管式熱交換器は、支持板6が薄肉で剛性の低いバーリングプレート6−1と厚肉で剛性の高い背面板6−2とで構成されているので、伝熱管4は該支持板6の貫通孔7−1に設けられたバーリング壁7−1aの摩擦抵抗により支持されることから、振動環境下においても十分な耐久力と弾性効果を有するとともに、バーリング壁を形成する部材が薄肉材であっても流体圧に対する剛性を十分に確保することができる。
【0011】また、本発明の他の実施例として、図3、図4に示すように、支持板6の背面板6−2の背面外周部に、バーリング壁6−3a、6−4aを有するサポートプレート6−3、6−4を溶接またはろう付けし、バーリング壁6aに加えてサポートプレート6−3、6−4のバーリング壁6−3a、6−4aをそれぞれ胴管1の内壁2に溶接またはろう付けすることにより、支持板6をより強固に胴管1の内壁2に固着することができる。なお、サポートプレート6−3、6−4はリング状の一体もので全周に設けるか、または周方向に短寸のものを部分的に設ける。
【0012】さらに、本発明の別の実施例として、図5に示すように、支持板6の貫通孔7−1の周縁部をバーリング成形して形成したバーリング壁7−1aの部分に軸方向のスリット7−1bを設けることにより、彎曲した舌状片7−1cを形成することができる。この場合も、舌状片7−1cの摩擦抵抗による摩擦力により伝熱管4に対して支持板6を所定位置に固定できるために炉中ろう付けなどのろう付け作業により極めて容易に実施できることになる。またこの場合も、伝熱管4は該支持板6の貫通孔7−1に設けられた舌状片7−1cの摩擦抵抗あるいはろう付けにより支持されることから、振動環境下においても十分な耐久力と弾性効果を有するとともに、バーリング壁を形成する部材が薄肉材であっても流体圧に対する剛性を十分に確保することができる。
【0013】さらにまた、本発明のさらに別の実施例として、図6に示すように、支持板6の外周にバーリング成形して形成したバーリング壁6aの部分に軸方向のスリット6a−1を設けることにより、彎曲した舌状片6a−2を形成することができる。この場合も、舌状片6a−2の胴管1の内壁2に対する摩擦抵抗による摩擦力により支持板6を所定位置に固定できるために炉中ろう付けなどのろう付け作業により極めて容易に実施できることになる。またこの場合も、胴管1に対して該支持板6の外周に設けられた舌状片6a−2の摩擦抵抗あるいはろう付けにより支持されることから、振動環境下においても十分な耐久力と弾性効果を有するとともに、バーリング壁を形成する部材が薄肉材であっても流体圧に対する剛性を十分に確保することができる。
【0014】なお図5に示した実施例の舌状片7−1cおよび図6に示した実施例の舌状片6a−2は単独で用いてもよいし、両実施例の舌状片を組み合わせて用いることもできる。
【0015】
【発明の効果】本発明は上記のごとく、胴管1内に配置する支持板を薄肉で剛性の低いバーリングプレートと厚肉で剛性の高い背面板とで構成したことにより、プレスによるバーリング加工の際にバーリング壁先端にクラックを生じることがなく、耐久性に優れたバーリング壁が得られ、また流体圧に対する剛性も十分に確保することができる。さらに、バーリング壁の剛性が低いため、胴管内部に伝熱管と支持板を組付ける際、胴管内部への支持板の挿入およびバーリング孔への伝熱管の挿入も容易に行え、装置の組立て、製造時間を大幅に短縮できるなど、多くの優れた効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000120249
【氏名又は名称】臼井国際産業株式会社
【出願日】 平成11年11月17日(1999.11.17)
【代理人】 【識別番号】100046719
【弁理士】
【氏名又は名称】押田 良輝
【公開番号】 特開2001−141386(P2001−141386A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−327250