| 【発明の名称】 |
熱交換器 |
| 【発明者】 |
【氏名】廣畑 治
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| 【要約】 |
【課題】外部に別部材を設けることなく、伝熱管の後流域に生じる死水領域を抑制し、高い熱交換率を維持できる熱交換器を提供する。
【解決手段】各伝熱管2の風上側の平板フィン1の表面に、三角形の渦生成部材4を左右対称に一対設ける。空気が渦生成部材を通過するときに、縦渦が生成して、伝熱管2の表面での流れを乱流化する。伝熱管2からの空気の剥離が防がれて、死水領域の生成が抑制される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 所定の間隔で平行に並べられた複数枚の平板フィンと、該平板フィンを貫通し内部を流体が流動する伝熱管とを備えた熱交換器において、前記平板フィン上に、前記伝熱管よりも風上側に前記伝熱管表面の風の流れを乱すための渦生成部を設けたことを特徴とする熱交換器。 【請求項2】 前記渦生成部は、前記平板フィンの表面に突出した渦生成部材とされたことを特徴とする請求項1記載の熱交換器。 【請求項3】 前記渦生成部材は、平板フィンの一部を切り起こすことによって形成したことを特徴とする請求項2記載の熱交換器。 【請求項4】 前記渦生成部材は、伝熱管の中心を通る直線に対して風の流れ方向に垂直な方向にずれた位置に配置されたことを特徴とする請求項2又は3記載の熱交換器。 【請求項5】 前記渦生成部材は、その形状を三角形の平板として、風上から風下に向かって高くなるように配設し、その長さLと最大高さHの比(H/L)を0.4〜1.0としたことを特徴とする請求項2〜4のうちいずれか一項記載の熱交換器。 【請求項6】 前記渦生成部材は、風の流れ方向に対して前記伝熱管の中心を通る直線を対称にして一対形成されたことを特徴とする請求項2〜5のうちいずれか一項記載の熱交換器。 【請求項7】 前記渦生成部材の中間点から前記伝熱管中心までの距離が、風の流れ方向において管外径の0.35倍〜0.5倍、風の流れ方向に垂直な方向において管外径の0.4倍〜0.6倍とされたことを特徴とする請求項2〜6のうちいずれか一項記載の熱交換器。 【請求項8】 前記渦生成部材は、風の流れ方向に対して20°〜45°の迎え角を持たせて配設したことを特徴とする請求項2〜7のうちいずれか一項記載の熱交換器。 【請求項9】 前記渦生成部材が前記平板フィンの両面に形成されたことを特徴とする請求項2〜8のうちいずれか一項記載の熱交換器。 【請求項10】 前記平板フィン表面の一部又は全部に親水性処理を施したことを特徴とする請求項1〜9のうちいずれか一項記載の熱交換器。 【請求項11】 前記平板フィンの風下側表面に親水性処理を施したことを特徴とする請求項10記載の熱交換器。 【請求項12】 前記平板フィンの風上側表面に撥水性処理、風下側表面に親水性処理を施したことを特徴とする請求項10記載の熱交換器。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、空気調和機、冷蔵庫など冷凍・冷蔵、空調分野で広く用いられているフィンアンドチューブ型熱交換器に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来より、空気調和機や冷蔵庫などにおいては、高性能・小型化が強く訴求されている。そのため、空気調和機や冷蔵庫などの主要構成パーツである熱交換器においても、高効率、高密度化が要求されている。 【0003】図10は、従来のフィンアンドチューブ型熱交換器に用いる、平板フィンの一例を示す平面図である。このフィンアンドチューブ型熱交換器は、平行に並んだ複数枚の平行フィン1と、それらを貫通する複数の伝熱管2とから成り、伝熱管2内を流動する冷媒と、各平板フィン1の間を通過する空気との間で熱交換が行われる。 【0004】熱交換器に空気を送風すると、平板フィン1上には空気の流れに従って温度境界層が形成され、熱伝達率が低下する。また、空気の流れが伝熱管2に衝突すると、伝熱管2の表面に沿って流れはじめる。そして、伝熱管2の中心より風上側に寄った位置で、空気の流れは伝熱管2から剥離する。その結果、伝熱管2の直ぐ後流域に死水領域が形成され、熱伝達率が著しく低下する。これらの影響により、熱交換器としての伝熱性能が低下することになる。 【0005】以上のように、熱交換器の空気の流れを変えて高効率化を達成するためには、平板フィン1上の温度境界層と、伝熱管2の風下に形成される死水領域を如何に抑えるかが一つの課題である。 【0006】その対策として、前者に関しては、平板フィン1面上にスリット、ルーバー等を形成することにより、温度境界層の成長を抑制している。 【0007】後者に関しては、例えば特開昭59ー95391号公報あるいは特開昭59ー95392号公報に開示されているように、熱交換器の風上側に円柱形状をした別部材を配設して、風上側から一列目の伝熱管2の周囲の空気の流れを乱し、一列目の伝熱管2後流付近の死水領域の形成を抑えることによって、高効率化を図っている。なお、風上側から二列目の伝熱管2の周囲については、一列目の伝熱管2の影響で、空気の流れが乱され、死水領域の形成が抑えられることになる。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】ところが、空気調和機や冷蔵庫などの用途、大きさ等により、熱交換器の仕様がさまざまな形態となることがある。このとき、前述のように、熱交換器の風上側に別部材を配設する構成とすると、伝熱管の外径と配置の状態によっては、風上側から二列目の伝熱管の周囲における空気の流れを十分に乱すことができない場合が想定される。また、その都度、部材を設計する必要があり、しかも、熱交換器の構成が複雑となり、コスト的に不具合を招く恐れがある。 【0009】さらに、前述のように、熱交換器の風上側に別部材を配設する場合、その別部材のための空間を確保する必要があり、熱交換器が大きくなる。また、別部材を配設することによって、通風抵抗が若干増加することになる。 【0010】本発明は、熱交換器がさまざまな形態を取った場合にも、その形態に関係なく風の流れを乱すことによって、高い熱交換率を確実に維持できる熱交換器を提供することを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明に係る熱交換器では、各伝熱管の風上側において平板フィン上に、渦生成部を設けるものとした。その結果、平板フィン間を通過する風の流れの一部に対して渦を発生させ、渦生成部の風下側に位置する伝熱管の表面に沿う流れを乱流化することができる。したがって、伝熱管の後流域に生成する死水領域を確実に低減することができる。また、渦生成部を平板フィン上に設けているので、渦生成部のための空間を別途確保する必要がない。ここで、平板フィンの表面に、複数個のルーバーやスリットを設けると、平板フィン上に形成される温度境界層を低減し、熱伝達率を向上させることができる。 【0012】そして、渦生成部として、渦生成部材を平板フィンの表面に突出するように形成すると、効果的に渦を発生させることができる。ここで、渦生成部材としては、平板フィンの表面に、別部材の板を垂直に取付けて形成するか、あるいは平板フィンの一部を切り起こすことによって形成すればよく、切り起こす場合、従来とほぼ同様の工程によって、本発明に係る熱交換器を製作することができる。 【0013】渦生成部材の形状については、三角形の平板として、その長さLと最大高さHの比(H/L)を0.4〜1.0とするのがよい。そして、風上から風下に向かって高くなるように設置すると、風の流れを妨げることなく効果的に渦を発生させることができる。 【0014】また、渦生成部材は、伝熱管の中心を通る直線に対して風の流れ方向に垂直な方向にずれた位置に配置すればよく、さらに左右対称に一対形成するのがよい。ここで、渦生成部材の配置として、適切な範囲を見出だした。これらの範囲を以下に示す。 (a) 風の流れ方向において、伝熱管中心から渦生成部材の中間点までの距離を管外径の0.35倍〜0.5倍とする。 (b) 風の流れ方向の垂直方向において、伝熱管中心から渦生成部材の中間点までの距離を管外径の0.4倍〜0.6倍とする。 (c) 風の流れ方向に対する迎え角を20°〜45°とする。 【0015】渦生成部材の形状と配置を上記のようにすることにより、フィン間を通過する空気の圧力を損なうことなく、伝熱管表面を流れる空気の乱流化を促進し、伝熱効率の向上を達成することができる。 【0016】以上の手段によって、平板フィンの表面のうち渦生成部材が設けられた一面については、伝熱管の後流域の死水領域を低減することができる。しかし、渦生成部材が設けられていない他面については、死水領域を十分に低減することができない恐れがある。そこで、渦生成部材を平板フィンの両面に形成すると、平板フィンの両面において渦を生成することができる。切り起こしによる渦生成部材を設ける場合は、隣り合う渦生成部材同士を平板フィンの両面に交互に切り起こして形成するとよい。あるいは隣り合う平板フィンの間に渦生成部材を差し渡すように取り付けてもよい。上記の手段により、平板フィンの両面において、伝熱管の後流域に生成する死水領域を確実に低減することができる。 【0017】ところで、空気の流路中に渦生成部材のような複雑な形状の障害物があると、渦生成部材の後流域に凝縮水が滞留することが懸念される。そこで、平板フィンに表面処理を施すことが必要となる。この場合、第一の手段として、平板フィン表面の全体に親水性処理を施す手段を用いることができる。また、第二の手段として、風の流れに対して下流域の平板フィンの表面のみに親水性処理を施す手段を用いることができる。さらに、第三の手段としては、風の流れに対して、上流域の平板フィンの表面に撥水性処理、下流域の平板フィンの表面に親水性処理を施す手段を用いることができる。これらの手段によって、凝縮水が滞留して送風の流路損失が大きくなることを防止することができる。 【0018】 【発明の実施の形態】以下、本発明にかかるフィンアンドチューブ型熱交換器の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、それぞれの図中に描かれた矢印は全て空気の流れ方向を表すものである。 【0019】まず、図1は前記熱交換器の一例を示す部分斜視図であり、図2は図1に示す熱交換器の断面図である。 【0020】この熱交換器は、平行に並べられた複数枚の平板フィン1を伝熱管2が貫通する構造となっており、伝熱管2を拡管するなどして互いを固定している。そして、平板フィン1は、アルミニウム等の薄板とされ、適当な間隔を開けて配置され、この間を空気が流動するようにしている。銅製の伝熱管2の内部では、フレオンガスなどの冷媒が流動することになる。また、平板フィン1には、スリット状に切り込みを入れた後、表面及び裏面へ段押し成型することにより、複数のルーバー3あるいはスリットを設けている。 【0021】前記構成によれば、伝熱管2内を流れる冷媒と複数枚の平板フィン1の間を通過する空気との温度差によって、伝熱管2、伝熱管2に圧接されている図示していないカラー孔、及び平板フィン1を介して熱の授受が行われる。 【0022】例えば、熱交換器が蒸発器として用いられる場合、伝熱管2内の冷媒の温度は低くなっており、熱交換器に流入する空気が冷却される。一方、熱交換器が凝縮器として用いられる場合、伝熱管2内の冷媒の温度は高くなっており、熱交換器に流入する空気が加熱される。 【0023】図3に示すように、一般的な熱交換器において、伝熱管2付近を通過する気流は、伝熱管2に衝突すると、伝熱管2の外周表面に沿って流れる。そして、伝熱管2に対して空気の流れ方向に垂直な方向から10°〜20°風上側に寄った位置で剥離する。この結果、伝熱管2の直ぐ後流域に、格子にて示す、流れが少なく澱んだ死水領域Dが形成される。この死水領域Dでは、空気の流れがなく熱伝達率が著しく低下するため、熱交換器としての伝熱性能が低下する。 【0024】そこで、図1、図2及び図5に示すように、平板フィン1の一面側で伝熱管2の風上側に切り起こしによる渦生成部材4を形成する。渦生成部材4は、図2、6に示すように、空気の流れ方向と平行な伝熱管2の中心を通る直線Sに対して左右対称に一対形成する。そして、夫々の渦生成部材4の伝熱管2からの位置は、図6に示すように、空気の流れ方向に対する距離Xを伝熱管2の外径の0.35倍〜0.5倍として、空気の流れ方向と垂直な方向に対する距離Yを伝熱管2の外径の0.4倍〜0.6倍とする。ここで、渦生成部材4と伝熱管2との距離とは、渦生成部材4の中間点から伝熱管2の中心までの距離を示す。なお、一対の渦生成部材4間の距離は、伝熱管2の外径の0.8倍〜1.2倍となる。 【0025】また、渦生成部材4には、空気の流れ方向に対して20°〜45°の迎え角を持たせる。そして、渦生成部材4の形状は三角形の平板として、高さ/長さの比を0.4〜1.0とする。 【0026】伝熱管2付近を通過する空気の流れとしては、図4に示すように、渦生成部材4を通過すると縦渦が生成され、伝熱管2表面で乱流が生じる。このように、渦生成部材4を伝熱管2の風上側に配設することにより、平板フィン間を通過する空気の圧力を損なうことなく伝熱管2周辺における流れの乱流化を促進することができる。すると、伝熱管2の表面から空気の流れが剥離しにくくなって、伝熱管2の後流域における死水領域Dの形成を抑制することができる。これにより、伝熱管2の風下側表面にも空気が回り込んで熱交換が行われることになり、何ら特別なエネルギーを必要とせず、熱交換率を向上することができる。 【0027】次に、他の実施形態を図7に示す。伝熱管2の風上側に一対形成された渦生成部材4において、一方を平板フィン1の上面側、他方を平板フィン1の下面側に切り起こし形成したものである。この構成により、平板フィン1の両面に生成される死水領域の低減を図ることができ、より一層熱交換効率を高めることができる。また、渦生成部材4を両面に切り起こして形成する代わりに、渦生成部材4を別部材として、同形状の平板をフィンの他面にはんだ付け等によって取り付けることによっても両面に設けることができる。なお、上記の渦生成部材とは異なる渦生成部の実施形態を図11に示す。この実施形態では、伝熱管2の風上側の平板フィン1に渦生成用段5を形成して渦生成部としている。すなわち、平板フィン1の上面側に対しては凹みであり、下面側では突出部材となり、平板フィン1の両面で空気の流れを乱すことが可能となる。 【0028】次に、平板フィン1の表面処理に関して、熱交換器が蒸発器として用いられる場合、熱交換器を通過する空気は冷却されて、平板フィン1の表面上で空気中の水分が凝縮する。その結果、渦生成部材4のような複雑に形成された部位の近傍に凝縮水が滞留し、空気の流路損失が大きくなる恐れがある。 【0029】そこで、図8に示すように平板フィン1表面全体に親水性処理を施す。あるいは、流れ方向の下流域にだけ親水性処理を施してもよい。また、図9に示すように、上流域に対して撥水性処理、下流域に対して親水性処理を施す。ここで、親水性処理は、酸化チタン等の光触媒をコーティングすることによって行う。また、撥水性処理は、シリコン系又はフッ素系の撥水剤を塗布することにより行う。 【0030】これらの処理を行うことにより、凝縮水は親水化されて膜状になり、風圧によって流されていき、空気の流れを妨げない。また、撥水性処理されている領域では、凝縮水は水滴となり、風圧によって下流側に流され、親水化されて膜状になる。したがって、凝縮水の滞留による送風の流路損失を防止でき、熱交換効率が低下することを防止できる。 【0031】 【発明の効果】この発明に係る熱交換器では、渦生成部材を伝熱管の風上側の平板フィン面上に設けることで、全ての伝熱管の後流域における死水領域の形成を抑制すると共に、温度境界層を低減することができる。そして、渦生成部材を空気の流れを阻害しないような形状と配置にすることによって、流入空気の圧力を損なうことなく、確実に伝熱効率の向上を達成できる。 【0032】また、渦生成部材を平板フィン面上に設けているので、渦生成部材を配置するための空間を別途確保する必要がない。したがって、この熱交換器では、高性能と小型化の両方の要求を満足することができる。さらに、渦生成部材を切り起こしによって形成すれば、一般の熱交換器とほぼ同様の工程により作ることが可能であり、製造コストが上がらない。 【0033】そして、平板フィンの表面に親水性処理あるいは撥水性処理を施すことで、凝縮水の滞留を抑制することができる。したがって、流入空気の流路損失を低下することができ、熱交換効率の向上を図れる。 【0034】以上、ここに列挙した改善により、何ら特別なエネルギーを必要とせず、又製造面でも大幅なコストアップを伴わずに、熱交換効率の向上を達成し得る。このような構造を採用することにより、機器の高性能化、省資源化、省エネルギー化に貢献することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005049 【氏名又は名称】シャープ株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年11月18日(1999.11.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077780 【弁理士】 【氏名又は名称】大島 泰甫 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−141383(P2001−141383A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月25日(2001.5.25) |
| 【出願番号】 |
特願平11−327731 |
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