| 【発明の名称】 |
内面溝付伝熱管 |
| 【発明者】 |
【氏名】中溝 賢治
【氏名】山本 孝司
【氏名】森 康敏
【氏名】橋爪 利明
|
| 【要約】 |
【課題】電縫方式で製造される内面溝付管において、溝加工圧延機のロールの山部の欠けが発生しにくい内面溝付伝熱管を提供すること。
【解決手段】展開した状態において、伝熱管1の内面が長さ方向に連続する所定幅の複数の領域R1,R2・・・Rnに区分され、一方の側部から見て奇数番目の領域R1には管軸に対して所定ののねじれ角θを有する多数のフィン10が形成され、偶数番目の領域R2には管軸に対して所定ののねじれ角−θを有する多数のフィン11が形成され、各フィン10,11は、前記奇数番目の領域R1と偶数番目の領域R2との境界部12に向かってフィン高さh又はフィン基部幅wが徐々に大きくなっており、フィン高さh又はフィン基部幅wの最大値はその最小値の1.04〜1.3であることを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 展開した状態において、伝熱管1の内面が長さ方向に連続する所定幅の複数の領域R1,R2・・・Rnに区分され、一方の側部から見て奇数番目の領域R1には管軸に対して所定のねじれ角θを有する多数のフィン10が形成され、偶数番目の領域R2には管軸に対して所定のねじれ角−θを有する多数のフィン11が形成され、前記各フィン10,11は、前記奇数番目の領域R1と偶数番目の領域R2との境界部12に向かってフィン高さh又はフィン基部幅wが徐々に大きくなっており、フィン高さh又はフィン基部幅wの最大値は最小値の1.04〜1.3倍であることを特徴とする、内面溝付伝熱管。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、空調機用等の熱交換器に使用される内面溝付伝熱管に関するものである。 【0002】 【従来の技術】熱交換器等において蒸発管又は凝縮管として使用され、高い熱交換性能が得られる内面溝付伝熱管としては、例えば特開平9−42880号公報に記載されているように、管内面に周方向に沿ってジグザグ状に平行する多数のフィンを形成した伝熱管が提案されている。前記公報に記載された内面溝付伝熱管は、図9で示されているように、展開した状態における伝熱管6の内周面は周方向に沿って複数の領域R1〜R4に区分されており、管内面を展開した状態において、奇数番目の領域R1・・・には管軸に対するねじれ角θ1=10〜25°である多数のフィン60を平行に形成する一方、偶数番目の領域R2・・・には管軸に対するねじれ角−θ1=−10〜−25°である多数のフィン61を平行に形成したものである。展開状態における幅方向の両側部は溶接部であって、溶接部の近傍は平滑面63に形成されている。フィン60,61は、フィン高さ及びフィン基部幅がほぼ均一になるように形成されている。 【0003】図9のような伝熱管を製造するには、例えば図7で示すように、リール4に巻かれた銅合金又はアルミニウム合金等の金属条6aを繰り出しながら、当該金属条6aを溝付ロール5とワークロール3及びバックアップロール30とからなる溝加工圧延機50で圧延することにより、その一面に前述のようなフィン60,61を加工する。その後、当該金属条6aを成形ロール群を備えたフォーミング装置によりフィンが内側になるように管状に成形し、次いで金属条6aの突き合わせ部を溶接し、これを仕上げダイスで空引きして製造される。 【0004】図7の溝加工圧延機50における溝付ロール5は、図6で示すように、伝熱管6の内周面の領域R1・・・Rnの数と同数で同じ厚みの超硬合金からなるディスク51〜54を重ねた状態で同軸に固定したものである。溝付ロール5の奇数番目のディスク51,53の外周面には、伝熱管6の奇数番目の領域R1,R3のフィン60に対応する平行な多数の溝5aが形成され、偶数番目のディスク52,54の外周面には、伝熱管6の偶数番目の領域R2,R4のフィン61に対応する平行な多数の溝5bが形成されている。各溝5aはロール5の軸心と直交する断面に対して、ねじれ角θ1に対応するねじれ角β1を有しており、各溝5bはロール5の軸心と直交する断面に対してねじれ角−θ1に対応するねじれ角−β1を有している。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】従来の内面溝付伝熱管6は、図7のような溝加工圧延機50でフィン60,61を形成する場合、図9の矢印イの方向へ通板しているものとすれば、溝付ロール5が回転しつつ接触している圧延部において、金属条の材料はロール5のディスク51,53,52,54の溝5a,5bに沿って繰り出し方向の逆方向へ移動(メタルフローが発生)し、図9で示すフィン60,61が形成される。金属条の材料の移動を図8で拡大して説明すると、フィン60,61が形成されるときに金属材料は矢印ロの方向へ移動し、領域R1,R2間の境界部62の部分にメタルフローの圧力が集中し、隣合うフィン60,60相互間の溝60a及び隣合うフィン61,61相互間の溝61aが合流する62aの部分に対応するディスクの溝5a相互間及び溝5b相互間の山の部分が欠落する。このようなディスク51〜54の山部の欠けは、例えば、フィン高さ0.10〜0.30mm、フィン基部幅0.10〜0.25mmのようにシャープなフィン60,61を形成する場合により頻繁に発生する。ディスクの溝5a,5b間の山部の欠けが発生すると、フィン60,61を設計どうりに加工することができなくなるので、伝熱管の伝熱性能が低下する。また、ディスクの山部の欠けが大きくなるとロールを交換しなければならないので生産効率が低下する。 【0006】本発明の目的は、電縫方式で製造される内面溝付管において、溝加工圧延機のロールの山部の欠けが発生しにくい内面溝付伝熱管を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明に係る内面溝付伝熱管は、前述の課題を解決するため以下のように構成したものである。すなわち、請求項1の内面溝付伝熱管は、展開した状態において、伝熱管1の内面が長さ方向に連続する所定幅の複数の領域R1,R2・・・Rnに区分され、一方の側部から見て奇数番目の領域R1には管軸に対して所定の(好ましくは5〜30°)のねじれ角θを有する多数のフィン10が形成され、偶数番目の領域R2には管軸に対して所定の(好ましくは−5〜−30°)のねじれ角−θを有する多数のフィン11が形成され、前記各フィン10,11は、前記奇数番目の領域R1と偶数番目の領域R2との境界部12に向かってフィン高さh又はフィン基部幅wが徐々に大きくなっており、フィン高さh又はフィン基部幅wの最大値はその最小値の1.04〜1.3倍であることを特徴としている。 【0008】 【発明の実施の形態】図1〜図5を参照しながら、本発明に係る内面溝付伝熱管の好ましい実施形態を説明する。図1は本発明の実施形態の内面溝付伝熱管の内面を溶接部の部分を切断して展開した状態の部分展開図である。 【0009】金属製(この形態では銅)の内面溝付伝熱管1の内面は、展開した状態において長さ方向に連続する所定幅の複数の領域R1,R2,R3,R4に区分されている。領域の数は製造される伝熱管の寸法その他の条件によって適宜選択され、また、この領域の数は偶数でなくても実施することができる。展開状態における伝熱管1において、一方の側部から見て奇数番目の領域R1,R2には管軸に対して5〜30°のねじれ角θを有する多数のフィン10が形成され、偶数番目の領域R2,R4には管軸に対して−5〜−30°のねじれ角−θを有する多数のフィン11が形成されている。隣合うフィン10相互及びフィン11相互において、それらの中心を通る線は平行である。伝熱管1の内面において、溶接部14の近傍にはフィン10又は11を有しない平滑部13が形成されている。 【0010】前記各フィン10,11は、平滑部13を含む溶接部14の近傍を除く部分では、前記奇数番目の領域R1と偶数番目の領域R2との境界部12に向かってフィン基部幅wが徐々に大きくなっており、フィン基部最大幅w2はフィン基部最小幅w1の1.04〜1.3倍の範囲である。また各フィン10,11は、平滑部13を含む溶接部14の近傍を除く部分では、奇数番目の領域R1と偶数番目の領域R2との境界部12に向かってフィン高さhが徐々に大きくなっており、最大フィン高さh2は最小フィン高さh1の1.04〜1.3倍の範囲である。各フィン10,11は、前述のように境界部12に向かってフィン基部幅wが徐々に大きくなっているので、フィン10相互間の各溝10a及びフィン11相互間の各溝11aの幅は、境界部12に向かって徐々に狭くなっている。 【0011】境界部12に向かってフィン10,11のフィン基部幅w又はフィン高さhを徐々に大きくしたのは、境界部12に近づくにしたがってフィン10,11の断面積が拡大するようにするためである。したがって、フィン基部幅w又はフィン高さhを境界部12に向かって徐々に拡大するように構成しても、あるいは、両者共に徐々に拡大するように構成してもよい。 【0012】前述のような構成の内面溝付伝熱管1を製造するには、図3〜図5で示すような溝付ロール2が使用される。溝付ロール2は、伝熱管内面の領域R1〜R4に対応するように超硬合金等ののディスク21〜24を重ねて同軸に固定したもので、片端から奇数番目のディスク21,23の表面には、伝熱管内面のフィン10に対応する溝2aが形成され、偶数番目のディスク22,24の表面には、伝熱管内面のフィン11に対応する溝2bが形成されている。したがって、奇数番目のディスク21,23の溝2aは、ロール2の軸と直交する断面に対して5〜30°のねじれ角βを有し、偶数番目のディスク22,24の溝2bは、ロール2の軸と直交する断面に対して−5〜−30のねじれ角−βを有する。 【0013】各溝2a,2bは、奇数番目のディスク21,23とそれらに隣接する偶数番目のディスク22,24との接触部25に向かって溝深さdが徐々に深くなっているとともに、接触部25に向かって溝幅w’が徐々に広くなっている。最大溝深さd2は最小溝深さd2の1.04〜1.3倍の範囲であり、最大溝幅w’2は最小溝幅w’1の1.04〜1.3倍の範囲である。 【0014】図7の溝加工圧延機50の溝付ロール5を図3の溝付ロール2と取り替え、この圧延機で金属条を圧延することにより金属条の一面に多数のフィン10,11を加工し、フィン10,11が形成されている面が内側になるように金属条を管状に丸め、突き合わせ部分を溶接してこれを仕上げダイスで空引きすることにより、前記実施形態の内面溝付伝熱管1が製造される。 【0015】前記実施形態の内面溝付伝熱管1によれば、前記各フィン10,11は、奇数番目の領域R1と偶数番目の領域R2との境界部12に向かってフィン高さh及びフィン基部幅wが徐々に大きくなっているので、フィン10,11が圧延によって形成される際、図1の矢印ロの方向へ金属条の材料が移動(メタルフローが発生)しても、各フィン10,11の断面積が境界部12に近づくにしたがって徐々に拡大していて、メタルフローの圧力は前記断面積の拡大によって吸収される。したがって、溝付ロールの山部の欠けが防止され、高密度でよりシャープなフィンが円滑に形成されるので、高い伝熱性能の伝熱管を得ることができる。 【0016】実施例幅25mm,厚さ0.5mmの燐脱酸銅からなる金属条の一面に、図3で示したような基本構成の溝付ロールによりフィンを加工した。金属条は、図1で示したように条の両側部の平滑部13,13(平滑部13の幅はそれぞれ約1.5mm,合計で3mm)を除く幅方向部分を均等に四つの帯状の領域に区分し、片側から奇数番目の領域には長さ方向に対して15°のねじれ角θを有するフィンを0.5mmのピッチ(隣合うフィン相互の中心間隔)で形成し、偶数番目の領域には長さ方向に対して−15°のねじれ角−θを有するフィンを同様なピッチで形成した。表1のように、フィンの最小フィン高さh1と最大フィン高さh2との差、及び最小フィン基部幅w1と最大フィン基部幅w2との差が種々異なる実施例の金属条及び比較例の金属条を加工するとともに、各フィンの寸法が一定な比較例の金属条を加工した。それぞれについて、溝加工圧延機における溝付ロールの寿命(溝付ロール表面の欠けが発生するまでにフィン加工された金属条の総トン数)を比較したところ表1のとおりであった。 【0017】 表1 (h1) (h2) (h2/h1) (w1) (w2) (w2/w1) 溝付ロール mm mm mm mm 寿命 ton実施例 1 0.20 0.24 1.2 0.15 0.18 1.2 230実施例 2 0.20 0.20 1.0 0.15 0.18 1.2 180実施例 3 0.20 0.24 1.2 0.15 0.15 1.0 170実施例 4 0.20 0.26 1.3 0.15 0.15 1.0 140実施例 5 0.20 0.20 1.0 0.15 0.195 1.3 150実施例 6 0.20 0.208 1.04 0.15 0.15 1.0 140実施例 7 0.20 0.20 1.0 0.15 0.156 1.04 140 比較例 1 0.20 0.28 1.4 0.15 0.21 1.4 90比較例 2 0.20 0.28 1.4 0.15 0.15 1.0 80比較例 3 0.20 0.20 1.0 0.15 0.21 1.4 80比較例 4 0.20 0.206 1.03 0.15 0.15 1.0 70比較例 5 0.20 0.20 1.0 0.15 0.155 1.03 60比較例 6 0.20 0.20 1.0 0.15 0.15 1.0 30【0018】表1で示したように、本発明の実施例に係るものは、溝付ロールの寿命が最低140ton,最高230tonであり、これに対して各比較例では90ton以下であった。これらの結果により、フィン高さh又はフィン基部幅wの最大値が最小値の1.03倍以下ではその効果が十分でなく、また、それらの最大値が最小値の1.4倍以上になると、溝付ロールにおける隣合う溝間の山の幅がそれだけ狭くなるためロールが欠け易くなることが判明した。 【0019】 【発明の効果】本発明に係る内面溝付伝熱管によれば、各フィン10,11は、奇数番目の領域R1と偶数番目の領域R2との境界部12に向かってフィン高さh又はフィン基部幅wが徐々に大きくなって断面積が次第に拡大しているので、フィン10,11が圧延によって形成される際、境界部12の方向へのメタルフローによる圧力は前記断面積の拡大によって吸収される。したがって、溝付ロールの山部の欠けが防止されてその寿命が延び、高密度でよりシャープなフィンが円滑に形成されるので、より高い伝熱性能の伝熱管が製造される。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005290 【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年9月20日(1999.9.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074284 【弁理士】 【氏名又は名称】河野 茂夫
|
| 【公開番号】 |
特開2001−91184(P2001−91184A) |
| 【公開日】 |
平成13年4月6日(2001.4.6) |
| 【出願番号】 |
特願平11−266322 |
|