| 【発明の名称】 |
内面溝付伝熱管 |
| 【発明者】 |
【氏名】橋爪 利明
【氏名】山本 孝司
【氏名】森 康敏
|
| 【要約】 |
【課題】内面溝付伝熱管において、熱交換器に組み込む際の各伝熱管の溶接部の位置の変化による伝熱性能のばらつきが小さい伝熱管を提供すること。
【解決手段】管の内面に長さ方向に沿って第1の長さ方向領域Cと第2の長さ方向領域Dとを交互に形成し、各第1の領域Cは管の長さ方向へほぼ一致するように周方向に沿って複数の周方向領域W1〜Wnに区分し、管を展開した状態において、一側縁から奇数番目の周方向領域W1・・・には管軸に対して所定のねじれ角を有する平行な多数のフィン10を形成する一方、偶数番目の周方向領域W2・・・には管軸に対して前記所定のねじれ角とは逆方向のねじれ角を有する平行な多数のフィン11を形成し、第2の長さ方向領域Dには管軸に対して所定のねじれ角を有する平行な多数のフィン12を形成したことを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 管の内面には長さ方向に沿って所定長さの第1の長さ方向領域Cと所定長さの第2の長さ方向領域Dとが交互に位置し、各第1の領域Cは管の長さ方向へほぼ一致するように周方向に沿って複数の周方向領域W1〜Wnに区分され、管を展開した状態において、一側縁から奇数番目の周方向領域W1・・・には管軸に対して所定のねじれ角を有する平行な多数のフィン10が形成されている一方、偶数番目の周方向領域W2・・・には管軸に対して前記所定のねじれ角とは逆方向のねじれ角を有する平行な多数のフィン11が形成され、第2の長さ方向領域Dには管軸に対して所定のねじれ角を有する平行な多数のフィン12が形成されていることを特徴とする、内面溝付伝熱管。 【請求項2】 各第1の長さ方向領域Cの奇数番目の幅方向領域W1・・・のフィン10の管軸に対するねじれ角はねじれ方向がそれぞれ同じであり、各第2の長さ方向領域Dのフィン12の管軸に対するねじれ角はねじれ方向がそれぞれ同じであることを特徴とする、請求項1に記載の内面溝付伝熱管。 【請求項3】 各第1の長さ方向領域Cの奇数番目の幅方向領域のフィン10の管軸に対するねじれ角はねじれ方向がそれぞれ同じであり、第1の長さ方向領域Cを介して隣接する第2の長さ方向領域D,D相互のフィン12,12の管軸に対するねじれ角はねじれ方向が逆であることを特徴とする、請求項1に記載の内面溝付伝熱管。 【請求項4】 第2の長さ方向領域Dを介して隣接する第1の長さ方向領域C,C相互において、奇数番目の幅方向領域W1・・・のフィン10,10の管軸に対するねじれ角はねじれ方向が逆であり、各第2の長さ方向領域Dのフィン12の管軸に対するねじれ角はねじれ方向がそれぞれ同じであることを特徴とする、請求項1に記載の内面溝付伝熱管。 【請求項5】 第2の長さ方向領域Dを介して隣接する第1の長さ方向領域C,C相互において、奇数番目の幅方向領域W1・・・のフィン10,10の管軸に対するねじれ角はねじれ方向が逆であり、第1の長さ方向領域Cを介して隣接する第2の長さ方向領域D,D相互のフィン溝12,12の管軸に対するねじれ角はねじれ方向が逆であることを特徴とする、請求項1に記載の内面溝付伝熱管。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、空調機用等の熱交換器に使用される内面溝付伝熱管に関するものである。 【0002】 【従来の技術】熱交換器等において蒸発管又は凝縮管として使用され、高い熱交換性能が得られる内面溝付伝熱管としては、例えば特開平9−42880号公報に記載されているように、管内面に周方向に沿ってジグザグ状に平行する多数のフィンを形成した伝熱管が提案されている。前記公報に記載された内面溝付伝熱管は、図13で示されているように、伝熱管5の内周面はその周方向において複数の領域R1〜Rnに区分されており、管内面を展開した状態において、奇数番目の領域R1・・・には管軸に対するねじれ角θ4=10〜25°である多数のフィン50を平行に形成し、偶数番目の領域R2・・・には管軸に対するねじれ角−θ4=−10〜−25°である多数のフィン51を平行に形成したものである。この伝熱管は、周面に前記フィンに対応する多数の溝を形成した溝付ロールと、周面が平滑な平滑ロールとを具備した圧延機を使用し、所定幅の金属条を繰り出しながら、この金属条を前記圧延機で圧延することによりその一面に前述のようにフィンを形成した後、当該金属条を成形ロール群を備えたフォーミング装置によりフィンが内側になるように管状に成形し、次いで金属条の突き合わせ部を溶接し、これを仕上げダイスに通して製造される。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】発明者らは前述の内面溝付伝熱管サンプルを試作し、これを複数の空調機用熱交換器に組み込んで性能測定を行ったところ、性能にばらつきがあることが判明した。その原因を調べるため、前述の内面溝付伝熱管のサンプル単体での伝熱性能測定を行ったところ、測定装置へのサンプルの取り付け方、すなわち、測定装置へサンプルを取り付ける際に管の溶接部52がいずれの方向に位置するか(上下左右)により、伝熱性能に差が生じた。この傾向は、管内周面の周方向領域R1〜Rnの数が少ないものほど顕著であった。 【0004】図14の(a),(c),(e),(g)図はそれぞれ溶接部52の位置を異にする伝熱管の断面図、(b),(d),(f),(h)図は、それぞれ(a),(c),(e),(g)図の伝熱管を中央から水平に切断してその下半部の内面の展開図である。例えば、伝熱管5内に図13,図14の矢印方向(下方から上方)へ冷媒が流れる場合、管5の溶接部52を上方に位置させた(a),(b)図のケースでは、冷媒はフィンの50,51の合流部(又は分流部)53から左右に別れ、両側のフィン50,51に沿って分流し、巻き上げられて上方の溶接部52で合流するように流れる。他方、管5の溶接部52を下方に位置させた(g),(h)図のケースでは、冷媒はフィン50,51に沿い上方から下方に向かって分流し、下方の溶接部52で合流するように流れる。また、(c),(d)図及び(e),(f)図のように、伝熱管5の溶接部52を側方に位置させたケースでは、冷媒は一方の側部で分流し他方の側部で合流するように流れる。このように、伝熱管5の溶接部52の位置によって管内を流れる冷媒に対する重力の影響が異なるため、伝熱性能にばらつきを生ずる。空調機用熱交換器では、伝熱管は水平な状態で多数組み込まれるが、各熱交換器において、多数の伝熱管の溶接部52の位置を揃えることは困難であるから、熱交換器ごとの伝熱性能が異なり、安定した伝熱性能を確保することができない。 【0005】また、特開平9−42880号公報に記載の伝熱管は、フィン50,51の合流部53が管の長さ方向に沿って連続しており、圧延時に合流部53の部分に金属が集中する状態に大きな力が加わるのでチッピングが発生し易く、溝付ロールの寿命が短く、その結果製造コストが高くなっていた。 【0006】本発明の目的は、溶接によって造管される内面溝付伝熱管において、熱交換器に組み込む際の各伝熱管の溶接部の位置の変化による伝熱性能のばらつきが小さく、性能の安定した熱交換器が得られる伝熱管を提供することにある。本発明の他の目的は、フィン加工のための圧延時にチッピングが発生しにくく溝付ロールの寿命がより長く保てる内面溝付伝熱管を提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明に係る内面溝付伝熱管は、前述の課題を解決するため以下のように構成したものである。すなわち、請求項1に記載の内面溝付伝熱管は、管の内面には長さ方向に沿って所定長さの第1の長さ方向領域Cと所定長さの第2の長さ方向領域Dとを交互に形成し、各第1の領域Cは管の長さ方向へほぼ一致するように周方向に沿って複数の周方向領域W1〜Wnに区分し、管を展開した状態において、一側縁から奇数番目の周方向領域W1・・・には管軸に対して所定のねじれ角を有する平行な多数のフィン10を形成する一方、偶数番目の周方向領域W2・・・には管軸に対して前記所定のねじれ角とは逆方向のねじれ角を有する平行な多数のフィン11を形成し、第2の長さ方向領域Dには管軸に対して所定のねじれ角を有する平行な多数のフィン12を形成したいることを特徴としている。 【0008】請求項2に記載の内面溝付伝熱管は、請求項1の伝熱管において、各第1の長さ方向領域Cの奇数番目の幅方向領域W1・・・のフィン10の管軸に対するねじれ角のねじれ方向をそれぞれ同じくし、各第2の長さ方向領域Dのフィン12の管軸に対するねじれ角のねじれ方向をそれぞれ同じにしたことを特徴としている。 【0009】請求項3に記載の内面溝付伝熱管は、請求項1の伝熱管において、各第1の長さ方向領域Cの奇数番目の幅方向領域のフィン10の管軸に対するねじれ角のねじれ方向をそれぞれ同じくし、第1の長さ方向領域Cを介して隣接する第2の長さ方向領域D,D相互のフィン12,12の管軸に対するねじれ角のねじれ方向を逆にしたことを特徴としている。 【0010】請求項4に記載の内面溝付伝熱管は、請求項1の伝熱管において、第2の長さ方向領域Dを介して隣接する第1の長さ方向領域C,C相互の、奇数番目の幅方向領域W1・・・のフィン10,10の管軸に対するねじれ角のねじれ方向を逆にし、各第2の長さ方向領域Dのフィン12の管軸に対するねじれ角のねじれ方向をそれぞれ同じにしたことを特徴としている。 【0011】請求項4に記載の内面溝付伝熱管は、請求項1の伝熱管において、第2の長さ方向領域Dを介して隣接する第1の長さ方向領域C,C相互の、奇数番目の幅方向領域W1・・・のフィン10,10の管軸に対するねじれ角のねじれ方向を逆にし、第1の長さ方向領域Cを介して隣接する第2の長さ方向領域D,D相互のフィン溝12,12の管軸に対するねじれ角のねじれ方向を逆にしたことを特徴としている。 【0012】 【発明の実施の形態】図1〜図12を参照しながら、本発明に係る内面溝付伝熱管の好ましい実施形態を説明する。 第1実施形態図1は第1実施形態(請求項1及び2)の内面溝付伝熱管の内面を展開して示した部分展開図である。 【0013】金属製(この形態では銅)の伝熱管1の内面は、長さ方向に沿って所定長さの第1の長さ方向領域Cと所定長さの第2の長さ方向領域Dとが交互に位置するように区分されている。各第1の領域Cは、管1の長さ方向へほぼ一致するように周方向に沿って複数(この形態では二つ)の周方向領域W1〜Wnに区分されており、管1を展開した状態において、一側縁から奇数番目の周方向領域W1には管軸に対して所定のねじれ角θ1(図において右上がり)を有する平行な多数のフィン10が形成されている一方、偶数番目の周方向領域W2には管軸に対して前記所定のねじれ角θ1とは逆方向のねじれ角−θ1(図において右下がり)を有する平行な多数のフィン11が形成されている。第2の長さ方向領域Dには、管軸に対して所定のねじれ角θ2(図において右上がり)を有する平行な多数のフィン12が形成されている。 【0014】第1実施形態の伝熱管において、各第1の長さ方向領域Cの奇数番目の幅方向領域W1のフィン10の管軸に対するねじれ角θ1はねじれ方向がそれぞれ同じであり、各第2の長さ方向領域Dのフィン12の管軸に対するねじれ角θ2はねじれ方向がそれぞれ同じになっている。すなわち、各第1の長さ方向領域Cのフィン10とフィン11の合流部(又は分流部)13がすべて同じ向きになっている。また、フィン10の管軸に対するねじれ角θ1とフィン12の管軸に対するねじれ角θ2は、ねじれ方向と角度が同じであるが、フィン11のねじれ角−θ1とフィン12のねじれ角θ2とを同じにすることもできる。各フィン10,11,12の形状は、図8のように鋭角二等辺三角形である。hはフィン高さを示し、αはフィン頂角を示す。 【0015】第1実施形態の伝熱管によれば、例えば図1の右方向より左方向へ冷媒が流れる際、第1の長さ方向領域Cにおいてフィン10,11に沿って合流部13で合流・集束した冷媒は、隣の第2の長さ方向領域Dのフィン12で攪拌される。また、第1の長さ方向領域Cの溶接部14で分流・拡散した冷媒も、隣の第2の長さ領域のフィン12によって攪拌される。このように、管1内の冷媒の流れの方向性が一定でなくなり(単純でなくなり)、熱交換器に組み込む際の溶接部14の位置による伝熱性能のばらつきが小さくなるので、より安定した伝熱性能を発揮する。また、フィン10,11の合流部13(周方向領域の境界)が、管1の長さ方向に連続していないため、チッピングが発生しにくく、それだけ後述の溝付ロール2の耐久性が向上する。 【0016】第1実施形態の伝熱管は図7で示すような製造装置を使用して製造される。所定幅の金属条1aを繰り出しながら、溝付ロール2と周面が平滑な平滑ロール3とを備えた圧延機2aにより、金属条1aの上面に多数のフィン10,11及びフィン12を形成し、図示されていないフォーミング装置により、前記金属条1aを上面が内側になる状態で管状に成形し、その突き合わせ部を高周波溶接装置4により溶接した後、図示されていない仕上げダイスで空引きすることにより所定の外径に縮径して仕上げる。溝付ロール2は図9のように、周面が周方向に沿って管1の第1の長さ方向領域Cに対応する対の第1の成形領域A,Aと、第2の長さ方向領域Dに対応する対の第2の成形領域B,Bとに区分されている。各第1の成形領域Aにはフィン10を形成するための多数の溝20aとフィン11を形成するための多数の溝20bが形成され、各第2の成形領域Bにはフィン12を形成するための多数の溝20cが形成されている。この形態の溝付ロール2は、管1の第1の長さ方向領域Cにおける奇数番目の幅方向領域W1を加工する部分、及び第2の長さ方向領域Dを加工する部分が一体となったロールピース20と、第1の長さ方向領域Cにおける偶数番目の周方向領域W2を加工する各ロールピース21とを一体的に組み合わせて構成している。 【0017】第2実施形態図2は請求項3に対応する第2実施形態の内面溝付伝熱管の内面を展開して示した部分展開図である。この実施形態の伝熱管は、各第1の長さ方向領域Cの奇数番目の幅方向領域のフィン10の管軸に対するねじれ角θ1はねじれ方向がそれぞれ同じであり、第1の長さ方向領域Cを介して隣接する第2の長さ方向領域D,D相互のフィン12,12の管軸に対するねじれ角θ2,−θ2はねじれ方向が逆になっている。すなわち、各第1の長さ方向領域Cのフィン10とフィン11の合流部(又は分流部)13のすべて同じ向きになっている。一方、第1の長さ方向領域Cを介して隣接する第2の長さ方向領域D,Dにおいて、一方の第2の長さ方向領域Dのフィン12のねじれ角θ2は第1の長さ方向領域Cのフィン10のねじれ角θ1と同じであり、他方の第2の長さ方向領域Dのフィンのねじれ角−θ2は第1の長さ方向領域Cのフィン11おねじれ角−θ1と同じになっている。他の構成は第1実施形態の伝熱管と同じである。 【0018】第2実施形態の伝熱管においても、例えば図2の右方向より左方向へ冷媒が流れる際、第1の長さ方向領域Cにおいてフィン10,11に沿って合流部13で合流・集束した冷媒は、隣の第2の長さ方向領域Dのフィン12で攪拌される。また、第1の長さ方向領域Cの溶接部14で分流・拡散した冷媒も、隣の第2の長さ領域のフィン12によって攪拌される。このように、管1内の冷媒の流れの方向性が一定でなくなり、熱交換器に組み込む際の溶接部14の位置による伝熱性能のばらつきが小さくなるので、より安定した伝熱性能を発揮する。その他の作用効果は、第1実施形態の伝熱管と同様である。 【0019】第2実施形態の伝熱管も、基本的には図7で示すような製造装置を使用して第1実施形態の伝熱管と同様な要領で製造されるが、圧延機2aにおける溝付ロール2の構成が異なっている。溝付ロール2は例えば図10のように、周面が周方向に沿って管1の第1の長さ方向領域Cに対応する対の第1の成形領域A,Aと、第2の長さ方向領域Dに対応する対の第2の成形領域B,Bとに区分されている。この形態の溝付ロール2は、二つのロールピース22,23を一体的に組み合わせて構成している。一方のロールピース22は、管1の第1の長さ方向領域Cにおける奇数番目の幅方向領域W1のフィン10を加工する溝20aが形成された二つの部分と、一つの第2の長さ方向領域Dにおけるフィン12を加工する溝20cが形成された一つの部分が一体となっている。他方のロールピース23は、第1の長さ方向領域Cにおける偶数番目の周方向領域W2のフィン11を加工する溝20bが形成された二つの部分と、次の第2の長さ方向領域Dにおけるフィン12を加工する溝20dが形成された一つの部分とが一体となっている。 【0020】第3実施形態図3は請求項4に対応する第2実施形態の内面溝付伝熱管の内面を展開して示した部分展開図である。この実施形態の伝熱管は、第2の長さ方向領域Dを介して隣接する第1の長さ方向領域C,C相互において、一方の第1の長さ方向領域Cにおける奇数番目の幅方向領域W1のフィン10の管軸に対するねじれ角θ1と、他方の第1の長さ方向領域Cにおける奇数番目の幅方向領域W1のフィン10の管軸に対するねじれ角−θ3は、ねじれ方向が逆になっている。同様に、第2の長さ方向領域Dを介して隣接する第1の長さ方向領域C,C相互において、一方の第1の長さ方向領域Cにおける偶数番目の幅方向領域W2のフィン10の管軸に対するねじれ角−θ1と、他方の第1の長さ方向領域Cの偶数番目の幅方向領域W2のフィン11の管軸に対するねじれ角θ3は、ねじれ方向が逆になっている。そして、各第2の長さ方向領域Dのフィン12の管軸に対するねじれ角θ2はねじれ方向がそれぞれ同じになっている。すなわち、θ1=θ3=θ2、及び−θ1=−θ3であって、第2の長さ方向領域を介して隣接する第1の長さ方向領域C,C相互において、一方の長さ方向領域Cのフィン10,11の合流部(又は分流部)13と、他方の長さ方向領域Cのフィン10,11の合流部(又は分流部)13とは向きが逆になっている。他の構成は第1実施形態の伝熱管と同じである。 【0021】第3実施形態の伝熱管によれば、例えば図3の右方向より左方向へ冷媒が流れる際、第1の長さ方向領域Cにおいてフィン10,11に沿って分流部13で分流・拡散した冷媒は、隣の第2の長さ方向領域Dのフィン12で攪拌される。当該第1の長さ方向領域Cの溶接部14で合流・集束した冷媒も、隣の第2の長さ領域Dのフィン12によって攪拌される。また、次の第1の長さ方向領域においてフィン10,11に沿って合流部13で合流・集束した冷媒は、次の第2の長さ方向領域Dのフィン12攪拌され、当該長さ方向領域Cの溶接部14で分流・拡散した冷媒も、次の第2の長さ方向領域Dのフィン12によって攪拌される。このように、管1内の冷媒の流れの方向性が一定でなくなり、熱交換器に組み込む際の溶接部14の位置による伝熱性能のばらつきが小さくなるので、より安定した伝熱性能を発揮する。その他の作用効果は、第1実施形態の伝熱管と同様である。 【0022】第3実施形態の伝熱管も、基本的には図7で示すような製造装置を使用して同じ要領で製造されるが、圧延機2aの溝付ロール2の構成が異なっている。溝付ロール2は図11のように、周面が周方向に沿って管1の第1の長さ方向領域Cに対応する対の第1の成形領域A,Aと、第2の長さ方向領域Dに対応する対の第2の成形領域B,Bとに区分されている。一方の第1の成形領域Aには、ねじれ角θ1のフィン10を形成するための多数の溝20aとねじれ角−θ1のフィン11を形成するための多数の溝20bがそれぞれ形成されている。他方の第1の形成領域Aには、ねじれ角−θ3のフィン10を形成するための多数の溝20eとねじれ角θ3のフィン11を形成するための多数の溝20fがそれぞれ形成されている。また、各第2の成形領域Bにはフィン12をそれぞれねじれ角θ2のフィン12を形成するための多数の溝20cが形成されている。この形態の溝付ロール2は、三つのロールピース24,25,26を一体的に組み合わせて構成している。ロールピース24は、周面に溝20cがそれぞれ形成された各第2の成形領域B,Bと、周面に溝20bが形成された一方の第1の形成領域Aのロール長さの1/2を占める部分と、周面に溝20eが形成された他方の第1の形成領域Aのロール長さの1/2を占める部分とが一体になっている。ロールピース25は、周面に溝20aが形成された一方の第1の成形領域Aの他の部分を構成している。ロールピース26は、周面に溝20fが形成された他方の第1の成形領域Aの他の部分を構成している。 【0023】第4実施形態図4は請求項5に対応する第2実施形態の内面溝付伝熱管の内面を展開して示した部分展開図である。この実施形態の伝熱管1は、第2の長さ方向領域Dを介して隣接する第1の長さ方向領域C,C相互において、一方の第1の長さ方向領域Cにおける奇数番目の幅方向領域W1のフィン10の管軸に対するねじれ角θ1と、他方の第1の長さ方向領域Cにおけるフィン10の管軸に対するねじれ角−θ3は、ねじれ方向が逆になっている。同様に、第2の長さ方向領域Dを介して隣接する第1の長さ方向領域C,C相互において、一方の第1の長さ方向領域Cにおける偶数番目の幅方向領域W2のフィン10の管軸に対するねじれ角−θ1と、他方の第1の長さ方向領域Cにおける偶数番目の幅方向領域W2の管軸に対するねじれ角θ3は、ねじれ方向が逆になっている。また、第1の長さ方向領域Cを介して隣接する第2の長さ方向領域D,D相互のフィン溝12,12の管軸に対するねじれ角θ2と−θ2は、ねじれ方向が逆になっている。すなわち、θ1=θ3=θ2、及び−θ1=−θ3=−θ2であって、第2の長さ方向領域を介して隣接する第1の長さ方向領域C,C相互において、一方の長さ方向領域Cのフィン10,11の合流部(又は分流部)13と、他方の長さ方向領域Cのフィン10,11の合流部(又は分流部)13とは、向きが逆になっている。他の構成は第1実施形態の伝熱管と同じである。 【0024】第4実施形態の伝熱管によれば、例えば図4の右方向より左方向へ冷媒が流れる際、第1の長さ方向領域Cにおいてフィン10,11に沿って分流部13で分流・拡散した冷媒は、隣の第2の長さ方向領域Dのフィン12で攪拌される。当該第1の長さ方向領域Cの溶接部14で合流・集束した冷媒も、隣の第2の長さ領域Dのフィン12によって攪拌される。また、次の第1の長さ方向領域においてフィン10,11に沿って合流部13で合流・集束した冷媒は、次の第2の長さ方向領域Dのフィン12攪拌され、当該長さ方向領域Cの溶接部14で分流・拡散した冷媒も、次の第2の長さ方向領域Dのフィン12によって攪拌される。このように、管1内の冷媒の流れの方向性が一定でなくなり、熱交換器に組み込む際の溶接部14の位置による伝熱性能のばらつきが小さくなるので、より安定した伝熱性能を発揮する。その他の作用効果は、第1実施形態の伝熱管と同様である。 【0025】第4実施形態の伝熱管も、基本的には図7で示すような製造装置を使用して第1実施形態の伝熱管と同様な要領で製造されるが、圧延機2aにおける溝付ロール2の構成が異なっている。溝付ロール2は例えば図12のように、周面が周方向に沿って管1の第1の長さ方向領域Cに対応する対の第1の成形領域A,Aと、第2の長さ方向領域Dに対応する対の第2の成形領域B,Bとに区分されている。この形態の溝付ロール2は、対称的な二つのロールピース27,28を一体的に組み合わせて構成している。一方のロールピース27は、周面にねじれ角θ2のフィン12を形成するための溝20cが形成された一方の第2の成形領域B、周面にねじれ角θ1のフィン10を形成するための溝20aが形成された一方の第1の形成領域Aのロール長さの1/2を占める部分、及び、周面にねじれ角θ3のフィン11を形成するための溝(図示せず)が形成された他方の第1の形成領域Aのロール長さの1/2を占める部分とが一体になっている。他方のロールピース28は、周面にねじれ角−θ2のフィン12を形成するための溝20dが形成された他方の第2の成形領域B、周面にねじれ角−θ1のフィン11を形成するための溝20bが形成された一方の第1の形成領域Aのロール長さの他の1/2を占める部分、及び、周面にねじれ角−θ3のフィン10を形成するための溝(図示せず)が形成された他方の第1の形成領域Aのロール長さの他の1/2を占める部分とが一体になっている。 【0026】第5実施形態図5は請求項2及びに対応する他の形態の内面溝付伝熱管の内面を展開して示した部分展開図である。この実施形態の伝熱管は、管1の内面を長さ方向に沿って第1の長さ方向領域Cと第2の長さ方向領域Dとが交互に位置するように区分するとともに、各第1の長さ方向領域Cを、周方向に沿って四つの周方向領域W1〜W4に区分している。他の構成は第1実施形態の伝熱管とほぼ同様である。この実施形態の伝熱管は、第1の長さ方向領域Cが四つの周方向領域W1〜W4に区分されているので、管1内の冷媒の流れ方向の一定性がさらになくなり、伝熱性能のばらつきがさらに小さくなる。 【0027】第6実施形態図6は請求項2及びに対応する他の形態の内面溝付伝熱管の内面を展開して示した部分展開図である。この実施形態の伝熱管は、管1の内面を長さ方向に沿って第1の長さ方向領域Cと第2の長さ方向領域Dとが交互に位置するように区分するとともに、各第1の長さ方向領域Cを、周方向に沿って六つの周方向領域W1〜W6に区分している。他の構成は第1実施形態の伝熱管とほぼ同様である。この実施形態の伝熱管は、第1の長さ方向領域Cが四つの周方向領域W1〜W6に区分されているので、管1内の冷媒の流れ方向の一定性がさらに一層なくなり、伝熱性能のばらつきがさらに一層小さくなる。 【0028】本発明の内面溝付伝熱管において、第1の長さ方向領域Cの長さと第2の長さ方向領域Dの長さは異なっていてもよいが、ほぼ同じであるのが好ましい。このことは、各周方向領域W1〜Wn相互の幅についても同様である。 【0029】実施例1幅24mm,板厚0.40mmの銅からなる金属条を使用し、図7のような装置(溝付ロール外径200mm、平滑ロール外径120mm)により、外径7mm,フィン10のねじれ角θ1=20°,フィン11のねじれ角−θ1=−20°,フィン12のねじれ角θ2=20°、各フィン10,11,12のフィン高さh=0.20mm,フィン頂角α=20°であって、構成が第1実施形態の伝熱管と同じである実施例1の伝熱管サンプルを試作した。 【0030】実施例2実施例1と同様な金属条を使用し、外径7mm,フィン10のねじれ角θ1=20°,フィン11のねじれ角−θ1=−20°,フィン12のねじれ角θ2=20°,−θ2=−20°、各フィン10,11,12のフィン高さh=0.20mm,フィン頂角α=20°であって、構成が第2実施形態の伝熱管と同じである実施例1の伝熱管サンプルを試作した。 【0031】実施例3実施例1と同様な金属条を使用し、外径7mm,フィン10のねじれ角θ1=20°,−θ3=−20°、フィン11のねじれ角−θ1=−20°,θ3=20°、フィン12のねじれ角θ2=20°、各フィン10,11,12のフィン高さh=0.20mm,フィン頂角α=20°であって、構成が第3実施形態の伝熱管と同じである実施例1の伝熱管サンプルを試作した。 【0032】実施例4実施例1と同様な金属条を使用し、外径7mm,フィン10のねじれ角θ1=20°,−θ3=−20°、フィン11のねじれ角−θ1=−20°,θ3=20°、フィン12のねじれ角θ2=20°,−θ2=−20°、各フィン10,11,12のフィン高さh=0.20mm,フィン頂角α=20°であって、構成が第4実施形態の伝熱管と同じである実施例1の伝熱管サンプルを試作した。 【0033】比較例1実施例1と同様な金属条を使用し、外径7mm,フィン50のねじれ角θ4=20°、フィン51のねじれ角−θ4=−20°、各フィン50,51のフィン高さ=0.20mm,フィン頂角=20°であって、図13のような構成の比較例1の伝熱管サンプルを試作した。なお、各実施例1〜4と比較例1の伝熱管サンプルは、フィンの数及び長さを同じにした。 【0034】実施例1〜4の伝熱管サンプルと比較例1の伝熱管サンプルについて、以下の要領で管内伝熱性能試験を実施した。伝熱管サンプルを水平に設置し、管内に冷媒R22を流し、管外で水冷により熱交換させながら、管の入口及び出口の状態を空調機の熱交換器の入口及び出口の状態を同等に調整して、管内熱伝達率を測定した。伝熱性能のばらつきを見るため、各伝熱管サンプルの溶接部を管周上の上,下及び横に位置を変えてそれぞれについて測定した。その結果を表1に示した。伝熱性能比は、三箇所の管内熱伝達率の測定値の平均値を求め、比較例1の伝熱管サンプルの平均値を100としたときの割合で示した。伝熱性能のばらつきは、三箇所の測定値の中の最大値と最小値の差を三箇所の測定値の平均値との割合で示した。 【0035】 表1 伝熱管サンプル 伝熱性能のばらつき(%) 伝熱性能比 比較例1 40 100 実施例1 10 122 実施例2 8 125 実施例3 5 141 実施例4 4 146【0036】表1で示されているように、本発明による実施例の伝熱管サンプルは、従来の伝熱管である比較例の伝熱管サンプルに対して、22〜46%管内熱伝達率が向上している。また、溶接部の位置の変化による伝熱性能のばらつきについても、比較例の伝熱管サンプルよりも本発明による実施例の伝熱管サンプルの方がはるかに小さくなっている。 【0037】他の実施例基本的には実施例1の伝熱管の構成と同じで、第1の長さ方向領域Cにおける周方向領域Wnの数が2,4,6,8,10であるそれぞれの実施例の伝熱管サンプルを試作した。 他の比較例基本的には比較例1の伝熱管の構成と同じで、周方向の領域Rnの数が同様に2,4,6,8,10であるそれぞれの比較例の伝熱管サンプルを試作した。これらの伝熱管サンプルについて、前述の要領と同様に伝熱性能のばらつきを演算し、その結果を表2に示した。 【0038】 表2 周方向領域の数 伝熱性能のばらつき(%) (比較例の伝熱管) (実施例の伝熱管) 2 40 10 4 32 8 6 29 7 8 25 5 10 19 4【0039】表2の結果により、各実施例の伝熱管はそれらに対応する比較例の伝熱管よりも伝熱性能のばらつきがはるかに小さいこと、及び、周方向領域の数が少ないほど伝熱性能のばらつきが大きくなることが判明した。 【0040】 【発明の効果】本発明に係る伝熱管によれば、管内を冷媒が一方向に流れる際、第1の長さ方向領域Cにおいてフィン10,11に沿って合流部13で合流・集束又は分流・拡散した冷媒は、隣の第2の長さ方向領域Dのフィン12で攪拌される。このように、管1内の冷媒の流れの方向性が一定でなくなり、熱交換器に組み込む際の溶接部14の位置による伝熱性能のばらつきが小さくなるので、より安定した伝熱性能を発揮する。また、フィン10,11の合流部13(周方向領域の境界)が、管1の長さ方向に連続していないため、チッピングが発生しにくく、それだけ後述の溝付ロール7の耐久性が向上する。 【0041】請求項2の伝熱管よりも請求項3の伝熱管が、請求項3の伝熱管よりも請求項4の伝熱管が、請求項4の伝熱管よりも請求項5の伝熱管が、それぞれフィンパターンが複雑になるため、伝熱性能のばらつきはより小さくなり、伝熱性能も一層安定する。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000005290 【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年6月24日(1999.6.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100074284 【弁理士】 【氏名又は名称】河野 茂夫
|
| 【公開番号】 |
特開2001−4292(P2001−4292A) |
| 【公開日】 |
平成13年1月12日(2001.1.12) |
| 【出願番号】 |
特願平11−178987 |
|