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【発明の名称】 排気熱交換器
【発明者】 【氏名】柴垣 和弘

【氏名】大河内 隆樹

【氏名】前田 明宏

【氏名】内村 克則

【氏名】森平 晋一

【要約】 【課題】EGRガスクーラの腐食対策を簡便なものとして製造原価低減を図る。

【解決手段】熱交換コア130とコアケーシング143との隙間(コア間隙間)144を積層プレート131、132の積層方向全域に渡って連通させる。これにより、EGRガス(排気通路110)内に発生した凝縮水は、連通路111aを伝ってコアケーシング143の下方側に流れるので、少なくともコアケーシング143の内壁及び最下段側の積層プレート131、132にメッキ処理等の腐食対策処理を施せばよい。したがって、肉厚の薄い積層プレート131、132の腐食を回避しつつ、ガスクーラ100の腐食対策を簡便なものとして、ガスクーラ100の製造原価低減を図ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内燃機関から排出される排気と冷却液との間で熱交換を行う排気熱交換器であって、前記冷却液が流通する複数本のチューブ(120)、及び前記冷却液と前記チューブ(120)外を流通する排気とを熱交換するフィン(111)を有する熱交換コア(130)と、前記熱交換コア(130)を収納するとともに、前記排気が流通する排気通路(110)を構成するコアケーシング(143)とを備え、前記チューブ(120)は、所定形状に成形された前記コアケーシングより肉厚の薄い板材(131、132)を、その板材(131、132)の厚み方向に積層した後、ろう付けすることにより構成され、前記チューブ(120)のうち、その長手方向と直交する幅方向の端部(121)は、前記コアケーシング(143)の内壁と所定の隙間(144)を有して離隔し、さらに、前記チューブ(120)の前記幅方向端部(121)と前記コアケーシング(143)の内壁との間に形成された前記隙間(144)は、前記板材(131、132)の積層方向全域に渡って連通していることを特徴とする排気熱交換器。
【請求項2】 前記チューブ(120)には、前記排気と前記冷却水との熱交換を促進するオフセット型のフィン(111)がろう付け接合されていることを特徴とする請求項1に記載の排気熱交換器。
【請求項3】 前記コアケーシング(143)は、少なくとも1つの開口部(142)を有し、前記熱交換コア(130)を収納するコアタンク(140)と、前記開口部(142)を閉塞するように前記コアタンク(140)と嵌合した状態でろう付け接合されたコアキャップ(141)とを備えて構成されており、前記コアキャップ(141)は、前記コアタンク(140)の上方側に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の排気熱交換器。
【請求項4】 前記コアタンク(140)の底部(140a)に、凝縮水を溜める凹部(140b)を設けたことを特徴とする請求項3に記載の排気熱交換器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関から排出される排気と冷却流体との間で熱交換を行う排気熱交換装置に関するもので、EGR(排気再循環装置)用の排気を冷却するEGRガス熱交換装置(EGRガスクーラ)に適用して有効である。
【0002】
【従来の技術】図11は発明者等が試作検討したEGRガスクーラの断面図であり、このEGRガスクーラでは、所定形状にプレス成形された板材を、その板厚方向に積層した後、ろう付けすることにより冷却水が流通する冷却水チューブ120、及びEGRガス(排気)が流通する排気チューブ110を構成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記試作品では、各排気チューブが独立しているので、EGRガスが冷却されることにより排気チューブ内に発生した凝縮水が各排気チューブ内それぞれに溜まってしまう。このため、各排気チューブ毎に、メッキ処理等の腐食対策を施す必要があるので、EGRガスクーラの製造原価上昇を招いてしまう。
【0004】本発明は、上記点に鑑み、EGRガスクーラ等の排気熱交換器の腐食対策を簡便なものとして、排気熱交換器の製造原価低減を図ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、内燃機関から排出される排気と冷却液との間で熱交換を行う排気熱交換器であって、冷却液が流通する複数本のチューブ(120)、及び冷却液とチューブ(120)外を流通する排気とを熱交換するフィン(111)を有する熱交換コア(130)と、熱交換コア(130)を収納するとともに、排気が流通する排気通路(110)を構成するコアケーシング(143)とを備え、チューブ(120)は、所定形状に成形されたコアケーシングより肉厚の薄い板材(131、132)を、その板材(131、132)の厚み方向に積層した後、ろう付けすることにより構成され、チューブ(120)のうち、その長手方向と直交する幅方向の端部(121)は、コアケーシング(143)の内壁と所定の隙間(144)を有して離隔し、さらに、チューブ(120)の幅方向端部(121)とコアケーシング(143)の内壁との間に形成された隙間(144)は、板材(131、132)の積層方向全域に渡って連通していることを特徴とする。
【0006】これにより、排気通路110内に発生した凝縮水はコアケーシング143の下方側に流れるので、本発明では、少なくともコアケーシング(143)の内壁及び最下段側に位置する板材(131、132)に腐食対策処理を施せばよい。
【0007】したがって、肉厚の薄い板材(131、132)の腐食を回避しつつ、排気熱交換器の腐食対策を簡便なものとして、ガスクーラ100の製造原価低減を図ることができる。
【0008】請求項2に記載の発明では、チューブ(120)には、排気と冷却水との熱交換を促進するオフセット型のフィン(111)がろう付け接合されていることを特徴とする。
【0009】これにより、フィン(111)が配設された部位に凝縮水が滞留することを未然に防止できるので、排気熱交換器の耐食性をより確実に向上させることができる。
【0010】請求項3に記載の発明では、コアケーシング(143)は、少なくとも1つの開口部(142)を有し、熱交換コア(130)を収納するコアタンク(140)と、開口部(142)を閉塞するようにコアタンク(140)と嵌合した状態でろう付け接合されたコアキャップ(141)とを備えて構成されており、コアキャップ(141)は、コアタンク(140)の上方側に位置していることを特徴とする。
【0011】これにより、ろう付け部に凝縮水が溜まることを防止できるので、ろう付け部が腐食破壊されることを未然に防止できる。
【0012】請求項4に記載の発明では、コアタンク(140)の底部(140a)に、凝縮水を溜める凹部(140b)を設けたことを特徴とする。
【0013】これにより、最下段部側の板材(131、132)に凝縮水が滞留することを防止できるので、肉厚の薄い板材(131、132)からなる熱交換コア(130)を腐食から効果的に保護することができる。
【0014】因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0015】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)本実施形態は、本発明に係る排気熱交換器をディーゼルエンジン(内燃機関)用のEGRガス冷却装置に適用したものであり、図1は本実施形態に係るEGRガス冷却装置(以下、ガスクーラと呼ぶ。)100を用いたEGR(排気再循環装置)の模式図である。
【0016】図1中、200はディーゼルエンジン(以下、エンジンと略す。)であり、210はエンジン200から排出される排気の一部をエンジン200の吸気側に還流させる排気再循環管である。
【0017】220は排気再循環管210の排気流れ途中に配設されて、エンジン200の稼働状態に応じてEGRガス量を調節する周知のEGRバルブであり、ガスクーラ100は、エンジン200の排気側とEGRバルブ220との間に配設されてEGRガスとエンジン冷却水(以下、冷却水と略す。)との間で熱交換を行いEGRガスを冷却する。
【0018】次に、ガスクーラ100の構造について述べる。
【0019】図2はガスクーラ100の外形図であり、図3は図2のA−A断面図であり、図4は図2のB−B断面図であり、図5は図2のC−C断面図である。そして、図3〜5中、110はEGRガス(第2流体)が流通する排気通路であり、120は冷却水(第1流体)が流通するチューブである。
【0020】そして、排気通路110のうちチューブ120間の隙間112には、例えば図3に示すように、EGRガスとの接触面積を拡大してEGRガスと冷却水との熱交換を促進するステンレス製のインナーフィン111が配設されており、このインナーフィン111は、排気通路110内においてEGRガスの温度境界層が成長することを抑制すべく、EGRガス流れに対して直交する方向に互いにずれた部位を有するオフセット型のフィンである。
【0021】なお、オフセット型のフィン(マルチエントリ型フィン)とは、熱交換器設計ハンドブック(工学図書株式会社発行)や第19回・日本伝熱シンポジウム講演論文集等に記載されているように、板状のセグメントを千鳥状にオフセット配置したものである。
【0022】また、チューブ120は、所定形状にプレス成形された積層プレート(板材)131、132を2枚一組としてその厚み方向(紙面上下方向)に積層することによって形成されており、この組をなす積層プレート131、132とインナーフィン111とを交互に積層することによってEGRガスと冷却水とを熱交換する熱交換コア130が構成されている。
【0023】また、140は熱交換コア130を収納する箱状のコアタンクであり、141は、コアタンク140に形成された熱交換コア130(積層プレート131、132)を組み込むための開口部142を閉塞するコアキャップ(コアプレート)である。このため、熱交換コア130の周囲のコアケーシング143内空間が排気通路110を構成することとなる。
【0024】そして、本実施形態では、コアキャップ141を上方側に位置させた状態で、コアキャップ141はコアタンク140の内壁に接触するようにコアタンク140に嵌合した状態でろう付け接合されている。以下、コアタンク140及びコアキャップ141からなる容器をコアケーシング143と呼ぶ。
【0025】なお、本実施形態では、コアタンク140及びコアキャップ141のうち両者140、141が互いに接触する嵌合部140a、141aは、図6に示すように、コアタンク140とコアキャップ141との嵌合方向(開口部142の開口面と直交する方向)Dに対して互いに同方向に傾くように所定の曲率半径を有してテーパ状になっている。
【0026】また、本実施形態では、図5に示すように、チューブ120のうち、その長手方向(紙面垂直方)と直交する幅方向(紙面幅方向)の端部121は、コアケーシング143の内壁と所定の隙間(以下、この隙間をコア間隙間と呼ぶ。)144を有して離隔しており、このコア間隙間144は、連通路111aを介して積層プレート131、132の積層方向全域に渡って連通している。
【0027】ここで、チューブ120の幅方向端部121には、2枚の積層プレート131、132の重なり代部分121aを含んでおらず、内壁側の幅方向端部と略一致するものである。
【0028】因みに、本実施形態では、積層プレート131、132、コアタンク140及びコアキャップ141は耐食性に優れたステンレス製であり、かつ、積層プレート131、132の肉厚は、コアタンク140及びコアキャップ141の肉厚より薄く、これら131、132、140、141は、銅等をろう材としてろう付け接合されている。
【0029】ところで、図2〜4中、151は冷却水を熱交換コア130に導く冷却水導入パイプ部であり、152は熱交換を終えた冷却水を排出する冷却水排出パイプ部である。また、153は排気をコアタンク140(排気通路110)に導入する排気導入ジョイント部であり、154は熱交換を終えた排気を排出する排気排出ジョイント部である。
【0030】次に、ガスクーラ100の製造方法の概略について述べる。
【0031】図3〜5に示すように、コアキャップ141の上に積層プレート131、132及びインナーフィン111を順次上方側に向けて積層して、コアキャップ141上に熱交換コア130を仮組みする(コア組工程)。
【0032】次に、熱交換コア130の上方側から熱交換コア130を覆うようにコアタンク140を被せるとともに、治具にて上方側からコアタンク140を圧縮してコアキャップ141、熱交換コア130及びコアタンク140を仮固定する仮固定工程)。
【0033】その後、炉内で加熱して積層プレート131、132、インナーフィン111コアタンク140及びコアキャップ141を一体ろう付けする(ろう付け工程)。
【0034】次に、本実施形態の特徴を述べる。
【0035】コア間隙間144は、積層プレート131、132の積層方向全域に渡って連通しているので、EGRガス(排気通路110)内に発生した凝縮水は、連通路111aを伝ってコアケーシング143の下方側に流れる。
【0036】したがって、本実施形態では、少なくともコアケーシング143の内壁及び最下段側の積層プレート131、132にメッキ処理等の腐食対策処理を施せばよいので、肉厚の薄い積層プレート131、132の腐食を回避しつつ、ガスクーラ100の腐食対策を簡便なものとして、ガスクーラ100の製造原価低減を図ることができる。
【0037】また、コアキャップ141を上方側に位置させた状態でコアキャップ141がコアタンク140にろう付け接合されているので、ろう付け部に凝縮水が溜まることを防止できるので、ろう付け部が腐食破壊されることを未然に防止できる。
【0038】ところで、例えばチューブ120間の隙間112に発生した凝縮水は、車両振動により連通路111aに流れ込み、コアケーシング143の下方側に溜まるが、インナーフィン111が存在すると、凝縮水が流れ難く、凝縮水が隙間112に滞留するおそれがある。
【0039】これに対して、本実施形態では、インナーフィン111をオフセット型のフィンとしているので、波状のコルゲートフィン等のその他のフィンに比べて排水性が良く、凝縮水が隙間112に滞留してしまうことを未然に防止でき、ガスクーラ100の耐食性をより確実に向上させることができる。
【0040】なお、ガスクーラ100を車両に組み付ける際に、チューブ120の長径方向を水平方向に対して傾ければ、より効果的に凝縮水を隙間112から排水できる。
【0041】(第2実施形態)本実施形態は、図7に示すように、断面形状を凹状としてチューブ120の長手方向と平行な方向に延びて、凝縮水を溜める凹部140bをコアタンク140の底部140aに設けたものである。
【0042】これにより、最下段部の積層プレート131、132に凝縮水が滞留することを防止できるので、肉厚の薄い積層プレート131、132(熱交換コア130)を腐食から効果的に保護することができる。
【0043】(その他の実施形態)上述の実施形態では、コアキャップ141を上方側に位置させたが、図8に示すように、コアキャップ141を下方側に位置させてもよい。
【0044】また、上述の実施形態では、コアキャップ141をコアタンク140にカシメ嵌合した状態でろう付け接合したが、コアキャップ141をコアタンク140にすきまばめ程度で填め込んだ状態でろう付け接合してもよい。
【0045】これにより、ろう付け時にコアキャップ141を上方側に位置させた場合にはコアキャップ141の自重により、コアキャップ141を下方側に位置させた場合には熱交換コア130の自重により、コアキャップ141と熱交換コア130(積層プレート131)とを確実にろう付け接合することができる。
【0046】また、上述の実施形態では、図6に示すように、コアタンク140及びコアキャップ141のうち両者140、141が互いに接触する嵌合部140a、141aは、コアタンク140とコアキャップ141との嵌合方向(開口部142の開口面と直交する方向)Dに対して互いに同方向に傾くいていたが、本発明は、これに限定されるものではなく、図9に示すように、コアキャップ141にコアタンク140の開口側端部が嵌合挿入される嵌合溝141bを塑性加工(プレス加工)にて一体成形したものである。
【0047】なお、嵌合溝141bの溝深さdは、ろう付け工程時に、積層プレート131、132に表面に被覆されたろう材が流れて熱交換コア130の高さ寸法hが減少変化することを考慮して、大きめに設定することが望ましい。
【0048】また、図10に示すように、コアタンク140内に填め込みようにコアキャップ141を嵌合させてもよい。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成11年12月21日(1999.12.21)
【代理人】 【識別番号】100100022
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 洋二 (外2名)
【公開番号】 特開2001−174173(P2001−174173A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−363026