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【発明の名称】 コンクリートを使用した蓄熱・蓄冷材
【発明者】 【氏名】木藤 和明

【氏名】椎名 孝次

【氏名】千野 耕一

【氏名】荒木 秀文

【要約】 【課題】液体空気エネルギー貯蔵型ガスタービン発電システムを成立させるため、幅広い温度範囲で使用でき、熱的性能、信頼性、耐久性が高いコンクリート方式蓄熱・蓄冷槽の開発が必要とされる。

【解決手段】蓄冷槽1A内に配置した第1伝熱管2Aは高圧空気を液体空気貯蔵タンク10内に注入し冷却し、高圧空気を冷却した冷却空気は第2伝熱管2Bを流れ、蓄冷槽8を通過する時にコンクリート3により冷却空気の熱を奪い、コンクリート3は蓄冷或いは蓄熱材として使用することが出来ると共に、コンクリート3に生ずる膨張及び収縮は、気泡4及び熱伝導促進材5で吸収されるので、コンクリート3に亀裂が生じにくい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コンクリートを使用した蓄熱・蓄冷材において、複数の配管をセメントにAE減水材及び熱伝導促進材を添加し、混練した形成した気泡を有するコンクリートで被覆することを特徴とするコンクリートを使用した蓄熱・蓄冷材。
【請求項2】 コンクリートを使用した蓄熱・蓄冷材において、複数の配管をセメントにAE減水材及び熱伝導促進材を添加し、混練したコンクリートで被覆し、コンクリート蓄熱・蓄冷材は温度0℃における引き張り強度1.5×106N以上で、かつ熱伝導率2.0W/mK以上の熱伝導促進材を混入することを特徴とするコンクリートを使用した蓄熱・蓄冷材。
【請求項3】 コンクリートを使用した蓄熱・蓄冷材において、複数の配管をセメントにAE減水材及び熱伝導促進材を添加し、混練したコンクリートで被覆し、少なくとも2本の配管の一方端側に冷却手段を連結し、他方端側の第1配管より注入した媒質を冷却手段に供給し、冷却手段で冷却された冷却媒質が第2配管よりコンクリートを通過する際に冷却媒質の熱を奪い蓄熱・蓄冷するコンクリートとして使用することを特徴とするコンクリートを使用した蓄熱・蓄冷材。
【請求項4】 請求項1から3項のいずれか1項に記載において、コンクリート蓄熱・蓄冷材に添加するAE減水材の質量がセメント質量に対し、0よりも大きく2.0%以下の範囲あることを特徴とするコンクリートを使用した蓄熱・蓄冷材。
【請求項5】 求項1から4項のいずれか1項に記載において、コンクリート蓄熱・蓄冷材に混入する引き張り強度1.5×106N以上で、かつ熱伝導率2.0W/mK以上の熱伝導促進材の質量が、セメント質量に対し、0よりも大きく250%以下の範囲にあることを特徴とするコンクリートを使用した蓄熱・蓄冷材。
【請求項6】 請求項1から5項のいずれか1項の記載において、熱伝導促進材が長さ1mm以上の繊維状であることを特徴とするコンクリートを使用した蓄熱・蓄冷材。
【請求項7】 請求項3の記載にのいて、コンクリートで被覆された2本の配管の他方端側をガスタービン発電システムの空気圧縮機と燃焼器の間に設置して、燃焼器供給用空気源としたことを特徴とするコンクリートを使用した蓄熱・蓄冷材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコンクリートを使用した蓄熱・蓄冷材に関し、この蓄熱・蓄冷材を用いた蓄熱・蓄冷槽、又は当該蓄熱・蓄冷槽を用いたエネルギー貯蔵システムに係わる。
【0002】
【従来の技術】エネルギーの有効利用のため、現在までに蓄熱・蓄冷を目的としてさまざまな装置が提案されている。現在は、潜熱を利用して蓄熱・蓄冷効率を高めた装置が主流である。液体の凝固熱を用いたシステムは、ビルなどのシステム空調に利用されている氷蓄熱に代表されるように、比較的大規模なシステムを構築しやすい。氷蓄熱に関しては、特開平5−340571号公報や特開平5−005541号公報など数多くの特許が出願されている。
【0003】しかし、水は凝固時に体積膨張して蓄冷槽構造物に負荷がかかる。そのため、これら水を用いた蓄冷槽の最低使用温度は、氷の結晶成長を回避できる温度(0℃程度)までに限られる。
【0004】これらに対し、固体の蓄冷材を用いた蓄冷槽も提案されている。固体蓄冷材は凝固熱を用いることはできないものの、非常に低い温度まで安定して使用することができ、特開平5−239586号公報では−250℃以下の極低温でも使用できるRuと希土類元素から成る合金を蓄冷材として提案している。
【0005】以上のような蓄冷槽に対し、建築物の床部分、柱部分、梁部分、基礎部分などに使われているコンクリートをそのまま蓄熱・蓄冷材として用い、ビル空調などに利用する案が特開平10−227486号公報で提案されている。この発明では、建築物の構造材であるコンクリートをそのまま蓄熱・蓄冷材として用い、空調機と空調空間と蓄熱・蓄冷部が閉ループを構成する蓄熱・蓄冷システムを提案している。
【0006】同様に、コンクリートなどの固体を蓄冷材として用いた蓄冷槽の案が特開平10−238366号公報でも提案されている。この発明では、流体流路中に球状又はそれに類する形状の固体蓄熱・蓄冷材を充填し、ここを流した流体と蓄熱・蓄冷材を直接接触させて伝熱させている。固体蓄冷材としては、石,セラミックス,金属酸化物,コンクリートなどを挙げている。流体流路配管は、内部に蓄冷材が入るため、口径が大きな耐圧管である。蓄熱・蓄冷槽自体の構造強度は耐圧管に持たせるか、又は耐圧管をコンクリート中に埋め込むことで、コンクリートと耐圧管に持たせている。この方法は、蓄熱・蓄冷材と流体を直接接触させるため、熱抵抗が小さくでき、また蓄熱・蓄冷材が球形であるため伝熱面積を大きくでき、熱の取り出し性能が高い。また、高温から低温まで安定した固体を用いることで、蓄熱・蓄冷槽とすることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】蓄熱・蓄冷槽を用いたエネルギー貯蔵システムとして、蓄冷槽に貯蔵した冷熱を用いて、エネルギーを液体空気で貯蔵するシステム(液体空気エネルギー貯蔵システム)が特開平9−250360号公報で提案されている。このシステムが成立するためには、常温から氷点下200℃近い極低温まで使用可能で、安価で熱取り出し性能の高い蓄熱・蓄冷槽が必要である。
【0008】上記の特徴を満たす蓄熱・蓄冷槽としてコンクリートを蓄熱・蓄冷材に用いる案が特開平10−238366号公報で提案されている。この発明では、液体空気エネルギー貯蔵システムで用いることを目的とした蓄熱・蓄冷槽の構造を提案している。しかし、蓄熱・蓄冷材として用いるのに適したコンクリート組成などは検討されていない。また、コンクリートに大きな温度差の過渡サイクルをかけると、クラック発生によりコンクリートの熱伝導率が劣化したり、コンクリートと伝熱管の間に空気層ギャップが生成されて大きな熱抵抗が生ずる可能性がある。よって、コンクリート方式蓄熱・蓄冷槽が成立するには、熱伝導率が高く、熱過渡サイクルによる熱的性能劣化を抑制できる、コンクリート蓄熱・蓄冷材の出現が待たれていた。
【0009】本発明の目的は、大きな温度差の熱過渡サイクルによるコンクリート蓄熱・蓄冷材の熱的性能劣化を抑制するコンクリートを使用した蓄熱・蓄冷材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的の達成するために本発明では、大きな温度差の熱過渡サイクルによるコンクリート蓄熱・蓄冷材の熱的性能劣化を抑制するため、蓄熱・蓄冷材として用いるコンクリートにAE減水材を添加する。
【0011】コンクリートにAE減水材を添加することで、コンクリート混練り時に必要な水の量を減少でき、同時にコンクリート中に気泡を混入できる。混練り時の水の量を減少させることで、コンクリート中の自由水の量を減少させることができ、自由水の凝固・融解に伴うクラック発生を抑制し、その結果コンクリート熱伝導率低下と空気層ギャップの生成を抑制できる。
【0012】また、コンクリート中の気泡は自由水の凝固・溶融時の体積変化を吸収する。コンクリートにAE減水材を添加して凍害に強くする手法は、寒冷地用のコンクリート建造物などで既に使われているが、コンクリートを蓄熱・蓄冷材に用いる場合には気泡混入による熱伝導率低下が危惧される。そのため、AE減水材の添加量がセメントとの重量比で0よりも大きく2.0%以下とする。2.0%以上だと気泡が多くなり、コンクリートの機械的強度が得られない。
【0013】また上記目的のうち大きな温度差の熱過渡サイクルによるコンクリート蓄熱・蓄冷材の熱的性能劣化を抑制し、同時にコンクリート方式蓄熱・蓄冷槽の熱的性能を向上させるため、温度0℃における引き張り強度1.5×106N以上で、かつ熱伝導率2.0W/mK以上の熱伝導促進材をコンクリートに混入する。張り強度1.5×106N以下だと、コンクリートが膨張収縮時の応力で破損する恐れが有る。又、熱伝導率2.0W/mK以下だと、熱伝導率が悪くなり、所望に低下しにくい。
【0014】コンクリートはセメントに骨材となる砂や砂利を混ぜてつくる。コンクリートの熱伝導率を高めるためには、砂や砂利の充填密度を大きくした方がよい。通常のコンクリートの温度0℃における熱伝導率は1.2から1.5W/mK程度であるが、砂や砂利の充填密度の高いコンクリートを製作したところ、熱伝導率を約1.8W/mKまで高めることができた。このコンクリート蓄熱・蓄冷材に熱伝導促進材を混入することにより、コンクリート熱伝導率を更に向上できる。
【0015】しかし、熱伝導促進材の混入はコンクリートの流動性を低下させ、空隙の生成によりコンクリート熱伝導率が低下することもある。実際にサンプルを作成しコンクリート熱伝導率を測定した結果、15%程度熱伝導率が減少したものがあった。よって、コンクリートの熱伝導率を向上させるため、熱伝導促進材の熱伝導率は、コンクリートの熱伝導率(実測値1.8W/mK)より15%高い、2.0W/mK以上とした。
【0016】また、熱伝導促進材の混入によりコンクリートの引き張り強度が低下すると、熱過渡サイクルによるクラック発生が促進され、熱伝導率が低下する恐れがある。そのため、加える物質の引き張り強度は、コンクリートの引き張り強度(1.5×106N程度)よりも大きくする必要がある。熱伝導促進材は、それ自体をコンクリートの骨材としてもよい。ただし、コンクリートの強度を確保するため、熱伝導促進材はセメントとの重量比で250%以下とする。
【0017】また上記目的の内、コンクリート方式蓄熱・蓄冷槽の蓄熱・蓄冷材容量を最適化するため、コンクリート蓄熱・蓄冷材容量W(kg)を、必要な蓄熱・蓄冷量Q(J)、蓄熱・蓄冷槽最低運転温度T1(℃)、最高運転温度T2(℃)を用いて、以下の式(数1)で表わされる範囲とする。
【0018】
【数1】

【0019】コンクリート蓄熱・蓄冷材容量の最適化は、常温から極低温までの比熱を実測し、これに液体空気エネルギー貯蔵システムが成立するための熱貯蔵・取り出し効率を考慮することにより達成できる。液体空気エネルギー貯蔵システムに用いるのに適当なコンクリート蓄熱・蓄冷材の比熱Cp(J/kgK)は、コンクリート中の空気量、水分量、熱伝導促進材の増減を考慮し、コンクリート温度T(℃)を用いて表わすと、以下の範囲になる。
【0020】
【数2】

【0021】
【数3】

【0022】蓄熱・蓄冷量Q(J)を貯蔵するのに必要なコンクリート質量は、上記比熱と熱貯蔵・取り出し効率ηから求めることができる。必要なコンクリート蓄熱・蓄冷材質量の最大量は、熱貯蔵・取り出し、効率と比熱が最低である場合を仮定すれば良い。比熱の最小値を表わす関数f(T)は、温度0℃を挟んで場合分けされるが、運転温度範囲が0℃を含む場合はf(T)の平均値を用いる。逆にコンクリート蓄熱・蓄冷材質量の最小値は、熱貯蔵・取り出し効率と比熱が最大の場合を仮定すればよい。実際にはポンプなどのエネルギー損失があるので、蓄熱・蓄冷量に損失分を加える必要がある。以上より、必要なコンクリート質量Wは式(数4)で表わされる。
【0023】
【数4】

【0024】ここで、熱貯蔵・取り出し効率は揚水発電のエネルギー貯蔵効率並み(70%)から100%までの範囲とし、ポンプなどのエネルギー損失を4%とした。
【0025】更に、蓄熱・蓄冷槽を液体空気エネルギー貯蔵システムに適用する場合のように、蓄冷槽出口空気温度を一定に保つ必要がある場合は、この2.5から5.0倍のコンクリート質量が必要となる。よって、必要なコンクリート質量の最大量は、蓄冷槽出口空気温度を一定に保つために5.0倍のコンクリート質量が必要として評価すると、必要な全コンクリート質量は式(数1)で表わされる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施例を図面を用いて説明する。これは例示的なものであり、本発明を限定するものではない。
【0027】図1に本発明の実施例であるコンクリート方式蓄熱・蓄冷槽の断面図を示し、図2に本蓄熱・蓄冷槽の使用例であるエネルギー貯蔵形ガスタービン発電システムのシステム構成図を示す。
【0028】まず、コンクリート方式蓄熱・蓄冷槽の構造を図1を用いて説明する。図1は金属製の外壁1の中に伝熱管2を複数通し、その周りをコンクリート3で封入したものである。通常のコンクリートは、セメント、砂、砂利および水より構成される。蓄冷材として用いるコンクリート3は、AE減水材をセメント重量比で2.0%以下添加し、コンクリート中の自由水を減少させると共に、コンクリート中に微少な空気泡4を混入する。
【0029】更に熱伝導促進材5として、温度0℃における引き張り応力2.0×109N、熱伝導率16.0W/mK、長さ10から30mmのステンレス製の繊維をセメント重量比で0から40%混入する。ここではステンレスの混入割合が小さいが、ステンレスを骨材の一部として用いる場合には更に多くのステンレスを混入する。コンクリート中に金属製の繊維を混入する場合には、防錆のために表面をガラスなどで覆う場合もあるが、ここでは熱伝導率を高めるために表面処理はしない。熱伝導促進材として鉄、鋼、銅等の熱伝導であれば良い。
【0030】次に、本発明によるコンクリート蓄熱・蓄冷槽1Aの使用例であるエネルギー貯蔵型ガスタービン発電システムを図2を用いて説明する。このシステムは、特開平9−250360号公報で提案されている負荷平準化を目的とした発電システムである。本システムは、夜間電力を液体空気の形でエネルギー貯蔵し、昼間の電力需要ピーク時に放出することによって、電力負荷平準化を行うシステムである。本使用例中では、蓄熱・蓄冷槽は冷熱を貯蔵する蓄冷槽として用いられるため、名称は蓄冷槽で統一する。
【0031】先ず、夜間電力を用いてモーター兼発電機6によって圧縮機7を運転し、高温の高圧空気を生成する。ここでモーター兼発電機6は、夜間の液体空気製造時はモーターとして圧縮機7を運転し、昼間の電力需要ピーク時には発電機として使用される。圧縮機7により圧縮された高圧の空気は蓄冷槽8を通り、大気圧下の飽和乾き空気のエンタルピー以下まで冷却される。蓄冷槽8には本発明のコンクリート3が使用されている。蓄冷槽8内のコンクリート3は逆に加熱されることになる。この高圧で低温の空気は、断熱膨張弁9で断熱膨張させられ、一部が液化する。液化した空気は液体空気貯蔵タンク10に送られ、貯蔵される。これで夜間の運転は終了する。
【0032】次に、昼間の電力需要ピーク時に、液体空気貯蔵タンク10より液体空気を蓄冷槽8内のコンクリート3に供給する。蓄冷槽8内のコンクリート3は夜間の運転により温度が上昇しているため、蓄冷槽温度は液体空気温度よりも高い。よって、液体空気は蓄冷槽8のコンクリート3を通ることによって、蓄冷槽8のコンクリート3を冷却すると共に、空気は加熱される。加熱された空気は、燃焼器12に送られる。この空気は、燃焼器11内で天然ガス12と混合された後、燃焼させられ、タービン13でエネルギーを回収する。
【0033】通常のガスタービン発電では、タービン13で回収されたエネルギーの50から60%程度が圧縮機7の動力に使われている。そのため、モーター兼発電機6で実際に発電に使えるエネルギーは、タービン13で回収されたエネルギーの40から50%程度である。
【0034】しかし、本発電システムによれば、電力需要ピーク時に圧縮機7を用いずに高圧空気を供給できるため、タービン13で回収されたエネルギーを、他の小さな損失を無視すれば、100%発電に使うことができる。よって、発電電力量を約2倍に増加させることができ、負荷平準化が可能となる。
【0035】このように本発明によれば、蓄冷槽1A内に2本の伝熱管2A,2Bを配置している。そのうちの第1伝熱管2Aは高圧空気を液体空気貯蔵タンク10内に注入し冷却し、高圧空気を冷却空気にする。冷却空気は第2伝熱管2Bを流れ、蓄冷槽8を通過する時にコンクリート3により冷却空気の熱を奪い、コンクリート3は蓄冷或いは蓄熱するので、蓄冷或いは蓄熱材として使用できる。この状態で高圧空気が第1伝熱管2Aに供給され、蓄冷槽8を通過する時にコンクリート3の冷気を奪い、高圧空気は冷却されて液体空気貯蔵タンク10内に供給される。このためコンクリート3は膨張及び収縮をするが、膨張は気泡4及び熱伝導促進材5で吸収されると共に、収縮は熱伝導促進材5で吸収されるので、コンクリート3に亀裂が生じにくい。また液体空気貯蔵タンク10と連通している第2伝熱管2Bに他の機器或いは冷却室を接続して、冷却装置として使用することも出来る。
【0036】次に、本発明による蓄熱・蓄冷材であるコンクリート3と通常のコンクリートについて、熱過渡サイクルに対する耐久性と伝熱性能を比較評価した結果を説明する。本発明によるAE減水材と熱伝導促進材(ここではステンレスを用いた)を混入したコンクリート3(以下、高耐久性コンクリートとする)と、通常のコンクリートでテストピースを製作し、35℃から−190℃までの熱過渡サイクルをかけた結果を図3に示す。図3より、通常コンクリートは表面に亀裂14が発生したが、本発明による高耐久性コンクリートには亀裂発生が無く、健全性が保たれることが分かる。
【0037】このコンクリートに伝熱管を通した蓄冷槽を製作し、伝熱管中に液体窒素(温度−190℃)と常温の空気(温度30℃)を5から8時間づつ交互に流す試験をした。蓄冷材には通常コンクリートと、高耐久性コンクリートの2種類を用いた。常温から−190℃まで冷却した時のコンクリート温度プロフィールを、熱過渡サイクル数Nが1回目、10回目および20回目の結果を比較して図4に示す。通常コンクリートの冷却試験時にNが10回目の結果は、時刻2.5時間以降のコンクリート温度低下速度が約30%減少した。コンクリート温度低下速度の減少はコンクリートの熱伝導率が低下したことを意味し、コンクリート方式蓄冷槽の熱的性能が劣化していることを示す。本発明による高耐久性コンクリートでは、Nによるコンクリート温度プロフィールの違いは見られず、蓄冷槽の熱的性能が維持された。
【0038】次に、通常コンクリートと高耐久性コンクリートについて、熱過渡サイクル数Nに対するコンクリート熱伝導率λの変化を通常コンクリートのλの初期値λ0との比で図5に示す。通常コンクリートのλの初期低下は10サイクル当たり4.2%であったが、本発明による高耐久性コンクリートでは10サイクルあたり0.6%と1/7に低減した。また、高耐久性コンクリートでは鋼繊維の混入により熱過渡サイクルをかける前のλも向上した。
【0039】また、伝熱管とコンクリートの間の空気層ギャップ生成について調べるため、空気層ギャップの熱通過率(以下実効ギャップ熱伝達率hGとする)を比較した結果を、通常コンクリートの平均値hG0との比で図6に示す。本発明による高耐久性コンクリートのhGは通常コンクリートの約2.6倍の値を示した。これは、高耐久性コンクリートでは、空気層ギャップの生成が十分抑制されたことを示す。以上より、蓄冷材に高耐久性コンクリートを用いることで、コンクリート蓄熱・蓄冷材の熱伝導率が向上し、また熱伝導率の劣化を抑制できることが分かった。
【0040】図7に本発明の蓄冷槽を図2に示す液体空気エネルギー貯蔵システムに適用した場合の、蓄熱・蓄冷槽にかかる温度差とコンクリート蓄熱・蓄冷材の必要な質量の関係を示す。図7の評価では、必要な蓄熱・蓄冷槽熱容量1.4×1012(J)、平均使用温度−80℃、蓄熱・蓄冷槽のエネルギー貯蔵効率90%、蓄冷槽出口空気温度を一定に保つために2.5〜5.0倍のコンクリート質量が必要として計算した。ここで用いた必要な蓄熱・蓄冷槽熱容量は、液体空気エネルギー貯蔵システムにおいて、1サイクルで500MWh発電する時に必要な容量である。蓄冷槽出口空気温度を一定に保つために必要なコンクリート質量は、伝熱管ピッチとの関係で表わすと図8となる。
【0041】図8の縦軸は、出口空気温度を一定に保つのに必要なコンクリート質量を、蓄冷量とコンクリート比熱の熱バランスから単純に評価したコンクリート質量に対する比で表わした。図8より、出口空気温度を一定に保つのに必要なコンクリート質量は、最小で3倍程度までできることが分かる。この値は伝熱管材質などを変えることで最小2.5倍程度まで小さくすることが可能と考える。しかし、コンクリート質量を小さくするためには伝熱管ピッチを狭くする必要があり、コストの上昇を招く。コスト的な最適点は伝熱管やコンクリートの材質などに依存し、おおよそ2.5〜5.0倍の範囲になる。
【0042】図7において、蓄熱・蓄冷槽入口温度を20℃、出口温度を−180℃と仮定すると、蓄冷槽の運転温度差ΔTは200℃となり、必要な蓄熱・蓄冷材コンクリート質量は28〜85×106kgとなる。
【0043】
【発明の効果】以上のように、本発明のコンクリートによれば、コンクリートにより冷却空気の熱を奪ったり、或いは空気を冷したりする蓄冷或いは蓄熱材として利用することが出来る。又コンクリートを蓄冷或いは蓄熱材として利用する時にコンクリートには膨張及び収縮をする応力が働くが、膨張は気泡4で吸収されると共に、収縮は熱伝導促進材5で吸収されるので、コンクリート3に亀裂が生じにくい。
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成11年11月10日(1999.11.10)
【代理人】 【識別番号】100068504
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 勝男 (外1名)
【公開番号】 特開2001−141380(P2001−141380A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−319490