| 【発明の名称】 |
複式熱交換器 |
| 【発明者】 |
【氏名】堀内 博文
【氏名】一柳 茂治
【氏名】徳竹 敏則
|
| 【要約】 |
【課題】数の熱交換モジュールが重なる形に並列配置して全モジュールにわたる一連の冷媒回路を構成した複式熱交換器として、冷媒側の圧力損失が小さいものを提供する。
【解決手段】各熱交換モジュールM1〜M3の熱交換管が互いに偏平面を対向して配置した偏平チューブ3…からなり、空気の流れ方向aに対応して冷媒の乾き度の高い側にあるモジュールの偏平チューブ3が、同乾き度の低い側にあるモジュールの偏平チューブ3よりも大きいチューブ幅w3 を有する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 対置した一対のヘッダータンクと、両ヘッダータンクに両端を連通させて平行配置した多数本の熱交換管とを備えた複数の熱交換モジュールからなり、これらモジュールが重なる形に並列配置して一連の冷媒回路を構成する複式熱交換器において、各熱交換モジュールの熱交換管が互いに偏平面を対向して配置した偏平チューブからなり、空気の流れ方向に対応して冷媒の乾き度の高い側にあるモジュールの偏平チューブが、同乾き度の低い側にあるモジュールの偏平チューブよりも大きいチューブ幅を有することを特徴とする複式熱交換器。 【請求項2】 複数の熱交換モジュールは、相互のヘッダータンクの並び方向が偏平チューブの長手方向に対して斜交するように位置をずらせて配置してなる請求項1記載の複式熱交換器。 【請求項3】 内部が長手方向に連続する複数の中空部に区切られたヘッダー部材を備え、該ヘッダー部材の各中空部が各熱交換モジュールのヘッダータンクを構成する請求項1記載の複式熱交換器。 【請求項4】 ヘッダー部材は、少なくとも最も広幅の中空部に、偏平チューブ連結側の壁部とこれに対向する壁部との間を繋ぐ中間壁部を有すると共に、この中間壁部の両側空間が当該中間壁部の開口部で連通してなる請求項3記載の複式熱交換器。 【請求項5】 各熱交換モジュールの偏平チューブは、ヘッダータンク内への挿入深さがチューブ毎に順次異なるように取り付けられてなる請求項1〜4のいずれかに記載の複式熱交換器。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、自動車用、家庭用、業務用等のエアコンシステムにおける蒸発器や凝縮器に利用される複式熱交換器に関する。 【0002】 【従来の技術】エアコンシステムの熱交換器として、対置した一対のヘッダータンク間に、熱交換管路をなす多数本の偏平チューブが両端を両ヘッダータンクに各々連通接続して平行配置してコア部を構成し、隣合う偏平チューブの間に蛇行状フィンを介在させた積層型熱交換器が汎用されている。そして、特に蒸発器においては、このような積層型熱交換器を熱交換モジュールとし、その複数の熱交換モジュールを重なる形に並列配置して、全モジュールにわたる一連の冷媒回路を構成した複式熱交換器が多用されている。 【0003】図9は3基の熱交換モジュール(M1)(M2)(M3)よりなる従来の複式熱交換器の構成例を示す。この複式熱交換器の熱交換モジュール(M1)〜(M3)は、上下一対の丸パイプ状のヘッダータンク(21)(22)と、両ヘッダータンク(21)(22)間に平行配置してコア部(20)を形成する多数本の偏平チューブ(23)…とからなる同じ構造及び大きさを有しており、互いの隣接したヘッダータンク(21)(21)同士ならびに(22)(22)同士を適所で連通(図示省略)させて一連の冷媒回路を構成している。(24)は隣合う偏平チューブ(23)(23)間に介在する蛇行状フィン、(25)はコア部(20)の両側に配置したカバーであり、両者共に、並列した全モジュール(M1)〜(M3)にわたる共通部材としての広幅のものを使用する場合と、モジュール(M1)〜(M3)の各々に対応する独立部材としての狭幅のものを使用する場合とがある。 【0004】ところで、この種の複式熱交換器では、高い熱交換効率を得る上で、空気の流通方向に対して冷媒の流れがクロスカウンターフローとなるように冷媒回路を設定するのが一般的である。すなわち、図9の例では、冷媒は、モジュール(M1)の下側ヘッダータンク(22)に設けた冷媒入口(26)より流入し、同モジュール(M1)のコア部(20)を下から上へ流れ、次いでモジュール(M2)のコア部(20)を上から下へ流れ、更にモジュール(M3)のコア部(20)を下から上へ流れ、最後に同モジュール(M3)の上側ヘッダータンク(21)に設けた冷媒入口(27)より流出し、この過程で各コア部(20)をモジュール(M1)〜(M3)の並列方向に流れる空気と熱交換するように設定される。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、冷媒回路を流れる冷媒が気相成分と液相成分とが混在した二相流であるとき、熱交換に伴う乾き度(気相成分の割合)の変化に応じて体積が増減するが、前記従来の複式熱交換器では、空気の流れ方向に対する配置関係により、高乾き度となる側の熱交換モジュールにおいてはコア部での冷媒の流速が速くなる一方、低乾き度となる側のモジュールでは同流速が遅くなるため、冷媒側の圧力損失が増大するという問題があった。 【0006】この発明は、上述の事情に鑑みて、複数の熱交換モジュールが重なる形に並列配置して全モジュールにわたる一連の冷媒回路を構成した複式熱交換器として、冷媒側の圧力損失が小さいものを提供することを主たる目的としている。 【課題を解決するための手段】 【0007】上記目的を達成するために、請求項1の発明に係る複式熱交換器は、対置した一対のヘッダータンクと、両ヘッダータンクに両端を連通させて平行配置した多数本の熱交換管とを備えた複数の熱交換モジュールからなり、これらモジュールが重なる形に並列配置して一連の冷媒回路を構成し、各熱交換モジュールの熱交換管が互いに偏平面を対向して配置した偏平チューブからなり、空気の流れ方向に対応して冷媒の乾き度の高い側にあるモジュールの偏平チューブが、同乾き度の低い側にあるモジュールの偏平チューブよりも大きいチューブ幅を有することを特徴としている。 【0008】上記構成によれば、空気の流れ方向に対する位置関係で各モジュールのコア部を流れる冷媒の乾き度に違いができ、これによって冷媒の体積が変化しても、高乾き度側のモジュールでは熱交換管路の流路断面積が大きく、逆に低乾き度側のモジュールでは同流路断面積が小さいことから、各モジュールのコア部における冷媒の流速が均等化され、もって冷媒側の圧力損失が低減する。しかして、3以上の熱交換モジュールからなる複式熱交換器では、モジュール配列の一側から他側へ偏平チューブのチューブ幅が順次増大又は縮小するように、各モジュール毎に異なるチューブ幅の偏平チューブを用いればよい。 【0009】請求項2の発明では、上記請求項1の複式熱交換器において、複数の熱交換モジュールは、相互のヘッダータンクの並び方向が偏平チューブの長手方向に対して斜交するように位置をずらせて配置してなるものとしている。この構成においては、複式熱交換器を空気の流れ方向に対して傾斜状態で設置する場合に、ヘッダータンクの並び方向を空気の流れ方向に合わせれば、コア部における空気の有効流路幅が広くなる。また、各熱交換モジュールがパイプ状のヘッダータンクに各偏平チューブの端部を挿入して連結した構造であるとき、偏平チューブよりも幅(外径)の大きいヘッダータンク同士が複式熱交換器の厚み方向には重なりを生じる配置となり、その重なり分だけ隣接するモジュールの偏平チューブ同士の間隔が縮まるから、複式熱交換器全体として薄型になる。 【0010】請求項3の発明では、上記請求項1の複式熱交換器において、内部が長手方向に連続する複数の中空部に区切られたヘッダー部材を備え、該ヘッダー部材の各中空部が各熱交換モジュールのヘッダータンクを構成するものとしている。この場合、複数の熱交換モジュールのヘッダータンクを単一のヘッダー部材にて構成できるから、部材点数が少なくなり、組立製作の作業性が向上すると共に製作コストも低減する。 【0011】請求項4の発明では、上記請求項3の複式熱交換器において、ヘッダー部材は、少なくとも最も広幅の中空部に、偏平チューブ連結側の壁部とこれに対向する壁部との間を繋ぐ中間壁部を有すると共に、この中間壁部の両側空間が当該中間壁部の開口部で連通した構成としている。この場合、ヘッダー部材の最も広幅の中空部がある部分は、本来は強度的に弱くなるが、中間壁部による補強で必要な強度を確保できる。 【0012】請求項5の発明では、上記請求項1〜4のいずれかの複式熱交換器において、各熱交換モジュールの偏平チューブは、ヘッダータンク内への挿入深さがチューブ毎に順次異なるように取り付けられたものとしている。この構成によると、各モジュールのヘッダータンク内からコア部の各偏平チューブへ冷媒を分配する領域において、当該ヘッダータンクへの冷媒流入口に対する各チューブの開口端の距離の違いによって本来は冷媒分配量が不均等になり易いが、冷媒流入口から遠い位置のチューブほどヘッダータンク内への挿入深さを大きくして冷媒分配量を均等化できる。 【0013】 【発明の実施の形態】以下、この発明に係る複式熱交換器の実施例について、図面を参照して具体的に説明する。図1は第一及び第二実施例、図2は第三実施例、図3〜図5は第四及び第五実施例、図6及び図7は第六実施例、図8は第七実施例、をそれぞれ示す。 【0014】第一実施例の複式熱交換器は、蒸発器に適用するものであり、図1(イ)(ロ)に示すように、3基の熱交換モジュール(M1)(M2)(M3)が重なる形に並列配置して一体化している。これらモジュール(M1)〜(M3)の各々は、上下に対置した一対の丸パイプ状のヘッダータンク(1)(2)間に、熱交換管路をなす多数本の偏平チューブ(3)…が互いに偏平面を対向して平行配置してコア部(10)を構成している。しかして、各偏平チューブ(3)は、両端を両ヘッダータンク(1)(2)の周面のスリット状開口部(1a)(2a)に各々挿嵌している。また、隣合う偏平チューブ(3)(3)の間には、モジュール(M1)〜(M3)にわたる共通部材としての幅広の蛇行状フィン(4)が介在している。(5)はコア部(10)の両側に配置したカバーである。 【0015】3基のモジュール(M1)〜(M3)は、各々に使用されている偏平チューブ(3)のチューブ幅が異なっている。すなわち、図1の(ロ)の如く、偏平チューブ(3)は、矢印(a)で示す空気の流れ方向に対し、風下側のモジュール(M1)が最小幅(w1 )、中間に位置するモジュール(M2)が中間幅(w2 )、風上側のモジュール(M3)が最大幅(w3 )となっている。そして、このチューブ幅の違いに対応して、上下のヘッダータンク(1)(2)の径も、モジュール(M1)が最小で、モジュール(M3)が最大となっている。 【0016】また、図1(イ)に示すように、モジュール(M1)の下側ヘッダータンク(2)には冷媒導入口(6a)が設けられると共に、モジュール(M3)の上側ヘッダータンク(1)には冷媒導入口(6b)がそれぞれ設けてある。そして、モジュール(M1)と(M2)の上側ヘッダータンク(1)(1)同士、ならびにモジュール(M2)と(M3)の下側ヘッダータンク(2)(2)同士は、それぞれ接続管(図示省略)等を介して連通接続され、これによってモジュール(M1)〜(M3)にわたって冷媒の流れが空気の流れに対してクロスカウンターフローとなる一連の冷媒回路を構成している。 【0017】この第一実施例の複式熱交換器を蒸発器として用いた場合、冷媒導入口(6a)より流入する二相流の冷媒は、当初は気相成分の割合が小さい低乾き度の状態にあるが、図1(ロ)の矢印(r)で示すように、各コア部(10)をモジュール(M1)では上向きに、モジュール(M2)では下向きに、モジュール(M3)では上向きに順次流れ、この過程で矢印(a)方向に流れる空気から気化熱を奪って液相成分が蒸発するから、次第に気相成分の割合が増し、最終的に高乾き度の状態で冷媒導出口(6b)から流出する。 【0018】しかして、上記の熱交換による乾き度の上昇に伴って二相流の冷媒としての体積は増加するが、モジュール(M1)から(M3)へと乾き度の高い側の偏平チューブ(3)ほどチューブ幅が大きく、それだけ流路断面積が拡大しているから、モジュール(M1)〜(M3)のコア部(10)における冷媒の流速が均等化される。従って、この複式熱交換器では、モジュール(M1)〜(M3)の偏平チューブを同じチューブ幅とした従来構成の複式熱交換器と比較して、冷媒側の圧力損失が低減することになる。 【0019】上記第一実施例の複式熱交換器は蒸発器に適用するものであるが、その熱交換モジュール(M1)〜(M3)における偏平チューブ(3)のチューブ幅の関係を逆にすれば、凝縮器に適用する複式熱交換器となる。すなわち、図1(ハ)に示す第二実施例の複式熱交換器では、熱交換モジュール(M1)〜(M3)の基本構成ならびに冷媒回路の構成は第一実施例と同様であるが、偏平チューブ(3)は風下側のモジュール(M1)が最大幅(w3 )で、風上側のモジュール(M3)が最小幅(w1 )と逆になっている。また、このチューブ幅の違いに対応して、上下のヘッダータンク(1)(2)の径も、モジュール(M1)が最大で、モジュール(M3)が最小となっている。 【0020】上記第二実施例の複式熱交換器を凝縮器として用いた場合、モジュール(M1)の下側ヘッダータンク(2)に導入される二相流の冷媒は、当初は気相成分の割合が大きい高乾き度の状態にあるが、モジュール(M1)〜(M3)の各コア部(10)を矢印(r)の如く空気の流れに対するクロスカウンターフローで順次流れる過程で、空気に潜熱を奪われて気相成分が凝縮するから、次第に気相成分の割合が減り、低乾き度の状態でモジュール(M3)の上側ヘッダータンク(1)から流出する。この熱交換による乾き度の低下に伴って二相流の冷媒体積は減少するが、モジュール(M1)から(M3)へと流路断面積も縮小しているため、モジュール(M1)〜(M3)のコア部(10)における冷媒の流速が均等化され、第一実施例と同様に従来構成の複式熱交換器と比較して冷媒側の圧力損失が低減することになる。 【0021】なお、上記第一及び第二実施例では熱交換モジュール(M1)〜(M3)の上下のヘッダータンク(1)(2)の径を偏平チューブ(3)のチューブ幅の違いに対応して異ならせているが、ヘッダータンク(1)(2)については熱交換モジュール(M1)〜(M3)で同径としてもよい。また、第一及び第二実施例とは上下関係を逆にしたり、両ヘッダータンク(1)(2)が左右に配置する構成としてもよい。 【0022】図2(イ)に実線で示す第三実施例の複式熱交換器(A)は、空気の流れ方向に対して傾斜状態で設置する仕様であり、3基の熱交換モジュール(M1)〜(M3)の各々の部材構成ならびに冷媒回路の構成は前記第一及び第二実施例と同様である。この複式熱交換器においては、モジュール(M1)〜(M3)の偏平チューブ(3)のチューブ幅は、モジュール(M1)を最大、モジュール(M3)を最小として順次異なるが、丸パイプ状の一対のヘッダータンク(11)(11)は全モジュール(M1)〜(M3)で同径となっている。 【0023】そして、これらモジュール(M1)〜(M3)は、ヘッダータンク(11)同士の並び方向(O)と、偏平チューブ(3)の長手方向(P)とが角度(θ)で斜交するように、順次位置をずらせて配置している。なお、モジュール(M1)〜(M3)のヘッダータンク(11)同士は要所で連通して前記第一及び第二実施例同様のクロスカンウターフローの冷媒回路を構成している。 【0024】この第三実施例の複式熱交換器(A)は、例えば図2(ロ)に示すように、設置部位の周辺状況等による空間的制約から、矢印(a)で示す空気の流れ方向に直交する方向の設置可能幅(L0 )が通常の複式熱交換器の全幅に満たない場合に、図中の実線で示すようにヘッダータンク(11)同士の並び方向(O)が空気の流れ方向に沿う傾斜状態で設置する。すなわち、この設置状態では、矢印(a)の流れ方向における空気の有効流路幅は(L1 )となり、モジュール(M1)〜(M3)の各コア部(10)の全域が有効流路幅(L1 )内に納まるから、高い熱交換効率を確保できる。 【0025】しかるに、図中の仮想線で示す熱交換器(B)のように、モジュール(M1)〜(M3)がヘッダータンク(11)同士の並び方向(O)を偏平チューブ(3)の長手方向と直交するように並列配置した通常の構成では、偏平チューブ(3)が熱交換器(A)と同じ長さであっても、設置可能幅(L0 )内で熱交換器(A)よりも傾斜度合を大きくして設置する必要がある上、風上側においてモジュール(M1)〜(M3)のヘッダータンク(11)同士が並んだ部分が空気流路を遮断する形になるため、空気の有効流路幅(L2 )は熱交換器(A)の有効流路幅(L1 )よりも格段に狭くなって熱交換効率が低下することになる。 【0026】また、第三実施例の複式熱交換器(A)のようにモジュール(M1)〜(M3)が偏平チューブ(3)の長手方向(P)に順次位置をずらせて配置した構造では、偏平チューブ(3)よりも幅(外径)の大きい丸パイプ状のヘッダータンク(11)同士は複式熱交換器の厚み方向には相互に重なりを生じる形になり、図2(イ)の仮想線で示す熱交換器(B)のようにモジュール(M1)〜(M3)の位置にずれのない通常の構成に比較して、隣接するモジュール(M1)と(M2)の偏平チューブ(3)(3)同士の間隔が(d3 )から(d1 )へ、またモジュール(M1)と(M2)の同間隔が(d4 )から(d2 )へとそれぞれ縮まるから、複式熱交換器全体として薄型になるという利点がある。 【0027】なお、上記の第三実施例ではモジュール(M1)〜(M3)のヘッダータンク(11)を全て同じ径としているが、モジュール(M1)〜(M3)を偏平チューブ(3)の長手方向(P)に順次位置をずらせて配置する構成においても、前記第一及び第二実施例と同様にモジュール(M1)〜(M3)の各々のヘッダータンクを偏平チューブ(3)の幅に対応して異なる径にしてもよい。 【0028】上記第一〜第三実施例のような複式熱交換器の組立製作においては、ヘッダータンク(1)(2)(11)、偏平チューブ(3)、蛇行状フィン(4)、カバー(5)等の構成部材にブレージングシートを用いるか、構成部材相互の接合部に別途にロウ材を介在させ、これら構成部材を仮組みした状態で炉中ロウ付けによって一括に接合一体化する手法が採用される。 【0029】図3(イ)(ロ)で示す第四及び第五実施例の複式熱交換器では、内部が長手方向に連続する3つの中空部(7a)〜(7c)に区切られたヘッダー部材(7)を用い、中空部(7a)〜(7c)の各々を各モジュール(M1)〜(M3)のヘッダータンク(12)としている。そして、ヘッダー部材(7)の中空部(7a)〜(7c)を区切る仕切り壁(70)(70)の要所に連通部(図示省略)を設けることにより、前記第一〜第三実施例と同様のクロスカウンターフローの冷媒回路を構成している。 【0030】このヘッダー部材(7)は、中空押出型材からなり、モジュール(M1)〜(M3)の偏平チューブ(3)の異なるチューブ幅(w4 )〜(w6 )に対応して、中空部(7a)が広幅、中空部(7b)が中間幅、中空部(7c)が狭幅に設定されると共に、これら(7a)〜(7c)の各々の片面側に、図5でも示すように長孔状のチューブ挿入孔(71a)〜(71c)が長手方向一定間隔置きに形成されている。 【0031】しかして、図3(イ)に示す第四実施例の複式熱交換器では、モジュール(M1)〜(M3)の各々の偏平チューブ(3)が図4(イ)でも示すように独立したチューブ材からなり、それぞれ絞り加工(サイジング)した端部(3a)をヘッダー部材(7)のチューブ挿入孔(71a)〜(71c)に挿嵌している。 【0032】一方、図3(ロ)に示す第五実施例の複式熱交換器では、モジュール(M1)〜(M3)に対応した異なるチューブ幅(w4 )〜(w6 )の3本の偏平チューブ(3)が図4(ロ)でも示す一枚の中空押出プレート材(30)として一体化されている。このプレート材(30)の端部(3a)は、絞り加工(サイジング)されると共に、隣接する偏平チューブ(3)(3)間の偏平な繋ぎ部(31)に切欠部(31a)を有しており、二箇所の切欠部(31a)(31a)がヘッダー部材(7)のチューブ挿入孔(71a)(71b)間と(71b)(71c)間の各境界部にそれぞれ跨嵌する形で、ヘッダー部材(7)のチューブ挿入孔(71a)〜(71c)に挿嵌している。 【0033】これら第四及び第五実施例の構成では、単一のヘッダー部材(7)にて3基のモジュール(M1)〜(M3)の3つのヘッダータンク(12)を構成するから、前記第一〜第三実施例のように各ヘッダータンクが独立部材からなる場合に比較して部材点数が少なくなり、組立製作の作業性が向上すると共に製作コストも低減するという利点がある。また前記第一〜第三実施例で用いた丸パイプ状のヘッダータンクはブレージングシートを円筒状にプレス加工して製作したものが多いが、円筒状とした合わせ目のろう付不良が生じる恐れがある上、高価なブレージングシートの使用によって材料コストが高く付くという難点があったが、ヘッダー部材(7)には中空押出型材を利用できるので上記のような冷媒漏れの懸念がないと共に材料コストも節減しうる。 【0034】また第四実施例の構成によれば、各偏平チューブ(3)の端部(3a)が絞り加工されているから、モジュール(M1)〜(M3)相互の偏平チューブ(3)(3)間の隙間(d)を非常に小さくでき、前記絞り加工の程度によっては隙間(d)をゼロにすることも可能であり、もって複式熱交換器の薄型化が容易となる。更に第五実施例の構成では、第四実施例の場合よりも更に部材点数が少なくなるから、組立製作の作業性がより向上する。 【0035】これら第四及び第五実施例の複式熱交換器の製作に際しては、やはり構成部材を仮組みした状態で炉中ロウ付けによって一括に接合一体化する手法が採用される。この場合、ヘッダー部材(7)とモジュール(M1)〜(M3)の各偏平チューブ(3)…もしくはプレート材(30)…との接合は、図5に示すように、ヘッダー部材(7)の接合側表面に、そのチューブ挿入孔(71a)〜(71c)に対応したチューブ挿入孔(8a)〜(8c)を有するブレージングシート(8)を配置して前記の炉中ロウ付けを行えばよい。これにより、高価なブレージングシートの使用量が必要最小限に抑えられ、材料コストが低減する。また、このブレージングシート(8)を用いる代わりに、ヘッダー部材(7)の接合側表面にロウ材を溶射してロウ材層を形成してもよく、この方法によれば更に材料コストを低減することが可能となる。 【0036】図6で示す第六実施例の複式熱交換器は、二つの熱交換モジュール(M1)(M2)より構成されるが、前記第四及び第五実施例と同様に、内部が長手方向に連続する二つの中空部(90)(91)に区切られたヘッダー部材(9)を用い、両中空部(90)(91)の各々をモジュール(M1)(M2)のヘッダータンク(13)としている。そして、ヘッダー部材(9)の両中空部(90)(91)の片面側にはそれぞれ長孔状のチューブ挿入孔(92a)(92b)が一定間隔置きに設けられており、これらチューブ挿入孔(92a)(92b)に、両モジュール(M1)(M2)の異なるチューブ幅(w7 )(w8 )を有する各偏平チューブ(3)の絞り加工した端部(3a)が挿嵌されている。 【0037】しかるに、このヘッダー部材(9)では、チューブ幅(w7 )が大きいモジュール(M1)側に対応した広幅の中空部(90)には、偏平チューブ連結側の壁部(90a)とこれに対向する壁部(90b)との間を繋ぐ中間壁部(93)を有すると共に、この中間壁部(93)の両側空間が当該中間壁部(93)に一定間隔置きに設けた開口部(93a)で連通している。従って、ヘッダー部材(9)は、強度的に弱い広幅の中空部(90)を有する部分が中間壁部(93)で補強され、もって全体的にヘッダータンクとして充分に耐え得る強度を具備している。 【0038】このようなヘッダー部材(9)を製造するには、図7に示すように、当該ヘッダー部材(9)を偏平チューブ連結側の内側枠体(9a)と非連結側の外側枠体(9b)とに分割構成し、両枠体(9a)(9b)を押出型材より製作し、内側枠体(9a)とする押出型材にチューブ挿入孔(92a)(92b)を穿設する一方、外側枠体(9b)とする押出型材に設けた凸条片(94)の要所を切除することにより、中間壁部(93)とその開口部(93a)を形成した上で、両(9a)(9b)を溶接やロウ付けによって接合一体化すればよい。なお、ヘッダー部材(9)を両枠体(9a)(9b)に分割する際の分割形状は図示以外に種々設定可能であり、中間壁部(93)を内側枠体(9a)の側に設けたり、ヘッダー部材(9)を厚み方向に均等に二分割する構成として両枠体(9a)(9b)を同一の押出型材より製作するようにしてもよい。 【0039】なお、上記の第六実施例では二つの熱交換モジュール(M1)(M2)からなる複式熱交換器を例示したが、3以上のモジュールからなる複式熱交換器において同様の中空部を有するヘッダー部材を用いる場合でも、広幅となる中空部には中間壁部を設けて補強すればよい。また、中間壁部は最も広幅となる中空部に限らず、複数又は全部の中空部に設けるようにしてもよい。 【0040】ところで、複式熱交換器における各熱交換モジュールに冷媒が二相流として流れる場合、ヘッダータンク内で気相成分と液相成分の密度差や速度差によって気液分離が発生し易く、このためヘッダータンク内から偏平チューブへの冷媒分配量が不均等になり、本来生じ得る筈の熱交換量が得られにくくなる傾向がある。そこで、上記の気液分離を抑制する対策として、図8に示す第七実施例の構造が推奨される。なお、この第七実施例の構造は、既述した第一〜第六実施例の複式熱交換器の各熱交換モジュール(M1)〜(M3)に適用し得るものである。 【0041】すなわち、図8に示すように、第七実施例の複式熱交換器の各熱交換モジュール(M)では、一対のヘッダータンク(14)(15)に両端を連通させて平行配置した多数本の偏平チューブ(3)…は、冷媒流入側のヘッダータンク(14)内への端部の挿入深さ(h1 )がタンク一端側の冷媒流入口(14a)から遠くなるに従って順次深くなるように設定されている。しかして、これら偏平チューブ(3)…は同じ長さを有しているため、冷媒流出側のヘッダータンク(15)内への端部の挿入深さ(h2 )は、前記冷媒流入口(14a)とは対角線位置にある冷媒流出口(15b)から遠くなるに従って深くなっている。つまり(h1 )+(h2 )は全部の偏平チューブ(3)…で一定になっている。なお、図中の(16)は両ヘッダータンク(14)(15)の両端を封止するキャップである。 【0042】この第七実施例の構成によれば、本来は冷媒流入口(14a)から遠い位置にある偏平チューブ(3)ほど冷媒が流入しにくくなるが、冷媒流入口(14a)から遠くなるに従って挿入深さ(h1 )を大きくする偏平チューブ(3)…によってヘッダータンク(14)内の冷媒流路が狭められることから、矢印(r)方向へ向かう冷媒の圧力が低下せず、気相成分と液相成分の密度差や速度差による気液分離が発生しにくくなり、もって全部の偏平チューブ(3)…に均等に冷媒が分配される結果、高い熱交換効率が得られる。また、この場合には偏平チューブ(3)…が同じ長さでよいため、挿入深さ(h1 )を順次異ならせるにも関わらず部品種の増加を招かず、部材の製作及び管理上で有利であると共に、熱交換器の組立製作の際に偏平チューブ(3)…の組み付け順序を誤る懸念がない。 【0043】なお、ヘッダータンク(14)の冷媒流入口(14a)は、タンク中間部に設けてもよいし、複数箇所に設けてもよい。これらの場合でも、冷媒流入口(14a)の位置を基準にして偏平チューブ(3)…の挿入深さを順次異ならせる(遠くなるほど挿入を深くする)ように設定すればよい。 【0044】以上の実施例では複式熱交換器として2又は3の熱交換モジュールより構成されるものを例示したが、この発明は4以上の熱交換モジュールからなる複式熱交換器にも適用可能である。また、各モジュールにおけるヘッダータンクの断面形状、偏平チューブの本数、モジュール相互の偏平チューブの幅の比率、冷媒導出入口の構造及び位置、冷媒回路構成等、細部構成については実施例以外に種々設計変更可能である。 【0045】 【発明の効果】請求項1の発明によれば、複数の熱交換モジュールが重なる形に並列配置して全モジュールにわたる一連の冷媒回路を構成した複式熱交換器として、空気の流れ方向に対応して冷媒の乾き度の高い側にあるモジュールほど偏平チューブの幅が大きいことから、冷媒側の圧力損失が小さいものが提供される。 【0046】請求項2の発明によれば、上記の複式熱交換器として、複数の熱交換モジュールが相互のヘッダータンクの並び方向を偏平チューブの長手方向に対して斜交するように位置をずらせて配置していることから、設置部位の周辺状況による空間的制約のために熱交換器を空気の流れ方向に対して傾斜状態で設置する必要がある場合に、コア部を通過する空気の有効流路幅を広くできると共に、複式熱交換器全体として薄型化に適したものが提供される。 【0047】請求項3の発明によれば、上記の複式熱交換器において、複数の熱交換モジュールのヘッダータンクが単一のヘッダー部材にて構成されることから、部材点数が少なく、組立製作の作業性が向上すると共に製作コストも低減するという利点がある。 【0048】請求項4の発明によれば、上記のヘッダー部材を用いる複式熱交換器において、該ヘッダー部材の広幅の中空部に中間壁部を有することから、本来は強度的に弱い中空部の部分が補強され、ヘッダータンクとして必要な強度を確保できるという利点がある。 【0049】請求項5の発明によれば、上記の複式熱交換器として、各熱交換モジュールの偏平チューブがヘッダータンク内への挿入深さをチューブ毎に順次異なるように取り付けられていることから、多数の偏平チューブへの冷媒分配量が均等化され、もって高い熱交換効率が得られるものが提供される。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000186843 【氏名又は名称】昭和アルミニウム株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年11月11日(1999.11.11) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100071168 【弁理士】 【氏名又は名称】清水 久義 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−141379(P2001−141379A) |
| 【公開日】 |
平成13年5月25日(2001.5.25) |
| 【出願番号】 |
特願平11−321622 |
|