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【発明の名称】 熱搬送装置
【発明者】 【氏名】高田 智仁

【氏名】広 直樹

【氏名】山本 泰司

【氏名】名迫 賢二

【要約】 【課題】従来、水などの作動液を封入したヒートパイプでは、作動液を熱搬送させるために循環させるとき、相変化のための潜熱分や作動液の粘性に対抗する大きなエネルギーが最低必要であった。

【解決手段】熱を受ける受熱部2と熱を放出する放熱部3とを有するヒートパイプ1において、その内部空間1aに超臨界状態の二酸化炭素を封入したことを特徴とし、少ないエネルギーでヒートパイプ1内を循環させることができ、高効率な熱搬送が可能となるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部空間を有する外装を備え、前記内部空間に熱媒体を封入したものにおいて、前記熱媒体は超臨界領域で使用され、また前記熱媒体は、前記外装の一部分で受熱したとき、この受熱した部分と前記外装の他の部分との密度差により前記外装の他の部分へ熱を搬送し、放熱することを特徴とする熱搬送装置。
【請求項2】 前記外装の内部空間は、閉ループを形成する管状空間であることを特徴とする請求項1に記載の熱搬送装置。
【請求項3】 前記外装の内部空間は、直方体又は円柱等の立体形状の閉空間であることを特徴とする請求項1に記載の熱搬送装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超臨界状態の物質を熱媒体とする熱搬送装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来は、熱を受ける受熱部と熱を放出する放熱部とを結んで閉ループを構成するヒートパイプにおいて、水などの作動液をヒートパイプ内に収納し、受熱部で作動液を液相から気相に相変化させて放熱部に循環し、また放熱部で気相から液相に相変化させて放熱することにより、熱を移動させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、液相から気相に相変化させるために、潜熱分のエネルギーが最低必要となる。また、水等の作動液には、粘性を有しており、循環させるには、この粘性を上回るエネルギーを必要としていたため、ヒートパイプ内を作動液を循環させるエネルギーは大きくなっていた。
【0004】本発明は、かかる課題を解決するものである。
【0005】
【課題を解決する為の手段】本発明の熱搬送装置は、内部空間を有する外装を備え、前記内部空間に熱媒体を封入したものにおいて、前記熱媒体は超臨界領域で使用され、また前記熱媒体は、前記外装の一部分で受熱したとき、この受熱した部分と前記外装の他の部分との密度差により前記外装の他の部分へ熱を搬送し、放熱することを特徴とする。
【0006】また、前記外装の内部空間は、閉ループを形成する管状空間であることを特徴とする。
【0007】さらに、前記外装の内部空間は、直方体又は円柱等の立体形状の閉空間であることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】図1に基づいて、熱搬送装置の原理を説明する。
【0009】1は外装となる循環パイプ、2は循環パイプ1の受熱部、3はヒートパイプ1の放熱部、4はヒートパイプ1と外気とを断熱する断熱層である。
【0010】前記循環パイプ1の内部空間1aは、管状空間が形成され、かつ閉ループで構成されている。そして、該内部空間1a内には、受熱部2から放熱部3への熱媒体として、二酸化炭素が使用されている。
【0011】この封入された二酸化炭素は、圧力が7.3MPa以上でかつ温度が約31℃以上となると、超臨界流体となり、表面張力がなくなって流体の粘度が低下し、対流が発生しやすい状態となる。そこで、受熱部2と放熱部3との温度差が、少しでも生じると受熱部2と放熱部3との超臨界流体の密度差が生じて、この密度差により、駆動力なしに対流が発生し、循環パイプ1内の循環を開始する。したがって、受熱部2から放熱部3に熱を搬送することになるのである。
【0012】ここで、超臨界流体とは、物質の臨界点(例えば二酸化炭素の場合、圧力7.3MPa、温度31℃)以上の環境下で物質が変化した、液体とも気体とも異なる流体である。すなわち、二酸化炭素では、図2のモリエル線図に示す臨界点aより高温高圧領域(b領域)が超臨界流体の存在する領域である。
【0013】二酸化炭素以外の他の物質の臨界温度とその圧力の関係を表1に示す。
【0014】
【表1】

【0015】前記表1からわかるように、二酸化炭素が他の物質に比べて臨界条件が穏やかであり、使用しやすい物質であるので、二酸化炭素がよく選択される。しかし、使用条件に応じて、熱媒体となる物質を選択すればよい。
【0016】この超臨界流体は、表2に示すように、密度や熱伝導度が、液体と同じような物性値を示し、粘度が気体の物性値に近い値を有している。
【0017】
【表2】

【0018】したがって、超臨界流体は、(1)低粘性で高い移動速度が期待できる、(2)動粘度が気液に比較して小さく、対流が極めて起こりやすい、等の特徴を有している。
【0019】前述では、循環パイプで説明したが、本発明はこれに限らず、図3に示すように、外装形状を直方体5や円柱6などの立体形状とし、その内部空間も閉ループを形成しない、直方体5aや円柱6aなどの立体形状の閉空間としてもよい。
【0020】この形状の場合、図4に示すように、熱を受熱部分7で受熱すると、熱媒体は矢印Xのような対流を生じる。この対流Xにより他の部分に設けられた放熱部8に熱を搬送させ、放熱するのである。
【0021】前述の原理を応用した実施例を、以下に説明する。
【0022】まず、第1の実施例は、図5に示すように、太陽熱集光利用システムに応用した例である。
【0023】9は家屋、10は家屋9の屋根、11は屋根9上に載置され、太陽熱を集光する太陽熱集光部、12は太陽熱集光部11で集光した熱を利用して水を加熱し温水を生成する温水器、13は太陽熱集光部11と温水器12とを閉ループで連結し、太陽熱集光部11の熱を温水器12に熱搬送するヒートパイプである。該ヒートパイプ13は、例えば熱媒体として二酸化炭素が封入され、超臨界領域で使用される。
【0024】第2の実施例として、図6に示すように、ノート型パソコンのCPUを冷却する構造に応用した例である。
【0025】14はノートパソコン本体、15はノートパソコン14に内設され、制御の中枢となるCPU、16はノートパソコンの表示部である。該表示部16は、液晶の表示パネル16aと該表示パネル16a周囲に設けた額部16bとから構成されている。
【0026】17はCPU15の上部または下部に設け、CPU15の熱を吸収する受熱部、18は受熱部17と表示パネル16a周囲の額部16b内とに配置した閉ループのヒートパイプである。
【0027】該ヒートパイプ18は、前述の通り熱媒体を超臨界領域で使用し、受熱部17で吸収した熱を液晶パネル16aの周囲に搬送し、そこで放熱するものである。
【0028】したがって、CPU15の発熱によって、受熱部17の温度が上昇し、熱媒体として二酸化炭素を使用している場合、31℃以上になったとき、ヒートパイプ18内の熱媒体は対流を起こし、その対流により熱が搬送されて液晶パネル16aの周囲で放熱されるのである。
【0029】なお、図7に示すように、ヒートパイプ18の受熱部17に近接する部分に、上昇屈折部18aを設けることにより、ヒートパイプ18内の対流をより起こしやすくなる。
【0030】第3の実施例は、図8に示すように、放熱フィンに応用した例である。
【0031】19はフィン、20は複数のフィン19を貫通させて固定した伝導熱管である。この放熱フィンは、左右方向に複数のフィン19を配置し、上下方向の位置に複数本の伝導熱管20を前記フィン19を貫通させて固定している。
【0032】21は、複数の伝導熱管20に接するように巻かれたヒートパイプである。
【0033】かかる構成により、図8(b)に示すように、フィン19の一部に局部高温部が形成されたとき、この部分の熱をヒートパイプ21で搬送して、高温部の熱を分散させることができる。よって、フィン19の他の部分を使って、効率よく冷却することが実現できる。
【0034】第4の実施例は、離れた場所にある温泉、ボイラーなどの熱源22と給湯機などの熱利用施設23とを超臨界域の二酸化炭素を熱媒体として利用したヒートパイプ24で連結し、熱源から熱を搬送し、熱利用施設の加熱に利用する例である。
【0035】第5の実施例は、図10に示すように、恒温槽に利用する例である。
【0036】25は恒温槽、26は恒温槽25の周囲壁面に配置したヒートパイプ、27は加熱源である。加熱源27の熱をヒートパイプ26を介して均等に恒温槽25の壁面に熱を搬送し、早く槽内を均一に保つことができるようになる。
【0037】以上のごとく、超臨界域の熱媒体をヒートパイプに利用することにより、例えば従来例のように、気相と液相の相変化により熱を搬送するものに比べて、表面張力がなくなって粘性が低くなるので、ヒートパイプ内で結露して、その結露が熱媒体の対流を阻止して、熱搬送ができなくなることが防げる。したがって、熱媒体を封入するヒートパイプの内径が小さくでき、ヒートパイプ自体の細管化が実現できる。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、少ないエネルギーで熱媒体をヒートパイプ内に循環させることができ、高効率な熱搬送が可能となる。
【出願人】 【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
【出願日】 平成11年9月17日(1999.9.17)
【代理人】 【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
【公開番号】 特開2001−91170(P2001−91170A)
【公開日】 平成13年4月6日(2001.4.6)
【出願番号】 特願平11−263505