| 【発明の名称】 |
水容器の蓄熱効果を高めた冷暖房構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】前田 誠一
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| 【要約】 |
【課題】水容器を用いた冷暖房構造において、水容器内の水の対流による熱の伝達が期待できない場合でも内部の水をほぼ均一に加熱する。
【解決手段】水容器1を構成する積層材のうち少なくとも一つの材料をアルミ箔、銅箔等の熱伝導性の良好な熱伝導箔2で形成する。例えば太陽光等による熱NH1 が床面51を介して水容器1に伝達された場合、水容器1の形成材料中の熱伝導箔2が熱伝導によって水容器1の底部まで伝熱し、従来は蓄熱に殆ど関与しなかった水Wの下層にも伝熱し、水容器1全体をほぼ均一に加熱することにより水容器1内の水全体で蓄熱し省エネルギー化を達成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 水容器内に水又はこれと同効の液体を充填し、この充填された液体を加熱或いは冷却することにより冷房又は暖房を行う冷暖房構造において、熱を伝達する部材を、水容器を構成する材料の一部として用い、或いは独立した部材として当該水容器に近接して配置し、当該熱を伝達する部材を介して、水容器内の液体の対流の発生が困難な方向から加えられる熱を、この熱により直接加熱されない液体の層に伝達することにより水容器内の液体をほぼ均一に加熱或いは冷却するよう構成したことを特徴とする水容器の蓄熱効果を高めた冷暖房構造。 【請求項2】 水容器を構成する積層材のうち少なくとも一部は熱伝導性の高い金属箔等の熱伝導箔とし、前記液体の対流の発生が困難な方向からの熱を当該熱伝導箔を介して熱伝導により伝達するよう構成したことを特徴とする請求項1記載の水容器の蓄熱効果を高めた冷暖房構造。 【請求項3】 熱伝導部材は水容器内部の上下に配置され、かつ上下の熱伝導部材の間には水が充填されている空間を通過して他の熱伝導部材が介在配置されていることを特徴とする請求項1記載の水容器の蓄熱効果を高めた冷暖房構造。 【請求項4】 水容器内面のうち上下の内面には熱伝導部材が配置され、上部の熱伝導部材は熱輻射量の大きい輻射伝熱部材であって、当該輻伝熱部材から放射される熱ビームが下面の熱伝導部材に伝達され、当該加熱された下面の熱伝導部材により水容器内に対流を生じるよう構成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の水容器の蓄熱効果を高めた冷暖房構造。 【請求項5】 水容器内面の全面に輻射熱伝導部材が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の水容器の蓄熱効果を高めた冷暖房構造。 【請求項6】 水容器の上下の面のうち少なくとも上面が金属フレームにより覆われていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の水容器の蓄熱効果を高めた冷暖房構造。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は家屋等の建築構造物の床面或いは天井面を介して内部空間を冷暖房する構造に係り、特に水或いはこれに類する液体を充填した袋状の容器を用いる冷暖房構造に関する。 【0002】 【従来の技術】発明者等は水或いはこれに類する液体を充填した袋状の容器を家屋等の構造物の床面下部等に配置し、床面を介して室内空間を冷暖房する構造を提案している(特願平5−135178号、同5−19983号、同10−42981号等)。この冷暖房構造は次のような基本構成を有している。 【0003】即ち、図10及び図11において、根太と称される仕切材52により構造物(家屋)の床面51の下部に形成された空間内に袋状の水容器60がそれぞれ配置されている。これらの水容器60には例えば電気ヒータEH等の熱源が配置されている。暖房時には電気ヒータEH等の熱源からの熱は水容器60に伝達され、水容器60内の水Wはこの熱により循環流動して水容器60全体が均一に加熱され、この熱が床面51を介して室内に伝達される。また加熱用の熱源の外に例えば冷水の通過するパイプ等を配置することにより夏期には冷房を行うことも可能である。なお、以下実施例も含め「水」の語は、不凍液、粘度調整剤等の添加物が添加されたものも含む広い意味で使用する。 【0004】上記構成の床冷暖房構造では、充填された水Wの循環流動により水容器1全体が均一に加熱或いは冷却されるため、加熱用熱源或いは冷却用熱源の何れも、水容器60に対して小型に形成することができる。また媒体が比熱の大きい水であるため、熱源の温度調整を頻繁に行うことなく室内を安定して冷暖房することが可能となる等、床面下部に電気ヒータや温水パイプ等を直接配置した構成に比較して冷暖房の効率及び経済性の何れについても優れた冷暖房構造を提供することが可能となった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】上記水容器60を使用する冷暖房構造は上述のように多くの利点を有するが、自然の熱源の利用という点では当該冷暖房構造の有する潜在的能力を十分に利用しているとは言いがたい面もある。 【0006】図12において、例えば冬季には日照角度が小さくなるため部屋の奥まで日が射し、床面51を介して太陽光による熱NH1 が水容器60内の水Wに伝達され、この水Wを温めることになる。この場合熱NH1 は水容器60の上部から加わるため、水容器60内の水は上層(図中符号Uで示す)から温められる結果となり、水容器60内では水の対流は生じない。即ち、熱せられた上層Uの水の熱NH2 は太陽光による熱NH1 との関係において、NH2 <NH1 であればNH1の熱を蓄えて、下層Lへと伝熱する。一方日が陰ったり夕方となる等によってNH2 >NH1 となれば床面51から放熱することになる。 【0007】このように水容器60の上部から熱が供給される場合は、熱NH1 の蓄熱には水Wの上層部を中心とした水Wの全容量の一部しか関与できないことになる。即ち水容器60内に充填してある水Wの熱容量の一部を利用しただけとなる。もし、この水W全体に伝熱できれば太陽光による熱NH1 は水W全体にほぼ均一に伝達されるため水Wの上層部Uが急激に昇温することもなくなり、従って太陽光による熱NH1 を受ける間中ほぼNH2 <NH1 となって、水からの放熱を最小限にし、この熱NH1 を効果的に蓄熱することが可能となる。 【0008】上述のような太陽光等の自然の熱NH1 のみを受ける状態となる場合としては、家人が不在である場合等であろうから、例えば夕方或いは夜になって家人が帰ってきて熱源EH等の人工の熱源を作動させた場合に、水の保有する熱量対応して当該人工の熱源の熱量をその分減少させることが可能となり省エネルギー化を実現することが可能となる。 【0009】 【課題を解決するための手段】電気ヒータ或いは水パイプを通過する加熱水等による床暖房装置ではこのような自然の熱NH1 を利用することはその構造上、本来的に不可能であるのに対して、発明者等が先に提案している水を利用する冷暖房構造において初めて実現可能となるものである。本発明はこのように水を用いた冷暖房構造の有する潜在能力をより効果的に発揮するよう構成した冷暖房構造である。 【0010】即ち、本発明は、水容器内に充填してある水に対して当該水の対流が生じない方向から熱が加えられた際にこの水の全体に対して均等に熱が蓄積されるよう、水容器自体に或いはこの水容器に近接して、熱伝導性の高い物質或いは高い熱輻射を行う物質からなる部材を配置させることにより、水の対流が期待出来ない方向からの熱を、水容器内の水に対して均等に伝達、蓄積するよう構成したことを特徴とする水容器を用いた冷暖房構造である。なお、本発明において水容器に加わる熱は水を加熱させるための熱の他、水を冷却させるマイナスの熱も含むものである。 【0011】 【発明の実施の形態】内部に水を充填する水容器を構成するフィルム状素材として構成される積層材の一部を、例えばアルミ泊、銅泊等の熱伝導性の高い材料により形成し、例えば水容器の上部から熱を加えた際に、当該熱は上記熱伝導性の高い材料により水容器下部に熱伝導され、水容器内の水が全体的に加熱される。なお、以下実施例も含めて特に断らない限り「熱」の語は水を加熱するための熱エネルギーを示すこととする。 【0012】また熱伝導による他、水容器内部の少なくとも上下内面に熱輻射の高い材料から成る部材を配置し、水容器上部から加えられた熱により上部の部材が加熱され、かつこの上部の部材が加熱することより内部の水を通して下部の部材が輻射(放射)により加熱され、かつ加熱された下部部材により水容器内の水は下層からも加熱され、或いはこの加熱による対流を生じて全体に均一に加熱されるよう構成する。 【0013】 【実施例】以下本発明の実施例を図面を参考に説明する。図1は第1の実施例を示す。同図は従来例を示す図11と同様に、水容器の横断面部分図であるが、後述する実施例を示す図も含めて、本発明の構成を明瞭に示すため、電気ヒータEH等の人工的な加熱媒体の位置しない部分の断面図として現されている。 【0014】図1において、符号1は水容器であり、従来の水容器と同様仕切材52により区画された床面51の下部空間部に収納されている。水容器1はフィルム状の材料により形成され、家屋の建築現場において注水されるよになっている。フィルム材は複数の材料からなる積層材として形成されており、この積層材の一つがアルミや銅等の熱伝導性の良好な材料からなる箔(以下「熱伝導箔」と称する)2となっている。なお、この熱伝導箔2は通常金属箔であるため、他の積層材がビニル等の高分子材料により形成されていても、気体の通過をほぼ完全に阻止でき、内部の水を長年に渡って安定的に保持する防護膜としての機能も発揮する。 【0015】この構成において、床面51の上部から太陽光等による熱NH1 が加わると、その熱は水容器1の熱伝導箔2を加熱し、この熱は伝導熱NH2 として水容器1の底部まで熱伝導され、内部の水Wをほぼ均一に加熱する。この均一な加熱と水の大きな比熱により、熱NH1 による熱エネルギーは比較的長時間この水Wに蓄えられ、例えば図11に示す電気ヒータEH等の人工の熱源を作動させるときに、省エネルギー化を図ることができる。また、水容器1の底面に配置された人工熱源により水容器1内の水を加熱する場合には、図に示す熱NH2 の伝導方向とは逆に、水容器1の上部に向かって伝熱され、水の対流と合わせて水容器1内の水を早期に均一加熱することが可能となる。 【0016】図2乃至図4は第2の実施例を示す。この実施例では水容器1の内面上下に前記熱伝導箔2と同効の熱伝導部材3A及び3Bがそれぞれ配置されている。3Cはこれら熱伝導箔3A、3Bの間に介在配置された熱伝導部材である。この熱伝導部材3Cは、図3に示すように注水前の水容器1が折り畳み可能なように、可撓性を有する熱伝導性材料により形成されている。なお、この熱伝導部材3Cは前記熱伝導部材3A、3Bと同様の金属箔とすることにより可撓性を保持することができる。 【0017】この熱伝導部材3Cは図4に示すように水容器1の長手方向に対して列を成して配置されており、電気ヒータ等により水容器下部から加熱された際に、内部の水Wの対流を阻害しないようになっている。 【0018】この実施例においては床面51に加わった熱NH1 は熱伝導部材3Cを介して水容器1の上部の熱伝導部材3Aから下部の熱伝導部材3Bに伝達され、この結果以後は上記第1の実施例と同様に水容器1内の水は均一に加熱される。 【0019】図5は第3の実施例を示す。符号4A及び4Bは水容器1内部の上下に配置された伝熱部材であって、このうち符号4Aで示す熱伝導部材は熱ビームの放射量の大きい部材により形成された輻射伝熱部材として構成されている。この輻射伝熱部材としては、例えばアルミニウム表面がアルマイト処理されたもの等が考えられる。なお、何らかの部材を用いた熱の伝達は多くの場合、伝導、輻射、対流の3つの要素を全て含んでおり、上記輻射伝熱部材はこのうち輻射による熱の伝達量が相対的に多いものを意味している。従って輻射に加えて伝導も良好な材料であればより効果的な熱の伝達が可能となる。 【0020】上記の構成において、床面51に加わった熱NH1 は輻射伝熱部材4Aに伝達され、加熱された輻射伝熱部材4Aは熱ビームNH3 を放射する。この熱ビームNH3 を受けた下部の伝熱部材4Bは加熱されて水容器1の下層の水を伝導加熱し、水容器1内の水Wは対流を生じてほぼ均一に加熱される。 【0021】図6は上記第3の実施例の変形例を示す。この例では輻射伝熱部材が、符号4で示すように水容器1の内周面の全面に配置してある。これにより床面51に加わった熱NH1 は輻射伝熱部材4の上部から放射される輻射ビームNH3 の他、水容器1の側壁部側からの伝導熱NH2 としても、輻射伝熱部材4の水容器底部側に伝達され、これによってより効率的に熱の伝達が行われる。 【0022】なお上記の構成の輻射伝熱部材4は図7に示すように、折り畳み状態の水注入前の水容器1において、図示のように折り畳まれるようにしておけば、この輻射伝熱部材4を比較的肉厚に形成しておいても水容器1の体積の変化に追随することができる。 【0023】図8及は第4の実施例を示す。符号5は水容器1の上部を覆うように配置された断面略コの字型の伝熱用金属フレームである。これにより水容器1は床面51の下部でこの金属フレムー5に覆われるように配置されることになる。この構成において床面51に加わった熱NH1 は金属フレーム5を介して伝導熱NH2 として熱伝導され、内部の水Wがほぼ均一に加熱される。なおこの金属フレーム5には熱の均等な伝達という本来の効果の他に次のような副次的効果がある。 【0024】先ず水容器1を施工中の床に配置して水を充填する際に金属フレーム5の上面が床面51の下面の位置にあるため、金属フレーム5に対する水容器1の接触具合を見ることにより水容器1に対する水の供給料を調整することができる。また、水容器1に対する水の注入を完了したならば、床面51を形成するが、この床面形成は床材を仕切り材(根太)52に釘打ちすることにより行われる。この場合、打ちつけた釘によって誤って水容器1を破損する可能性があるが、この金属フレーム5が釘による水容器1の損傷を防護する防護材としても機能し、破損事故を防止することができる。 【0025】図9は前記第4の実施例と関連する第5の実施例を示す。この実施例では床面下部の空間に第1の金属フレーム6Aが配置される。この第1の金属フレーム6Aは上部が開放空間となるよう床面下部空間内に配置され、水容器1はこの第1の金属フレーム6A内に収納された状態で床面下部空間内に配置される。この状態の水容器1に対して第2の金属フレーム6Bが、前記第1の金属フレーム6Aに対して蓋をするようにして配置され、水容器1はこれら第1及び第2の金属フレーム6A、6B内に収納された状態となる。なお電気ヒータEH等の加熱部材は第1の金属部材6Aと水容器1との間に介在配置される。この実施例においては床面51に加わった熱NH1 は熱伝導により伝導熱NH2 として水容器1の下部に伝達され、水容器1内の水Wをほぼ均一に加熱する。またこの金属フレーム6A、6Bも前記のような副次的効果を有する他、更に第1の金属フレーム6Aは、床張後に何らかの理由により万一漏水があっても漏出した水の水受けとして作用するという効果も生じる。 【0026】以上本発明を、水容器内部の水が加熱される場合を例に説明したが、加わった熱が水を冷却する場合、即ちマイナスの熱量が加わった場合にも効果的に作用する。例えば、夏期において床下の通風を図ることにより水容器下面にマイナスの熱量を加える場合、従来の構成では水容器内の水は下層から冷やされるため、水の対流は期待できず、床面を効果的に冷却することはできない。これに対して伝熱部材があれば水容器上部にマイナスの熱量が伝達され、水容器1内の水はほぼ均一に冷却され、床面冷房の省エネルギー化が実現できる。 【0027】なお、各実施例に示された本発明構成を個別に実施する他、例えば図1に示す実施例と図5に示す実施例を併用することにより熱伝導と熱輻射の両方を併用する等各種の構成が可能である。 【0028】 【発明の効果】本発明は以上各実施例により説明したように、水容器内の水の対流による伝熱が期待できない位置から水に対して熱量が供給された場合に、水容器内の水に対して均等に伝熱することより熱の蓄積にあまり関与しなかった水の層も有効に利用することによって水容器を用いた冷暖房構造の潜在的能力を十分に発揮することが可能となる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】593107937 【氏名又は名称】株式会社イゼナ
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| 【出願日】 |
平成11年9月10日(1999.9.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079474 【弁理士】 【氏名又は名称】吉澤 桑一
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| 【公開番号】 |
特開2001−82888(P2001−82888A) |
| 【公開日】 |
平成13年3月30日(2001.3.30) |
| 【出願番号】 |
特願平11−256679 |
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