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【発明の名称】 積層型蒸発器
【発明者】 【氏名】畔柳 功

【氏名】牧原 正径

【氏名】神谷 定行

【要約】 【課題】積層型蒸発器において、隣り合うチューブ間距離の寸法誤差の低減と、タンク部の冷媒流路の圧力損失低減とを両立させる。

【解決手段】隣接するタンク部42〜45のうち、一方の挿入側タンク部42、43の頂部および他方の被挿入側タンク部44、45の内面には、タンク内方へ直角に突出する当接部42a〜45aが一体に成形され、挿入側タンク部42、43を被挿入側タンク部44、45に挿入することにより挿入側当接部42a、43aは被挿入側当接部44a、45aに当接する。これにより、チューブ間距離Hの寸法誤差に影響を与えるのは両当接部42a〜45aのうちタンク軸方向の寸法精度のみであるため、前記寸法誤差を低減できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属薄板(4、4)を接合して構成されるチューブ(2)を有し、前記チューブ(2)には、前記金属薄板(4、4)の長手方向の端部から外方へ筒状に突出するように成形され、冷媒の分配、集合を行うタンク部(42〜45)と、このタンク部(42〜45)からの冷媒が流れる冷媒流路(2a、2b)とを形成し、前記チューブ(2)は多数積層され、前記チューブ(2)の積層方向に隣接する前記タンク部(42〜45)は互いに連通され、積層された前記チューブ(2)の相互間には空気と冷媒との熱交換をするフィン(7)が配置される積層型蒸発器において、前記チューブ(2)の積層方向に隣接する前記タンク部(42〜45)のうち、一方の挿入側タンク部(42、43)の頂部には、タンク内方へ、前記チューブ(2)の積層方向に対して直角に突出する挿入側当接部(42a、43a)が一体に成形され、前記チューブ(2)の積層方向に隣接する前記タンク部(42〜45)のうち、他方の被挿入側タンク部(44、45)の内面には、タンク内方へ、前記チューブ(2)の積層方向に対して直角に突出する被挿入側当接部(44a、45a)が一体に成形され、前記挿入側タンク部(42、43)を前記被挿入側タンク部(44、45)に挿入することにより、前記挿入側当接部(42a、43a)は前記被挿入側当接部(44a、45a)に当接することを特徴とする積層型蒸発器。
【請求項2】 前記挿入側タンク部(42、43)の外面と、前記被挿入側タンク部(44、45)の内面とはろう付けにより結合され、前記被挿入側タンク部(44、45)には、前記挿入側タンク部(42、43)の外面側に位置する拡大部(44b、45b)が一体に成形され、前記拡大部(44b、45b)は、前記被挿入側タンク部(44、45)の頂部に近づくにしたがってタンク径方向の外方へ広がる形状であることを特徴とする請求項1に記載の積層型蒸発器。
【請求項3】 前記挿入側タンク部(42、43)の外周面を前記被挿入側タンク部(44、45)の内周面に締まり嵌めにより嵌合することを特徴とする請求項1または2に記載の積層型蒸発器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、入口側冷媒流路および出口側冷媒流路を並列に形成する金属薄板によりチューブを構成し、このチューブを多数積層するとともに、金属薄板の両端部にそれぞれ2個づつタンク部を形成し、このタンク部により各冷媒流路に冷媒を入出(冷媒の分配、集合)させるようにした積層型蒸発器に関するもので、例えば、車両用空調装置に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の積層型蒸発器は、冷媒蒸発器の隣り合うチューブ相互の外面側にコルゲートフィンがろう付けにより接合されている。そして、チューブを形成する金属薄板両端部にそれぞれ円筒状のタンク部が一体に形成されている。ここで図9(a)に示すように、タンク部42、45の頂部にはそれぞれ、コルゲートフィン7に干渉しないようにタンク内方へ、直角に突出する突出部42c、45cがプレス成形され、チューブ2の積層方向(図9(a)の左右方向)に隣接するタンク部42、45の突出部42c、45c同士が当接して、タンク径方向に形成される当接面のろう付け代L2によりろう付けされて結合されている。
【0003】しかし、上記従来技術では突出部42c、45cがタンク内流路を狭くして、冷媒の圧力損失を大きくしていた。そこで、前記圧力損失を小さくする積層型蒸発器が実用新案登録第2565121号公報において提案されている。図9(b)はこの従来技術を示しており、チューブ2の積層方向に隣接するタンク部42、45のうち、一方のタンク部45頂部にはタンク外側へ膨出するテーパ形状の膨出部45tがプレス成形され、他方のタンク部42頂部にはタンク内側へ絞り込まれるテーパ形状の絞込部42tがプレス成形されている。そして、膨出部45tの内面が絞込部42tの外面に当接して、ろう付けにより結合されている。このようにタンク部42、45同士の接合面をテーパ形状にすることにより、タンク内の流路への突出部を小さくすることができ、冷媒の圧力損失の低減を可能にしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ここで、隣り合うチューブ間距離Hの寸法精度は前記接合面形状の寸法精度に大きく影響されるが、上述のテーパ形状では、タンク部42、45の径方向(チューブ2の積層方向に対して直角方向)および軸方向(チューブ2積層方向)の両方向の寸法精度がチューブ間距離Hの寸法精度に影響を与えるので、チューブ間距離Hの寸法誤差が大きくなる。よって、コルゲートフィンを積層されたチューブ2相互間に組付ける際に、チューブ間距離Hが所定寸法より大きい場合には、コルゲートフィンが金属薄板4に押さえられる力が弱くなり、金属薄板4とコルゲートフィンとの密着性が悪化する。また、金属薄板4のうちタンク部42、45から離れた部分では、金属薄板4同士の押さえ力が弱くなり、金属薄板4同士の密着性も悪化する。そして、これら密着性の悪化は、ろう付け不良の原因となる。一方、チューブ間距離Hが所定寸法より小さい場合には、コルゲートフィンが金属薄板4に押さえられる力が強くなりすぎ、コルゲートフィンが座屈等の変形をしてしまう。
【0005】本発明は上記点に鑑みてなされたもので、積層型蒸発器において、隣り合うチューブ間距離の寸法誤差の低減と、タンク部の冷媒流路の圧力損失低減とを両立させることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明では、筒状に突出するタンク部(42〜45)を有する金属薄板(4、4)を接合して構成されるチューブ(2)は多数積層され、チューブ(2)の積層方向に隣接するタンク部(42〜45)は互いに連通され、チューブ(2)の相互間にはフィン(7)が配置される積層型蒸発器において、隣接するタンク部(42〜45)のうち、一方の挿入側タンク部(42、43)の頂部には、タンク内方へ直角に突出する挿入側当接部(42a、43a)が一体に成形され、他方の被挿入側タンク部(44、45)の内面には、タンク内方へ直角に突出する被挿入側当接部(44a、45a)が一体に成形され、挿入側タンク部(42、43)を被挿入側タンク部(44、45)に挿入することにより、挿入側当接部(42a、43a)は被挿入側当接部(44a、45a)に当接することを特徴としている。
【0007】これにより、両当接部(42a〜45a)の当接面は、タンク部(42〜45)の軸方向(チューブ(2)積層方向)に対して直角であるため、両当接部(42a〜45a)の寸法精度のうち、チューブ間距離の寸法精度に影響を与えるのは、前記軸方向の寸法精度のみであり、タンク部(42〜45)の径方向(チューブ(2)の積層方向に対して直角方向)の寸法精度は前記影響を与えない。よって、チューブ間距離の寸法誤差を低減することができ、金属薄板(4)とフィン(7)および金属薄板(4)同士のろう付け不良の防止またはフィン(7)の変形防止を可能にする。なお、上述の直角とは、厳密に90度の角度に限定するものではなく、90度に対して微少の角度を包含するものである。
【0008】また、隣接するタンク部(42、43)、(44、45)同士の結合は、挿入側タンク部(42、43)が被挿入側タンク部(44、45)に挿入されることにより結合し、結合面はタンク径方向ではなく、タンク軸方向に形成されるので、タンク内の流路への突出部を小さくすることができ、冷媒の圧力損失の低減をも可能にする。
【0009】また、請求項2に記載の発明では、被挿入側タンク部(44、45)には、挿入側タンク部(42、43)の外面側に位置し、かつ、被挿入側タンク部(44、45)の頂部に近づくにしたがってタンク径方向の外方へ広がる拡大部(44b、45b)が一体に成形されるので、挿入側タンク部(42、43)外面と拡大部(44b、45b)内面との間にフィレットが形成されて、ろう付け面積を大きくできる。また、挿入側タンク部(42、43)を被挿入側タンク部(44、45)に挿入する際に、両タンク部(42〜45)の軸芯位置に誤差がある場合でも、拡大部(44b、45b)により、挿入側タンク部(42、43)を被挿入側タンク部(44、45)へスムーズに挿入できる。
【0010】また、請求項3に記載の発明のように、挿入側タンク部(42、43)の外周面を被挿入側タンク部(44、45)の内周面に締まり嵌めにより嵌合すれば、嵌合面の隙間をなくしてろう付けを確実にできる。
【0011】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0012】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)図1〜図5は本発明積層型蒸発器を自動車用空調装置の冷凍サイクルにおける冷媒蒸発器に適用した場合を示している。
【0013】図1は蒸発器1の全体構成を示しており、蒸発器1は図1の上下方向を上下にして、図示しない自動車用空調装置の空調ユニットケース内に設置される。蒸発器1の左右方向の一端側(左端側)には、冷媒入口8aと冷媒出口8bを有する配管ジョイント8が配設されている。
【0014】この蒸発器1は、多数のチューブ2を並列配置し、このチューブ2内に図2に示すように入口側冷媒通路2aと出口側冷媒通路2bを並列に形成し、この両冷媒通路2a、2bを流れる冷媒とチューブ2の外部を流れる空調用送風空気とを熱交換させるようになっている。本例では、入口側冷媒通路2aの部位で入口側熱交換部3aを構成し、出口側冷媒通路2bの部位で出口側熱交換部3bを構成している。
【0015】なお、蒸発器1への空調空気の送風方向は図2の矢印A方向に示す通りであり、入口側熱交換部3aは、送風空気の流れ方向の下流側に位置し、出口側熱交換部3bは送風空気の流れ方向の上流側に位置している。
【0016】上記チューブ2は、図1、2に示すように2枚(一対)の金属薄板4を最中合わせの状態に接合することにより形成される。金属薄板4は長手方向が上下方向に延びる細長の略長方形の板材であり、具体的材質としては、例えば、アルミニュウム心材(A3000番系の材料)の両面にろう材(A4000番系の材料)をクラッドした両面クラッド材(板厚:0.4〜0.6mm程度)を用いる。
【0017】そして、この両面クラッド材を図2に示す所定形状に成形して、これを2枚1組として多数組積層した上で、ろう付けにより接合することにより多数のチューブ2を並列に形成する。
【0018】このチューブ2の内部は、センターリブ41により、風下側の入口側冷媒通路2aと風上側の出口側冷媒通路2bとに仕切られている。これら冷媒通路2a、2bは金属薄板長手方向に沿って平行に形成され、空気流れ方向Aとは直交している。
【0019】金属薄板4の上端部、下端部には、入口側冷媒通路2aの上端、下端に連通する入口タンク部42、44、および、出口側冷媒通路2bの上端、下端に連通する出口タンク部43、45が形成されている。そして、入口タンク部42、44は金属薄板4の外方へ円筒状に突出するように形成され、出口タンク部43、45は楕円筒状に突出するように形成され、チューブ2の積層方向に隣接するタンク部42〜45同士は結合(タンク部の結合する部分の形状は後に詳述する。)され、タンク部42〜45相互間はそれぞれ連通穴46、47により連通されている。また、図7に示すように、入口側冷媒通路2aの下端に連通する連通穴46は、仕切り部51にて仕切られ、出口側冷媒通路2bの上端に連通する連通穴47は、仕切り部52にて仕切られている。
【0020】また、入口側、出口側熱交換部3a、3bにおいて、チューブ2内面の間隙(最中合わせ状の一対の金属薄板4、4相互間)にインナーフィン6を接合して、冷媒側の伝熱面積の拡大および耐圧強度の確保を図っている。また、入口側、出口側熱交換部3a、3bにおいて、隣接するチューブ2の外面側相互の間隙に、空気側のコルゲートフィン(フィン手段)7を接合して空気側の伝熱面積の増大を図っている。これらインナーフィン6およびコルゲートフィン7はA3003のような、ろう材をクラッドしてないアルミニュウムベア材にて波形状に成形されている。インナーフィン7の波形状により冷媒通路2a、2b内に複数の小冷媒通路が並列的に区画形成される。
【0021】熱交換部3a、3bのチューブ積層方向の一端部(図1、2の左端部)に位置する金属薄板からなるサイドプレート9およびこれに接合されるエンドプレート10、さらにチューブ積層方向の他端部(図1、2の右端部)に位置する金属薄板からなるサイドプレート11およびこれに接合されるエンドプレート12も、本例では、上記金属薄板4と同様に両面クラッド材から成形されている。
【0022】図1左端部のサイドプレート9の上下の端部には、それぞれ出口タンク部9a、入口タンク部9bが1つずつ形成されており、これらタンク部9a、9bはサイドプレート9の幅方向に沿って延びる細長の1つの筒状部から形成されており、図示しない連通穴が開口形成されている。
【0023】図1右端部のサイドプレート11の上下の端部にも、それぞれ出口タンク部11a、入口タンク部11bが形成されており、これらタンク部11a、11bもサイドプレート11の幅方向に沿って延びる細長の1つの筒状部から形成されるとともに、図示しない連通穴が開口形成されている。
【0024】エンドプレート10は、外方側へ突出する張出部10a、10bを有しており、張出部10aと張出部10bとの間は冷媒通路的には分断されている。そして、張出部10aとサイドプレート9との間に形成される空間により入口側サイド冷媒通路13が形成され、配管ジョイント8の冷媒入口8aはこの入口側サイド冷媒通路13を介してサイドプレート9のタンク部9bに連通する。
【0025】また、張出部10bとサイドプレート9の出口タンク部9aとの間に形成される空間により、出口側サイド冷媒通路14が形成され、この出口側サイド冷媒通路14に配管ジョイント8の冷媒出口8bが連通している。配管ジョイント8の冷媒入口には、図示しない膨張弁で減圧膨張した気液2相冷媒が流入する。また、冷媒出口8bは、図示しない膨張弁のガス冷媒通路を介して、蒸発器1で蒸発したガス冷媒を圧縮機(図示せず)の吸入側に還流させる。
【0026】また、右端部のエンドプレート12は外方側へ突出する張出部12aを有しており、この張出部12aとサイドプレート11との間に形成される空間により、サイド冷媒通路15が形成される。
【0027】以上の構成における蒸発器1全体としての冷媒流れ経路は、特開平9−170850号公報に記載の冷媒流れ経路と同様であり、図7の矢印に示す経路を冷媒は流れる。
【0028】次に、本実施形態の冷媒蒸発器の製造方法を説明すると、最初に、金属薄板4、インナーフィン6、コルゲートフィン7、サイドプレート9、11、およびエンドプレート10、12を積層し、さらに、配管ジョイント8をエンドプレート10に組付けて、図1、2に示す所定の熱交換器構造に仮組付けする。
【0029】次に、チューブ2の積層方向から図示しない適宜の治具にて締めつけ力を加えて、熱交換器構造の仮組付け状態を保持する。
【0030】次に、この仮組付け状態を保持したまま、ろう付け炉内に仮組付け体を搬入し、このろう付け炉内にて、仮組付け体をアルミニュウムクラッド材のろう材の融点まで加熱して、仮組付け体各部の接合箇所を一体ろう付けする。これにより、蒸発器1全体の組付を完了する。
【0031】ところで、本実施形態では、チューブ2積層方向に隣接するタンク部42〜45同士の結合に関して、チューブ間距離H(図6参照)の寸法誤差低減と、連通穴46、47の冷媒流路の圧力損失低減とを両立できるようにするため、次のごとき工夫をしている。
【0032】すなわち、チューブ2積層方向に隣接するタンク部42〜45のうち、一方の挿入側タンク部42、43を他方の被挿入側タンク部44、45に圧入(挿入)しており、図3(a)および図4(a〜d)は被挿入側タンク部44、45を示し、図3(b)および図5(a〜d)は挿入側タンク部42、43を示している。
【0033】図4(a〜d)に示すように被挿入側タンク部44、45の金属薄板4近傍部分の外周面のうち、図4(a)における上下方向の2箇所がタンク内方へプレス加工により絞り込まれることにより、被挿入側タンク部44、45の内面のうち、図4(a)における上下方向の2箇所には、タンク内方へ、チューブ2積層方向に対して直角に突出する被挿入側当接部44a、45aが一体にプレス成形されている。この被挿入側当接部44a、45aは図4(a)に示すように三日月形状に成形されている。
【0034】そして、被挿入側タンク部44、45の頂部はタンク外方へプレスされて曲げられており、被挿入側タンク部44、45の内周にはR形状(例えばR0.5mm)の拡大部44b、45bが成形されている。
【0035】また、図5(a〜d)に示すように挿入側タンク部42、43の頂部のうち、図5(a)における上下方向の2箇所には、タンク内方へ、チューブ2の積層方向に対して直角に、被挿入側タンク部44、45の内面まで突出する挿入側当接部42a、43aが一体にプレス成形されている。なお、挿入側当接部42a、43aの形状は、被挿入側当接部44a、45aに相対する三日月形状に成形されている。
【0036】そして、挿入側タンク部42、43を被挿入側タンク部44、45に挿入する際に、挿入側当接部42a、43aは被挿入側当接部44a、45aに当接している。また、挿入側タンク部42、43の外周面および被挿入側タンク部44、45の内周面は締め代(例えば0.01mm〜0.2mm)を有している。
【0037】ところで、前記プレス成形の方法を図4(c、d)により説明すると、はじめに、プレス成形により、当接部44a、45aを除いた被挿入側タンク部44、45を成形する。つぎに、被挿入側当接部成形用の治具(図示せず)を被挿入側タンク部44、45の上下にそれぞれ配置する。この治具は、当接部44a、45aを形成する所定の位置と金属薄板4との間において、被挿入側タンク部44、45に隣接している。そして、タンク上下の治具を上下方向にプレスすることにより、当接部44a、45aを成形している。
【0038】以上の構造である挿入側タンク部42、43および被挿入側タンク部44、45の圧入(挿入)による嵌合方法を以下に述べると、前述のように、蒸発器の各構成部材を仮組付けする際に、チューブ2の積層方向から加えられる力により、挿入側タンク部42、43は被挿入側タンク部44、45へ圧入される。これにより、相互タンク部42〜45は締まり嵌めにより嵌合されている。そして、図6に示すように、挿入側タンク部42、43は、挿入側当接部42a、43aが被挿入側当接部44a、45aに当接する位置まで圧入されて嵌合されている。そして、挿入側タンク部42、43の外面と被挿入側タンク部44、45の内面のろう付け代L1(例えば1.5mm)と、挿入側タンク部42、43の外面と拡大部44b、45b内面との間に形成されるフィレットによってろう付けされている。
【0039】次に、本実施形態の特徴を述べる。
【0040】挿入側、被挿入側当接部42a〜45aの当接面は、タンク部42〜45の軸方向に直角であるため、当接部42a〜45aの寸法精度のうち、チューブ間距離Hの寸法精度に影響を与えるのは、タンク軸方向の寸法精度のみであり、タンク径方向の寸法精度は前記影響を与えない。よって、チューブ間距離Hの寸法誤差を低減することができ、金属薄板4とコルゲートフィン7および金属薄板4同士のろう付け不良の防止またはコルゲートフィン7の変形防止を可能にする。
【0041】また、隣接するタンク部42〜45同士の結合は、挿入側タンク部42、43が被挿入側タンク部44、45に挿入されることにより結合し、結合面はタンク径方向ではなく、タンク軸方向に形成されるので、タンク内の流路への突出部を小さくすることができ、冷媒の圧力損失の低減をも可能にする。
【0042】また、嵌合するタンク部同士のろう付け面積は、ろう付け代L1によって従来技術のろう付け代L2と同等面積が確保されているが、被挿入側タンク部44、45の拡大部44b、45b内周はR形状に成形されるので、R形状のタンク内方にフィレットを形成できるため、挿入側タンク部42、43と被挿入側タンク部44、45とのろう付け面積をより一層大きくできる。さらにまた、両タンク部42〜45の軸芯位置に誤差がある場合でも、拡大部44b、45b内周のR形状により、挿入側タンク部42、43を被挿入側タンク部44、45へスムーズに挿入できる。
【0043】また、挿入側タンク部42、43および被挿入側タンク部44、45は締め代を有し、互いに締まり嵌めにより嵌合することを特徴としているので、挿入代L1の部分に隙間をなくし、ろう付けを確実にできる。
【0044】さらにまた、被挿入側当接部44a、45aは被挿入側タンク部44、45内面のうち全周ではなく、上下2箇所のみがプレス成形されているので、全周をプレス加工する場合に比べて容易にプレス加工でき、また、前述の被挿入側当接部成形用の治具を、それぞれ図3(a)の左右方向に隣り合う被挿入側タンク部44、45、の間に設置する必要がないので、前記治具を金属薄板4に組み込む作業および取り出す作業を容易にすることができる。
【0045】(第2実施形態)第1実施形態では図6に示すように、被挿入側タンク部44、45の頂部をタンク外方へプレスにより曲げて、頂部の内周にR形状の拡大部44b、45bを成形しているが、図8に示すように、被挿入側タンク部44、45の頂部を曲げることなく切削加工して、頂部の内周にR形状の拡大部44b、45bを成形してもよい。
【0046】また、前記頂部の内周に、R形状を廃止してテーパ形状の拡大部44b、45bを成形してもよい。
【0047】(他の実施形態)上述の実施形態では、当接面42a〜45aをタンク部42〜45の上下2箇所に設けてそれぞれ三日月形状に成形しているが、当接面42a〜45aをタンク部42〜45全周に設けて円周状に成形してもよい。
【0048】また、上述の実施形態では、金属薄板4は図3(b)に示すように、挿入側タンク部42、43が形成されるものと、図3(a)に示すように、被挿入側タンク部44、45が形成されるものとの2種類が成形されているが、1枚の金属薄板4の上端部に形成されるタンク部を挿入側タンク部42、43の形状に形成し、一方、下端部に形成されるタンク部を被挿入側タンク部44、45の形状に形成してもよい。これにより、同一形状の金属薄板4の向きを交互に上下逆転させて積層することができるので、1種類の金属薄板4を成形するだけでよい。
【0049】さらにまた、上述の実施形態では、チューブ2は、それぞれが別体にプレス成形された2枚の金属薄板4を最中合わせの状態に接合することにより形成されているが、図3(a)に示す金属薄板4の図中右側の一辺と、図3(b)に示す金属薄板4の図中左側の一辺とがつながるように、これら2種類の金属薄板4を一体にプレス成形して1枚の金属薄板を成形し、この1枚の金属薄板の前記一辺を折り曲げてチューブ2を形成してもよい。
【0050】また、上述の実施形態において、図3〜5に示すように、入口タンク部42、44が円筒状であるのに対して出口タンク部43、45を楕円筒状の形状に形成して、出口側タンク部43、45の流路断面積を入口側タンク部42、44より十分大きくしているのは、出口タンク部43、45における圧損低減を図るためである。しかし、入口側タンク部42、44を円筒状とせず、必要に応じて、図2のごとく楕円筒状に形成してもよい。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成11年9月8日(1999.9.8)
【代理人】 【識別番号】100100022
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 洋二 (外2名)
【公開番号】 特開2001−82883(P2001−82883A)
【公開日】 平成13年3月30日(2001.3.30)
【出願番号】 特願平11−254495