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【発明の名称】 冷却水の循環システム
【発明者】 【氏名】浦井 研二

【要約】 【課題】循環水の排出温度の上昇および海洋または河川への放出総排熱量を極力低く抑え、かつ循環水が海水または海水に近い水である場合にも塩害を最小限に抑えることにある。

【解決手段】発電設備の内部に設けた蒸気タービン8からの排出蒸気を凝縮させる復水器3と、これと第一の循環水路4により結ばれ復水器3に冷却水を流入させる取水口1と、これと復水器3との間に設けられ冷却水を復水器3に供給させる循環水ポンプ2と、復水器3から第二の循環水路5を経て通過した冷却水を発電設備外部へ流出させる放水口6と、放水口6の隣接部12または取水口1の隣接部11の自由水面から浸水するように設けられ外部からの圧送手段14により供給された大気を冷却水の中に気泡として発生させる冷却手段13とを備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 発電設備に設けられこの発電設備の内部に設けられた蒸気タービンから排出される蒸気を凝縮させる復水器と、この復水器と第一の循環水路により結ばれ前記復水器に前記発電設備外部からの冷却水を流入させるための取水口と、この取水口と前記復水器との間に設けられ前記冷却水を前記復水器に供給させる循環水ポンプと、前記復水器から第二の循環水路を経て通過した冷却水を前記発電設備外部へ流出させるための放水口と、この放水口または前記取水口の隣接部の自由水面から浸水するように設けられ外部からの圧送手段により供給された大気を冷却水の中に気泡として発生させる冷却手段とを備えたことを特徴とする冷却水の循環システム。
【請求項2】 発電設備に設けられこの発電設備の内部に設けられた蒸気タービンから排出される蒸気を凝縮させる復水器と、この復水器と第一の循環水路により結ばれ前記復水器に前記発電設備外部からの冷却水を流入させるための取水口と、この取水口と前記復水器との間に設けられ前記冷却水を前記復水器に供給させる循環水ポンプと、前記復水器から第二の循環水路を経て通過した冷却水を前記発電設備外部へ流出させるための放水口と、この放水口と前記復水器との間に設けられ前記第二の循環水路を通過する冷却水を分岐するための分岐手段と、この分岐手段から第三の循環水路を経て冷却水を導くためのピットと、このピットの自由水面から浸水するように設けられ外部からの圧送手段により供給された大気を冷却水の中に気泡として発生させる冷却手段とを備えたことを特徴とする冷却水の循環システム。
【請求項3】 前記取水口に流入した冷却水の温度を検出するための取水口温度計と、前記放水口から流出する冷却水の温度を検出するための放水口温度計と、これら各温度計により得られた温度の値の偏差と予め定められた偏差の上限値とから冷却すべき温度を演算し、この冷却すべき温度を受けて、予め定まる前記冷却手段から発生させる気泡の量とこの冷却手段により循環水が冷却される温度との関係に基いて、必要により設けられた調整弁に前記冷却手段に圧送する大気の流量を調整する制御指令を出力する演算手段と、を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷却水の循環システム。
【請求項4】 前記冷却手段は、前記取水口の隣接部、前記放水口の隣接部または前記ピットのうちの少なくともいずれかを流れる冷却水の前記自由水面に浸水するように設けられた配管ヘッダと、この配管ヘッダに大気を供給する圧送手段と、前記自由水面に浸水するように設けられ前記圧送手段により供給された大気を前記配管ヘッダを介して冷却水の中に気泡として発生させる多孔配管とを備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載の冷却水の循環システム。
【請求項5】 前記冷却手段は、前記取水口の隣接部、前記放水口の隣接部または前記ピットのうちの少なくともいずれかの流路に設けられここを流れる冷却水の中に気泡を発生させるための複数の孔部を有する面部と、この面部を前記流路に対して外側から包囲する空気室と、この空気室に大気を供給する圧送手段とを備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載の冷却水の循環システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、火力発電所、原子力発電所、コンバインドサイクル発電所等の蒸気タービンの復水器を有する発電プラントにおいて、循環水ポンプによって昇圧された冷却水を復水器に供給し、復水器にて蒸気タービンからの排気蒸気を凝縮することによって熱交換されて温度上昇する復水器冷却用の冷却水の循環システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】発電プラントにおける復水器冷却用の冷却水の循環システムの一例を図6に示す。冷却に用いられる循環水として海水または河川水を用いる場合、図6のように構成された循環システムを、循環水(冷却水)は海または河川に設けられた取水口1から循環水ポンプ2にて昇圧され復水器3の入口側の第一の循環水路4を通り、復水器3に入る。その後、復水器3を出て、復水器出口側の第二の循環水路5を通り、放水口6から再び海または河川に放水される。復水器3の内部には多数の復水器チューブ7が内蔵されており、循環水はこの復水器チューブ7の内部を通過することにより、復水器3の近傍に設けられた蒸気タービン8からの排気蒸気と熱交換を行い、蒸気タービン8からの排気蒸気を凝縮させる。これにより復水器3を通過した後の循環水の温度は、復水器3の入口側、すなわち、もともとの海水または河川水の温度に比べ、通常、数度Cから十数度C、温度上昇することになる。この温度上昇した循環水は放水口6から外部の海または河川に排出される。
【0003】ここでの現象を蒸気タービンサイクル側の蒸気・給水の状態変化において、熱力学的にみると、図7に示すエントロピー・温度線図上に示すようなサイクル変化となる。ここで、四角形の面積SA-A-F-SFと復水器3を通る循環水の重量流量の積が海水または河川に排出される総熱量に等しい。ある蒸気タービンサイクルが事前に決めた出力を行うとき、一般に復水器3の入口側の冷却水の温度が決まると、復水器3の出口側での循環水の温度上昇は復水器3を通過する循環水の重量流量の値に反比例する事がわかる。換言すれば、いかなる場合でも循環水の温度上昇と循環水の重量流量の積は一定である。
【0004】一方、海洋または河川の環境保全の方策としては、まず循環水の温度上昇値をなるべく低減する方法、すなわち海水または河川水に生息する生物に対するサーマルショックを緩和する方策がとられている。このためには上記の説明のように、復水器3を通過する循環水の重量流量の値を増加させ、循環水の温度上昇値を低減することが通常行われる。これは復水器3を大きく設計する事および循環水ポンプ2を大きく設計することで実現される。
【0005】また、さらなる環境保全の方策として、海洋または河川に排出される総熱量を低減することが要求されるが、蒸気タービンサイクルの発電出力を事前に決めた値に保持する条件のもとでは、総熱量の全てを海洋または河川に排出していたのではこの要求は決して満たされない。そこで近年図8に示すように、冷却水の循環系統において、復水器3の後の循環水系統にクーリングタワー9を設置して、これにより復水器3から排出される総熱量の一部を大気に排出する方法が採られることがある。このクーリングタワー9を一般にヘルパークーリングタワーと称している。復水器3を出た循環水は、循環水ブースタポンプ10により再度昇圧され、クーリングタワー9に通水される。循環水はクーリングタワー9で保有する熱量の一部を大気中に排出した後、海洋または河川に放出されることになる。この方法により海洋または河川に排出される総熱量を低減することが可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】海洋および河川の環境保全のうち、これまでに説明したようにサーマルショック防止の方策として放水口6から排出する循環水の温度上昇を低く抑えるためには復水器3および循環水ポンプ2を大きく設計しなければならない。これは発電プラントの建設費を増加させるばかりでなく、ポンプの運転に要する所内電力を費やすため、発電設備全体の効率を低下させている。
【0007】また、海洋または河川に排出する総熱量を低減しようとすれば、クーリングタワー9および循環水ブースターポンプ10等の設置が必要になり、これらの機器は非常に大きな設備であることから、これらの設置のため発電プラントの建設費を大きく増加させるばかりでなく、発電設備全体の効率をさらに低下させている。
【0008】さらに、循環水が海水またはそれに近い性状の塩水である場合、クーリングタワー9から周囲に飛散する循環水により、周囲の設備および環境に塩害を及ぼす。加えてクーリングタワー9の内部に循環水によって運ばれた貝類、バクテリア等の発生、付着による性能劣化が生じやすく、また性能劣化を回復するためにはクーリングタワー9の内部の大がかりな洗浄が必要となる。
【0009】本発明の目的は、循環水の排出温度の上昇および海洋または河川への放出総排熱量を極力低く抑え、かつ循環水が海水または海水に近い水である場合にもその塩害を最小限に防止する冷却水の循環システムを得ることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る冷却水の循環システムは、発電設備に設けられこの発電設備の内部に設けられた蒸気タービンから排出される蒸気を凝縮させる復水器と、この復水器と第一の循環水路により結ばれ復水器に発電設備外部からの冷却水を流入させるための取水口と、この取水口と復水器との間に設けられ冷却水を復水器に供給させる循環水ポンプと、復水器から第二の循環水路を経て通過した冷却水を発電設備外部へ流出させるための放水口と、この放水口の隣接部または取水口の隣接部の自由水面から浸水するように設けられ外部からの圧送手段により供給された大気を冷却水の中に気泡として発生させる冷却手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】本発明の請求項2に係る冷却水の循環システムは、発電設備に設けられこの発電設備の内部に設けられた蒸気タービンから排出される蒸気を凝縮させる復水器と、この復水器と第一の循環水路により結ばれ復水器に発電設備外部からの冷却水を流入させるための取水口と、この取水口と復水器との間に設けられ冷却水を復水器に供給させる循環水ポンプと、復水器から第二の循環水路を経て通過した冷却水を発電設備外部へ流出させるための放水口と、この放水口と復水器との間に設けられ第二の循環水路を通過する冷却水を分岐するための分岐手段と、この分岐手段から第三の循環水路を経て冷却水を導くためのピットと、このピットの自由水面から浸水するように設けられ外部からの圧送手段により供給された大気を冷却水の中に気泡として発生させる冷却手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】本発明の請求項3に係る冷却水の循環システムは、請求項1または請求項2において、取水口に流入した冷却水の温度を検出するための取水口温度計と、放水口から流出する冷却水の温度を検出するための放水口温度計と、これら各温度計により得られた温度の値の偏差と予め定められた偏差の上限値とから冷却すべき温度を演算し、この冷却すべき温度を受けて、予め定まる冷却手段から発生させる気泡の量とこの冷却手段により循環水が冷却される温度との関係に基いて、必要により設けられた調整弁に冷却手段に圧送する大気の流量を調整する制御指令を出力する演算手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】本発明の請求項4に係る冷却水の循環システムは、請求項1ないし請求項3において、冷却手段として、取水口の隣接部、放水口の隣接部またはピットのうちの少なくともいずれかを流れる冷却水の自由水面に浸水するように設けられた配管ヘッダと、この配管ヘッダに大気を供給する圧送手段と、自由水面に浸水するように設けられ圧送手段により供給された大気を配管ヘッダを介して冷却水の中に気泡として発生させる多孔配管とを備えたことを特徴とする。
【0014】本発明の請求項5に係る冷却水の循環システムは、請求項1ないし請求項3において、冷却手段として、取水口の隣接部、放水口の隣接部またはピットのうちの少なくともいずれかの流路に設けられここを流れる冷却水の中に気泡を発生させるための複数の孔部を有する面部と、この面部を流路に対して外側から包囲する空気室と、この空気室に大気を供給する圧送手段とを備えたことを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の第一の実施の形態(請求項1対応)を図を参照して説明する。図1、図2は、本発明の一実施の形態に係る冷却水の循環システムの概念図を示すものであり、課題を解決するための手段の項で述べた各機器、構築物等により構成される。特に、ここでの発明に係る冷却水の循環システムでは、取水口1側の隣接部11または放水口6側の隣接部12の開水路に流れる循環水の自由水面から浸水するように、すなわち、開水路である隣接部において循環水の自由水面よりも低い箇所に、循環水の中に大気を気泡として発生させる冷却手段13を設ける。この冷却手段13には、外部から大気を強制的に導くための圧送手段14が接続されており、必要に応じて冷却手段13と圧送手段14との間に冷却手段13へ導く大気の流量を調整するための調整弁15が設けられる。
【0016】なお、図1は、冷却手段13を放水口6の隣接部12に設けたことを示すものであり、他方、図2は冷却手段13を取水口1の隣接部11に設けたことを示している。
【0017】次に、以上のように構成された本発明の第一の実施の形態の作用について述べる。発電設備の冷却水としての循環水は、海または河川に設けられた取水口1から自由水面を有する隣接部11を経て循環水ポンプ2にて昇圧され、復水器3の入口側の第一の循環水路4を通り、復水器3に流入する。復水器3の内部には多数の復水器チューブ7が内蔵されており、循環水はこの復水器チューブ7の内部を通過することにより、復水器3の近傍に設けられた蒸気タービン8からの排気蒸気と熱交換を行い、蒸気タービン8からの排気蒸気を凝縮させる。復水器4を出た循環水は、復水器出口側の第二の循環水路5を通り、放水口6の隣接部12を経て放出口6まで導かれ、発電設備の外に放出される。
【0018】本発明の実施の形態に係る冷却水の循環システムでは特に、■冷却手段13を放水口6の隣接部12に設け、あるいは、■冷却手段13を取水口1の隣接部11に設けている。このため、■にあっては、復水器3の内部の復水器チューブ7を通過し、蒸気タービン8からの排気蒸気と熱交換をすることにより温められた循環水が放水口6から発電設備の外部へ排出される際に、自由水面を有する放水口6の隣接部12に導かれることになる。この隣接部12には、昇温された循環水に大気を気泡として発生させる冷却手段13が設けられている。これにより昇温された循環水は、冷却手段13から発生した気泡に蒸発することになる。このとき、循環水は気相部である気泡により蒸発熱が奪われ飽和し、この奪われる蒸発熱に応じて循環水の温度が低下する。そして、奪われた蒸発熱は気泡とともに隣接部12の循環水から浮上し、自由表面から大気に放出される。以上の過程から、昇温された循環水が隣接部12を通過する際は、冷却手段13から発生される気泡の作用により冷却され、この冷却された循環水が放水口6に至り、発電設備の外に放出される。
【0019】一方、■にあっては、取水口1から導かれた循環水は、取水口1の自由水面を有する隣接部11に設けられ大気を気泡として発生させる冷却手段13によって■で述べた気泡の作用で冷却された後、循環水ポンプ2により昇圧され、第一の循環水路4を経て復水器3内部の復水器チューブ7に導かれる。こうして、冷却手段13から発生された気泡の作用によって冷却された循環水が復水器3に導かれた場合、復水器チューブ7の内部を流れる冷却された循環水と復水器チューブ7の雰囲気である蒸気タービン8から排出された排気蒸気との温度勾配が大きくとれるので復水器3の真空度が増し、発電設備の出力の上昇が図れる。また、冷却手段13から発生した気泡の作用によって予め冷却された循環水が復水器3の復水器チューブ7に供給されるので、冷却手段13を設けなかった場合に比べて、放水口6から発電設備の外に放出される循環水の温度を低減することができる。
【0020】以下、本発明の第二の実施の形態(請求項2対応)を図を参照して説明する。図3は、本発明の一実施の形態に係る冷却水の循環システムの概念図を示すものであり、課題を解決するための手段の項で述べた各機器、構築物等により構成される。特に、ここでの発明に係る冷却水の循環システムでは、先の実施の形態のように開水路である図1中の隣接部12を設ける十分な領域を確保することが困難な発電設備を想定しており、復水器3と放水口6とを結ぶ第二の循環水路5の中途部において復水器3からの循環水を分岐させるための分岐手段16と、この分岐手段16から分岐された復水器3からの循環水を第三の循環水路17を経て流入させるピット18と、このピット18に流入した循環水の自由水面から浸水するように、すなわち、ピット18において循環水の自由水面よりも低い箇所に、循環水の中に大気を気泡として発生させる冷却手段13を設ける。この冷却手段13には、外部から大気を強制的に導くための圧送手段14が接続されており、必要に応じて冷却手段13と圧送手段14との間に冷却手段13へ導く大気の流量を調整するための調整弁15が設けられる。図3においては、ピット18から流出する循環水は、必要に応じて設けられる第四の循環水路19を経て、分岐手段16よりも下流側の第二の循環水路と合流し、放水口6に至り、ここから発電設備の外に放出される。(図3に示すケースの他に、循環水を第四の循環水路19を第二の循環水路に合流させずに、ピット18から直接放水口6に導くことも考えられる。)
なお、先の実施の形態と同様、冷却手段13には、外部から大気を強制的に導くための圧送手段14が接続されており、必要に応じて冷却手段13と圧送手段14との間に冷却手段13へ導く大気の流量を調整するための調整弁15が設けられる。
【0021】次に、以上のように構成された本発明の第二の実施の形態の作用について述べる。発電設備の冷却水としての循環水は、海または河川に設けられた取水口1から自由水面を有する隣接部11を経て循環水ポンプ2にて昇圧され、復水器3の入口側の第一の循環水路4を通り、復水器3に流入する。復水器3の内部には多数の復水器チューブ7が内蔵されており、循環水はこの復水器チューブ7の内部を通過することにより、復水器3の近傍に設けられた蒸気タービン8からの排気蒸気と熱交換を行い、蒸気タービン8からの排気蒸気を凝縮させる。復水器4を出た循環水は、復水器3出口側の第二の循環水路5を通り、放水口6の隣接部12を経て放出口6まで導かれ、発電設備の外に放出される。
【0022】本発明の実施の形態に係る冷却水の循環システムにより構成したピット18を設けることにより、先の実施の形態で得られる冷却手段13の気泡の作用を、特に、ピット18において利用している。このピット18の循環水に浸水するように設けた冷却手段13、第三の循環水路17および分岐手段16を設けることにより、先の実施の形態のように図1中の開水路である隣接部12を設ける十分な領域を確保することが困難な発電設備であっても、ピット18における冷却手段13から発生される気泡の作用を得ることが可能となり、放水口6等から発電設備の外に放出される循環水の温度を低減することができる。
【0023】以下、本発明の第三の実施の形態(請求項3対応)を図を参照して説明する。図4は、本発明の一実施の形態に係る冷却水の循環システムの概念図を示すものであり、課題を解決するための手段の項で述べた各機器、構築物等により構成される。特に、ここでの発明に係る冷却水の循環システムは、冷却手段13から循環水の中に気泡を発生させる量を、すなわち、復水器3によって昇温された循環水を、これまでに述べた気泡の作用により冷却して発電設備の外に放出する際に要する冷却の程度を調整する機器を備えている。
【0024】次に、以上のように構成された本発明の第三の実施の形態の作用について述べる。発電設備の冷却水としての循環水は、海または河川に設けられた取水口1から自由水面を有する隣接部11を経て循環水ポンプ2にて昇圧され、復水器3の入口側の第一の循環水路4を通り、復水器3に流入することになるが、取水口1から循環水が流入する際に取水口温度計20によって取水口1から発電設備内に取入れられる循環水の温度を検出できる。ここで温度を検出された循環水は、復水器3の内部に多数配された復水器チューブ7を通り、この復水器チューブ7の内部を通過することにより、復水器3の近傍に設けられた蒸気タービン8からの排気蒸気と熱交換を行い、蒸気タービン8からの排気蒸気を凝縮させる。ここで熱交換を行って昇温された循環水は、第二の循環水路を流れる際に、後述する演算を行うケースにあっては、流量計21によりその流量が検出される。そして、ここで流量が検出された循環水は放水口6の隣接部12に流れ、この隣接部12に設けられた冷却手段13から発生された気泡によって上述の気泡の作用により冷却された後、放水口6から発電設備の外に放出される。この際に循環水は、放水口温度計22によってその温度が検出される。
【0025】ところで、上述の取水口温度計20により得られた検出値と流量計21により得られた検出値との温度差(偏差)には、発明が解決しようとする課題の項でも述べたように、サーマルショックを防止する観点からの制約がある。このため、循環水が、復水器3で熱交換によって昇温されることにより予め定められた温度の偏差の上限値を超えた場合は、その超えた分を冷却すべき温度と認識し、冷却手段13から発生させる気泡の作用により冷却する必要がある。その超えた分を冷却するために本発明の実施形態に係る冷却水の循環システムは、第一の演算を行うケースとして、以下に示すステップ(S)を有する演算器23を備えており、この演算器23を備えたことによって、放出口6から放出する循環水の温度を低減させ適切な値に維持できる。
【0026】S11:取水口温度計20および放水口温度計22から検出された各温度の値を入力し偏差(ΔT)を演算するS12:S11でのΔTと、予め定められた偏差の上限値とから、これらの差(ΔTu 「超えた分」)を演算するS13:冷却手段13から発生させる気泡の量(V)とここで発生された気泡の作用により循環水を冷却させる温度との関係に基づき、S12でのΔTu を冷却させるために必要な気泡の量(Vu )を演算するS14:圧送手段14の容量により予め定まる供給可能な大気の量(V0 )とS13のVu との差分を比較し、この差分をゼロにするように、必要により設けられた調整弁15の開閉を行うための制御指令を調整弁15に出力する第二の演算を行うケースとして、以下に示すステップ(S)を有する演算器23を備えており、この演算器23を備えたことによって、第一の演算を行うケースと同様に、放出口6から放出する循環水の温度を低減させ適切な値に維持できる。なお、このケースにあっては、第二の循環水路5の中途部に流量計21を設け、冷却手段13により冷却される昇温された循環水の流量を検出する。
【0027】S21:取水口温度計20および放水口温度計22から検出された各温度の値を入力し偏差(ΔT)を演算するS22:S21でのΔTと流量計21により得られる検出値との乗算値と、この乗算値に対応する予め定めた上限値とを比較し、これらの差(ΔQu 「超えた分」)を演算するS23:冷却手段13から発生させる気泡の量(V)とここで発生された気泡の作用により循環水を冷却させる温度との関係に基づき、S22でのΔQu を冷却させるために必要な気泡の量(Vu )を演算するS24:圧送手段14の容量により予め定まる供給可能な大気の量(V0 )とS23のVu との差分を比較し、この差分をゼロにするように、必要により設けられた調整弁15の開閉を行うための制御指令を調整弁15に出力するこれらの一連のステップ(S)による演算のケースのうち、少なくとも一つ(S11〜S14 または S21〜S24)を行う演算器23を備えたことにより、放出口6から放出する循環水の温度を適切な値に維持することができる。
【0028】以下、本発明の第四の実施の形態(請求項4対応)を図を参照して説明する。図1ないし図4は、本発明の一実施の形態に係る冷却水の循環システムの概念図を示すものであり、課題を解決するための手段の項で述べた各機器、構築物等により構成される。特に、ここでの発明に係る冷却水の循環システムは、循環水の中に気泡を発生させる冷却手段13の構成を示すものである。
【0029】冷却手段13は、図1においては放水口6の隣接部12に、図2においては取水口1の隣接部11に、そして図3においてはピット18に、それぞれ開水路となる箇所の循環水の自由水面から浸水するように設けられている。なお、図4にあっては、図1に示す放水口6の隣接部12に設けられ、さらに、先の実施の形態で述べた一連の機器が設けられることにより放水口6から放出する循環水の温度を適正な値に維持する様子を示している。
【0030】空気圧縮機あるいはファンにより大気を圧送する圧送手段14からの空気は、必要により設けられた調整弁15を経て、冷却手段13を構成する配管ヘッダ24に供給される。配管ヘッダ24には所定数の多孔配管25が接続されており、配管ヘッダ24に供給された空気は、無数の孔部を有する多孔配管25の中を通過することにより、周囲の循環水に、無数の気泡として放出される。なお、多孔配管25の配管ヘッダ24に接続しない端は閉じておく。ここで放出された無数の気泡は、上述の気泡の作用を生じさせることになる。この気泡の作用は、気泡のキメが細かければ細かいほど一定空気量に対する気泡の表面積が大きくなることから循環水の気泡への蒸発が促進される。よって、循環水の流速、循環水中の異物による目詰まり等の影響を考慮しつつ、多孔配管25に設ける孔部を小さくすることが望まれる。
【0031】このように構成された冷却水の循環システムにあっては、上述の気泡の作用により、発電設備から放出する循環水の温度を低減できる。
【0032】以下、本発明の第五の実施の形態(請求項5対応)を図を参照して説明する。図5は、本発明の一実施の形態に係る冷却水の循環システムの概念図を示すものであり、課題を解決するための手段の項で述べた各機器、構築物等により構成される。特に、ここでの発明に係る冷却水の循環システムは、循環水の中に気泡を発生させる冷却手段13の構成を示すものである。
【0033】空気圧縮機あるいはファンにより大気を圧送する圧送手段14からの空気は、必要により設けられた調整弁15を経て、冷却手段13を構成する空気室26に供給される。空気室26は、循環水の開水路となる流路に圧送手段14からの空気を気泡として発生するように設けた複数の孔部27を有する面部28を、流路である隣接部11あるいは13もしくはピット18に対して外側から包囲するように設けられている。なお、面部28は、流路の底面が望ましいが側面とすることも想定される。
【0034】こうして、空気室26に供給された圧送手段14からの空気は、空気室26により包囲された面部28に設けられた複数の孔部27から循環水の中に気泡として放出され、上述の気泡の作用を生じさせることになる。この気泡の作用は、気泡のキメが細かければ細かいほど一定空気量に対する気泡の表面積が大きくなることから循環水の気泡への蒸発が促進される。よって、循環水の流速、循環水中の異物による目詰まり等の影響を考慮しつつ、面部28に設ける孔部27を小さくすることが望まれる。
【0035】このように構成された冷却水の循環システムにあっては、上述の気泡の作用により、発電設備から放出する循環水の温度を低減できる。
【0036】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、冷却手段13から循環水の中へ発生される気泡の作用により、発電設備から海洋あるいは河川へ放出する循環水の温度を冷却することができるため、循環水の排出温度の上昇および海洋あるいは河川への放出総排熱量を極力低く抑えることをクーリングタワー等の建設なしに実現でき、かつ循環水が海水または海水に近い水である場合にもその塩害を最小限に防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成11年7月6日(1999.7.6)
【代理人】 【識別番号】100083161
【弁理士】
【氏名又は名称】外川 英明
【公開番号】 特開2001−21272(P2001−21272A)
【公開日】 平成13年1月26日(2001.1.26)
【出願番号】 特願平11−191329