| 【発明の名称】 |
Pb不溶スラグおよびPbを不溶化するスラグ処理方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】中尾 隆二
【氏名】森重 博明
【氏名】松並 忠則
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| 【要約】 |
【課題】Pbを含んだ製鋼工程で発生するスラグ中のPbを不溶化する。
【解決手段】Pbを 0.001mass%以上含むスラグを、スラグ組成を下記(1) 式を満足するように調整した後に、溶鋼の浴面上から分離あるいは除去する。また、溶鋼の浴面上から分離あるいは除去した後に、少なくとも5日以上の蒸気エージング処理または少なくとも90日以上の屋外保管を行う。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 製鋼工程で発生しPbを 0.001mass%以上を含むスラグを、スラグ組成を下記(1) 式を満足するように調整した後に、溶鋼の浴面上から分離あるいは除去することを特徴とするPbを不溶化するスラグ処理方法。 (T.CaO)/(SiO2)≦1.5 ……… (1)〔但し、(T.CaO) はスラグ中に含まれる全(Ca)を(CaO) に換算した濃度(mass%)、(SiO2)はスラグ中(SiO2)濃度(mass%)〕 【請求項2】 請求項1記載のPbを不溶化するスラグ処理方法において、スラグ組成を調整する前のスラグを加熱処理して溶融させた後に、スラグ組成を前記(1) 式を満足するように調整することを特徴とするPbを不溶化するスラグ処理方法。 【請求項3】 製鋼工程で発生しPbを 0.001mass%以上含むスラグを、溶鋼の浴面上から分離あるいは除去した後に、少なくとも5日以上の蒸気エージング処理または少なくとも90日以上の屋外保管を行うことを特徴とするPbを不溶化するスラグ処理方法。 【請求項4】 製鋼工程で発生しPbを 0.001mass%以上含むスラグであって、スラグの組成が下記(1) 式を満足することを特徴とするPb不溶スラグ。 (T.CaO)/(SiO2)≦1.5 ……… (1)〔但し、(T.CaO) はスラグ中に含まれる全(Ca)を(CaO) に換算した濃度(mass%)、(SiO2)はスラグ中(SiO2)濃度(mass%)〕
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、製鋼工程で発生するスラグに関して、環境上の問題となるPbの溶出量を環境基準値以下に低減し、資源としてのスラグの利用を図る処理方法、および、スラグ組成に関するものである。 【0002】 【従来の技術】一般に、普通鋼の製鋼工程は、高炉より出銑した溶銑中の[Si]、[S]、[P]等を除くための処理を行う溶銑予備処理工程、主に酸素ガスを吹込み脱炭精錬を行う転炉精錬工程、最終的に[C]、[S]、[P]、[H]、[O]等の除去あるいは調整を行う二次精錬工程より成り立ち、溶銑から目標とする溶鋼の成分、組成に制御する。 【0003】溶銑予備処理工程は、トピードカー、取鍋あるいは転炉型の炉でCaO を含むフラックスをインジェクションしたり、KR法と呼ばれる機械的撹拌法により処理が行われている。また、転炉精錬工程は、上底吹き転炉あるいは底吹き転炉により処理が行われ、二次精錬工程は、DH、RH等の真空精錬設備、LFのような加熱処理設備にて処理が行われている。 【0004】一方、ステンレス鋼、高合金鋼、特殊鋼等は、スクラップ、合金等の原料を電気炉にて溶解する溶解工程、溶解した粗溶鋼を上底吹き転炉、AOD炉あるいはVOD炉等で精錬を行う精錬工程で製造されており、これらの工程も製鋼工程と呼ばれている。 【0005】以上示したような製鋼工程では、[C]、[S]、[P]等の不純物の除去が行われるが、溶鋼中[Si]、[Al]等の酸化が起こり、(SiO2)、(Al2O3)等の酸化物が生成する。また、炉の耐火物の溶損が進行すると共に、耐火物の溶損を極力防止するためにCaO やMgO が添加される。これらの結果、製鋼工程ではスラグの生成は避けられず、全製鋼工程を通じてのスラグ発生量は、溶鋼トン当り150kg 程度から250kg 程度にまで達する。そこで、スラグを用いて効率的に不純物の除去をはかるために、スラグ組成および量を制御する処理方法が取り入れられている。 【0006】そのような中で、不純物としてのPbは、Pbを意図的に添加するPb入り快削鋼以外では、高炉や電気炉で添加するスクラップあるいは合金鉄等の原料、および、上底吹き転炉、AOD炉等に投入する精錬炉の冷却材、還元材等に含まれているものである。Pbは、低融点、低沸点金属であり、溶解中あるいは精錬中に気体となって除去されるが、一部が溶鋼中に残存すると共に、スラグ中に(PbO) の形で残存する場合がある。スラグ中のPb濃度は、工程および使用する原料によって異なるが、0.0001mass%から高いものでは0.05mass%程度まで含まれている。 【0007】これまで、製鋼工程で発生するスラグは、ゴミの焼却灰等に比べ、Pb濃度が極めて低く、そのために、水への溶出は起こらないと考えられてきた。しかし、近年、環境問題が重要視されるようになり、スラグに含まれる種々成分の水への溶出特性が把握されるようになってきて、一部のスラグにおいて、Pbの溶出量が環境基準値の0.01mg/l 以下を満足しないものが存在することが問題となってきている。 【0008】このような状況下で、スラグからのPbの溶出を防止する処理方法、あるいは、Pbの溶出を防止するスラグ組成条件等は一切、示されていない。現状は、例えば、「材料とプロセス(vol.12,(1999年)) p.145〜p.146 」で示されているような、ゴミ焼却灰に鉄鋼スラグを加えることで、焼却灰のPb溶出量を処分用産業廃棄物の判定基準値 0.3mg/l 以下にする方法のみである。しかし、この方法でさえも、高いPb溶出量の領域での方法であり、かつ、実験室的規模であり、工業的な規模では、溶出防止効果が立証されているものはない。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、製鋼工程で発生しPbを 0.001mass%以上含むスラグを、スラグ中のPbを除去することなくPbを不溶化して、環境基準値である0.01mg/l 以下の溶出量に抑えるスラグ処理方法およびスラグの条件を提示することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は、上述の課題を有利に解決したものであり、その要旨は、製鋼工程で発生しPbを 0.001mass%以上を含むスラグを、スラグ組成を下記(1) 式を満足するように調整した後に、溶鋼の浴面上から分離あるいは除去することを特徴とするスラグ処理方法である。また、本発明の他の要旨は、製鋼工程で発生しPbを 0.001mass%以上含むスラグであって、スラグの組成が下記(1) 式を満足することを特徴とするスラグである。 (T.CaO)/(SiO2)≦1.5 ……… (1)但し、(T.CaO)はスラグ中に含まれる全(Ca)を(CaO)に換算した濃度(mass%)、(SiO2)はスラグ中(SiO2)濃度(mass%)である。 【0011】また、本発明の他の要旨は、スラグ組成を調整する前のスラグを加熱処理して溶融させ、スラグ組成を前記(1) 式を満足するように調整することを特徴とするスラグ処理方法である。さらに、本発明の他の要旨は、製鋼工程で発生しPbを 0.001mass%以上含むスラグを、溶鋼の浴面上から分離あるいは除去した後に、少なくとも5日以上の蒸気エージング処理または少なくとも90日以上の屋外保管を行うことを特徴とするスラグ処理方法である。 【0012】 【発明の実施の形態】製鋼工程で発生するスラグは、主成分として、(CaO)、(MgO)、(SiO2)、(Al2O3)を含み、脱[S]工程では(S)が、脱[P]工程では(P2O5)および(FeO)が、普通鋼の脱炭工程では(FeO)が、また、含クロム鋼の脱炭工程では(Cr2O3) が、その他の成分として主に含まれている。また、微量成分として(TiO2)、(Na2O)、(K2O)、(B2O3)等を含む場合もある。このようなスラグの精錬能力限界を決める指標として一般的に使われているのが塩基度である。塩基度は、(T.CaO)/(SiO2)あるいは[〔T.CaO)+(MgO)]/[(SiO2)+(Al2O3)]で表され、この値が高いほど、脱[S]、脱[P]および脱[O]能力が向上して高い精錬能をもつが、高いほどコストが上がると共に、スラグの融点が上昇し、反応速度が低下するために、上記塩基度は各工程で好適な範囲に制御される必要がある。例えば、普通鋼の製鋼工程では溶銑予備処理工程および転炉精錬工程で約2.5〜4.5 の範囲に、また、ステンレス鋼の製鋼工程では溶解工程および精錬工程で約1.2 〜2.0 の範囲に制御されている。 【0013】このような高塩基度のスラグ中で、Pbは粒鉄中に金属Pbとして存在する場合もあるが、一般的には、(PbO)として酸化物の状態で存在するとされている。製鋼工程で発生するスラグ中のPb濃度は、0.0001mass%から高いものでも0.05mass%程度であり、ゴミ焼却灰での数%レベルに比べ極めて低く、これまでは、製鋼工程で発生するスラグではPbの水への溶出はないと考えられてきた。 【0014】本発明者らは、製鋼工程で発生するスラグであっても、Pbを 0.001mass%以上含む場合には、Pbの溶出量が環境基準値の0.01mg/l 以下を満足しないものが存在することを発見した。さらに、本発明者らは、Pbの溶出値が基準値を超えるスラグと超えないスラグとの差異を種々検討し、本発明の条件を見い出した。 【0015】Pbの水溶液への溶出量は、Pb濃度が一定の場合、水溶液のpHに依存し、pHが増大、つまり、アルカリ性が高くなるほど、Pb溶出量が増大する。スラグを水に浸漬した場合、スラグの塩基度[(T.CaO)/(SiO2)]が高いほど、スラグ中CaO が下記(2) 式の水和反応により水に溶け込む量が増大し、浸漬後の水溶液のpHが高くなる。そのために、ある一定量以上のPbを含むスラグでは、スラグの塩基度が高いと、Pbの溶出現象が起きることを発見した。 CaO+H2O =Ca(OH)2 ……… (2)【0016】この溶出現象の解明より、Pbの溶出量を環境基準値の0.01mg/l 以下に抑える条件として、スラグ中のPb濃度を 0.001mass%未満にすること、および、スラグ中のPb濃度が 0.001mass%以上では、前記(1) 式の条件が導出された。この条件を満足すれば、スラグは、Pb不溶スラグとなる。 【0017】また、前記(2) 式のスラグ中CaO の水和反応は、蒸気エージング処理あるいは屋外に保管した場合の大気中の水分あるいは雨水との接触においても進行し、スラグは電気化学的に安定な状態に近づいていく。蒸気エージング処理は、スラグに水蒸気を通して、スラグの水和反応による膨張現象を促進する方法であり、処理後スラグの膨張を抑え、スラグの資源化をはかる処理であって、高塩基度スラグの処理に広く活用されている処理方法である。 【0018】スラグの蒸気エージング処理および屋外保管の期間が長くなるほど、水和反応の進行率が高くなるので、スラグを水に浸漬した後の水溶液のpHは処理前に比べ、低下してくる。Pb濃度を 0.001mass%以上含むスラグでは、少なくとも5日以上の蒸気エージング処理、または、少なくとも3ヶ月以上の屋外保管を行うことにより、Pbの溶出量を環境基準値の0.01mg/l 以下に抑えることが可能になることが確認された。 【0019】本発明者らは、本発明の処理方法には以下のような実施態様があることを確認した。 (1)スラグが溶鋼の浴面上にある状態で、CaO あるいはSiO2の添加量を調整して、スラグの塩基度が前記 (1)式を満足するようにした後に、スラグを溶鋼の浴面上から分離あるいは除去する。 【0020】(2)スラグが溶鋼の浴面上にある状態で、前記 (1)式の条件を達成できなかった場合には、スラグを溶鋼から分離あるいは除去した後に、スラグのみを加熱して溶融させ、その後に、SiO2を添加して、スラグの組成が前記 (1)式を満足するように調整する。 【0021】(3)スラグ組成の調整あるいは分析ができない場合には、スラグを溶鋼の浴面上から分離あるいは除去した後に、少なくとも5日以上の蒸気エージング処理、または、少なくとも90日以上の屋外保管を行う。 【0022】以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。本発明のスラグの処理は、図1に例示するような製鋼工程で発生するスラグの処理に適用するものである。図1の(a) はトピードカーでの溶銑予備処理工程、同(b) は取鍋での溶銑予備処理工程、同(c) はKR法による溶銑予備処理工程、同(d) は上底吹き転炉による精錬工程、同(e) はRHによる二次精錬工程、同(f) はDHによる二次精錬工程、同(g) は電気炉による溶解工程、同(h) はAOD炉による精錬工程、同(i)はVOD炉による精錬工程を示し、図中の1は吹込みランス、2は溶鋼または溶銑、3はスラグ、4は撹拌羽根、5はフラックス投入シュート、6は底吹き羽口、7は上吹きランス、8はガス吹込み羽口、9は電極、10は横吹き羽口、11は底吹きポーラスプラグを示す。 【0023】これらの工程では、溶解あるいは精錬を効率的に進め、かつ、炉の耐火物を保護するために、溶銑または溶鋼の5%以上のスラグの発生は避けられない。また、スクラップあるいは合金鉄等の溶解原料、または、精錬炉で添加される冷却材あるいは還元材よりPbが混入してくるので、スラグ中にPbは0.0001〜0.05mass%程度含有される。このスラグにおいて、Pbを 0.001mass%以上含む場合には、スラグ組成を調整せずに、溶銑または溶鋼から分離あるいは除去し冷却・凝固させた場合、あるいは、スラグ中CaO の水和反応を促進させるような処理を行わなかった場合、高い頻度で環境基準値を上回るPb溶出値を示すスラグが発生してしまう。 【0024】本発明は、スラグに含まれるPbの溶出量がスラグに接触する水溶液のpHに依存して増大することに着目し、スラグに接触する水溶液のpHを低下させる条件および処理条件を明確にして、Pbの不溶化を達成するものである。 【0025】図2は、普通鋼およびSUS304ステンレス鋼を電気炉で溶解し、AOD炉で精錬を行った場合の各工程でのスラグのスラグ中Pb濃度とPb溶出量の関係を示す。なお、Pb濃度の分析は湿式の化学分析法により行い、Pbの溶出分析は環境庁告示46号の分析方法に則って行い、Pb溶出量が0.01mg/l 以下のスラグの値は全てPb溶出量を0.01mg/l とした。 【0026】図中の値は、全て、スラグを溶鋼の浴面上から分離あるいは除去した後に冷却凝固させた直後のスラグの値であり、かつ、スラグ中(T.CaO)/(SiO2)の値が 1.6〜2.0 のものである。また、○印は電気炉で発生したスラグ、□印はAOD炉で発生したスラグを示す。 【0027】図2より、電気炉スラグおよびAOD炉スラグとも、スラグ中Pb濃度の増大で、Pb溶出量も増大する傾向にあり、環境基準値0.01mg/l 以下を満足するには、スラグ中Pb濃度を 0.001mass%未満にする必要があることがわかる。したがって、本発明が適用できるスラグは、スラグ中Pb濃度が 0.001mass%以上のスラグである。 【0028】図3は、普通鋼およびSUS304ステンレス鋼を電気炉で溶解し、AOD炉で精錬を行った場合の各工程で、スラグを溶鋼の浴面上から分離あるいは除去した後に冷却凝固させた直後のスラグ、および、該スラグを加熱処理して溶融させた後にSiO2を添加してスラグ組成の調整を行ったスラグのスラグ中(T.CaO)/(SiO2)とPb溶出量の関係を示す。図中の○印が、電気炉で発生したスラグ、□印が、AOD炉で発生したスラグ、黒四角印が、加熱処理して溶融させた後にスラグ組成の調整を行ったスラグの値を示す。なお、処理前のスラグ中Pb濃度は、いずれも 0.001mass%以上であった。 【0029】図3より、スラグ中(T.CaO)/(SiO2)が1.5 以下の条件、つまり、前記(1) 式の条件で、Pb溶出量が環境基準値を満足することがわかる。また、スラグを溶鋼の浴面上から分離あるいは除去した後に、該スラグを加熱処理して溶融させ、その後に、スラグ組成を前記(1) 式を満足するようにスラグ組成の調整を行うことで、Pb溶出量を環境基準値0.01mg/l 以下にできることがわかる。 【0030】図4は、スラグ中 (T.CaO)/(SiO2)が1.5 を超え、かつ、Pb溶出量が0.01mg/l を超えた製鋼工程で発生したスラグに対し蒸気エージング処理を行った場合の、蒸気エージング日数とPb溶出量の関係を示す。図4より、蒸気エージング日数が増大するにしたがい、Pb溶出量は低下する傾向にあり、エージング日数5日以上で、環境基準値0.01mg/l 以下を達成できることがわかる。 【0031】図5は、スラグ中(T.CaO)/(SiO2)が1.5 を超え、かつ、Pb溶出量が0.01mg/lを超えた製鋼工程で発生したスラグを、屋外保管した場合の屋外保管日数とPb溶出量の関係を示す。図5より、屋外保管日数が増大するにしたがい、Pb溶出量は低下する傾向にあり、屋外保管日数が90日以上で、環境基準値0.01mg/l 以下を達成できることがわかる。 【0032】以上より、製鋼工程で発生したPbを 0.001mass%以上含むスラグを、スラグ組成を前記(1) 式を満足するように調整した後に、溶鋼の浴面上から分離あるいは除去すること、および、スラグ組成が前記(1) を満足しない場合には、該スラグを加熱処理して溶融させ、スラグ組成を前記(1) 式を満足するように調整した後に冷却することで、環境基準値以下のPb溶出量とすることが可能になる。さらに、スラグを溶鋼の浴面上から分離あるいは除去した後に、該スラグを少なくとも5日以上の蒸気エージング処理または少なくとも3ヶ月以上の屋外保管を行うことで、環境基準値以下のPb溶出量とすることが可能になることが確認された。なお、前記(1) 式を満足するスラグであれば、Pb不溶スラグであることは明らかである。 【0033】 【実施例】普通鋼またはSUS304ステンレス鋼(8mass%Ni−18mass%Cr)60ton の溶鋼を製造する処理を、図1の(g) に示す溶解工程、および、同(h) に示す精錬工程の実施態様で実施した。溶解工程では、スクラップ、合金鉄を原料として溶解し、所定温度まで昇温した後、取鍋にスラグと共に出鋼した。取鍋に入ったスラグは、AOD炉に溶鋼を入れる前に、排滓機を用いてスラグパンに分離した。AOD炉では精錬中に冷却材の添加を行い、所定[C]濃度まで脱炭精錬を行った後に、また、ステンレス鋼では、還元材にFe−Siを添加して還元精錬を行い、スラグと共に取鍋に出鋼し、溶鋼を連続鋳造した後に、スラグをスラグパンに分離、除去した。普通鋼では還元精錬を行わず、脱炭精錬後、直ちに、スラグと共に取鍋に出鋼し、出鋼後、排滓機を用いて、スラグをスラグパンに分離した。 【0034】表1に、スラグの発生箇所、溶製鋼種、スラグ組成、スラグの加熱処理の有無と処理後の(T.CaO)/(SiO2)、蒸気エージング日数、屋外保管日数およびスラグのPb溶出量をまとめて示す。 No.1〜10が本発明例、No.11 〜18が比較例である。また、本発明例のNo.1とNo.3は、スラグ組成を調整した後に溶鋼の浴面上から分離した例であり、No.2、No.4およびNo.5は、溶鋼の浴面上から分離した後にスラグの加熱処理を行い、スラグ組成の調整を行った例であり、No.6とNo.8は、蒸気エージング処理を行った例であり、また、No.7、No.9およびNo.10 は屋外保管を行った例である。 【0035】本発明例では、スラグが溶鋼の浴面上にあるときにスラグ組成の調整を行うか、または、溶鋼の浴面上から分離した後に加熱処理を行い、スラグを溶融させた後にスラグ組成の調整を行うことで、前記(1) 式を満足するスラグ組成とした。このような処理ができない場合には、少なくとも5日以上の蒸気エージング処理、あるいは、少なくとも90日以上の屋外保管を行った。以上の処理により、安定して環境基準値0.01mg/l 以下を満たすPb溶出量となった。 【0036】一方、比較例では、Pb溶出量におよぼす要因が明確されていないために、スラグ組成の調整を行わず、かつ、溶鋼の浴面上から分離した後にスラグのみの加熱処理を行うようなことはしなかった。また、蒸気エージング処理あるいは屋外保管処理も十分に行っていないために、Pb溶出量が環境基準値を超えてしまう。比較例で、環境基準値を満たす例は、No.18 にあるように、スラグ中Pb濃度が 0.001mass%未満の場合のみである。 【0037】 【表1】
【0038】 【発明の効果】本発明によると、製鋼工程で発生しPbを 0.001mass%以上含むスラグで、Pb溶出量が安定して環境基準値以下となり環境への悪影響がなくなり、スラグを、路盤材、砂の代替材などの資源として活用することができる。また、Pbの溶出量が環境基準値を超えるスラグに対し、環境基準値以下のPb溶出量に下げる処理が可能となり、スラグを資源として活用する範囲を大幅に広げることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006655 【氏名又は名称】新日本製鐵株式会社
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| 【出願日】 |
平成12年1月6日(2000.1.6) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100077517 【弁理士】 【氏名又は名称】石田 敬 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2001−194074(P2001−194074A) |
| 【公開日】 |
平成13年7月17日(2001.7.17) |
| 【出願番号】 |
特願2000−866(P2000−866) |
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