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【発明の名称】 リング付き炉内搬送用ローラーとその製造方法
【発明者】 【氏名】谷口 聡

【要約】 【課題】少ない加工量で必要な形状精度が得られるようなセラミックス製の炉内搬送用ローラーを提供する。

【解決手段】炭化珪素と珪素とを構成成分として含有するSi−SiC質焼結体からなるローラー軸3に、同材質からなる複数個のリング5が、所定の間隔をもって一体的に接合されている炉内搬送用ローラー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 炭化珪素と珪素とを構成成分として含有するSi−SiC質焼結体からなるローラー軸に、同材質からなる複数個のリングが、所定の間隔をもって一体的に接合されていることを特徴とするリング付き炉内搬送用ローラー。
【請求項2】 ローラーの回転時に、前記リングの各々の中心軸が、前記ローラー軸の中心軸と同軸となる請求項1記載の炉内搬送用ローラー。
【請求項3】 炭化珪素粉末と炭素粉末とを主要原料として調合された成形用原料を用いて軸状成形体と複数個のリング状成形体とを別個に成形し、得られた軸状成形体に複数個のリング状成形体を挿通して所定の間隔で接着固定した後、これを金属珪素が存在する減圧の不活性ガス雰囲気中又は真空中において、金属珪素を含浸させながら焼成することによりリング付きローラー焼結体を得、当該焼結体のリングの表面を研磨加工することにより必要な形状精度を得ることを特徴とするリング付き炉内搬送用ローラーの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、ローラーハースキルン等において、被加熱体の搬送に使用される炉内搬送用ローラーに関する。
【0002】
【従来の技術】 ローラーハースキルン等の連続加熱炉に使用される炉内搬送用ローラーとして、近年、優れた耐摩耗性、耐熱性、軽量性等を有するセラミックス材料からなるローラーが注目されている。この種のローラーには高い形状精度が求められ、例えばガラス基板焼成用の幅広なローラーハースキルンで使用される長さ2400mm程度のローラーでは、図3に示すローラーの反り量aが0.5mm以内であることが好ましい。
【0003】 この反り量aが大きいと、■ローラーの最大反り位置における周速が他の部位よりも速く、セッターとの接触が点接触となるために、セッターとの摩擦により発塵の原因となる、■炉内の幅方向で回転の周速が異なるために、被加熱体が蛇行する、■搬送時に被加熱体の上下動が起こり、その振動による衝撃が被加熱体の損傷に繋がる、といった問題が生じる。
【0004】 一般に、セラミックス製の炉内搬送用ローラーは、押出成形により得られた中空の軸状成形体を焼成して製造されるが、焼成終了時点でのローラーの反り量aは、既存の技術ではローラーの長さの0.1%程度となる。すなわち、長さ2400mmのローラーでは、前記の0.5mm以内という好適な範囲を大きく上回る2.4mm程度の反りが生じ、従来、長尺のローラーでは前述の■〜■のような問題を招いていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 炉内搬送用ローラーに使用されるような高硬度で緻密質のセラミック焼結体は加工性が良くないため、反りの修正のためにローラー表面の研磨加工を施すとなると、その加工量の多さから加工費用が高くなり、まして強度を下げることになるため、研磨加工は不可能とされてきた。
【0006】 本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、少ない加工量で必要な形状精度が得られるようなセラミックス製の炉内搬送用ローラーとその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】 本発明によれば、炭化珪素と珪素とを構成成分として含有するSi−SiC質焼結体からなるローラー軸に、同材質からなる複数個のリングが、所定の間隔をもって一体的に接合されていることを特徴とするリング付き炉内搬送用ローラー、が提供される。
【0008】 また、本発明によれば、炭化珪素粉末と炭素粉末とを主要原料として調合された成形用原料を用いて軸状成形体と複数個のリング状成形体とを別個に成形し、得られた軸状成形体に複数個のリング状成形体を挿通して所定の間隔で接着固定した後、これを金属珪素が存在する減圧の不活性ガス雰囲気中又は真空中において、金属珪素を含浸させながら焼成することによりリング付きローラー焼結体を得、当該焼結体のリングの表面を研磨加工することにより必要な形状精度を得ることを特徴とするリング付き炉内搬送用ローラーの製造方法、が提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】 図1は本発明に係る炉内搬送用ローラーの実施形態の一例を示す斜視図で、図2は図1のA−A断面図である。本発明の炉内搬送用ローラー1は、炭化珪素と珪素とを構成成分として含有するSi−SiC質焼結体からなるローラー軸3に、同材質からなる複数個のリング5が、所定の間隔をもって一体的に接合されてたものである。リング5は、ローラー1の回転時に、その中心軸が、ローラー軸3の中心軸と同軸となるように、ローラー軸3への接合及び接合後の研磨加工がなされている。
【0010】 このリング付き炉内搬送用ローラー1は、その使用時において、リング5の表面のみが被加熱体を載置するセッターに接触した状態で回転し、被加熱体及びセッターの搬送を行う。このため、ローラーの製造工程において、焼成終了時点での反りを修正しようとする場合には、その修正のための研磨加工を、セッターと接触するリング5の表面だけに施せばよく、少ない加工量で必要な形状精度を得ることができる。
【0011】 なお、このようなリングを配した炉内搬送用ローラーの構成としては、本発明のような一体構造の物の他、別体のローラー軸とリングとを嵌合した構造の物も考えられるが、その場合は、必要な形状精度を確保するにあたって、前記の様な形状加工の加工精度の他に、ローラー軸とリングとの嵌め合い精度、リングのズレや緩み、熱膨張などもについても考慮する必要がある。これに対し、本発明のローラーは、ローラー軸3とリング5が一体化しているので、必要な形状精度を確保するにあたって、加工精度以外の問題を考慮する必要がない。
【0012】 本発明のローラーを形成するSi−SiC質焼結体は、炭化珪素質材料を基礎材質とし、その気孔に金属珪素が浸透・含浸した材料であり、その組成として炭化珪素と炭素を含むものである。具体的には、50〜99.5重量%の炭化珪素と0.5〜50重量%の珪素とを含有するものが強度、耐熱衝撃性等の点から好ましい。
【0013】 Si−SiC質焼結体は、炭化珪素粉末と炭素粉末とを主成分とする成形用原料を用いて作製された成形体を、金属珪素を含浸させながら焼成することで得られるが、この含浸された金属珪素は接合材的な作用を持つので、別々に成形したローラー軸とリングとを組み合わせて前記のような焼成を行うと、金属珪素の作用で両者が強固に一体化する。また、Si−SiC質焼結体は、その形成過程において、ローラー軸とリングとの一体化に好適に作用するだけでなく、強度や耐酸化性等に優れ、炉内搬送用ローラーの材質として非常に適したものである。
【0014】 次に、本発明のローラーの製造方法について説明する。図4は、本発明に係るローラーの製造方法の一例を示すフロー図である。前記のようなローラーの製造にあたっては、まず、炭化珪素粉末と炭素粉末とを主要原料として、成形用原料の調合を行う。すなわち、所定量の炭化珪素粉末と炭素粉末とを混合し、この混合粉末に対して、フェノールやメチルセルロース等の有機バインダーと水とを加えて混練し成形用原料とする。
【0015】 次に、この成形用原料を用いて、軸状成形体と複数個のリング状成形体とを別個に成形する。成形は、押出成形によって成形用原料を筒状に押し出し、所定の長さ(厚さ)で切断することにより、それぞれ所望の軸状成形体とリング状成形体とを作製する。
【0016】 次いで、得られた各成形体を乾燥後、軸状成形体に複数個のリング状成形体を挿通して所定の間隔で接着固定し、両者を一体化する、この接着に用いる接着材としては、炭化珪素微粒子と炭素微粒子との混合物に、フェノールやメチルセルロースなどを有機バインダーとして添加し、更にペースト状になる程度の水を加えて得た接合用スラリーが好適に使用できる。
【0017】 接着後、これを金属珪素が存在する減圧の不活性ガス雰囲気中又は真空中において、金属珪素を含浸させながら焼成する。焼成温度は1350〜2500℃の範囲とすることが好ましい。この焼成により、溶融した金属珪素が、成形体中に含浸され、成形体中の炭素粉末と反応してこれを炭化珪素化するとともに、気孔中に充填されて緻密化する。更に、金属珪素は接合材としても作用し、軸状成形体とリング状成形体とをより強固に一体化する。
【0018】 こうして得られたSi−SiC質のリング付きローラー焼結体に対して、サンドブラストにより表面仕上げを施した後、リングの表面を研磨加工して、ローラーの反りを修正し、必要な形状精度を得る。具体的には、ローラーを回転させた時に、リングの各々の中心軸がローラー軸の中心軸と同軸となり、かつ各リングの外表面が同一平面を形成するようにリングに研磨加工を施す。前述のように、このリング付きのローラーでは、リングの表面のみを研磨することにより必要な形状精度を得ることができるので、従来のローラーに比して、外径精度を大幅に安価に向上させることができる。
【0019】 なお、本発明において、ローラーの寸法や、リングの個数、配置間隔は、そのローラーが使用される炉の寸法・構造や、搬送される被加熱体等により適宜決められる。
【0020】
【実施例】 以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0021】 最大粒径150μmの骨材となる炭化珪素粉末55重量%、平均粒径20μmの炭化珪素微粉末25重量%、平均粒径10μmの炭化珪素微粉末15重量%及び黒煙粉末5重量%を混合し、これにバインダーとしてメチルセルロースを外配で4重量%添加し、更に水を加えてニーダーで30分間混練することにより、成形用の坏土を得た。
【0022】 成形には連続式の押し出し機を使用し、押し出し時の圧力を30kgf/cm2として前記の坏土を筒状に成形した。押出成形後、60℃で15時間乾燥し、所定の内径と外径を持つ筒状の成形体を得た。この成形体を所定の寸法に切断して、ローラーの軸となる軸状成形体と、リングとなるリング状成形体を作製した。なお、接着後の真円度を保ちつつ接着を全面で行うため、軸状成形体の外径とリング状成形体の内径との差は0.5〜1mm程度となるようにした。
【0023】 平均粒径10μmの炭化珪素微粉末95重量%と黒煙粉末5重量%とを混合し、これにバインダーとしてメチルセルロースを外配で2重量%添加し、更に水を加えてペースト状になるまで混練して接着用の材料(接着材)を得た。この接着材を軸状成形体のリング取り付け予定位置に塗布し、その位置までリング状成形体を差し込んで少し回転させることによりリングの内面とチューブとが完全に接着材で密着するようにした。
【0024】 接着後、60℃で12時間以上乾燥し、軸状成形体とリング状成形体の接合体を得た。この接合体を金属珪素が存在する真空中において、1650℃で金属珪素を含浸させながら焼成した。こうして得られた焼結体に対し、必要な形状精度が得られるまでリング表面の研磨加工を行い、リング付き炉内搬送用ローラーを完成した。
【0025】
【発明の効果】 以上説明したように、本発明の炉内搬送用ローラーは、その製造工程における焼成終了時点での反りを修正して必要な形状精度を得るにあたり、使用時にセッターと接触するリングの表面のみに加工を施せばよいので、結果的に、加工費用が安価なローラーを提供することが可能になる。また、ローラー軸とリングが一体化しているので、必要な形状精度を確保するにあたって、ローラー軸とリングとの嵌め合い精度、リングのズレや緩み、熱膨張などの加工精度以外の問題を考慮する必要がない。更に、本発明の製造方法によれば、焼成後のローラーの反りを修正するための研磨加工を可能にし、少ない加工量で必要な形状精度を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
【出願日】 平成11年12月20日(1999.12.20)
【代理人】 【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
【公開番号】 特開2001−174165(P2001−174165A)
【公開日】 平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願番号】 特願平11−361517