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【発明の名称】 製錬炉のランス管理方法及び管理装置
【発明者】 【氏名】長谷川 望

【氏名】田中 史人

【要約】 【課題】ランス長さの誤検出をなくし、ランスの先端の閉塞や曲がりをも把握する。

【解決手段】炉内に内管2および外管3からなるランス1が配設され、該ランス1の外管3の上端側に接続された管路5から、該外管3内にランスエアーAを供給しつつ、前記内管2から原料を供給する製錬炉のランス管理方法において、前記管路5内のランスエアーの流速を一定にした上で、管路5内の圧力を圧力測定器6により測定し、その測定結果に基づいてランス1の長さを求めると共に、ランス1の上端にランス内部を通してランス1の下端開口を撮影するCCDカメラ7を設け、そのCCDカメラ7の撮影した画像からランス1の長さを求め、圧力の測定によって求めたランス長さと、CCDカメラ7の撮影した画像から求めたランス長さとを比較することにより、ランス長さとランスの状態を把握する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 炉内に内管および外管からなるランスが配設され、該ランスの外管の上端側に接続された管路から、該外管内にランスエアーを供給しつつ、前記内管から原料を供給する製錬炉のランス管理方法において、前記管路内の前記ランスエアーの流速を一定にした上で、該管路内の圧力を圧力測定器により測定し、その測定結果に基づいて前記ランスの長さを求めると共に、前記ランスの上端にランス内部を通してランスの下端開口を撮影するカメラを設け、そのカメラの撮影した画像からランスの長さを求め、前記圧力の測定によって求めたランスの長さと、カメラの撮影した画像から求めたランスの長さとを比較することにより、ランスの長さとランスの状態を把握することを特徴とする製錬炉のランス管理方法。
【請求項2】 前記圧力の測定によって求めたランスの長さと、カメラの撮影した画像から求めたランスの長さとが一致している場合、圧力の測定によって求めたランスの長さが適正な測定値であると見なし、その結果に基づいて炉内溶湯表面からのランスの高さを最適値に制御することを特徴とする製錬炉のランス管理方法。
【請求項3】 炉内に内管および外管からなるランスが配設され、該ランスの外管の上端側に接続された管路から、該外管内にランスエアーを供給しつつ、前記内管から原料を供給する製錬炉のランス管理装置において、前記ランスエアーの圧力を測定する圧力測定器と、前記ランスの上端に設けられ、ランス内部を通してランスの下端開口を撮影するカメラと、前記圧力測定器の出力に基づいてランスの長さを求めると共に、前記カメラの撮影した画像からランスの長さを求め、両者の値を比較することにより、ランスの長さとランスの状態を判別する手段と、を備えることを特徴とする製錬炉のランス管理装置。
【請求項4】 前記ランスの長さとランスの状態を判別する手段の判別結果に基づいて前記ランスの上下位置を調整するランス位置移動機構と判別結果を外部に知らせる手段とを備えていることを特徴とする請求項3記載の製錬炉のランス管理装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、製錬炉に鉱石や酸素を供給するためのランス管理方法及びランス管理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】銅製錬工程における溶錬炉や製銅炉などの製錬炉にあっては、炉内の溶湯に対して、鉱石等の原料を、吹錬を促進するための酸素とともに吹き込むランスが設けられている。
【0003】このような製錬炉においては、上記のような鉱石や酸素と炉内の溶湯との混合を安定化させるため、ランスの下端から溶湯の湯面までの距離を常に一定に保つことが重要とされている。
【0004】しかしながら、炉内の高温下にあっては、ランスがその下端から溶融して減っていく現象(溶損)が生じるため、ランス下端から溶湯湯面までの距離を一定に保つためには、頻繁に炉内を点検してランスの高さを調節・管理するといった作業が不可欠であった。
【0005】そこで、炉内におけるランスの長さを何らかの手段によって知得することにより、ランス下端から溶湯湯面までの距離を把握し、この結果に基づいてランスの位置を調整するといったランスの管理方法が従来より採用されてきた。
【0006】その方法の一つとして、特開平10−170166号公報に記載の技術が知られている。この方法では、ランスに流すエアーの流速を一定にした上で、ランス内の圧力を測定し、ランス長さが大きい方が圧力測定点における背圧が大きくなるという関係から、測定圧力によりランスの長さを換算するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記技術では圧力の測定のみでランスの長さを求めていたが、それだけでは間違った検出を行うことがあった。即ち、ランスの先端が付着物によって閉塞された場合、ランスが消耗して長さが短くなっているにも拘わらず、圧力損失の増大に応じて背圧(測定圧力)が大きくなることで、ランス長さが長いと判定してしまうことがあった。また、長さ自体の測定には問題がなくても、ランスの曲がりまで把握することはできなかった。即ち、ランスの先端に曲がりが生じた場合には、圧力の変化がほとんどなく、何らの異常もないと判断してしまうからである。このようなランスの先端の閉塞や曲がりは、ランスの高さ同様に反応効率を低下させて操業を不安定にする要因の一つであるから、従来のランス管理方法による操業の安定化効果は必ずしも十分ではなかった。
【0008】本発明は、上記事情を考慮し、ランス長さの誤検出をなくし、ランスの先端の閉塞や曲がりも把握することのできる信頼性の高いランス管理方法及び管理装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、炉内に内管および外管からなるランスが配設され、該ランスの外管の上端側に接続された管路から、外管内にランスエアーを供給しつつ、前記内管から原料を供給する製錬炉のランス管理方法において、前記管路内の前記ランスエアーの流速を一定にした上で、該管路内の圧力を圧力測定器により測定し、その測定結果に基づいて前記ランスの長さを求めると共に、前記ランスの上端にランス内部を通してランスの下端開口を撮影するカメラを設け、そのカメラの撮影した画像からランスの長さを求め、前記圧力の測定によって求めたランスの長さと、カメラの撮影した画像から求めたランスの長さとを比較することにより、ランスの長さとランスの状態を把握することを特徴とする。
【0010】この発明では、ランスエアーの流速を一定に保った上で管路内の圧力を測定することにより、ランスの長さを求める(この点は前述した従来技術と同じ)。即ち、ランスの長さの変化による圧力損失の変化が、測定点における圧力の変化として現れることから、圧力の変化に着目しておけば、ランスの溶損量が検知可能であり、これによりランスの長さを求めることができる。
【0011】一方、ランスの上端に配したカメラでランスの下端開口を撮影した画像によりランスの長さを求める。即ち、ランスの長さが長い場合には、カメラから開口までの距離が大きいことにより開口面積が小さく撮影され、先端が溶損してランスが短くなるに従いカメラから開口までの距離が小さくなるので、開口面積が大きく撮影される。従って、撮影した画像におけるランス下端の開口面積の大きさを例えば画像処理的手法により解析することで、ランスの長さを求めることができる。
【0012】そして、圧力の測定によって求めたランスの長さと、カメラで撮影した画像に基づいて求めたランスの長さとを比較することにより、圧力の測定によって求めたランスの長さが適正な値であるかをチェックする。適正な値でない場合は、何らかの異常があると把握することができる。
【0013】即ち、ランスの溶損の進み具合はおおよそ推定できるので、ランスの長さの変化に応じた圧力の変化の度合いや開口面積の変化の度合いもおおよその見当が付く。それに対して、ランスの先端が付着物で閉塞された場合は、実際に測定した圧力の変化が、予想される範囲よりも急激に大きくなったり、実際に撮影した開口面積の変化が、予想される範囲よりも急激に小さくなったりする。そして、それぞれに圧力の測定結果から求めたランスの長さと、カメラの画像から求めたランスの長さとが大きくばらつくようになるため互いに一致しなくなる。そこで、このような現象がとらえられた場合は、ランスの先端が閉塞したと判断することができる。また、圧力の測定結果から求めたランスの長さがあまり変化しないにも拘わらず、カメラの画像から求めたランスの長さが大きく変化した場合は、ランスの先端が変形したと見なすことができる。
【0014】請求項2の発明は、前記圧力の測定によって求めたランスの長さと、カメラの撮影した画像から求めたランスの長さとが一致している場合、圧力の測定によって求めたランスの長さが適正な測定値であると見なし、その結果に基づいて炉内溶湯表面からのランスの高さを最適値に制御することを特徴とする。
【0015】この発明では、ランスの長さの測定が適正に行われたとき、それに応じてランスの高さを最適値に調整するので、安定した操業が可能になる。
【0016】請求項3の発明は、炉内に内管および外管からなるランスが配設され、該ランスの外管の上端側に接続された管路から、外管内にランスエアーを供給しつつ、前記内管から原料を供給する製錬炉のランス管理装置において、前記ランスエアーの圧力を測定する圧力測定器と、前記ランスの上端に設けられ、ランス内部を通してランスの下端開口を撮影するカメラと、前記圧力測定器の出力に基づいてランスの長さを求めると共に、前記カメラの撮影した画像からランスの長さを求め、両者の値を比較することにより、ランスの長さとランスの状態を判別する手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】この発明では、ランスの上部に圧力測定器とカメラを配置することで、簡単に請求項1の発明の方法を実施することができる。
【0018】請求項4の発明は、前記ランスの長さとランスの状態を判別する手段の判別結果に基づいて前記ランスの上下位置を調整するランス位置移動機構と判別結果を外部に知らせる手段とを備えていることを特徴とする。
【0019】この発明では、ランスの長さの測定が適正に行われたとき、それに応じてランスの高さを最適値に調整することができるので、安定した操業が可能になる。また、異常な状態を検出した場合は、モニタ等に警報を出したりすることで、作業者に知らせることができ、早期の対策をとることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1において、符号1はランスを示す。ランス1は、内管2と外管3からなるものであり、内管2は炉内に鉱石およびエアーを、外管3は炉内に酸素およびエアーを供給するものである。ランス1の下方には、溶湯Yが滞留しており、ランス1は、その下端から溶湯5の湯面までの距離がHとなるように炉内に配置される。ランス1の上方における炉天井および炉頂床のさらに上側(炉の外側)には、ランスヘッダー4が設けられており、ランスヘッダー4には、炉の外部からエアー(ランスエアー)Aをランス1に対して供給するための管路5が接続されている。
【0021】管路5内には、該管路5を通じてランス1に供給されるエアーAの圧力を測定する圧力測定器6が設けられており、圧力測定器6の信号は演算器11に入力されている。また、ランス1の外管3の上端には、外管3の内部を通して外管3の下端開口を撮影するCCDカメラ(カメラ)7が設けられ、このCCDカメラ7の信号も演算器(判別手段)11に入力されている。
【0022】演算器11は、制御器12及びモニタ13と電気的につながっている。制御器12は、ガイドレール8に沿ってランス1を上下動するランス位置移動機構9に制御信号を送るものである。
【0023】演算器11は、圧力測定器6の出力信号に基づいてランス1の外管3の長さを求めると共に、CCDカメラ7の撮影した画像からランス1の外管3の長さを求める。圧力の測定値からランス1の長さを求める方法は従来と同じであるから、ここでは特に述べない。CCDカメラ7の撮影した画像からランス1の長さを求める方法としては、開口面積の変化を画像処理的手法を用いてランスの長さに換算する方法を用いる。例えば、ランス1が長いときには(b)のように開口面積が小さいが、ランス1が短くなるに従い(a)のように開口面積が大きくなる。このような開口面積の変化を利用してランス1の長さを割り出す。
【0024】そして、演算器11は、圧力の測定により求めたランス1の長さと、CCDカメラ7の画像より求めたランス1の長さとを比較することにより、測定したランス1の長さが適正値であるかどうかをチェックし、適正値でない場合はランス1に異常が発生しているとの判断を下す。例えば、両者の値が一致していれば、ランス1が閉塞していないと見なし、測定したランス長さを制御器12に送信する。
【0025】そうすると、制御器12は、ランス長さとランスヘッダ4の位置からランス高さHを算出し、ランス位置調整機構9に信号を送って、ランスヘッダ4を上下に走行させ、ランス1の下端の高さが最適になるように制御する。
【0026】一方、圧力測定器6とCCDカメラ7の出力信号から求めたランス長さが一致しない場合は、ランス1が閉塞していると見なし、モニタ13に警告を表示させる。なお、モニタ13はランス1の先端の様子を観察できるように、CCDカメラ7で撮影した映像を常時映し出している。従って、画像を見ることで閉塞の有無を知ることも当然できる。また、演算器11は、圧力測定器6とCCDカメラ7の出力信号の経時変化を記録する。そして、圧力測定器6の出力信号があまり変化しないにも拘わらず、CCDカメラ7の出力信号が急激にランス先端の開口面積が減少したことを示した場合は、ランス1の先端が二点鎖線のように変形したと見なして、モニタ13に警告を出す。この場合の画像は例えば(c)のようになり、モニタ13の画面上で確認することもできる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、ランス先端の閉塞の有無や曲がりの有無を判別した上でランス長さを計測し、ランス高さを制御するものであるから、操業を安定化させることができ、稼働率を向上させることができる。また、先端の閉塞及び曲がりを迅速且つ確実に検知することが可能であるから、操業の安定化効果が大きい。
【出願人】 【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
【出願日】 平成11年11月11日(1999.11.11)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外7名)
【公開番号】 特開2001−141376(P2001−141376A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−321802