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【発明の名称】 ドロス掻取り装置およびドロス掻取り方法
【発明者】 【氏名】石田 隆郎

【氏名】山本 伊三夫

【氏名】横山 朋暁

【氏名】辰巳 義教

【要約】 【課題】掻き出すドロスから、溶融メタルを効率よく分離させるドロス掻取り装置およびドロス掻取り方法を提供する。

【解決手段】ドロス掻出し工程途中において、精製炉側壁の傾斜部19にて掻き板1を停止させ、掻き寄せたドロス17を掻き板1と精製炉側壁の傾斜部19との間に一定時間保持することにより湯切りし、流動性の高い溶融メタル18だけが、精製炉側壁の傾斜部19を伝って精製炉内へ戻る。傾転自在に取り付けられた伸縮機構4により、移動可能な掻き板1と、該掻き板1の両端に配置した車輪3と、該車輪3が周回する軌道8a、8b、8c、8dを備えたガイドフレーム8とからなり、前記伸縮機構4の位置を検出する検出器を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 傾転自在に取り付けられた伸縮機構と、該伸縮機構により移動可能な掻き板と、該掻き板の両端に配置した車輪と、該車輪が周回する周回軌道を備えたガイドフレームと、前記伸縮機構の位置を検出する検出器とを備えたドロス掻取り装置であって、前記周回軌道は、前記伸縮機構が伸長する際には、前記掻き板が上方を移動し、前記伸縮機構が短縮する際には、前記掻き板が下方を移動するように形成され、前記掻き板が下方を移動する後半で、掻き板が斜めに上昇する傾斜部を前記周回軌道内に設け、該傾斜部の途中で前記検出器が位置を検出して、前記伸縮機構を所定時間停止させる手段を備えたことを特徴とするドロス掻取り装置。
【請求項2】 傾転自在に取り付けられた伸縮機構と、該伸縮機構により移動可能な掻き板と、該掻き板の両端に配置した車輪と、該車輪が周回する軌道を備えたガイドフレームと、前記伸縮機構の位置を検出する検出器とを備えたドロス掻取り装置を、少なくとも1方向の縁から上部の側壁に傾斜部を有する金属精製炉の上方に、配置し、前記周回軌道内を前記車輪が移動するのに伴い、精製炉内の溶融メタル表面に浮遊するドロスを掻き取るように前記掻き板を移動させ、精製炉の縁で、精製炉側壁の傾斜部に沿って前記掻き板の移動方向を変え、該傾斜部途中まで前記掻き板を移動させ、前記検出器の信号で前記伸縮機構を停止させて所定時間経過後、該傾斜部上端まで前記掻き板を移動させることを特徴とするドロス掻取り方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、非鉄金属製錬に用いられる精製炉において、溶融メタルと溶融メタル表面に浮遊するドロスとを分離するドロス掻取り装置およびドロス掻取り方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、非鉄金属製錬において、溶融メタル表面に浮遊する酸化物などの不純物の総称をドロスという。非鉄金属製錬の精製炉においては、金属の純度を高めるために、溶融メタルからこのドロスを系外に分離する必要がある。このドロスを分離する装置のうち、掻き板などによって、溶融メタル表面に浮遊するドロスを掻き出して除去する掻取り式ドロス除去装置においては、従来、掻き板は溶融メタル表面下にわずかに浸漬させた後、停止させることなく、一気に移動させ、ドロスを掻き寄せて系外に排出していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この方法では、ドロスと溶融メタルとが十分に分離できず、掻き取られたドロス中に同伴される溶融メタルの量が多く、目的金属の収率ロスが大きい問題があった。
【0004】本発明は、掻き出すドロスから、溶融メタルを効率よく分離させるドロス掻取り装置およびドロス掻取り方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題を解決し、前記目的を達成するために工夫を重ねた結果、このドロス掻取り装置に、ドロスから溶融メタルを分離するための湯切り動作をさせることによって、目的を達し得ることを認めて本発明を完成するに至った。
【0006】すなわち本発明は、ドロス掻出し工程途中において、精製炉側壁の傾斜部にて掻き板を停止させ、掻き寄せたドロスを掻き板と精製炉側壁の傾斜部との間に一定時間保持することにより湯切りし、流動性の高い溶融メタルだけが、精製炉側壁の傾斜部を伝って精製炉内へ戻ることを利用したドロス掻取り装置およびドロス掻取り方法である。
【0007】本発明のドロス掻取り装置は、傾転自在に取り付けられた伸縮機構と、該伸縮機構により移動可能な掻き板と、該掻き板の両端に配置した車輪と、該車輪が周回する周回軌道を備えたガイドフレームと、前記伸縮機構の位置を検出する検出器とを備える。さらに、前記周回軌道は、前記伸縮機構が伸長する際には、前記掻き板が上方を移動し、前記伸縮機構が短縮する際には、前記掻き板が下方を移動するように形成される。そして、前記掻き板が下方を移動する後半で、掻き板が斜めに上昇する傾斜部を周回軌道内に設け、該傾斜部の途中で前記検出器が位置を検出して、前記伸縮機構を所定時間停止させる手段を備える。
【0008】本発明のドロス掻取り方法は、前記ドロス掻取り装置を、少なくとも1方向の縁から上部の側壁に傾斜部を有する金属精製炉の上方に、配置し、前記周回軌道内を前記車輪が移動するのに伴い、精製炉内の溶融メタル表面に浮遊するドロスを掻き取るように前記掻き板を移動させ、精製炉の縁で、精製炉側壁の傾斜部に沿って前記掻き板の移動方向を変え、該傾斜部途中まで前記掻き板を移動させ、前記検出器の信号で前記伸縮機構を停止させて所定時間経過後、該傾斜部上端まで前記掻き板を移動させる。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明の一実施例を図面に基づいて述べる。図1は、ドロス掻取り装置の一実施例を示す側面図である(精製炉を断面で示し、掻き板の動作を示すために、動作中の掻き板を点線で4ヶ所示した)。図2は、ドロス掻取り装置の平面図である。
【0010】本発明のドロス掻取り装置は、傾転自在に取り付けられた伸縮機構4と、該伸縮機構4により移動可能な掻き板1と、該掻き板1の両端に配置した車輪3と、該車輪3が周回する軌道を備えたガイドフレーム8とからなり、前記伸縮機構4の位置を検出する検出器を備える。
【0011】前記ガイドフレーム8は、少なくとも2つの平面部材を平行に支持する構造で、該平面部材には、上溝8a、反転溝8b、下溝8c、傾斜溝8dからなる周回軌道を備える。前記溝8a、8b、8c、8dで囲まれる部分は、外側からピン11およびピン12により、板状部材で外側から支持する(図1では省略している)。あるいは、板状部材はピン11、12ではなく、数本の連結ボルトによって支持される。上溝8aと反転溝8bとの間に、リミッター9aにより回転が制限された状態で、上溝ストッパー9がピン11により回動可能に取り付けられる。また、傾斜溝8dと上溝8aとの間に、リミッター10aにより回転が制限された状態で、下溝ストッパー10がピン12により回動可能に取り付けられる。
【0012】上溝ストッパー9は、リミッター9aに一方の端部が当接して停止した状態では、他方の端部が上溝8aを遮る位置にあるように、ピン11により回動可能にガイドフレーム8に取り付けられる。車輪3が前記他方の端部を押すと、上溝ストッパー9がピン11を中心として回動し、車輪3は反転溝8bに進入する。車輪3が上溝ストッパー9から離れると、上溝ストッパー9は自重により回動し、リミッター9aに当接する元の位置に戻る。この状態では、反転溝8b内の車輪3は、上溝8aに進入不可能となり、下溝8cにのみ進入可能となる。
【0013】下溝ストッパー10は、リミッター10aに当接して停止した状態では、上溝8a内の車輪3が傾斜溝8dに進入しないように、ピン12により回動可能にガイドフレーム8に取り付けられる。傾斜溝8d内の車輪3が、下溝ストッパー10を押すと、ピン12を中心として回動し、車輪3は傾斜溝8dから上溝8aに進入する。車輪3が上溝8a内に入ると、下溝ストッパー10は自重により回動し、リミッター10aに当接する元の位置に戻る。この状態では、上溝8a内の車輪3は、傾斜溝8dに進入不可能となる。
【0014】すなわち、車輪3が移動する軌道を上溝8a、反転溝8b、下溝8c、傾斜溝8dの上向き面が構成すると共に、上溝8aに隣接する部分で反転溝8bに上向き面を欠除し、その代わりに上溝ストッパー9の上向き面が軌道となる。同様に、上溝8aのシリンダー4の側に、上向き面を欠除して、その代わりに下溝ストッパー10の上向き面が軌道となる。
【0015】掻き板1は、軸2と固定されており、前記車輪3は軸2の両端に取り付けられる。
【0016】油圧シリンダー4は、フレーム5に対し傾転可能なように取り付けられる。シリンダーロッド6の先端は連結ロッド7を介して前記掻き板1と連結される。
【0017】従って、シリンダーロッド6がシリンダー4内を移動することによって、車輪3はガイドフレーム8に設けられた上溝8a、反転溝8b、下溝8c、傾斜溝8dに沿ってのみ周回移動することができる。掻き板1の先端も、上溝8a、反転溝8b、下溝8c、傾斜溝8dと同じ軌道を描いて移動する。
【0018】前記検出器は、例えばリミットスイッチ16と、位置検出用ロッド13およびガイドパイプ14と、位置検出用ロッド13に固定された金具15とからなる。位置検出用ロッド13の先端は、連結ロッド7に固定されており、油圧シリンダー4内をシリンダーロッド6が移動することにより、ガイドパイプ14内を位置検出用ロッド13が移動する。前記掻き板1が、金属精製炉の側壁の傾斜部の適当な位置を通過するときに、前記金具15がリミットスイッチ16を作動させるように、位置決めをして配置される。
【0019】本発明のドロス掻取り方法を、図3〜8に基づいて説明する。
【0020】本発明のドロス掻取り方法では、図1に示すように、前記ドロス掻取り装置を、少なくとも1方向の縁から上部の側壁に傾斜部19を有する金属精製炉の上方に、配置する。
【0021】図3に示した状態から、シリンダーロッド6を伸長させると、図4に示したように、車輪3が上溝ストッパー9を押し、図5に示すように、車輪3は反転溝8bへ移動する。この際、掻き板1が精製炉内の浮遊ドロスの上方を進む。
【0022】図5に示した状態から、シリンダーロッド6を短縮させると、図6に示したように、上溝ストッパー9により、車輪3が下溝8cに進入し、このため掻き板1は下降して、溶融メタル18の表面下にわずかに浸漬される。図7に示したように、車輪3が下溝8cを進行すると、掻き板1は表面に浮遊するドロス17を掻き込む。
【0023】このように、前記周回軌道内を前記車輪3が移動するのに伴い、精製炉内の溶融メタル18の表面に浮遊するドロス17を掻き取るように前記掻き板1が移動する。
【0024】図7に示したように、車輪3が下溝8cの終端部に達すると、掻き板1は側壁上部に接近する(図1参照)。そして、車輪3が傾斜溝8dに進入すると、精製炉側壁の傾斜部19に沿って上昇するように、前記掻き板1の移動方向が変わり、掻き込んだドロスを運び上げる。図8に示したように、該傾斜部途中まで前記掻き板1を移動させ、前記リミットスイッチ16の信号で、前記伸縮機構4を停止することにより、この位置で一定時間、掻き板1を停止させる。精製炉側壁の傾斜部19と、掻き板1の間に保持されたドロスから溶融メタルが湯切りされることによって、すなわち、流動性の悪いドロスは保持されるが、流動性の良い溶融メタルは流れ出すことによって、効率よく分離できる。
【0025】所定時間経過後、該傾斜部19の上端まで前記掻き板1を移動させ、ドロスを系外へ排出する。この際、車輪3によって上溝ストッパー10が持ち上げられ、車輪3が上溝8aに進入し、所定の停止位置に戻る。以上の一連の動作を、繰り返して行う。
【0026】掻き板1の停止時間は、ドロスからの溶融メタルの分離効率に関わり、短かすぎると十分な分離効果が得られず、長すぎると溶融メタルが固まってしまうため、停止時間としては15〜45秒程度が好ましい。
【0027】また、掻き板1の移動速度である掻き出し速度は、スピードコントローラによって調整することができるが、速すぎるとリミットスイッチ16が作動してから、掻き板1が移動して、掻き板1の停止位置にずれを生じるので、150〜250mm/sec程度にするのが好ましい。
【0028】本発明のドロス掻き取り装置により、約50%の目的金属の収率ロスを、約5%にまで低減させることができた。なお、本実施例で行った繰り返しサイクルは、90sec/サイクル程度である。(収率ロスは、系外に掻き出されたドロスに対する目的金属の含有率で表した。)本発明の説明のために図示した実施例により、本発明が制限されることはない。
【0029】
【発明の効果】本発明により、精製炉から排出されるドロス中に同伴される溶融メタル量が大幅に削減され、金属の実収率の向上を達成するとともに、除去されたドロス中のメタル分と酸化物分との分別が容易になり、この分別作業に費やされる労力が大幅に削減された。
【出願人】 【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
【出願日】 平成11年11月17日(1999.11.17)
【代理人】 【識別番号】100084087
【弁理士】
【氏名又は名称】鴨田 朝雄
【公開番号】 特開2001−141375(P2001−141375A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−326665