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【発明の名称】 電気炉
【発明者】 【氏名】浅沼 忠

【要約】 【課題】精密な温度制御及び温度管理が可能な配管を備える電気炉を提供することを目的とする。

【解決手段】電気炉1は、並列に屈曲し、処理対象物である流体を流す配管Hと、配管Hを流れる流体の温度を調節するための温度調節部2とを備え、温度調節部2は、配管Hの直管部H1〜H9の配列方向に沿うように形成されるとともに、配管Hを挟んで対向するように配置される。温度調節部2は、配管Hを挟んで対向するように配置されるので、並列状に屈曲する配管Hの各部分は、温度調節部2と均一に対面することができる。したがって、温度調節は均一に行われるので、安定した温度制御及び温度管理が行える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 並列に屈曲し、処理対象物である流体を流す配管と、該配管を流れる前記流体の温度を調節するための温度調節部とを備え、前記温度調節部は、前記配管の直管部の配列方向に沿うように形成されるとともに、前記配管を挟んで対向するように配置されることを特徴とする電気炉。
【請求項2】 請求項1に記載の電気炉において、前記温度調節部は、それぞれ所定温度に設定される複数の温度領域を備えることを特徴とする電気炉。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気エネルギーを熱源として処理対象物を処理する電気炉に関し、特に、処理対象物である流体を流す配管を備える電気炉に関するものである。
【0002】
【従来の技術】電気エネルギーを熱源として処理対象物を処理する電気炉において、処理対象物である流体を流すための配管を備えたものがある。このような電気炉には、例えば図4に示すようなものがある。図4において、電気炉40は、屈曲する配管Kと、この配管Kの周囲に設けられたヒータ41とを備えている。このとき、図4(a)は、側面図である図4(b)のB−B断面図を示している。
【0003】配管Kは1本の管を屈曲して形成したものであって、図4(a)に示すように、配管Kの直管部が断面視3行3列の格子状に配列されるように屈曲されている。すなわち、配管Kのうち、直管部K1が図4(a)中、下側にU字状に屈曲されることにより直管部K2が形成され、さらにこの直管部K2が下側に屈曲されることにより直管部K3が形成される。次いで、この直管部K3が図4(a)中、右側にU字状に屈曲されることにより直管部K4が形成され、以下、同様に、直管部K5〜K9が形成される。また、ヒータ41は、直管部が断面視3行3列になるように屈曲された配管Kの外周囲を囲むように、断面視矩形状に形成されている。
【0004】処理対象物である流体Lはこの配管Kを流れることにより加熱される。そして、図5に示すように、上述のような配管Kとヒータ41とを備えた電気炉40を1ユニットとし、この電気炉40を直列に連結するとともに、それぞれを独立して温度調節することにより、配管K内に流れる流体Lの温度制御が行われる。例えば、流体Lが反応性流体である場合、配管K内を流れる流体Lは、第1ゾーンZ1において所定温度まで昇温された後、所定温度に保たれた第2ゾーンZ2において反応し、下流側において空冷等により冷却される。なお、冷却用として、第2ゾーンZ2の下流側に第3ゾーンZ3を設けてもよい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような電気炉40において、配管Kは、直管部の断面視形状が格子状に配列されるように屈曲されているとともに、その外周囲に配置されたヒータ41によって加熱される構造となっているので、配管Kを流れる流体Lの温度制御は安定して行われない。すなわち、例えば、直管部K5はヒータ41と対面しない一方、直管部K1、K3、K7、K9などは2方向においてヒータ41と対面する構造となっており、各部分によって加熱具合にばらつきが生じる。このように、各直管部K1〜K9を流れる流体Lの加熱具合にばらつきが生じるので、安定した温度制御が困難であった。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、精密な温度制御及び温度管理が可能な配管を備える電気炉を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、実施の形態に示す図1〜図3に対応付けした以下の構成を採用している。本発明の電気炉(1、31)は、並列に屈曲し、処理対象物である流体(L)を流す配管(H)と、配管(H)を流れる流体(L)の温度を調節するための温度調節部(2、32)とを備え、温度調節部(2、32)は、配管(H)の直管部(H1〜H9)の配列方向に沿うように形成されるとともに、配管(H)を挟んで対向するように配置されることを特徴とする。
【0008】本発明によれば、温度調節部(2、32)は、配管(H)を挟んで対向するように配置されるので、並列状に屈曲する配管(H)の各部分は、温度調節部(2、32)と均一に対面することができる。したがって、温度調節は均一に行われるので、安定した温度制御及び温度管理が行える。
【0009】また、温度調節部(2、32)は、それぞれ所定温度に設定される複数の温度領域(2a〜2c、32a〜32c)を備えるので、例えば反応性を有する流体(L)を加熱する場合、反応に必要な温度を安定して得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態による電気炉を図面を参照して説明する。図1は本発明の電気炉の一実施形態を示す構成図である。このとき、図1(a)は、側面図である図1(b)のA−A断面図を示している。
【0011】図1において、電気炉1は、並列に屈曲し、処理対象物である流体Lを流す配管Hと、この配管Hを流れる流体Lの温度を調節するための温度調節部2とを備えている。
【0012】配管Hは、1本の管を屈曲して形成したものであって、複数の直管部H1〜H9と、それぞれの直管部をつなぐように形成される複数の屈曲部とを備えている。そして、図1(a)に示すように、直管部H1〜H9の断面視が直列状に配列されるように屈曲されている。すなわち、配管Hのうち、直管部である配管H1が図1(a)中、下側にU字状に屈曲されることにより直管部H2が形成され、さらにこの直管部H2が下側に屈曲されることにより直管部H3が形成される。以下、同様に、直管部H4、H5、…、H9が形成される。このようにして、9本の直管部H1〜H9とそれぞれの直管部をつなぐように形成された8つの屈曲部とを備える配管Hが形成される。
【0013】温度調節部2は、配管Hの全てを覆うように、配管Hの9本の直管部H1〜H9の配列方向に沿うように設けられている。この温度調節部2は、配管Hを流れる流体Lの温度を調節するものであって、例えばヒータによって構成されている。そして、温度調節部2は、それぞれの直管部H1〜H9及び屈曲部の全てを挟んで対向するように配置されている。
【0014】複数の配管H1〜H9のうち、任意の配管(直管部)どうしの間に仕切部3が設けられている。本実地形態においては、仕切部3は、直管部H3とH4との間、直管部H6とH7との間に設けられている。そして、仕切部3によって、各直管部H1〜H9は、直管部H1〜H3から構成される第1ゾーンZ1と、直管部H4〜H6から構成される第2ゾーンZ2と、直管部H7〜H9から構成される第3ゾーンZ3に分けられている。この仕切部3は、断熱材によって構成されている。
【0015】また、温度調節部2は、第1〜第3の各ゾーンZ1〜Z3に対応するように、それぞれ所定温度に設定される複数の温度領域2a〜2cを備えている。この場合、各ゾーンに対応する温度調節部2は、流体Lを所定温度に保つとともに、配管H内を流しながら所定温度まで昇温又は降温可能となっている。本実地形態においては、配管Hを流れる流体Lを、第1ゾーンZ1で200℃から800℃まで昇温し、第2ゾーンZ2で800℃に保温し、第3ゾーンZ3で800℃から600℃に降温するように設定する。
【0016】温度調節部2の両端部には、断熱材4がそれぞれ設けられている。すなわち、断熱材4によって、温度調節部2により挟まれた空間は閉鎖され、配管Hはこの閉鎖された空間に収容される構成となっている。
【0017】流体Lは、例えば所定温度において反応する反応性を有するものであって、温度調節部2によって温度を調節されながら、配管H内を流れる。
【0018】このような構成を持つ電気炉1の動作について図1、図2を参照しながら説明する。図2は、各ゾーンZ1〜Z3に対応した流体Lの温度変化を説明するための図である。
【0019】処理対象物である流体Lは、配管Hの一端から直管部H1に流入し、第1ゾーンZ1の配管H内を流れる。このとき、それぞれの直管部H1〜H3及びこれらをつなぐ屈曲部は、両側から挟むように設置される温度調節部2により、均一に温度調節される。すなわち、各直管部H1〜H3及び屈曲部は、それぞれ等しく温度調節部2と対面するように設けられているため、各直管部H1〜H3及び屈曲部が温度調節部(ヒータ)2から受ける熱量はそれぞれ均一となる。
【0020】そして、流体Lは、第1ゾーンZ1を流れる間に800℃まで昇温される。なお、温度調節部2はヒータによって構成されているが、例えば冷却用空気を供給するブロアーを併設することが可能である。このとき、配管Hに温度検出装置(温度センサ)を設け、この温度検出装置の検出結果に基づいて、流体L(配管H)が加熱され過ぎた場合には、冷却用空気を供給する、いわゆるフィードバック制御を行っても良い。このような構成とすることにより、配管Hは任意の位置で任意の温度を得ることができる。この場合、配管Hは並列に屈曲しているため、温度センサを設置しやすい構造となっている。
【0021】第1ゾーンZ1において、所定温度である800℃まで昇温された流体Lは、第2ゾーンZ2である直管部L4に流入する。第2ゾーンZ2は反応性を有する流体Lを反応させるゾーンであって、直管部H4〜H6及びこれらをつなぐ屈曲部から構成されており、流体Lを所定温度である800℃に保つように制御されている。各直管部H4〜H6及び屈曲部は、両側から挟むように設けられた温度調節部2によって温度調節される。
【0022】このとき、第1ゾーンZ1と第2ゾーンZ2との間に設けられた仕切部3によって、直管部H3と直管部H4との間の熱交換が低減されるため、各ゾーンにおける温度制御は安定して行われる。
【0023】なお、反応の形態によって、第2ゾーンZ2における配管Hの任意の位置を、任意の温度に設定することが可能である。この場合も、温度調節部2としてヒータとブロアーとを併設した構成とし、配管の複数箇所に温度センサを設けてフィードバック制御を行うことができる。
【0024】第2ゾーンZ2において反応した流体Lは、第3ゾーンZ3において所定温度である600℃まで降温される。すなわち、直管部H6から直管部H7に流入した流体Lは、第3ゾーンZ3に対応して設けられた温度調節部2により冷却される。第3ゾーンZ3に対応する温度調節部2にはブロアーが設けられおり、第3ゾーンZ3の配管はこのブロアーによって空冷され、これに伴って流体Lは冷却される。
【0025】この場合も、流体Lを任意の温度勾配で冷却するように、フィードバック制御によりブロアーからの給気量の調節、あるいはヒータを設けて冷却し過ぎた場合に加熱することが可能である。
【0026】また、第2ゾーンZ2と第3ゾーンZ3との間にも、断熱材からなる仕切部3が設けられているので、直管部H6と直管部H7との間の熱交換は低減される。したがって、安定した温度制御を行うことができる。
【0027】以上のように、配管Hを並列に屈曲するとともに、その両側に配管Hを挟み込むように温度調節部2を設けたことにより、各直管部H1〜H9及び屈曲部は、温度調節部2と等しく対面するようになる。したがって、配管Hの各部分における加熱量又は抜熱量の調節は安定して行うことができる。特に、処理対象物である流体Lが反応性である場合には、反応を目標通りに安定して行うことができる。
【0028】次に、本発明の電気炉の第2実施形態を図3を参照しながら説明する。図3において、電気炉31は、第1実施形態と同様、流体Lを流す配管Hと、この配管Hを流れる流体Lの温度を調節するための温度調節部32とを備えている。第2実施形態に係る配管Hも、1本の管を屈曲し、複数の直管部と屈曲部とを有するように形成されている。この場合、配管Hは、直管部H1〜H3の断面視の配列が直列状になるように屈曲され、直管部H3から直管部H4に屈曲するときは、図3中、右側に屈曲される。直管部H4〜H6においては、その断面視の配列が直列状になるように屈曲され、直管部H6から直管部H7に屈曲するときは、図3中、右側に屈曲される。直管部H7〜H9においては、その断面視の配列が直列状に配列されるように屈曲される。そして、直管部H1〜H3及びこれらをつなぐ屈曲部によって第1ゾーンZ1が、直管部H4〜H6及びこれらをつなぐ屈曲部によって第2ゾーンZ2が、直管部H7〜H9及びこれらをつなぐ屈曲部によって第3ゾーンZ3が形成されている。
【0029】温度調節部32は、それぞれのゾーンに対応して、それぞれのゾーンの配管Hの全てを覆うように、各直管部の配列方向に沿うように設けられている。すなわち、第1ゾーンZ1には、直管部H1〜H3及び屈曲部を両側から挟むように温度調節部32aが設けられ、以下同様に、第2ゾーンZ2には温度調節部32bが、第3ゾーンZ3には温度調節部32cが設けられている。そして、これら温度調節部32a〜32cは、それぞれ独立した温度領域を備えている。
【0030】なお、この温度調節部32も、第1実施形態と同様に、ヒータとブロアーとを併設した構成とすることができ、配管Hに温度センサを設け、フィードバック制御によって温度調節を行うことが可能である。
【0031】各温度調節部32a、32b、32cのそれぞれの間には、断熱材33が設けられている。すなわち、各ゾーンでの設定温度が異なる場合、、各ゾーン間での熱交換をこの断熱材33で防止している。
【0032】さらに、各温度調節部32a、32b、32cのそれぞれの両端部にも、この両端部を覆うように断熱材34が設けられている。すなわち、断熱材34及び温度調節部32a、32b、32cによって閉鎖された空間が形成され、配管Hはこの空間内に収容される構成となる。
【0033】このような構成を持つ電気炉31によっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。この場合、各ゾーンを並列にすることにより、各ゾーン間での熱交換は低減される。
【0034】なお、上記各実施形態において、直管部H1〜H9の長さ及び各直管部H1〜H9どうしの間隔は任意に設定することができる。また、直管部H1〜H9の配列が断面視直線状になるように形成されていれば、直管部H1〜H9を曲げて形成してもよい。この場合、例えば直管部を長くすることにより、加熱、冷却時間、又は反応時間を長く設定することができる。
【0035】
【発明の効果】本発明の電気炉によれば、温度調節部は、配管を挟んで対向するように配置されるので、並列状に屈曲するそれぞれの配管は、温度調節部と均一に対面することができる。したがって、温度調節は均一に行われるので、安定した温度制御及び温度管理が行える。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成11年11月10日(1999.11.10)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外1名)
【公開番号】 特開2001−141374(P2001−141374A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−320322