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【発明の名称】 真空加熱処理方法
【発明者】 【氏名】阿部 泰三

【氏名】阿部 英之

【要約】 【課題】電子部品用基板などの被熱処理物品の加熱処理に当たって、減圧処理、加熱処理および冷却処理をそれぞれ別個の室で行うことで、全体の処理時間の短縮をはかる。

【解決手段】カセット3に収容した電子部品用基板のような被熱処理物品2を排気室11で減圧処理したのち、減圧下の石英製ベルジャー1内に移し、この石英製ベルジャー1の外部に配置されているヒータユニットのような加熱手段7からの熱で上記石英製ベルジャー1内の被熱処理物品2を加熱し、次いで加熱された被熱処理物品2を大気圧に調整された冷却室を兼ねる上記排気室11に移して冷却することにより加熱処理された物品を得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 カセットに収容した被熱処理物品を減圧処理する工程、減圧処理した被熱処理物品を減圧下の石英製ベルジャー内に移送し、この石英製ベルジャーの外部に配した加熱手段によって上記石英製ベルジャー内の被熱処理物品を加熱処理する工程、上記加熱処理した被熱処理物品を真空下ならびに大気圧下にて冷却する工程、とからなることを特徴とする被熱処理物品の真空加熱処理方法。
【請求項2】 上記加熱手段が断熱成形体内に発熱体を組み込んだヒータユニットであることを特徴とする請求項1に記載の真空加熱処理方法。
【請求項3】 上記加熱された被熱処理物品の冷却工程が循環パイプをジグザグに組み込んだ冷却板を各側壁に配置した大気圧下の冷却室における循環冷却水による冷却であることを特徴とする請求項1に記載の真空加熱処理方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、液晶ディスプレイ素子、プラズマディスプレイ素子、フィールドエミッションディスプレイ(FED)素子やその他種々の電子部品等の被熱処理物品を真空加熱処理する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、上記のような被熱処理物品を加熱処理するに当たっては、(1)被熱処理物品をステンレスのような金属製真空槽に入れ、減圧後この金属製真空槽の外周に配置した加熱装置によって上記真空槽内の被熱処理物品を加熱するという外熱式の加熱装置による真空加熱方法、あるいは(2)ステンレスのような金属製真空槽内に複数の加熱板を入れ、このそれぞれの加熱板上に被熱処理物品を載せて減圧後加熱する内熱式の加熱装置による真空加熱方法などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記した(1)の加熱方法では真空槽内の被熱処理物品を500℃程度に加熱しようとすると、真空槽の温度は600〜700℃になるため、加熱前の室温から600〜700℃となる間でのヒートサイクルによって、真空槽を構成している金属の金属疲労が起こり、真空槽の劣化、溶接部分の割れなどが発生する恐れがある。また、これによって真空槽を加熱する際のエネルギーを無駄に消費するという問題が派生する。
【0004】また、(2)の方法にあっては、真空槽内に配置した加熱板上に被熱処理物品を一枚ずつ載せて加熱するので、被熱処理物品の処理枚数が少なく、従って生産効率が悪いという欠点がある。さらに上記の両方法とも、真空槽内の被熱処理物品加熱部位以外にも熱が逃げるため加熱の効率が悪く、さらに加熱終了後の被熱処理物品を真空槽内で冷却させるので、被熱処理物品だけでなくヒータ及び真空槽をも冷却することになるため、冷却に非常に時間を要して効率が悪いという問題が指摘されている。
【0005】この発明は被熱処理物品を加熱処理するに際して、加熱工程を石英製ベルジャーを用いた外熱加熱とし、かつこの加熱工程とその後の冷却工程とを分離することで従来の加熱処理法に比べて加熱処理全体の工程の短縮化と効率化を可能とする被熱処理物品の真空加熱処理方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明のうち、請求項1に記載の発明は、カセットに収容した被熱処理物品を減圧処理する工程、減圧処理した被熱処理物品を減圧下の石英製ベルジャー内に移送し、この石英製ベルジャーの外部に配した加熱手段によって上記石英製ベルジャー内の被熱処理物品を加熱処理する工程、上記加熱処理した被熱処理物品を真空下ならびに大気圧下にて冷却する工程、とからなる被熱処理物品の真空加熱処理方法を特徴とするものである。
【0007】請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、上記加熱手段が断熱成形体内に発熱体を組み込んだヒータユニットであることを特徴とし、さらに請求項3に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、上記加熱された被熱処理物品の冷却工程が循環パイプをジグザグに組み込んだ冷却板を各側壁に配置した大気圧下の冷却室における循環冷却水による冷却であることを特徴とするものである。
【0008】上記請求項1に記載の真空加熱処理方法によれば、被熱処理物品の減圧処理、加熱処理、冷却処理の各工程をそれぞれ別の容器内で連続した処理で行うことにより、全体の処理時間を短縮することができる。また、加熱処理工程に石英製ベルジャーを用いたこと、かつ外熱加熱としたことにより、石英が赤外線を透過する性質を有することから、従来の金属製真空槽における外熱加熱に比べると、加熱温度を低く設定しても輻射熱の透過によって被熱処理物品の十分な加熱を行うことができる。さらに、加熱処理後の冷却工程を石英製ベルジャーから冷却室に移して実施するようにしたので、石英製ベルジャー内の温度を極端に下げる必要がなく、常に高温を保てるため、熱エネルギーの無駄な消費を抑えることができる。このほか、外熱加熱としたことにより、ベルジャー内部にはヒータ等の設置物がなくなり、被熱処理物品のみのクリーンな環境下で加熱を行うことができるのである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、この発明の真空加熱処理方法の一実施形態をこの処理方法を実施するに使用する加熱装置の一例を示す図に基づいて詳細に説明する。図1の加熱装置Aは、円筒形状のベルジャー1、このベルジャー1を覆うようにその外周に配置した加熱手段7および上記ベルジャー1に中空のスルースリング5およびゲートバルブ4を介して連通して設置されている排気室11とから構成されている。
【0010】上記ベルジャー1はその外周近くにベルジャー1を覆うように配置される加熱手段7からの加熱時に輻射熱または対流熱を十分に透過させることができ、ベルジャー1内での熱分布が均一となって被熱処理物品の加熱効率のよい石英製である。
【0011】また、ベルジャー1を覆うようにその外周に配置される加熱手段7としては、図示していないが、セラミックファイバーのような断熱材よりなる成形体の内部にニッケル−クロム線、鉄−クロム−アルミニウム線、二珪化モリブデン線のような発熱体を組み込んだヒータユニットを使用する。
【0012】上記排気室11には真空排気のための真空ポンプ21、ターボ分子ポンプ25、および不活性ガス導入用リークバルブ18、排気用バルブ19が配管されている。また、上記ベルジャー1内の排気装置としては、該ベルジャー1下方の中空スルースリング5にバルブ36を介して真空ポンプ35、バルブ38を介してターボ分子ポンプ37が接続され、さらにリークバルブ39、排気用バルブ40が接続されている。そして、これらによって上記排気室11とベルジャー1内は同様の雰囲気とすることができるようになっている。
【0013】上記排気室11は、ベルジャー1内で加熱処理された被熱処理物品の冷却室としても使用するため、その内部外周に冷却手段14が配置されている。この冷却手段14は図示していないが、冷却水循環パイプをジグザグに内部に埋め込んだ冷却板であり、該室の各側壁に配置されている。なお、12は上記排気室11と大気との間を仕切る手動扉であり、加熱処理前後の被熱処理物品を載せたカセット3の搬入、搬出はこの手動扉12の開閉により行われる。
【0014】上記した構成よりなる加熱処理装置Aによる被熱処理物品の熱処理方法について、被熱処理物品2としてガラス基板を用いた場合を例にして説明する。まず、複数枚のガラス基板2、2・・・をカセット3の両側面の溝部3a、3aに嵌め込むようにしてセットしたカセット3を準備する。次に、石英製ベルジャー1の下方にゲートバルブ4を介して連通するように設けられている排気室11内に手動扉12を開いてガラス基板2、2・・・をセットしたカセット3を装入する。
【0015】次に、上記排気室11内に接続されている配管のバルブ22を開け、真空ポンプ21を作動し真空計23にて測定しつつ排気室11内を10-3Torr程度まで真空排気する。その後、バルブ22を閉め、バルブ26を開けてターボ分子ポンプ25によりさらに10-6〜10-7Torr程度まで真空計28で測定しながら真空排気して排気室11内を減圧にするとともに、排気室11内のカセット3に嵌め込まれているガラス基板2、2・・・を清浄にする。同時に、ベルジャー1内もバルブ36を開けて真空ポンプ35により、バルブ38を開けてターボ分子ポンプ37により上記排気室11と同程度まで真空排気する。この真空排気の度合いは被熱処理物品の特性、寸法、用途その他の条件によって適宜決めればよい。
【0016】上記の真空排気後、バルブ26、38を開としたまま、排気室11の下方に設置されているモータのような駆動機構24の先端を排気室11内のカセット3に接触させ、駆動機構24の作動によって排気室11から上記カセット3を押し上げ、ゲートバルブ4を開け、その上の中空スルースリング5を通って石英製ベルジャー1内へ装着する。かくして、上記ガラス基板2、2・・・をセットしたカセット3を石英製ベルジャー1内に装着後、石英製ベルジャー1の外側周囲に近接した位置に配置した加熱手段(ヒータユニット)7に通電させて石英製ベルジャー1内のガラス基板2、2・・・を500℃で約3時間加熱する。
【0017】一方、上記の石英製ベルジャー1内でのガラス基板2、2・・・に対する加熱時間が終わりに近づいてきたら、排気室11を冷却室とするために、その側壁周囲に配置されている冷却手段14の冷却板内の循環パイプに冷却水の循環を始める。
【0018】上記石英製ベルジャー1内でのガラス基板加熱時間が約3時間を経過したら加熱手段7の通電を止め、そのまま真空雰囲気のベルジャー1内にて加熱処理されたガラス基板2、2・・・を約300〜400℃程度まで自然冷却させる。
【0019】これは、500℃程度で約3時間加熱処理したガラス基板を直ちに冷却水を循環させている冷却室に移した場合の急激な熱ショックによるガラス基板2、2・・・の変質を防ぐためである。
【0020】かくしてベルジャー1内で300〜400℃程度まで自然冷却されたガラス基板2、2・・・は、ゲートバルブ4を開けて駆動機構24により真空雰囲気の冷却室11内に移送される。その後ゲートバルブ4を閉めて冷却水を循環させている冷却室で冷却を続ける。ガラス基板2、2・・・の温度が100〜200℃程度にまで下がったところで冷却室11に配管されているターボ分子ポンプ37に繋がるバルブ38を閉め、リークバルブ18を開いて冷却室11内にアルゴン、窒素などの不活性ガスを導入して冷却室11内を大気圧に戻し、室温程度まで冷却する。その後、手動扉12を開けてカセット3を系外へ搬出することでガラス基板2、2・・・の加熱処理工程は終了する。なお、上記の冷却に要する時間は約3〜4時間である。
【0021】なお、上記の一連のガラス基板の加熱処理工程における温度、時間のファクターは、あくまでも一例であって、特性、寸法、用途その他の条件によって異なるものであり、また、ガラス基板以外の液晶ディスプレイ素子、プラズマディスプレイ素子、フィールドエミッションディスプレイ(FED)素子やその他種々の電子部品においても同様である。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、この発明は被熱処理物品を加熱処理するに当たって、減圧処理する工程、減圧下で加熱処理する工程、加熱処理後冷却する工程、を区分して実施することによって加熱処理のトータル的な時間の短縮を可能とした効率的な加熱処理法を特徴とするものである。即ち、排気処理した被熱処理物品を収容してこれを加熱処理するベルジャーを石英製ベルジャーとしたこと、かつ加熱を外熱加熱としたこと、により石英が有する赤外線透過と性質から、その加熱温度を従来の金属製ベルジャーに比べて低く設定しても輻射熱の透過によって十分被熱処理物品を加熱処理することができる。さらに、加熱後の冷却を冷却水を循環させることのできる循環パイプを組み込んだ冷却板を内部周壁に設置した冷却室で行うので、加熱後の石英製ベルジャー内温度を極端に下げる必要がなく、つねに高温に保てることから熱エネルギーの無駄な消費がない、などの効果を奏するのである。
【出願人】 【識別番号】392012951
【氏名又は名称】アユミ工業株式会社
【出願日】 平成11年6月23日(1999.6.23)
【代理人】 【識別番号】100062993
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 浩 (外2名)
【公開番号】 特開2001−4287(P2001−4287A)
【公開日】 平成13年1月12日(2001.1.12)
【出願番号】 特願平11−176701