| 【発明の名称】 |
耐火物の湿式吹付け施工方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】永 井 誠 二
【氏名】佐々木 久 晴
|
| 【要約】 |
【課題】不定形耐火物を吹付けしてもリバウンドロスが少なく、使用中の剥離が少なく耐用性の高い吹付け施工体を得る吹付け施工方法の提供を課題とする。
【解決手段】溶融金属容器の内面に耐火物cを吹付けノズル3を介して吹付けることにより施工体を形成する吹付け施工方法において、吹付けノズル3の1回のスキヤンにより形成される施工体Bの層厚を50〜250mmとし、吹付ノズルの中心軸O−Oとノズル3の水平方向および/または上下方向の吹付け面Aに垂直な方向に対する角度θ,φをそれぞれ10°〜60°の範囲とした吹付け施工方法にある。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】不定形耐火物を吹付けノズルを介して吹付けることにより施工体を形成する吹付け施工方法において、前記吹付けノズルの1回のスキヤンにより形成される前記施工体の層厚を50〜250mmとし、前記吹付ノズルの中心軸と吹付け面に垂直な方向に対する水平方向および/または上下方向の角度をそれぞれ10°〜60°の範囲として吹付け施工することを特徴とする吹付け施工方法。 【請求項2】前記施工を自動吹付け装置により自動施工する請求項1記載の吹付け施工方法。 【請求項3】前記耐火物のタップフロー値が150〜250mmである請求項1または2記載の吹付け施工方法。 【請求項4】前記吹付け施工体の厚みが50mm以上の1層または複数の吹付け層とする請求項1〜3のいずれか1項記載の吹付け施工方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は溶融金属容器や溶融金属処理炉などの内張りまたはその補修として不定形耐火物を施工する吹付け施工方法に関する。 【0002】 【従来の技術】取鍋、タンデイッシュ(T/D)、樋などの溶融金属容器の内張り耐火物の施工には、現在では定形煉瓦によるものよりも施工性がよく、かつ耐用性が改善された不定形耐火物の流し込み施工が一般に行われるようになっている。 【0003】しかし流し込み施工方法は中子の設置、混練、運搬、鋳込み、脱枠等の作業が必要とされるので全てを自動化するのは困難である。 【0004】また補修を行う場合でも流し込み継ぎ足し補修は不可能な部位があり、可能な部位でも手間が掛り、作業能率にも問題があった。 【0005】そのため近年では施工面に直接不定形耐火物を吹付け施工する方法が開発され、その中でも耐火材に水分を予め添加混合してポンプで圧送し、吹付けノズルで硬化促進剤を高圧空気により耐火材に混合して施工面に吹付け施工する湿式吹付け施工方法は、品質を落とさずに自動化により施工性をさらに高め、加えて補修の効率化を図ることができるために特に注目され始めている。 【0006】すなわちこの施工方法は、図8(A)に示すように施工面Aに対して吹付けノズルXを直角に向けて耐火材Wを吹付けるようにしたもので、施工の進行に伴い吹付けノズルXが図8(A)のように矢印方向へ移動したとき、吹付けによる耐火材Wの跳ねかえりのためリバウンドロスが多くなるという不具合が生ずる。 【0007】これは図8(B)に示した垂直方向への施工の場合も施工面Aに対して同様な不具合が生ずる。図中、Bは施工体である。 【0008】しかもこれらの吹付け施工方法は、吹付けノズルを人力あるいは手動により施工面に向けて施工しなければならず、作業者の作業環境(重筋作業、発埃)施工の効率化の面からも問題があり、これらの問題を解決するため近年では吹付けノズルの移動を自動化した吹付け施工方法が用いられてきている。 【0009】例えば、先行技術の一例として実開昭61−171556号公報(以下前者公報という)に記載された吹付けノズルでは、吹付けノズル本体の基端側を球面軸受で支持し、該吹付けノズル本体の先端側を外周面が球面リングに偏心せしめて貫通し、該球面リングを回転し得るように構成したことにより、ノズル本体の先端側が偏心量を略半径とする円弧を描き、これにより吹付けノズルの進行方向が変わっても常に均一な吹付けパターンが得られるようにした内容のものである。 【0010】この吹付け施工方法では、不定形耐火物の耐用性を向上させる手段として、混練時の添加水分を低減して気孔を減少させた緻密質材料が使用されることになっているため圧送条件と吹付け条件を適性に管理することが難しいという問題がある。 【0011】この問題を解決することを目的とした一例として特開平10−30885号公報(以下後者公報という)がある。この公報によるものは、水分を2〜8w%添加して混練された耐火物を吹付けノズルを介して施工面に吹付け、その吹付け施工速度が2〜10kg/Hr/cm2で、かつ吹付けノズルの1回のスキャンにより形成される吹付け施工体の層の厚みを10〜120mmにした不定形耐火物の吹付け施工方法である。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記先行技術にはつぎのような問題がある。すなわち、1)前者公報に記載された吹付けノズルは、吹付けノズルの進行方向が変わっても常に均一な吹付けパターンが得られるものの、ノズルが偏心回転するためリバウンドロスが多く、また50mm以上の厚みの吹付けを行なった場合、施工面と盛り上がった施工体部分との段差によるリバウンドロスが多くなり、好ましくない。 【0013】2)後者公報に記載された通常の吹付け方法(吹付けノズルの中心軸と施工面が垂直)では、1回の施工厚が50mmを越えると施工面と盛り上がった施工体部分とで段差ができ、やはりリバウンドロスが多くなって好ましくない。 【0014】また施工面に垂直に吹くため1回の施工厚を50mm以上にすることが難しく、これ以上の施工厚を得るには厚さ50mm未満の薄い層を吹重ねることで層状に吹付けなければならない。 【0015】しかしその場合、施工体が稼働面に対し平行な層状構造を持つことになり、使用中の剥離の原因となるので品質的にも好ましくない。 【0016】すなわち図8に示したような従来の吹付け工法による一層吹付け厚みmmと接着率%との関係は図5のグラフのようになっている。ただし吐出量:3m3/Hr,ノズル移動速度:3.3m/min,タップフロー値:190mm,材質:ハイアルミナとした条件から得たものである。このグラフからわかるように1回の施工厚を50mm以上にすることは接着率の著しい低下を招くことになる。 【0017】吹付けノズルの1回のスキャンにより形成される吹付け施工体の層厚みは、50〜250mmが好ましく、より好ましくは100〜200mmである。 【0018】このように吹付け施工厚みが50mm未満では、施工面と吹付け施工体の盛り上がりの落差が小さく、高い接着率が得られるが、50mmを超えるとこの落差が大きくリバウンドロスが増え接着率が急激に低下するので角度をつけた吹付け施工を行う必要が生ずる。吹付けノズルの1回のスキャンにより形成される吹付け施工体の層厚みが250mmを超えることは施工方法上困難である。 【0019】本発明は上記従来の技術の諸問題に着目し、低水分で混合された不定形耐火物を吹付け施工してもリバウンドロスが少なく、かつ施工体の稼働面に対し平行な層状構造を無くするとともに、使用中の剥離が少なく耐用性の高い吹付け施工体を得ることのできる不定形耐火物の吹付け施工方法を提供することにある。 【0020】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決する手段として本発明は、溶融金属容器の内面に耐火物を吹付けノズルを介して吹付けることにより施工体を形成する吹付け施工方法において、前記吹付けノズルの1回のスキヤンにより形成される前記施工体の層厚を50〜250mmとし、前記吹付ノズルの中心軸と吹付け面に対する水平方向および/または上下方向の角度を吹付け面に垂直な方向に対しそれぞれ10°〜60°の範囲として吹付け施工するようにした方法にある。 【0021】そして前記施工は自動吹付け装置により自動施工することにある。 【0022】またこのとき前記耐火物のタップフロー値は150〜250mmであり、吹付け施工体の厚みは50mm以上の1層または複数の吹付け層としたことにある。 【0023】 【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施の形態を参照して説明する。 【0024】図1は本発明の不定形耐火物の吹付け施工方法を適用する自動吹付け装置1の概略を示すもので、耐火材粉末aと水bを混練するためのミキサー2と、該ミキサー2から排出される耐火物cを吹付けノズル3まで配管4を通して圧送するための圧送ポンプ5と、耐火物cに硬化促進剤dを供給するための硬化促進剤供給手段6と、吹付けノズル3において耐火物cに硬化促進剤dを混合させて施工面Aに吹付けるための高圧空気を供給するコンプレッサ7と、このコンプレッサ7から吹付けノズル3に至る配管8、および図2に示すノズル移動手段10とから構成されている。図中、Bは施工体、Cはパーマ煉瓦、Dは鉄皮である。 【0025】ここでノズル移動手段10は例えば本件出願人の出願に係る特開平10−212512号公報に示されるような装置であって、前記吹付けノズル3を支え、ノズル角度を自由に変更できる支持機構20を備えている。 【0026】その具体的構造を示すと、補修すべき施工面11の上部幅方向にレール12が敷設され、このレール12上にはモータ13により走行自在な走行台車14が載装され、その走行台車14の上部には該台車の走行方向に対し直角方向に固定された一対のガイドレール15,15があってその上に電動シリンダ16により走行自在な横行台車17が載装されている。なお前記レール12は天井走行クレーン等を使用して敷設されている。前記横行台車17の上面には一端が軸受部18aにピン19により枢支され、他端側がピン19を中心に稼働可能な傾動台21を有する支持機構20が設けられている。この傾動台21は同じく横行台車17の上面に支柱18bを介して支持された電動シリンダ22の伸縮により傾動できるようになされている。傾動台21の上面にはモータ23により360°の範囲にわたり回転可能な旋回台24が設けられている。この旋回台24には筒状をなす昇降フレーム25が挿通されてその外側に設けられた一対のガイド部材26,26と旋回台21側に設けられた図示しない上下一対のガイドローラとの係合により周方向の回転が規制されて昇降が可能に設けられている。 【0027】また昇降フレーム25の外周には上下方向にラックギヤ27が固着され、これに噛み合うように旋回台21側にはピニオンギヤ28と、このピニオンギヤ28を回転させるモータ29とが設けられている。これによりピニオンギヤ28が回転するとこれに噛み合うラックギヤ27を介して昇降フレーム25が昇降できることになる。また図1に示した圧送ポンプ5から送られた耐火物cは配管4により搬送されるが、この耐火物cはさらに配管4から連結された材料供給パイプ31内に搬送される。その材料供給パイプ31は昇降フレーム25内を挿通して、昇降フレーム25の下部から突出するようになっている。 【0028】すなわち図3にその拡大図を示すように、その下方は一側方に突出湾曲する蛇行部32に形成され、先端部分32aは水平方向を向くように形成されている。 【0029】その先端部分32aには略90°屈曲したノズルパイプ33の上端が回転継手34を介して回転可能に接続され、該ノズルパイプ33の先端には吹付けノズル3が設けられている。 【0030】図2中、符号9aはエヤホース、9bはバインダホースで、それぞれ先端9a,9bは図3に示す吹付けノズル3の基部3aに連結され、ここで耐火物cに硬化促進剤dが混合されるようになっている。また図2中の符号35は電動シリンダ、図3中の符号36はノズルパイプ33のアームで、電動シリンダ35が作動すると図示しないロッドに連結されたアーム36が回転継手34周りに回動できるようにしてあり、したがって吹付けノズル3は任意の角度に回動可能となっている。 【0031】つぎに前記装置を使用した場合の吹付け施工方法は、ミキサー2に耐火粉末aと適量の水bが添加されて混練された耐火物cを施工場所に設置されたノズル移動手段10の支持機構20にセットされた吹付けノズル3まで圧送し、この耐火物cに適量の硬化促進剤dを高圧空気により混合させながら施工面A(図1参照)に対して吹付けノズル3を適正な角度に回転により調整して耐火物cを適正な移動速度で吹付けることにより一定の厚みに施工する。 【0032】このとき使用する耐火粉末には、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコン、ジルコニア、カルシア等の酸化物、炭化珪素等の炭化物、窒化珪素等の窒化物、炭素、黒鉛等の骨材を1種または複数種含む。また前記耐火粉末には硬化剤としてアルミナセメント、ポルトランドセメント、樹脂等の硬化性を有する無機質、および有機質を含めてもよく、別途(例えばノズルの基部で)添加してもよい。 【0033】硬化促進剤は、不定形耐火物を吹付け施工するとき瞬時に不定形耐火物の流動性を失わせ、吹付け施工を可能ならしめるために使用する補助剤であって、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化物、アルミン酸ソーダ、アルミン酸カリウム、アルミン酸カルシウム等のアルミン酸塩、珪酸ソーダ、珪酸リチウム等の珪酸塩、燐酸、燐酸塩、硝酸、硝酸塩、塩酸、塩化物等の無機酸塩が含まれる。そして吹付け施工添加時には、硬化促進剤を溶液状、懸濁液状あるいは粉末状で使用する。 【0034】耐火粉末に添加する水分は2wt%〜15wt%が好ましく、5wt%〜12wt%がより好ましい。2wt%未満では耐火物を搬送配管に供給した時の流動抵抗が急激に上昇すので過大な搬送圧力を必要とし、また吹付けノズル、および搬送配管内での閉塞が生じ易くなるので好ましくない。逆に水分が15wt%を超えると流動抵抗は減少するが、吹付け施工体の気孔率が増加して強度および耐蝕性を悪化させる。 【0035】材料吐出量は1〜6m3/Hrで施工する。施工面に吹付ける耐火物の吐出量が1m3/Hr未満であれば時間が長くかかり、吹付け作業能率が著しく減退すると共に、吹付けノズルの1スキャン毎に形成される吹付け層における水分量等のばらつきを大きくさせる原因となるので1m3/Hr以上とすることが望ましい。 【0036】6m3/Hrを超えると吹付けノズルでの耐火材と硬化促進剤の混合が不均一となって耐火材が硬化し難くなり、添加量が急増し、施工体の品質を低下させるので6m3/Hr以下とすることが望ましい。 【0037】吹付けノズルの移動速度は2〜10m/minである。移動速度が2m/min未満であれば、吹付け施工厚みは一定に規定されていることから材料吐出量が制限され、施工速度が非常に遅くなり、施工能率が低下する。10m/minを超えると、逆に規定施工厚みを出すために必要な材料吐出量が6m3/Hrを超えることになり、前記理由により施工が困難となる。 【0038】このように施工体の厚みを1層または50mm以上の複数の吹付け層で吹付けることにより吹付け層の剥離、熱スポーリング、およびスラグや溶鉄の浸潤に伴う耐剥離損耗性をより向上させることができる。 【0039】混練された耐火物の搬送圧力は200kgf/cm2以下が好ましい。200kgf/cm2以上では、搬送配管の設備にかかる負荷が過大となり、維持費が高くなり、また圧送中閉塞が起きやすくて好ましくない。 【0040】硬化促進剤の添加量は混練した耐火物に対して0.1wt%〜5.0wt%が好ましい。硬化促進剤の添加量が多いと気孔率の上昇、施工体のばらつきが多くなるので少ない方が望ましい。添加量として特に好ましくは0.1wt%〜1wt%である。0.1wt%未満では、充分な硬化促進効果を期待できず、吹付け施工ができない。また硬化促進剤を5.0wt%を超えて添加すると吹付け施工体の品質特性が損なわれるので好ましくない。 【0041】耐火物を施工面へ吹付ける際の吹付けノズル先端部における吹付け圧力は3kgf/cm2〜10kgf/cm2が望ましい。3kgf/cm2未満では、吹付ける容量が低下し、見掛け気孔率が上昇して耐蝕性が低下すると共に、充分な吹付け層厚みを形成できず、耐蝕性等に問題を生ずる。一方、10kgf/cm2がを超えると、吹付け時にリバウンドロスが発生し、施工層の見掛気孔率が上昇すると共に、施工時における吹付けノズルの保持が困難となり、吹付け機構についても強化が必要となる。 【0042】吹付け施工体の乾燥後の見掛気孔率は23%未満が好ましい。23%を超えると吹付け施工体の溶鋼、およびスラグに対する耐蝕性が著しく低下し、製鋼、および銑鉄用耐火物として使用することが困難となる。 【0043】耐火物のタップフロー値が150mm未満では流動性・滑り性が不足するために、材料圧送ポンプのシリンダへの吸い込み効率が著しく悪化して圧送困難となり、リバウンドロスも多くなる。 【0044】一方、タップフロー値が250mmを超えるのは、必要以上の添加水分量が加えられているためであり、余分な水分により吹付け施工体の品質を低下させる。 【0045】ここでのタップフロー値とは、JIS R 2521に規定されるフロー試験方法により得られる値である。具体的には上部および下部が開放されている上部内径70mm、下部内径100mm、高さ60mmの円錐台形の鋼製容器をタップフローテーブルに乗せ、該鋼製容器の中に上部から測定試料を詰め棒で2層に分けて充填した後、2〜3秒で上方に鋼製容器を抜き取り、15秒間に15回落下運動を与え、キャスタブルが広がった径の長さ(mm)を最大と認められる方向とこれに直角な方向について計る。この2つの長さの平均値を整数に丸めた値をタップフロー値としている。 【0046】本発明では図4(A)に示す平面図において施工面Aに対して角度をつけた吹付けノズル3を矢印方向に平行移動させて吹付け施工する場合、図6にノズル中心軸と施工面に垂直な方向との角度θ(水平方向)に対する接着率%のグラフを示すように、吹付けノズル3の中心軸O−Oと水平方向の吹付け面(施工面)Aに垂直な方向に対する角度θが60°を超えると、角度が浅過ぎるため斜め吹きとなり、リバウンドロスが増大する。 【0047】これに対して角度θが10°未満の場合も、吹付け施工面に垂直に吹付けたときと同様に施工面と盛り上がった施工体との段差のために斜め吹きとなりリバウンドロスが増大する。なお図6のグラフは吐出量:3m3/Hr,施工面平行移動吹付け、ノズル上下方向:35°,ノズル移動速度:3.3m/min,タップフロー値:192mm,材質:ハイアルミナ施工厚200mmとした条件で得られたものである。 【0048】また図4(B)に示す立面図において吹付けノズル3の中心軸O−Oと上下方向の吹付け面(施工面)Aに垂直な方向に対する角度φの場合、図7にノズル中心軸と施工面との角度φ(上下方向)に対する接着率%のグラフを示すように、吹付けノズル3の中心軸と上下方向の吹付け面Aに対する角度φが60°を超えると施工面に対し角度が浅過ぎるため斜め吹きとなり、リバウンドロスが増大する。これに対して角度φが10°未満の場合も、施工面と盛り上がった施工体との段差のため斜め吹きとなり、リバウンドロスが増大する。 【0049】なお図7のグラフは吐出量:3m3/Hr,施工面平行移動吹付け、ノズル水平方向:35°、ノズル移動速度:3.3m/min,タップフロー値:195mm,材質:ハイアルミナ施工厚200mmとした条件で得られたものである。 【0050】したがって図6および図7のグラフの結果からノズル中心軸と水平方向および/または上下方向の施工面との角度が10°〜60°の範囲内であれば高い接着率が得られ、この範囲が最も適正なものであることが証明された。 【0051】(実施例)つぎに本発明の第1の実施の形態にかかる不定形耐火物の吹付け施工方法を施工面の一例である取鍋に起用した場合につき表1を参照して説明する。 【表1】
【0052】第1の実施例■に示すように、アルミナ92%、シリカ1%、マグネシア5%、およびセメントからなる耐火粉末に混練水を外掛けで7%添加し、ミキサーで混合、混練して吹付け施工用の耐火物とした。 【0053】つぎに材料圧送ポンプにより搬送圧力として50kg/cm2にて連続的に圧送すると共に、吹付け施工速度4m3/hrで圧縮空気により硬化促進剤を耐火物に対して0.3wt%となる添加量で吹付けノズルに供給した。 【0054】この場合吹付けノズルと吹付け施工面は上下方向に30°、水平方向に35°に角度を付け施工を行った。ここで吹付けノズルは自動吹付け装置により支持して移動させた。施工体は一層で施工厚みが150mmあり、接着率も96%以上で粉塵の少ない吹付け作業を行うことができた。 【0055】また実施例■はアルミナ88%、シリカ1%、マグネシア9%、およびアルミナセメントからなるアルミナ・マグネシア質耐火粉末を添加水分量7%にて混練し吹付け施工用の耐火物とし、自動吹付け装置にて施工を行い、この時吹付けノズルは進行方向(水平方向)に40°、上下方向に40°に角度を付け1回のスキャンで形成される施工厚みを200mm、吹付け施工速度4m3/hr、吹付けノズルの移動速度3.4m/minとして吹付け施工を行いアルミナ・マグネシア質の施工体を得た。その際接着率も97%以上となり良好な施工性および施工体が得られた。 【0056】実施例■は、前記実施例■と同じ材料の配合により吹付けノズルの上下方向角度を0°とし、水平方向角度を20°として吹付けた場合であり、これによると接着率91%であった。 【0057】さらに実施例■は、同じ材料の配合で吹付けノズルの水平方向角度を0°とし、上下方向角度を55°として吹付けた場合で、これによっても93%の接着率が得られた。 【0058】表1中■、■は従来例で、■は■と同様の材料を用いたにもかかわらず、吹付け施工時の吹付けノズル支持角度を従来の施工面に直角とし、さらに施工厚みも100mm取っているため施工面と吹付け施工体面とに段差ができた。この段差面に吹付けるためリバウンドロスが極端に増加し、接着率が84%に低下した。 【0059】また従来例■では、材料吐出量1.5m3/Hr、吹付けノズル移動速度8.3m/min、ノズル角度は移動方向(水平方向)40°、上下方向に40°で施工しているが、施工体の厚みが30mmであるため施工面と施工体との段差が小さく、吹付けノズルに角度をつけると施工面に対し斜めから吹付けることになり、これがリバウンドロス増加の原因となり接着率85%と非常に施工性の悪い結果となった。 【0060】以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。 【0061】また本発明の実施の形態においては、取鍋における冷間吹付けの場合について述べたが、例えば高炉用樋、溶銑鍋、混銑車、T/D、RH等の2次精練炉、CAS浸漬管等への適用も可能であり、熱間吹付けおよび冷間吹付け等の条件に限定されることなく本発明を適用することができる。 【0062】 【発明の効果】本発明は以上説明したように、つぎのような効果が得られる。 1)請求項1による吹付け施工方法によれば、耐火粉末に適量の水分を添加して混練された吹付け耐火物の吹付けノズルからの吐出量、吹付けノズルの角度、吹付けノズルの移動速度、吹付けノズルからの耐火物の飛散速度を規定の範囲とし、かつ吹付けノズルの1回のスキャンにより形成される吹付け施工体の層厚みを規定範囲としているので、リバウンドロスを減少させると共に充填密度が高く、剥離の原因となる稼働面と平行な層状構造を持たず、耐用性の良好な均一施工体が得られる。 2)請求項2のように、吹付け施工を自動吹付け装置を使用して自動施工するようにすれば吹付け施工が確実でしかも効率よく行うことができる。 3)請求項3の吹付け施工方法によれば、耐火物のタップフロー値を特定範囲に規定しているので、吹付け作業性が適正に保持されると共に、吹付け施工体の品質のばらつきをさらに抑制することができる。 4)請求項4の吹付け施工方法によれば、吹付け施工体が一回のスキャンで50mm以上の吹付けができるので、殆どの溶融金属容器において、一層または複数層の施工ができる。したがって稼働面から背面まで層状でない均一な施工体が得られ耐用性が向上する。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001971 【氏名又は名称】品川白煉瓦株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年6月22日(1999.6.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064285 【弁理士】 【氏名又は名称】佐藤 一雄 (外3名)
|
| 【公開番号】 |
特開2001−4285(P2001−4285A) |
| 【公開日】 |
平成13年1月12日(2001.1.12) |
| 【出願番号】 |
特願平11−175843 |
|