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【発明の名称】 連続処理装置
【発明者】 【氏名】中務 栄治

【氏名】山内 一平

【氏名】武田 正夫

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の処理室を有する連続処理装置であって、少なくとも1ヶ所において隣り合う2つの処理室の間に、搬送方向始端側の処理室の出口及び終端側の処理室の入口に設けた仕切蓋部と、蓋部を開閉、退避する駆動手段と、蓋部の退避状態時に処理室間を接続して搬送経路の一部を形成する搬送手段を有し、さらに、仕切蓋の間に形成された仕切室内の圧力を調整するガス圧調整手段を設けて、駆動手段による駆動力と仕切室、処理室間の差圧との協同作用によって蓋部を常時閉じる方向へ押し付けるように構成したことを特徴とする連続処理装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種熱処理、表面処理、脱脂処理、焼結処理、乾燥処理等に好適に利用される連続処理装置である。
【0002】
【従来の技術】連続処理装置は、複数の処理室を連設し、各処理室に順次処理物を案内して所要の処理を一連の工程の下に行うように構成されているものである。そのために、この種の処理装置は搬送機構及び処理室の密閉機構を不可欠な構成要素としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の連続処理装置は、搬送機構の容易さから、ベルトコンベアやローラを使ったストレート・スルー式が多く利用されている。しかし、この場合、搬送機構が搬送領域全体に横たわって存在し、搬送機構と処理室の開閉機構が干渉し合うため、処理室間を完全に隔離することは難しく、室内の雰囲気が同じとなってしまう。そこで、処理毎に雰囲気を異にするために、複数の処理室を連設し、各処理室に順次処理物を案内する搬送経路を処理室の横又は下方に設けるものも採用されている。しかしながら、このような搬送機構は入口から出口へ向かう直進方向に向かう動きに加え、処理物を処理室に送り込むため等に横又は上方向への動きを必要とするため、複雑な構造とならざるを得ないし、処理室は開閉装置の押付力のみで密閉されるため、処理中に生じる処理室内の蓋を封止するためにクラッチ機構やロック機構などが必要となり、複雑で大掛かりなものとなる。
【0004】本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、搬送機構及び密閉機構を複雑にすることなく処理室の気密性を保ち、異なる雰囲気下による独立した処理を可能にする連続処理装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を達成するために、次のような構成を採用したものである。すなわち、本発明にかかる連続処理装置は、少なくとも1ヶ所において隣り合う2つの処理室の間に、搬送方向始端側の処理室の出口及び終端側の処理室の入口に設けた仕切蓋部と、蓋部を開閉、退避する駆動手段と、蓋部の退避状態時に処理室間を接続して搬送経路の一部を形成する搬送手段を有し、さらに、仕切蓋の間に形成された仕切室内の圧力を調整するガス圧調整手段を設けて、駆動手段による駆動力と仕切室、処理室間の差圧との協同作用によって蓋部を常時閉じる方向へ押し付けるように構成したことを特徴とする。
【0006】このような構成のものであれば、仕切室内と処理室内の差力によって蓋部を閉じたときの押付力を助勢することができるので、処理室を開閉駆動する駆動手段への負担を軽減することができ、処理室の密閉も確実に行うことができる。また、搬送手段は、蓋部の退避のための動作と同時に搬送経路に出現し、蓋部の出現のための動作と同時に搬送経路上から退避するので、両者は干渉することがなく、簡単な構成により連続処理装置を形成することができる。
【0007】
【実施例】以下、本発明の一実施例を、図面を参照して説明する。図1に示す連続処理装置10は、いわゆる連続式の脱脂焼結炉として用いられるものであり、搬送経路の始端から順に、準備室1、脱脂室2、焼結室3、冷却室4の4つの処理室と、各処理室間にはこれらを仕切る仕切室5が設けられている。したがって、本実施例の連続処理装置は4つの処理室と3つの仕切室5から構成されている。また、全ての室には、室内を真空排気するための図示しない排気経路が接続されている。
【0008】準備室1は処理前の処理物Wを待機しておくための処理室であり、搬送方向始端側に処理物Wをセットするための入口扉11が設けられ、終端側は仕切室5に隣接している。仕切室側の開閉は蓋51によってなされ、仕切室5の内壁の接面には、両面をシールするためのO−リング5cが取り付けられている。入口扉11の外壁にはアクチュエータ71が設けられ、アクチュエータ71によりプッシャチェーン73が突出、引込の動作をする。処理物Wは搬送経路と同じ高さに位置する設置台12上にセットされ、スペーサ72は設置台12上の中央部の凹部にセットされる。スペーサ72は、2つの処理物間に介在し、搬送力を伝達する役割を担っている。設置台12の中央凹部の底にはスプリング(図説せず)が備わっていて、処理物Wとスペーサ72がセットされているときには、スプリングは処理物Wの重量により、処理物Wのみがプッシャチェーン73に押し出されるような位置に没入し、処理物Wがスペーサの上から外れたときには、スペーサ72はスプリングに押し上げられて処理物Wと略同じ高さとなる。
【0009】脱脂室2は処理物Wを脱脂処理するための処理室であり、2つの仕切室5、5間に位置し、両仕切室に設けた蓋51により開閉される。蓋51と接する仕切室5の内壁の接面には、両面をシールするためのO−リング5cが取り付けられている。脱脂室2内には、円筒状の断熱材21が軸心を搬送経路方向に合致させて設置され、その断熱材21内には内部空間を600℃程度にまで均一に加熱するヒータ22が備えられている。断熱蓋55は蓋51に一体に支持され、蓋51の開閉動作と共に開閉する。また、脱脂処理中に発生するバインダの分解ガス等を連続装置外に排気するためのタイトボックス5tと内排気系路23と、キャリアガス等としての用に供する、例えば不活性ガスを導入するための導入系路24が設けられている。設置台12は、搬送経路と同じ高さに位置し、処理物Wを乗せる役割と処理物W及びスペーサ72の搬送路の役割を担う。
【0010】焼結室3は処理物Wを焼結処理するための処理室であり、脱脂室2と同様に2つの仕切室5、5間に位置し、両仕切室に設けた蓋51により開閉される。蓋51と接する仕切室5の内壁の接面には、両面をシールするためのO−リング5cが取り付けられている。また、断熱材31が設置されており、その断熱材31内には内部空間を1500℃程度にまで均一に加熱するヒータ32が備えられている。断熱蓋55は蓋51に支持され、蓋51の開閉動作と共に開閉する。設置台12は、搬送経路と同じ高さに位置し、処理物Wを乗せる役割と処理物W及びスペーサ72の搬送路の役割を担う。
【0011】冷却室4は、処理物Wを冷却処理するための処理室であり、搬送方向終端に位置し、出口扉41より処理物Wを取り出すことができる。仕切室側の開閉は蓋51によってなされ、仕切室5の内壁の接面には、両面をシールするためのO−リング5cが取り付けられている。この冷却室4内の設置台12の中央部は、搬送経路よりもスペーサ72の高さだけ低く凹んでいるので、仕切室から送られてきたスペーサ72は設置台12の凹みに落下し、続いてそのスペーサ72上に焼結処理された処理物Wが搬送される。また、冷却処理に必要な冷却ガスを導入する図示しない導入系路と冷却ガスを室内で攪拌するファン42が設けられている。
【0012】以上の構成において、本実施例は、仕切室5に本発明の搬送手段である搬送レール54とこの搬送レール54を蓋51と共に駆動する駆動レバー53を主体として構成される駆動手段5Aとを設け、この駆動レバー53により、蓋51を開いたときには搬送レール54を処理室の設置台12、12間に位置させ、蓋51を閉じるときには搬送レール54をスペーサ72と共に邪魔にならない位置に退避させるようにしている。駆動手段5Aは、リンク機構52、駆動レバー53、クランク5fにより構成されており、仮想回動軸5hを軸に回動する。リンク機構52は、仮想回動軸5hに対して線対称に2つのアーム59と水平支持体5jにより構成され、アーム59は上端において連結部5kで水平支持体5jと連結し、連結部5kを支点にして仕切室5の中心に対して内外へ運動する。水平支持体5jは仕切室5の天井に取り付けた支持体5gに支持され、支持体5gを軸にリンク機構52を回動可能に支持する。駆動レバー53は、第一の直線部5mのその両端に第二の直線部5nがくの字状又は逆くの字状となるように構成されており、第二の直線部5nには長孔56が設けられている。この駆動レバー53は、仕切室5の平断面図である図4で示すように、開位置Pに位置するときは処理室を密閉し得る位置に蓋51を移動させ、閉位置Qに位置するときは処理物の搬送経路を形成する位置に搬送レール54を移動させる。図3は、開位置Pでの仕切室の正面図である。駆動レバー53の下には、仮想回動軸5hに対して平面視点対称に2つのガイド溝58が設けられている。ガイド溝58は、仮想回動軸5hを中心とする1/4円弧状の第一溝部5pと第一溝部5pの終端から処理室方向へ直線をなす第二の溝部5qから構成されている。2つのアーム59の下端は、長孔56及びガイド溝58を貫通しており、これらの縁に案内されて運動する。クランク5fは、駆動レバー53の中心に接続されており、リニアアクチュエータ5bの動作による直線運動を回転運動に変換して、駆動レバー53に動力を伝える役割を担う。一方、蓋51の仕切室51に臨む面の中央にはヒンジ点5sが設けてあり、このヒンジ点5sが2つのアーム59の略中間位置に各々取り付けられ、駆動レバー53が閉位置Qに位置するときには処理室を密閉し、開位置Pに位置するときには退避する。搬送レール54はチャネル状であり、駆動レバー53の仮想回動軸5h上に突出させたクランク軸5rに駆動レバー53と直角をなして取り付けられている。さて、駆動レバー53が開位置Pに位置するとき、アーム59は長孔56の始端5dに接している。この位置からアーム59がガイド溝58に案内されることによって、駆動レバー53が平面視反時計回りに回動すると、先ず、第一溝部5pの終端Rまで回動する。図2は、この位置での仕切室の正面図である。さらに、駆動レバー53が回動すると、アーム59は第二の溝部5qに入り、この第二の溝部5qに案内されて終端まで移動するが、この移動は、仮想回動軸5hから仕切室外方向へのものであるから、アーム59は長孔56に対して長孔56の終端5e方向へ相対移動する。つまり、アーム59に支持された蓋51は、初期回転動作の後、処理室に向かう閉止動作を与えられる。そして、ガイド溝58及び長孔56の2つの案内を受け得る限界の位置、すなわち、蓋51がO−リング5cを潰した状態で処理室を閉止した位置で止まり、このとき、駆動レバー53は閉位置Qとなる。
【0013】以上に加え、この実施例は、各仕切室5にガス導入系6を設け、このガス導入系6に介説したバルブ6aをガス圧調整手段8により制御して、仕切室5内の圧力を処理室内の圧力よりも相対的に高圧となるように、不活性ガス等のガス導入を行うようにしている。ガス圧調整手段8は、そのために各室内に設けた圧力センサ(図示しない)から圧力信号を入力されている。
【0014】以上のような構成において、本実施例の処理装置は次のように作動する。準備室1、脱脂室2、焼結室3の処理物Wが次の処理のために待機する状態で、全室内を図示しない排気経路により真空排気した後、アクチュエータ71によりプッシャチェーン73を突出させ、各処理物Wを次の処理室へ搬送する。このとき、準備室1の処理物Wは設置台12上に、スペーサ72は設置台12の中央部の凹部にセットされており、プッシャチェーン73が先ず処理物Wを搬送する。処理物Wがスペーサ72の上から離れると、設置台12が具備するスプリングが伸び、スペーサ72は処理物Wのあった高さまで持ち上げられる。続いて、スペーサ72はプッシャチェーン73に予め付帯させておいたフックに引っ掛かり、仕切室5まで搬送され、スペーサ72に押された処理物Wは脱脂室2に搬送される。その他の処理物W、スペーサ72も同様に手前の処理物W又はスペーサ72に押されて、次の処理室又は仕切室5へ搬送される。一方、冷却室4では、設置台12の中央の凹部に、仕切室5から送られてきたスペーサ72が落下し、続いてそのスペーサ72上に焼結処理された処理物Wが搬送される。
【0015】各処理物の搬送後、駆動レバー53を駆動して蓋51を閉じ、ガス圧調整手段8を作動させて仕切室5内にガス導入系6よりN2等の不活性ガスを概ね大気圧程度になるまで導入する。このとき、仕切室5内は処理室内よりも高圧となるので、蓋51は処理室を確実に密閉することができる。次に、脱脂、焼結及び冷却処理を開始する。準備室1は空になっているので、この間に準備室1を大気圧に開放し、スペーサ72及び次の処理物Wをセットし、再度真空排気しておく。冷却室4では、図示しない導入装置により冷却ガスを導入し、ファン42と熱交換により冷却ガスを攪拌し、処理物Wを冷却する。また、通常、冷却処理は脱脂、焼結処理に比べて早く完了するので、冷却処理後、冷却室4を大気圧に開放し、処理物W、スペーサ72を取り出す。そして、空となった冷却室4は、再度、真空排気しておく。この間、脱脂室2では、ヒータ22により室内が500℃程度に熱せられ、同時にキャリアガスたるN2が導入装置から導入され、処理中に生じるバインダの分解ガス等を排気装置により連続装置外へ排気しながら脱脂又は処理が進行する。一方、焼結室3では、ヒータ32により室内が1500℃程度に熱せられ、処理物Wに対する焼結処理がなされる。
【0016】脱脂、焼結処理が完了すると、連続処理装置内を真空排気し、駆動レバー53を駆動して蓋51を開く。以下、上述した操作を繰り返すことによって、処理物Wに対する脱脂焼結処理を連続して行うことができる。以上の処理を行う中で、連続処理装置は仕切室5内と準備室1、脱脂室2、焼結室3又は冷却室4内の差圧によって蓋部51を閉じたときの押付力を助勢することができるので、準備室1、脱脂室2、焼結室3及び冷却室4を開閉駆動する駆動手段5Aへの負担を軽減することができ、準備室1、脱脂室2、焼結室3及び冷却室4の密閉も確実に行うことができる。特に、準備室1及び冷却室4では、大気開放が繰り返され、室内の圧力が大気から真空の間で頻繁に振れるため、脱脂室2との間、焼結室3との間に仕切室5を設けておくこと、そして仕切室5の圧力を大気圧近傍に保っておくことは、脱脂室2及び焼結室3への空気の侵入を確実に防ぎ、処理性能や安全性を確保する上で極めて有効となる。また、搬送レール54は、蓋51の退避のための動作と同時に搬送経路に出現し、蓋51の出現のための動作と同時に退避するので、両者は干渉することがなく、簡単な構成により連続処理装置を形成するという所期の目的も達成することができる。
【0017】なお、本発明は上記実施例のみに限定されるものではない。たとえば、上記実施例では垂直軸を回転軸として駆動レバーを回動させているが、水平軸を回転軸として回動させてもよい。駆動レバーはクランク及びリニアアクチュエータを利用して回動させているが、ロータリーアクチュエータを利用することもできる。蓋のロックは、本実施例のほか、閉位置に移動するにつれてガイド溝の半径が大きくなるようにして実現してもよい。または、リンクを設けることにより開閉動作をさせてもよい。アクチュエータはクランク毎に1つずつ用意されているが、複数のクランクを1つのアクチュエータで制御してもよい。
【0018】上記実施例では、仕切室のガスを導入装置からの導入ガスにより概ね大気圧程度に保っているが、処理室から仕切室の方向へ開となるチェック弁を設けて、処理室が仕切室に比べて高圧になったとき、処理室のガスを仕切室に導入して差圧調整してもよい。また、両側の処理室の差圧が常に一方向である場合には、当然、蓋は1カ所でよい。たとえば、脱脂室と焼結室内の処理圧力が略真空である場合には、準備室と仕切室の間の蓋や冷却室と仕切室の間の蓋を取り除き、これら準備室や冷却室に対して処理物を横置きにして直接、搬送レール54上に着脱するようにしてもよい。このようにすれば、設置台を不要にすることもできるので、装置全体のコンパクト化を図ることができる。蓋を冷却する方法は、蓋を水冷ジャケット構造とし、仕切室内にゼンマイ状に巻いたパイプを設けて給水するとよい。また、仕切室内にファンを付けてガスを攪拌させてもよい。蓋と処理室をシールするO−リングは、仕切室の内壁、つまり、処理室の外壁に設けているが、蓋側に設けてもよい。搬送時は、蓋に作用する処理室間の差圧を小さくするように、全室を真空にしているが、全室を等圧にすれば、減圧下や大気圧下で行ってもよい。そのほか、本発明は真空・加圧熱処理、表面処理、乾燥処理、加圧ガス焼き入れ、接合処理、HIP処理、ホットプレス処理等、処理毎に異なる雰囲気を必要とする種々の処理を連続して行う場合に広範囲に適用できる。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、処理室の隣接位置に仕切室を設け、両室間に介在させた蓋部を、機械的に駆動手段とガス圧調整手段により調整される両室間の差圧との協同作用により処理室に向けて押し付け得るように構成したものである。したがって、機械的な駆動手段のみに頼る場合に比べて駆動機構を簡素なものにすることができ、また、処理室内の任意の圧力変動に対して仕切機能を確実なものにして、装置全体の熱処理性能の確保と構造の簡素化とを有効に両立させることが可能になる。また、蓋の開閉と搬送手段の設置、退避とを関連付けて一連の動作で行うことができるので、稼動効率や装置のコンパクト化をより一層、有効に高めることができる。
【出願人】 【識別番号】591159619
【氏名又は名称】島津メクテム株式会社
【出願日】 平成11年11月12日(1999.11.12)
【代理人】 【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
【公開番号】 特開2001−141368(P2001−141368A)
【公開日】 平成13年5月25日(2001.5.25)
【出願番号】 特願平11−323419